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39PM1
問題文
[39PM1] 医療事故の発生要因でないのはどれか。
選択肢
1.多職種間の情報共有 2.診療行為の中断 3.疲労・ストレス 4.担当者の交替 5.作業の複雑さ
答え
1.多職種間の情報共有
解説
正答
1
この問題のポイント
この問題では、医療事故の発生要因と、事故を防ぐためのチーム医療・情報共有を区別できるかが問われています。
医療事故は、個人の不注意だけでなく、作業環境、業務の複雑さ、情報伝達の不足、疲労、引き継ぎ不備など、複数の要因が重なって起こります。
解説
医療事故の背景には、ヒューマンエラーを誘発しやすい状況があります。
たとえば、処置中に作業が中断される、担当者が交替する、疲労やストレスが強い、作業手順が複雑である、といった状況では確認漏れや伝達漏れが起こりやすくなります。
一方、多職種間の情報共有は、医師、看護師、臨床工学技士、薬剤師などが患者情報や治療方針を共有し、事故を防ぐための重要な安全対策です。
ひっかけポイント 情報共有の「不足」は医療事故の要因になりますが、選択肢1は「多職種間の情報共有」そのものを示しています。これは事故の発生要因ではなく、事故防止に役立つ行動です。
選択肢の確認
1.正答。発生要因ではありません。 多職種間の情報共有は、患者状態、治療内容、注意点を共有し、医療事故を予防するために重要です。
2.発生要因として該当します。 診療行為の中断があると、どこまで実施したか分からなくなり、投薬ミス、設定ミス、確認漏れにつながります。
3.発生要因として該当します。 疲労やストレスは注意力、判断力、確認行動を低下させ、ヒューマンエラーを起こしやすくします。
4.発生要因として該当します。 担当者の交替時には申し送り不足や情報伝達の抜けが起こりやすく、事故のリスクが高まります。
5.発生要因として該当します。 作業が複雑になるほど手順の抜け、取り違え、確認不足が起こりやすくなります。
覚えるポイント
- 情報共有は医療事故の予防策です。
- 診療行為の中断、疲労、担当者交替、作業の複雑さは事故リスクを高めます。
- 医療安全では、個人の注意だけでなく、チームとシステムでエラーを防ぐ考え方が重要です。
39PM2
問題文
[39PM2] 在宅医療について誤っているのはどれか。
選択肢
1.平均在院日数が減少する。 2.在宅で人工呼吸器を装着してよい。 3.入院中に在宅医療の準備を開始する。 4.24 時間救急体制の構築は困難が多い。 5.原則として看取りは病院搬送後に行う。
答え
5.原則として看取りは病院搬送後に行う。
解説
正答
5
この問題のポイント
この問題では、在宅医療の目的と、在宅で行える医療支援の範囲を理解しているかが問われています。
在宅医療では、患者本人と家族の希望、生活の質、医療・介護の連携を重視します。人工呼吸器管理や終末期の看取りも、体制が整えば在宅で行われます。
解説
在宅医療は、病院だけでなく自宅や施設で継続的な医療を提供する仕組みです。
高齢化や慢性疾患の増加により、入院期間を短くし、退院後も地域で医療を継続する流れが重要になっています。臨床工学技士に関係する例としては、在宅人工呼吸器、在宅酸素療法、持続陽圧呼吸療法などがあります。
在宅医療では、退院前から準備を始めます。機器の選定、患者・家族への説明、緊急時対応、訪問診療・訪問看護との連携が必要です。
看取りについても、本人や家族が希望し、医療・介護体制が整っていれば在宅で行うことがあります。したがって、原則として病院搬送後に行うという記述は不適切です。
臨床工学技士としての注意点 在宅人工呼吸器などの生命維持管理装置では、機器の動作確認、アラーム対応、停電時対応、回路トラブル時の連絡体制まで含めて支援することが重要です。
選択肢の確認
1.記述としては正しい。 在宅医療の推進により、急性期治療後の退院支援が進み、平均在院日数の短縮につながります。
2.記述としては正しい。 在宅人工呼吸療法は実施可能です。患者・家族への教育、機器管理、緊急時対応の体制が必要です。
3.記述としては正しい。 在宅医療への移行は、入院中から退院調整として準備します。医療機器、訪問診療、訪問看護、介護サービスなどを調整します。
4.記述としては正しい。 在宅医療では急変時対応、夜間対応、医療機器トラブルへの対応などが必要であり、24時間救急体制の構築には困難が伴います。
5.正答。記述としては誤り。 看取りは、本人・家族の希望と医療・介護体制が整えば在宅で行われます。原則として病院搬送後に行うわけではありません。
覚えるポイント
- 在宅医療では、入院中から退院後の生活を見据えて準備します。
- 在宅人工呼吸器などの医療機器管理も在宅医療に含まれます。
- 終末期の看取りは、条件が整えば在宅でも行われます。
39PM3
問題文
[39PM3] 医薬品医療機器等法の目的に含まれるのはどれか。 a.指定薬物の規制 b.産業廃棄物の適正な処理 c.毒物・劇物の保健衛生上の規制 d.医薬品・医療機器の研究開発促進 e.再生医療製品の保健衛生上の危害発生の防止
選択肢
1.a、b、c 2.a、b、e 3.a、d、e 4.b、c、d 5.c、d、e
答え
3.a、d、e
解説
正答
3
この問題のポイント
この問題では、医薬品医療機器等法の目的に含まれる内容を判定します。
医薬品医療機器等法は、医薬品、医療機器、再生医療等製品などの品質・有効性・安全性を確保し、保健衛生上の危害発生を防止するための法律です。
解説
医薬品医療機器等法は、正式には「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」です。臨床工学技士にとっては、医療機器の製造販売、承認、添付文書、安全対策、不具合報告などと関係します。
小項目を確認します。
- a.指定薬物の規制 医薬品医療機器等法の目的に含まれます。
- b.産業廃棄物の適正な処理 これは廃棄物処理に関する法制度の領域であり、医薬品医療機器等法の主目的ではありません。
- c.毒物・劇物の保健衛生上の規制 これは主に毒物及び劇物取締法の領域です。
- d.医薬品・医療機器の研究開発促進 医療上必要性の高い医薬品・医療機器などの研究開発促進も目的に含まれます。
- e.再生医療製品の保健衛生上の危害発生の防止 再生医療等製品の安全性確保と危害発生防止は、医薬品医療機器等法の重要な目的です。
したがって、正しい小項目は a、d、e であり、選択肢3が正答です。
ひっかけポイント 医療に関係する言葉が並んでいても、どの法律の目的かを分けて考えます。毒物・劇物は医薬品医療機器等法ではなく、毒物及び劇物取締法と結びつけます。
選択肢の確認
1.誤り。 選択肢1は a、b、c の組合せです。bとcが医薬品医療機器等法の目的としては不適切です。
2.誤り。 選択肢2は a、b、e の組合せです。bが不適切で、dが含まれていません。
3.正しい。 選択肢3は a、d、e の組合せです。いずれも医薬品医療機器等法の目的に含まれます。
4.誤り。 選択肢4は b、c、d の組合せです。bとcが不適切で、aとeが含まれていません。
5.誤り。 選択肢5は c、d、e の組合せです。cが不適切で、aが含まれていません。
覚えるポイント
- 医薬品医療機器等法は、医薬品・医療機器・再生医療等製品の品質、有効性、安全性を確保する法律です。
- 指定薬物の規制も目的に含まれます。
- 毒物・劇物は、主に毒物及び劇物取締法と関連します。
39PM4
問題文
[39PM4] 医薬品の治験について適切でないのはどれか。 a.治験参加を拒否すると不利益がありうると説明する。 b.第 4 相試験(市販後調査)は免除されている。 c.文書による被験者の同意を得た上で実施する。 d.GCP(Good Clinical Practice)に準拠する。 e.新薬の承認申請を目的に実施する。
選択肢
1.a、b 2.a、e 3.b、c 4.c、d 5.d、e
答え
1.a、b
解説
正答
1
この問題のポイント
この問題では、治験の倫理性とGCPの基本事項が問われています。
治験では、被験者の自由意思、十分な説明、文書による同意、安全性の確保が重要です。参加を拒否しても不利益を受けないことを説明する必要があります。
解説
治験は、新薬などの承認申請に必要な有効性・安全性を確認するため、人を対象に行われる臨床試験です。
小項目を確認します。
- a.治験参加を拒否すると不利益がありうると説明する。 これは不適切です。治験参加は自由意思に基づくものであり、参加を拒否しても診療上の不利益を受けないことを説明します。
- b.第4相試験(市販後調査)は免除されている。 これは不適切です。市販後にも実臨床での安全性や有効性を確認する調査が重要です。免除されていると一般化するのは適切ではありません。
- c.文書による被験者の同意を得た上で実施する。 これは適切です。インフォームドコンセントは文書で取得します。
- d.GCP(Good Clinical Practice)に準拠する。 これは適切です。治験は倫理性、科学性、信頼性を確保するためGCPに従って実施します。
- e.新薬の承認申請を目的に実施する。 これは適切です。治験は承認申請に必要なデータを得る目的で実施されます。
したがって、適切でない小項目は a、b であり、選択肢1が正答です。
ひっかけポイント 治験では「参加しないと不利益がある」と感じさせてはいけません。自由意思と同意撤回の自由が重要です。
選択肢の確認
1.正答。適切でない小項目の組合せです。 選択肢1は a、b の組合せです。aは被験者の自由意思に反し、bは市販後調査を免除とする点が不適切です。
2.誤り。 選択肢2は a、e の組合せです。aは不適切ですが、eは治験の目的として適切です。
3.誤り。 選択肢3は b、c の組合せです。bは不適切ですが、cは適切です。
4.誤り。 選択肢4は c、d の組合せです。どちらも治験の実施において適切な内容です。
5.誤り。 選択肢5は d、e の組合せです。どちらも治験の説明として適切です。
覚えるポイント
- 治験参加は自由意思に基づきます。
- 参加拒否や同意撤回によって不利益を受けてはいけません。
- 治験は文書同意を得て、GCPに準拠して実施します。
- 新薬承認後も、市販後の安全性確認が重要です。
39PM5
問題文
[39PM5] 誤っているのはどれか。
選択肢
1.肉芽腫は慢性炎症で生じる。 2.腫脹は炎症の 4 主徴の一つである。 3.マクロファージは間葉系細胞である。 4.急性炎症の過程ではまず血管透過性が亢進する。 5.セロトニンは炎症ケミカルメディエータの一つである。
答え
3.マクロファージは間葉系細胞である。
解説
正答
3
この問題のポイント
この問題では、炎症の基本と、炎症に関与する細胞・化学伝達物質を理解しているかが問われています。
炎症では、血管反応、白血球の遊走、化学伝達物質の作用が重要です。急性炎症と慢性炎症の特徴を分けて覚える必要があります。
解説
炎症は、生体が感染、外傷、化学的刺激などに反応して起こす防御反応です。
急性炎症では、血管拡張や血管透過性亢進により、発赤、熱感、腫脹、疼痛が生じます。慢性炎症では、マクロファージ、リンパ球、線維芽細胞などが関与し、肉芽腫形成を伴うことがあります。
マクロファージは、単球が組織内に移行して分化した細胞です。由来は血球系・単球系であり、線維芽細胞などのような間葉系細胞そのものではありません。
ひっかけポイント マクロファージは組織内に存在するため、間質の細胞と混同しやすいですが、由来は単球系です。炎症細胞として整理して覚えます。
選択肢の確認
1.記述としては正しい。 肉芽腫は慢性炎症でみられる病変です。結核などで代表的に出題されます。
2.記述としては正しい。 炎症の4主徴は、発赤、熱感、腫脹、疼痛です。腫脹は血管透過性亢進による滲出などで生じます。
3.正答。記述としては誤り。 マクロファージは間葉系細胞ではなく、単球に由来する貪食細胞です。炎症局所で異物や病原体の処理、サイトカイン産生、抗原提示などに関与します。
4.記述としては正しい。 急性炎症では血管反応が早期に起こり、血管透過性が亢進します。これにより血漿成分や白血球が炎症局所へ移動しやすくなります。
5.記述としては正しい。 セロトニンは炎症に関与する化学伝達物質の一つです。血管透過性や血管反応に関与します。
覚えるポイント
- 急性炎症では、血管透過性亢進と白血球浸潤が重要です。
- 慢性炎症では、マクロファージ、リンパ球、肉芽腫形成を押さえます。
- マクロファージは単球由来であり、間葉系細胞ではありません。
- 炎症の4主徴は、発赤、熱感、腫脹、疼痛です。
39PM6
問題文
[39PM6] 正しいのはどれか。 a.骨格筋には横紋がある。 b.平滑筋には介在板がある。 c.心筋にはミオシンがない。 d.平滑筋には自律神経が分布する。 e.心筋は骨格筋よりも不応期が長い。
選択肢
1.a、b、c 2.a、b、e 3.a、d、e 4.b、c、d 5.c、d、e
答え
3.a、d、e
解説
正答
3
この問題のポイント
この問題では、骨格筋・心筋・平滑筋の違いが問われています。
筋組織は、見た目、支配神経、収縮様式、電気生理学的性質が異なります。国家試験では、横紋、介在板、自律神経、不応期がよく出題されます。
解説
小項目を確認します。
- a.骨格筋には横紋がある。 正しいです。骨格筋はアクチンとミオシンが規則正しく配列しており、横紋がみられます。
- b.平滑筋には介在板がある。 誤りです。介在板は心筋細胞どうしを連結する構造です。平滑筋には介在板はありません。
- c.心筋にはミオシンがない。 誤りです。心筋にもアクチンとミオシンがあり、これらの相互作用で収縮します。
- d.平滑筋には自律神経が分布する。 正しいです。血管、気管支、消化管などの平滑筋は主に自律神経によって調節されます。
- e.心筋は骨格筋よりも不応期が長い。 正しいです。心筋は活動電位にプラトー相があり、不応期が長いことが特徴です。これにより強縮が起こりにくく、心臓が拍動を保ちやすくなります。
したがって、正しい小項目は a、d、e であり、選択肢3が正答です。
ひっかけポイント 心筋は横紋筋ですが、自分の意思で動かす随意筋ではありません。骨格筋、心筋、平滑筋を「横紋の有無」と「支配神経」で整理すると解きやすくなります。
選択肢の確認
1.誤り。 選択肢1は a、b、c の組合せです。aは正しいですが、bとcが誤りです。
2.誤り。 選択肢2は a、b、e の組合せです。aとeは正しいですが、bが誤りです。
3.正しい。 選択肢3は a、d、e の組合せです。骨格筋の横紋、平滑筋の自律神経支配、心筋の長い不応期はいずれも正しい内容です。
4.誤り。 選択肢4は b、c、d の組合せです。dは正しいですが、bとcが誤りです。
5.誤り。 選択肢5は c、d、e の組合せです。dとeは正しいですが、cが誤りです。
覚えるポイント
- 骨格筋は横紋筋で、主に体性神経に支配されます。
- 心筋は横紋筋で、介在板があり、不応期が長いです。
- 平滑筋は横紋をもたず、主に自律神経により調節されます。
- 心筋にもアクチンとミオシンがあります。
39PM7
問題文
[39PM7] 大気圧が 480 mmHg の高地における吸入気酸素分圧(PIO₂)[mmHg]はおよそいくらか。 ただし、体温は 37℃、大気の酸素濃度は 21%、飽和水蒸気圧は 47 mmHg とする。
選択肢
1.90 2.100 3.150 4.160 5.430
答え
1.90
解説
正答
1
この問題のポイント
この問題では、吸入気酸素分圧 PIO₂の計算が問われています。
ポイントは、吸入気は気道内で加湿されるため、酸素分圧を計算するときに飽和水蒸気圧 47 mmHgを大気圧から引くことです。
解説
吸入気酸素分圧は次の式で求めます。
- PIO₂ = FIO₂ × (大気圧 − 飽和水蒸気圧)
ここで、
- FIO₂ = 21% = 0.21
- 大気圧 = 480 mmHg
- 飽和水蒸気圧 = 47 mmHg
まず、乾燥ガスとして使える圧を求めます。
- 480 − 47 = 433 mmHg
次に、酸素濃度 0.21 をかけます。
- PIO₂ = 0.21 × 433
- PIO₂ = 90.93 mmHg
およそ 90 mmHg なので、選択肢1が正答です。
ひっかけポイント 480 mmHg にそのまま 0.21 をかけると約100 mmHgになります。吸入気は37℃で加湿されるため、必ず水蒸気圧 47 mmHg を引きます。
選択肢の確認
1.正しい。 計算結果は約90.9 mmHgであり、およそ90 mmHgです。
2.誤り。 大気圧 480 mmHg に酸素濃度 0.21 を直接かけると約100 mmHgになりますが、水蒸気圧を引いていないため不適切です。
3.誤り。 約150 mmHgは、平地で大気圧760 mmHgの場合の吸入気酸素分圧に近い値です。
4.誤り。 約160 mmHgは、乾燥空気中で 760 mmHg × 0.21 と考えた場合に近い値です。気道内加湿を考慮していません。
5.誤り。 430 mmHgは、大気圧から水蒸気圧を引いた値に近く、酸素濃度をかけていません。
覚えるポイント
- PIO₂ = FIO₂ × (PB − PH₂O)で求めます。
- 37℃での飽和水蒸気圧は47 mmHgです。
- 高地では大気圧が低いため、吸入気酸素分圧も低下します。
- 酸素療法や人工呼吸管理では、FIO₂だけでなく分圧の考え方も重要です。
39PM8
問題文
[39PM8] 誤っているのはどれか。
選択肢
1.右室壁は左室壁よりも薄い。 2.左冠動脈は前下行枝と回旋枝に分かれる。 3.右肺動脈は上行大動脈の背側を通る。 4.僧帽弁は二尖弁である。 5.腱索は心房に認められる。
答え
5.腱索は心房に認められる。
解説
正答
5
この問題のポイント
この問題では、心臓の基本解剖が問われています。
特に、心室壁の厚さ、冠動脈の分枝、肺動脈の走行、房室弁、腱索の位置を整理しておく必要があります。
解説
心臓は、右心系が肺循環、左心系が体循環を担当します。
左室は全身へ血液を送り出すため高い圧を発生させる必要があり、右室より壁が厚くなっています。一方、右室は肺循環へ血液を送るため、左室ほど高圧を必要としません。
僧帽弁は左房と左室の間にある房室弁で、二尖弁です。三尖弁は右房と右室の間にあります。
腱索は、房室弁の弁尖と乳頭筋をつなぐ線維性構造です。弁が心房側へ反転することを防ぎ、逆流を防止します。腱索は心室内に存在し、心房に認められるという記述は誤りです。
ひっかけポイント 腱索は「房室弁に付く」ため心房側にあるように感じやすいですが、実際には乳頭筋とともに心室内にあります。
選択肢の確認
1.記述としては正しい。 右室は肺循環へ血液を送るため、左室より低圧系です。そのため右室壁は左室壁より薄いです。
2.記述としては正しい。 左冠動脈は主に前下行枝と回旋枝に分かれます。前下行枝は心室中隔前部や左室前壁に関係します。
3.記述としては正しい。 右肺動脈は肺動脈幹から分岐した後、上行大動脈の背側を通って右肺へ向かいます。
4.記述としては正しい。 僧帽弁は左房と左室の間にある二尖弁です。
5.正答。記述としては誤り。 腱索は心房ではなく、心室内で房室弁と乳頭筋をつなぐ構造です。弁の逸脱や逆流を防ぐ役割があります。
覚えるポイント
- 左室壁は右室壁より厚いです。
- 左冠動脈は前下行枝と回旋枝に分かれます。
- 僧帽弁は二尖弁、三尖弁は右房室弁です。
- 腱索と乳頭筋は心室内にあり、房室弁の逆流防止に関与します。
39PM9
問題文
[39PM9] 胃について正しいのはどれか。
選択肢
1.ペプシノゲンは壁細胞から分泌される。 2.ガストリンは胃酸分泌を抑制する。 3.粘膜上皮は重層扁平上皮である。 4.噴門には括約筋がある。 5.漿膜組織を有する。
答え
5.漿膜組織を有する。
解説
正答
5
この問題のポイント
この問題では、胃の組織構造と分泌細胞が問われています。
胃では、主細胞、壁細胞、G細胞の役割を整理することが重要です。また、消化管壁の構造として、胃の外側には漿膜があることも押さえます。
解説
胃は消化管の一部で、粘膜、粘膜下層、筋層、漿膜などから構成されます。
胃粘膜には、消化に関係する複数の細胞があります。
- 主細胞:ペプシノゲンを分泌します。
- 壁細胞:塩酸と内因子を分泌します。
- G細胞:ガストリンを分泌します。
ガストリンは胃酸分泌を促進します。胃粘膜の上皮は単層円柱上皮であり、食道のような重層扁平上皮ではありません。
胃は腹腔内臓器であり、外表面は漿膜に覆われています。したがって、漿膜組織を有するという選択肢5が正答です。
ひっかけポイント 「ペプシノゲン=主細胞」「胃酸=壁細胞」「ガストリン=G細胞」をセットで覚えると、胃の分泌問題はかなり解きやすくなります。
選択肢の確認
1.誤り。 ペプシノゲンは壁細胞ではなく、主細胞から分泌されます。壁細胞は塩酸と内因子を分泌します。
2.誤り。 ガストリンは胃酸分泌を抑制するのではなく、促進します。胃運動の促進にも関与します。
3.誤り。 胃の粘膜上皮は主に単層円柱上皮です。重層扁平上皮は食道などにみられます。
4.誤り。 噴門部には、幽門のような明確な括約筋はありません。胃食道逆流の防止には下部食道括約筋や横隔膜脚などが関与します。
5.正しい。 胃は漿膜に覆われる消化管であり、漿膜組織を有します。
覚えるポイント
- ペプシノゲンは主細胞から分泌されます。
- 塩酸と内因子は壁細胞から分泌されます。
- ガストリンは胃酸分泌を促進します。
- 胃粘膜上皮は単層円柱上皮です。
- 胃の外側には漿膜があります。
39PM10
問題文
[39PM10] 激しい運動により 1 時間で 3.0 L 発汗した。この発汗による単位時間当たりの熱放散量[W]は平均でいくらか。 ただし、汗はすべて気化したものとし、汗の密度を 1.0 g/mL、水の気化熱は 2400 kJ/kg とする。
選択肢
1.100 2.500 3.1400 4.2000 5.6000
答え
4.2000
解説
正答
4
この問題のポイント
この問題では、汗の気化による熱放散量を計算します。
ポイントは、発汗量を質量に変換し、気化熱をかけて熱量を求め、最後に 1 秒あたりの仕事率 W に直すことです。
解説
熱放散量は、汗が気化するときに奪う熱量から求めます。
使う式は次のとおりです。
- 熱量 = 質量 × 気化熱
- 単位時間当たりの熱放散量 = 熱量 / 時間
まず、汗の量を質量に変換します。
汗の密度は 1.0 g/mL なので、
- 3.0 L = 3000 mL
- 3000 mL × 1.0 g/mL = 3000 g
- 3000 g = 3.0 kg
次に、気化熱を使って熱量を求めます。
- 気化熱 = 2400 kJ/kg
- 熱量 = 3.0 kg × 2400 kJ/kg
- 熱量 = 7200 kJ
kJをJに直します。
- 7200 kJ = 7,200,000 J
1時間は3600秒です。
- 熱放散量 = 7,200,000 J / 3600 s
- 熱放散量 = 2000 J/s
- 1 J/s = 1 W
したがって、平均の熱放散量は 2000 W であり、選択肢4が正答です。
ひっかけポイント Wは「1秒あたりのエネルギー」です。最後に1時間を3600秒へ変換し忘れないようにします。
選択肢の確認
1.誤り。 100 Wでは、3.0 Lの汗がすべて気化した場合の熱放散量として小さすぎます。
2.誤り。 500 Wは、時間換算または発汗量の扱いが不十分な場合に選びやすい値です。
3.誤り。 1400 Wは計算値 2000 W とは一致しません。気化熱、質量、時間を順に確認する必要があります。
4.正しい。 3.0 kgの汗が気化すると 7200 kJ の熱が奪われます。これを3600秒で割ると 2000 W になります。
5.誤り。 6000 Wは過大です。時間で割る処理や単位変換を誤ると大きな値になりやすいです。
覚えるポイント
- 1 W = 1 J/s です。
- 1時間 = 3600秒です。
- 水の密度が 1.0 g/mL のとき、3.0 L は 3.0 kg です。
- 気化による熱放散は、体温調節で非常に重要です。
- 計算問題では、L、mL、g、kg、kJ、J、sの単位変換を丁寧に確認します。
39PM11
問題文
[39PM11] 二次縫合について正しいのはどれか。 a.汚染の著しい創に行う。 b.開放創のまま治癒させる。 c.瘢痕性拘縮のリスクが低い。 d.治癒までの期間を短縮させる。 e.受傷後 6 時間以降の創に行う。
選択肢
1.a、b、c 2.a、b、e 3.a、d、e 4.b、c、d 5.c、d、e
答え
1.a、b、c 2.a、b、e 3.a、d、e 4.b、c、d 5.c、d、e
解説
正答
1、2、3、4、5
この問題のポイント
この問題では、二次縫合、二次治癒、遅延一次閉鎖の考え方が関係します。
創傷処置では、すぐに縫合できる清潔な創と、感染リスクが高くすぐには閉鎖しない創を区別します。汚染が強い創では、洗浄、デブリードマン、感染の観察を行い、必要に応じて後から閉鎖します。
解説
創傷治癒は、大きく次のように整理できます。
- 一次治癒:清潔な創を早期に縫合し、創縁を合わせて治癒させる。
- 二次治癒:創を開放したまま、肉芽形成や上皮化により治癒させる。
- 二次縫合・遅延一次閉鎖:汚染創などをすぐに閉鎖せず、一定期間開放管理した後、感染リスクが低下してから縫合する。
この設問では、全選択肢が正答として扱われます。学習上は、二次縫合を「汚染創を一定期間開放管理した後に閉鎖する方法」として理解し、二次治癒との違いも押さえることが重要です。
ひっかけポイント 「二次縫合」は後から縫合する考え方、「二次治癒」は開放創のまま肉芽形成で治癒させる考え方です。用語が近いため、国家試験では混同しやすいテーマです。
選択肢の確認
1.正答です。 選択肢1は a、b、c の組合せです。汚染の著しい創では、すぐに閉鎖せず開放管理を行うことがあります。二次縫合や二次治癒の考え方と関連します。
2.正答です。 選択肢2は a、b、e の組合せです。汚染創や受傷後時間が経過した創では、感染リスクを考えて一次縫合を避け、開放管理や遅延閉鎖を検討します。
3.正答です。 選択肢3は a、d、e の組合せです。汚染が強い創や受傷後時間が経過した創では、感染を制御してから閉鎖する考え方が重要です。適切な時期に閉鎖することで治癒期間の短縮を期待する場合があります。
4.正答です。 選択肢4は b、c、d の組合せです。創を開放して観察し、肉芽形成や感染状態を確認しながら治療する考え方と関連します。
5.正答です。 選択肢5は c、d、e の組合せです。受傷後時間が経過した創では感染リスクを評価し、一次縫合ではなく開放管理や遅延閉鎖を選択することがあります。
覚えるポイント
- 清潔な創は一次縫合を行いやすいです。
- 汚染創や感染リスクが高い創では、すぐに閉鎖せず開放管理を行うことがあります。
- 二次縫合は、感染や汚染の状態をみて後から縫合する考え方です。
- 二次治癒は、創を開放したまま肉芽形成や上皮化で治癒させる考え方です。
- 創傷処置では、感染防止、洗浄、デブリードマン、閉鎖時期の判断が重要です。
39PM12
問題文
[39PM12] 頭蓋底骨折を示唆する所見でないのはどれか。
選択肢
1.眼球状血腫 2.運動性失語 3.髄液鼻漏 4.鼻出血 5.耳出血
答え
2.運動性失語
解説
正答
2
この問題のポイント
この問題では、頭蓋底骨折を示唆する所見を理解しているかが問われています。
頭蓋底骨折では、鼻出血、耳出血、髄液鼻漏、髄液耳漏、眼周囲の血腫などが重要です。一方、運動性失語は大脳皮質の言語中枢障害を示す所見であり、頭蓋底骨折に特異的な所見ではありません。
解説
頭蓋底骨折は、頭蓋骨の底部に生じる骨折です。骨折部位によって、鼻腔、耳、眼周囲に特徴的な所見が現れます。
特に重要なのは、髄液漏です。硬膜が損傷されると、髄液が鼻から出る髄液鼻漏や、耳から出る髄液耳漏がみられることがあります。これは髄膜炎などの感染リスクにも関係するため、臨床的に重要です。
また、鼻出血や耳出血、眼周囲の血腫も頭蓋底骨折を疑うきっかけになります。
運動性失語は、主に優位半球の前頭葉にある運動性言語野の障害でみられます。頭部外傷で起こることはありますが、頭蓋底骨折を示唆する典型所見ではありません。
ひっかけポイント 頭部外傷に関係する症状でも、「頭蓋底骨折らしい所見」か「脳実質障害を示す神経症状」かを分けて考えます。
選択肢の確認
1.頭蓋底骨折を示唆する所見として該当します。 眼周囲の血腫は、前頭蓋底骨折などでみられることがあります。眼の周囲に出血斑が出る所見として重要です。
2.正答。頭蓋底骨折を示唆する所見ではありません。 運動性失語は、言語中枢の障害でみられる神経症状です。頭蓋底骨折に特徴的な所見ではありません。
3.頭蓋底骨折を示唆する所見として該当します。 髄液鼻漏は、頭蓋底骨折で硬膜が損傷されたときにみられる重要な所見です。
4.頭蓋底骨折を示唆する所見として該当します。 鼻出血は、前頭蓋底や鼻腔周辺の損傷を示唆することがあります。
5.頭蓋底骨折を示唆する所見として該当します。 耳出血は、中頭蓋底骨折や側頭骨骨折などでみられることがあります。髄液耳漏の有無も確認します。
覚えるポイント
- 頭蓋底骨折では、髄液鼻漏、髄液耳漏、鼻出血、耳出血が重要です。
- 眼周囲の血腫は頭蓋底骨折を疑う所見です。
- 運動性失語は、頭蓋底骨折そのものではなく、脳の言語中枢障害を示す所見です。
- 頭部外傷では、骨折所見と神経症状を分けて整理します。
39PM13
問題文
[39PM13] 過換気症候群でみられるのはどれか。 a.高カルシウム血症 b.意識障害 c.PaCO₂ 低下 d.SpO₂ 低下 e.アシデミア
選択肢
1.a、b 2.a、e 3.b、c 4.c、d 5.d、e
答え
3.b、c
解説
正答
3
この問題のポイント
この問題では、過換気症候群で起こる血液ガス変化を理解しているかが問われています。
過換気では、呼吸により二酸化炭素が過剰に排出されます。その結果、PaCO₂ は低下し、呼吸性アルカローシスになります。
解説
過換気症候群では、不安、緊張、痛みなどをきっかけに呼吸が過剰になります。
呼吸が過剰になると、体内の二酸化炭素が過剰に排出されます。二酸化炭素は血液の酸塩基平衡に深く関係するため、PaCO₂ が低下すると血液はアルカリ性に傾きます。
この状態では、次のような症状がみられます。
- 息苦しさ
- しびれ感
- 手指の硬直
- めまい
- 意識障害
- PaCO₂ 低下
- 呼吸性アルカローシス
また、アルカローシスでは血中のイオン化カルシウムが低下しやすく、しびれやテタニー様症状の原因になります。高カルシウム血症になるわけではありません。
SpO₂は通常、低下しません。酸素を取り込めない病態ではなく、換気が過剰になっている病態だからです。
ひっかけポイント 「息苦しい」という訴えがあっても、過換気症候群では酸素不足とは限りません。PaCO₂ 低下と呼吸性アルカローシスをまず考えます。
選択肢の確認
1.誤り。 選択肢1は a、b の組合せです。bの意識障害はみられることがありますが、aの高カルシウム血症は誤りです。
2.誤り。 選択肢2は a、e の組合せです。過換気症候群では高カルシウム血症ではなく、アシデミアでもありません。呼吸性アルカローシスによりアルカリ性に傾きます。
3.正しい。 選択肢3は b、c の組合せです。過換気症候群では意識障害がみられることがあり、PaCO₂ は低下します。
4.誤り。 選択肢4は c、d の組合せです。cのPaCO₂低下は正しいですが、SpO₂低下は通常みられません。
5.誤り。 選択肢5は d、e の組合せです。SpO₂低下もアシデミアも、過換気症候群の典型所見ではありません。
覚えるポイント
- 過換気症候群ではPaCO₂ が低下します。
- PaCO₂低下により、呼吸性アルカローシスになります。
- SpO₂は通常保たれます。
- アルカローシスではイオン化カルシウムが低下し、しびれやテタニー様症状が出ることがあります。
- 呼吸困難感があっても、酸素化と換気を分けて考えます。
39PM14
問題文
[39PM14] 急性大動脈解離で用いるのはどれか。
選択肢
1.TNM 分類 2.GOLD 分類 3.Killip 分類 4.Forrester 分類 5.Stanford 分類
答え
5.Stanford 分類
解説
正答
5
この問題のポイント
この問題では、急性大動脈解離の分類を選べるかが問われています。
急性大動脈解離では、解離が上行大動脈に及ぶかどうかが治療方針に大きく関係します。この分類に用いられる代表がStanford分類です。
解説
急性大動脈解離は、大動脈壁の内膜が裂け、血液が中膜内へ入り込むことで偽腔を形成する疾患です。
Stanford分類では、上行大動脈に解離が及ぶかどうかで分類します。
- Stanford A型:上行大動脈に解離が及ぶ
- Stanford B型:上行大動脈に解離が及ばない
A型は心タンポナーデ、大動脈弁閉鎖不全、冠動脈障害などの重篤な合併症を起こしやすく、緊急手術が検討されます。
B型では、合併症がなければ血圧管理などの内科的治療が中心になることがあります。
ひっかけポイント 分類名は疾患とセットで覚えます。大動脈解離はStanford分類、悪性腫瘍はTNM分類、COPDはGOLD分類です。
選択肢の確認
1.誤り。 TNM分類は、悪性腫瘍の進行度分類に用いられます。腫瘍の大きさ、リンパ節転移、遠隔転移を評価します。
2.誤り。 GOLD分類は、COPDの重症度評価などに関連します。呼吸器疾患の分類として覚えます。
3.誤り。 Killip分類は、急性心筋梗塞に伴う心不全の重症度分類に用いられます。
4.誤り。 Forrester分類は、心係数と肺動脈楔入圧などから血行動態を分類するもので、急性心筋梗塞や心不全の評価に関連します。
5.正しい。 Stanford分類は、急性大動脈解離で用いられる分類です。上行大動脈に解離が及ぶかどうかでA型とB型に分けます。
覚えるポイント
- 大動脈解離はStanford分類を用います。
- Stanford A型は上行大動脈に解離が及び、緊急性が高いです。
- Stanford B型は上行大動脈に解離が及ばないものです。
- TNM分類は悪性腫瘍、GOLD分類はCOPD、Killip分類とForrester分類は心疾患の評価で使われます。
39PM15
問題文
[39PM15] 71 歳女性。入院中に中心静脈カテーテルを一時的に留置されていた。退院 1 週間後から微熱が続いている。身体所見では心雑音を聴取した。心エコー図では僧帽弁に可動性のある直径 10 mm の塊(疣贅)を認め、血液培養で黄色ブドウ球菌が検出された。 最も考えられる疾患はどれか。
選択肢
1.リウマチ熱 2.特発性心筋炎 3.収縮性心膜炎 4.感染性心内膜炎 5.顕微鏡的多発血管炎
答え
4.感染性心内膜炎
解説
正答
4
この問題のポイント
この問題では、感染性心内膜炎を疑う臨床所見を読み取れるかが問われています。
キーワードは、中心静脈カテーテル留置歴、微熱、心雑音、弁の疣贅、血液培養で黄色ブドウ球菌検出です。
解説
感染性心内膜炎は、心内膜、特に心臓弁に細菌などが感染して疣贅を形成する疾患です。
疣贅は、細菌、血小板、フィブリンなどからなる塊です。弁に付着すると弁破壊や逆流を起こし、心雑音が出現することがあります。また、疣贅が飛散すると塞栓症を起こすこともあります。
この症例では、中心静脈カテーテル留置歴があります。血管内カテーテルは菌血症の原因となることがあり、特に黄色ブドウ球菌は感染性心内膜炎の重要な原因菌です。
さらに、心エコー図で僧帽弁に可動性のある塊、つまり疣贅を認め、血液培養で黄色ブドウ球菌が検出されています。これらは感染性心内膜炎を強く示唆します。
臨床工学技士としての注意点 血管内カテーテル、人工弁、補助循環回路、血液浄化回路などは感染リスクと関係します。清潔操作、カテーテル管理、発熱時の観察、血液培養の重要性を理解しておくことが大切です。
選択肢の確認
1.誤り。 リウマチ熱は、A群溶血性レンサ球菌感染後に起こる免疫反応で、弁膜症の原因になります。ただし、本症例のように血液培養で黄色ブドウ球菌が検出され、弁に疣贅を認める病態としては感染性心内膜炎が最も考えられます。
2.誤り。 特発性心筋炎では、心筋の炎症により心不全症状や不整脈などを来すことがあります。弁に疣贅を形成し、血液培養で黄色ブドウ球菌が検出される所見とは合いません。
3.誤り。 収縮性心膜炎は、心膜が肥厚・硬化して心臓の拡張が障害される疾患です。疣贅や菌血症を主体とする病態ではありません。
4.正しい。 感染性心内膜炎では、発熱、心雑音、血液培養陽性、心エコーでの疣贅が重要です。本症例では黄色ブドウ球菌が検出され、僧帽弁に可動性のある疣贅を認めているため、最も考えられます。
5.誤り。 顕微鏡的多発血管炎は小型血管炎の一種で、腎障害や肺胞出血などが問題になります。本症例の弁疣贅と黄色ブドウ球菌菌血症を説明する疾患としては不適切です。
覚えるポイント
- 感染性心内膜炎の重要所見は、発熱、心雑音、血液培養陽性、心エコーでの疣贅です。
- 黄色ブドウ球菌は感染性心内膜炎の重要な原因菌です。
- 中心静脈カテーテルなどの血管内デバイスは菌血症のリスクになります。
- 弁に形成された疣贅は、弁破壊や塞栓症の原因になります。
- 医療機器やカテーテル管理では、感染予防と早期発見が重要です。
39PM16
問題文
[39PM16] ビタミンとその欠乏症の組合せとして適切でないのはどれか。
選択肢
1.ビタミン A ― 夜盲症 2.ビタミン B1 ― 口内炎 3.ビタミン C ― 壊血病 4.ビタミン D ― くる病 5.ビタミン K ― 出血傾向
答え
2.ビタミン B1 ― 口内炎
解説
正答
2
この問題のポイント
この問題では、ビタミン欠乏症の代表的な組合せが問われています。
国家試験では、脂溶性ビタミンと水溶性ビタミンの欠乏症をセットで覚えることが重要です。
解説
ビタミン欠乏症は、特徴的な症状と対応させて整理します。
- ビタミンA欠乏:夜盲症、眼球乾燥
- ビタミンB1欠乏:脚気、Wernicke脳症
- ビタミンC欠乏:壊血病
- ビタミンD欠乏:くる病、骨軟化症
- ビタミンK欠乏:出血傾向
ビタミンB1は糖質代謝に関係するビタミンです。欠乏すると、末梢神経障害や心不全を伴う脚気、意識障害・眼球運動障害・運動失調を特徴とするWernicke脳症が問題になります。
口内炎は、ビタミンB2、ビタミンB6、ナイアシンなどの欠乏で関連づけられることが多く、ビタミンB1欠乏症の代表としては不適切です。
ひっかけポイント ビタミンB群は種類が多く、欠乏症を混同しやすいです。B1は「脚気・Wernicke脳症」とまず結びつけます。
選択肢の確認
1.記述としては正しい。 ビタミンA欠乏では夜盲症がみられます。暗所での視力低下が特徴です。
2.正答。記述としては誤り。 ビタミンB1欠乏の代表は脚気やWernicke脳症です。口内炎はビタミンB1欠乏の代表的症状としては適切ではありません。
3.記述としては正しい。 ビタミンC欠乏では壊血病が起こります。コラーゲン合成障害により、歯肉出血や皮下出血がみられます。
4.記述としては正しい。 ビタミンD欠乏では小児でくる病、成人で骨軟化症が起こります。カルシウム・リン代謝と関係します。
5.記述としては正しい。 ビタミンKは凝固因子の活性化に関係します。欠乏すると出血傾向がみられます。
覚えるポイント
- ビタミンA欠乏は夜盲症です。
- ビタミンB1欠乏は脚気、Wernicke脳症です。
- ビタミンC欠乏は壊血病です。
- ビタミンD欠乏はくる病です。
- ビタミンK欠乏は出血傾向です。
39PM17
問題文
[39PM17] 医療従事者の感染防護でサージカルマスク装着が有効なのはどれか。 a.風 疹 b.疥 癬 c.麻 疹 d.帯状疱疹 e.インフルエンザ
選択肢
1.a、b 2.a、e 3.b、c 4.c、d 5.d、e
答え
2.a、e
解説
正答
2
この問題のポイント
この問題では、感染経路ごとの標準予防策・感染経路別予防策が問われています。
サージカルマスクは主に飛沫感染対策で有効です。風疹やインフルエンザは飛沫感染対策としてサージカルマスクが重要になります。
解説
感染防護では、病原体ごとに感染経路を考えます。
小項目を確認します。
- a.風疹 飛沫感染が中心です。サージカルマスク装着が有効です。
- b.疥癬 接触感染が重要です。手袋、ガウン、接触予防策が中心であり、サージカルマスクが主対策ではありません。
- c.麻疹 空気感染が重要です。医療従事者の防護ではN95マスクなどの空気感染対策が必要です。サージカルマスクだけでは不十分です。
- d.帯状疱疹 病変部との接触対策が重要です。播種性の場合は空気感染対策も考慮しますが、サージカルマスク単独を有効な基本対策として選ぶ病態ではありません。
- e.インフルエンザ 飛沫感染が中心です。サージカルマスク装着が有効です。
したがって、サージカルマスク装着が有効なのは a、e であり、選択肢2が正答です。
ひっかけポイント マスクといっても、サージカルマスクとN95マスクは目的が異なります。飛沫感染にはサージカルマスク、空気感染にはN95マスクを考えます。
選択肢の確認
1.誤り。 選択肢1は a、b の組合せです。aの風疹は該当しますが、bの疥癬は接触感染対策が中心です。
2.正しい。 選択肢2は a、e の組合せです。風疹とインフルエンザはいずれも飛沫感染対策としてサージカルマスクが有効です。
3.誤り。 選択肢3は b、c の組合せです。疥癬は接触感染対策、麻疹は空気感染対策が中心です。
4.誤り。 選択肢4は c、d の組合せです。麻疹ではN95マスクなどの空気感染対策が必要です。帯状疱疹もサージカルマスク装着を主な対策として選ぶものではありません。
5.誤り。 選択肢5は d、e の組合せです。eのインフルエンザは該当しますが、dの帯状疱疹は接触対策を中心に考えます。
覚えるポイント
- サージカルマスクは主に飛沫感染対策で用います。
- 風疹、インフルエンザは飛沫感染対策が重要です。
- 麻疹は空気感染であり、N95マスクなどを考えます。
- 疥癬は接触感染対策が中心です。
- 感染対策では、疾患名と感染経路をセットで覚えます。
39PM18
問題文
[39PM18] 食中毒の原因となる病原体はどれか。 a.カンピロバクター b.サイトメガロウイルス c.クリプトコッカス d.ウエルシュ菌 e.ノロウイルス
選択肢
1.a、b、c 2.a、b、e 3.a、d、e 4.b、c、d 5.c、d、e
答え
3.a、d、e
解説
正答
3
この問題のポイント
この問題では、食中毒の代表的な原因病原体を選べるかが問われています。
食中毒では、細菌性、ウイルス性、毒素型などを整理します。カンピロバクター、ウエルシュ菌、ノロウイルスは国家試験でも頻出です。
解説
小項目を確認します。
- a.カンピロバクター 食中毒の原因菌です。鶏肉などの加熱不十分が関係しやすいです。
- b.サイトメガロウイルス 免疫不全患者などで問題になるウイルス感染症ですが、一般的な食中毒の原因病原体としては扱いません。
- c.クリプトコッカス 真菌感染症の原因となります。免疫不全患者で髄膜炎などを起こすことがありますが、食中毒の代表病原体ではありません。
- d.ウエルシュ菌 食中毒の原因菌です。大量調理食品の不適切な保存などで問題になります。
- e.ノロウイルス ウイルス性食中毒の代表です。感染力が強く、医療施設や高齢者施設での集団発生にも注意が必要です。
したがって、食中毒の原因となる病原体は a、d、e であり、選択肢3が正答です。
臨床工学技士としての注意点 医療施設では食中毒そのものだけでなく、嘔吐物処理、手指衛生、環境消毒、患者対応時の感染拡大防止が重要です。特にノロウイルスでは標準予防策と接触対策を徹底します。
選択肢の確認
1.誤り。 選択肢1は a、b、c の組合せです。aは正しいですが、bとcは食中毒の代表病原体ではありません。
2.誤り。 選択肢2は a、b、e の組合せです。aとeは正しいですが、bが不適切です。
3.正しい。 選択肢3は a、d、e の組合せです。カンピロバクター、ウエルシュ菌、ノロウイルスはいずれも食中毒の原因になります。
4.誤り。 選択肢4は b、c、d の組合せです。dは正しいですが、bとcが不適切です。
5.誤り。 選択肢5は c、d、e の組合せです。dとeは正しいですが、cが不適切です。
覚えるポイント
- カンピロバクターは食中毒の代表的な細菌です。
- ウエルシュ菌は大量調理食品などで問題になります。
- ノロウイルスはウイルス性食中毒の代表です。
- サイトメガロウイルス、クリプトコッカスは食中毒の代表病原体ではありません。
- 食中毒対策では、加熱、手指衛生、食品保存、環境消毒が重要です。
39PM19
問題文
[39PM19] 前立腺肥大症で特徴的な症状はどれか。
選択肢
1.発 熱 2.多 尿 3.血 尿 4.頻 尿 5.腹 痛
答え
4.頻 尿
解説
正答
4
この問題のポイント
この問題では、前立腺肥大症の下部尿路症状を理解しているかが問われています。
前立腺肥大症では、前立腺が尿道を圧迫し、排尿障害や蓄尿症状がみられます。頻尿、夜間頻尿、尿勢低下、排尿開始遅延、残尿感などが重要です。
解説
前立腺は膀胱の出口付近で尿道を取り囲むように存在します。
前立腺が肥大すると、尿道が圧迫されて尿の通過が悪くなります。その結果、膀胱に尿が残りやすくなり、何度も排尿したくなる頻尿や夜間頻尿が起こります。
また、排尿開始まで時間がかかる、尿の勢いが弱い、排尿後も残っている感じがする、といった症状も特徴的です。
発熱や腹痛は感染症や炎症、他の腹部疾患でみられやすい症状です。血尿は泌尿器疾患でみられることがありますが、前立腺肥大症の最も特徴的な症状としては頻尿が適切です。
ひっかけポイント 前立腺肥大症では「尿がたくさん作られる」のではなく、「尿が出にくい・残りやすい」ことが問題です。その結果として頻尿になります。
選択肢の確認
1.誤り。 発熱は前立腺炎や尿路感染症などでみられやすい症状です。前立腺肥大症の特徴的症状ではありません。
2.誤り。 多尿は尿量そのものが増える状態です。糖尿病、尿崩症、利尿薬などで問題になります。前立腺肥大症では尿量増加よりも排尿困難や頻尿が中心です。
3.誤り。 血尿は膀胱炎、尿路結石、腫瘍などでもみられます。前立腺肥大症でも起こることはありますが、特徴的症状として最も適切なのは頻尿です。
4.正しい。 前立腺肥大症では膀胱出口部の閉塞や残尿により、頻尿や夜間頻尿がみられます。
5.誤り。 腹痛は前立腺肥大症の代表的症状ではありません。尿閉が強い場合には下腹部膨満感や痛みを伴うことがありますが、特徴的症状としては頻尿が適切です。
覚えるポイント
- 前立腺肥大症では、尿道が圧迫されます。
- 代表症状は頻尿、夜間頻尿、尿勢低下、排尿開始遅延、残尿感です。
- 多尿は尿量が増える状態であり、前立腺肥大症の本態とは異なります。
- 尿閉が進行すると腎機能障害につながることがあります。
39PM20
問題文
[39PM20] 肝硬変の非代償期にみられる所見はどれか。 a.黄 疸 b.腹 水 c.高コレステロール血症 d.血 尿 e.女性化乳房
選択肢
1.a、b、c 2.a、b、e 3.a、d、e 4.b、c、d 5.c、d、e
答え
2.a、b、e
解説
正答
2
この問題のポイント
この問題では、肝硬変の非代償期にみられる所見を選びます。
肝硬変では、肝機能が保たれている代償期から、肝機能低下が明らかになる非代償期へ進行すると、黄疸、腹水、肝性脳症、出血傾向、女性化乳房などが問題になります。
解説
肝硬変は、慢性肝障害の結果として肝臓が線維化し、正常な肝構造が失われる病態です。
非代償期になると、肝臓の代謝・合成・解毒機能が低下し、門脈圧亢進も目立つようになります。
小項目を確認します。
- a.黄疸 肝機能低下によりビリルビン処理が障害され、黄疸がみられます。
- b.腹水 門脈圧亢進、低アルブミン血症、腎での水・ナトリウム貯留などにより腹水が生じます。
- c.高コレステロール血症 肝硬変の非代償期では、肝の合成能が低下するため、典型的な所見としては適切ではありません。
- d.血尿 肝硬変の非代償期を示す代表所見ではありません。出血傾向は起こりえますが、血尿そのものを典型所見として選ぶ問題ではありません。
- e.女性化乳房 肝臓でのホルモン代謝障害により、男性で女性化乳房がみられることがあります。
したがって、非代償期にみられる所見は a、b、e であり、選択肢2が正答です。
ひっかけポイント 肝硬変では「肝臓の合成能低下」と「門脈圧亢進」をセットで考えます。腹水や黄疸は非代償期の重要所見です。
選択肢の確認
1.誤り。 選択肢1は a、b、c の組合せです。aとbは正しいですが、cの高コレステロール血症は非代償期肝硬変の代表所見として不適切です。
2.正しい。 選択肢2は a、b、e の組合せです。黄疸、腹水、女性化乳房はいずれも肝硬変の非代償期でみられる所見です。
3.誤り。 選択肢3は a、d、e の組合せです。aとeは正しいですが、dの血尿は代表所見ではありません。
4.誤り。 選択肢4は b、c、d の組合せです。bは正しいですが、cとdが不適切です。
5.誤り。 選択肢5は c、d、e の組合せです。eは正しいですが、cとdが不適切です。
覚えるポイント
- 肝硬変の非代償期では黄疸、腹水、肝性脳症、出血傾向が重要です。
- 腹水は、門脈圧亢進と低アルブミン血症が関係します。
- 女性化乳房は、肝臓でのホルモン代謝障害により起こります。
- 肝硬変では、合成能低下によりアルブミン低下や凝固異常が問題になります。
39PM21
問題文
[39PM21] 鉄欠乏性貧血に関連しないのはどれか。
選択肢
1.月経過多 2.さじ状爪 3.異食症 4.血清フェリチン値増加 5.小球性低色素性貧血
答え
4.血清フェリチン値増加
解説
正答
4
この問題のポイント
この問題では、鉄欠乏性貧血の原因、症状、検査所見を理解しているかが問われています。
鉄欠乏性貧血では、体内の貯蔵鉄が不足するため、血清フェリチン値は低下します。したがって、血清フェリチン値増加は関連しません。
解説
鉄欠乏性貧血は、鉄不足によりヘモグロビン合成が低下して起こる貧血です。
鉄はヘモグロビンの材料です。鉄が不足すると、赤血球は小さく、色が薄くなります。そのため、検査では小球性低色素性貧血を示します。
代表的な原因には、月経過多、消化管出血、妊娠、成長期の需要増加、鉄摂取不足などがあります。
また、特徴的な症状として、さじ状爪、異食症、舌炎、口角炎、易疲労感、動悸などがみられることがあります。
フェリチンは体内の貯蔵鉄を反映する指標です。鉄欠乏性貧血では貯蔵鉄が減るため、血清フェリチン値は通常低下します。
ひっかけポイント 鉄欠乏性貧血では「血清鉄低下」「フェリチン低下」「総鉄結合能増加」をセットで押さえます。フェリチン増加は炎症や鉄過剰などで考えます。
選択肢の確認
1.関連します。 月経過多では慢性的に鉄を失うため、鉄欠乏性貧血の原因になります。
2.関連します。 さじ状爪は鉄欠乏性貧血でみられる代表的な所見です。爪が薄くなり、中央がへこんだ形になります。
3.関連します。 異食症は鉄欠乏性貧血でみられることがあります。氷を好んで食べる氷食症が有名です。
4.正答。関連しません。 鉄欠乏性貧血では貯蔵鉄が減少するため、血清フェリチン値は増加ではなく低下します。
5.関連します。 鉄欠乏性貧血ではヘモグロビン合成が低下するため、小球性低色素性貧血になります。
覚えるポイント
- 鉄欠乏性貧血は小球性低色素性貧血です。
- 血清フェリチンは貯蔵鉄を反映します。
- 鉄欠乏性貧血では血清フェリチン値は低下します。
- 月経過多、消化管出血、妊娠、成長期は鉄欠乏の原因になります。
- さじ状爪、異食症は鉄欠乏性貧血の特徴的所見です。
39PM22
問題文
[39PM22] 全身麻酔においてカプノメータで検出可能なのはどれか。 a.再呼吸 b.低酸素混合ガス c.過剰濃度麻酔ガス d.呼吸回路脱離 e.食道挿管
選択肢
1.a、b、c 2.a、b、e 3.a、d、e 4.b、c、d 5.c、d、e
答え
3.a、d、e
解説
正答
3
この問題のポイント
この問題では、全身麻酔中のカプノメータで何を検出できるかが問われています。
カプノメータは、呼気中の二酸化炭素 CO₂を測定します。換気状態、呼吸回路の異常、気管挿管の確認に重要です。
解説
カプノメータは、呼気終末二酸化炭素分圧である PETCO₂ やカプノグラム波形を表示します。
全身麻酔では、患者の換気が保たれているか、気管チューブが正しい位置にあるか、呼吸回路に異常がないかを確認するために重要です。
小項目を確認します。
- a.再呼吸 検出可能です。吸気相のCO₂がゼロに戻らない場合、再呼吸を疑います。
- b.低酸素混合ガス カプノメータでは直接検出できません。酸素濃度計で確認します。
- c.過剰濃度麻酔ガス カプノメータでは直接検出できません。麻酔ガス濃度モニタで確認します。
- d.呼吸回路脱離 検出可能です。呼気CO₂波形が消失または著しく低下します。
- e.食道挿管 検出可能です。気管に入っていなければ、持続的な呼気CO₂波形が得られにくくなります。
したがって、検出可能なのは a、d、e であり、選択肢3が正答です。
臨床工学技士としての注意点 カプノメータは「酸素濃度」ではなく「CO₂」を見ています。酸素化はSpO₂や酸素濃度計、換気はカプノメータというように、モニタの役割を分けて理解します。
選択肢の確認
1.誤り。 選択肢1は a、b、c の組合せです。aは検出可能ですが、bとcはカプノメータの直接の検出対象ではありません。
2.誤り。 選択肢2は a、b、e の組合せです。aとeは検出可能ですが、bの低酸素混合ガスは酸素濃度計で確認すべき内容です。
3.正しい。 選択肢3は a、d、e の組合せです。再呼吸、呼吸回路脱離、食道挿管はいずれもカプノメータで異常として検出できます。
4.誤り。 選択肢4は b、c、d の組合せです。dは検出可能ですが、bとcはカプノメータでは直接検出できません。
5.誤り。 選択肢5は c、d、e の組合せです。dとeは検出可能ですが、cの過剰濃度麻酔ガスは麻酔ガス濃度モニタで確認します。
覚えるポイント
- カプノメータは呼気CO₂を測定します。
- 再呼吸では、吸気相のCO₂がゼロに戻らないことがあります。
- 呼吸回路脱離では、CO₂波形が消失または低下します。
- 食道挿管では、持続的な呼気CO₂波形が得られにくくなります。
- 低酸素混合ガスは酸素濃度計、麻酔ガス濃度は麻酔ガスモニタで確認します。
39PM23
問題文
[39PM23] 一次救命処置に含まれるのはどれか。 a.119 番通報 b.胸骨圧迫 c.AED の使用 d.アドレナリン投与 e.気管挿管
選択肢
1.a、b、c 2.a、b、e 3.a、d、e 4.b、c、d 5.c、d、e
答え
1.a、b、c
解説
正答
1
この問題のポイント
この問題では、一次救命処置 BLSに含まれる内容を判断します。
一次救命処置では、反応確認、応援要請、119番通報、胸骨圧迫、AEDの使用が中心です。薬剤投与や気管挿管は、二次救命処置 ALS の範囲として考えます。
解説
一次救命処置は、心停止や呼吸停止が疑われる人に対して、現場で直ちに行う救命処置です。
小項目を確認します。
- a.119番通報 BLSに含まれます。早期通報は救命の連鎖の重要な一部です。
- b.胸骨圧迫 BLSに含まれます。心停止では質の高い胸骨圧迫を早く開始することが重要です。
- c.AEDの使用 BLSに含まれます。心室細動や無脈性心室頻拍では、早期除細動が救命率に大きく関係します。
- d.アドレナリン投与 BLSではなく、主に二次救命処置に含まれます。
- e.気管挿管 BLSではなく、主に二次救命処置に含まれる高度な気道確保です。
したがって、BLSに含まれるのは a、b、c であり、選択肢1が正答です。
臨床工学技士としての注意点 院内急変では、すぐに応援要請を行い、胸骨圧迫とAEDまたは除細動器の準備を進めます。臨床工学技士は除細動器、AED、人工呼吸器、吸引器などの機器管理とも深く関係します。
選択肢の確認
1.正しい。 選択肢1は a、b、c の組合せです。119番通報、胸骨圧迫、AEDの使用はいずれも一次救命処置に含まれます。
2.誤り。 選択肢2は a、b、e の組合せです。aとbはBLSに含まれますが、eの気管挿管はBLSではなく高度な気道確保です。
3.誤り。 選択肢3は a、d、e の組合せです。aはBLSに含まれますが、dとeは二次救命処置で扱う内容です。
4.誤り。 選択肢4は b、c、d の組合せです。bとcはBLSに含まれますが、dのアドレナリン投与はBLSではありません。
5.誤り。 選択肢5は c、d、e の組合せです。cはBLSに含まれますが、dとeは二次救命処置に分類されます。
覚えるポイント
- BLSは119番通報、胸骨圧迫、AEDが基本です。
- アドレナリン投与は二次救命処置で行います。
- 気管挿管は高度な気道確保であり、BLSには含めません。
- 心停止では、早期通報、早期CPR、早期除細動が重要です。
- AEDは一般市民も使用できる救命機器です。
39PM24
問題文
[39PM24] Holter(ホルター)心電図が診断に有用なのはどれか。 a.肥大型心筋症 b.心房中隔欠損症 c.発作性心房細動 d.冠攣縮性狭心症 e.不完全右脚ブロック
選択肢
1.a、b 2.a、e 3.b、c 4.c、d 5.d、e
答え
4.c、d
解説
正答
4
この問題のポイント
この問題では、Holter心電図がどのような疾患の診断に有用かが問われています。
Holter心電図は、長時間にわたり心電図を記録する検査です。短時間の標準12誘導心電図では捉えにくい、一過性の不整脈や一過性の虚血性変化の検出に有用です。
解説
Holter心電図は、通常24時間程度、日常生活中の心電図を連続記録します。
そのため、発作的に出現する不整脈や、夜間・早朝など特定の時間帯に起こる心筋虚血の検出に向いています。
小項目を確認します。
- a.肥大型心筋症 心エコーや心電図、心MRIなどが診断に重要です。Holter心電図は不整脈評価には有用ですが、疾患診断そのものの第一選択とはいえません。
- b.心房中隔欠損症 診断には心エコーが重要です。Holter心電図で直接診断する疾患ではありません。
- c.発作性心房細動 Holter心電図が有用です。発作時の不規則なRR間隔やP波消失を捉えます。
- d.冠攣縮性狭心症 Holter心電図が有用です。発作時の一過性ST変化を記録できることがあります。
- e.不完全右脚ブロック 標準12誘導心電図で確認できることが多く、Holter心電図で長時間記録する必要性は高くありません。
したがって、Holter心電図が診断に有用なのは c、d であり、選択肢4が正答です。
ひっかけポイント Holter心電図は「常にある異常」よりも「発作的に出る異常」を捉える検査です。発作性心房細動や冠攣縮性狭心症はこの考え方に合います。
選択肢の確認
1.誤り。 選択肢1は a、b の組合せです。肥大型心筋症や心房中隔欠損症は、Holter心電図よりも心エコーなどが診断に重要です。
2.誤り。 選択肢2は a、e の組合せです。肥大型心筋症の不整脈評価にHolter心電図が使われることはありますが、診断の中心ではありません。不完全右脚ブロックも標準心電図で確認できます。
3.誤り。 選択肢3は b、c の組合せです。cの発作性心房細動には有用ですが、bの心房中隔欠損症の診断には心エコーが重要です。
4.正しい。 選択肢4は c、d の組合せです。発作性心房細動と冠攣縮性狭心症は、長時間心電図記録により発作時の変化を捉えやすいため、Holter心電図が有用です。
5.誤り。 選択肢5は d、e の組合せです。dの冠攣縮性狭心症には有用ですが、eの不完全右脚ブロックは標準12誘導心電図で評価できます。
覚えるポイント
- Holter心電図は長時間心電図記録です。
- 発作性心房細動などの一過性不整脈の検出に有用です。
- 冠攣縮性狭心症では発作時のST変化を捉えるのに役立ちます。
- 心房中隔欠損症や肥大型心筋症の形態評価には心エコーが重要です。
- 「発作性」「一過性」という言葉が出たらHolter心電図を考えます。
39PM25
問題文
[39PM25] 不規則雑音に埋もれた信号を 225 回の加算回数で同期加算平均処理した。正しいのはどれか。
選択肢
1.信号成分は 15 倍になる。 2.信号成分は 1/15 倍になる。 3.雑音成分は 1/225 倍になる。 4.S/N は 15 倍になる。 5.S/N は 225 倍になる。
答え
4.S/N は 15 倍になる。
解説
正答
4
この問題のポイント
この問題では、同期加算平均処理によるS/N改善効果が問われています。
同じタイミングで繰り返し現れる信号は加算平均で残り、不規則な雑音は平均化により小さくなります。S/Nは加算回数の平方根に比例して改善します。
解説
同期加算平均処理では、信号の発生タイミングに合わせて複数回の波形を重ね合わせ、平均します。
規則的に出る信号成分は、毎回同じタイミングに出るため平均後も残ります。一方、不規則雑音はランダムに変動するため、平均すると打ち消されます。
S/Nの改善率は次の式で考えます。
- S/Nの改善率 = √N
ここで、Nは加算回数です。
- N = 225
- √225 = 15
したがって、S/Nは15倍になります。
ひっかけポイント 加算回数が225回だからS/Nが225倍になるわけではありません。ランダム雑音の低減は平方根で効くため、S/N改善は√225 = 15倍です。
選択肢の確認
1.誤り。 加算ではなく加算平均処理として考えるため、信号成分が15倍になるわけではありません。平均後の信号成分は基本的に保たれます。
2.誤り。 同期した信号は平均しても消えません。信号成分が1/15倍になるわけではありません。
3.誤り。 不規則雑音の振幅成分は、加算平均によりおよそ1/√Nに低下します。225回では1/15程度であり、1/225ではありません。
4.正しい。 S/Nは加算回数の平方根に比例して改善します。√225 = 15なので、S/Nは15倍になります。
5.誤り。 S/Nは加算回数Nそのものではなく、√Nに比例して改善します。225回の場合は225倍ではなく15倍です。
覚えるポイント
- 同期加算平均処理は、繰り返し信号を雑音から取り出す方法です。
- 信号は同期しているため平均後も残ります。
- 不規則雑音は平均化により低下します。
- S/N改善率は√Nです。
- 225回加算平均すると、S/Nは15倍になります。
39PM26
問題文
[39PM26] 生体電気計測に用いられる電極について誤っているのはどれか。
選択肢
1.皮膚との接触面積を広くすると接触インピーダンスが増加する。 2.電極ペーストは皮膚との接触インピーダンスを減少させる。 3.生体内イオンの流れを電子の流れへ変換する。 4.銀-塩化銀電極は不分極電極とよばれる。 5.X 線はカーボン電極を透過する。
答え
1.皮膚との接触面積を広くすると接触インピーダンスが増加する。
解説
正答
1
この問題のポイント
この問題では、生体電気計測用電極の基本的な役割と、皮膚との接触インピーダンスについて問われています。
心電図、脳波、筋電図などでは、生体内のイオン電流を装置側の電子電流として取り出します。そのため、電極と皮膚の接触状態が測定品質に大きく影響します。
解説
生体電気信号は、生体内では主にイオンの移動として生じます。一方、計測装置やリード線内では電子の移動として電流が流れます。
電極は、このイオン電流と電子電流の橋渡しをする重要な部品です。
皮膚との接触インピーダンスが高いと、雑音が増えたり、基線動揺が起こったり、電極外れに近い状態になったりします。そのため、電極装着では皮膚処理、電極ペースト、十分な接触面積が重要です。
接触面積を広くすると、電流が流れる面積が増えるため、一般に接触インピーダンスは低下します。したがって、「接触面積を広くすると接触インピーダンスが増加する」は誤りです。
ひっかけポイント 電極問題では、「接触面積」「電極ペースト」「分極」「雑音」をセットで考えます。接触面積が広いほど、接触インピーダンスは下がりやすくなります。
選択肢の確認
1.正答。記述としては誤り。 皮膚との接触面積を広くすると、一般に接触インピーダンスは増加ではなく低下します。接触が不十分な場合は雑音やアーチファクトの原因になります。
2.記述としては正しい。 電極ペーストは皮膚と電極の間の導電性を高め、接触インピーダンスを減少させます。
3.記述としては正しい。 生体内ではイオンの移動として電気現象が生じます。電極は、それを装置側の電子の流れとして取り出す役割をもちます。
4.記述としては正しい。 銀-塩化銀電極は分極しにくく、安定した電位を得やすいため、不分極電極として扱われます。心電図などの生体電気計測で広く用いられます。
5.記述としては正しい。 カーボン電極はX線透過性が高く、X線撮影や透視下で電極が画像の妨げになりにくい特徴があります。
覚えるポイント
- 接触面積が広いほど、接触インピーダンスは低下しやすいです。
- 電極ペーストは接触インピーダンスを下げます。
- 電極は、生体内のイオン電流を装置側の電子電流へ変換します。
- 銀-塩化銀電極は不分極電極として重要です。
- 接触インピーダンスが高いと、雑音やアーチファクトが増えます。
39PM27
問題文
[39PM27] 生体磁気計測について誤っているのはどれか。
選択肢
1.心磁図は心臓の電気活動に伴う電流によって発生する磁界を計測する。 2.脳磁図の測定ではセンサを頭皮に密着させる必要がある。 3.SQUID 磁束計はジョセフソン効果を利用している。 4.心臓周辺の組織の透磁率はほぼ一様とみなせる。 5.SQUID 磁束計は冷却する必要がある。
答え
2.脳磁図の測定ではセンサを頭皮に密着させる必要がある。
解説
正答
2
この問題のポイント
この問題では、生体磁気計測とSQUID磁束計の基本が問われています。
生体磁気計測では、心臓や脳の電気活動に伴って生じる微弱な磁界を測定します。代表例は心磁図と脳磁図です。
解説
生体内に電流が流れると、その周囲に磁界が発生します。生体磁気計測では、この非常に弱い磁界を高感度の磁束計で検出します。
心磁図は、心臓の電気活動に伴う電流が作る磁界を測定する検査です。脳磁図は、脳神経活動に伴って生じる微弱な磁界を測定します。
生体磁気計測では、電極のように皮膚へ電気的に接触する必要はありません。脳磁図でも、センサを頭皮に密着させて電位を取り出すのではなく、頭部周囲の磁界を非接触で測定します。
SQUID磁束計は非常に微弱な磁界を測るために用いられ、超伝導現象とジョセフソン効果を利用します。超伝導状態を保つため、冷却が必要です。
ひっかけポイント 心電図や脳波は電極を皮膚に装着しますが、心磁図や脳磁図は磁界を測定します。電極のような密着接触が必須ではありません。
選択肢の確認
1.記述としては正しい。 心磁図は、心臓の電気活動に伴う電流によって生じる磁界を測定します。
2.正答。記述としては誤り。 脳磁図は頭部周囲の微弱な磁界を測定する検査であり、電極のようにセンサを頭皮に密着させる必要はありません。
3.記述としては正しい。 SQUID磁束計はジョセフソン効果を利用して、非常に微弱な磁束変化を高感度に測定します。
4.記述としては正しい。 生体組織の透磁率はほぼ真空に近く、大きな差が少ないため、心臓周辺の組織の透磁率はほぼ一様とみなせます。
5.記述としては正しい。 SQUID磁束計は超伝導状態を利用するため、冷却が必要です。高感度測定では温度管理が重要になります。
覚えるポイント
- 生体磁気計測は、生体電流が作る磁界を測定します。
- 心磁図は心臓、脳磁図は脳の電気活動に伴う磁界を測ります。
- 脳磁図では、電極のような頭皮への密着接触は必須ではありません。
- SQUID磁束計はジョセフソン効果を利用します。
- SQUIDは超伝導を利用するため、冷却が必要です。
39PM28
問題文
[39PM28] トランスデューサと計測対象の組合せで正しいのはどれか。
選択肢
1.ストレインゲージ ― 変 位 2.サーミスタ ― 圧 力 3.圧電素子 ― 光 4.HgCdTe ― 磁 気 5.CdS ― 温 度
答え
1.ストレインゲージ ― 変 位
解説
正答
1
この問題のポイント
この問題では、トランスデューサの種類と計測対象の対応を理解しているかが問われています。
トランスデューサは、温度、圧力、光、変位、磁気などの物理量を電気信号へ変換する素子です。
解説
トランスデューサは、測定したい物理量によって使い分けます。
ストレインゲージは、物体のひずみによって電気抵抗が変化する性質を利用します。変位そのものを直接読むというより、変位によって生じたひずみや変形を電気抵抗変化として検出します。荷重計、圧力計、変位計などにも応用されます。
サーミスタは温度変化によって抵抗値が変化する素子です。圧力ではなく温度計測に用いられます。
圧電素子は、圧力、力、振動、超音波などの機械的変化を電圧に変換します。光の検出には通常用いません。
HgCdTeは赤外線検出器として用いられる材料です。磁気を測る代表素子ではありません。
CdSは光導電素子で、光の強さによって抵抗が変化します。温度計測ではなく光計測に用います。
ひっかけポイント 素子名だけでなく、「何が変化すると電気信号が変わるか」を考えると整理しやすくなります。
選択肢の確認
1.正しい。 ストレインゲージはひずみによる抵抗変化を利用します。変位や力を機械的なひずみに変換して測定する用途に使われます。
2.誤り。 サーミスタは圧力ではなく温度を測定する素子です。温度変化により抵抗値が変化します。
3.誤り。 圧電素子は光ではなく、圧力、力、振動、超音波などの機械的刺激を電気信号に変換します。
4.誤り。 HgCdTeは赤外線検出に用いられる材料です。磁気計測の代表的な素子ではありません。
5.誤り。 CdSは光の強さにより抵抗が変化する光導電素子です。温度計測ではなく光計測に用いられます。
覚えるポイント
- ストレインゲージはひずみ・変位・力の測定に応用されます。
- サーミスタは温度を測ります。
- 圧電素子は圧力・力・振動・超音波と関係します。
- HgCdTeは赤外線検出に用いられます。
- CdSは光を検出する光導電素子です。
39PM29
問題文
[39PM29] 体温計測で正しいのはどれか。
選択肢
1.電子体温計はステファン・ボルツマンの法則を利用している。 2.実測式では口腔温は腋窩温よりも早く平衡に達する。 3.耳用赤外線体温計による計測には 1 分程度要する。 4.赤外線体温計は人体表面に赤外線を照射する。 5.食道温は外殻温を示す。
答え
2.実測式では口腔温は腋窩温よりも早く平衡に達する。
解説
正答
2
この問題のポイント
この問題では、体温計測の原理と、測定部位による温度応答の違いが問われています。
体温には、深部体温に近いものと、環境の影響を受けやすい外殻温があります。測定方法ごとの特徴を整理することが大切です。
解説
実測式体温計では、測定部位と体温計の温度が実際に平衡に近づくまで測定します。
口腔は血流が豊富で、腋窩よりも外気の影響を受けにくいため、腋窩より早く温度平衡に達しやすいです。したがって、実測式では口腔温は腋窩温よりも早く平衡に達する、という選択肢2が正しいです。
電子体温計は、多くの場合サーミスタなどの温度センサを利用します。ステファン・ボルツマンの法則は、物体から放射される赤外線エネルギーと絶対温度の関係に関する法則で、赤外線体温計の理解に関係します。
耳用赤外線体温計は、鼓膜周辺から放射される赤外線を検出して短時間で測定します。赤外線を人体へ照射するのではなく、人体から放射される赤外線を受け取ります。
食道温は深部体温を反映しやすく、外殻温ではありません。麻酔中や集中治療で深部体温モニタとして利用されます。
ひっかけポイント 赤外線体温計は「赤外線を当てる」のではなく、「体から出ている赤外線を測る」と考えます。
選択肢の確認
1.誤り。 電子体温計は主にサーミスタなどの温度センサを利用します。ステファン・ボルツマンの法則は赤外線放射の原理に関係します。
2.正しい。 実測式では、口腔温は腋窩温よりも早く平衡に達しやすいです。腋窩は皮膚表面に近く、測定環境や密着状態の影響を受けやすいです。
3.誤り。 耳用赤外線体温計は赤外線を検出して短時間で測定します。通常、1分程度の測定時間は必要ありません。
4.誤り。 赤外線体温計は、人体表面や鼓膜周辺から放射される赤外線を検出します。赤外線を人体表面へ照射する装置ではありません。
5.誤り。 食道温は深部体温を反映しやすい温度です。外殻温ではありません。
覚えるポイント
- 実測式では、口腔温は腋窩温より早く平衡に達しやすいです。
- 電子体温計にはサーミスタなどが用いられます。
- 赤外線体温計は、人体から放射される赤外線を検出します。
- 耳用赤外線体温計は短時間測定が可能です。
- 食道温は深部体温を反映します。
39PM30
問題文
[39PM30] MRI について誤っているのはどれか。
選択肢
1.窒素原子の分布を画像化している。 2.自由な角度で断面像を構築できる。 3.血流のある組織の画像化ができる。 4.超伝導 MRI には液体ヘリウムを用いる。 5.位置情報を得るために傾斜磁場を用いる。
答え
1.窒素原子の分布を画像化している。
解説
正答
1
この問題のポイント
この問題では、MRIの基本原理が問われています。
MRIは主に体内の水素原子核、つまりプロトンの信号を利用して画像を作ります。窒素原子の分布を画像化しているわけではありません。
解説
MRIは、強い静磁場中で水素原子核の磁気的性質を利用し、ラジオ波を加えて得られる信号を画像化する検査です。
人体には水や脂肪が多く含まれ、その中に水素原子が豊富にあります。そのため、MRIでは主に水素原子核からの信号を使います。
MRIの特徴として、任意の断面像を得やすいことがあります。CTでは通常、横断像を基本に再構成しますが、MRIは撮像条件により、横断、冠状断、矢状断などを比較的自由に設定できます。
また、血流を利用した画像化も可能です。MRAでは血管や血流情報を評価できます。
超伝導MRIでは、強い磁場を安定して発生させるために超伝導磁石が用いられます。超伝導状態を保つために液体ヘリウムが使用されます。
位置情報を得るためには、傾斜磁場を用います。傾斜磁場により、体内の位置によって共鳴周波数や位相を変化させ、画像として再構成します。
ひっかけポイント MRIは「磁気を使う画像」ですが、画像化している主役は窒素ではなく水素原子核です。水が多い生体組織を画像化しやすい理由もここにあります。
選択肢の確認
1.正答。記述としては誤り。 MRIは窒素原子の分布ではなく、主に水素原子核の信号を利用して画像化します。
2.記述としては正しい。 MRIでは撮像条件を設定することで、横断、冠状断、矢状断など自由な角度で断面像を構築できます。
3.記述としては正しい。 MRIでは血流のある組織や血管を画像化できます。MRAなどで血管評価に用いられます。
4.記述としては正しい。 超伝導MRIでは超伝導磁石を冷却するために液体ヘリウムが用いられます。
5.記述としては正しい。 MRIでは位置情報を得るために傾斜磁場を用います。傾斜磁場は画像再構成に不可欠です。
覚えるポイント
- MRIは主に水素原子核の信号を利用します。
- 窒素原子の分布を画像化しているわけではありません。
- MRIは自由な断面像を得やすい検査です。
- MRAなどにより血流や血管の評価ができます。
- 超伝導MRIでは液体ヘリウムによる冷却が必要です。
- 位置情報の付与には傾斜磁場を用います。
39PM31
問題文
[39PM31] RI を用いた核医学イメージングについて正しいのはどれか。
選択肢
1.空間分解能は 0.1 mm 程度である。 2.体外から放射線を照射し画像化する。 3.SPECT は γ線を検出する。 4.PET で使用するポジトロン核種の半減期は数日である。 5.PET ではガンマカメラを被検者の周囲で一周させる。
答え
3.SPECT は γ線を検出する。
解説
正答
3
この問題のポイント
この問題では、RIを用いた核医学イメージングの基本原理が問われています。
核医学イメージングでは、体内に投与した放射性医薬品から放出される放射線を体外の検出器で検出し、体内分布や機能を画像化します。
解説
RIを用いた検査では、放射性医薬品を体内に投与します。投与された薬剤は、臓器や組織の機能に応じて分布します。
その分布から出る放射線を検出し、画像化するのが核医学イメージングです。
代表的な方法には、SPECTとPETがあります。
SPECTは、体内から放出されるγ線をガンマカメラで検出し、断層画像を作成します。
PETでは、ポジトロン放出核種から放出された陽電子が電子と対消滅し、互いにほぼ反対方向へ出る511 keVの消滅放射線を同時計数して画像化します。
ひっかけポイント 核医学は「外から放射線を当てる検査」ではありません。放射性医薬品を体内に投与し、体内から出る放射線を検出します。
選択肢の確認
1.誤り。 核医学イメージングの空間分解能は、一般に0.1 mm程度の非常に高い分解能ではありません。CTやMRIと比べると空間分解能は低めですが、機能情報を得られる点が重要です。
2.誤り。 核医学では、体外から放射線を照射して画像化するのではなく、体内に投与したRIから放出される放射線を体外で検出します。
3.正しい。 SPECTはγ線を検出して断層画像を作成します。ガンマカメラを用いて、放射性医薬品の体内分布を評価します。
4.誤り。 PETで用いられるポジトロン核種は、一般に半減期が短いものが多いです。数日単位ではなく、分単位から時間単位で考えるものが代表的です。
5.誤り。 PETでは、消滅放射線を同時計数する検出器を用います。ガンマカメラを被検者の周囲で一周させるという説明はSPECTのイメージに近いです。
覚えるポイント
- 核医学は、体内に投与したRIから出る放射線を検出します。
- SPECTはγ線を検出します。
- PETは511 keVの消滅放射線を同時計数します。
- 核医学は形態画像よりも機能画像としての意義が大きいです。
- 「外から照射する」のではなく「体内から出る放射線を測る」と覚えます。
39PM32
問題文
[39PM32] 正しいのはどれか。
選択肢
1.電子内視鏡は光源装置が不要である。 2.電子内視鏡の同時方式では撮像に回転フィルタを用いる。 3.電子内視鏡の撮像素子は操作部に装着されている。 4.超音波内視鏡でラジアル走査が用いられる。 5.カプセル内視鏡はハロゲンランプが内蔵されている。
答え
4.超音波内視鏡でラジアル走査が用いられる。
解説
正答
4
この問題のポイント
この問題では、電子内視鏡、超音波内視鏡、カプセル内視鏡の基本構造が問われています。
内視鏡では、光源、撮像素子、走査方式、照明方式を分けて整理することが重要です。
解説
電子内視鏡は、先端部に撮像素子を備え、体内の画像を電気信号として取り出します。
ただし、体内を観察するためには照明が必要です。そのため、電子内視鏡でも光源装置や照明系が必要になります。
電子内視鏡のカラー撮像方式には、同時方式と面順次方式があります。面順次方式では、RGBなどの光を順番に照射するために回転フィルタが用いられることがあります。一方、同時方式は、撮像素子側のカラーフィルタなどで色情報を同時に得ます。
超音波内視鏡では、内視鏡先端に超音波振動子を備え、消化管壁や周囲臓器を観察します。走査方式には、周囲を輪切り状に観察するラジアル走査などがあります。
カプセル内視鏡では、小型カメラ、照明、電池、送信機などを内蔵します。照明には低消費電力のLEDが用いられるのが一般的で、ハロゲンランプを内蔵するという説明は適切ではありません。
ひっかけポイント 電子内視鏡は「電子的に撮像する」だけで、暗い体内を照らす光源が不要になるわけではありません。
選択肢の確認
1.誤り。 電子内視鏡でも観察対象を照明する必要があるため、光源装置や照明系が必要です。
2.誤り。 回転フィルタを用いるのは、主に面順次方式の説明です。同時方式では、撮像素子のカラーフィルタなどで色情報を同時に得ます。
3.誤り。 電子内視鏡の撮像素子は、通常、挿入部の先端部に装着されています。操作部に装着されているわけではありません。
4.正しい。 超音波内視鏡ではラジアル走査が用いられます。周囲を輪切り状に観察でき、消化管壁の層構造や周辺臓器の評価に役立ちます。
5.誤り。 カプセル内視鏡には、通常、低消費電力のLED照明が用いられます。ハロゲンランプを内蔵するという説明は不適切です。
覚えるポイント
- 電子内視鏡にも光源・照明が必要です。
- 電子内視鏡の撮像素子は主に先端部にあります。
- 回転フィルタは面順次方式と関連します。
- 超音波内視鏡ではラジアル走査が用いられます。
- カプセル内視鏡の照明は、低消費電力のLEDを考えます。
39PM33
問題文
[39PM33] DDDR と表示される植込み型ペースメーカについて正しいのはどれか。 a.心拍応答機能がある。 b.VVI モードに設定できる。 c.電極リードは 3 本である。 d.心房波レートが設定より多ければ心房ペーシングを行う。 e.AV ディレイ内に心室波がなければ心室ペーシングを行う。
選択肢
1.a、b、c 2.a、b、e 3.a、d、e 4.b、c、d 5.c、d、e
答え
2.a、b、e
解説
正答
2
この問題のポイント
この問題では、植込み型ペースメーカのNBGコード、特にDDDRの意味を理解しているかが問われています。
DDDRの最後のRは、レート応答機能を示します。心房と心室の両方を感知・刺激し、必要に応じて心拍数を調整できるモードです。
解説
ペースメーカのモード表示では、各文字に意味があります。
DDDRでは、一般に次のように読みます。
- 1文字目 D:ペーシング部位がDual、つまり心房と心室
- 2文字目 D:センシング部位がDual、つまり心房と心室
- 3文字目 D:センシングに対する応答がDual、つまり抑制と同期
- 4文字目 R:レート応答機能あり
小項目を確認します。
- a.心拍応答機能がある。 正しいです。DDDRのRはレート応答機能を示します。
- b.VVIモードに設定できる。 正しいです。DDDRペースメーカはプログラムにより、VVIなどのモードへ設定できる場合があります。
- c.電極リードは3本である。 誤りです。DDDRでは通常、心房リードと心室リードの2本を用いる二腔ペーシングを考えます。3本リードは両心室ペーシングなど別の状況で考えます。
- d.心房波レートが設定より多ければ心房ペーシングを行う。 誤りです。自己心房波が設定レート以上に出ている場合は、通常、心房ペーシングは抑制されます。
- e.AVディレイ内に心室波がなければ心室ペーシングを行う。 正しいです。心房イベント後、設定されたAVディレイ内に自己心室波が検出されなければ、心室ペーシングを行います。
したがって、正しい小項目は a、b、e であり、選択肢2が正答です。
臨床工学技士としての注意点 ペースメーカでは、モード、下限レート、AVディレイ、センシング、出力、電池状態を総合的に確認します。DDDRでは心房と心室の同期を保つことが重要です。
選択肢の確認
1.誤り。 選択肢1は a、b、c の組合せです。aとbは正しいですが、cの電極リード3本はDDDRの通常の説明として不適切です。
2.正しい。 選択肢2は a、b、e の組合せです。レート応答機能、VVIモードへの設定、AVディレイ内に心室波がない場合の心室ペーシングはいずれも正しい内容です。
3.誤り。 選択肢3は a、d、e の組合せです。aとeは正しいですが、dが誤りです。自己心房波が十分にある場合は心房ペーシングは抑制されます。
4.誤り。 選択肢4は b、c、d の組合せです。bは正しいですが、cとdが誤りです。
5.誤り。 選択肢5は c、d、e の組合せです。eは正しいですが、cとdが誤りです。
覚えるポイント
- DDDRのRはレート応答機能を示します。
- DDDRは心房と心室の両方をペーシング・センシングします。
- DDDRでは通常、心房リードと心室リードの2本を考えます。
- 自己心房波が十分にあれば、心房ペーシングは抑制されます。
- AVディレイ内に自己心室波がなければ、心室ペーシングを行います。
39PM34
問題文
[39PM34] 高周波カテーテルアブレーション装置について正しいのはどれか。 a.カテーテル先端部血栓形成により電気インピーダンスが低下する。 b.コンタクトフォースをモニタリングしながら実施する。 c.イリゲーションカテーテルには先端冷却機能がある。 d.カテーテル先端が 90〜100℃に熱せられる。 e.対極板は不要である。
選択肢
1.a、b 2.a、e 3.b、c 4.c、d 5.d、e
答え
3.b、c
解説
正答
3
この問題のポイント
この問題では、高周波カテーテルアブレーションの安全管理と装置構成が問われています。
高周波アブレーションでは、カテーテル先端と心筋組織の接触、温度、出力、インピーダンス、血栓形成、対極板を理解することが重要です。
解説
高周波カテーテルアブレーションは、不整脈の原因となる心筋組織に高周波電流を流し、ジュール熱で焼灼する治療です。
小項目を確認します。
- a.カテーテル先端部血栓形成により電気インピーダンスが低下する。 誤りです。血栓や凝固物が付着すると、一般にインピーダンスは上昇しやすくなります。急なインピーダンス上昇は異常のサインです。
- b.コンタクトフォースをモニタリングしながら実施する。 正しいです。カテーテル先端が心筋にどの程度接触しているかは、焼灼効果や合併症に関係します。
- c.イリゲーションカテーテルには先端冷却機能がある。 正しいです。灌流によりカテーテル先端を冷却し、血栓形成や過度な加熱を抑えながら有効な焼灼を行います。
- d.カテーテル先端が90〜100℃に熱せられる。 誤りです。高温になりすぎると血栓、凝固、スチームポップなどのリスクが高まります。一般に過度な先端温度上昇は避けます。
- e.対極板は不要である。 誤りです。単極方式の高周波通電では、患者に対極板を装着して回路を形成します。
したがって、正しい小項目は b、c であり、選択肢3が正答です。
安全管理上のポイント アブレーションでは、温度、出力、インピーダンス、通電時間、コンタクトフォースを確認します。急なインピーダンス上昇や温度上昇は合併症につながるため注意します。
選択肢の確認
1.誤り。 選択肢1は a、b の組合せです。bは正しいですが、aは誤りです。血栓形成や凝固物付着ではインピーダンス低下ではなく上昇を考えます。
2.誤り。 選択肢2は a、e の組合せです。aもeも誤りです。対極板は高周波電流の回路形成に必要です。
3.正しい。 選択肢3は b、c の組合せです。コンタクトフォースのモニタリングと、イリゲーションカテーテルの先端冷却機能はいずれも正しい内容です。
4.誤り。 選択肢4は c、d の組合せです。cは正しいですが、dの90〜100℃まで熱せられるという記述は過度な加熱を示し、不適切です。
5.誤り。 選択肢5は d、e の組合せです。どちらも誤りです。過度な先端温度上昇は避け、対極板も必要です。
覚えるポイント
- 高周波アブレーションは、ジュール熱で心筋を焼灼します。
- コンタクトフォースは焼灼効果と安全性に関係します。
- イリゲーションカテーテルには先端冷却機能があります。
- 血栓や凝固物付着ではインピーダンス上昇に注意します。
- 単極高周波通電では対極板が必要です。
39PM35
問題文
[39PM35] 心・血管内治療について誤っているのはどれか。
選択肢
1.ロータブレータの先端にはチタンがコーティングされている。 2.大動脈ステントグラフト内挿術の合併症として脊髄虚血がある。 3.免疫抑制薬は薬剤溶出性ステントのコーティングに用いられる。 4.経カテーテル大動脈弁置換術の合併症として完全房室ブロックがある。 5.方向性アテレクトミー(DCA)では、切削されたアテロームはカテーテル先端部に回収される。
答え
1.ロータブレータの先端にはチタンがコーティングされている。
解説
正答
1
この問題のポイント
この問題では、心・血管内治療デバイスの特徴と合併症が問われています。
ロータブレータ、薬剤溶出性ステント、TAVI、大動脈ステントグラフト、DCAなどは、装置の原理と合併症をセットで覚える必要があります。
解説
心・血管内治療では、カテーテルを用いて狭窄や弁膜症、大動脈疾患などを治療します。
ロータブレータは、高速回転するバーで石灰化病変を削る治療デバイスです。バーの表面には、硬い石灰化病変を削るためにダイヤモンド微粒子がコーティングされています。チタンがコーティングされているという記述は誤りです。
大動脈ステントグラフト内挿術では、大動脈の分枝や脊髄への血流が問題になることがあり、合併症として脊髄虚血を考えます。
薬剤溶出性ステントでは、ステント内再狭窄を抑えるため、細胞増殖を抑制する薬剤がコーティングされます。免疫抑制作用をもつ薬剤が用いられることがあります。
経カテーテル大動脈弁置換術では、弁輪周囲や刺激伝導系への影響により、完全房室ブロックを合併することがあります。
DCAでは、方向性にアテロームを切削し、削った病変をカテーテル先端部に回収します。
臨床工学技士としての注意点 血管内治療では、デバイスの作動原理だけでなく、穿孔、塞栓、徐脈、房室ブロック、出血、造影剤使用、補助循環の準備なども意識します。
選択肢の確認
1.正答。記述としては誤り。 ロータブレータの先端にはチタンではなく、ダイヤモンド微粒子がコーティングされています。石灰化病変を削るための構造です。
2.記述としては正しい。 大動脈ステントグラフト内挿術では、脊髄への血流障害により脊髄虚血が合併症となることがあります。
3.記述としては正しい。 薬剤溶出性ステントでは、再狭窄を抑えるために細胞増殖を抑制する薬剤が使われます。免疫抑制薬に分類される薬剤が用いられることがあります。
4.記述としては正しい。 経カテーテル大動脈弁置換術では、刺激伝導系への影響により完全房室ブロックが起こることがあります。ペースメーカ植込みが必要になる場合もあります。
5.記述としては正しい。 方向性アテレクトミーでは、切削されたアテロームをカテーテル先端部に回収します。
覚えるポイント
- ロータブレータはダイヤモンドコーティングされたバーで石灰化病変を削ります。
- 大動脈ステントグラフトでは脊髄虚血に注意します。
- 薬剤溶出性ステントは再狭窄抑制薬をコーティングしています。
- TAVIでは完全房室ブロックが合併症になります。
- DCAでは切削したアテロームをカテーテル内に回収します。
39PM36
問題文
[39PM36] CO₂ レーザ装置の構成要素でないのはどれか。
選択肢
1.石英光ファイバ 2.マニピュレータ 3.フットスイッチ 4.ハンドピース 5.発振装置
答え
1.石英光ファイバ
解説
正答
1
この問題のポイント
この問題では、CO₂レーザ装置の構成と、レーザ光の伝送方法が問われています。
CO₂レーザは波長が約10.6 μmの赤外線レーザです。この波長は一般的な石英光ファイバを透過しにくいため、石英光ファイバは通常の構成要素として扱いません。
解説
CO₂レーザは、水分に強く吸収されるため、生体組織の切開や蒸散に用いられます。皮膚、粘膜、軟部組織など水分を多く含む組織に作用しやすいのが特徴です。
CO₂レーザ装置では、発振装置でレーザ光を発生させ、ミラーや関節アームを用いたマニピュレータで光を導き、ハンドピースから照射します。照射のオン・オフにはフットスイッチが用いられます。
一方、石英光ファイバは可視光や近赤外領域のレーザ伝送に使われることがありますが、CO₂レーザの10.6 μmの光は石英で大きく吸収されやすいため、標準的な伝送路として適しません。
ひっかけポイント レーザ装置では「レーザなら全部ファイバで送れる」と考えないことが重要です。レーザの波長によって、使える導光路が異なります。
選択肢の確認
1.正答。構成要素ではありません。 石英光ファイバはCO₂レーザの波長を伝送する標準的な構成要素としては適切ではありません。CO₂レーザではミラーや関節アームによる導光を考えます。
2.構成要素として該当します。 マニピュレータは、発振装置から出たレーザ光を術野へ導くために用いられます。関節アームや反射鏡を含む構造として理解します。
3.構成要素として該当します。 フットスイッチは、術者が照射を制御するために用いられます。治療機器では誤照射防止の観点からも重要です。
4.構成要素として該当します。 ハンドピースは、レーザ光を患部へ照射する先端部です。術者が操作して照射位置を調整します。
5.構成要素として該当します。 発振装置はレーザ光を発生させる本体部分であり、レーザ装置の基本構成要素です。
覚えるポイント
- CO₂レーザの波長は約10.6 μmです。
- CO₂レーザは水分に吸収されやすく、切開・蒸散に用いられます。
- CO₂レーザでは、ミラーやマニピュレータによる導光を考えます。
- 石英光ファイバはCO₂レーザの標準的な伝送路ではありません。
- レーザ治療機器では、誤照射、煙、眼障害、火災に注意します。
39PM37
問題文
[39PM37] 開腹胆嚢摘出術と比較した腹腔鏡下胆嚢摘出術の特徴はどれか。 a.出血時の対応が早い。 b.術野を確保しやすい。 c.術後の入院日数が短い。 d.切開創のサイズが小さい。 e.空気塞栓のリスクが低い。
選択肢
1.a、b 2.a、e 3.b、c 4.c、d 5.d、e
答え
4.c、d
解説
正答
4
この問題のポイント
この問題では、腹腔鏡下手術の利点と注意点が問われています。
腹腔鏡下胆嚢摘出術は、開腹手術に比べて切開創が小さく、術後疼痛が少なく、回復が早いため、術後入院日数が短くなりやすいのが特徴です。
解説
腹腔鏡下手術では、小さな切開創からトロッカーを挿入し、カメラと鉗子を用いて手術を行います。多くの場合、腹腔内に二酸化炭素を送気して気腹を作り、術野を確保します。
小項目を確認します。
- a.出血時の対応が早い。 誤りです。開腹手術の方が直接視野で圧迫や止血を行いやすく、大量出血時の対応は腹腔鏡下手術の方が難しい場合があります。
- b.術野を確保しやすい。 誤りです。腹腔鏡ではカメラ視野と鉗子操作に制限があり、開腹に比べて常に術野を確保しやすいとはいえません。
- c.術後の入院日数が短い。 正しいです。低侵襲で回復が早いため、入院日数は短くなりやすいです。
- d.切開創のサイズが小さい。 正しいです。腹腔鏡下手術では小切開で行うため、創が小さいことが大きな利点です。
- e.空気塞栓のリスクが低い。 誤りです。腹腔鏡下手術では気腹を行うため、ガス塞栓などの合併症に注意が必要です。通常は二酸化炭素を用いますが、塞栓リスクを考えないわけではありません。
したがって、正しい小項目は c、d であり、選択肢4が正答です。
臨床工学技士としての注意点 腹腔鏡下手術では、気腹装置、電気メス、内視鏡システム、光源装置、吸引装置などが関係します。気腹圧、ガス供給、電気メス熱傷、機器トラブルを意識します。
選択肢の確認
1.誤り。 選択肢1は a、b の組合せです。出血時対応や術野確保は、開腹手術の方が有利な場面があります。
2.誤り。 選択肢2は a、e の組合せです。出血時対応が早いとはいえず、気腹に伴う塞栓リスクにも注意が必要です。
3.誤り。 選択肢3は b、c の組合せです。cは正しいですが、bの術野を確保しやすいという記述は開腹手術との比較では不適切です。
4.正しい。 選択肢4は c、d の組合せです。腹腔鏡下胆嚢摘出術は、術後入院日数が短く、切開創が小さいことが特徴です。
5.誤り。 選択肢5は d、e の組合せです。dは正しいですが、eは不適切です。腹腔鏡下手術では気腹に伴う塞栓などの合併症に注意します。
覚えるポイント
- 腹腔鏡下手術は低侵襲です。
- 開腹手術に比べて、切開創が小さく、術後入院日数が短くなりやすいです。
- 出血時の対応は、腹腔鏡下手術の方が難しい場合があります。
- 気腹には主に二酸化炭素が用いられます。
- 気腹圧、ガス塞栓、電気メス熱傷、視野不良に注意します。
39PM38
問題文
[39PM38] 事故とその原因について考えにくい組合せはどれか。
選択肢
1.感 染 ― 手術室内の空調管理の不備 2.発 火 ― 酸素ボンベの急激なバルブの開放 3.感 電 ― ME 機器の 100 V 側電源導線の開路 4.火 災 ― アルコール消毒直後の電気メスの使用 5.熱 傷 ― 経皮的血液ガス測定用電極の同一部位での長時間使用
答え
3.感 電 ― ME 機器の 100 V 側電源導線の開路
解説
正答
3
この問題のポイント
この問題では、医療機器に関係する事故原因を判断します。
感染、発火、火災、熱傷、感電は、臨床工学技士が安全管理で特に注意すべき事故です。事故の種類ごとに、起こりやすい原因を結びつけて理解します。
解説
医療現場では、電気、酸素、可燃性物質、熱源、感染源が同時に存在します。そのため、機器管理では事故の組合せを具体的に理解しておく必要があります。
手術室の空調は、清浄度、換気、気流管理に関係します。空調管理が不十分であれば、感染リスクが高まります。
酸素ボンベのバルブを急激に開放すると、断熱圧縮により発熱し、発火の危険があります。酸素自体は燃えませんが、燃焼を強く助ける支燃性ガスです。
アルコール消毒直後に電気メスを使用すると、アルコール蒸気に引火して火災や熱傷の原因になります。
経皮的血液ガス測定用電極は加温して用いるため、同一部位に長時間装着すると低温熱傷のリスクがあります。
一方、ME機器の100 V側電源導線が開路している場合、電流の経路が断たれる状態です。感電の原因としては、絶縁不良、漏れ電流、接地不良、保護接地線の断線などを考えます。したがって、100 V側電源導線の開路を感電の直接原因とする組合せは考えにくいです。
ME機器管理での注意点 感電事故では、「電源側の異常」「保護接地」「漏れ電流」「患者装着部」「単一故障状態」を分けて考えることが重要です。
選択肢の確認
1.考えられる組合せです。 手術室内の空調管理の不備は、清浄度低下や気流不良により感染リスクを高めます。
2.考えられる組合せです。 酸素ボンベの急激なバルブ開放では、断熱圧縮による発熱や発火の危険があります。酸素環境では可燃物の燃焼が激しくなります。
3.正答。考えにくい組合せです。 ME機器の100 V側電源導線が開路すると、電流が供給されにくい状態になります。感電の原因としては、漏れ電流、絶縁不良、接地不良などを考えるため、この組合せは考えにくいです。
4.考えられる組合せです。 アルコール消毒直後は可燃性蒸気が残る可能性があります。この状態で電気メスを使用すると引火し、火災や熱傷を起こすことがあります。
5.考えられる組合せです。 経皮的血液ガス測定用電極は皮膚を加温して測定するため、同一部位で長時間使用すると熱傷の原因になります。
覚えるポイント
- 酸素は支燃性があり、発火・火災リスクを高めます。
- アルコール消毒直後の電気メス使用は火災リスクがあります。
- 加温電極の長時間同一部位使用は熱傷リスクがあります。
- 感電事故では、漏れ電流、絶縁不良、接地不良を考えます。
- 事故原因は、機器の原理と使用環境を結びつけて判断します。
39PM39
問題文
[39PM39] 非接地配線方式について正しいのはどれか。 a.設備側に絶縁変圧器を設けている。 b.全館停電時にも電源供給が確保できる。 c.ME 機器の地絡時に漏電遮断器が作動する。 d.対地インピーダンスが 50 kΩ 以下で警報を発する。 e.電路の二次側にはアイソレーションモニタを設けている。
選択肢
1.a、b、c 2.a、b、e 3.a、d、e 4.b、c、d 5.c、d、e
答え
3.a、d、e
解説
正答
3
この問題のポイント
この問題では、医用室で用いられる非接地配線方式の目的と構成が問われています。
非接地配線方式では、絶縁変圧器によって二次側を大地から絶縁し、1線地絡が起きても大きな地絡電流が流れにくいようにします。電源をすぐに遮断せず、アイソレーションモニタで絶縁状態を監視することが重要です。
解説
非接地配線方式は、手術室など電源の継続性と電撃防止が重要な場所で用いられます。
小項目を確認します。
- a.設備側に絶縁変圧器を設けている。 正しいです。絶縁変圧器により、電路の二次側を大地から直接接地しない状態にします。
- b.全館停電時にも電源供給が確保できる。 誤りです。非接地配線方式は停電時のバックアップ電源ではありません。全館停電時の電源確保には、非常電源や無停電電源装置などを考えます。
- c.ME機器の地絡時に漏電遮断器が作動する。 誤りです。非接地配線方式では、1線地絡時に大きな地絡電流が流れにくく、ただちに漏電遮断器で遮断する方式ではありません。電源供給を継続しながら警報で異常を知らせます。
- d.対地インピーダンスが50 kΩ以下で警報を発する。 正しいです。絶縁状態が低下して対地インピーダンスが小さくなると、アイソレーションモニタが警報を発します。
- e.電路の二次側にはアイソレーションモニタを設けている。 正しいです。アイソレーションモニタは非接地配線の絶縁状態を監視する装置です。
したがって、正しい小項目は a、d、e であり、選択肢3が正答です。
ひっかけポイント 非接地配線方式は「停電対策」ではありません。目的は、1線地絡時にただちに電源遮断せず、電撃リスクを抑えながら異常を監視することです。
選択肢の確認
1.誤り。 選択肢1は a、b、c の組合せです。aは正しいですが、bとcが誤りです。
2.誤り。 選択肢2は a、b、e の組合せです。aとeは正しいですが、bが誤りです。非接地配線方式は全館停電時の電源確保を目的とするものではありません。
3.正しい。 選択肢3は a、d、e の組合せです。絶縁変圧器、対地インピーダンス低下時の警報、アイソレーションモニタはいずれも非接地配線方式の重要事項です。
4.誤り。 選択肢4は b、c、d の組合せです。dは正しいですが、bとcが誤りです。
5.誤り。 選択肢5は c、d、e の組合せです。dとeは正しいですが、cが誤りです。1線地絡時に漏電遮断器が作動する方式として考えるのは不適切です。
覚えるポイント
- 非接地配線方式では絶縁変圧器を用います。
- 二次側は大地から絶縁され、1線地絡時も大きな電流が流れにくいです。
- アイソレーションモニタで絶縁状態を監視します。
- 対地インピーダンスが低下すると警報を発します。
- 非接地配線方式は停電対策ではなく、電撃防止と電源継続性のための方式です。
39PM40
問題文
[39PM40] JIS T 1022 で規定する接地極において、医用室に等電位接地が施されていない場合の接地抵抗の上限値[Ω]はどれか。
選択肢
1.0.1 2.0.5 3.1.0 4.5.0 5.10
答え
5.10
解説
正答
5
この問題のポイント
この問題では、JIS T 1022における医用室の接地抵抗値が問われています。
医用室では、電撃防止のために保護接地や等電位接地が重要です。等電位接地が施されていない場合の接地極の接地抵抗の上限値として、10 Ωを押さえます。
解説
医用室では、患者や医療従事者がME機器に接触する機会が多く、漏れ電流や接触電圧による電撃リスクを低減する必要があります。
そのため、医用接地、保護接地、等電位接地などの考え方が重要になります。
この設問では、JIS T 1022で規定される接地極について、医用室に等電位接地が施されていない場合の接地抵抗の上限値を問うています。
正しい上限値は10 Ωです。
接地抵抗が大きすぎると、故障時や漏れ電流発生時に危険な電位差が生じやすくなります。医用室では、患者安全のために接地状態を適切に管理する必要があります。
ME機器管理での注意点 接地抵抗の値だけでなく、保護接地線の断線、接地端子の緩み、等電位接地端子の接続状態も点検対象になります。数値を覚えるだけでなく、患者漏れ電流やミクロショック対策と結びつけて理解します。
選択肢の確認
1.誤り。 0.1 Ωは、この設問で問われている接地極の接地抵抗上限値ではありません。より厳しい接続抵抗などと混同しないようにします。
2.誤り。 0.5 Ωは、この条件での接地極の接地抵抗上限値としては不適切です。医用接地関連の数値は、何の抵抗値かを区別して覚えます。
3.誤り。 1.0 Ωは、この設問の条件では正答ではありません。等電位接地や保護接地の接続に関する値と混同しないよう注意します。
4.誤り。 5.0 Ωは、医用室に等電位接地が施されていない場合の接地極の上限値ではありません。
5.正しい。 JIS T 1022で規定する接地極において、医用室に等電位接地が施されていない場合の接地抵抗の上限値は10 Ωです。
覚えるポイント
- 医用室の接地は、電撃防止と患者安全のために重要です。
- 等電位接地が施されていない場合の接地極の接地抵抗上限値は10 Ωです。
- 接地抵抗、保護接地線抵抗、等電位接地の接続抵抗を混同しないようにします。
- ME機器管理では、接地端子、電源コード、保護接地線、漏れ電流をセットで点検します。
- ミクロショック対策では、わずかな電流でも患者に危険となる状況を意識します。
39PM41
問題文
[39PM41] 定格電流 10 A の ME 機器の保護接地回路抵抗を JIS T 0601-1 に基づいて測定したところ、電圧計の表示値が 1.5 V であった。この ME 機器の保護接地回路抵抗[mΩ]はどれか。
選択肢
1.60 2.75 3.100 4.120 5.150
答え
1.60
解説
正答
1
この問題のポイント
この問題では、JIS T 0601-1 に基づく保護接地回路抵抗の測定が問われています。
ポイントは、測定電流を定格電流そのものではなく、規定に従って決めることです。保護接地回路抵抗は、測定時の電圧降下を試験電流で割って求めます。
解説
保護接地回路抵抗は、故障時に危険な電流を安全に保護接地へ逃がすための経路が、十分低い抵抗で確保されているかを確認する試験です。
JIS T 0601-1 に基づく測定では、保護接地回路に流す試験電流として、一般に次の大きい方を考えます。
- 25 A
- 定格電流の 1.5 倍
この問題では、定格電流が 10 A です。
- 定格電流の 1.5 倍 = 10 A × 1.5 = 15 A
25 A と 15 A を比較すると、25 A の方が大きいので、試験電流は 25 A として計算します。
保護接地回路抵抗は、オームの法則で求めます。
- R = V / I
- V = 1.5 V
- I = 25 A
代入すると、
- R = 1.5 / 25
- R = 0.06 Ω
mΩ に変換します。
- 0.06 Ω = 60 mΩ
したがって、正答は 1 の 60 mΩ です。
ひっかけポイント 定格電流 10 A でそのまま割ると、1.5 V / 10 A = 0.15 Ω = 150 mΩ となり、選択肢5を選びやすくなります。試験電流の決め方を先に確認します。
選択肢の確認
1.正しい。 試験電流は 25 A です。1.5 V / 25 A = 0.06 Ω = 60 mΩ となります。
2.誤り。 75 mΩ は、試験電流や単位換算を誤った場合に近い値です。規定に基づく試験電流 25 A を使う必要があります。
3.誤り。 100 mΩ は、今回の電圧降下 1.5 V と試験電流 25 A からは得られません。
4.誤り。 120 mΩ は、定格電流や試験電流の扱いを誤った場合に選びやすい値です。
5.誤り。 定格電流 10 A で割ると 150 mΩ になりますが、この測定では試験電流として 25 A を用いるため不適切です。
覚えるポイント
- 保護接地回路抵抗は、電圧降下を試験電流で割って求めます。
- JIS T 0601-1 では、試験電流として 25 A または定格電流の 1.5 倍の大きい方を考えます。
- 10 A の 1.5 倍は 15 A なので、この問題では 25 A を使います。
- 1.5 V / 25 A = 0.06 Ω = 60 mΩ です。
- 保護接地は、ME機器の電撃防止と患者安全に直結します。
39PM42
問題文
[39PM42] JIS T 7101 において静止圧状態の標準送気圧力[kPa]が最も高いのはどれか。
選択肢
1.酸 素 2.二酸化炭素 3.治療用空気 4.手術機器駆動用窒素 5.亜酸化窒素(一酸化二窒素)
答え
4.手術機器駆動用窒素
解説
正答
4
この問題のポイント
この問題では、医療ガス配管設備における標準送気圧力の違いが問われています。
酸素、治療用空気、亜酸化窒素、二酸化炭素などの治療用ガスと、手術機器を駆動するためのガスでは、必要な圧力が異なります。
解説
JIS T 7101 は、医療ガス配管設備に関係する規格です。
医療ガスには、患者へ投与する目的のガスと、手術機器などを作動させる目的のガスがあります。
患者に投与する酸素、治療用空気、亜酸化窒素などは、呼吸療法や麻酔で使用されます。これらは患者に安全に供給できる圧力で管理されます。
一方、手術機器駆動用窒素は、空気ドリルなどの手術機器を駆動する目的で使用されます。機械的な力を発生させる必要があるため、治療用ガスより高い送気圧力が必要です。
したがって、静止圧状態の標準送気圧力が最も高いのは、手術機器駆動用窒素です。
ひっかけポイント 「患者に投与するガス」と「機器を駆動するガス」を分けて考えます。最も高圧が必要なのは、患者投与用ではなく手術機器駆動用のガスです。
選択肢の確認
1.誤り。 酸素は重要な医療ガスですが、標準送気圧力が最も高いものではありません。患者投与用のガスとして扱います。
2.誤り。 二酸化炭素は腹腔鏡手術の気腹などで使用されますが、この選択肢の中で標準送気圧力が最も高いものではありません。
3.誤り。 治療用空気は人工呼吸器や酸素濃度調整などで使用されます。手術機器駆動用窒素ほど高い送気圧力は必要としません。
4.正しい。 手術機器駆動用窒素は、手術用ドリルなどの機器を駆動するために用いられ、標準送気圧力が最も高く設定されます。
5.誤り。 亜酸化窒素は麻酔に用いられる医療ガスですが、手術機器駆動用窒素より高い送気圧力を必要とするものではありません。
覚えるポイント
- 医療ガスには、患者投与用と機器駆動用があります。
- 酸素、治療用空気、亜酸化窒素は主に患者投与や麻酔で使われます。
- 手術機器駆動用窒素は、機器を動かすため高い圧力が必要です。
- 標準送気圧力が最も高いのは手術機器駆動用窒素です。
- 医療ガスでは、ガス種、用途、圧力、誤接続防止をセットで確認します。
39PM43
問題文
[39PM43] ME 機器の信頼性について誤っているのはどれか。 a.故障率は MTBF の逆数として算出できる。 b.保守点検を行うことで MTTR が延長できる。 c.初期故障期間中の故障率は比較的一定である。 d.偶発故障期間中の故障率は比較的低い。 e.固有アベイラビリティは機器の使用可能な時間的割合を表す。
選択肢
1.a、b 2.a、e 3.b、c 4.c、d 5.d、e
答え
3.b、c
解説
正答
3
この問題のポイント
この問題では、ME機器の信頼性指標と、故障率の時間変化を理解しているかが問われています。
重要語句は、MTBF、MTTR、故障率、アベイラビリティ、バスタブ曲線です。
解説
ME機器の信頼性を考えるときは、故障しにくさだけでなく、故障したときにどれだけ早く復旧できるかも重要です。
小項目を確認します。
- a.故障率は MTBF の逆数として算出できる。 正しいです。故障率が一定とみなせる場合、故障率は MTBF の逆数として考えます。
- b.保守点検を行うことで MTTR が延長できる。 誤りです。MTTR は平均修復時間です。保守点検や修理体制の整備により、MTTR は延長ではなく短縮を目指します。
- c.初期故障期間中の故障率は比較的一定である。 誤りです。初期故障期間では、製造不良や初期不良が早期に現れ、故障率は時間とともに低下する傾向があります。比較的一定なのは偶発故障期間です。
- d.偶発故障期間中の故障率は比較的低い。 正しいです。偶発故障期間では、故障率は比較的低く、ほぼ一定とみなされます。
- e.固有アベイラビリティは機器の使用可能な時間的割合を表す。 正しいです。固有アベイラビリティは、機器が使用可能な状態にある割合を表します。
したがって、誤っている小項目は b、c であり、選択肢3が正答です。
ME機器管理での注意点 保守点検は、故障を減らすだけでなく、故障時の復旧時間を短くし、機器を安全に使える時間を増やすために重要です。
選択肢の確認
1.誤り。 選択肢1は a、b の組合せです。bは誤りですが、aは正しいため、誤っている小項目だけの組合せではありません。
2.誤り。 選択肢2は a、e の組合せです。aもeも正しい内容です。
3.正しい。 選択肢3は b、c の組合せです。保守点検でMTTRを延長するという記述と、初期故障期間の故障率が一定という記述はいずれも誤りです。
4.誤り。 選択肢4は c、d の組合せです。cは誤りですが、dは正しい内容です。
5.誤り。 選択肢5は d、e の組合せです。dもeも正しい内容です。
覚えるポイント
- MTBFは平均故障間隔です。
- MTTRは平均修復時間です。
- 保守点検では、MTTRの短縮を目指します。
- 初期故障期間の故障率は低下傾向です。
- 偶発故障期間の故障率は比較的低く、ほぼ一定です。
- 固有アベイラビリティは、使用可能な時間的割合を表します。
39PM44
問題文
[39PM44] 同じ病棟において小電力医用テレメータによる混信の原因とならないのはどれか。
選択肢
1.近接するチャネルの使用 2.異なるメーカの同一チャネルの使用 3.ゾーン表示色の異なる送信機の使用 4.同一ゾーンにおける同一バンドの送信機の使用 5.テレメータ・テレコントロール機器使用下でのバンド 3 の使用
答え
3.ゾーン表示色の異なる送信機の使用 4.同一ゾーンにおける同一バンドの送信機の使用
解説
正答
3又は4
この問題のポイント
この問題では、小電力医用テレメータの混信原因を理解しているかが問われています。
医用テレメータでは、送信機のチャネル管理、ゾーン管理、バンド管理、他機器との周波数干渉を適切に行う必要があります。
解説
小電力医用テレメータは、心電図やSpO₂などの患者情報を無線で送信する装置です。
無線を使用するため、周波数の重なりや近接、ゾーン管理の不備、他の無線機器との干渉があると、混信や受信障害が起こります。
混信の原因として重要なのは、次のような状況です。
- 同一チャネルを同じエリアで使用する
- 近接チャネルを不適切に使用する
- 異なるメーカ間でチャネル管理が不十分である
- 他の無線設備と干渉しやすいバンドを使用する
- ゾーン管理や送信機管理が不十分である
一方、ゾーン表示色が異なる送信機の使用そのものは、混信の直接原因とは限りません。むしろ識別管理のための表示として扱います。
また、同一ゾーンで同一バンドの送信機を使用することも、それだけでは混信の原因とはいえません。問題となるのは同一チャネルや近接チャネルを不適切に使う場合です。
この問題では、3又は4が正答として扱われます。
ひっかけポイント 「同一バンド」と「同一チャネル」は別です。同じバンド内でも、チャネルが適切に割り当てられていれば運用可能です。混信では、周波数とチャネルの管理を具体的に考えます。
選択肢の確認
1.混信の原因となります。 近接するチャネルを使用すると、受信機の選択度や電波環境によって混信や受信障害が起こる可能性があります。
2.混信の原因となります。 異なるメーカの送信機で同一チャネルを使用すると、受信側で信号を区別できず混信の原因になります。
3.正答。混信の原因とは限りません。 ゾーン表示色が異なること自体は、送信機の識別や管理に関係する表示であり、同一チャネル使用のような直接的な混信原因ではありません。
4.正答。混信の原因とは限りません。 同一ゾーンにおける同一バンドの使用だけでは、直ちに混信の原因とはいえません。問題になるのは、同一チャネルや近接チャネルを不適切に割り当てる場合です。
5.混信の原因となります。 テレメータ・テレコントロール機器の使用環境では、バンド3の使用により他機器との干渉に注意が必要です。周波数管理が不十分だと混信の原因になります。
覚えるポイント
- 医用テレメータでは、チャネル管理が最重要です。
- 同一チャネルや近接チャネルの不適切な使用は混信原因になります。
- 「同一バンド」と「同一チャネル」は区別します。
- ゾーン表示色は送信機管理のための情報として扱います。
- 臨床工学技士は、送信機の貸出管理、チャネル表、ゾーン管理、受信状態を確認します。
39PM45
問題文
[39PM45] PL 法において賠償責任を問われるのはどれか。
選択肢
1.医療機器安全管理責任者 2.医療安全管理者 3.病院管理者 4.販売業者 5.製造業者
答え
5.製造業者
解説
正答
5
この問題のポイント
この問題では、PL法、つまり製造物責任法において責任を問われる主体を理解しているかが問われています。
PL法は、製造物の欠陥によって生命、身体、財産に損害が生じた場合に、製造業者等が損害賠償責任を負う制度です。
解説
PL法は、製品の欠陥による被害を救済するための法律です。
ここで重要なのは、責任を問われる中心が製造業者であることです。医療機器であれば、その機器の製造上、設計上、表示上の欠陥などが問題になった場合、製造業者等が賠償責任を問われます。
医療機器安全管理責任者や医療安全管理者は、医療機関内で機器管理や安全管理に関わる役割を担います。しかし、PL法でいう製造物の欠陥に対する責任主体そのものではありません。
病院管理者にも医療機関の管理責任はありますが、PL法における製造物責任の中心ではありません。
販売業者は販売に関与しますが、通常の販売行為だけでPL法上の中心的な責任主体として問われるものではありません。製造業者、加工業者、輸入業者、製造業者として表示した者などが重要です。
ひっかけポイント 医療機器の事故でも、PL法は「医療安全管理上の責任」ではなく「製造物の欠陥に対する責任」を扱います。病院側の管理責任と製造業者の製造物責任を分けて考えます。
選択肢の確認
1.誤り。 医療機器安全管理責任者は、医療機関内で医療機器の安全使用や保守点検体制に関わります。ただし、PL法で製造物の欠陥に対する賠償責任を問われる主体ではありません。
2.誤り。 医療安全管理者は、医療安全体制の整備や事故防止に関わります。PL法における製造物責任の主体ではありません。
3.誤り。 病院管理者は医療機関全体の管理責任を負いますが、PL法でいう製造物の欠陥に対する責任主体として最も適切ではありません。
4.誤り。 販売業者は医療機器の流通に関わりますが、通常はPL法上の中心的な責任主体ではありません。製造物の欠陥に対する責任としては製造業者等を考えます。
5.正しい。 PL法では、製造物の欠陥によって損害が生じた場合、製造業者等が賠償責任を問われます。選択肢の中では製造業者が最も適切です。
覚えるポイント
- PL法は製造物責任法です。
- 製造物の欠陥による損害について、製造業者等が賠償責任を負います。
- 医療機器の欠陥では、製造業者の責任が問題になります。
- 医療機関内の安全管理責任と、PL法上の製造物責任は区別します。
- 医療機器では、添付文書、警告表示、設計、製造、保守情報も安全管理上重要です。
39PM46
問題文
[39PM46] 図 1 の平行平板キャパシタの静電容量を C_a とする。図 2 のように平板と同じ面積で間隙 d の 1/4 の厚みの導体板を挿入したとき、このキャパシタの静電容量 C_b はどれか。
選択肢
1.1/4 C_a 2.1/2 C_a 3.3/4 C_a 4.4/3 C_a 5.3C_a
答え
4.4/3 C_a
解説
正答
4
この問題のポイント
この問題では、平行平板キャパシタに導体板を挿入したときの静電容量が問われています。
重要なのは、導体板の内部では電場が 0 になることです。したがって、導体板の厚みの分だけ、実際に電場がかかる空隙の長さが短くなります。
解説
図1では、平行平板キャパシタの極板間隔は d です。
平行平板キャパシタの静電容量は、次の式で表されます。
- C = εS / d
ここで、
- ε:極板間の誘電率
- S:極板面積
- d:極板間隔
図1の静電容量を C_a とすると、
- C_a = εS / d
図2では、極板と同じ面積で、厚み d/4 の導体板が挿入されています。
導体内部では静電平衡により電場が 0 になります。そのため、導体板の厚み d/4 の部分には電位差が生じません。
つまり、電場が存在する空隙の合計は、
- d − d/4 = 3d/4
となります。
したがって、図2の静電容量 C_b は、
- C_b = εS / (3d/4)
- C_b = 4εS / 3d
- C_b = 4/3 × εS / d
- C_b = 4/3 C_a
よって、正答は 4.4/3 C_a です。
図で見るポイント 図2では、黒く塗られた導体板の厚みが d/4 です。この部分では電場が 0 になるため、キャパシタとして効く距離は d ではなく 3d/4 になります。
ひっかけポイント 導体板を挿入すると「間に物体が入るので容量が小さくなる」と考えたくなりますが、導体板では電場が内部に入りません。実効的な極板間隔が短くなるため、静電容量は増加します。
選択肢の確認
1.誤り。 1/4 C_a では、導体板を挿入して静電容量が大きくなるという関係に反します。導体板の厚み d/4 をそのまま容量比にしてはいけません。
2.誤り。 1/2 C_a ではありません。導体板の挿入により実効的な空隙は 3d/4 となり、静電容量は減少ではなく増加します。
3.誤り。 3/4 C_a は、実効距離 3d/4 を容量比にそのまま当てはめた誤りです。静電容量は距離に反比例するため、d が 3d/4 になると容量は 4/3 倍になります。
4.正しい。 導体板内では電場が 0 であり、電場がかかる距離は d − d/4 = 3d/4 です。したがって、C_b = εS / (3d/4) = 4/3 C_a となります。
5.誤り。 3C_a は大きすぎます。実効的な極板間隔は d/3 ではなく 3d/4 です。
覚えるポイント
- 平行平板キャパシタの静電容量は C = εS / d です。
- 静電容量は極板面積に比例し、極板間隔に反比例します。
- 導体内部の電場は 0 です。
- 導体板を挿入すると、その厚み分だけ実効的な空隙が短くなります。
- 厚み d/4 の導体板を挿入すると、有効距離は 3d/4 となり、静電容量は 4/3 倍になります。
39PM47
問題文
[39PM47] 20℃の水 100 g が入った保温ポットに電気抵抗 42 Ω のニクロム線を入れて直流 1 A を 100 秒間通電した。水の温度[℃]はどれか。 ただし、比熱を 4.2 J/(g・K)とする。
選択肢
1.21 2.24 3.30 4.42 5.62
答え
3.30
解説
正答
3
この問題のポイント
この問題では、電気エネルギーが熱エネルギーに変換される計算が問われています。
ニクロム線に電流を流すと、ジュール熱が発生します。その熱がすべて水に移ったと考えて、水の温度上昇を求めます。
解説
まず、ニクロム線で発生する電力を求めます。
電力は次の式で求めます。
- P = I^2 × R
ここで、
- I = 1 A
- R = 42 Ω
代入すると、
- P = 1^2 × 42
- P = 42 W
1 W は 1 J/s なので、42 W は 1 秒あたり 42 J の熱が発生するという意味です。
100 秒間通電しているので、発生した熱量 Q は、
- Q = P × t
- Q = 42 × 100
- Q = 4200 J
次に、この熱量によって水の温度が何℃上がるかを求めます。
水の温度上昇は次の式で求めます。
- Q = m × c × ΔT
ここで、
- Q = 4200 J
- m = 100 g
- c = 4.2 J/(g・K)
- ΔT:温度上昇
代入すると、
- 4200 = 100 × 4.2 × ΔT
- 4200 = 420 × ΔT
- ΔT = 10 K
温度差では、1 K の上昇は 1℃ の上昇と同じ大きさです。
最初の水温は 20℃ なので、
- 最終温度 = 20℃ + 10℃
- 最終温度 = 30℃
したがって、正答は 3.30 です。
ひっかけポイント 求めるのは「温度上昇」ではなく「最終的な水の温度」です。温度上昇 10℃ を求めたあと、初期温度 20℃ を足す必要があります。
選択肢の確認
1.誤り。 21℃では温度上昇が 1℃ しかありません。発生熱量 4200 J に対して小さすぎます。
2.誤り。 24℃では温度上昇が 4℃ です。計算式 Q = mcΔT に代入すると、必要な熱量は 100 × 4.2 × 4 = 1680 J となり、実際の 4200 J と合いません。
3.正しい。 ニクロム線で発生する熱量は 4200 J です。水 100 g、比熱 4.2 J/(g・K)なので、温度上昇は 10℃ となります。初期温度 20℃ に足して 30℃ です。
4.誤り。 42℃は、抵抗値 42 Ω をそのまま温度として扱ったような誤りです。抵抗値は発熱量の計算に使います。
5.誤り。 62℃は、42℃ の温度上昇を初期温度 20℃ に足したような値です。しかし実際の温度上昇は 10℃ です。
覚えるポイント
- ジュール熱の計算では P = I^2 × R を使います。
- 熱量は Q = P × t で求めます。
- 水の温度上昇は Q = m × c × ΔT で求めます。
- 1 W = 1 J/s です。
- 最終温度を問われたら、温度上昇に初期温度を足すことを忘れないようにします。
39PM48
問題文
[39PM48] 図の CR 並列回路においてキャパシタに流れる電流 I_C[A]はどれか。 ただし、電流は実効値とする。
選択肢
1.0.2 2.0.4 3.0.5 4.0.6 5.0.8
答え
5.0.8
解説
正答
5
この問題のポイント
この問題では、CR並列回路における電流の合成が問われています。
抵抗に流れる電流とキャパシタに流れる電流は、交流回路では位相が90°異なります。そのため、単純に足し引きするのではなく、ベクトル和として考えます。
解説
図では、回路全体に流れる電流が 1.0 A、抵抗 R に流れる電流が 0.6 A と示されています。
CR並列回路では、抵抗とキャパシタには同じ電圧がかかります。
抵抗に流れる電流 I_R は、電圧と同相です。
一方、キャパシタに流れる電流 I_C は、電圧より90°進みます。
したがって、全電流 I は、抵抗電流 I_R とキャパシタ電流 I_C のベクトル和になります。
この関係は直角三角形で表せます。
- I^2 = I_R^2 + I_C^2
ここで、
- I = 1.0 A
- I_R = 0.6 A
- I_C = 求めたい値
式に代入します。
- 1.0^2 = 0.6^2 + I_C^2
- 1.00 = 0.36 + I_C^2
- I_C^2 = 1.00 − 0.36
- I_C^2 = 0.64
- I_C = 0.8 A
したがって、キャパシタに流れる電流は 0.8 A です。
図で見るポイント 図では、上側の線に全電流 1.0 A、抵抗枝に 0.6 A、キャパシタ枝に I_C が示されています。並列回路なので枝電流を考えますが、CR回路では位相差があるため、単純な引き算ではなく直角三角形で処理します。
ひっかけポイント 1.0 A − 0.6 A = 0.4 A と計算すると選択肢2を選びやすくなります。しかし、抵抗電流とキャパシタ電流は同位相ではないため、代数的な差では求められません。
選択肢の確認
1.誤り。 0.2 A は、全電流と抵抗電流の関係からは得られません。位相差を考慮したベクトル計算が必要です。
2.誤り。 0.4 A は、1.0 A から 0.6 A を単純に引いた値です。CR並列回路では抵抗電流とキャパシタ電流に90°の位相差があるため、この計算は不適切です。
3.誤り。 0.5 A では、全電流との関係を満たしません。0.6^2 + 0.5^2 = 0.61 となり、全電流 1.0 A の二乗である 1.00 になりません。
4.誤り。 0.6 A は抵抗に流れる電流の値です。キャパシタ電流は、全電流 1.0 A と抵抗電流 0.6 A からベクトル的に求めます。
5.正しい。 I^2 = I_R^2 + I_C^2 より、1.0^2 = 0.6^2 + I_C^2 です。計算すると I_C = 0.8 A となります。
覚えるポイント
- CR並列回路では、抵抗電流とキャパシタ電流に90°の位相差があります。
- 抵抗電流は電圧と同相です。
- キャパシタ電流は電圧より90°進みます。
- 全電流は枝電流の単純和ではなく、ベクトル和で求めます。
- この問題では、I_C = √(1.0^2 − 0.6^2) = 0.8 A です。
39PM49
問題文
[39PM49] 図 1 の回路に図 2 の矩形パルスを入力する。可変抵抗 R の抵抗値を大、小の 2 通りとしたときの出力波形 V_out はどれか。
選択肢
1. 2. 3. 4. 5.
答え
2.
解説
正答
2
この問題のポイント
この問題では、CR回路の過渡応答が問われています。
図1は、入力側から抵抗 R が直列に入り、出力側でキャパシタ C が接地されている回路です。出力 V_out はキャパシタ両端の電圧です。
この回路は、矩形パルスを入力すると、出力が急に変化せず、指数関数的に充電・放電する低域通過回路として働きます。
解説
図1では、キャパシタ C の両端電圧が V_out です。
キャパシタの電圧は瞬時には変化できません。そのため、図2のような矩形パルスを入力しても、V_out は入力のように急に立ち上がったり、急に 0 へ戻ったりしません。
まず、入力 Vin が立ち上がると、キャパシタは抵抗 R を通して充電されます。
充電時の V_out は、
- 最初は 0 から始まる
- 時間とともに上昇する
- 最終的には Vin に近づく
- 変化は指数関数的になる
次に、入力 Vin が 0 に戻ると、キャパシタは抵抗 R を通して放電します。
放電時の V_out は、
- その時点の電圧から低下する
- 時間とともに 0 に近づく
- 変化は指数関数的になる
このときの速さは時定数で決まります。
- 時定数 τ = R × C
R が大きいほど τ は大きくなり、充電も放電もゆっくりになります。
R が小さいほど τ は小さくなり、充電も放電も速くなります。
したがって、
- R 大:実線。ゆっくり上昇し、ゆっくり下降する。
- R 小:破線。速く上昇し、速く下降する。
この特徴に合うのは選択肢2です。
図で見るポイント 図1では V_out がキャパシタ C の両端に取られています。したがって、出力はキャパシタの充電・放電波形になります。
選択肢2では、R小の破線が速く立ち上がって速く減衰し、R大の実線がゆっくり立ち上がってゆっくり減衰しています。これは τ = R × C の関係と一致します。
ひっかけポイント この回路は、入力の立ち上がりや立ち下がりだけを鋭く取り出す微分回路ではありません。出力をキャパシタ両端から取っているので、充電・放電によるなめらかな波形になります。
選択肢の確認
1.誤り。 選択肢1では、R大の実線が速く立ち上がり、R小の破線がゆっくり変化しています。時定数 τ = R × C の関係と逆です。Rが大きいほど変化は遅くなります。
2.正しい。 R小の破線は時定数が小さいため、速く充電され、入力が 0 になった後も速く放電します。R大の実線は時定数が大きいため、ゆっくり充電され、ゆっくり放電します。
3.誤り。 選択肢3では、R大の実線がR小の破線より速く立ち上がり高く到達しています。これはR大ほど時定数が大きくなり、応答が遅くなるという関係に合いません。
4.誤り。 選択肢4では、R小の破線が速く立ち上がる点は一部合っていますが、放電時にR小の破線がR大の実線より遅く残っています。R小では放電も速くなるため不適切です。
5.誤り。 選択肢5では、入力が 0 に戻った直後に V_out が負側へ大きく振れています。これは出力を抵抗側で取る微分回路のような波形です。図1では V_out はキャパシタ両端なので、この波形にはなりません。
覚えるポイント
- 図1は、出力をキャパシタ両端から取るCR低域通過回路です。
- キャパシタ電圧は瞬時に変化できません。
- 入力が立ち上がると、V_out は指数関数的に上昇します。
- 入力が 0 に戻ると、V_out は指数関数的に下降します。
- 時定数は τ = R × C です。
- Rが大きいほど、充電・放電は遅くなります。
- Rが小さいほど、充電・放電は速くなります。
39PM50
問題文
[39PM50] 図は発電機の簡易モデルである。図のように、巻き数 1 で面積 S[m²]のコイルが一様な磁束密度 B[Wb/m²]の中で、一定の角速度 ω[rad/s]で反時計回りに回転している。コイルの端子に誘導される電圧を表す式はどれか。 ただし、t = 0 とした時点で、コイル面は磁束に平行の状態であったとする。
選択肢
1.BS sin(ωt) 2.BS cos(ωt) 3.BSω sin(ωt) 4.BSω cos(ωt) 5.BSω² cos(ωt)
答え
4.BSω cos(ωt)
解説
正答
4
この問題のポイント
この問題では、電磁誘導による発電機の誘導起電力が問われています。
コイルを磁束密度 B の磁場中で回転させると、コイルを貫く磁束が時間的に変化します。その磁束の時間変化によって、コイル端子に誘導電圧が発生します。
重要なのは、誘導電圧は磁束そのものではなく、磁束の時間変化率に比例することです。
解説
電磁誘導では、ファラデーの電磁誘導の法則を使います。
巻き数 N のコイルに生じる誘導起電力 e は、次のように表されます。
- e = −N × dΦ/dt
ここで、
- e:誘導起電力
- N:巻き数
- Φ:コイルを貫く磁束
- t:時間
この問題では巻き数は 1 なので、N = 1 です。
磁束 Φ は、磁束密度 B とコイル面積 S から求めます。ただし、磁束はコイル面に垂直に貫く成分で決まります。
問題文では、t = 0 のときコイル面は磁束に平行です。
コイル面が磁束に平行なとき、磁束はコイル面を貫かないため、
- t = 0 で Φ = 0
となります。
コイルが角速度 ω で回転するので、磁束は時間とともに正弦波状に変化します。
- Φ = BS sin(ωt)
誘導起電力は磁束の時間微分なので、
- e = −dΦ/dt
- e = −d/dt { BS sin(ωt) }
- e = −BSω cos(ωt)
符号は、端子の取り方や誘導電流の向きの定義によって変わります。この問題の選択肢では大きさと時間変化の形を選ぶため、
- BSω cos(ωt)
を選びます。
したがって、正答は 4.BSω cos(ωt)です。
図で見るポイント 図では、N極からS極へ向かう磁束密度 B の中で、面積 S のコイルが回転しています。t = 0 ではコイル面が磁束に平行なので、コイルを貫く磁束は 0 です。
そこから回転すると、コイルを貫く磁束が増減し、その変化によって誘導電圧が発生します。
ひっかけポイント 磁束 Φ は BS sin(ωt)になりますが、問われているのは誘導電圧です。誘導電圧は磁束を時間で微分するため、必ず ω が付きます。
選択肢の確認
1.誤り。 BS sin(ωt)は、t = 0 で磁束が 0 になる場合の磁束 Φ の形に相当します。誘導電圧では、時間微分により ω が必要です。
2.誤り。 BS cos(ωt)は ω が含まれていないため、誘導電圧の式として不適切です。単位を見ても、BS は Wb であり、V ではありません。
3.誤り。 BSω sin(ωt)は、ω が含まれる点はよいですが、位相が違います。t = 0 で磁束が 0 のとき、磁束の変化率は最大になるため、誘導電圧は cos 型になります。
4.正しい。 t = 0 でコイル面が磁束に平行なので、磁束は Φ = BS sin(ωt)と表せます。これを時間微分すると、誘導電圧の大きさは BSω cos(ωt)になります。
5.誤り。 BSω² cos(ωt)は ω が1つ多く、単位としても誘導電圧に合いません。磁束を1回だけ時間微分するため、ωは1つだけ付きます。
覚えるポイント
- 誘導起電力は、磁束の時間変化率で決まります。
- ファラデーの法則は e = −N × dΦ/dt です。
- 巻き数1なら、N = 1 として計算します。
- t = 0 でコイル面が磁束に平行なら、磁束は 0 から始まります。
- 磁束が BS sin(ωt)なら、誘導電圧の大きさは BSω cos(ωt) です。
- 誘導電圧の式には、磁束を時間微分した結果として ω が付きます。
39PM51
問題文
[39PM51] 正しいのはどれか。 a.真性半導体にホールを供給する不純物をドナーという。 b.真性半導体に 5 価の原子を微量注入したものを p 形半導体という。 c.Si の結晶は隣り合う原子同士が金属結合している。 d.Si 原子の最外殻電子は外部から熱を与えられると自由電子になる。 e.ダイオードに印加する逆方向電圧を高くすると、ある電圧で急激に電流が流れる。
選択肢
1.a、b 2.a、e 3.b、c 4.c、d 5.d、e
答え
5.d、e
解説
正答
5
この問題のポイント
この問題では、半導体の不純物、Si結晶の結合、熱励起、ダイオードの逆方向特性が問われています。
半導体では、電子を供給する不純物をドナー、ホールを供給する不純物をアクセプタと呼びます。5価原子を加えると n形半導体、3価原子を加えると p形半導体になります。
解説
小項目を確認します。
- a.真性半導体にホールを供給する不純物をドナーという。 誤りです。ホールを供給する不純物はアクセプタです。ドナーは電子を供給します。
- b.真性半導体に 5 価の原子を微量注入したものを p 形半導体という。 誤りです。5価原子を加えると余分な電子が供給され、n形半導体になります。p形半導体は、3価原子を加えてホールを多数キャリアにしたものです。
- c.Si の結晶は隣り合う原子同士が金属結合している。 誤りです。Si結晶では、隣り合う原子同士が価電子を共有する共有結合をしています。金属結合ではありません。
- d.Si 原子の最外殻電子は外部から熱を与えられると自由電子になる。 正しいです。熱エネルギーにより価電子が結合から離れ、伝導帯へ移動すると自由電子として電気伝導に関与します。
- e.ダイオードに印加する逆方向電圧を高くすると、ある電圧で急激に電流が流れる。 正しいです。逆方向電圧を高くすると、降伏電圧でツェナー降伏やアバランシェ降伏が起こり、急激に逆方向電流が流れます。
したがって、正しい小項目は d、e であり、選択肢5が正答です。
ひっかけポイント 「ドナー」は電子を与えるので n形、「アクセプタ」は電子を受け取ってホールを作るので p形、と言葉の意味から整理すると覚えやすくなります。
選択肢の確認
1.誤り。 選択肢1は a、b の組合せです。aはホールを供給する不純物をドナーとしている点が誤りです。bは5価原子でp形半導体としている点が誤りです。
2.誤り。 選択肢2は a、e の組合せです。eは正しいですが、aが誤りです。ホールを供給する不純物はアクセプタです。
3.誤り。 選択肢3は b、c の組合せです。5価原子を加えるとn形半導体になり、Si結晶の結合は金属結合ではなく共有結合です。
4.誤り。 選択肢4は c、d の組合せです。dは正しいですが、cが誤りです。Si結晶は共有結合で成り立っています。
5.正しい。 選択肢5は d、e の組合せです。熱によりSiの最外殻電子が自由電子になること、逆方向電圧を高くすると降伏により急激に電流が流れることは、いずれも正しいです。
覚えるポイント
- ドナーは電子を供給し、n形半導体を作ります。
- アクセプタはホールを供給し、p形半導体を作ります。
- 5価原子を加えると n形、3価原子を加えると p形です。
- Si結晶は共有結合です。
- 逆方向電圧が高くなると、降伏電圧で急激な逆方向電流が流れます。
39PM52
問題文
[39PM52] 正しいのはどれか。
選択肢
1.バイポーラトランジスタにはエンハンスメント型がある。 2.C-MOS 回路はバイポーラトランジスタによって構成される。 3.電界効果トランジスタは入力電流で出力電流を制御する。 4.電界効果トランジスタはソース、ゲート、ドレインの 3 端子がある。 5.電界効果トランジスタの入力インピーダンスはバイポーラトランジスタよりも低い。
答え
4.電界効果トランジスタはソース、ゲート、ドレインの 3 端子がある。
解説
正答
4
この問題のポイント
この問題では、バイポーラトランジスタと電界効果トランジスタ FETの違いが問われています。
バイポーラトランジスタは電流で制御する素子、電界効果トランジスタはゲート電圧による電界で制御する素子として整理します。
解説
トランジスタには大きく分けて、バイポーラトランジスタと電界効果トランジスタがあります。
バイポーラトランジスタは、エミッタ、ベース、コレクタの3端子をもちます。ベース電流によってコレクタ電流を制御するため、電流制御型の素子として扱います。
一方、電界効果トランジスタ FET は、ソース、ゲート、ドレインの3端子をもちます。ゲートに加える電圧でチャネルの状態を変化させ、ドレイン電流を制御します。したがって、電圧制御型の素子です。
C-MOS回路は、Complementary MOSのことで、pチャネルMOSFETとnチャネルMOSFETを組み合わせて構成されます。バイポーラトランジスタで構成されるわけではありません。
また、FETはゲート電流がほとんど流れないため、入力インピーダンスが高いことが特徴です。バイポーラトランジスタより入力インピーダンスが低いという記述は誤りです。
ひっかけポイント エンハンスメント型やデプレッション型は、主にMOSFETなどのFETで使う分類です。バイポーラトランジスタの分類として考えないようにします。
選択肢の確認
1.誤り。 エンハンスメント型は、主にMOSFETなどの電界効果トランジスタで使われる分類です。バイポーラトランジスタの分類ではありません。
2.誤り。 C-MOS回路は、pチャネルMOSFETとnチャネルMOSFETを組み合わせた回路です。バイポーラトランジスタによって構成されるものではありません。
3.誤り。 電界効果トランジスタは、入力電流ではなくゲート電圧による電界で出力電流を制御します。電流制御型はバイポーラトランジスタの特徴です。
4.正しい。 電界効果トランジスタは、ソース、ゲート、ドレインの3端子をもちます。ゲート電圧により、ソース・ドレイン間の電流を制御します。
5.誤り。 電界効果トランジスタはゲート電流がほとんど流れないため、入力インピーダンスは高いです。バイポーラトランジスタより低いという記述は不適切です。
覚えるポイント
- バイポーラトランジスタはエミッタ、ベース、コレクタの3端子です。
- 電界効果トランジスタはソース、ゲート、ドレインの3端子です。
- バイポーラトランジスタは電流制御型です。
- FETはゲート電圧で制御する電圧制御型です。
- C-MOS回路は、pチャネルMOSFETとnチャネルMOSFETで構成されます。
- FETは入力インピーダンスが高いことが特徴です。
39PM53
問題文
[39PM53] 図の回路で、V_BE = 0.6 V のとき V_CE の電圧[V]はどれか。 ただし、V_CC は 10 V 以上とする。
選択肢
1.2 2.4 3.6 4.8 5.10
答え
2.4
解説
正答
2
この問題のポイント
この問題では、バイポーラトランジスタの特性曲線の読み取りが問われています。
図には、次の3つのグラフが示されています。
- 入力特性:V_BE から I_B を読む
- 電流伝達特性:I_B から I_C を読む
- 出力特性:I_B と I_C から V_CE を読む
順番にグラフをたどることが重要です。
解説
図の回路は、エミッタ接地のバイポーラトランジスタ回路です。
求めたいのは V_CE です。問題文で与えられているのは V_BE = 0.6 V なので、まず入力特性からベース電流 I_B を読み取ります。
1. 入力特性から I_B を読む
入力特性のグラフでは、横軸が V_BE[V]、縦軸が I_B[μA]です。
V_BE = 0.6 V の位置を読むと、
- I_B = 20 μA
となります。
2. 電流伝達特性から I_C を読む
次に、電流伝達特性を使います。
電流伝達特性では、横軸が I_B[μA]、縦軸が I_C[mA]です。
I_B = 20 μA の位置を読むと、
- I_C = 10 mA
となります。
3. 出力特性から V_CE を読む
最後に、出力特性を使います。
出力特性では、横軸が V_CE[V]、縦軸が I_C[mA]です。また、曲線ごとに I_B の値が示されています。
ここでは、
- I_B = 20 μA の曲線
- I_C = 10 mA の位置
を確認します。
I_B = 20 μA の曲線上で I_C = 10 mA となる点を読むと、
- V_CE = 4 V
となります。
したがって、正答は 2.4 です。
図で見るポイント この問題は、1つのグラフだけで解くのではなく、入力特性 → 電流伝達特性 → 出力特性の順に読み取ります。
V_BE = 0.6 V から I_B を求め、次に I_C を求め、最後に V_CE を読み取る流れです。
ひっかけポイント V_BE = 0.6 V だけを見て、すぐに V_CE を選ぶことはできません。トランジスタの動作点は、ベース電流とコレクタ電流を経由して決まります。
選択肢の確認
1.誤り。 V_CE = 2 V では、出力特性の I_B = 20 μA の曲線上で I_C = 10 mA となる点と合いません。
2.正しい。 入力特性から V_BE = 0.6 V のとき I_B = 20 μA、電流伝達特性から I_C = 10 mA と読み取れます。出力特性で I_B = 20 μA、I_C = 10 mA の点を読むと V_CE = 4 V です。
3.誤り。 V_CE = 6 V では、I_B = 20 μA の曲線上で I_C が10 mAより大きくなります。指定された動作点とは一致しません。
4.誤り。 V_CE = 8 V では、出力特性上の I_C がさらに大きくなります。I_C = 10 mA の条件に合いません。
5.誤り。 V_CE = 10 V は、図の出力特性の右端に近い値ですが、I_B = 20 μA、I_C = 10 mA の動作点ではありません。
覚えるポイント
- バイポーラトランジスタでは、V_BE → I_B → I_C → V_CEの順に考えます。
- 入力特性は、V_BE と I_B の関係を示します。
- 電流伝達特性は、I_B と I_C の関係を示します。
- 出力特性は、I_B ごとの I_C と V_CE の関係を示します。
- グラフ問題では、横軸・縦軸・単位を先に確認します。
- この問題では、V_BE = 0.6 V → I_B = 20 μA → I_C = 10 mA → V_CE = 4 V です。
39PM54
問題文
[39PM54] 4 V、1 Ah の電池で駆動する電子回路の平均駆動電流が 10 μA のとき、連続稼働時間に近いのはどれか。
選択肢
1.4 時間 2.11 時間 3.4 日間 4.11 か月間 5.11 年間
答え
5.11 年間
解説
正答
5
この問題のポイント
この問題では、電池容量 Ahと平均駆動電流から、連続稼働時間を求めます。
ポイントは、電池容量 1 Ah を電流 10 μA で割ることです。電圧 4 V はこの問題では直接使いません。
解説
電池容量が Ah で与えられている場合、連続稼働時間は次の式で求めます。
- 稼働時間 h = 電池容量 Ah / 電流 A
この問題では、
- 電池容量 = 1 Ah
- 平均駆動電流 = 10 μA
まず、10 μA を A に変換します。
- 10 μA = 10 × 10^-6 A
- 10 μA = 0.000010 A
- 10 μA = 1.0 × 10^-5 A
したがって、
- 稼働時間 = 1 Ah / 1.0 × 10^-5 A
- 稼働時間 = 100000 h
次に、時間を年に換算します。
1日は24時間なので、
- 100000 h / 24 = 約4167日
1年を365日として、
- 4167日 / 365 = 約11.4年
したがって、連続稼働時間に最も近いのは 11年間 です。
ひっかけポイント 4 V という電圧が与えられていますが、電池容量が Ah で与えられ、消費電流も A で与えられているため、稼働時間だけを求めるなら電圧は使いません。
電力量 Wh を求める問題なら、4 V × 1 Ah = 4 Wh のように電圧を使います。
選択肢の確認
1.誤り。 4時間では短すぎます。1 Ah の電池を 10 μA という非常に小さい電流で使うため、稼働時間は年単位になります。
2.誤り。 11時間でも短すぎます。10 μA は 0.000010 A なので、1 Ah を消費するには非常に長い時間がかかります。
3.誤り。 4日間は 96時間です。計算で得られる 100000時間とは大きく異なります。
4.誤り。 11か月間は約1年弱です。計算結果は約11.4年なので、月単位ではなく年単位になります。
5.正しい。 1 Ah / 10 μA = 100000 h です。これを年に換算すると約11.4年となるため、11年間が最も近いです。
覚えるポイント
- 電池容量 Ah は、電流 A と時間 h の積です。
- 稼働時間 h = 電池容量 Ah / 電流 A で求めます。
- 10 μA = 1.0 × 10^-5 A です。
- 1 Ah / 10 μA = 100000 h です。
- 100000 h は約11.4年です。
- Ah と A から時間を求めるだけなら、電圧 V は直接使いません。
39PM55
問題文
[39PM55] 図の回路で E の起電力[V]はどれか。 ただし、A は理想演算増幅器とする。
選択肢
1.1 2.2 3.3 4.4 5.5
答え
1.1
解説
正答
1
この問題のポイント
この問題では、理想演算増幅器の仮想短絡と、反転入力端子に接続された節点でのキルヒホッフの電流則を使います。
理想演算増幅器では、負帰還がかかっているとき、反転入力端子と非反転入力端子の電位はほぼ等しくなります。
この回路では、非反転入力端子が接地されているため、反転入力端子の節点電位は 0 V と考えます。
解説
図では、演算増幅器 A の非反転入力端子、つまり + 端子が接地されています。
また、出力から反転入力端子、つまり − 端子へ 2 kΩ の抵抗で負帰還がかかっています。
理想演算増幅器で負帰還があるため、
- V+ = V−
- V+ = 0 V
- よって V− = 0 V
となります。
この V− の節点を 仮想接地 と考えます。
次に、この節点に流れ込む電流を考えます。理想演算増幅器では入力電流は 0 とみなせるため、節点に流れ込む電流と流れ出る電流の和がつり合います。
1. 2 V 側から流れ込む電流
左側の 2 V 電源から、1 kΩ を通って節点 0 V に流れます。
- I1 = (2 − 0) / 1 kΩ
- I1 = 2 mA
2. E 側から流れ込む電流
下側の起電力 E から、1 kΩ を通って節点 0 V に流れます。
- I2 = (E − 0) / 1 kΩ
- I2 = E mA
ここでは、E[V]を 1 kΩ で割っているので、電流は E mA と表せます。
3. 出力側へ流れる電流
出力電圧は −6 V です。節点は 0 V なので、2 kΩ の抵抗には 0 V から −6 V 側へ電流が流れます。
- I3 = (0 − (−6)) / 2 kΩ
- I3 = 6 / 2 kΩ
- I3 = 3 mA
つまり、節点から出力側へ 3 mA が流れ出ます。
4. 電流のつり合い
節点に流れ込む電流は、
- 2 mA + E mA
節点から流れ出る電流は、
- 3 mA
したがって、
- 2 + E = 3
- E = 1
よって、E の起電力は 1 V です。
図で見るポイント
- 端子が接地され、出力から − 端子へ 2 kΩ の負帰還があります。したがって、− 端子の節点は 0 V とみなします。
その節点に、左の 2 V、下の E、右の −6 V がそれぞれ抵抗を介して接続されています。節点電流のつり合いを立てるのが最短ルートです。
ひっかけポイント 出力が −6 V なので、フィードバック抵抗には節点 0 V から出力側へ電流が流れます。電流の向きを逆にすると E の符号を間違えやすくなります。
選択肢の確認
1.正しい。 反転入力端子の節点を 0 V とすると、2 V 側から 2 mA、E 側から E mA が流れ込み、出力 −6 V 側へ 3 mA が流れ出ます。2 + E = 3 より、E = 1 V です。
2.誤り。 E = 2 V とすると、節点に流れ込む電流は 2 mA + 2 mA = 4 mA となり、出力側へ流れる 3 mA とつり合いません。
3.誤り。 E = 3 V とすると、節点に流れ込む電流が 5 mA となり、回路条件と合いません。
4.誤り。 E = 4 V では、E 側からの電流が大きすぎます。節点の電流収支を満たしません。
5.誤り。 E = 5 V では、節点に流れ込む電流は 7 mA となり、出力側へ流れる 3 mA と大きくずれます。
覚えるポイント
- 理想演算増幅器では、入力電流は 0 とみなします。
- 負帰還があるとき、V+ と V− はほぼ等しくなります。
- 端子が接地されていれば、− 端子は仮想接地として 0 V と考えます。
- 節点では、流れ込む電流と流れ出る電流が等しくなります。
- この問題では、2 mA + E mA = 3 mA となるため、E = 1 V です。
39PM56
問題文
[39PM56] 図の回路で V_o[V]はどれか。 ただし、ダイオードは理想ダイオードとする。
選択肢
1.−2 2.2 3.3 4.5 5.8
答え
4.5
解説
正答
4
この問題のポイント
この問題では、理想ダイオード回路の出力電圧が問われています。
図では、5 V と 3 V の電源がそれぞれダイオードを介して同じ出力節点 V_o に接続されています。出力節点には抵抗 R が接地方向に接続されています。
理想ダイオードでは、順方向に導通しているときの電圧降下を 0 V と考えます。
解説
図の2つのダイオードは、どちらも左側が入力側、右側が出力節点側になる向きに接続されています。
つまり、
- 上側のダイオード:5 V から V_o へ向かう
- 下側のダイオード:3 V から V_o へ向かう
- 抵抗 R:V_o から接地へ向かう
という回路です。
このような回路では、出力節点 V_o は、導通しているダイオードによって入力電圧側へ引き上げられます。
まず、5 V 側を考えます。
理想ダイオードなので、5 V 側のダイオードが順方向に導通すれば、ダイオードの電圧降下は 0 V です。
したがって、
- V_o = 5 V
になります。
次に、3 V 側のダイオードを確認します。
V_o が 5 V になっているとき、3 V 側のダイオードは、
- アノード側:3 V
- カソード側:5 V
となります。
アノードよりカソードの電位が高いため、このダイオードは逆方向バイアスとなり、導通しません。
したがって、出力は 3 V ではなく、5 V になります。
図で見るポイント 2つのダイオードは、5 V と 3 V のうち高い電圧側から出力節点へ電流を流す向きです。
5 V 側のダイオードが導通すると V_o は 5 V になります。このとき 3 V 側のダイオードは逆方向になるため、出力を 3 V に下げることはできません。
ひっかけポイント 5 V と 3 V を足して 8 V と考えてはいけません。2つの電源は直列接続ではなく、それぞれダイオードを介して同じ出力節点に接続されています。
この回路は、高い方の電圧が出力に現れるダイオードOR回路として考えると理解しやすいです。
選択肢の確認
1.誤り。 −2 V にはなりません。5 V と 3 V の差を符号付きで考える回路ではありません。
2.誤り。 2 V は 5 V − 3 V の差に相当しますが、この回路では電源同士の差を出力するわけではありません。
3.誤り。 3 V 側のダイオードだけが導通すると考えると 3 V になりそうですが、実際には5 V側のダイオードが導通し、出力節点を5 Vに引き上げます。その結果、3 V側のダイオードは逆方向バイアスになります。
4.正しい。 5 V側のダイオードが順方向に導通します。理想ダイオードなので電圧降下は0 Vであり、V_o = 5 V となります。
5.誤り。 8 V は 5 V と 3 V を足した値ですが、この回路では2つの電源が直列に接続されていません。したがって出力は 8 V にはなりません。
覚えるポイント
- 理想ダイオードは、順方向導通時の電圧降下を 0 V と考えます。
- ダイオードは、アノード電位がカソード電位より高いと導通します。
- 複数の電源がダイオードを介して同じ節点に接続されると、高い電圧側が出力を決めることがあります。
- この回路では、5 V側のダイオードが導通し、3 V側のダイオードは逆方向になります。
- したがって、出力電圧は V_o = 5 V です。
39PM57
問題文
[39PM57] 下り(DL:Downlink)が最大通信速度 100 Mbps の通信回線を用いて 10 MB の画像ファイルをコンピュータにダウンロードする。この回線の伝送効率が 50%のとき、ダウンロードに必要な時間[s]はいくらか。
選択肢
1.0.1 2.0.6 3.0.8 4.1.6 5.3.2
答え
4.1.6
解説
正答
4
この問題のポイント
この問題では、通信速度 Mbpsとファイルサイズ MBの単位変換が問われています。
ポイントは、通信速度の Mbps は megabit per second、ファイルサイズの MB は megabyte であることです。
- 1 Byte = 8 bit
- 10 MB = 80 Mbit
さらに、伝送効率が 50%なので、実際に使える通信速度は最大通信速度の半分になります。
解説
まず、通信速度を確認します。
最大通信速度は、
- 100 Mbps
です。
ただし、伝送効率が 50%なので、実効通信速度は、
- 100 Mbps × 0.50 = 50 Mbps
となります。
次に、ダウンロードする画像ファイルのサイズを bit に変換します。
ファイルサイズは、
- 10 MB
です。
1 Byte は 8 bit なので、
- 10 MB = 10 × 8 Mbit
- 10 MB = 80 Mbit
となります。
ダウンロードに必要な時間は、
- 時間 = データ量 / 実効通信速度
で求めます。
代入すると、
- 時間 = 80 Mbit / 50 Mbps
- 時間 = 1.6 s
したがって、ダウンロードに必要な時間は 1.6 秒です。
ひっかけポイント MB と Mbps をそのまま割ってはいけません。MB はバイト、Mbps はビット毎秒です。必ず 1 Byte = 8 bit を使って変換します。
国家試験ではここを押さえる 通信・情報の計算問題では、bit、Byte、bps、Mbps、効率を順に確認します。効率がある場合は、最大速度ではなく実効速度を使います。
選択肢の確認
1.誤り。 0.1 秒では短すぎます。10 MB を 80 Mbit に変換し、さらに伝送効率 50%を考慮する必要があります。
2.誤り。 0.6 秒は、データ量や伝送効率の扱いが不十分な値です。実効速度は 100 Mbps ではなく 50 Mbps です。
3.誤り。 0.8 秒は、10 MB = 80 Mbit と変換した後、最大通信速度 100 Mbps で割った場合に近い値です。伝送効率 50%を考慮していません。
4.正しい。 10 MB = 80 Mbit、実効通信速度は 100 Mbps × 50% = 50 Mbps です。80 Mbit / 50 Mbps = 1.6 s となります。
5.誤り。 3.2 秒は、実効通信速度やデータ量を過大・過小に扱った場合に選びやすい値です。正しくは 1.6 秒です。
覚えるポイント
- 1 Byte = 8 bit です。
- MB はメガバイト、Mbps はメガビット毎秒です。
- 10 MB = 80 Mbit です。
- 伝送効率 50%なら、100 Mbps の実効速度は 50 Mbps です。
- ダウンロード時間は、データ量を実効通信速度で割って求めます。
- この問題では、80 Mbit / 50 Mbps = 1.6 s です。
39PM58
問題文
[39PM58] 通信装置について誤っているのはどれか。
選択肢
1.リピータ ― 仮想回線によるネットワークの分離 2.光回線終端装置 ― 光信号と電気信号の相互変換 3.アクセスポイント ― 無線化ネットワークへの接続 4.ルータ ― 異なるネットワークの中継 5.ゲートウェイ ― 通信プロトコル変換
答え
1.リピータ ― 仮想回線によるネットワークの分離
解説
正答
1
この問題のポイント
この問題では、通信装置の役割を区別できるかが問われています。
ネットワーク機器は、どの階層で何を処理するかによって役割が異なります。
- リピータ:信号の再生・中継
- 光回線終端装置:光信号と電気信号の変換
- アクセスポイント:無線LANへの接続
- ルータ:異なるネットワーク間の中継
- ゲートウェイ:通信プロトコルの変換
解説
リピータは、伝送路で弱くなった信号を増幅・整形・再生して中継する装置です。
主に物理層で動作し、ネットワークを仮想的に分離したり、仮想回線を作ってセグメントを分けたりする装置ではありません。
仮想的にネットワークを分離する機能は、VLANを扱うスイッチなどと関連します。リピータは、あくまで信号を中継して伝送距離を延ばすための装置として整理します。
一方、光回線終端装置は、光ファイバ回線で送られる光信号と、宅内機器で扱う電気信号を相互変換します。
アクセスポイントは、無線端末を有線LANなどのネットワークへ接続するための装置です。
ルータは、IPアドレスをもとに異なるネットワーク間を中継します。
ゲートウェイは、異なる通信プロトコル間の変換を行う装置または機能として扱われます。
ひっかけポイント 「中継」という言葉だけでリピータ、ルータ、ゲートウェイを混同しないことが重要です。リピータは信号の中継、ルータはネットワーク間の中継、ゲートウェイはプロトコル変換と整理します。
選択肢の確認
1.正答。記述としては誤り。 リピータは信号を再生・中継する装置です。仮想回線によってネットワークを分離する装置ではありません。
2.記述としては正しい。 光回線終端装置は、光ファイバ回線の光信号と、LAN側で扱う電気信号を相互変換します。ONUとして扱われる装置です。
3.記述としては正しい。 アクセスポイントは、無線端末を無線LANネットワークへ接続する装置です。有線ネットワークと無線端末をつなぐ役割をもちます。
4.記述としては正しい。 ルータは、異なるネットワークを中継する装置です。IPアドレスをもとに経路選択を行います。
5.記述としては正しい。 ゲートウェイは、異なる通信プロトコル間の変換を行います。異なる種類のネットワークやシステム間を接続する役割があります。
覚えるポイント
- リピータは信号の再生・中継を行います。
- 光回線終端装置は光信号と電気信号の相互変換を行います。
- アクセスポイントは無線LANへの接続を担います。
- ルータは異なるネットワーク間の中継を行います。
- ゲートウェイは通信プロトコル変換を行います。
- ネットワーク機器は、名前ではなく役割で整理します。
39PM59
問題文
[39PM59] 図のフローチャートで入力値 a、b、c に対して得られる値はどれか。 ただし、a、b、c はそれぞれ異なる整数値とする。
選択肢
1.合計値 2.平均値 3.最小値 4.中央値 5.最大値
答え
3.最小値
解説
正答
3
この問題のポイント
この問題では、フローチャートの処理内容を読み取り、最終的に出力される値が何を表すかを判断します。
ポイントは、変数 X に最初 a を代入し、その後 b、c と順に比較して、より小さい値があれば X を更新していることです。
解説
図のフローチャートは、入力値 a、b、c の中から最小値を求める処理です。
処理の流れを順に追います。
まず、a、b、c を入力します。
次に、
- X ← a
として、X に a の値を入れます。
この時点では、X は「今のところ最小候補」と考えます。
次に、b と X を比較します。
- b < X なら、X ← b
- b < X でなければ、X はそのまま
つまり、b が現在の X より小さければ、X を b に更新します。
さらに、c と X を比較します。
- c < X なら、X ← c
- c < X でなければ、X はそのまま
つまり、c が現在の X より小さければ、X を c に更新します。
最後に X を出力します。
このように、X には a、b、c のうち最も小さい値が残ります。したがって、得られる値は最小値です。
図で見るポイント フローチャートでは、最初に X ← a として基準を作っています。
その後、b < X、c < X の条件判定で、より小さい値が見つかるたびに X を更新しています。これは最小値を探す典型的なアルゴリズムです。
ひっかけポイント 比較式が b > X や c > X ではなく、b < X、c < X です。大きい値ではなく、小さい値を残していく処理だと判断します。
選択肢の確認
1.誤り。 合計値を求めるには、a + b + c のように加算する処理が必要です。このフローチャートでは加算処理はありません。
2.誤り。 平均値を求めるには、合計値を求めて 3 で割る処理が必要です。このフローチャートには割り算の処理はありません。
3.正しい。 X に a を入れた後、b、c が X より小さい場合に X を更新しています。最終的に X には a、b、c の中で最も小さい値が入ります。
4.誤り。 中央値を求めるには、3つの値を大小順に並べて中央の値を選ぶ処理が必要です。このフローチャートでは最小値だけを残しています。
5.誤り。 最大値を求める場合は、b > X、c > X のように、より大きい値を見つけたときに X を更新します。この図では b < X、c < X で更新しているため、最大値ではありません。
覚えるポイント
- フローチャートでは、まず代入処理と条件分岐を順番に追います。
- X ← a は、X に a を代入するという意味です。
- b < X なら X ← b は、より小さい値に更新する処理です。
- c < X でも同じく、より小さい値に更新します。
- 小さい値が見つかるたびに更新する処理は、最小値探索です。
39PM60
問題文
[39PM60] ファイアウォールの役割で正しいのはどれか。
選択肢
1.OS の自動更新 2.通信情報の暗号化 3.不正なアクセスの遮断 4.コンピュータウイルスの検出 5.悪意のあるソフトウェアの実行防止
答え
3.不正なアクセスの遮断
解説
正答
3
この問題のポイント
この問題では、ファイアウォールの役割を理解しているかが問われています。
ファイアウォールは、ネットワークの境界で通信を監視し、許可された通信だけを通し、不正なアクセスや不要な通信を遮断する仕組みです。
解説
ファイアウォールは、外部ネットワークと内部ネットワークの間などに設置され、通信の通過可否を制御します。
たとえば、次のような条件をもとに通信を許可または遮断します。
- 送信元IPアドレス
- 宛先IPアドレス
- ポート番号
- 通信プロトコル
- 通信の方向
- 通信内容やセッション状態
ファイアウォールの主な目的は、外部からの不正アクセスや不要な通信を遮断し、内部ネットワークを保護することです。
医療機関では、電子カルテ、医療情報システム、検査システム、医療機器ネットワークなどを扱うため、ネットワークセキュリティは非常に重要です。ファイアウォールは、情報漏えいや不正侵入を防ぐ基本的な対策の一つです。
ひっかけポイント ファイアウォールは、ウイルスそのものを検出する装置ではありません。通信の出入口でアクセス制御を行うものです。
ウイルス検出はウイルス対策ソフト、暗号化はVPNやTLSなどの仕組みと区別します。
選択肢の確認
1.誤り。 OS の自動更新は、OS の脆弱性を修正して安全性を保つための機能です。ファイアウォールの主な役割ではありません。
2.誤り。 通信情報の暗号化は、通信内容を第三者に読まれにくくする仕組みです。代表例として VPN や TLS などがあります。ファイアウォールの主な役割は暗号化ではなく通信の制御です。
3.正しい。 ファイアウォールは、通信を監視し、設定されたルールに基づいて不正なアクセスを遮断します。ネットワーク防御の基本的な仕組みです。
4.誤り。 コンピュータウイルスの検出は、主にウイルス対策ソフトやエンドポイントセキュリティ製品の役割です。ファイアウォールは通信を制御しますが、ウイルス検出そのものが主目的ではありません。
5.誤り。 悪意のあるソフトウェアの実行防止は、主にウイルス対策ソフト、EDR、OS の実行制御機能などの役割です。ファイアウォールは通信の許可・遮断を担当します。
覚えるポイント
- ファイアウォールは不正なアクセスの遮断を行います。
- 通信の送信元、宛先、ポート番号、プロトコルなどをもとに制御します。
- OS の自動更新は脆弱性対策です。
- 通信の暗号化は VPN や TLS などと関連します。
- ウイルス検出やマルウェア実行防止は、ウイルス対策ソフトやエンドポイント対策と区別します。
- 医療情報システムでは、機密性、完全性、可用性を守るためにネットワーク境界の防御が重要です。
39PM61
問題文
[39PM61] 患者情報や検査依頼などの医療情報交換のための標準規格はどれか。
選択肢
1.HIS 2.HL7 3.IEC 4.PACS 5.DICOM
答え
2.HL7
解説
正答
2
この問題のポイント
この問題では、医療情報交換の標準規格を選べるかが問われています。
患者基本情報、検査依頼、検査結果、入退院情報、オーダ情報などをシステム間で交換するための代表的な標準規格は HL7 です。
解説
HL7 は、Health Level Seven の略で、医療情報システム間でデータを交換するための標準規格です。
病院内では、電子カルテ、検査システム、放射線部門システム、医事会計システムなど、さまざまなシステムが連携しています。
たとえば、次のような情報交換に用いられます。
- 患者基本情報
- 入退院情報
- 検査依頼
- 検査結果
- 処方やオーダ情報
臨床工学技士に関係する場面では、医療機器管理システム、透析支援システム、生体情報モニタ、電子カルテとの連携などで、医療情報の標準化を理解しておくことが重要です。
ひっかけポイント DICOM は医用画像と画像関連情報の標準規格です。患者情報や検査依頼などの広い医療情報交換は HL7 と整理します。
選択肢の確認
1.誤り。 HIS は Hospital Information System の略で、病院情報システムを指します。標準規格そのものではありません。
2.正しい。 HL7 は、患者情報や検査依頼、検査結果などの医療情報交換に用いられる標準規格です。
3.誤り。 IEC は国際電気標準会議であり、電気・電子分野の国際規格を扱う組織です。医療情報交換そのものの標準規格としてはHL7が適切です。
4.誤り。 PACS は Picture Archiving and Communication System の略で、医用画像を保存・管理・配信するシステムです。標準規格ではなくシステム名です。
5.誤り。 DICOM は医用画像と画像関連情報の標準規格です。画像検査情報では重要ですが、患者情報や検査依頼などの広い医療情報交換ではHL7を選びます。
覚えるポイント
- HL7 は医療情報交換の標準規格です。
- 患者情報、検査依頼、検査結果、入退院情報などの交換に関係します。
- DICOM は医用画像情報の標準規格です。
- PACS は医用画像の保存・配信システムです。
- HIS、PACS、DICOM、HL7 の違いを整理して覚えます。
39PM62
問題文
[39PM62] あらかじめ定められた順序や手続きに従って進める制御の名称はどれか。
選択肢
1.シーケンス制御 2.ファジー制御 3.フィードバック制御 4.ロバスト制御 5.最適制御
答え
1.シーケンス制御
解説
正答
1
この問題のポイント
この問題では、制御方式の名称を理解しているかが問われています。
あらかじめ決められた順序や手続きに従って進める制御は、シーケンス制御です。
解説
シーケンス制御は、決められた順番に動作を進める制御です。
たとえば、次のような動作が該当します。
- スイッチを押す
- モータが動く
- 一定時間後に弁が開く
- センサが反応したら次の工程へ進む
- 終了条件を満たしたら停止する
このように、条件や手順に従って段階的に進む制御がシーケンス制御です。
医療機器でも、洗浄装置、滅菌装置、透析装置のプライミング工程、アラーム発生時の安全動作など、決められた手順で処理が進む場面があります。
ひっかけポイント フィードバック制御は、出力を測定して目標値との差を修正する制御です。シーケンス制御は、あらかじめ決めた順序で動作する点が特徴です。
選択肢の確認
1.正しい。 シーケンス制御は、あらかじめ定められた順序や手続きに従って進める制御です。
2.誤り。 ファジー制御は、人間のあいまいな判断をルール化して制御に用いる方法です。温度調整や家電製品などで例示されることがあります。
3.誤り。 フィードバック制御は、出力を測定し、目標値との差をもとに入力を調整する制御です。体温調節や圧制御などの理解にも関係します。
4.誤り。 ロバスト制御は、外乱やパラメータ変動があっても安定した性能を保つことを目指す制御です。順序制御そのものではありません。
5.誤り。 最適制御は、評価関数や条件に基づいて最も望ましい制御入力を求める考え方です。あらかじめ決めた手順に従う制御ではありません。
覚えるポイント
- あらかじめ決められた順序で進む制御はシーケンス制御です。
- 出力を見て目標値に近づける制御はフィードバック制御です。
- ファジー制御は、あいまいな判断を扱います。
- ロバスト制御は、外乱や変動に強い制御を目指します。
- 制御方式は「何を基準に動作するか」で区別します。
39PM63
問題文
[39PM63] 一酸化窒素吸入療法について正しいのはどれか。 a.全身血圧は下がりにくい。 b.酸素ガスに一酸化窒素を混入する。 c.死腔に接している毛細血管を拡張させる。 d.治療中に発生する二酸化窒素は有害である。 e.吸入した一酸化窒素は肺動脈を拡張させる。
選択肢
1.a、b、c 2.a、b、e 3.a、d、e 4.b、c、d 5.c、d、e
答え
3.a、d、e
解説
正答
3
この問題のポイント
この問題では、一酸化窒素吸入療法の作用部位と安全管理が問われています。
一酸化窒素 NO は、吸入されると換気されている肺胞周囲の肺血管を選択的に拡張します。肺高血圧や酸素化改善を目的に用いられます。
解説
一酸化窒素吸入療法では、吸入された NO が肺血管平滑筋を弛緩させ、肺動脈圧や肺血管抵抗を下げます。
NO は肺で作用した後、血液中ではヘモグロビンと速やかに結合して不活化されます。そのため、全身循環へ強く作用しにくく、全身血圧は下がりにくいという特徴があります。
小項目を確認します。
- a.全身血圧は下がりにくい。 正しいです。NO は肺で選択的に作用し、血中で速やかに不活化されるため、全身血圧への影響は比較的小さいです。
- b.酸素ガスに一酸化窒素を混入する。 誤りです。一酸化窒素は通常、窒素などを含む混合ガスとして供給され、人工呼吸器回路などの吸気側へ投与します。酸素ガスに単純に混入するという表現は適切ではありません。酸素と反応して二酸化窒素が発生する点にも注意します。
- c.死腔に接している毛細血管を拡張させる。 誤りです。NO は吸入ガスが届く換気された肺胞周囲の血管を拡張します。死腔のようにガス交換に寄与しない部分の毛細血管を拡張させる治療ではありません。
- d.治療中に発生する二酸化窒素は有害である。 正しいです。NO は酸素と反応して NO₂ を生じることがあり、NO₂ は気道や肺に有害です。濃度監視が重要です。
- e.吸入した一酸化窒素は肺動脈を拡張させる。 正しいです。NO は肺血管を拡張し、肺高血圧の改善や換気血流比の改善に寄与します。
したがって、正しい小項目は a、d、e であり、選択肢3が正答です。
臨床工学技士としての注意点 一酸化窒素吸入療法では、NO濃度、NO₂濃度、酸素濃度、人工呼吸器回路、投与ライン、ボンベ残量、アラームを確認します。NO₂は有害なので、濃度監視が特に重要です。
選択肢の確認
1.誤り。 選択肢1は a、b、c の組合せです。aは正しいですが、bとcが誤りです。
2.誤り。 選択肢2は a、b、e の組合せです。aとeは正しいですが、bが誤りです。
3.正しい。 選択肢3は a、d、e の組合せです。全身血圧が下がりにくいこと、NO₂が有害であること、肺動脈を拡張させることはいずれも正しい内容です。
4.誤り。 選択肢4は b、c、d の組合せです。dは正しいですが、bとcが誤りです。
5.誤り。 選択肢5は c、d、e の組合せです。dとeは正しいですが、cが誤りです。
覚えるポイント
- 一酸化窒素吸入療法は、肺血管を選択的に拡張します。
- NOはヘモグロビンと速やかに結合して不活化されるため、全身血圧は下がりにくいです。
- 換気されている肺胞周囲の血管を拡張し、換気血流比の改善に役立ちます。
- NOと酸素が反応して生じるNO₂は有害です。
- 治療中はNO濃度、NO₂濃度、酸素濃度を監視します。
39PM64
問題文
[39PM64] VAP(人工呼吸器関連肺炎)について誤っているのはどれか。
選択肢
1.人工呼吸器装着後 48 時間以内に発症する肺炎を指す。 2.主な感染経路はカフ上部に貯留した分泌物の流入である。 3.過鎮静を避けることは予防につながる。 4.口腔ケアは予防策の一つである。 5.早期抜管は予防に有効である。
答え
1.人工呼吸器装着後 48 時間以内に発症する肺炎を指す。
解説
正答
1
この問題のポイント
この問題では、VAP(人工呼吸器関連肺炎)の定義と予防策が問われています。
VAP は、一般に人工呼吸器装着後 48時間以降 に発症する肺炎を指します。48時間以内ではありません。
解説
VAP は、気管挿管や人工呼吸管理に関連して発症する肺炎です。
人工呼吸器管理では、気管チューブが入ることで咳反射や気道防御機構が低下し、口腔内や咽頭の分泌物が気管内へ流入しやすくなります。
特に重要なのが、カフ上部に貯留した分泌物です。これが微小に下気道へ流入すると、肺炎の原因になります。
VAP予防では、次のような対策が重要です。
- 口腔ケア
- 過鎮静を避ける
- 早期離床や早期抜管を目指す
- カフ圧管理
- 頭部挙上
- 不要な回路交換を避ける
- 手指衛生の徹底
過鎮静は自発呼吸や咳嗽、離脱を妨げるため、VAPリスクを高める要因になります。早期抜管は人工呼吸器装着期間を短縮し、VAP予防に有効です。
臨床工学技士としての注意点 VAP予防では、人工呼吸器の設定だけでなく、回路管理、加温加湿、カフ圧、アラーム、吸引操作、口腔ケア、早期離脱支援をチームで確認することが重要です。
選択肢の確認
1.正答。記述としては誤り。 VAPは、一般に人工呼吸器装着後48時間以降に発症する肺炎を指します。48時間以内に発症する肺炎という記述は不適切です。
2.記述としては正しい。 カフ上部に貯留した分泌物が下気道へ流入することは、VAPの重要な感染経路です。カフ圧管理や分泌物管理が重要です。
3.記述としては正しい。 過鎮静を避けることは、早期離脱や咳嗽反射の維持につながり、VAP予防に役立ちます。
4.記述としては正しい。 口腔ケアは、口腔内細菌の増殖を抑え、VAP予防に有効な対策の一つです。
5.記述としては正しい。 早期抜管は人工呼吸器装着期間を短縮し、VAPリスクを減らすため有効です。
覚えるポイント
- VAPは人工呼吸器装着後48時間以降に発症する肺炎です。
- 主な感染経路は、カフ上部分泌物の下気道への流入です。
- 口腔ケア、頭部挙上、カフ圧管理はVAP予防に重要です。
- 過鎮静を避けることは早期離脱につながります。
- 人工呼吸器装着期間を短くすることがVAP予防に有効です。
39PM65
問題文
[39PM65] 人工呼吸器からの離脱の障害となるのはどれか。 a.動脈血液ガスで pH が 7.40 b.FIO₂ = 0.21 で PaO₂ が 70 mmHg c.FIO₂ = 0.21 で PaCO₂ が 70 mmHg d.自力での痰の喀出が困難 e.自発呼吸回数が 20 回/分
選択肢
1.a、b 2.a、e 3.b、c 4.c、d 5.d、e
答え
4.c、d
解説
正答
4
この問題のポイント
この問題では、人工呼吸器離脱の可否を判断する条件が問われています。
離脱では、酸素化、換気、意識状態、循環動態、呼吸仕事量、気道分泌物の喀出能力を総合的に評価します。
解説
人工呼吸器から離脱するには、患者自身の呼吸で十分な酸素化と換気を保てることが必要です。
小項目を確認します。
- a.動脈血液ガスで pH が 7.40 離脱の障害とはいえません。pH 7.40 は正常範囲であり、酸塩基平衡が保たれています。
- b.FIO₂ = 0.21 で PaO₂ が 70 mmHg 離脱の障害とはいえません。室内気相当の酸素濃度で PaO₂ 70 mmHg が保たれているため、酸素化は比較的良好です。
- c.FIO₂ = 0.21 で PaCO₂ が 70 mmHg 離脱の障害となります。PaCO₂ 70 mmHg は高二酸化炭素血症であり、換気不足を示します。自発呼吸だけでは十分な換気ができていない可能性があります。
- d.自力での痰の喀出が困難 離脱の障害となります。抜管後に痰を出せないと、気道閉塞、無気肺、肺炎、再挿管のリスクが高くなります。
- e.自発呼吸回数が 20 回/分 離脱の障害とはいえません。20回/分は著明な頻呼吸ではなく、一般に許容される範囲です。
したがって、離脱の障害となる小項目は c、d であり、選択肢4が正答です。
国家試験ではここを押さえる PaCO₂ は主に肺胞換気量を反映します。PaCO₂ 高値は換気不足を示すため、人工呼吸器離脱の障害になります。
臨床工学技士としての注意点 離脱評価では、血液ガスだけでなく、呼吸回数、一回換気量、分時換気量、SpO₂、痰の量、咳嗽力、意識状態、循環動態、人工呼吸器アラームを確認します。
選択肢の確認
1.誤り。 選択肢1は a、b の組合せです。pH 7.40 は正常で、FIO₂ 0.21 で PaO₂ 70 mmHg なら酸素化も大きな障害とはいえません。
2.誤り。 選択肢2は a、e の組合せです。pH 7.40 と自発呼吸回数20回/分はいずれも離脱の障害としては不適切です。
3.誤り。 選択肢3は b、c の組合せです。cは障害となりますが、bは離脱の障害とはいえません。
4.正しい。 選択肢4は c、d の組合せです。PaCO₂ 70 mmHg は換気不足を示し、自力で痰を喀出できないことは抜管後トラブルの原因となるため、どちらも離脱の障害になります。
5.誤り。 選択肢5は d、e の組合せです。dは障害となりますが、eの自発呼吸回数20回/分は離脱の障害としては不適切です。
覚えるポイント
- 人工呼吸器離脱では、酸素化と換気の両方を確認します。
- PaCO₂ 高値は換気不足を示します。
- FIO₂ 0.21 で PaO₂ 70 mmHg なら、酸素化は比較的保たれています。
- 自力で痰を喀出できないことは離脱・抜管の障害になります。
- 呼吸回数20回/分は、単独では離脱障害とは判断しにくいです。
39PM66
問題文
[39PM66] SAS(睡眠時無呼吸症候群)について正しいのはどれか。
選択肢
1.PSG 検査(終夜睡眠ポリグラフ検査)では酸素飽和度の測定は行わない。 2.1 時間あたりの無呼吸・低呼吸回数が 3 回以上で診断される。 3.閉塞型 SAS の原因は呼吸中枢の障害である。 4.マウスピースは中枢型 SAS の治療に用いられる。 5.扁桃肥大がある場合は外科手術を考慮する。
答え
5.扁桃肥大がある場合は外科手術を考慮する。
解説
正答
5
この問題のポイント
この問題では、SAS(睡眠時無呼吸症候群)の検査、診断、病型、治療を理解しているかが問われています。
SASには主に、上気道の閉塞による閉塞型睡眠時無呼吸と、呼吸中枢の異常による中枢型睡眠時無呼吸があります。
国家試験では、閉塞型SAS、PSG検査、AHI、CPAP、口腔内装置、外科治療をセットで押さえます。
解説
SASでは、睡眠中に無呼吸や低呼吸が繰り返され、低酸素血症、睡眠分断、日中の眠気、集中力低下、高血圧、不整脈などにつながります。
診断で重要なのが、PSG検査(終夜睡眠ポリグラフ検査)です。PSGでは、脳波、眼球運動、筋電図、呼吸運動、気流、心電図、酸素飽和度などを総合的に記録します。
SASの重症度評価では、1時間あたりの無呼吸・低呼吸回数を表す AHI を用います。一般に、AHIが5以上で症状などを伴う場合にSASとして扱われます。3回以上ではありません。
閉塞型SASの原因は、呼吸中枢の障害ではなく、睡眠中の上気道閉塞です。肥満、下顎後退、扁桃肥大、舌根沈下などが関係します。
扁桃肥大が原因として明らかな場合には、気道閉塞を改善するために外科手術を考慮します。
臨床工学技士としての注意点 SASでは、CPAP装置の圧設定、マスクフィッティング、リーク、使用時間、加温加湿、アドヒアランス確認が重要です。患者が継続して使えるように支援することも大切です。
選択肢の確認
1.誤り。 PSG検査では酸素飽和度も測定します。睡眠中の低酸素の程度を評価するため、SpO₂の測定は重要です。
2.誤り。 SASは、一般にAHIが5以上で症状などを伴う場合に診断されます。1時間あたり3回以上という記述は不適切です。
3.誤り。 閉塞型SASの原因は呼吸中枢の障害ではなく、上気道の閉塞です。呼吸中枢の障害は中枢型SASで考えます。
4.誤り。 マウスピースなどの口腔内装置は、主に閉塞型SASで下顎を前方に保持し、上気道を広げる目的で用いられます。中枢型SASの治療として選ぶものではありません。
5.正しい。 扁桃肥大により上気道閉塞が起こっている場合、原因を取り除くために外科手術を考慮します。
覚えるポイント
- PSG検査では、睡眠状態、呼吸、SpO₂、心電図などを評価します。
- SASの評価にはAHIを用います。
- 閉塞型SASは、上気道閉塞が原因です。
- 中枢型SASは、呼吸中枢の障害が原因です。
- 閉塞型SASの治療には、CPAP、口腔内装置、外科手術などがあります。
- 扁桃肥大が原因の場合は、外科手術を考慮します。
39PM67
問題文
[39PM67] 酸素療法の合併症について誤っているのはどれか。
選択肢
1.酸素中毒の主な原因は高濃度酸素による活性酸素の過剰産生である。 2.新生児では酸素中毒による急性肺傷害に注意が必要である。 3.高濃度酸素投与は未熟児網膜症のリスクを高める。 4.CO₂ ナルコーシスでは意識障害が認められる。 5.CO₂ ナルコーシスでは過換気になる。
答え
5.CO₂ ナルコーシスでは過換気になる。
解説
正答
5
この問題のポイント
この問題では、酸素療法の合併症と、CO₂ナルコーシスの病態が問われています。
酸素療法は低酸素血症の改善に有効ですが、高濃度酸素を長時間投与すると酸素中毒、吸収性無気肺、CO₂ナルコーシス、未熟児網膜症などに注意が必要です。
解説
酸素中毒では、高濃度酸素により活性酸素が過剰に発生し、肺や中枢神経などに障害を起こすことがあります。
特に新生児や未熟児では、酸素投与に伴う肺障害や網膜障害に注意します。未熟児では網膜血管の発達が未熟なため、高濃度酸素投与が未熟児網膜症のリスクを高めます。
CO₂ナルコーシスは、慢性的に二酸化炭素が高い患者に高濃度酸素を投与した場合などに、換気が低下してPaCO₂がさらに上昇し、意識障害を来す状態です。
CO₂ナルコーシスでは、過換気ではなく低換気が問題になります。したがって、「CO₂ナルコーシスでは過換気になる」は誤りです。
国家試験ではここを押さえる PaCO₂は主に肺胞換気量に左右されます。CO₂ナルコーシスでは換気が低下し、PaCO₂が上昇します。
臨床工学技士としての注意点 酸素療法では、SpO₂だけでなく、意識状態、呼吸数、PaCO₂、酸素流量、FIO₂、加温加湿、酸素供給源を確認します。慢性高CO₂血症の患者では、酸素投与後の換気低下に注意します。
選択肢の確認
1.記述としては正しい。 酸素中毒では、高濃度酸素により活性酸素が過剰に産生され、細胞障害や肺障害を引き起こします。
2.記述としては正しい。 新生児では酸素中毒による肺障害に注意が必要です。酸素濃度や投与時間を慎重に管理します。
3.記述としては正しい。 高濃度酸素投与は未熟児網膜症のリスクを高めます。未熟児では酸素管理が特に重要です。
4.記述としては正しい。 CO₂ナルコーシスでは高CO₂血症により意識障害が認められます。傾眠、頭痛、意識レベル低下などに注意します。
5.正答。記述としては誤り。 CO₂ナルコーシスでは過換気ではなく、低換気が問題になります。換気低下によりPaCO₂が上昇し、意識障害を来します。
覚えるポイント
- 高濃度酸素は活性酸素を増やし、酸素中毒を起こすことがあります。
- 未熟児では未熟児網膜症に注意します。
- CO₂ナルコーシスでは、PaCO₂上昇と意識障害が重要です。
- CO₂ナルコーシスは過換気ではなく低換気で起こります。
- 酸素療法では、SpO₂だけでなくPaCO₂や意識状態も確認します。
39PM68
問題文
[39PM68] 人工心肺装置を用いた体外循環中の生体反応について誤っているのはどれか。 a.体外循環導入時の血液中カテコラミン希釈は血圧降下をもたらす。 b.低体温体外循環ではヘモグロビン酸素解離曲線は右方移動する。 c.血液中グルカゴン濃度は低下する。 d.血液中カルシウム濃度は低下する。 e.補体が活性化される。
選択肢
1.a、b 2.a、e 3.b、c 4.c、d 5.d、e
答え
3.b、c
解説
正答
3
この問題のポイント
この問題では、人工心肺を用いた体外循環中の生体反応が問われています。
体外循環では、血液希釈、低体温、人工物接触、内分泌反応、電解質変化、補体活性化などが起こります。
この問題は「誤っているもの」の組合せを選ぶ問題です。誤っている小項目は b、c です。
解説
人工心肺を開始すると、回路内の充填液によって血液希釈が起こります。これにより、血液中のカテコラミン濃度が希釈され、末梢血管抵抗や血圧が低下することがあります。
低体温体外循環では、体温低下によりヘモグロビンの酸素親和性が増加します。そのため、酸素解離曲線は左方移動します。右方移動ではありません。
体外循環は生体にとって大きな侵襲です。ストレス反応としてカテコラミン、コルチゾール、グルカゴンなどのホルモンが増加しやすくなります。したがって、血液中グルカゴン濃度が低下するという記述は誤りです。
また、体外循環では血液希釈やクエン酸を含む血液製剤の使用などにより、血液中カルシウム濃度が低下することがあります。
血液が人工肺や回路表面と接触すると、炎症反応や補体系が活性化されます。これは体外循環の重要な生体反応です。
臨床工学技士としての注意点 体外循環中は、血圧、灌流量、ヘマトクリット、電解質、酸塩基平衡、温度、凝固、補体・炎症反応などを総合的に管理します。生体反応を理解して、モニタ値の変化を早期に捉えることが重要です。
選択肢の確認
1.誤り。 選択肢1は a、b の組合せです。bは誤りですが、aは記述として正しいため、誤っている小項目だけの組合せではありません。
2.誤り。 選択肢2は a、e の組合せです。aもeも記述として正しい内容です。
3.正答。誤っている小項目の組合せです。 選択肢3は b、c の組合せです。低体温では酸素解離曲線は右方ではなく左方移動します。また、体外循環中のストレス反応ではグルカゴンは低下ではなく増加しやすいです。
4.誤り。 選択肢4は c、d の組合せです。cは誤りですが、dは記述として正しいため、誤っている小項目だけの組合せではありません。
5.誤り。 選択肢5は d、e の組合せです。dもeも記述として正しい内容です。
覚えるポイント
- 体外循環導入時は血液希釈により血圧低下が起こることがあります。
- 低体温ではヘモグロビン酸素解離曲線は左方移動します。
- 体外循環はストレス反応を起こし、グルカゴンなどが増加しやすいです。
- 血液希釈などによりカルシウム濃度が低下することがあります。
- 人工物表面との接触により補体が活性化されます。
39PM69
問題文
[39PM69] 正しいのはどれか。 a.人工心肺装置を用いた体外循環中は高カリウム血症になる。 b.インスリンはカリウムの細胞内への移動を促進する。 c.低カリウム血症では不整脈が出やすくなる。 d.低カリウム液は心筋保護時の心停止に用いられる。 e.溶血すると低カリウム血症になる。
選択肢
1.a、b 2.a、e 3.b、c 4.c、d 5.d、e
答え
3.b、c
解説
正答
3
この問題のポイント
この問題では、カリウムの体内移動と、体外循環・心筋保護・溶血との関係が問われています。
カリウムは細胞内に多く存在する電解質で、血清カリウム値の異常は心電図変化や不整脈に直結します。
解説
小項目を確認します。
- a.人工心肺装置を用いた体外循環中は高カリウム血症になる。 誤りです。体外循環中に必ず高カリウム血症になるわけではありません。血液希釈、尿量、輸血、心筋保護液、溶血など多くの要因で変動します。
- b.インスリンはカリウムの細胞内への移動を促進する。 正しいです。インスリンはカリウムを細胞内へ移動させ、血清カリウムを低下させる方向に働きます。
- c.低カリウム血症では不整脈が出やすくなる。 正しいです。低カリウム血症では心筋の興奮性や再分極に影響し、不整脈が起こりやすくなります。
- d.低カリウム液は心筋保護時の心停止に用いられる。 誤りです。心筋保護液では、一般に高カリウムにより心筋を脱分極性に停止させます。低カリウム液で心停止させるわけではありません。
- e.溶血すると低カリウム血症になる。 誤りです。赤血球内にはカリウムが多く含まれるため、溶血するとカリウムが血漿中へ出て、高カリウム血症の方向に働きます。
したがって、正しい小項目は b、c であり、選択肢3が正答です。
臨床工学技士としての注意点 体外循環では、カリウム、カルシウム、酸塩基平衡、心電図変化、心筋保護液の種類を常に意識します。高カリウムも低カリウムも不整脈の原因になります。
選択肢の確認
1.誤り。 選択肢1は a、b の組合せです。bは正しいですが、aが誤りです。体外循環中に必ず高カリウム血症になるとはいえません。
2.誤り。 選択肢2は a、e の組合せです。aもeも誤りです。溶血では低カリウムではなく高カリウムに注意します。
3.正しい。 選択肢3は b、c の組合せです。インスリンはカリウムを細胞内へ移動させ、低カリウム血症では不整脈が出やすくなります。
4.誤り。 選択肢4は c、d の組合せです。cは正しいですが、dが誤りです。心筋保護時の心停止には高カリウム液を用います。
5.誤り。 選択肢5は d、e の組合せです。どちらも誤りです。心筋保護では高カリウム、溶血では高カリウムを考えます。
覚えるポイント
- インスリンはカリウムの細胞内移動を促進します。
- 低カリウム血症では不整脈が出やすくなります。
- 心筋保護液では、一般に高カリウムで心停止を得ます。
- 溶血では赤血球内カリウムが出るため、高カリウム血症に注意します。
- 体外循環中のカリウムは、採血結果と心電図変化を合わせて評価します。
39PM70
問題文
[39PM70] 人工心肺装置を用いた体外循環中の患者管理について正しいのはどれか。 a.低体温体外循環中の pH スタットによる管理には二酸化炭素付加を行う。 b.人工心肺離脱に向けて灌流量を低下させる前にプロタミン投与を行う。 c.人工心肺離脱後は送血カニューレを脱血カニューレよりも先に抜く。 d.人工心肺を完全に離脱するまでは人工呼吸器は使用しない。 e.復温の際の脱血温と送血温の差は 10℃以内とする。
選択肢
1.a、b 2.a、e 3.b、c 4.c、d 5.d、e
答え
2.a、e
解説
正答
2
この問題のポイント
この問題では、人工心肺中の酸塩基管理、離脱操作、抗凝固管理、復温管理が問われています。
体外循環管理では、灌流量、圧、温度、酸塩基、抗凝固、換気再開、カニューレ抜去の順序を安全に判断する必要があります。
解説
小項目を確認します。
- a.低体温体外循環中の pH スタットによる管理には二酸化炭素付加を行う。 正しいです。pHスタット管理では、患者の実測温度でpHを一定に保つため、二酸化炭素を付加して管理します。
- b.人工心肺離脱に向けて灌流量を低下させる前にプロタミン投与を行う。 誤りです。プロタミンはヘパリンを中和する薬剤です。体外循環中は抗凝固が必要であり、通常は人工心肺から離脱し、十分に循環が安定してから投与します。灌流量低下前に投与するのは不適切です。
- c.人工心肺離脱後は送血カニューレを脱血カニューレよりも先に抜く。 誤りです。離脱後も再開の可能性や循環安定化を考慮し、送血側をすぐに先に抜くとは限りません。一般には脱血カニューレを先に抜き、送血カニューレは循環の安定確認や必要時の対応を考えて管理します。
- d.人工心肺を完全に離脱するまでは人工呼吸器は使用しない。 誤りです。人工心肺離脱に向けて肺換気を再開し、酸素化や換気、肺の膨張を確認します。完全離脱まで人工呼吸器を使用しないという記述は不適切です。
- e.復温の際の脱血温と送血温の差は 10℃以内とする。 正しいです。復温時は温度差が大きすぎると、気泡発生、血液障害、組織への温度ストレスなどの問題が起こりやすくなります。送血温と脱血温の差を大きくしすぎないことが重要です。
したがって、正しい小項目は a、e であり、選択肢2が正答です。
臨床工学技士としての注意点 人工心肺離脱時は、心拍再開、血圧、中心静脈圧、肺動脈圧、尿量、体温、血液ガス、ACT、人工呼吸器設定、除泡、送脱血状態をチームで確認します。プロタミン投与のタイミングは特に重要です。
選択肢の確認
1.誤り。 選択肢1は a、b の組合せです。aは正しいですが、bが誤りです。プロタミンは灌流量低下前ではなく、人工心肺離脱後に循環が安定してから投与します。
2.正しい。 選択肢2は a、e の組合せです。pHスタット管理で二酸化炭素付加を行うこと、復温時の脱血温と送血温の差を10℃以内にすることはいずれも正しいです。
3.誤り。 選択肢3は b、c の組合せです。どちらも誤りです。プロタミン投与の時期とカニューレ抜去の順序を正しく理解する必要があります。
4.誤り。 選択肢4は c、d の組合せです。どちらも誤りです。離脱に向けて人工呼吸器を再開し、換気・酸素化を確認します。
5.誤り。 選択肢5は d、e の組合せです。eは正しいですが、dが誤りです。人工心肺離脱前から人工呼吸器を使用して肺換気を再開します。
覚えるポイント
- pHスタット管理では、低体温中に二酸化炭素付加を行います。
- プロタミンはヘパリン中和薬であり、通常は人工心肺離脱後に投与します。
- 人工心肺離脱に向けて、人工呼吸器を再開して換気・酸素化を確認します。
- 復温時は、送血温と脱血温の差を大きくしすぎないよう管理します。
- 人工心肺管理では、温度、酸塩基、抗凝固、換気、循環を同時に確認します。
39PM71
問題文
[39PM71] 人工心肺装置を用いた体外循環中の心筋保護法について正しいのはどれか。 a.血液併用心筋保護法は心筋浮腫を軽減する。 b.細胞内液型心筋保護液は高ナトリウム液である。 c.常温における心筋虚血の安全限界は 60 分間である。 d.心筋温を 10℃低下させると心筋酸素消費量は 1/10 になる。 e.逆行性心筋保護液灌流法では冠静脈洞にカニューレを挿入する。
選択肢
1.a、b 2.a、e 3.b、c 4.c、d 5.d、e
答え
2.a、e
解説
正答
2
この問題のポイント
この問題では、人工心肺中の心筋保護法について問われています。
心筋保護では、心停止を得ること、心筋酸素消費量を下げること、虚血再灌流障害を減らすこと、冠動脈への灌流経路を理解することが重要です。
解説
心筋保護法は、大動脈遮断中に心筋を虚血障害から守るために行います。
代表的には、心筋保護液を冠動脈へ投与し、高カリウムなどにより心停止を得ます。さらに低温管理により心筋酸素消費量を低下させ、心筋障害を軽減します。
小項目を確認します。
- a.血液併用心筋保護法は心筋浮腫を軽減する。 正しいです。血液を併用することで酸素運搬能や膠質浸透圧の面で有利となり、晶質液のみの場合に比べて心筋浮腫を軽減しやすいと考えられます。
- b.細胞内液型心筋保護液は高ナトリウム液である。 誤りです。細胞内液型は、細胞内液に近い組成を意識した心筋保護液です。高ナトリウム液として覚えるのは不適切です。
- c.常温における心筋虚血の安全限界は 60 分間である。 誤りです。常温では心筋酸素消費量が大きく、虚血許容時間は長くありません。60分間を安全限界として扱うのは不適切です。
- d.心筋温を 10℃低下させると心筋酸素消費量は 1/10 になる。 誤りです。低温により心筋酸素消費量は低下しますが、10℃低下で1/10になるという表現は過大です。一般に温度低下により代謝は段階的に低下します。
- e.逆行性心筋保護液灌流法では冠静脈洞にカニューレを挿入する。 正しいです。逆行性灌流では、冠静脈洞から心筋保護液を注入し、冠静脈系を介して心筋へ灌流します。
したがって、正しい小項目は a、e であり、選択肢2が正答です。
臨床工学技士としての注意点 心筋保護では、投与経路、投与圧、投与量、温度、カリウム濃度、投与間隔、冠静脈洞圧、心筋温を確認します。心停止が確実に得られているか、心筋が十分に冷却されているかも重要です。
選択肢の確認
1.誤り。 選択肢1は a、b の組合せです。aは正しいですが、bが誤りです。細胞内液型心筋保護液を高ナトリウム液として扱うのは不適切です。
2.正しい。 選択肢2は a、e の組合せです。血液併用心筋保護法による心筋浮腫軽減と、逆行性心筋保護液灌流法で冠静脈洞にカニューレを挿入することは、いずれも正しい内容です。
3.誤り。 選択肢3は b、c の組合せです。どちらも誤りです。常温心筋虚血の安全限界を60分間とするのは不適切です。
4.誤り。 選択肢4は c、d の組合せです。どちらも誤りです。低温により酸素消費量は低下しますが、10℃低下で1/10になるとはいえません。
5.誤り。 選択肢5は d、e の組合せです。eは正しいですが、dが誤りです。
覚えるポイント
- 心筋保護法は、大動脈遮断中の心筋虚血障害を減らすために行います。
- 血液併用心筋保護法は、酸素運搬や膠質浸透圧の面で有利です。
- 低温は心筋酸素消費量を低下させます。
- 逆行性心筋保護液灌流法では、冠静脈洞にカニューレを挿入します。
- 心筋保護では、温度、投与経路、圧、カリウム濃度をセットで確認します。
39PM72
問題文
[39PM72] 循環補助用心内留置型ポンプカテーテル(IMPELLA®)について正しいのはどれか。 a.左室仕事量を減少させる。 b.乳幼児に使用可能である。 c.小型遠心ポンプがカテーテルに組み込まれている。 d.大動脈弁に機械弁を装着されている場合は禁忌である。 e.パージシステムはモータ内に血液を浸入させない機能をもつ。
選択肢
1.a、b、c 2.a、b、e 3.a、d、e 4.b、c、d 5.c、d、e
答え
3.a、d、e
解説
正答
3
この問題のポイント
この問題では、IMPELLA®の基本構造、補助の向き、禁忌、安全管理が問われています。
IMPELLA®は、カテーテル先端のポンプを左室内に留置し、左室から大動脈へ血液を送り出す補助循環デバイスです。左室を直接除荷できる点が特徴です。
解説
IMPELLA®は、経皮的または外科的に挿入される心内留置型ポンプカテーテルです。
ポンプの流れは、
- 左室内から吸引
- 大動脈側へ送血
という方向です。
これにより左室内の血液量や圧を減らし、左室仕事量を低下させます。心原性ショックなどで、左室補助を目的として使用されます。
小項目を確認します。
- a.左室仕事量を減少させる。 正しいです。左室から直接血液をくみ出して大動脈へ送るため、左室除荷により左室仕事量を減少させます。
- b.乳幼児に使用可能である。 誤りです。IMPELLA®はカテーテル径や血管径、体格の制約があり、乳幼児に一般的に使用可能とする記述は不適切です。
- c.小型遠心ポンプがカテーテルに組み込まれている。 誤りです。IMPELLA®は小型の軸流ポンプ、つまりマイクロアキシャルポンプを用いる装置です。遠心ポンプではありません。
- d.大動脈弁に機械弁を装着されている場合は禁忌である。 正しいです。IMPELLA®は大動脈弁を通過して留置されるため、機械弁がある場合は通過できず禁忌となります。
- e.パージシステムはモータ内に血液を浸入させない機能をもつ。 正しいです。パージ液によりモータ部への血液流入を防ぎ、血栓形成やポンプ障害を防ぐ役割があります。
したがって、正しい小項目は a、d、e であり、選択肢3が正答です。
臨床工学技士としての注意点 IMPELLA®管理では、ポンプ位置、流量、Pレベル、パージ圧、パージ流量、抗凝固、溶血、吸引イベント、下肢虚血、アラーム対応を確認します。左室から大動脈へ流すデバイスであることを常に意識します。
選択肢の確認
1.誤り。 選択肢1は a、b、c の組合せです。aは正しいですが、bとcが誤りです。乳幼児に一般的に使用可能とはいえず、ポンプは遠心ポンプではありません。
2.誤り。 選択肢2は a、b、e の組合せです。aとeは正しいですが、bが誤りです。
3.正しい。 選択肢3は a、d、e の組合せです。左室仕事量の減少、大動脈機械弁で禁忌、パージシステムによる血液侵入防止はいずれも正しい内容です。
4.誤り。 選択肢4は b、c、d の組合せです。dは正しいですが、bとcが誤りです。
5.誤り。 選択肢5は c、d、e の組合せです。dとeは正しいですが、cが誤りです。IMPELLA®は遠心ポンプではなく軸流ポンプです。
覚えるポイント
- IMPELLA®は、左室から大動脈へ血液を送る補助循環デバイスです。
- 左室を直接除荷し、左室仕事量を減少させます。
- ポンプは小型軸流ポンプとして理解します。
- 大動脈弁機械弁では、大動脈弁を通過できないため禁忌です。
- パージシステムは、モータ内への血液侵入や血栓形成を防ぐために重要です。
39PM73
問題文
[39PM73] 人工心肺における安全管理上、必須でないのはどれか。
選択肢
1.レベルセンサを貯血槽に設置する。 2.送血ポンプの手動装置を常備する。 3.ローラポンプ送血で流量計を設置する。 4.送血圧力計を送血ポンプと人工肺の間に設置する。 5.送血フィルタもしくはエアトラップを送血回路に設置する。
答え
3.ローラポンプ送血で流量計を設置する。
解説
正答
3
この問題のポイント
この問題では、人工心肺の安全管理上必須となる装置・機能を理解しているかが問われています。
人工心肺では、空気誤送、貯血槽の空引き、送血圧上昇、ポンプ停止、停電、回路閉塞などを防ぐための安全機構が重要です。
解説
人工心肺では、患者の循環とガス交換を体外で代行します。そのため、機器トラブルや操作ミスがただちに重大事故につながる可能性があります。
各選択肢を確認します。
レベルセンサは、貯血槽の液面低下を検出します。貯血槽が空に近づいたまま送血を続けると、空気を患者側へ送る危険があるため、安全管理上重要です。
送血ポンプの手動装置は、停電やポンプ故障時に手動で送血を継続するために必要です。緊急時対応として常備します。
送血圧力計は、送血ポンプと人工肺の間などに設置し、回路閉塞、人工肺抵抗上昇、カニューレ閉塞などによる圧上昇を検出します。
送血フィルタやエアトラップは、微小気泡や異物が患者へ送られることを防ぐために重要です。
一方、ローラポンプ送血では、ポンプの回転数、チューブ内径、圧閉度から送血量を管理できます。流量計は有用ですが、安全管理上の必須項目としては他の選択肢ほど必須ではありません。
臨床工学技士としての注意点 人工心肺では、レベルセンサ、気泡検出器、圧モニタ、送血フィルタ、手動ハンドル、電源バックアップ、アラーム設定を必ず確認します。事故は「空気」「圧」「流量」「電源」「抗凝固」で起こりやすいです。
選択肢の確認
1.安全管理上、必須です。 貯血槽の液面低下を検出するレベルセンサは、空気誤送を防ぐために重要です。
2.安全管理上、必須です。 送血ポンプの手動装置は、ポンプ故障や停電時に送血を継続するために常備します。
3.正答。安全管理上、必須ではありません。 ローラポンプ送血では、回転数などから送血量を管理できます。流量計は有用ですが、安全管理上必須でないものとして選びます。
4.安全管理上、必須です。 送血圧力計は、送血回路の閉塞や人工肺抵抗上昇を検出するために重要です。送血ポンプと人工肺の間の圧監視は安全管理に直結します。
5.安全管理上、必須です。 送血フィルタまたはエアトラップは、気泡や異物の患者側流入を防ぐために重要です。
覚えるポイント
- 人工心肺の安全管理では、空気誤送防止が最重要項目の一つです。
- レベルセンサは、貯血槽の液面低下を検出します。
- 手動装置は、ポンプ停止や停電時のバックアップです。
- 送血圧力計は、回路閉塞や圧上昇の監視に必要です。
- 送血フィルタやエアトラップは、気泡・異物対策として重要です。
- ローラポンプでは流量計は有用ですが、安全管理上必須でないものとして扱います。
39PM74
問題文
[39PM74] ダイアライザのふるい係数について正しいのはどれか。
選択肢
1.負の値をとることがある。 2.クリアランスと同じ次元をもつ。 3.分子量が大きいほど大きな値をとる。 4.β₂ミクログロブリンでは治療中、経時的に増加する。 5.β₂ミクログロブリンでは血液系よりも水系の方が大きな値を示す。
答え
5.β₂ミクログロブリンでは血液系よりも水系の方が大きな値を示す。
解説
正答
5
この問題のポイント
この問題では、ダイアライザのふるい係数の意味が問われています。
ふるい係数は、膜をどの程度その溶質が通過できるかを表す指標です。血液濾過や血液透析濾過で、分子量の大きい溶質の透過性を考えるときに重要です。
解説
ふるい係数は、溶質が膜を通過する割合を表す無次元量です。
一般に、
- ふるい係数が 1 に近い:膜をよく通過する
- ふるい係数が 0 に近い:膜を通過しにくい
と考えます。
負の値をとるものではありません。また、クリアランスのように mL/min などの次元をもつ量ではなく、比として表す無次元量です。
分子量が大きい物質ほど、膜を通過しにくくなるため、ふるい係数は小さくなりやすいです。
β₂ミクログロブリンは中分子量物質であり、膜透過性評価でよく出題されます。血液系では、血漿タンパク、膜表面のタンパク付着、濃度分極、膜の目詰まりなどの影響を受けるため、水系で測定した場合よりふるい係数が低くなりやすいです。
したがって、β₂ミクログロブリンでは血液系よりも水系の方が大きな値を示す、という選択肢5が正答です。
ひっかけポイント ふるい係数はクリアランスではありません。単位のある処理量ではなく、膜を通過できる割合を示す無次元の指標です。
選択肢の確認
1.誤り。 ふるい係数は溶質が膜を通過する割合を表す指標であり、負の値をとるものではありません。0から1程度の範囲で考えます。
2.誤り。 クリアランスは mL/min などの次元をもつ量ですが、ふるい係数は比であり無次元です。
3.誤り。 一般に分子量が大きいほど膜を通過しにくくなり、ふるい係数は小さくなります。大きな値をとるわけではありません。
4.誤り。 β₂ミクログロブリンでは、治療中に膜表面へのタンパク付着や目詰まりなどの影響で、ふるい係数が経時的に低下しやすいと考えます。経時的に増加するという記述は不適切です。
5.正しい。 水系では血漿タンパクや膜表面の汚れの影響が少ないため、β₂ミクログロブリンのふるい係数は血液系より大きくなりやすいです。
覚えるポイント
- ふるい係数は、溶質が膜を通過する割合を表す指標です。
- ふるい係数は無次元量です。
- 分子量が大きいほど、ふるい係数は小さくなりやすいです。
- 血液系ではタンパク付着や濃度分極により、膜透過性が低下しやすいです。
- β₂ミクログロブリンでは、水系のふるい係数の方が血液系より大きくなりやすいです。
39PM75
問題文
[39PM75] ダイアライザに使用されている膜素材はどれか。 a.ポリエチレン b.ポリスルフォン c.ポリメチルメタクリレート d.セルローストリアセテート e.キュプロアンモニウムレーヨン(再生セルロース)
選択肢
1.a、b、c 2.a、b、e 3.a、d、e 4.b、c、d 5.c、d、e
答え
4.b、c、d
解説
正答
4
この問題のポイント
この問題では、ダイアライザ膜に使用される代表的な膜素材を選びます。
ダイアライザの膜素材では、合成高分子膜とセルロース系膜を整理して覚えることが重要です。
解説
ダイアライザ膜には、尿毒素や水分を効率よく除去し、かつ血液適合性が高い素材が用いられます。
小項目を確認します。
- a.ポリエチレン 誤りです。ポリエチレンは医療材料として広く使われますが、ダイアライザ膜の代表的な膜素材としては選びません。
- b.ポリスルフォン 正しいです。ポリスルフォンは、現在のダイアライザ膜で代表的な合成高分子膜素材です。透水性や溶質除去性能、生体適合性の面でよく用いられます。
- c.ポリメチルメタクリレート 正しいです。PMMA膜として知られ、ダイアライザ膜素材として使用されます。吸着特性をもつ膜としても出題されます。
- d.セルローストリアセテート 正しいです。セルロース系の膜素材で、ダイアライザに使用される膜素材です。
- e.キュプロアンモニウムレーヨン(再生セルロース) この問題の正答組合せには含まれません。再生セルロース系素材として歴史的には透析膜と関連しますが、この設問ではダイアライザに使用されている代表的な膜素材として、b、c、dの組合せを選びます。
したがって、正しい小項目は b、c、d であり、選択肢4が正答です。
ひっかけポイント ダイアライザ膜では、ポリスルフォン、PMMA、セルローストリアセテートを代表素材として押さえます。ポリエチレンは医療材料としてよく見る名前ですが、ダイアライザ膜素材としては選びません。
選択肢の確認
1.誤り。 選択肢1は a、b、c の組合せです。bとcは正しいですが、aのポリエチレンが不適切です。
2.誤り。 選択肢2は a、b、e の組合せです。bは正しいですが、aが不適切で、この問題ではeも正答組合せに含めません。
3.誤り。 選択肢3は a、d、e の組合せです。dは正しいですが、aが不適切で、この問題ではeも正答組合せに含めません。
4.正しい。 選択肢4は b、c、d の組合せです。ポリスルフォン、ポリメチルメタクリレート、セルローストリアセテートはいずれもダイアライザに使用される膜素材です。
5.誤り。 選択肢5は c、d、e の組合せです。cとdは正しいですが、この問題ではeを正答組合せに含めません。
覚えるポイント
- ダイアライザ膜素材では、ポリスルフォンが代表的です。
- PMMAはポリメチルメタクリレート膜です。
- セルローストリアセテートもダイアライザ膜素材として重要です。
- ポリエチレンはダイアライザ膜素材としては選びません。
- 膜素材は、透水性、溶質除去性能、生体適合性、吸着特性と結びつけて覚えます。
39PM76
問題文
[39PM76] 図の条件で透析が行われた。透析液出口側クレアチニン濃度[mg/dL]はどれか。 ただし、回路、膜へのクレアチニンの吸着はないものとする。
選択肢
1.4 2.5 3.8 4.10 5.12
答え
2.5
解説
正答
2
この問題のポイント
この問題では、血液透析における物質収支が問われています。
ポイントは、回路や膜へのクレアチニン吸着がないため、血液側で減少したクレアチニン量 = 透析液側で増加したクレアチニン量として計算できることです。
解説
図では、次の条件が示されています。
- 血流量:200 mL/min
- 血液入口クレアチニン濃度:12 mg/dL
- 血液出口クレアチニン濃度:2 mg/dL
- 透析液流量:400 mL/min
- 透析液入口クレアチニン濃度:0 mg/dL
- 透析液出口クレアチニン濃度:求める値
まず、血液側で除去されたクレアチニン量を求めます。
血流量 200 mL/min は、dL に直すと、
- 200 mL/min = 2 dL/min
血液側のクレアチニン濃度差は、
- 12 − 2 = 10 mg/dL
したがって、血液側から除去されたクレアチニン量は、
- 2 dL/min × 10 mg/dL = 20 mg/min
次に、透析液側で増加したクレアチニン濃度を求めます。
透析液流量 400 mL/min は、
- 400 mL/min = 4 dL/min
透析液入口のクレアチニン濃度は 0 mg/dL です。
透析液出口濃度を X mg/dL とすると、透析液側で増加したクレアチニン量は、
- 4 dL/min × X mg/dL
吸着がないので、血液側で減少した 20 mg/min と等しくなります。
- 4X = 20
- X = 5
したがって、透析液出口側クレアチニン濃度は 5 mg/dL です。
図で見るポイント 図では、血液側は 12 mg/dL から 2 mg/dL に低下しています。透析液側は 0 mg/dL で入り、クレアチニンを受け取って出口側で濃度が上がります。
血液流量と透析液流量が異なるため、濃度差だけでなく流量も必ず掛けて考えます。
ひっかけポイント 血液側の濃度差 10 mg/dL をそのまま答えにしてはいけません。血流量 200 mL/min と透析液流量 400 mL/min が異なるため、物質量でつり合わせる必要があります。
選択肢の確認
1.誤り。 4 mg/dL では、透析液側の増加量は 4 dL/min × 4 mg/dL = 16 mg/min となり、血液側で除去された 20 mg/min と一致しません。
2.正しい。 血液側で除去されたクレアチニン量は 20 mg/min です。透析液流量は 4 dL/min なので、20 mg/min / 4 dL/min = 5 mg/dL となります。
3.誤り。 8 mg/dL では、透析液側の増加量は 4 dL/min × 8 mg/dL = 32 mg/min となり、血液側の除去量より大きくなります。
4.誤り。 10 mg/dL は血液側の濃度差 12 − 2 に相当します。しかし、透析液出口濃度は流量を考慮して求める必要があります。
5.誤り。 12 mg/dL は血液入口濃度です。透析液出口濃度は、血液側の除去量と透析液流量から求めます。
覚えるポイント
- 吸着がない場合、血液側で減少した物質量 = 透析液側で増加した物質量です。
- 濃度だけでなく、必ず流量を掛けて物質量を求めます。
- 200 mL/min = 2 dL/min です。
- 400 mL/min = 4 dL/min です。
- 血液側の除去量は、2 dL/min × 10 mg/dL = 20 mg/min です。
- 透析液出口濃度は、20 mg/min / 4 dL/min = 5 mg/dL です。
39PM77
問題文
[39PM77] モニタリングに活性化凝固時間(ACT)を使用できるのはどれか。 a.メシル酸ナファモスタット b.未分画ヘパリン c.低分子ヘパリン d.ワルファリン e.アスピリン
選択肢
1.a、b 2.a、e 3.b、c 4.c、d 5.d、e
答え
1.a、b
解説
正答
1
この問題のポイント
この問題では、抗凝固薬ごとにモニタリングに用いる検査を区別できるかが問われています。
ACT(活性化凝固時間)は、体外循環や血液浄化療法などで抗凝固状態を迅速に確認するために用いられます。
主に、未分画ヘパリンやメシル酸ナファモスタットの管理で使用できます。
解説
ACTは、全血に活性化剤を加え、凝固するまでの時間を測定する検査です。
人工心肺、ECMO、カテーテル治療、血液浄化療法などでは、抗凝固が不足すると回路内凝固を起こし、過剰になると出血リスクが高まります。そのため、ベッドサイドで短時間に評価できるACTが重要になります。
小項目を確認します。
- a.メシル酸ナファモスタット ACTによるモニタリングが使用できます。血液浄化療法でよく用いられる短時間作用型の抗凝固薬です。
- b.未分画ヘパリン ACTによるモニタリングが使用できます。人工心肺や血液浄化療法などで頻用されます。
- c.低分子ヘパリン ACTでの管理には適しにくく、必要に応じて抗Xa活性などで評価します。
- d.ワルファリン PT-INRで管理します。ACTではなく、外因系凝固の評価を用います。
- e.アスピリン 抗血小板薬であり、凝固時間を直接延長させる薬ではありません。ACTで管理する薬剤ではありません。
したがって、ACTを使用できるのは a、b であり、選択肢1が正答です。
臨床工学技士としての注意点 体外循環や血液浄化では、抗凝固薬の種類、投与量、ACT、回路内凝固、出血傾向をセットで確認します。ACT値だけでなく、回路の色調、圧上昇、残血、穿刺部出血も観察します。
選択肢の確認
1.正しい。 選択肢1は a、b の組合せです。メシル酸ナファモスタットと未分画ヘパリンはいずれもACTによる抗凝固モニタリングに用いることができます。
2.誤り。 選択肢2は a、e の組合せです。aは正しいですが、eのアスピリンは抗血小板薬であり、ACTによる管理の対象としては不適切です。
3.誤り。 選択肢3は b、c の組合せです。bは正しいですが、cの低分子ヘパリンはACTでのモニタリングには適しにくいです。
4.誤り。 選択肢4は c、d の組合せです。低分子ヘパリンもワルファリンも、ACTで管理する代表薬ではありません。ワルファリンはPT-INRで管理します。
5.誤り。 選択肢5は d、e の組合せです。ワルファリンはPT-INR、アスピリンは抗血小板作用を考える薬剤であり、ACT管理の対象ではありません。
覚えるポイント
- ACTは、全血凝固時間を迅速にみる検査です。
- ACTは、未分画ヘパリンやメシル酸ナファモスタットの管理で使えます。
- ワルファリンはPT-INRで管理します。
- 低分子ヘパリンはACTでは評価しにくく、抗Xa活性などを考えます。
- アスピリンは抗血小板薬であり、ACT管理の代表ではありません。
39PM78
問題文
[39PM78] 血液透析で正しいのはどれか。 a.血圧低下に対して除水速度を下げた。 b.血圧低下に対して透析液温度を上げた。 c.尿素の Kt/V 低値が持続するため血液濾過に変更した。 d.治療前血清リン濃度高値が改善しないので血流量を下げた。 e.治療前血清カリウム濃度高値が改善しないので透析時間を延長した。
選択肢
1.a、b 2.a、e 3.b、c 4.c、d 5.d、e
答え
2.a、e
解説
正答
2
この問題のポイント
この問題では、血液透析中の血圧低下への対応と、尿素・リン・カリウムの除去条件を理解しているかが問われています。
血液透析では、除水、血流量、透析液流量、透析時間、透析液温度、膜性能が患者状態に大きく影響します。
解説
小項目を確認します。
- a.血圧低下に対して除水速度を下げた。 正しいです。透析中の血圧低下は、急速な除水による循環血液量低下が原因になることがあります。除水速度を下げることは適切な対応です。
- b.血圧低下に対して透析液温度を上げた。 誤りです。透析液温度を上げると末梢血管拡張により血圧低下を助長することがあります。血圧低下対策としては、透析液温度を下げる低温透析が検討されます。
- c.尿素の Kt/V 低値が持続するため血液濾過に変更した。 誤りです。尿素は小分子量物質で、拡散を主体とする血液透析で効率よく除去されます。Kt/V低値が持続する場合は、透析時間、血流量、透析液流量、膜面積、再循環などを見直します。
- d.治療前血清リン濃度高値が改善しないので血流量を下げた。 誤りです。血流量を下げると溶質除去効率は低下しやすくなります。リン高値に対しては、食事管理、リン吸着薬、透析量や透析時間の見直しを考えます。
- e.治療前血清カリウム濃度高値が改善しないので透析時間を延長した。 正しいです。透析時間を延長するとカリウム除去量を増やす方向に働きます。食事、薬剤、透析条件、透析液カリウム濃度も確認します。
したがって、正しい小項目は a、e であり、選択肢2が正答です。
ひっかけポイント 血圧低下時に透析液温度を「上げる」のではなく、通常は下げる方向を考えます。また、除去不足があるときに血流量を下げると、基本的には除去効率が悪化します。
臨床工学技士としての注意点 血液透析では、血圧、除水速度、血流量、透析液温度、静脈圧、TMP、透析液濃度、患者症状を総合的に確認します。血圧低下時には、除水停止・除水速度低下、補液、下肢挙上、透析条件変更などを状況に応じて行います。
選択肢の確認
1.誤り。 選択肢1は a、b の組合せです。aは正しいですが、bが誤りです。血圧低下に対して透析液温度を上げるのは不適切です。
2.正しい。 選択肢2は a、e の組合せです。血圧低下に対して除水速度を下げること、血清カリウム高値が改善しない場合に透析時間を延長することはいずれも適切です。
3.誤り。 選択肢3は b、c の組合せです。透析液温度を上げる対応も、尿素Kt/V低値に対して血液濾過へ変更する対応も不適切です。
4.誤り。 選択肢4は c、d の組合せです。尿素除去不足やリン高値に対しては、血流量や透析時間など除去効率を高める方向で検討します。血流量を下げるのは不適切です。
5.誤り。 選択肢5は d、e の組合せです。eは正しいですが、dが誤りです。リン高値が改善しない場合に血流量を下げると、除去効率が低下します。
覚えるポイント
- 透析中の血圧低下では、除水速度を下げることが重要です。
- 透析液温度を上げると血圧低下を助長することがあります。
- 尿素は小分子であり、血液透析の拡散でよく除去されます。
- リン高値では、食事、リン吸着薬、透析量、透析時間を見直します。
- カリウム高値が改善しない場合、透析時間延長は有効な対応の一つです。
39PM79
問題文
[39PM79] 血液吸着療法により除去できる溶質はどれか。 a.エンドトキシン b.リウマトイド因子 c.抗 DNA 抗体 d.低比重リポタンパク質 e.β₂ミクログロブリン
選択肢
1.a、b、c 2.a、b、e 3.a、d、e 4.b、c、d 5.c、d、e
答え
3.a、d、e
解説
正答
3
この問題のポイント
この問題では、血液吸着療法で除去対象となる代表的な溶質を選びます。
血液吸着療法は、吸着材を用いて血液中の特定物質を除去する治療です。代表例として、エンドトキシン吸着、LDL吸着、β₂ミクログロブリン吸着があります。
解説
血液吸着療法では、吸着カラムを通して血液を体外循環させ、目的物質を吸着材に結合させて除去します。
小項目を確認します。
- a.エンドトキシン 除去できます。ポリミキシンB固定化カラムなどによるエンドトキシン吸着療法が知られています。敗血症性ショックなどで出題されやすい項目です。
- b.リウマトイド因子 この問題の血液吸着療法で除去できる代表溶質としては選びません。免疫関連物質の除去では、血漿交換や免疫吸着などの文脈で整理します。
- c.抗 DNA 抗体 この問題の血液吸着療法で除去できる代表溶質としては選びません。自己抗体除去では、血漿交換や免疫吸着療法などを考えます。
- d.低比重リポタンパク質 除去できます。LDL吸着療法では、低比重リポタンパク質を選択的に除去します。
- e.β₂ミクログロブリン 除去できます。透析アミロイドーシスに関係するβ₂ミクログロブリンを吸着除去する治療があります。
したがって、血液吸着療法により除去できる溶質は a、d、e であり、選択肢3が正答です。
ひっかけポイント 「血液浄化で除去できるもの」と「血液吸着療法の代表的な除去対象」を分けて考えます。免疫グロブリンや自己抗体は、血漿交換・免疫吸着の文脈で出ることが多いです。
臨床工学技士としての注意点 血液吸着療法では、吸着カラムの種類、適応、抗凝固、血流量、圧上昇、凝固、アレルギー反応、治療時間を確認します。目的物質に応じて使用するカラムが異なります。
選択肢の確認
1.誤り。 選択肢1は a、b、c の組合せです。aのエンドトキシンは除去対象ですが、bとcはこの問題での血液吸着療法の代表溶質としては不適切です。
2.誤り。 選択肢2は a、b、e の組合せです。aとeは除去できますが、bが不適切です。
3.正しい。 選択肢3は a、d、e の組合せです。エンドトキシン、低比重リポタンパク質、β₂ミクログロブリンはいずれも血液吸着療法により除去できる代表的な溶質です。
4.誤り。 選択肢4は b、c、d の組合せです。dは除去できますが、bとcが不適切です。
5.誤り。 選択肢5は c、d、e の組合せです。dとeは除去できますが、cが不適切です。
覚えるポイント
- エンドトキシンは、エンドトキシン吸着療法で除去対象になります。
- 低比重リポタンパク質は、LDL吸着療法で除去対象になります。
- β₂ミクログロブリンは、吸着療法の除去対象になります。
- リウマトイド因子や抗DNA抗体は、血漿交換や免疫吸着の文脈で整理します。
- 吸着療法では、目的物質と吸着カラムの組合せを覚えることが重要です。
39PM80
問題文
[39PM80] 図のように 7 m/s の速さで滑ってきた質量 2 kg の物体が傾斜角 30°の斜面を登って行った。最高点に達したときの高さ H[m]に最も近いのはどれか。 ただし、水平面および斜面での摩擦は無視できるものとし、重力加速度の大きさを 9.8 m/s² とする。
選択肢
1.2.5 2.5 3.10 4.20 5.25
答え
1.2.5
解説
正答
1
この問題のポイント
この問題では、力学的エネルギー保存則を使って、物体が到達する最高点の高さ H を求めます。
摩擦が無視できるため、最初に物体がもっていた運動エネルギーが、最高点では重力による位置エネルギーに変わります。
図には質量 2 kg、速度 7 m/s、斜面角度 30°が示されていますが、高さ H だけを求める場合、斜面角度 30°は直接使いません。
解説
摩擦がないので、力学的エネルギーは保存されます。
最初、物体は速さ 7 m/s で運動しているため、運動エネルギーをもっています。
- 運動エネルギー = 1/2 × m × v^2
最高点では、物体の速度は一瞬 0 になるため、運動エネルギーは 0 になります。その代わり、上昇した高さ H による位置エネルギーをもっています。
- 位置エネルギー = m × g × H
摩擦がないので、
- 最初の運動エネルギー = 最高点での位置エネルギー
となります。
式を立てると、
- 1/2 × m × v^2 = m × g × H
両辺に m があるため、質量は打ち消されます。
- 1/2 × v^2 = g × H
H について解くと、
- H = v^2 / (2g)
値を代入します。
- v = 7 m/s
- g = 9.8 m/s²
したがって、
- H = 7^2 / (2 × 9.8)
- H = 49 / 19.6
- H = 2.5 m
よって、最高点の高さ H は 2.5 m に最も近く、正答は 1.2.5 です。
図で見るポイント 図では、物体が水平面を 7 m/s で進み、その後 30°の斜面を上っています。
求めるのは斜面に沿った距離ではなく、鉛直方向の高さ H です。そのため、エネルギー保存則を使えば、斜面角度を使わずに求められます。
ひっかけポイント 斜面角度 30°が与えられているため、三角比を使いたくなります。しかし、この問題で問われているのは高さ H です。
摩擦がない場合、到達できる高さは初速度だけで決まり、質量や斜面角度には依存しません。
選択肢の確認
1.正しい。 運動エネルギー 1/2 × m × 7^2 が、位置エネルギー m × 9.8 × H に変わります。質量 m は打ち消され、H = 49 / 19.6 = 2.5 m となります。
2.誤り。 5 m は、計算で 2g を使わずに近い値を出した場合などに選びやすい値です。運動エネルギーには 1/2 があるため、H = v^2 / g ではなく H = v^2 / (2g) です。
3.誤り。 10 m は高すぎます。初速度 7 m/s の運動エネルギーから到達できる高さは約 2.5 m です。
4.誤り。 20 m は、与えられた速度 7 m/s から考えると明らかに高すぎます。エネルギー保存則に代入すると一致しません。
5.誤り。 25 m はさらに過大です。質量 2 kg をそのまま掛けて大きく見積もる必要はありません。質量は計算途中で打ち消されます。
覚えるポイント
- 摩擦がない場合、力学的エネルギーは保存されます。
- 運動エネルギーは 1/2 × m × v^2 です。
- 位置エネルギーは m × g × H です。
- 最高点では、最初の運動エネルギーが位置エネルギーに変わります。
- H = v^2 / (2g) で求められます。
- この問題では、H = 49 / 19.6 = 2.5 m です。
- 高さだけを求める場合、質量 2 kg と斜面角度 30°は最終結果に影響しません。
39PM81
問題文
[39PM81] 粘弾性が原因で生じる現象はどれか。 a.降 伏 b.破 断 c.応力集中 d.応力緩和 e.クリープ
選択肢
1.a、b 2.a、e 3.b、c 4.c、d 5.d、e
答え
5.d、e
解説
正答
5
この問題のポイント
この問題では、粘弾性に特有の現象を選びます。
粘弾性とは、材料が弾性体の性質と粘性体の性質をあわせもつことです。生体軟組織、血管、皮膚、腱、軟骨などの力学的性質を理解するうえで重要です。
粘弾性で代表的に出題される現象は、応力緩和とクリープです。
解説
弾性体では、力を加えると変形し、力を取り除くと元に戻ります。
粘性体では、力を加えると時間とともに流れるように変形します。
生体組織の多くは、この2つの性質をあわせもつため、変形や応力が時間依存性を示します。
小項目を確認します。
- a.降伏 誤りです。降伏は、材料が弾性変形から塑性変形へ移る現象です。粘弾性特有の現象としては扱いません。
- b.破断 誤りです。破断は、材料が限界を超えて切断・破壊される現象です。粘弾性が原因で生じる代表現象ではありません。
- c.応力集中 誤りです。応力集中は、形状の不連続部や切欠きなどに応力が集中する現象です。粘弾性特有の時間依存現象ではありません。
- d.応力緩和 正しいです。一定のひずみを保つと、時間とともに応力が低下する現象です。粘弾性材料の代表的な性質です。
- e.クリープ 正しいです。一定の応力を加え続けると、時間とともにひずみが増加する現象です。これも粘弾性材料の代表的な性質です。
したがって、粘弾性が原因で生じる現象は d、e であり、選択肢5が正答です。
ひっかけポイント 応力緩和とクリープは、どちらも「時間とともに変化する」現象です。粘弾性では、力や変形を加えた瞬間だけでなく、その後の時間変化を見ることが重要です。
選択肢の確認
1.誤り。 選択肢1は a、b の組合せです。降伏と破断は、材料の塑性変形や破壊に関係する現象であり、粘弾性特有の代表現象ではありません。
2.誤り。 選択肢2は a、e の組合せです。eのクリープは正しいですが、aの降伏が不適切です。
3.誤り。 選択肢3は b、c の組合せです。破断と応力集中は、粘弾性が原因で生じる代表現象ではありません。
4.誤り。 選択肢4は c、d の組合せです。dの応力緩和は正しいですが、cの応力集中が不適切です。
5.正しい。 選択肢5は d、e の組合せです。応力緩和とクリープはいずれも粘弾性材料で生じる代表的な時間依存現象です。
覚えるポイント
- 粘弾性は、弾性と粘性をあわせもつ性質です。
- 応力緩和は、一定ひずみで応力が時間とともに低下する現象です。
- クリープは、一定応力でひずみが時間とともに増加する現象です。
- 生体軟組織、血管、皮膚、軟骨などは粘弾性を示します。
- 「時間依存性」が出てきたら、粘弾性を考えます。
39PM82
問題文
[39PM82] 粘性率 4×10⁻³ Pa・s の流体が内径 3 mm の直円管内を平均速度 12 cm/s で流れている。この流れのレイノルズ数と等しくなるように、粘性率 1×10⁻³ Pa・s の流体を内径 9 mm の直円管内に流したときの平均速度[cm/s]はどれか。 ただし、流体の密度は等しいものとする。
選択肢
1.0.25 2.1 3.9 4.16 5.144
答え
2.1
解説
正答
2
この問題のポイント
この問題では、レイノルズ数が等しくなる条件を使って、平均速度を求めます。
レイノルズ数は、流れが層流か乱流かを判断するための無次元数です。
直円管内流れでは、次の式で表されます。
- Re = ρ × v × D / μ
ここで、
- ρ:流体の密度
- v:平均速度
- D:管の内径
- μ:粘性率
解説
問題では、2つの流れのレイノルズ数を等しくするとあります。
密度は等しいため、ρは打ち消せます。
したがって、
- v1 × D1 / μ1 = v2 × D2 / μ2
となります。
与えられた値を整理します。
最初の流れは、
- μ1 = 4×10⁻³ Pa・s
- D1 = 3 mm
- v1 = 12 cm/s
次の流れは、
- μ2 = 1×10⁻³ Pa・s
- D2 = 9 mm
- v2 = 求める値
式を v2 について解きます。
- v2 = v1 × D1 × μ2 / (μ1 × D2)
代入します。
- v2 = 12 × 3 × 1×10⁻³ / (4×10⁻³ × 9)
10⁻³ は分子と分母にあるため打ち消せます。
- v2 = 12 × 3 × 1 / (4 × 9)
- v2 = 36 / 36
- v2 = 1 cm/s
したがって、平均速度は 1 cm/s です。
ひっかけポイント レイノルズ数では、速度と管径は分子、粘性率は分母にあります。
管径が大きくなるとレイノルズ数は大きくなりやすく、粘性率が小さくなってもレイノルズ数は大きくなりやすいです。今回は同じレイノルズ数にするため、速度をかなり小さくする必要があります。
選択肢の確認
1.誤り。 0.25 cm/s は小さすぎます。比を正しく立てると 1 cm/s になります。
2.正しい。 Re = ρvD/μ を用い、密度を打ち消して計算すると、v2 = 12 × 3 × 1 / (4 × 9) = 1 cm/s です。
3.誤り。 9 cm/s は、管径や粘性率の比を十分に反映していない値です。管径が3倍、粘性率が1/4になるため、同じReにするには速度を大きく下げる必要があります。
4.誤り。 16 cm/s は、速度を増やす方向で考えた誤りです。今回の条件では、同じレイノルズ数にするため速度は低下します。
5.誤り。 144 cm/s は大きすぎます。粘性率が低く管径が大きい条件でこの速度にすると、レイノルズ数は大きく増加します。
覚えるポイント
- レイノルズ数は Re = ρvD/μ です。
- 密度が等しい場合、ρは打ち消せます。
- 同じReなら、vD/μ が等しくなります。
- 管径が大きいほど、Reは大きくなりやすいです。
- 粘性率が小さいほど、Reは大きくなりやすいです。
- この問題では、v2 = 1 cm/s です。
39PM83
問題文
[39PM83] 観血式血圧測定においてトランスデューサの高さを心臓より 30 cm 低い位置で測定した場合の血圧は 133/93 mmHg であった。心臓の位置で測定した血圧[mmHg]はどれか。
選択肢
1.103/63 2.110/47 3.110/70 4.133/70 5.133/93
答え
3.110/70
解説
正答
3
この問題のポイント
この問題では、観血式血圧測定におけるトランスデューサの高さ補正が問われています。
観血式血圧では、トランスデューサのゼロ点を心臓の高さ、通常は右房レベルに合わせることが重要です。
トランスデューサが心臓より低い位置にあると、液柱の静水圧が加わるため、測定値は実際より高く表示されます。
解説
トランスデューサが心臓より 30 cm 低い位置にある場合、その高さ差の分だけ圧が高く測定されます。
水柱圧の換算として、
- 1 cmH₂O ≒ 0.735 mmHg
を用います。
30 cm の高さ差は、
- 30 × 0.735 = 22.05 mmHg
となります。
およそ 22 mmHg、選択肢上は約 23 mmHg と考えます。
測定された血圧は、
- 133/93 mmHg
です。
これは実際より約 23 mmHg 高く表示されています。
したがって、心臓の位置での血圧は、
- 収縮期血圧:133 − 23 = 110 mmHg
- 拡張期血圧:93 − 23 = 70 mmHg
よって、
- 110/70 mmHg
となります。
ひっかけポイント トランスデューサが心臓より低いと、測定値は高くなります。
低い位置で測った値から、静水圧分を引くのがポイントです。
臨床工学技士としての注意点 観血式血圧測定では、ゼロ点調整、トランスデューサ高さ、気泡混入、ライン閉塞、過減衰・共振、フラッシュ装置、加圧バッグ圧を確認します。高さがずれるだけで、血圧値は大きく変わります。
選択肢の確認
1.誤り。 103/63 mmHg は、30 mmHgをそのまま引いた値です。30 cmH₂Oは30 mmHgではなく、約22〜23 mmHgです。
2.誤り。 110/47 mmHg は、収縮期だけは近いですが、拡張期の補正が過大です。収縮期・拡張期とも同じ静水圧分を補正します。
3.正しい。 トランスデューサが心臓より30 cm低いと、約23 mmHg高く表示されます。133/93から約23 mmHgを引くと、110/70 mmHgになります。
4.誤り。 133/70 mmHg は、拡張期だけ補正した形です。高さ補正は収縮期・拡張期の両方に同じだけ行います。
5.誤り。 133/93 mmHg は、低い位置で測定された値そのものです。心臓の位置での血圧に補正する必要があります。
覚えるポイント
- 観血式血圧測定では、トランスデューサを心臓の高さに合わせます。
- トランスデューサが低いと、測定値は高く表示されます。
- 1 cmH₂O ≒ 0.735 mmHg です。
- 30 cmH₂O は約22〜23 mmHg です。
- この問題では、133/93 − 約23 = 110/70 mmHg です。
39PM84
問題文
[39PM84] ガソリンを燃焼させて得た 1 秒あたり 320 kJ の熱量を利用し、96 kW の出力を発生させるガソリンエンジンがある。このエンジンの熱効率[%]はどれか。
選択肢
1.3.3 2.18 3.30 4.70 5.82
答え
3.30
解説
正答
3
この問題のポイント
この問題では、熱効率を求めます。
熱効率は、入力された熱エネルギーのうち、どれだけが有効な仕事や出力になったかを表す割合です。
- 熱効率 = 出力 / 入力熱量 × 100
単位をそろえることが重要です。
解説
問題文では、ガソリン燃焼で得られる熱量が、
- 1秒あたり 320 kJ
と与えられています。
1秒あたりのエネルギーは仕事率です。
- 1 kJ/s = 1 kW
なので、
- 320 kJ/s = 320 kW
入力熱量は 320 kW と考えられます。
エンジンの出力は、
- 96 kW
です。
したがって、熱効率 η は、
- η = 出力 / 入力 × 100
- η = 96 / 320 × 100
- η = 0.3 × 100
- η = 30%
よって、正答は 3.30 です。
ひっかけポイント 320 kJ と 96 kW をそのまま比べるのではなく、320 kJ/s = 320 kW として単位をそろえます。
問題文の「1秒あたり」が、kJをkWに変換する手がかりです。
選択肢の確認
1.誤り。 3.3%は、96と320の比を逆に近い形で扱うなど、計算を誤った値です。正しくは96/320です。
2.誤り。 18%ではありません。出力96 kWは入力320 kWの約3割です。
3.正しい。 入力は320 kJ/s = 320 kW、出力は96 kWです。96/320 × 100 = 30%となります。
4.誤り。 70%は高すぎます。入力320 kWのうち96 kWしか有効出力になっていないため、効率は30%です。
5.誤り。 82%も高すぎます。エネルギー損失を無視したような値であり、与えられた数値からは得られません。
覚えるポイント
- 熱効率 = 有効出力 / 入力熱量 × 100 です。
- 1 kJ/s = 1 kW です。
- 「1秒あたり 320 kJ」は 320 kW と同じ意味です。
- この問題では、96 / 320 × 100 = 30%です。
- 効率計算では、分子と分母の単位を必ずそろえます。
39PM85
問題文
[39PM85] 正しいのはどれか。
選択肢
1.血液はニュートン流体である。 2.生体軟組織の変形挙動は線形である。 3.筋肉の音響インピーダンスは骨よりも大きい。 4.エラスチンのヤング率はコラーゲンよりも大きい。 5.生体組織の力学的挙動は弾性要素と粘性要素の直並列モデルで表される。
答え
5.生体組織の力学的挙動は弾性要素と粘性要素の直並列モデルで表される。
解説
正答
5
この問題のポイント
この問題では、生体組織の物性について、流体、力学、音響、材料特性を総合的に判断します。
生体組織の多くは、単純な弾性体ではなく、粘弾性体として振る舞います。そのため、バネで表す弾性要素と、ダッシュポットで表す粘性要素を組み合わせたモデルで表されます。
解説
生体材料や生体組織は、工業材料のように単純な性質だけでは表しにくいことが多いです。
血液は、流れの状態やせん断速度によって粘性が変化します。そのため、厳密にはニュートン流体ではなく、非ニュートン流体として扱います。
生体軟組織は、変形に対して非線形性を示します。小さな変形と大きな変形で硬さが変化することがあり、単純な線形弾性体としては扱いにくいです。
音響インピーダンスは、媒質の密度と音速に関係します。骨は筋肉より密度や音速が大きいため、一般に骨の音響インピーダンスは筋肉より大きいです。
ヤング率は材料の硬さを表す指標です。コラーゲンはエラスチンより硬く、ヤング率が大きいです。エラスチンは伸びやすい弾性線維として理解します。
生体組織の力学的挙動は、弾性要素と粘性要素を直列または並列に組み合わせた粘弾性モデルで表されます。代表例として、MaxwellモデルやVoigtモデルがあります。
ひっかけポイント 生体組織は「やわらかいから単純」ではありません。非線形性、粘弾性、異方性、時間依存性を示すため、単純な線形モデルだけでは表せないことが多いです。
選択肢の確認
1.誤り。 血液はせん断速度によって粘性が変化するため、非ニュートン流体として扱います。低せん断速度では特に赤血球凝集などの影響を受けます。
2.誤り。 生体軟組織の変形挙動は一般に非線形です。応力とひずみが単純な比例関係になるとは限りません。
3.誤り。 筋肉の音響インピーダンスは骨よりも小さいです。骨は密度や音速が大きいため、音響インピーダンスが高くなります。
4.誤り。 エラスチンは伸展性に富む線維であり、コラーゲンよりヤング率は小さいです。コラーゲンは強度や剛性に関係します。
5.正しい。 生体組織の力学的挙動は粘弾性を示すため、弾性要素と粘性要素を直列・並列に組み合わせたモデルで表されます。
覚えるポイント
- 血液は非ニュートン流体として扱います。
- 生体軟組織の変形挙動は非線形です。
- 骨の音響インピーダンスは筋肉より大きいです。
- コラーゲンはエラスチンよりヤング率が大きいです。
- 生体組織は粘弾性を示し、弾性要素と粘性要素の直並列モデルで表されます。
39PM86
問題文
[39PM86] 磁場の強さ[T]を示した図の(ア)、(イ)、(ウ)に対応するのはどれか。 ただし、肺磁図は酸化鉄粉じん肺の磁場である。
選択肢
1.(ア)脳磁図、(イ)心磁図、(ウ)肺磁図 2.(ア)心磁図、(イ)肺磁図、(ウ)脳磁図 3.(ア)肺磁図、(イ)脳磁図、(ウ)心磁図 4.(ア)心磁図、(イ)脳磁図、(ウ)肺磁図 5.(ア)脳磁図、(イ)肺磁図、(ウ)心磁図
答え
1.(ア)脳磁図、(イ)心磁図、(ウ)肺磁図
解説
正答
1
この問題のポイント
この問題では、生体磁気計測で扱う磁場の大きさを、桁で比較できるかが問われています。
図は対数目盛で、左ほど磁場が弱く、右ほど磁場が強いことを示しています。
代表的な強さの順序は、概ね次のように整理します。
- 脳磁図:非常に弱い
- 心磁図:脳磁図より強い
- 肺磁図:酸化鉄粉じん肺ではさらに強い
- 都市の磁気雑音・地球磁場:生体磁気よりはるかに強い
解説
生体の電気活動に伴って微弱な磁場が発生します。これを計測するのが生体磁気計測です。
図では、磁場の強さが 10^-14 T から 10^-4 T までの対数目盛で示されています。
(ア)
(ア)は最も左側にあり、最も弱い磁場を示しています。
脳の神経活動に伴う磁場は非常に弱く、心臓や酸化鉄粉じん肺の磁場より小さいため、(ア)は脳磁図に対応します。
(イ)
(イ)は(ア)より右側にあり、脳磁図より強い磁場を示しています。
心臓は脳より電気活動の規模が大きく、心臓の電気活動に伴う磁場は脳磁図より大きくなります。したがって、(イ)は心磁図に対応します。
(ウ)
(ウ)はさらに右側にあり、(ア)(イ)より強い磁場を示しています。
この問題では、肺磁図は酸化鉄粉じん肺の磁場とされています。酸化鉄粉じん肺では、肺内に磁性体である酸化鉄粉じんが存在するため、通常の生体電気活動による磁場より大きな磁場として扱われます。
したがって、(ウ)は肺磁図に対応します。
図で見るポイント 図では、(ア)が 10^-14〜10^-12 T 付近、(イ)が 10^-12〜10^-10 T 付近、(ウ)が 10^-10〜10^-8 T 付近に配置されています。
左から順に、脳磁図、心磁図、肺磁図と考えます。
ひっかけポイント 肺磁図といっても、この問題では「酸化鉄粉じん肺の磁場」と指定されています。肺の通常の電気活動ではなく、磁性体である酸化鉄粉じんの影響を考えるため、心磁図より大きい側に配置されます。
選択肢の確認
1.正しい。 (ア)脳磁図、(イ)心磁図、(ウ)肺磁図の組合せです。磁場の強さは、脳磁図が最も弱く、心磁図がそれより強く、酸化鉄粉じん肺の肺磁図がさらに強いと考えます。
2.誤り。 (ア)を心磁図、(ウ)を脳磁図としている点が不適切です。脳磁図は非常に微弱なので、最も左側の(ア)に対応します。
3.誤り。 (ア)を肺磁図としている点が不適切です。酸化鉄粉じん肺の肺磁図は、脳磁図より強い磁場として扱います。
4.誤り。 (ア)を心磁図、(イ)を脳磁図としている点が逆です。脳磁図は心磁図より弱いので、より左側の(ア)に対応します。
5.誤り。 (ア)の脳磁図は正しいですが、(イ)を肺磁図、(ウ)を心磁図としている点が逆です。酸化鉄粉じん肺の肺磁図は心磁図より強い側に配置されます。
覚えるポイント
- 生体磁気は非常に微弱で、都市の磁気雑音や地球磁場よりかなり小さいです。
- 脳磁図は生体磁気の中でも特に弱い磁場です。
- 心磁図は脳磁図より強い磁場として扱います。
- 酸化鉄粉じん肺の肺磁図は、磁性体である酸化鉄粉じんの影響により、心磁図より強い側に配置されます。
- 生体磁気計測では、微弱磁場を測るためにSQUID磁束計や磁気シールド環境が重要になります。
39PM87
問題文
[39PM87] 光について誤っているのはどれか。
選択肢
1.波の性質をもつ。 2.質量をもつ。 3.粒子の性質をもつ。 4.真空中の光速は一定である。 5.エネルギーは周波数に比例する。
答え
2.質量をもつ。
解説
正答
2
この問題のポイント
この問題では、光の基本的性質が問われています。
光は、波としての性質と粒子としての性質をあわせもちます。粒子として扱うときは光子と呼びます。
ただし、光子は静止質量をもたないと考えます。そのため、「光は質量をもつ」という記述が誤りです。
解説
光は電磁波の一種です。
電磁波として考えると、光は波長、周波数、振幅などをもつ波として振る舞います。干渉、回折、反射、屈折などは、光の波としての性質に関係します。
一方で、光はエネルギーをもつ粒子、つまり光子としても振る舞います。光電効果などは、光の粒子性を示す代表的な現象です。
光子のエネルギーは、次の式で表されます。
- E = hν
ここで、
- E:光子のエネルギー
- h:プランク定数
- ν:周波数
つまり、光のエネルギーは周波数に比例します。
また、真空中の光速は一定で、約 3.0×10^8 m/s です。これは光の基本定数として重要です。
ただし、光子は静止質量をもちません。光はエネルギーや運動量をもちますが、「質量をもつ」と表現するのはこの問題では誤りです。
ひっかけポイント 光は粒子として振る舞うため、「粒子なら質量がある」と考えたくなります。しかし、光子は静止質量をもたない粒子です。
光はエネルギーをもつ、運動量をもつ、しかし静止質量はもたないと整理します。
選択肢の確認
1.記述としては正しい。 光は波の性質をもちます。干渉、回折、反射、屈折などは、光の波動性に関係します。
2.正答。記述としては誤り。 光子は静止質量をもちません。光はエネルギーや運動量をもちますが、質量をもつという記述は不適切です。
3.記述としては正しい。 光は粒子の性質ももちます。光子としてエネルギーを運び、光電効果などで粒子性が示されます。
4.記述としては正しい。 真空中の光速は一定です。真空中の光速は約 3.0×10^8 m/s です。
5.記述としては正しい。 光子のエネルギーは E = hν で表され、周波数 ν に比例します。周波数が高いほど、光子1個あたりのエネルギーは大きくなります。
覚えるポイント
- 光は波の性質をもちます。
- 光は粒子の性質ももち、粒子としては光子と呼ばれます。
- 光子は静止質量をもたないと考えます。
- 真空中の光速は一定で、約 3.0×10^8 m/s です。
- 光子のエネルギーは E = hν で、周波数に比例します。
- 光は、波動性と粒子性をあわせもつことを押さえます。
39PM88
問題文
[39PM88] 図に示す毛細血管の動脈端における濾過圧[mmHg]はどれか。
選択肢
1.−9 2.−7 3.1 4.3 5.13
答え
5.13
解説
正答
5
この問題のポイント
この問題では、毛細血管の濾過圧を求めます。
毛細血管では、血管内外の静水圧と膠質浸透圧の差によって、水分が血管外へ出るか、血管内へ戻るかが決まります。
動脈端では、毛細血管内の静水圧が高いため、一般に濾過、つまり血管外へ水分が出る方向に働きます。
解説
毛細血管の濾過圧は、Starlingの考え方で整理します。
図の動脈端で使う値は次のとおりです。
- 動脈側静水圧:30 mmHg
- 間質液圧:−5 mmHg
- 血漿膠質浸透圧:28 mmHg
- 間質液膠質浸透圧:6 mmHg
濾過を促進する向き、つまり血管内から間質へ水を出す力は、
- 毛細血管内の静水圧
- 間質液の膠質浸透圧
- 間質液圧が陰圧であることによる吸引
です。
一方、血管内へ水を戻す向きに働く主な力は、
- 血漿膠質浸透圧
です。
式で表すと、
- 濾過圧 = (毛細血管静水圧 − 間質液圧)−(血漿膠質浸透圧 − 間質液膠質浸透圧)
動脈端では、
- 毛細血管静水圧 = 30 mmHg
- 間質液圧 = −5 mmHg
- 血漿膠質浸透圧 = 28 mmHg
- 間質液膠質浸透圧 = 6 mmHg
代入します。
- 濾過圧 = {30 −(−5)} −(28 − 6)
- 濾過圧 = 35 − 22
- 濾過圧 = 13 mmHg
したがって、動脈端における濾過圧は 13 mmHg です。
図で見るポイント 図では、動脈端の静水圧が 30 mmHg、静脈端の静水圧が 10 mmHg と示されています。
この問題は「動脈端」を問うているため、10 mmHg ではなく 30 mmHg を使います。
また、間質液圧が −5 mmHg なので、30 −(−5)となり、血管外へ水を引き出す方向に働きます。
ひっかけポイント 間質液圧が −5 mmHg である点が重要です。単純に 30 − 28 + 6 − 5 とすると 3 mmHg になってしまいますが、間質液圧は負の値なので、30 −(−5)として扱います。
選択肢の確認
1.誤り。 −9 mmHgではありません。動脈端では毛細血管静水圧が高く、濾過方向の力が優位になります。
2.誤り。 −7 mmHgではありません。血漿膠質浸透圧だけを強く見積もると負の値を選びやすくなりますが、間質液圧と間質液膠質浸透圧も考慮します。
3.誤り。 1 mmHgではありません。動脈側静水圧 30 mmHg、間質液圧 −5 mmHg、膠質浸透圧差を正しく入れると 13 mmHg になります。
4.誤り。 3 mmHgは、間質液圧 −5 mmHg の符号を誤って扱った場合に選びやすい値です。間質液圧が陰圧なので、30 −(−5)として計算します。
5.正しい。 濾過圧 = {30 −(−5)} −(28 − 6)= 35 − 22 = 13 mmHg です。したがって、動脈端の濾過圧は 13 mmHg です。
覚えるポイント
- 毛細血管の濾過圧は、静水圧と膠質浸透圧の差で決まります。
- 基本式は 濾過圧 =(毛細血管静水圧 − 間質液圧)−(血漿膠質浸透圧 − 間質液膠質浸透圧) です。
- 動脈端では毛細血管静水圧が高く、濾過が起こりやすいです。
- 間質液圧が負の値の場合、符号の扱いに注意します。
- この問題では、13 mmHg が濾過圧です。
39PM89
問題文
[39PM89] 植込み材料の表面で起こる血栓形成の要因として正しいのはどれか。 a.溶 血 b.多糖の分解 c.血小板の凝集 d.タンパク質の変性 e.プラスミンの放出
選択肢
1.a、b 2.a、e 3.b、c 4.c、d 5.d、e
答え
4.c、d
解説
正答
4
この問題のポイント
この問題では、植込み材料表面での血栓形成に関係する反応を理解しているかが問われています。
血液が人工材料表面に接触すると、まずタンパク質が吸着し、その構造が変化します。そこへ血小板が付着・活性化・凝集し、凝固反応が進むことで血栓形成につながります。
重要なのは、タンパク質の変性と血小板の凝集です。
解説
植込み材料や体外循環回路などの人工材料が血液と接触すると、血液適合性が問題になります。
人工材料表面では、次のような流れで血栓形成が起こりやすくなります。
- 血漿タンパク質が材料表面に吸着する
- 吸着したタンパク質が変性する
- 変性タンパク質を介して血小板が付着する
- 血小板が活性化・凝集する
- 凝固系が活性化され、フィブリン形成が進む
- 血栓が形成される
小項目を確認します。
- a.溶血 溶血は赤血球が破壊される現象です。機械的せん断や材料との接触で起こることはありますが、植込み材料表面での血栓形成の直接的な代表要因としては選びません。
- b.多糖の分解 多糖の分解は、植込み材料表面での血栓形成の主要な反応としては不適切です。
- c.血小板の凝集 正しいです。人工材料表面に血小板が付着し、活性化されて凝集することは血栓形成の重要な要因です。
- d.タンパク質の変性 正しいです。材料表面に吸着した血漿タンパク質が変性すると、血小板付着や凝固反応を促進しやすくなります。
- e.プラスミンの放出 誤りです。プラスミンはフィブリンを分解する線溶系に関係します。血栓形成を促進する要因ではなく、むしろ血栓を分解する方向に働きます。
したがって、正しい小項目は c、d であり、選択肢4が正答です。
臨床工学技士としての注意点 人工心肺回路、ECMO回路、血液浄化回路、カテーテル、人工血管、人工弁などでは、材料表面での血液反応が重要です。抗凝固管理だけでなく、材料表面、流速、せん断、停滞、圧変化も血栓形成に関係します。
選択肢の確認
1.誤り。 選択肢1は a、b の組合せです。溶血は人工材料や機械的刺激で起こることがありますが、血栓形成の代表要因としては不適切です。多糖の分解も主要な血栓形成要因ではありません。
2.誤り。 選択肢2は a、e の組合せです。溶血は血栓形成の直接的な代表要因ではなく、プラスミンは線溶に関係し、血栓を分解する方向に働きます。
3.誤り。 選択肢3は b、c の組合せです。cの血小板凝集は正しいですが、bの多糖の分解が不適切です。
4.正しい。 選択肢4は c、d の組合せです。血小板の凝集とタンパク質の変性はいずれも、植込み材料表面での血栓形成に重要な要因です。
5.誤り。 選択肢5は d、e の組合せです。dのタンパク質変性は正しいですが、eのプラスミン放出は血栓形成ではなく線溶に関係します。
覚えるポイント
- 人工材料表面では、まず血漿タンパク質が吸着します。
- 吸着したタンパク質の変性は血小板付着や凝固を促進します。
- 血小板の凝集は血栓形成の中心的な反応です。
- プラスミンはフィブリン分解に関係し、血栓形成ではなく線溶系に関係します。
- 植込み材料や体外循環回路では、材料表面の血液適合性と抗凝固管理が重要です。
39PM90
問題文
[39PM90] 正しいのはどれか。
選択肢
1.イオン化傾向が大きいほど電子を引き寄せやすい。 2.原子が電子を失うと陰イオンとなる。 3.電子が奪われることを還元という。 4.非金属元素は電子を失いやすい。 5.原子核は電子を引き寄せる。
答え
5.原子核は電子を引き寄せる。
解説
正答
5
この問題のポイント
この問題では、原子、イオン、酸化還元、イオン化傾向の基本が問われています。
原子は、正の電荷をもつ原子核と、負の電荷をもつ電子から成ります。正電荷と負電荷は引き合うため、原子核は電子を引き寄せます。
解説
原子核は陽子を含み、正の電荷をもちます。電子は負の電荷をもつため、原子核と電子の間には電気的な引力が働きます。
このため、原子核は電子を引き寄せます。選択肢5が正しい記述です。
他の選択肢は、イオン化傾向や酸化還元の基本事項を取り違えています。
イオン化傾向が大きい元素は、電子を引き寄せやすいのではなく、電子を失って陽イオンになりやすい性質をもちます。金属元素でよく問題になります。
原子が電子を失うと、負の電荷が減るため、全体として正に帯電します。したがって、陽イオンになります。陰イオンになるのは、電子を受け取った場合です。
酸化還元では、電子を失うことを酸化、電子を受け取ることを還元といいます。電子が奪われることは還元ではなく酸化です。
非金属元素は、一般に電子を受け取りやすく、陰イオンになりやすい性質をもちます。電子を失いやすいのは主に金属元素です。
ひっかけポイント 「電子を失う」と「電子を受け取る」を混同しないことが大切です。
- 電子を失う:酸化、陽イオンになりやすい
- 電子を受け取る:還元、陰イオンになりやすい
選択肢の確認
1.誤り。 イオン化傾向が大きいほど、電子を引き寄せやすいのではなく、電子を失って陽イオンになりやすいです。電子を引き寄せやすい性質は、電気陰性度や電子親和力と関連します。
2.誤り。 原子が電子を失うと、負の電荷が減るため陽イオンとなります。陰イオンとなるのは、電子を受け取った場合です。
3.誤り。 電子が奪われることは酸化です。還元は電子を受け取ることです。
4.誤り。 非金属元素は一般に電子を受け取りやすく、陰イオンになりやすいです。電子を失いやすいのは主に金属元素です。
5.正しい。 原子核は正の電荷をもち、電子は負の電荷をもつため、原子核は電子を引き寄せます。
覚えるポイント
- 原子核は正の電荷をもち、電子は負の電荷をもちます。
- 正電荷と負電荷は引き合うため、原子核は電子を引き寄せます。
- 電子を失うと陽イオンになります。
- 電子を受け取ると陰イオンになります。
- 電子を失うことは酸化、電子を受け取ることは還元です。
- イオン化傾向が大きい元素は、電子を失いやすいです。
