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78PM1問題・解答・解説
問題文
スピンエコー法のパルスシーケンスを図に示す。
矢印①の印加パルスに最も関係する構成機器はどれか。
選択肢
1.受信コイル
2.送信コイル
3.スライス選択傾斜磁場コイル
4.位相エンコード傾斜磁場コイル
5.周波数エンコード傾斜磁場コイル
答え
5.周波数エンコード傾斜磁場コイル
解説
正答
5.周波数エンコード傾斜磁場コイル
この問題のポイント
図はスピンエコー法のパルスシーケンスです。
パルスシーケンスでは、上から順におおまかに次のように読み取ります。
1段目:RFパルス
2段目:スライス選択傾斜磁場
3段目:位相エンコード傾斜磁場
4段目:周波数エンコード傾斜磁場
5段目:MR信号、つまりエコー信号
この問題では、矢印①が示している段がどのパルスかを判断します。
図の見方
一番上の波形はRFパルスです。左側が90度パルス、中央付近が180度パルスです。RFパルスは送信コイルから照射されます。
その下の段には、RFパルスと同じタイミングで出ている傾斜磁場があります。これはスライス選択傾斜磁場です。撮像する断面を選ぶために使われます。
さらに下の、細かい横線で示された矩形パルスは位相エンコード傾斜磁場です。位相エンコードは読み出しの前に短時間だけ印加され、繰り返しごとに強さを変えて位置情報を与えます。
矢印①が示しているのは、その下の段です。この段には、読み出し前の小さな傾斜磁場パルスと、右側の長い矩形パルスがあります。右側の長い矩形パルスは、最下段のエコー信号が出ている時間と重なっています。
信号を読み出している間に印加される傾斜磁場は、周波数エンコード傾斜磁場です。
したがって、矢印①の印加パルスに最も関係する構成機器は、周波数エンコード傾斜磁場コイルです。
選択肢の確認
1.受信コイル
誤りです。受信コイルは最下段に示されるMR信号を受信するためのコイルです。矢印①は信号そのものではなく、信号読み出し中に印加される傾斜磁場を示しています。
2.送信コイル
誤りです。送信コイルはRFパルスを照射するためのコイルです。図では一番上の90度パルスや180度パルスに関係します。矢印①が示す段はRFパルスではありません。
3.スライス選択傾斜磁場コイル
誤りです。スライス選択傾斜磁場はRFパルスと同じタイミングで印加されます。図では上から2段目に相当します。矢印①の段とは異なります。
4.位相エンコード傾斜磁場コイル
誤りです。位相エンコード傾斜磁場は、読み出し前に短時間印加される傾斜磁場です。図では上から3段目の横線入りの矩形パルスに相当します。
5.周波数エンコード傾斜磁場コイル
正しいです。周波数エンコード傾斜磁場は、エコー信号を読み出している間に印加されます。図では矢印①が示す段の右側の長い矩形パルスが、最下段のエコー信号と同じタイミングにあります。そのため、矢印①に最も関係する構成機器は周波数エンコード傾斜磁場コイルです。
覚えるポイント
スピンエコー法の図では、まず各段の役割を見分けます。
- 一番上の波形:RFパルス → 送信コイル
- RFパルスと同時に出る傾斜磁場:スライス選択傾斜磁場
- 読み出し前の短い傾斜磁場:位相エンコード傾斜磁場
- エコー信号と同時に出る傾斜磁場:周波数エンコード傾斜磁場
- 最下段の波形:MR信号 → 受信コイル
この図では、矢印①が示す段にある右側の長いパルスが、エコー信号の読み出し中に印加されています。
したがって、答えは「5.周波数エンコード傾斜磁場コイル」です。
78PM2問題・解答・解説
問題文
MRI装置で用いられるRFコイルで正しいのはどれか。
選択肢
1.ソレノイド型コイルは水平磁場方式で実用される。
2.QD型コイルはリニアコイルに比べて信号が2 倍になる。
3.バードケージ型コイルはサドル型コイルに比べて画像の均一性は低い。
4.ソレノイド型コイルはサドル型コイルに比べてSN 比が2倍良好である。
5.直径が10cm のシングルループ型コイルであれば実用感度領域は約20cmとなる。
答え
2.QD型コイルはリニアコイルに比べて信号が2倍になる。
解説
正答
2
この問題のポイント
MRIの RFコイル の種類と特徴を問う問題です。
RFコイルでは、形状、静磁場方向との関係、感度分布、均一性、SNRの違いがよく出題されます。
解説
MRIのRFコイルは、RFパルスの送信やMR信号の受信に用いられます。
QD型コイル は quadrature detection の考え方に基づき、互いに直交する2系統の信号を利用します。リニアコイルに比べて円偏波成分を効率よく利用できるため、信号取得の点で有利です。
この問題では、QD型コイルがリニアコイルに比べて信号を大きく得られることを確認します。
選択肢の確認
1.誤り。
ソレノイド型コイルは、コイル軸方向の磁場を利用する構造で、水平磁場方式の全身用MRIで一般的に実用されるRFコイルとしては扱いにくい形式です。水平磁場方式では、サドル型やバードケージ型などが重要です。
2.正しい。
QD型コイルは、直交する2つの受信成分を用いることで、リニアコイルより効率よく信号を得ます。本問ではこの特徴が問われています。
3.誤り。
バードケージ型コイルは、頭部用コイルなどで使われ、比較的均一なRF磁場を得やすい構造です。サドル型コイルに比べて画像の均一性が低いとはいえません。
4.誤り。
ソレノイド型コイルは局所的な高感度を得られる場合がありますが、サドル型コイルと比較して常にSN比が2倍良好であるとはいえません。RFコイルの性能は形状、対象部位、静磁場方向、使用条件で変わります。
5.誤り。
シングルループ型コイルの実用感度領域は、一般にコイル径と同程度からその近傍までと考えます。直径10 cmのコイルで実用感度領域が約20 cmになるとは考えにくいです。
覚えるポイント
- QD型コイル は直交2成分を利用するため信号取得で有利です。
- バードケージ型 は均一性に優れ、頭部用コイルなどで重要です。
- 表面コイル は近傍感度が高い一方、深部感度は低下します。
RFコイル問題では、「コイル形状」「静磁場方向」「均一性」「SNR」「感度領域」をセットで整理します。
78PM3問題・解答・解説
問題文
MRI撮影中に検査室の窓からクエンチによって検査室内が真っ白く曇ったのを
確認した。緊急排気を行ったが動作せず、検査室のドアも開かなくなった。
適切な対応はどれか。
選択肢
1.検査室の窓ガラスを割る。
2.消防車の出動を要請する。
3.装置の緊急停止ボタンを押す。
4.検査室内の空調のスイッチを切る。
5.患者にハンカチや衣類を口にあてて呼吸するように伝える。
答え
1.検査室の窓ガラスを割る。
解説
正答
1
この問題のポイント
MRIの クエンチ発生時の安全対応 を問う問題です。
クエンチでは液体ヘリウムが急速に気化し、検査室内の酸素濃度低下や室内圧上昇が起こります。患者の救出と換気経路の確保が最優先です。
解説
超電導MRI装置では、冷媒として液体ヘリウムが使われます。クエンチが起こると、液体ヘリウムが大量に気化し、白い霧のように見えることがあります。
通常はクエンチダクトや緊急排気により屋外へ排出されます。しかし、問題文では次の危険な状況がそろっています。
- 検査室内が白く曇っている
- 緊急排気が作動しない
- 検査室のドアが開かない
この状況では、室内圧上昇でドアが開かなくなっている可能性があり、酸素欠乏による窒息の危険があります。直ちに換気・救出経路を確保するため、検査室の窓ガラスを割る対応が適切です。
選択肢の確認
1.正しい。
緊急排気が動作せず、ドアも開かない場合は、患者を救出し酸素欠乏を防ぐために窓ガラスを割って換気・救出経路を確保します。
2.誤り。
消防への連絡は必要になる場合がありますが、設問では患者が閉じ込められている緊急状況です。最優先は検査室内の換気と救出経路の確保です。
3.誤り。
装置の緊急停止ボタンは、MRI撮影や装置動作を停止する目的です。すでにクエンチが起こり、排気不能・ドア開放不能の状態では、酸素欠乏への直接対策としては不十分です。
4.誤り。
空調を切っても、ヘリウムガスの排出や室内圧の改善にはなりません。むしろ換気を妨げる対応は不適切です。
5.誤り。
ハンカチや衣類を口に当てても酸素濃度低下は改善しません。酸欠対策として必要なのは、換気と救出です。
覚えるポイント
- クエンチでは 酸素欠乏 と 室内圧上昇 が重要です。
- ドアが開かない場合は、室内圧上昇を疑います。
- 排気不能・閉じ込めでは、換気と救出経路の確保を最優先します。
MRI安全管理では、「磁性体吸引」「高周波による発熱」「クエンチ時の酸欠」を分けて覚えます。
78PM4問題・解答・解説
問題文
超音波画像診断装置のプローブからの音場の模式図を図に示す。
図中の番号の説明で正しいのはどれか。
選択肢
1.①は平面波として進む音場領域である。
2.②はフレネルゾーンと呼ばれる音場領域である。
3.③の音場方向は方位分解能を評価できる。
4.④の音場方向はスライス方向分解能を評価できる。
5.⑤の音場方向は距離分解能を評価できる。
答え
1.①は平面波として進む音場領域である。
解説
正答
1.①は平面波として進む音場領域である。
この問題のポイント
図は、左側の超音波プローブから右方向へ超音波ビームが出ている様子を示しています。
この問題では、図中の番号が何を表しているかを読み取ります。
大きく分けると、次の2つを確認します。
- ①・②:プローブから出た音場の領域
- ③・④・⑤:超音波画像における分解能の方向
図の見方
①は、プローブに近い側の音場領域です。
この領域では、超音波ビームの広がりが比較的小さく、平面波のように進みます。
近距離音場、またはフレネルゾーンに相当する領域です。
②は、①よりも遠い側の音場領域です。
プローブから離れるにつれて音束が広がっていく領域で、遠距離音場、またはフラウンホーファーゾーンに相当します。
そのため、②をフレネルゾーンとする説明は誤りです。
③は、図では斜め方向に示されています。
これは走査面に垂直な厚み方向、つまりスライス方向を表します。
スライス方向分解能に関係する方向です。
④は、プローブから右へ向かう方向です。
これは超音波ビームが進む方向であり、深さ方向、つまり距離方向です。
距離分解能に関係します。
⑤は、図では上下方向に示されています。
これは走査面内でビームの進行方向に直交する方向であり、方位方向です。
方位分解能に関係します。
選択肢の確認
1.①は平面波として進む音場領域である。
正しいです。
①はプローブに近い近距離音場を示しています。この領域では音束が大きく広がらず、平面波のように進む音場領域と考えます。
したがって、これが正答です。
2.②はフレネルゾーンと呼ばれる音場領域である。
誤りです。
フレネルゾーンはプローブに近い近距離音場であり、図では①に相当します。
②は音束が広がっていく遠距離音場です。
3.③の音場方向は方位分解能を評価できる。
誤りです。
③は斜め方向で示されたスライス方向です。
方位分解能ではなく、スライス方向分解能に関係します。
4.④の音場方向はスライス方向分解能を評価できる。
誤りです。
④は超音波ビームの進行方向、つまり距離方向です。
スライス方向分解能ではなく、距離分解能に関係します。
5.⑤の音場方向は距離分解能を評価できる。
誤りです。
⑤はビームの進行方向ではなく、走査面内でビームに直交する方位方向です。
距離分解能ではなく、方位分解能に関係します。
番号の対応
この図では、番号を次のように整理できます。
- ①:近距離音場、平面波として進む領域
- ②:遠距離音場、音束が広がる領域
- ③:スライス方向
- ④:距離方向
- ⑤:方位方向
覚えるポイント
超音波画像の分解能は、方向で整理するとわかりやすくなります。
- 距離分解能:ビームの進行方向、図では④
- 方位分解能:走査面内でビームに直交する方向、図では⑤
- スライス方向分解能:走査面に垂直な厚み方向、図では③
また、音場領域は次のように覚えます。
- プローブに近い領域:近距離音場、フレネルゾーン
- プローブから遠い領域:遠距離音場、フラウンホーファーゾーン
この問題では、①がプローブ近くの平面波として進む音場領域を示しているため、答えは
「1.①は平面波として進む音場領域である。」です。
78PM5問題・解答・解説
問題文
腹部MR像を別に示す。
このアーチファクトを軽減する方法で正しいのはどれか。
選択肢
1.加算回数を増やす。
2.磁場強度を上げる。
3.バンド幅を広げる。
4.マトリクス数を増やす。
5.背側の脂肪信号を飽和パルスで抑制する。
答え
3.バンド幅を広げる。
解説
正答
3.バンド幅を広げる。
この問題のポイント
腹部MR像にみられるアーチファクトを、画像所見から判断する問題です。
この画像では、脂肪と水成分の境界に沿って、明るい帯と暗い帯がずれて見えています。
特に、腹壁の皮下脂肪や腹腔内脂肪と、筋肉・臓器などの水成分が接する部分で、境界が不自然に強調されて見えます。
これは ケミカルシフトアーチファクト の所見です。
ケミカルシフトアーチファクトを軽減する代表的な方法は、受信バンド幅を広げること です。
画像の見方
MR画像では、脂肪と水は同じ場所にあっても、共鳴周波数が少し異なります。
そのため、脂肪信号と水信号が周波数エンコード方向に少しずれて記録されます。
その結果、脂肪と水の境界で、
- 片側が黒く抜ける
- 反対側が白く重なって見える
- 境界が帯状に強調される
といった所見が出ます。
この画像でも、脂肪と臓器・筋肉の境界に沿って、明暗の帯状変化がみられます。
これは水と脂肪の周波数差による位置ずれであり、ケミカルシフトアーチファクトと判断します。
なぜバンド幅を広げると軽減できるのか
ケミカルシフトアーチファクトは、水と脂肪の周波数差によって起こります。
周波数エンコード方向では、周波数の違いを位置情報として画像化します。
そのため、水と脂肪の周波数が異なると、本来同じ位置にあるはずの脂肪信号が少しずれた位置に表示されます。
ここで受信バンド幅を広げると、1画素あたりに対応する周波数幅が大きくなります。
すると、水と脂肪の周波数差による「画素単位のずれ」が小さくなります。
したがって、ケミカルシフトアーチファクトを軽減するには、バンド幅を広げるのが有効です。
選択肢の確認
1.加算回数を増やす。
誤りです。
加算回数を増やすとSNRは改善しますが、水と脂肪の周波数差による位置ずれは改善しません。
そのため、ケミカルシフトアーチファクトの主な軽減法ではありません。
また、加算回数を増やすと撮像時間が長くなります。
2.磁場強度を上げる。
誤りです。
磁場強度を上げると、水と脂肪の共鳴周波数の差は大きくなります。
周波数差が大きくなると、ケミカルシフトによる位置ずれはむしろ目立ちやすくなります。
したがって、軽減法としては不適切です。
3.バンド幅を広げる。
正しいです。
バンド幅を広げると、1画素あたりの周波数幅が広くなります。
その結果、水と脂肪の周波数差によって生じる画素単位のずれが小さくなり、ケミカルシフトアーチファクトを軽減できます。
ただし、バンド幅を広げるとSNRは低下しやすい点に注意します。
4.マトリクス数を増やす。
誤りです。
マトリクス数を増やすと空間分解能には影響しますが、ケミカルシフトアーチファクトを直接軽減する方法ではありません。
条件によっては撮像時間の延長やSNR低下にもつながります。
5.背側の脂肪信号を飽和パルスで抑制する。
誤りです。
脂肪信号を抑えることで脂肪由来の信号は低下しますが、この選択肢のように「背側の脂肪信号だけ」を飽和パルスで抑制する方法は、ケミカルシフトアーチファクトの基本的な軽減法ではありません。
本問で問われている水と脂肪の位置ずれを軽減するには、受信バンド幅を広げることが最も適切です。
覚えるポイント
ケミカルシフトアーチファクトは、脂肪と水の共鳴周波数の違いで起こります。
- 出やすい場所:脂肪と水成分の境界
- 見え方:境界に明るい帯・暗い帯が出る
- 出る方向:周波数エンコード方向
- 軽減法:受信バンド幅を広げる
- 注意点:バンド幅を広げるとSNRは低下しやすい
この画像では、腹部の脂肪と臓器・筋肉の境界に明暗のずれがみられるため、ケミカルシフトアーチファクトと考えます。
したがって、正しい軽減法は
「3.バンド幅を広げる。」です。
78PM6問題・解答・解説
問題文
超音波検査の対象臓器と前処置の組合せで適切なのはどれか。
選択肢
1.腎 臓ーーーー飲 水
2.胆 囊ーーーー絶 食
3.乳 腺ーーーー安 静
4.膀 胱ーーーー排 尿
5.甲状腺ーーーーヨウ素制限
答え
2.胆 囊ーーーー絶 食
解説
正答
2.胆 囊ーーーー絶 食
この問題のポイント
超音波検査では、検査する臓器によって必要な前処置が異なります。
この問題では、各臓器に対して「その前処置が本当に必要か」を判断します。
特に重要なのは、次の2つです。
- 胆囊を観察するときは、胆囊を収縮させないために絶食する
- 膀胱を観察するときは、排尿せずに尿をためておく
したがって、正しい組合せは
胆 囊ーーーー絶 食 です。
解説
胆囊は、食事をすると胆汁を排出するために収縮します。
胆囊が収縮してしまうと、
- 胆囊の内腔が狭くなる
- 胆囊壁が観察しにくくなる
- 胆石や胆泥が見つけにくくなる
という問題が起こります。
そのため、胆囊の超音波検査では、胆囊を十分にふくらませた状態で観察するために、検査前の絶食が必要です。
また、食事をすると消化管ガスも増えやすく、腹部超音波検査の観察を妨げることがあります。
この点からも、胆囊を含む上腹部超音波検査では絶食が基本になります。
選択肢の確認
1.腎臓ーーーー飲水
誤りです。
腎臓そのものの観察では、飲水が必須の前処置とはいえません。
飲水して尿をためる前処置が重要なのは、主に膀胱、前立腺、骨盤内臓器などを観察する場合です。
腎臓と飲水の組合せは、本問の標準的な組合せとしては不適切です。
2.胆囊ーーーー絶食
正しいです。
胆囊は食事によって収縮します。
収縮すると胆囊内腔が狭くなり、胆石や胆泥、胆囊壁の評価がしにくくなります。
そのため、胆囊の超音波検査では絶食が適切です。
3.乳腺ーーーー安静
誤りです。
乳腺超音波検査では、特別な安静は通常必要ありません。
乳房内の腫瘤や乳腺組織を観察する検査であり、胆囊検査の絶食や膀胱検査の尿貯留のような代表的な前処置はありません。
4.膀胱ーーーー排尿
誤りです。
膀胱の超音波検査では、膀胱内に尿がたまっている方が観察しやすくなります。
排尿して膀胱がしぼむと、膀胱壁や内腔の評価が難しくなります。
したがって、膀胱検査では「排尿」ではなく、むしろ「尿をためる」「検査前に排尿しない」ことが重要です。
5.甲状腺ーーーーヨウ素制限
誤りです。
甲状腺超音波検査では、通常、ヨウ素制限は必要ありません。
ヨウ素制限が関係するのは、甲状腺の放射性ヨウ素検査や治療などです。
超音波検査は形態を画像で観察する検査なので、ヨウ素摂取の制限は基本的に不要です。
前処置の整理
代表的な組合せは次のように覚えます。
- 胆囊:絶食
- 上腹部:絶食することが多い
- 膀胱:尿をためる
- 前立腺、骨盤内臓器:尿をためることがある
- 乳腺:特別な前処置は通常不要
- 甲状腺:ヨウ素制限は通常不要
覚えるポイント
胆囊は食事で収縮します。
そのため、胆囊をしっかり観察するには、検査前に食事を避けて胆囊をふくらませておく必要があります。
一方、膀胱は尿がたまっている状態で観察しやすくなります。
したがって、膀胱検査で排尿してしまうのは不適切です。
この問題では、対象臓器と前処置の組合せとして適切なのは
「2.胆囊ーーーー絶食」 です。
78PM7問題・解答・解説
問題文
乳房MR ダイナミック撮影時の時間信号曲線を図に示す。
悪性腫瘍に特徴的な曲線はどれか。
選択肢
1.A
2.B
3.C
4.D
5.E
答え
3.C
解説
正答
3.C
この問題のポイント
乳房MRIのダイナミック造影では、造影剤投与後に病変の信号強度が時間とともにどう変化するかを見ます。
図の縦軸は信号強度、横軸は時間です。
悪性腫瘍に特徴的なのは、
- 造影早期に急に信号が上がる
- その後、信号が低下する
というパターンです。
このような曲線を washout型 といい、乳房悪性腫瘍で疑いやすい所見です。
図では、早期に急上昇したあと、時間とともに低下している C が該当します。
図の見方
乳房MRダイナミック撮影では、造影剤を投与したあとに信号強度の変化を連続して観察します。
図では、各曲線が次のような変化を示しています。
- A:早期に急上昇し、その後も上昇し続ける
- B:中等度に上昇し、その後もゆっくり上昇する
- C:早期に急上昇し、その後に低下する
- D:ゆっくり上昇し続ける
- E:軽度に上昇したあと、ほぼ横ばいになる
悪性腫瘍では、血管新生により造影剤が病変内へ早く流入しやすくなります。
そのため、造影早期に信号が急に上がります。
さらに、悪性腫瘍では造影剤が病変内から比較的早く抜けることがあり、後期相で信号が低下します。
この「急に上がって、その後下がる」パターンが、悪性腫瘍に特徴的な washout型 です。
図では C がこのパターンです。
選択肢の確認
1.A
誤りです。
Aは早期に急上昇していますが、その後も信号強度が上昇し続けています。
これは持続上昇型に近い曲線であり、悪性腫瘍に特徴的なwashout型ではありません。
2.B
誤りです。
Bは時間とともにゆっくり上昇しています。
後期相で信号低下を示していないため、悪性腫瘍に特徴的な曲線ではありません。
3.C
正しいです。
Cは造影早期に急激に信号強度が上昇し、その後に低下しています。
これは rapid enhancement and washout、つまり早期濃染・washout型の曲線です。
乳房MRIダイナミック撮影では、悪性腫瘍を疑う代表的なパターンです。
4.D
誤りです。
Dは信号強度がゆっくり上昇しています。
早期の急激な濃染も、後期相でのwashoutもみられません。
5.E
誤りです。
Eは上昇後にほぼ横ばいとなる曲線です。
これはプラトー型に近い変化ですが、図中で最も悪性腫瘍に特徴的なのは、早期上昇後に低下するCです。
曲線パターンの整理
乳房MRIの時間信号曲線は、後期相の変化で整理すると覚えやすいです。
- 持続上昇型:時間とともに上がり続ける
- プラトー型:上昇後に横ばいになる
- washout型:上昇後に低下する
このうち、悪性腫瘍で特に疑いやすいのは washout型 です。
覚えるポイント
乳房MRダイナミック撮影では、悪性腫瘍は
早く染まって、早く抜ける
と覚えます。
つまり、
- 早期相:信号強度が急上昇する
- 後期相:信号強度が低下する
- 曲線名:washout型
- 図で該当する曲線:C
したがって、正しい選択肢は
3.C です。
78PM8問題・解答・解説
問題文
めまいを訴える患者の頭部MRIのFLAIR像と拡散強調像を別に示す。
医師に報告すべき病変が存在するのはどれか。
選択肢
1.延 髄
2.眼 窩
3.小 脳
4.後頭葉
5.側頭葉
答え
3.小 脳
解説
正答
3.小脳
この問題のポイント
めまいを訴える患者の頭部MRIで、医師に報告すべき病変の部位を判断する問題です。
提示画像では、下段AがFLAIR像、上段Bが拡散強調像です。
特に注目するのは、上段Bの拡散強調像です。
拡散強調像で限局した高信号を示す病変は、急性期脳梗塞を疑う重要な所見です。
この画像では、小脳に高信号域がみられるため、医師に報告すべき病変は 小脳 に存在すると判断します。
画像の見方
下段AのFLAIR像では、眼窩や後頭蓋窩の構造が確認できます。
後頭蓋窩には小脳と脳幹があり、めまいの原因となる病変が隠れやすい部位です。
上段Bの拡散強調像では、後頭蓋窩の小脳領域に明らかな高信号がみられます。
拡散強調像で高信号を示す場合、急性期の虚血性病変、つまり急性期脳梗塞が疑われます。
めまいの患者では、内耳性のめまいだけでなく、小脳梗塞などの中枢性病変を見逃さないことが重要です。
小脳梗塞は、病変が大きくなると脳幹圧迫や水頭症につながることがあるため、速やかに医師へ報告する必要があります。
なぜ小脳病変と判断するのか
小脳は後頭蓋窩にあり、脳幹の後方に位置します。
この画像で高信号がみられる場所は、眼窩や大脳半球ではなく、後頭蓋窩の小脳領域です。
特に上段Bの拡散強調像で、周囲より明るく描出されている部分が小脳に一致します。
したがって、報告すべき病変は小脳にあると判断します。
選択肢の確認
1.延髄
誤りです。
延髄は脳幹の一部で、小脳よりも前方・中央寄りに位置します。
画像で目立つ高信号は延髄ではなく、小脳領域にみられます。
2.眼窩
誤りです。
眼窩は画像の前方にある眼球周囲の領域です。
提示画像で報告すべき高信号病変は眼窩ではありません。
3.小脳
正しいです。
拡散強調像で小脳に高信号域がみられます。
めまいの患者で小脳の拡散強調高信号を認めた場合、急性期小脳梗塞が疑われるため、医師へ報告すべき重要所見です。
4.後頭葉
誤りです。
後頭葉は大脳の後方にある領域です。
本画像で目立つ病変は大脳後頭葉ではなく、後頭蓋窩の小脳にあります。
5.側頭葉
誤りです。
側頭葉は大脳半球の外側下方に位置します。
提示画像の高信号病変の部位とは一致しません。
覚えるポイント
めまいのMRIでは、次の所見を見逃さないことが重要です。
- 拡散強調像の高信号:急性期脳梗塞を疑う
- めまい+小脳高信号:小脳梗塞を疑う
- 小脳梗塞:脳幹圧迫や水頭症につながることがあり、報告が必要
この問題では、上段Bの拡散強調像で小脳に高信号域がみられます。
したがって、医師に報告すべき病変が存在する部位は
3.小脳 です。
78PM9問題・解答・解説
問題文
頸椎椎間板ヘルニア患者の頸椎MRIのT2強調矢状断像を別に示す。
脊髄の圧迫変形が最も強いレベルはどれか。
選択肢
1.C 1/2
2.C 2/3
3.C 3/4
4.C 4/5
5.C 5/6
答え
3.C 3/4
解説
正答
3.C 3/4
この問題のポイント
頸椎椎間板ヘルニアのMRIで、どの椎間レベルで脊髄の圧迫変形が最も強いかを判断する問題です。
提示画像は頸椎MRIのT2強調矢状断像です。
T2強調像では、脳脊髄液が白く高信号に見えるため、脊髄のまわりのくも膜下腔が確認しやすくなります。
この画像では、脊髄の前方から椎間板が突出し、脊髄を後方へ圧排している部位があります。
最も脊髄の変形が強いのは C3/4 です。
画像の見方
画像の左下に「A」、右下に「P」と表示されています。
- A:前方
- P:後方
つまり、この画像では左側が前方、右側が後方です。
頸椎の椎間板ヘルニアでは、椎体と椎体の間にある椎間板が後方へ突出し、脊柱管内の脊髄を前方から圧迫します。
T2強調像では、脊髄の周囲にある脳脊髄液が白く見えます。
正常に近い部位では、脊髄の前後に白い脳脊髄液のスペースが見えます。
一方、圧迫が強い部位では、
- 脊髄前方の白い脳脊髄液スペースが狭くなる
- 椎間板が後方へ突出している
- 脊髄の前面がへこんでいる
- 脊髄が扁平化している
という所見がみられます。
この画像では、C3/4レベルで脊髄前方からの圧迫が最も目立ち、脊髄の変形も最も強くなっています。
なぜC3/4と判断するのか
頸椎では、上から順に椎間レベルを確認します。
- C2/3
- C3/4
- C4/5
- C5/6
というように、椎体と椎体の間の椎間板レベルを数えます。
提示画像では、上位頸椎の椎間板レベルのうち、C3/4で後方突出が強く、脊髄前面が明らかに圧排されています。
C4/5やC5/6にも椎間板変性や軽度の狭窄はみられますが、脊髄の圧迫変形が最も強いのはC3/4です。
したがって、正答は 3.C3/4 です。
選択肢の確認
1.C1/2
誤りです。
C1/2は環椎と軸椎のレベルで、一般的な椎間板ヘルニアとして評価する椎間板レベルではありません。
この画像で最も強い脊髄圧迫がみられる部位でもありません。
2.C2/3
誤りです。
C2/3にも軽度の変化はありますが、脊髄の明らかな圧迫変形は最も強くありません。
最も強く脊髄がへこんでいるのは、ひとつ下のC3/4レベルです。
3.C3/4
正しいです。
C3/4レベルで椎間板が後方へ突出し、脊髄前面を強く圧排しています。
脊髄前方の脳脊髄液スペースが狭くなり、脊髄の形も変形しているため、このレベルが最も強い圧迫部位と判断できます。
4.C4/5
誤りです。
C4/5にも椎間板変性や軽度の圧排はみられますが、C3/4ほど脊髄の変形は強くありません。
最も強い圧迫変形を示すレベルではありません。
5.C5/6
誤りです。
C5/6にも椎間板の変性所見はありますが、脊髄の前方からの圧迫変形はC3/4より軽度です。
したがって、最も強いレベルとしては不適切です。
覚えるポイント
頸椎MRIで脊髄圧迫を評価するときは、次の順に確認します。
- まず、矢状断像で椎間板レベルを上から数える
- 次に、T2強調像で白く見える脳脊髄液スペースを確認する
- 脊髄前方の白いスペースが消えている部位を探す
- 脊髄がへこんでいる、または扁平化している部位を確認する
椎間板ヘルニアでは、椎間板が後方へ突出して脊髄を前方から圧迫します。
この画像では、脊髄前面の圧排と変形が最も強いのは C3/4 です。
したがって、正しい選択肢は
3.C 3/4 です。
78PM10問題・解答・解説
問題文
心窩部横走査の超音波像を別に示す。
矢印で示すのはどれか。
選択肢
1.胃
2.膵 臓
3.脾 臓
4.肝左葉
5.左腎臓
答え
2.膵 臓
解説
正答
2.膵臓
この問題のポイント
心窩部横走査の超音波像で、矢印が示す臓器を判断する問題です。
この画像では、画面上方に腹壁があり、その深部に肝左葉が描出されています。
矢印で囲まれているのは、肝左葉のさらに深部に横長に走る実質臓器です。
心窩部横走査で、肝左葉の背側に横走して見える代表的な臓器は 膵臓 です。
したがって、矢印で示すのは 膵臓 です。
画像の見方
この画像は、心窩部でプローブを横向きに当てた超音波像です。
心窩部横走査では、上腹部の中央を横断するように観察します。
このとき、膵臓は次のように描出されます。
- 肝左葉の背側にある
- 横長の帯状・楕円形の実質臓器として見える
- 周囲よりやや高エコー、または均一な実質エコーとして見える
- 背側に血管構造がみえることがある
提示画像でも、矢印は肝左葉の深部にある横長の実質構造を示しています。
この位置と形から、膵臓と判断できます。
なぜ膵臓と判断するのか
膵臓は胃の後ろ、肝左葉の背側に位置する後腹膜臓器です。
超音波では、心窩部から観察すると、肝左葉を音響窓として膵臓を描出できます。
特に横走査では、膵臓の体部から頭部にかけて横長に見えます。
この画像では、矢印で示された構造が、
- 心窩部の中央にある
- 肝左葉の深部にある
- 横方向に細長く走っている
- 実質臓器として描出されている
ため、胃・脾臓・肝左葉・左腎臓ではなく、膵臓と考えます。
選択肢の確認
1.胃
誤りです。
胃は心窩部にありますが、内部に空気や内容物を含むため、超音波ではガスによる高エコーや音響陰影、壁構造として見えることが多いです。
この画像で矢印が示しているのは、胃壁や胃内ガスではなく、横長の実質臓器です。
2.膵臓
正しいです。
膵臓は心窩部横走査で、肝左葉の背側に横長に描出されます。
提示画像の矢印は、まさにこの位置にある帯状の実質構造を示しているため、膵臓です。
3.脾臓
誤りです。
脾臓は左上腹部の外側、左肋間走査などでよく描出される臓器です。
心窩部中央で横長に描出される矢印の構造とは位置が異なります。
4.肝左葉
誤りです。
肝左葉は画像の浅い側、つまり画面上方から中央にかけて広く描出される実質臓器です。
矢印で示されている構造は、その肝左葉のさらに深部にあるため、肝左葉ではありません。
5.左腎臓
誤りです。
左腎臓は左側腹部から背側寄りに描出される臓器です。
腎臓であれば腎洞の高エコーや腎実質の形がみられますが、この画像の矢印部はそのような腎臓の形ではありません。
また、心窩部横走査で中央に横長に見える構造としては膵臓が適切です。
覚えるポイント
心窩部横走査では、膵臓の位置関係を次のように覚えます。
- 画面浅部:腹壁
- その深部:肝左葉
- 肝左葉の背側:膵臓
- 膵臓のさらに背側:血管、大動脈、下大静脈など
膵臓は、心窩部横走査で 肝左葉の奥に横長に見える臓器 です。
この画像では、矢印が肝左葉の背側にある横走する実質構造を示しているため、正しい選択肢は
2.膵臓 です。
78PM11問題・解答・解説
問題文
放射化学分離で正しいのはどれか。
選択肢
1.溶媒抽出法は溶解度積を利用した分離法である。
2.担体は対象とする放射性核種の同位体に限られる。
3.担体を加えてもラジオコロイドの生成は防げない。
4.無担体の放射性核種の比放射能はその核種によって決まる。
5.目的の放射性核種の沈殿を防ぐためにスカベンジャを加える。
答え
4.無担体の放射性核種の比放射能はその核種によって決まる。
解説
正答
4.無担体の放射性核種の比放射能はその核種によって決まる。
この問題のポイント
放射化学分離では、微量の放射性核種を化学的に分離・精製します。
この問題では、次の用語を区別できるかがポイントです。
- 溶媒抽出法
- 担体
- ラジオコロイド
- 無担体
- 比放射能
- スカベンジャ
特に重要なのは、無担体の放射性核種では比放射能が核種固有の性質で決まる という点です。
解説
比放射能とは、単位質量あたりの放射能のことです。
無担体とは、目的の放射性核種に対して、安定同位体などの担体を加えていない状態をいいます。
担体が含まれない理想的な状態では、存在する原子のほとんどが放射性核種そのものです。
放射能は、放射性核種の壊変定数、つまり半減期に関係します。
そのため、無担体の放射性核種の比放射能は、主にその核種の半減期や原子量など、核種固有の性質によって決まります。
したがって、正しい記述は
4.無担体の放射性核種の比放射能はその核種によって決まる。
です。
選択肢の確認
1.溶媒抽出法は溶解度積を利用した分離法である。
誤りです。
溶媒抽出法は、水相と有機相のように互いに混ざりにくい2つの液相の間で、目的物質がどちらに移りやすいかを利用する分離法です。
つまり、分配係数や錯体形成などを利用します。
溶解度積を利用する代表的な分離法は、沈殿分離です。
2.担体は対象とする放射性核種の同位体に限られる。
誤りです。
担体は、微量の放射性核種を扱いやすくするために加える安定な物質です。
対象核種と同じ元素の安定同位体を加える場合もありますが、担体はそれだけに限られません。
共沈担体や保持担体など、目的に応じてさまざまな担体が使われます。
3.担体を加えてもラジオコロイドの生成は防げない。
誤りです。
放射性核種が極微量で存在すると、容器壁への吸着や加水分解などにより、ラジオコロイドを形成することがあります。
担体を加えることで、放射性核種の化学的状態を安定させ、ラジオコロイドの生成や吸着を抑えられる場合があります。
したがって、「防げない」と断定するのは不適切です。
4.無担体の放射性核種の比放射能はその核種によって決まる。
正しいです。
無担体では、安定同位体などによって希釈されていないため、比放射能は核種の半減期など核種固有の性質で決まります。
これが本問の正答です。
5.目的の放射性核種の沈殿を防ぐためにスカベンジャを加える。
誤りです。
スカベンジャは、主に不要な放射性核種や不純物を沈殿などに取り込ませて除去するために加えます。
目的核種の沈殿を防ぐために加えるものではありません。
目的核種を溶液中に残したい場合と、不純物を沈殿として除きたい場合を区別して考えます。
覚えるポイント
放射化学分離では、用語の役割を整理して覚えます。
- 溶媒抽出法:水相と有機相への分配を利用する
- 沈殿分離:溶解度積などを利用する
- 担体:微量の放射性核種を扱いやすくするために加える
- ラジオコロイド:極微量核種の吸着や加水分解などで生じることがある
- スカベンジャ:不要な核種や不純物を除去するために加える
- 無担体:安定同位体で希釈されていない状態
- 無担体の比放射能:核種の半減期など、核種固有の性質で決まる
この問題では、無担体の放射性核種の比放射能に関する記述が正しいため、答えは
4.無担体の放射性核種の比放射能はその核種によって決まる。
です。
78PM12問題・解答・解説
問題文
OS-EM 法で正しいのはどれか。
選択肢
1.負の画素値を生じる。
2.各画素の最大値を求めることに等しい。
3.逐次近似の回数とともに雑音が減少する。
4.サブセット数が決まればイタレーション数は固定される。
5.FBP 法と比べて高カウント領域からのストリークアーチファクトが少ない。
答え
5.FBP 法と比べて高カウント領域からのストリークアーチファクトが少ない。
解説
正答
5.FBP法と比べて高カウント領域からのストリークアーチファクトが少ない。
この問題のポイント
OS-EM法は、SPECTやPET画像再構成で用いられる逐次近似再構成法の一つです。
OS-EMは、Ordered Subsets Expectation Maximization の略で、ML-EM法を高速化した方法です。
投影データをいくつかのサブセットに分けて、反復計算を効率よく進めます。
この問題では、OS-EM法の特徴と、FBP法との違いを理解しているかが問われています。
解説
FBP法は、フィルタ補正逆投影法です。
計算が速いという利点がありますが、高カウント領域や強い集積がある場合に、放射状のストリークアーチファクトが出やすいことがあります。
一方、OS-EM法は逐次近似再構成法なので、測定データと推定画像を反復的に比較しながら画像を更新します。
そのため、FBP法と比べて高カウント領域からのストリークアーチファクトを抑えやすい特徴があります。
したがって、正しい記述は
5.FBP法と比べて高カウント領域からのストリークアーチファクトが少ない。
です。
OS-EM法の考え方
OS-EM法では、最初に仮の画像を作り、その画像から予測される投影データと、実際に測定された投影データを比較します。
その差をもとに画像を更新し、これを繰り返して画像を再構成します。
さらに、投影データを複数のサブセットに分けて処理するため、ML-EM法よりも収束を速くできます。
ただし、反復回数を増やせば常に画質がよくなるわけではありません。
反復を進めすぎると、雑音が目立ちやすくなるため、イタレーション数やサブセット数の設定が重要です。
選択肢の確認
1.負の画素値を生じる。
誤りです。
OS-EM法では、非負の初期値から計算を始めると、更新後の画素値も基本的に非負になります。
負の画素値を生じにくいことが、逐次近似再構成法の特徴の一つです。
2.各画素の最大値を求めることに等しい。
誤りです。
OS-EM法は、各画素の最大値を単純に求める方法ではありません。
測定された投影データに合うように、放射能分布を反復的に推定する方法です。
「最大値を探す」というより、画像全体としてもっともらしい分布を推定していく方法です。
3.逐次近似の回数とともに雑音が減少する。
誤りです。
反復回数を増やすと、はじめは画像が改善しますが、増やしすぎると雑音が目立つようになります。
そのため、逐次近似の回数とともに雑音が単純に減少し続けるわけではありません。
4.サブセット数が決まればイタレーション数は固定される。
誤りです。
サブセット数とイタレーション数は、それぞれ設定する再構成条件です。
サブセット数が決まっても、イタレーション数が自動的に固定されるわけではありません。
一般に、更新回数の目安は「サブセット数 × イタレーション数」で考えます。
5.FBP法と比べて高カウント領域からのストリークアーチファクトが少ない。
正しいです。
OS-EM法は逐次近似再構成法であり、FBP法と比べて高集積部から伸びるストリークアーチファクトを抑えやすい特徴があります。
これが本問の正答です。
覚えるポイント
OS-EM法は、次のように整理して覚えます。
- OS-EM法:逐次近似再構成法
- ML-EM法をサブセットで高速化した方法
- 負の画素値を生じにくい
- FBP法よりストリークアーチファクトが少ない
- 反復回数を増やしすぎると雑音が目立つ
- サブセット数とイタレーション数は別々に設定する
FBP法は速いがストリークが出やすい、OS-EM法は反復計算でストリークを抑えやすい、と覚えると整理しやすいです。
この問題では、OS-EM法の特徴として正しいのは
5.FBP法と比べて高カウント領域からのストリークアーチファクトが少ない。
です。
78PM13問題・解答・解説
問題文
脳血流SPECT のZ スコアで正しいのはどれか。
選択肢
1.SUV から算出される。
2.1 以上を有意と評価する。
3.脳萎縮があると低くなる。
4.単位はmL/100 g/min である。
5.正常データベースが必要である。
答え
5.正常データベースが必要である。
解説
正答
5.正常データベースが必要である。
この問題のポイント
脳血流SPECTのZスコアは、患者の脳血流分布を正常例と比較して、どの程度低下しているかを評価するための指標です。
Zスコア解析では、患者画像だけを見て値を出すのではなく、正常データベースとの比較 が必要です。
解説
Zスコアは、患者の脳血流が正常平均からどれくらい離れているかを、標準偏差を用いて表した値です。
脳血流低下を評価する場合、一般に次のような考え方をします。
- 正常データベースの平均値
- 正常データベースの標準偏差
- 患者の脳血流分布
これらを用いて、患者の値が正常よりどの程度低いかを計算します。
つまり、Zスコアは正常例との比較で成り立つ指標です。
したがって、脳血流SPECTのZスコア解析には、年齢や条件をそろえた正常データベースが必要です。
Zスコアのイメージ
Zスコアは、簡単にいうと
「正常平均から、標準偏差何個分ずれているか」
を示す値です。
脳血流SPECTでは、患者画像を正常データベースと比較し、正常より血流が低下している部位を統計的に表示します。
そのため、Zスコアそのものには mL/100 g/min のような単位はありません。
選択肢の確認
1.SUVから算出される。
誤りです。
SUVは主にPET検査で用いられる標準化摂取値です。
脳血流SPECTのZスコアは、SUVから算出するものではありません。
正常データベースと患者画像を比較して算出します。
2.1以上を有意と評価する。
誤りです。
Zスコアが大きいほど正常からのずれが大きいことを示しますが、「1以上なら有意」と一律に決めるわけではありません。
臨床や解析法では、通常、より高いしきい値を用いて評価することが多く、表示条件や解析ソフトの設定も関係します。
3.脳萎縮があると低くなる。
誤りです。
脳萎縮があると、部分容積効果によりSPECTのカウントが低く見えることがあります。
その結果、血流低下として見かけ上強調され、Zスコアが高く表示される場合があります。
したがって、「脳萎縮があると低くなる」とは限りません。
4.単位はmL/100 g/minである。
誤りです。
mL/100 g/min は、脳血流量を絶対値で表すときの単位です。
Zスコアは正常平均との差を標準偏差で規格化した値なので、単位はありません。
5.正常データベースが必要である。
正しいです。
Zスコアは、患者の脳血流分布を正常データベースと比較して算出します。
正常平均と標準偏差が必要になるため、正常データベースは不可欠です。
これが本問の正答です。
覚えるポイント
脳血流SPECTのZスコアは、次のように整理します。
- 患者画像と正常データベースを比較する
- 正常平均との差を標準偏差で表す
- 単位はない
- SUVではない
- mL/100 g/min のような絶対血流量の単位ではない
- 脳萎縮では部分容積効果により評価に影響が出ることがある
- 解析には正常データベースが必要
Zスコアは「正常と比べてどれくらい外れているか」を示す統計的な指標です。
この問題では、脳血流SPECTのZスコア解析に必要なものを問うているため、正しい選択肢は
5.正常データベースが必要である。
です。
78PM14問題・解答・解説
問題文
PET 装置で正しいのはどれか。
選択肢
1.検出器を回転させてデータを収集する。
2.検出器リング径が小さくなると空間分解能が低下する。
3.体軸方向視野が長くなると散乱フラクションが低下する。
4.silicon photomultiplier〈SiPM〉は磁場の影響を受けやすいためPET/MRI 装
置には適さない。
5.小型化したシンチレータの数に対して光電子増倍管の数を減らすために検出
器をブロック化する。
答え
5.小型化したシンチレータの数に対して光電子増倍管の数を減らすために検出
器をブロック化する。
解説
正答
5.小型化したシンチレータの数に対して光電子増倍管の数を減らすために検出器をブロック化する。
この問題のポイント
PET装置の検出器構造についての問題です。
PETでは、陽電子放出核種から出た2本の消滅放射線を、患者の周囲にリング状に配置した検出器で同時計数します。
この問題では、次のポイントを押さえます。
- PET検出器は基本的にリング状に配置される
- SPECTのように検出器を回転させて撮像するわけではない
- 小さなシンチレータを多数並べることで空間分解能を高める
- すべてのシンチレータに1対1で光電子増倍管を付けると装置が大きく高価になる
- そのため、複数のシンチレータをまとめたブロック検出器が用いられる
解説
PET装置では、多数の小型シンチレータを検出器リングに配置します。
シンチレータを小さくすると、どの位置でγ線が検出されたかを細かく判別できるため、空間分解能を高めやすくなります。
しかし、小型シンチレータの一つひとつに光電子増倍管を接続すると、必要な光電子増倍管の数が非常に多くなります。
そこで、複数のシンチレータを1つのまとまりとして扱い、少ない光検出器で検出位置を判別する構造が使われます。
これが検出器のブロック化です。
したがって、正しい記述は
5.小型化したシンチレータの数に対して光電子増倍管の数を減らすために検出器をブロック化する。
です。
選択肢の確認
1.検出器を回転させてデータを収集する。
誤りです。
PETでは、検出器が患者の周囲にリング状に配置され、対向する検出器で消滅放射線を同時計数します。
SPECTではガンマカメラを回転させて投影データを収集しますが、PETの基本構造は回転型ではありません。
2.検出器リング径が小さくなると空間分解能が低下する。
誤りです。
PETでは、消滅放射線が完全に180度反対方向へ出ないことによる非同一直線性の影響があります。
この影響は検出器リング径が大きいほど位置ずれとして目立ちやすくなります。
したがって、リング径が小さくなると空間分解能が低下する、とはいえません。
3.体軸方向視野が長くなると散乱フラクションが低下する。
誤りです。
体軸方向視野が長くなると、より広い範囲から同時計数を収集でき感度は上がります。
一方で、体内で散乱した放射線も検出されやすくなるため、散乱フラクションは低下するのではなく、一般に増加しやすくなります。
4.silicon photomultiplier〈SiPM〉は磁場の影響を受けやすいためPET/MRI装置には適さない。
誤りです。
SiPMは半導体光検出器であり、従来の光電子増倍管に比べて磁場の影響を受けにくい特徴があります。
そのため、PET/MRI装置にも適した光検出器です。
5.小型化したシンチレータの数に対して光電子増倍管の数を減らすために検出器をブロック化する。
正しいです。
多数の小型シンチレータをまとめてブロック化し、少ない光検出器で位置弁別を行うことで、検出器を効率よく構成できます。
これが本問の正答です。
覚えるポイント
PET装置は、次のように整理します。
- PETはリング状検出器で同時計数する
- SPECTのような回転収集が基本ではない
- シンチレータを小さくすると空間分解能を高めやすい
- 検出器をブロック化すると、光検出器の数を減らしながら位置弁別できる
- SiPMは磁場に強く、PET/MRIに適している
- 体軸方向視野が長いと感度は上がるが、散乱も問題になりやすい
この問題では、PET検出器のブロック化の目的を述べた
5.小型化したシンチレータの数に対して光電子増倍管の数を減らすために検出器をブロック化する。
が正答です。
78PM15問題・解答・解説
問題文
診断のために全身像が必要なのはどれか。2 つ選べ。
選択肢
1.神経芽腫の123I-MIBG
2.異所性副甲状腺腫の99mTc-MIBI
3.右左シャント率算出の99mTc-MAA
4.Parkinson〈パーキンソン〉病の123I-イオフルパン
5.Cushing〈クッシング〉症候群の131I-アドステロール
答え
1.神経芽腫の123I-MIBG 3.右左シャント率算出の99mTc-MAA
解説
正答
1.神経芽腫の123I-MIBG
3.右左シャント率算出の99mTc-MAA
この問題のポイント
「全身像が必要かどうか」を判断する問題です。
全身像が必要になるのは、局所だけではなく、全身への分布を確認する必要がある検査です。
代表的には、次のような場合です。
- 腫瘍や転移が全身のどこにあるかを調べる
- 放射性医薬品が肺を通らず全身循環へ流れたかを調べる
- 多発病変や全身分布を評価する
この問題では、
神経芽腫の123I-MIBG と
右左シャント率算出の99mTc-MAA
で全身像が必要です。
解説
123I-MIBGは、交感神経系腫瘍である神経芽腫などに集積します。
神経芽腫では、原発巣だけでなく、骨や骨髄などへの転移を含めて全身の集積を確認する必要があります。
そのため、全身像が重要です。
また、99mTc-MAAは通常、静脈注射後に肺毛細血管に捕捉されます。
しかし、右左シャントがあると、一部が肺を通過せず、体循環に流れて脳・腎臓・全身の臓器に分布します。
右左シャント率を算出するには、肺と全身の放射能分布を評価する必要があるため、全身像が必要になります。
したがって、正しい組合せは
1.神経芽腫の123I-MIBG
3.右左シャント率算出の99mTc-MAA
です。
選択肢の確認
1.神経芽腫の123I-MIBG
正しいです。
123I-MIBGは神経芽腫の診断や病変分布の評価に用いられます。
神経芽腫では全身の病変や転移を確認する必要があるため、全身像が必要です。
2.異所性副甲状腺腫の99mTc-MIBI
誤りです。
99mTc-MIBIは副甲状腺腫の局在診断に使われます。
異所性副甲状腺腫では頸部から縦隔を中心に評価することが多く、診断のために全身像が必須という検査ではありません。
3.右左シャント率算出の99mTc-MAA
正しいです。
99mTc-MAAは通常肺に捕捉されますが、右左シャントがあると肺を通過せず全身へ分布します。
肺外への分布を含めて評価し、シャント率を算出するため、全身像が必要です。
4.Parkinson〈パーキンソン〉病の123I-イオフルパン
誤りです。
123I-イオフルパンは線条体のドパミントランスポータを評価する検査です。
評価対象は脳、特に線条体であり、全身像は必要ありません。
5.Cushing〈クッシング〉症候群の131I-アドステロール
誤りです。
131I-アドステロールは副腎皮質機能や副腎病変の評価に用いられます。
主に副腎の集積を評価する検査であり、診断のために全身像が必須となる代表的検査ではありません。
覚えるポイント
全身像が必要かどうかは、検査の目的で判断します。
- 123I-MIBG:神経芽腫などの全身病変・転移検索に使う → 全身像が必要
- 99mTc-MAA:右左シャントでは肺外分布を見る → 全身像が必要
- 123I-イオフルパン:線条体を見る → 頭部が中心
- 99mTc-MIBI副甲状腺:頸部・縦隔の局在診断が中心
- 131I-アドステロール:副腎評価が中心
この問題は2つ選ぶ問題なので、正しい選択肢は
1.神経芽腫の123I-MIBG
3.右左シャント率算出の99mTc-MAA
です。
78PM16問題・解答・解説
問題文
認知症の核医学検査で正しいのはどれか。2 つ選べ。
選択肢
1.123I-IMP の投与量は740 MBq である。
2.123I-イオマゼニルは前頭側頭型認知症の診断に用いられる。
3.123I-MIBG の心臓の集積はLewy〈レビー〉小体型認知症で低下する。
4.早期のAlzheimer〈アルツハイマー〉型認知症では前頭葉の血流は保たれる。
5.123I-イオフルパンの線条体集積はAlzheimer〈アルツハイマー〉型認知症で
低下する。
答え
3.123I-MIBG の心臓の集積はLewy〈レビー〉小体型認知症で低下する。 4.早期のAlzheimer〈アルツハイマー〉型認知症では前頭葉の血流は保たれる。
解説
正答
3.123I-MIBGの心臓の集積はLewy〈レビー〉小体型認知症で低下する。
4.早期のAlzheimer〈アルツハイマー〉型認知症では前頭葉の血流は保たれる。
この問題のポイント
認知症に関係する核医学検査では、疾患ごとの特徴的な所見を整理して覚えることが大切です。
特に重要なのは次の2つです。
- Lewy小体型認知症では、123I-MIBG心筋シンチグラフィで心臓集積が低下しやすい
- 早期Alzheimer型認知症では、後部帯状回・楔前部・頭頂側頭葉の血流低下が中心で、前頭葉血流は比較的保たれやすい
したがって、正しい選択肢は 3と4 です。
解説
Lewy小体型認知症では、心臓交感神経の障害が起こりやすくなります。
123I-MIBGは心臓交感神経機能を反映するため、Lewy小体型認知症では心臓への集積が低下します。
一方、Alzheimer型認知症の脳血流SPECTでは、早期から後部帯状回、楔前部、頭頂側頭葉などで血流低下が目立ちます。
前頭葉の血流低下は比較的進行してから目立つことが多く、早期では前頭葉血流は保たれやすいです。
選択肢の確認
1.123I-IMPの投与量は740 MBqである。
誤りです。
123I-IMPは脳血流SPECTに用いられる放射性医薬品ですが、740 MBqは一般的な投与量としては多すぎます。
740 MBqという数値に引っ張られないようにします。
2.123I-イオマゼニルは前頭側頭型認知症の診断に用いられる。
誤りです。
123I-イオマゼニルは中枢性ベンゾジアゼピン受容体イメージングに用いられます。
代表的には、てんかん焦点の評価などで用いられる検査であり、前頭側頭型認知症の代表的診断薬ではありません。
3.123I-MIBGの心臓の集積はLewy〈レビー〉小体型認知症で低下する。
正しいです。
Lewy小体型認知症では心臓交感神経機能が低下しやすいため、123I-MIBGの心臓集積が低下します。
Alzheimer型認知症との鑑別でも重要な所見です。
4.早期のAlzheimer〈アルツハイマー〉型認知症では前頭葉の血流は保たれる。
正しいです。
早期Alzheimer型認知症では、後部帯状回、楔前部、頭頂側頭葉の血流低下が目立ちます。
前頭葉血流は早期には比較的保たれるため、この記述は正しいです。
5.123I-イオフルパンの線条体集積はAlzheimer〈アルツハイマー〉型認知症で低下する。
誤りです。
123I-イオフルパンはドパミントランスポータを評価する検査で、線条体集積の低下はParkinson病やLewy小体型認知症などで重要です。
Alzheimer型認知症で典型的に線条体集積が低下するわけではありません。
覚えるポイント
認知症関連の核医学検査は、薬剤と疾患の組合せで覚えます。
- 123I-MIBG心筋シンチグラフィ:Lewy小体型認知症で心集積低下
- 123I-イオフルパン:Parkinson病、Lewy小体型認知症などで線条体集積低下
- 脳血流SPECT:Alzheimer型認知症では後部帯状回・楔前部・頭頂側頭葉の血流低下
- 早期Alzheimer型認知症:前頭葉血流は比較的保たれる
- 123I-イオマゼニル:前頭側頭型認知症の代表的検査ではない
この問題は2つ選ぶ問題なので、正しい選択肢は
3.123I-MIBGの心臓の集積はLewy小体型認知症で低下する。
4.早期Alzheimer型認知症では前頭葉の血流は保たれる。
です。
78PM17問題・解答・解説
問題文
心臓核医学検査で正しいのはどれか。
選択肢
1.99mTc-MIBI の集積機序は能動輸送である。
2.123I-BMIPP は心筋内でほとんどβ 酸化される。
3.ジピリダモールは心筋酸素消費量を増加させる。
4.99mTc-テトロホスミンは再分布現象が認められる。
5.99mTc-ピロリン酸は心アミロイドーシス診断に用いられる。
答え
5.99mTc-ピロリン酸は心アミロイドーシス診断に用いられる。
解説
正答
5.99mTc-ピロリン酸は心アミロイドーシス診断に用いられる。
この問題のポイント
心臓核医学検査では、放射性医薬品ごとの評価対象を整理することが重要です。
この問題では、次のように区別します。
- 99mTc-MIBI、99mTc-テトロホスミン:心筋血流評価
- 123I-BMIPP:心筋脂肪酸代謝評価
- ジピリダモール:薬剤負荷に用いる冠血管拡張薬
- 99mTc-ピロリン酸:心アミロイドーシスなどの評価に用いられる
したがって、正しいのは 5 です。
解説
99mTc-ピロリン酸は、心アミロイドーシス、特にトランスサイレチン型心アミロイドーシスの診断で用いられます。
心筋への異常集積を評価することで、心アミロイドーシスを疑う手がかりになります。
一方、99mTc-MIBIや99mTc-テトロホスミンは心筋血流製剤です。
123I-BMIPPは脂肪酸代謝を評価する薬剤です。
それぞれの薬剤の目的を混同しないことが大切です。
選択肢の確認
1.99mTc-MIBIの集積機序は能動輸送である。
誤りです。
99mTc-MIBIは脂溶性陽イオン性の心筋血流製剤で、心筋細胞内やミトコンドリア膜電位に依存して集積します。
能動輸送で取り込まれる、という説明は不適切です。
2.123I-BMIPPは心筋内でほとんどβ酸化される。
誤りです。
123I-BMIPPは脂肪酸代謝を評価する薬剤ですが、β位にメチル基を持つため、通常の脂肪酸のようにはβ酸化されにくい特徴があります。
そのため、心筋内に比較的長く保持されます。
3.ジピリダモールは心筋酸素消費量を増加させる。
誤りです。
ジピリダモールは冠血管を拡張させる薬剤負荷に用いられます。
主に冠血流予備能の差を利用して虚血を評価する薬剤であり、運動負荷やドブタミンのように心筋酸素消費量を直接増加させる薬剤ではありません。
4.99mTc-テトロホスミンは再分布現象が認められる。
誤りです。
99mTc-テトロホスミンは心筋血流製剤ですが、201Tlのような明らかな再分布現象は基本的に認められません。
そのため、負荷像と安静像を別々に撮像して評価します。
5.99mTc-ピロリン酸は心アミロイドーシス診断に用いられる。
正しいです。
99mTc-ピロリン酸シンチグラフィは、心アミロイドーシス、とくにトランスサイレチン型心アミロイドーシスの診断に用いられます。
これが本問の正答です。
覚えるポイント
心臓核医学の薬剤は、何を評価するかで覚えると整理しやすいです。
- 99mTc-MIBI:心筋血流
- 99mTc-テトロホスミン:心筋血流
- 123I-BMIPP:心筋脂肪酸代謝
- ジピリダモール:冠血管拡張による薬剤負荷
- 99mTc-ピロリン酸:心アミロイドーシスの評価
この問題では、心アミロイドーシス診断に用いられる薬剤を問うているため、正しい選択肢は
5.99mTc-ピロリン酸は心アミロイドーシス診断に用いられる。
です。
78PM18問題・解答・解説
問題文
放射性医薬品と評価項目の組合せで正しいのはどれか。2 つ選べ。
選択肢
1.99mTcO4
-
唾液腺機能
2.99mTc-GSA
胆汁の流れ
3.99mTc-HSA-D
消化管出血
4.99mTc-PMT
肝受容体
5.99mTc-スズコロイド
異所性胃粘膜
答え
1.99mTcO4
-
唾液腺機能 3.99mTc-HSA-D
消化管出血
解説
正答
1.99mTcO4- 唾液腺機能
3.99mTc-HSA-D 消化管出血
この問題のポイント
放射性医薬品と評価項目の組合せを問う問題です。
核医学検査では、薬剤ごとに集積機序や体内分布が異なります。
そのため、「どの薬剤で何を評価するか」を対応させて覚える必要があります。
この問題で正しい組合せは、
- 99mTcO4-:唾液腺機能
- 99mTc-HSA-D:消化管出血
です。
解説
99mTcO4-、つまり過テクネチウム酸イオンは、唾液腺や甲状腺、胃粘膜などに取り込まれます。
唾液腺シンチグラフィでは、唾液腺への取り込みと分泌を観察し、唾液腺機能を評価します。
99mTc-HSA-Dは血管内にとどまりやすい血液プール製剤です。
消化管出血がある場合、血管内から消化管内へ放射能が漏れ出してくるため、出血部位の検出に用いられます。
したがって、正しい選択肢は 1と3 です。
選択肢の確認
1.99mTcO4- 唾液腺機能
正しいです。
99mTcO4-は唾液腺に取り込まれるため、唾液腺機能検査に用いられます。
取り込みだけでなく、刺激後の排泄をみることで機能評価ができます。
2.99mTc-GSA 胆汁の流れ
誤りです。
99mTc-GSAは、肝細胞表面のアシアロ糖タンパク受容体に結合する薬剤です。
肝予備能や肝受容体機能の評価に用いられます。
胆汁の流れを評価する薬剤ではありません。
3.99mTc-HSA-D 消化管出血
正しいです。
99mTc-HSA-Dは血液プール製剤で、血管内に存在します。
消化管出血があると消化管内へ漏出するため、消化管出血の検出に用いられます。
4.99mTc-PMT 肝受容体
誤りです。
99mTc-PMTは肝胆道系に排泄される薬剤で、胆汁の流れや胆道系の評価に用いられます。
肝受容体を評価するのは99mTc-GSAです。
5.99mTc-スズコロイド 異所性胃粘膜
誤りです。
99mTc-スズコロイドは肝臓・脾臓・骨髄などの網内系に取り込まれ、肝脾シンチグラフィなどに用いられます。
異所性胃粘膜の検出には、胃粘膜に集積する99mTcO4-が用いられます。
覚えるポイント
薬剤と評価項目は、次のようにセットで覚えます。
- 99mTcO4-:甲状腺、唾液腺、胃粘膜
- 99mTc-GSA:肝受容体、肝予備能
- 99mTc-HSA-D:血液プール、消化管出血
- 99mTc-PMT:肝胆道系、胆汁の流れ
- 99mTc-スズコロイド:網内系、肝臓・脾臓・骨髄
この問題は2つ選ぶ問題なので、正しい選択肢は
1.99mTcO4- 唾液腺機能
3.99mTc-HSA-D 消化管出血
です。
78PM19問題・解答・解説
問題文
放射性医薬品投与2時間後のシンチグラムを別に示す。
投与部位はどれか。
選択肢
1.経 口
2.静 脈
3.動 脈
4.皮 下
5.脳脊髄腔
答え
4.皮 下
解説
正答
4.皮下
この問題のポイント
提示されたシンチグラムから、放射性医薬品がどこに投与されたかを判断する問題です。
画像では、下肢に沿って細い線状の集積がみられ、鼠径部から骨盤内にかけてリンパ節と思われる集積もみられます。
また、足部付近には強い集積があり、ここが投与部位と考えられます。
このように、
- 足部に強い投与部位の集積がある
- 下肢に線状のリンパ管描出がある
- 鼠径部や骨盤内のリンパ節が描出されている
という所見から、リンパ流をみる検査、つまりリンパシンチグラフィの像と判断できます。
リンパシンチグラフィでは、放射性医薬品を皮下または皮内に投与して、リンパ管やリンパ節への移行を観察します。
したがって、投与部位は 皮下 です。
画像の見方
この画像では、下肢から骨盤方向へ向かって放射能が移動している様子がみられます。
特に注目する所見は次の通りです。
- 足部付近に強い集積がある
- 下肢に沿って細長い線状集積がみられる
- 鼠径部や骨盤内に結節状の集積がみられる
- 全身の血管内に均一に分布している像ではない
足部に投与された放射性医薬品が、リンパ管を通って鼠径リンパ節、骨盤内リンパ節へ流れている像と考えられます。
この分布は、静脈注射や経口投与ではなく、皮下投与後のリンパ流を反映した所見です。
なぜ皮下投与と判断するのか
リンパ管は、皮下組織や組織間隙から余分な液体や粒子を回収し、リンパ節を経由して体循環へ戻します。
そのため、放射性コロイドなどを皮下に投与すると、薬剤はリンパ管に取り込まれ、リンパ節へ移行します。
シンチグラムでは、リンパ管が線状に、リンパ節が点状または結節状に描出されます。
提示画像では、まさに下肢のリンパ管とリンパ節の流れが描出されているため、投与部位は皮下と判断します。
選択肢の確認
1.経口
誤りです。
経口投与であれば、消化管内への分布が主体になります。
この画像のように、足部から下肢リンパ管、鼠径リンパ節へ向かう線状集積は経口投与では説明しにくいです。
2.静脈
誤りです。
静脈注射であれば、薬剤は血流に乗って全身に分布します。
薬剤の種類によって肺、肝臓、腎臓、骨などに集積しますが、下肢リンパ管が線状に描出される像にはなりません。
3.動脈
誤りです。
動脈投与では、投与された動脈の支配領域に薬剤が流入します。
しかし、この画像のように足部からリンパ管を通ってリンパ節へ上行する分布とは異なります。
4.皮下
正しいです。
皮下に投与された放射性医薬品がリンパ管に取り込まれ、下肢のリンパ管や鼠径部・骨盤内のリンパ節へ移行しています。
提示画像の線状集積とリンパ節集積は、皮下投与後のリンパシンチグラフィに一致します。
5.脳脊髄腔
誤りです。
脳脊髄腔投与であれば、脳脊髄液の流れに沿って脊髄腔や頭蓋内が描出されます。
下肢リンパ管や鼠径リンパ節の描出は脳脊髄腔投与ではありません。
覚えるポイント
投与経路は、画像上の分布パターンから判断します。
- 経口:消化管に分布
- 静脈:血流に乗って全身や標的臓器に分布
- 動脈:動脈支配領域に分布
- 皮下:リンパ管・リンパ節が描出される
- 脳脊髄腔:脳脊髄液腔に沿って分布
この画像では、下肢の線状集積と鼠径部・骨盤内リンパ節の集積がみられます。
これは皮下投与後にリンパ流を描出している像です。
したがって、正しい選択肢は
4.皮下 です。
78PM20問題・解答・解説
問題文
177Lu-オキソドトレオチドによる核医学治療後の患者の退出基準で、体表面か
ら1 m の点における1 cm 線量当量率[μSv/h]で正しいのはどれか。
選択肢
1.1
2.5
3.18
4.30
5.500
答え
3.18
解説
正答
3.18
この問題のポイント
177Lu-オキソドトレオチドによる核医学治療後に、患者が管理区域から退出できるかどうかを判断する基準を問う問題です。
ポイントは、退出時に測定する線量率の条件です。
体表面から1 mの点における1 cm線量当量率 が問われています。
177Lu-オキソドトレオチド治療後の退出基準では、この値は
18 μSv/h以下
です。
したがって、正答は 3.18 です。
解説
177Lu-オキソドトレオチドは、ソマトスタチン受容体陽性の神経内分泌腫瘍などに対して用いられる核医学治療薬です。
治療後の患者体内には放射性医薬品が残っているため、周囲の人への外部被ばくを考慮して、一定の基準を満たしてから退出します。
このとき確認する代表的な基準が、
体表面から1 mの点における1 cm線量当量率
です。
177Lu-オキソドトレオチドでは、この線量当量率の退出基準が 18 μSv/h とされています。
選択肢の確認
1.1
誤りです。
1 μSv/hは本問で問われている177Lu-オキソドトレオチド治療後の退出基準ではありません。
2.5
誤りです。
5 μSv/hも本問の退出基準値ではありません。
核医学治療の退出基準は核種や治療薬ごとに異なるため、数値を混同しないようにします。
3.18
正しいです。
177Lu-オキソドトレオチド治療後の退出基準では、体表面から1 mの点における1 cm線量当量率は 18 μSv/h です。
これが本問の正答です。
4.30
誤りです。
30 μSv/hは本問で問われている基準値ではありません。
5.500
誤りです。
500 μSv/hは非常に高い値であり、177Lu-オキソドトレオチド治療後の退出基準としては不適切です。
覚えるポイント
核医学治療の退出基準では、次のように整理します。
- 患者の体内に放射性医薬品が残る
- 周囲の人への被ばくを抑えるため、退出基準が設定されている
- 177Lu-オキソドトレオチドでは、体表面から1 mの点で測定する
- 1 cm線量当量率の基準値は 18 μSv/h
この問題では、177Lu-オキソドトレオチド治療後の退出基準値を問うているため、正しい選択肢は
3.18
です。
78PM21問題・解答・解説
問題文
高エネルギーX 線に対する放射線感受性が最も低いのはどれか。
選択肢
1.白血病
2.精上皮腫
3.悪性黒色腫
4.小細胞肺癌
5.悪性リンパ腫
答え
3.悪性黒色腫
解説
正答
3.悪性黒色腫
この問題のポイント
腫瘍の放射線感受性について問う問題です。
放射線感受性とは、放射線によって腫瘍細胞がどの程度障害されやすいかを表します。
一般に、
- 細胞分裂が盛んな腫瘍
- 未分化な腫瘍
- 造血器系腫瘍や胚細胞腫瘍
は放射線感受性が高い傾向があります。
一方、悪性黒色腫は放射線に対して比較的抵抗性が高い腫瘍として扱われます。
したがって、放射線感受性が最も低いのは 悪性黒色腫 です。
解説
放射線治療では、腫瘍の種類によって効きやすさが異なります。
白血病や悪性リンパ腫のような血液・リンパ系腫瘍は、一般に放射線感受性が高い腫瘍です。
また、精上皮腫も放射線感受性が高い代表的な腫瘍です。
小細胞肺癌も増殖が速く、放射線や化学療法に比較的反応しやすい腫瘍です。
これに対して、悪性黒色腫は放射線抵抗性が高い腫瘍として知られています。
そのため、この選択肢の中では放射線感受性が最も低いと判断します。
選択肢の確認
1.白血病
誤りです。
白血病は造血器系の悪性腫瘍であり、一般に放射線感受性が高い腫瘍に分類されます。
最も感受性が低い腫瘍ではありません。
2.精上皮腫
誤りです。
精上皮腫は放射線感受性が高い代表的な腫瘍です。
放射線治療が有効な腫瘍として重要です。
3.悪性黒色腫
正しいです。
悪性黒色腫は、一般に放射線抵抗性が高い腫瘍として扱われます。
この選択肢の中では放射線感受性が最も低いため、正答です。
4.小細胞肺癌
誤りです。
小細胞肺癌は増殖が速く、放射線治療や化学療法に比較的反応しやすい腫瘍です。
悪性黒色腫より放射線感受性は高いと考えます。
5.悪性リンパ腫
誤りです。
悪性リンパ腫は放射線感受性が高い代表的な腫瘍です。
少ない線量でも反応しやすい腫瘍として整理します。
覚えるポイント
放射線感受性は、腫瘍ごとに整理して覚えます。
放射線感受性が高い代表
- 白血病
- 悪性リンパ腫
- 精上皮腫
- 小細胞肺癌
放射線感受性が低い代表
- 悪性黒色腫
- 腎細胞癌
- 骨肉腫
- 軟部肉腫
この問題では、選択肢の中で最も放射線抵抗性が高い腫瘍を選ぶため、正しい選択肢は
3.悪性黒色腫
です。
78PM22問題・解答・解説
問題文
疾患と治療法の組合せで誤っているのはどれか。
選択肢
1.前立腺癌
強度変調回転放射線治療
2.早期胃癌
重粒子線治療
3.早期肺癌
体幹部定位放射線治療
4.頭頸部癌
化学放射線療法
5.甲状腺癌術後肺転移
131I による核医学治療
答え
2.早期胃癌
重粒子線治療
解説
正答
2.早期胃癌 重粒子線治療
この問題のポイント
疾患と代表的な治療法の組合せを確認する問題です。
問題文は「誤っているのはどれか」と聞いています。
つまり、選ぶべきなのは 不適切な組合せ です。
この中で不適切なのは、
早期胃癌 ― 重粒子線治療
です。
早期胃癌では、標準的には内視鏡的治療や手術が中心になります。
重粒子線治療は早期胃癌の代表的な治療法ではありません。
したがって、正答は 2 です。
解説
放射線治療や核医学治療には、疾患ごとに代表的な適応があります。
前立腺癌では、強度変調放射線治療や強度変調回転放射線治療が用いられます。
早期肺癌では、手術が難しい場合などに体幹部定位放射線治療が重要です。
頭頸部癌では、化学療法と放射線治療を組み合わせる化学放射線療法がよく用いられます。
分化型甲状腺癌の術後転移では、131Iによる核医学治療が行われます。
一方、早期胃癌では、病変の深達度やリンパ節転移リスクに応じて、内視鏡的粘膜下層剥離術などの内視鏡治療や手術が中心です。
重粒子線治療は早期胃癌の標準的・代表的な治療法ではないため、この組合せが誤りです。
選択肢の確認
1.前立腺癌 強度変調回転放射線治療
この組合せは正しいです。
前立腺癌では、IMRTやVMATなどの高精度放射線治療が用いられます。
周囲の直腸や膀胱への線量を抑えながら、前立腺へ線量を集中させることができます。
2.早期胃癌 重粒子線治療
この組合せが誤りです。
早期胃癌では、内視鏡治療や手術が標準的な治療の中心です。
重粒子線治療は早期胃癌の代表的な治療法ではありません。
問題文は「誤っているのはどれか」と問うているため、これが正答です。
3.早期肺癌 体幹部定位放射線治療
この組合せは正しいです。
早期肺癌では、手術が困難な症例などで体幹部定位放射線治療が用いられます。
小さな病変に高線量を集中して照射する治療法です。
4.頭頸部癌 化学放射線療法
この組合せは正しいです。
頭頸部癌では、臓器温存や局所制御を目的として、化学療法と放射線治療を併用することがあります。
代表的な治療法の組合せです。
5.甲状腺癌術後肺転移 131Iによる核医学治療
この組合せは正しいです。
分化型甲状腺癌では、術後の残存甲状腺組織やヨードを取り込む転移病変に対して、131I内用療法が行われます。
肺転移がヨードを取り込む場合、131I治療の対象になります。
覚えるポイント
代表的な疾患と治療法の組合せを整理します。
- 前立腺癌:IMRT、VMATなどの高精度放射線治療
- 早期肺癌:体幹部定位放射線治療
- 頭頸部癌:化学放射線療法
- 分化型甲状腺癌術後転移:131I内用療法
- 早期胃癌:内視鏡治療や手術が中心
この問題では、「誤っている組合せ」を選ぶため、正しい選択肢は
2.早期胃癌 重粒子線治療
です。
78PM23問題・解答・解説
問題文
我が国の2023 年時点でがん死亡数が最も多い疾患はどれか。
選択肢
1.乳 癌
2.肺 癌
3.肝臓癌
4.甲状腺癌
5.前立腺癌
答え
2.肺 癌
解説
正答
2.肺癌
この問題のポイント
日本におけるがん死亡数について問う問題です。
2023年時点で、男女合計のがん死亡数が最も多いのは 肺癌 です。
がんの統計では、
- 罹患数が多いがん
- 死亡数が多いがん
- 男性で多いがん
- 女性で多いがん
- 男女合計で多いがん
を混同しやすいので注意します。
この問題では「死亡数が最も多い疾患」を聞いているため、答えは 肺癌 です。
解説
我が国のがん死亡数では、肺癌は長く上位に位置しており、男女合計では最も死亡数が多いがんとして重要です。
乳癌は女性で重要ながんですが、男女合計の死亡数最多ではありません。
肝臓癌もがん死亡の重要疾患ですが、近年は死亡数が減少傾向にあります。
前立腺癌は男性で罹患数が多いがんですが、死亡数最多ではありません。
甲状腺癌は一般に予後が比較的良いものが多く、死亡数最多のがんではありません。
したがって、2023年時点で我が国のがん死亡数が最も多い疾患は 肺癌 です。
選択肢の確認
1.乳癌
誤りです。
乳癌は女性に多いがんであり、検診や診療でも非常に重要です。
しかし、男女合計のがん死亡数で最も多い疾患ではありません。
2.肺癌
正しいです。
肺癌は我が国のがん死亡数で最も多い疾患です。
本問では「2023年時点でがん死亡数が最も多い疾患」を問うているため、肺癌が正答です。
3.肝臓癌
誤りです。
肝臓癌はがん死亡の重要な原因の一つですが、死亡数最多ではありません。
肺癌の方が死亡数は多いです。
4.甲状腺癌
誤りです。
甲状腺癌は多くが比較的予後良好であり、死亡数が最も多いがんではありません。
本問の選択肢の中では不適切です。
5.前立腺癌
誤りです。
前立腺癌は男性に多いがんですが、男女合計のがん死亡数が最も多い疾患ではありません。
死亡数最多は肺癌です。
覚えるポイント
がん統計では、「罹患数」と「死亡数」を分けて覚えることが大切です。
- がん死亡数で重要:肺癌
- 女性に多いがんとして重要:乳癌
- 男性に多いがんとして重要:前立腺癌
- 甲状腺癌は死亡数最多ではない
- 肝臓癌も重要だが、死亡数最多ではない
この問題では、日本の2023年時点のがん死亡数で最も多い疾患を問うているため、正しい選択肢は
2.肺癌
です。
78PM24問題・解答・解説
問題文
放射線治療用線量計に用いられる電位計のガイドラインでユーザーによる点検項
目に含まれないのはどれか。
選択肢
1.繰返し性
2.電荷漏れ
3.ゼロ点シフト
4.ゼロ点ドリフト
5.温度・圧力依存性
答え
5.温度・圧力依存性
解説
正答
5.温度・圧力依存性
この問題のポイント
放射線治療用線量計では、電離箱で発生した電荷を電位計で読み取ります。
この問題では、電位計そのもののユーザー点検項目 に含まれるものと、電離箱測定で必要な補正項目を区別することがポイントです。
電位計のユーザー点検では、読み値が安定しているか、漏れ電流がないか、ゼロ点がずれないかを確認します。
一方、温度・圧力依存性 は、主に空気電離箱で測定するときの空気密度補正に関係する項目です。
電位計そのもののユーザー点検項目ではありません。
したがって、点検項目に含まれないものは 5.温度・圧力依存性 です。
解説
放射線治療の線量測定では、電離箱と電位計を組み合わせて使用します。
電位計は、電離箱で発生した非常に小さな電荷を測定する装置です。
そのため、電位計が正しく動作しているかを確認するために、ユーザーによる日常的・定期的な点検が必要です。
代表的な確認項目には、
- 繰返し性
- 電荷漏れ
- ゼロ点シフト
- ゼロ点ドリフト
があります。
これらは、電位計の読み値の安定性や信頼性を確認するための項目です。
一方、温度・圧力依存性は、空気電離箱で測定した電離量を標準状態に補正するときに重要になります。
つまり、温度・圧力は線量測定の補正因子として重要ですが、電位計のユーザー点検項目そのものではありません。
選択肢の確認
1.繰返し性
誤りです。
繰返し性は、同じ条件で測定を繰り返したときに、電位計の読み値がどれだけ安定しているかを確認する項目です。
電位計のユーザー点検項目に含まれるため、「含まれないもの」としては不適切です。
2.電荷漏れ
誤りです。
電荷漏れは、測定中または測定していないときに不要な漏れ電流・漏れ電荷が生じていないかを確認する項目です。
電位計の性能確認として重要であり、ユーザー点検項目に含まれます。
3.ゼロ点シフト
誤りです。
ゼロ点シフトは、測定前後などでゼロ点がずれていないかを確認する項目です。
ゼロ点がずれると測定値に誤差が生じるため、電位計の点検項目に含まれます。
4.ゼロ点ドリフト
誤りです。
ゼロ点ドリフトは、時間の経過とともにゼロ点が変動しないかを確認する項目です。
測定値の安定性に関わるため、電位計の点検項目に含まれます。
5.温度・圧力依存性
正しいです。
温度・圧力は、空気電離箱を用いた線量測定で空気密度補正を行うときに重要です。
しかし、これは電位計そのもののユーザー点検項目ではありません。
したがって、本問で「含まれないもの」として正しいのはこれです。
覚えるポイント
電位計のユーザー点検は、電位計の読み値が安定しているかを確認するものです。
- 繰返し性:同じ条件で同じ値が出るか
- 電荷漏れ:漏れ電流や漏れ電荷がないか
- ゼロ点シフト:ゼロ点がずれていないか
- ゼロ点ドリフト:ゼロ点が時間で変化しないか
一方、
- 温度・圧力依存性:空気電離箱測定時の補正に関係
と整理します。
この問題は「含まれないのはどれか」と問われているため、正しい選択肢は
5.温度・圧力依存性
です。
78PM25問題・解答・解説
問題文
EPID を用いたリニアックの品質管理項目に含まれないのはどれか。
選択肢
1.照射野の確認
2.絶対線量校正
3.線量の平坦度・対称性
4.ガントリの回転中心精度
5.コリメータの回転中心精度
答え
2.絶対線量校正
解説
正答
2.絶対線量校正
この問題のポイント
EPIDは、Electronic Portal Imaging Device の略で、リニアックに搭載される画像取得装置です。
EPIDは、照射野や位置精度などの確認に使えます。
また、相対的な線量分布の確認にも利用できます。
ただし、放射線治療装置の絶対線量校正は、基準線量計や水ファントムなどを用いて行う重要な線量測定です。
EPIDを用いた品質管理項目としては扱いません。
したがって、EPIDを用いたリニアックの品質管理項目に含まれないのは
2.絶対線量校正 です。
解説
EPIDは、もともと照射位置や照射野を確認するためのポータル画像装置として使われてきました。
現在では、画像だけでなく、線量分布や幾何学的精度の確認にも利用されます。
EPIDで確認しやすい項目には、次のようなものがあります。
- 照射野の確認
- 線量の平坦度・対称性
- ガントリの回転中心精度
- コリメータの回転中心精度
これらは、主に幾何学的精度や相対的な線量分布の品質管理です。
一方、絶対線量校正は、患者に投与する線量の基準を決める非常に重要な校正です。
これは、標準計測法に基づき、校正された電離箱線量計などを用いて行います。
EPIDだけで行う項目ではありません。
選択肢の確認
1.照射野の確認
誤りです。
EPIDは照射野の形状や位置を画像として確認できます。
これはEPIDを用いた品質管理項目に含まれるため、「含まれないもの」ではありません。
2.絶対線量校正
正しいです。
絶対線量校正は、基準線量計を用いて行う線量測定の基本項目です。
EPIDを用いたリニアックの品質管理項目としては扱いません。
したがって、本問の正答です。
3.線量の平坦度・対称性
誤りです。
EPIDでは照射野内の相対的な線量分布を評価できるため、平坦度や対称性の確認に利用できます。
品質管理項目に含まれます。
4.ガントリの回転中心精度
誤りです。
EPID画像を用いて、ガントリ回転に伴う照射中心のずれを評価できます。
幾何学的精度管理の項目に含まれます。
5.コリメータの回転中心精度
誤りです。
コリメータ回転時の中心精度も、EPID画像を利用して確認できます。
これもEPIDを用いた品質管理項目に含まれます。
覚えるポイント
EPIDで得意なのは、画像と相対評価です。
- 照射野の確認:できる
- 平坦度・対称性:相対的に評価できる
- ガントリ回転中心精度:評価できる
- コリメータ回転中心精度:評価できる
- 絶対線量校正:基準線量計で行う
EPIDは便利ですが、絶対線量の基準を決める装置ではありません。
この問題は「含まれないのはどれか」と問われているため、正しい選択肢は
2.絶対線量校正
です。
78PM26問題・解答・解説
問題文
最も半減期が短いのはどれか。
選択肢
1.60Co
2.125I
3.137Cs
4.192Ir
5.198Au
答え
5.198Au
解説
正答
5.198Au
この問題のポイント
放射線治療や密封小線源治療などで登場する核種の半減期を比較する問題です。
この問題では、選択肢の中で最も半減期が短い核種を選びます。
代表的な半減期は次の通りです。
- 60Co:約5.27年
- 125I:約59日
- 137Cs:約30年
- 192Ir:約74日
- 198Au:約2.7日
この中で最も短いのは 198Au です。
解説
半減期とは、放射性核種の放射能が半分になるまでの時間です。
放射線治療で用いられる核種には、年単位の長い半減期をもつものもあれば、日単位の短い半減期をもつものもあります。
60Coや137Csは半減期が年単位で、かなり長い核種です。
125Iや192Irは日単位ですが、それでも198Auより長い半減期です。
198Auは半減期が約2.7日であり、この選択肢の中では最も短いです。
選択肢の確認
1.60Co
誤りです。
60Coの半減期は約5.27年です。
年単位の半減期をもつため、198Auよりかなり長いです。
2.125I
誤りです。
125Iの半減期は約59日です。
前立腺癌の永久挿入小線源などで重要ですが、198Auより半減期は長いです。
3.137Cs
誤りです。
137Csの半減期は約30年です。
選択肢の中でも長い半減期をもつ核種です。
4.192Ir
誤りです。
192Irの半減期は約74日です。
高線量率小線源治療でよく用いられる核種ですが、198Auより半減期は長いです。
5.198Au
正しいです。
198Auの半減期は約2.7日です。
選択肢の中で最も短い半減期をもつため、正答です。
覚えるポイント
代表的な核種の半減期は、ざっくり次のように覚えます。
- 137Cs:かなり長い、約30年
- 60Co:長い、約5年
- 192Ir:約74日
- 125I:約59日
- 198Au:短い、約2.7日
この問題では、最も半減期が短いものを問うているため、正しい選択肢は
5.198Au
です。
78PM27問題・解答・解説
問題文
直線加速器で正しいのはどれか。2 つ選べ。
選択肢
1.マグネトロンは自励発振管である。
2.リッジフィルタが装着されている。
3.スキャッタリングフォイルはX 線治療に用いられる。
4.炭素線治療装置の加速器の一部として用いられている。
5.進行波型加速管は定在波型加速管に比べて単位長さ当たりの加速効率が良
い。
答え
1.マグネトロンは自励発振管である。 4.炭素線治療装置の加速器の一部として用いられている。
解説
正答
1.マグネトロンは自励発振管である。
4.炭素線治療装置の加速器の一部として用いられている。
この問題のポイント
直線加速器に関する装置構成を問う問題です。
この問題では、次の区別が重要です。
- マグネトロンとクライストロンの違い
- X線治療と電子線治療で使う部品の違い
- 光子線治療装置と粒子線治療装置の違い
- 進行波型加速管と定在波型加速管の違い
正しいのは、
マグネトロンは自励発振管である ことと、
炭素線治療装置で直線加速器が加速器系の一部として用いられる ことです。
解説
医療用直線加速器では、電子を高周波電場によって加速します。
この高周波を発生させる装置として、マグネトロンやクライストロンが使われます。
マグネトロンは、外部から別の発振器を必要とせず、自分でマイクロ波を発生するため、自励発振管 と呼ばれます。
一方、クライストロンは発振器ではなく、入力されたマイクロ波を増幅する増幅管です。
また、炭素線治療装置では、炭素イオンを最初に加速する入射器として直線加速器が用いられることがあります。
その後、シンクロトロンなどでさらに加速して治療に使います。
選択肢の確認
1.マグネトロンは自励発振管である。
正しいです。
マグネトロンはマイクロ波を自ら発生する自励発振管です。
医療用直線加速器の高周波源として使われます。
2.リッジフィルタが装着されている。
誤りです。
リッジフィルタは、主に陽子線や重粒子線治療でブラッグピークを広げるために用いられる装置です。
一般的な医療用直線加速器の構成要素として考えるものではありません。
3.スキャッタリングフォイルはX線治療に用いられる。
誤りです。
スキャッタリングフォイルは、電子線を散乱させて照射野を広げるために電子線治療で用いられます。
X線治療では、電子をターゲットに当ててX線を発生させ、平坦化フィルタなどを用います。
したがって、X線治療に用いられるという記述は不適切です。
4.炭素線治療装置の加速器の一部として用いられている。
正しいです。
炭素線治療装置では、炭素イオンを加速する加速器系の一部として直線加速器が使われます。
入射器として粒子を初期加速し、その後シンクロトロンなどで治療に必要なエネルギーまで加速します。
5.進行波型加速管は定在波型加速管に比べて単位長さ当たりの加速効率が良い。
誤りです。
一般に、定在波型加速管は進行波型加速管に比べて単位長さあたりの加速効率を高くしやすい構造です。
選択肢は逆の説明になっています。
覚えるポイント
直線加速器では、部品の役割をセットで覚えます。
- マグネトロン:自励発振管
- クライストロン:マイクロ波増幅管
- スキャッタリングフォイル:電子線を広げる
- ターゲット:電子を当ててX線を発生させる
- リッジフィルタ:粒子線でブラッグピークを広げる
- 定在波型加速管:単位長さあたりの加速効率が高い
- 炭素線治療装置:入射器などに直線加速器を用いる
この問題は2つ選ぶ問題なので、正しい選択肢は
1.マグネトロンは自励発振管である。
4.炭素線治療装置の加速器の一部として用いられている。
です。
78PM28問題・解答・解説
問題文
外部照射に用いる電子線の特徴で正しいのはどれか。
選択肢
1.照射野が大きくなると最大線量深は深くなる。
2.エネルギーが低いほど放射損失の割合は増加する。
3.線量分布を変化させる場合はウェッジフィルタを用いる。
4.エネルギーが低いほどビルドアップ領域の線量勾配が急峻になる。
5.ガントリ照射口から射出されたスペクトルは線スペクトルである。
答え
4.エネルギーが低いほどビルドアップ領域の線量勾配が急峻になる。
解説
正答
4.エネルギーが低いほどビルドアップ領域の線量勾配が急峻になる。
この問題のポイント
外部照射に用いる電子線の線量分布の特徴を問う問題です。
電子線は、X線と比べて飛程が限られているため、表在性病変の治療に適しています。
重要なのは、電子線ではエネルギーが低いほど浅い深さで線量が急に変化するということです。
そのため、低エネルギー電子線ではビルドアップ領域の線量勾配が急峻になります。
したがって、正しい選択肢は
4.エネルギーが低いほどビルドアップ領域の線量勾配が急峻になる。
です。
解説
電子線の深部線量分布では、表面から少し深いところまで線量が上昇し、その後、ある深さを超えると急激に低下します。
電子線の特徴は次の通りです。
- 表在性病変に向いている
- エネルギーが高いほど深くまで届く
- エネルギーが低いほど浅いところで線量変化が起こる
- 一定の深さを超えると線量が急激に低下する
- X線のように深部までなだらかに線量が続くわけではない
低エネルギー電子線では、最大線量深が浅くなります。
そのため、表面から最大線量深までの距離が短くなり、ビルドアップ領域の線量勾配は急になります。
選択肢の確認
1.照射野が大きくなると最大線量深は深くなる。
誤りです。
電子線の最大線量深は、主に電子線エネルギーによって決まります。
照射野の大きさも線量分布に影響しますが、照射野が大きくなれば最大線量深が単純に深くなる、とはいえません。
2.エネルギーが低いほど放射損失の割合は増加する。
誤りです。
電子のエネルギーが高くなるほど、制動放射などによる放射損失の割合は増加します。
低エネルギーでは、主に衝突損失が中心です。
したがって、この記述は逆です。
3.線量分布を変化させる場合はウェッジフィルタを用いる。
誤りです。
ウェッジフィルタは主にX線治療で線量分布を傾けるために用いられます。
電子線治療では、ボーラス、コーン、カットアウト、エネルギー選択などで線量分布や照射範囲を調整します。
4.エネルギーが低いほどビルドアップ領域の線量勾配が急峻になる。
正しいです。
低エネルギー電子線では最大線量深が浅く、表面近くで線量が急に上昇します。
そのため、ビルドアップ領域の線量勾配は急峻になります。
これが本問の正答です。
5.ガントリ照射口から射出されたスペクトルは線スペクトルである。
誤りです。
治療用電子線は、加速後に散乱やエネルギー損失を受けるため、単一エネルギーだけの線スペクトルではありません。
照射口から出る電子線は、ある程度のエネルギー幅をもつ連続的なスペクトルになります。
覚えるポイント
電子線の特徴は、X線と比較して整理すると覚えやすいです。
- 電子線:表在性病変に向く
- 電子線:飛程が有限で、深部で急に線量が低下する
- エネルギーが高い:より深くまで届く
- エネルギーが低い:浅いところで急に線量が変化する
- 電子線の照射野形成:コーン、カットアウト、ボーラスなど
- ウェッジフィルタ:主にX線治療で用いる
この問題では、電子線エネルギーとビルドアップ領域の関係を問うているため、正しい選択肢は
4.エネルギーが低いほどビルドアップ領域の線量勾配が急峻になる。
です。
78PM29問題・解答・解説
問題文
SAD 一定のX 線1 門照射で得られた測定結果を表に示す。
このときSAD 一定の照射で照射野10 × 30 cm2、深さ5 cm の点に2 Gy を投与
するためのMU 値に最も近いのはどれか。
ただし、モニタ線量計の校正は10 × 10 cm2 で行い、水吸収線量校正定数は
5 × 10⁻² Gy/nC とする。等価照射野はA/P 法によって求め、等価照射野に対する
出力係数は最大線量深(dmax)で計算し、このときのTMR は0.95 とする。
選択肢
1.172
2.191
3.209
4.232
5.245
答え
2.191
解説
正答
2.191
この問題のポイント
SAD一定照射で、指定された深さに2 Gyを投与するためのMU値を求める計算問題です。
この問題では、次の順番で計算します。
- 10 × 30 cm²の等価照射野を求める
- 等価照射野に対応する出力係数を求める
- 100 MUあたりのdmax線量を求める
- TMRを用いて深さ5 cmでの線量を求める
- 2 Gyを投与するためのMU値を求める
SAD一定照射なので、深さ方向の補正にはPDDではなく TMR を使う点がポイントです。
解説
まず、照射野10 × 30 cm²の等価照射野をA/P法で求めます。
A/P法では、等価正方形照射野の一辺は次の式で求めます。
等価照射野 = 4A / P
ここで、
A = 10 × 30 = 300 cm²
P = 2 × (10 + 30) = 80 cm
したがって、
4A / P = 4 × 300 / 80 = 15 cm
つまり、10 × 30 cm²は、等価的に 15 × 15 cm² の照射野として扱います。
次に、表から出力係数を求めます。
校正は10 × 10 cm²で行われています。
dmaxでの真の計測値は、
- 10 × 10 cm²:20.00 nC/100 MU
- 15 × 15 cm²:22.00 nC/100 MU
です。
したがって、15 × 15 cm²の出力係数は、
22.00 / 20.00 = 1.10
となります。
100 MUあたりの線量を求める
水吸収線量校正定数は、
5 × 10^-2 Gy/nC = 0.05 Gy/nC
です。
10 × 10 cm²、dmaxでの測定値は20.00 nC/100 MUなので、
20.00 × 0.05 = 1.00 Gy/100 MU
となります。
つまり、校正条件では100 MUあたり1.00 Gyです。
今回の等価照射野は15 × 15 cm²なので、出力係数1.10をかけます。
1.00 × 1.10 = 1.10 Gy/100 MU
これは、15 × 15 cm²相当の照射野におけるdmaxでの線量です。
深さ5 cmでの線量を求める
問題文より、深さ5 cmでのTMRは0.95です。
したがって、深さ5 cmにおける100 MUあたりの線量は、
1.10 × 0.95 = 1.045 Gy/100 MU
となります。
必要MUを求める
深さ5 cmの点に2 Gyを投与したいので、
必要MU = 2 Gy ÷ 1.045 Gy/100 MU × 100
計算すると、
必要MU = 191.4 MU
最も近い選択肢は 191 です。
したがって、正答は
2.191
です。
選択肢の確認
1.172
誤りです。
出力係数やTMRの扱いが正しくない場合に近い値になる可能性があります。
今回の条件では、等価照射野15 × 15 cm²、出力係数1.10、TMR 0.95を用いる必要があります。
2.191
正しいです。
A/P法で等価照射野を15 × 15 cm²とし、出力係数1.10、TMR 0.95を用いると、必要MUは約191になります。
3.209
誤りです。
TMRや出力係数の扱いを誤ると近い値になることがありますが、正しい計算では約191 MUです。
4.232
誤りです。
出力係数を考慮しない、または線量校正定数の扱いを誤った場合に大きめの値になります。
5.245
誤りです。
今回の条件で2 Gyを投与するMU値としては大きすぎます。
覚えるポイント
MU計算では、次の流れで整理します。
- A/P法:等価照射野 = 4A / P
- 10 × 30 cm² → 15 × 15 cm²相当
- 出力係数:15 × 15 cm² / 10 × 10 cm² = 22 / 20 = 1.10
- 校正条件:20 nC/100 MU × 0.05 Gy/nC = 1.00 Gy/100 MU
- dmax線量:1.00 × 1.10 = 1.10 Gy/100 MU
- 深さ5 cm:1.10 × TMR 0.95 = 1.045 Gy/100 MU
- 必要MU:2 / 1.045 × 100 ≒ 191 MU
したがって、正しい選択肢は
2.191
です。
78PM30問題・解答・解説
問題文
高エネルギー光子線に対する固体ファントム使用で正しいのはどれか。
選択肢
1.深さスケーリング係数の単位は[cm⁻¹]である。
2.フルエンススケーリング係数の単位は[cm⁻²]である。
3.深さスケーリング係数は入射光子線のエネルギーに依存しない。
4.深さスケーリング係数を利用して水中と等価な深さに電離箱を設置する。
5.等価な深さの水中での指示値に変換するために、電離箱指示値をフルエンス
スケーリング係数で除する。
答え
4.深さスケーリング係数を利用して水中と等価な深さに電離箱を設置する。
解説
正答
4.深さスケーリング係数を利用して水中と等価な深さに電離箱を設置する。
この問題のポイント
放射線治療の線量測定では、水ファントムが基準として扱われます。
しかし、実際の品質管理では、取り扱いが簡便な固体ファントムを使うことがあります。
固体ファントムを使う場合は、水とまったく同じ性質ではないため、水中での測定と等価になるように補正して扱います。
このとき重要なのが、
- 深さスケーリング係数
- フルエンススケーリング係数
です。
本問で正しいのは、深さスケーリング係数を利用して、水中と等価な深さに電離箱を設置する という記述です。
解説
高エネルギー光子線の線量測定では、本来は水中の指定深で測定することが基準になります。
しかし、固体ファントムは水と密度や組成が少し異なるため、同じ物理的な厚さでも、水中の同じ深さと完全に等価とは限りません。
そこで、固体ファントム中の深さを、水中での等価深に換算するために用いるのが 深さスケーリング係数 です。
つまり、固体ファントムを使うときは、
「固体ファントム中で何cmの位置に電離箱を置けば、水中の目的深さに相当するか」
を考えて電離箱を配置します。
この換算に深さスケーリング係数を用いるため、選択肢4が正しいです。
深さスケーリング係数とは
深さスケーリング係数は、固体ファントム中の深さと水中の等価深を対応させるための係数です。
係数なので、基本的に単位はありません。
cmやcm^-1のような単位をもつ量ではありません。
また、固体ファントムの材質や光子線の線質によって値が変わることがあるため、入射光子線のエネルギーにまったく依存しないとはいえません。
フルエンススケーリング係数とは
フルエンススケーリング係数は、固体ファントム中と水中での粒子フルエンスの違いを補正するために用いられる係数です。
これも比として扱う係数なので、単位はありません。
cm^-2のような単位をもつわけではありません。
また、指示値の補正に関係する係数ですが、選択肢5のように「電離箱指示値をフルエンススケーリング係数で除する」と単純に表すのは不適切です。
プロトコルで定められた補正係数として扱います。
選択肢の確認
1.深さスケーリング係数の単位は[cm-1]である。
誤りです。
深さスケーリング係数は、水中深さと固体ファントム中の深さを対応させるための比の係数です。
そのため、単位はありません。
cm^-1ではありません。
2.フルエンススケーリング係数の単位は[cm-2]である。
誤りです。
フルエンスそのものにはcm^-2の単位がありますが、フルエンススケーリング係数は水と固体ファントム間の違いを補正するための係数です。
比として扱うため、単位はありません。
3.深さスケーリング係数は入射光子線のエネルギーに依存しない。
誤りです。
深さスケーリング係数は、固体ファントムの材質や光子線の線質に関係します。
したがって、入射光子線のエネルギーに依存しないと断定するのは不適切です。
4.深さスケーリング係数を利用して水中と等価な深さに電離箱を設置する。
正しいです。
固体ファントムを用いる場合、物理的な深さをそのまま水中深さとみなすのではなく、深さスケーリング係数を使って水中等価深に合わせます。
これが本問の正答です。
5.等価な深さの水中での指示値に変換するために、電離箱指示値をフルエンススケーリング係数で除する。
誤りです。
フルエンススケーリング係数は指示値補正に関係しますが、「除する」と単純に決める記述は不適切です。
実際には、測定プロトコルに従って、固体ファントム中での指示値を水中等価条件に補正します。
覚えるポイント
固体ファントムを使うときは、水ファントムとの違いを補正して扱います。
- 水ファントム:線量測定の基準
- 固体ファントム:扱いやすいが、水と完全に同じではない
- 深さスケーリング係数:水中等価深を決めるために使う
- フルエンススケーリング係数:水と固体ファントム間のフルエンス差を補正する
- どちらも係数なので、基本的に単位はない
この問題では、固体ファントム内で電離箱を水中等価深に設置するために深さスケーリング係数を用いる、という記述が正しいため、正しい選択肢は
4.深さスケーリング係数を利用して水中と等価な深さに電離箱を設置する。
です。
78PM31問題・解答・解説
問題文
画像に含まれる対象物のエッジを検出するフィルタで正しいのはどれか。
選択肢
1.移動平均フィルタ
2.ソーベルフィルタ
3.ガウシアンフィルタ
4.メディアンフィルタ
5.バターワースフィルタ
答え
2.ソーベルフィルタ
解説
正答
2.ソーベルフィルタ
この問題のポイント
画像処理フィルタの役割を問う問題です。
画像中の対象物の輪郭、つまりエッジを検出するには、画素値の変化が大きい場所を見つける必要があります。
このような濃度変化、つまり勾配を利用してエッジを検出する代表的なフィルタが ソーベルフィルタ です。
したがって、正しい選択肢は
2.ソーベルフィルタ
です。
解説
エッジとは、画像の中で明るさが急に変化する部分です。
たとえば、臓器の境界、骨の輪郭、腫瘤の辺縁などでは、周囲との画素値の差が大きくなります。
このような画素値の急な変化を検出することで、画像内の対象物の輪郭を強調できます。
ソーベルフィルタは、画像の横方向・縦方向の濃度勾配を計算して、エッジを検出する空間フィルタです。
画像の輪郭抽出やエッジ強調に用いられます。
一方、移動平均フィルタやガウシアンフィルタは、画像をなめらかにしてノイズを減らす平滑化フィルタです。
メディアンフィルタもノイズ除去に使われます。
バターワースフィルタは、主に周波数領域で高周波・低周波成分を制御するフィルタです。
選択肢の確認
1.移動平均フィルタ
誤りです。
移動平均フィルタは、周囲の画素値の平均を用いて画像を平滑化するフィルタです。
ノイズを減らす効果はありますが、エッジ検出を目的とする代表的なフィルタではありません。
むしろエッジはぼやけやすくなります。
2.ソーベルフィルタ
正しいです。
ソーベルフィルタは、画素値の勾配を利用してエッジを検出する代表的なフィルタです。
画像中の輪郭や境界を強調する目的で用いられます。
3.ガウシアンフィルタ
誤りです。
ガウシアンフィルタは、ガウス分布に基づいた重み付け平均で画像を平滑化するフィルタです。
ノイズ低減には有用ですが、エッジ検出そのものを目的とするフィルタではありません。
4.メディアンフィルタ
誤りです。
メディアンフィルタは、周囲の画素値の中央値を用いるフィルタです。
ごま塩ノイズのような孤立したノイズの除去に有効です。
エッジを比較的保ちながらノイズを減らせますが、エッジ検出フィルタではありません。
5.バターワースフィルタ
誤りです。
バターワースフィルタは、周波数領域で用いられるフィルタです。
低域通過や高域通過などに利用されますが、画像の対象物のエッジを検出する代表的な空間フィルタではありません。
覚えるポイント
画像処理フィルタは、目的で整理すると覚えやすいです。
- エッジ検出:ソーベルフィルタ
- 平滑化:移動平均フィルタ、ガウシアンフィルタ
- 孤立ノイズ除去:メディアンフィルタ
- 周波数処理:バターワースフィルタ
この問題では、画像中の対象物のエッジを検出するフィルタを問うているため、正しい選択肢は
2.ソーベルフィルタ
です。
78PM32問題・解答・解説
問題文
コンピュータネットワークに関係する用語と説明の組合せで正しいのはどれか。
選択肢
1.DNS
大量のデータを蓄積するための仕組み
2.FTP
ファイルの転送を行うためのプロトコル
3.HTTP
コンピュータの内蔵時計を標準時刻と同期するためのプ
ロトコル
4.SMTP
電子メールをサーバーから受信するためのプロトコル
5.TCP/IP
ドメイン名からIP アドレスを検索する仕組み
答え
2.FTP
ファイルの転送を行うためのプロトコル
解説
正答
2.FTP ファイルの転送を行うためのプロトコル
この問題のポイント
コンピュータネットワークの基本用語と、その役割を対応させる問題です。
この問題では、次の用語を区別します。
- DNS
- FTP
- HTTP
- SMTP
- TCP/IP
正しい組合せは、
FTP ― ファイルの転送を行うためのプロトコル
です。
解説
FTPは、File Transfer Protocol の略です。
名前の通り、ネットワーク上でファイルを転送するためのプロトコルです。
医療情報システムでも、画像データや検査関連ファイルなどをネットワーク上でやり取りする場面があります。
そのような通信の基礎として、各プロトコルの役割を整理しておくことが大切です。
一方、DNSはドメイン名とIPアドレスを対応させる仕組みです。
HTTPはWebページの通信に用いられます。
SMTPは電子メールを送信するためのプロトコルです。
時刻同期に用いられるのはHTTPではなく、NTPです。
選択肢の確認
1.DNS 大量のデータを蓄積するための仕組み
誤りです。
DNSは Domain Name System の略です。
ドメイン名からIPアドレスを調べるための仕組みです。
大量のデータを蓄積する仕組みではありません。
2.FTP ファイルの転送を行うためのプロトコル
正しいです。
FTPは File Transfer Protocol の略で、ネットワーク上でファイルを転送するためのプロトコルです。
これが本問の正答です。
3.HTTP コンピュータの内蔵時計を標準時刻と同期するためのプロトコル
誤りです。
HTTPは HyperText Transfer Protocol の略で、Webページなどのデータ通信に用いられます。
コンピュータの時計を標準時刻と同期するためのプロトコルは、NTPです。
4.SMTP 電子メールをサーバーから受信するためのプロトコル
誤りです。
SMTPは Simple Mail Transfer Protocol の略で、主に電子メールを送信するためのプロトコルです。
メールを受信するためには、POP3やIMAPなどが用いられます。
5.TCP/IP ドメイン名からIPアドレスを検索する仕組み
誤りです。
TCP/IPは、インターネット通信の基本となる通信プロトコル群です。
ドメイン名からIPアドレスを検索する仕組みはDNSです。
覚えるポイント
ネットワーク用語は、略語と役割をセットで覚えます。
- DNS:ドメイン名とIPアドレスを対応させる
- FTP:ファイル転送
- HTTP:Web通信
- SMTP:メール送信
- POP3、IMAP:メール受信
- NTP:時刻同期
- TCP/IP:インターネット通信の基本プロトコル群
この問題では、正しい組合せは
2.FTP ファイルの転送を行うためのプロトコル
です。
78PM33問題・解答・解説
問題文
検像システムの確認項目で誤っているのはどれか。
選択肢
1.画像の患者情報が正しいこと。
2.画像の濃淡が適正であること。
3.シリーズの順序が正しいこと。
4.検査同意書を取得していること。
5.検査オーダに対して撮影部位が正しいこと。
答え
4.検査同意書を取得していること。
解説
正答
4.検査同意書を取得していること。
この問題のポイント
検像システムで確認する内容を問う問題です。
検像とは、撮影された画像をPACSなどへ送信・保存する前に、画像内容や付帯情報に誤りがないか確認する作業です。
検像で確認する代表的な項目は、
- 患者情報が正しいか
- 撮影部位が検査オーダと合っているか
- 画像の濃淡や画質が適切か
- シリーズの順序や左右表示が正しいか
- 不要画像や撮影ミスがないか
などです。
一方、検査同意書の取得は、検査前に行う業務管理・説明同意に関係する項目です。
画像そのものを確認する検像システムの確認項目ではありません。
したがって、誤っている選択肢は
4.検査同意書を取得していること。
です。
解説
検像システムは、医用画像を確認し、正しい状態で保管・配信するために使われます。
たとえば、患者名やIDが誤っている画像をPACSへ送ってしまうと、別の患者の画像として保存される危険があります。
また、検査オーダと撮影部位が違っていたり、シリーズ順序が誤っていたりすると、診断時に混乱を招きます。
そのため、検像では画像と画像付帯情報の整合性を確認します。
ただし、検査同意書を取得しているかどうかは、検査実施前に確認すべき事項です。
検像システムの画像確認項目とは別に考えます。
選択肢の確認
1.画像の患者情報が正しいこと。
誤りではありません。
患者名、患者ID、生年月日などの患者情報が正しいかは、検像で非常に重要な確認項目です。
患者取り違えを防ぐためにも必ず確認します。
2.画像の濃淡が適正であること。
誤りではありません。
画像の濃淡やコントラスト、表示条件、撮影条件の適切さは検像で確認します。
診断に適した画像であるかを見る項目です。
3.シリーズの順序が正しいこと。
誤りではありません。
CTやMRIなどでは、シリーズの順序や画像の並びが診断に影響します。
シリーズ順序が正しいかは検像の確認項目です。
4.検査同意書を取得していること。
これが誤りです。
検査同意書の取得は、検査前の説明・同意や業務管理に関係する事項です。
検像システムで確認する画像や画像付帯情報の項目ではありません。
5.検査オーダに対して撮影部位が正しいこと。
誤りではありません。
検査オーダと実際の撮影部位が一致しているかは、検像で重要な確認項目です。
撮影部位の誤りやオーダ違いを防ぐために確認します。
覚えるポイント
検像は、画像を送る前の最終チェックです。
確認するものは、
- 患者情報
- 撮影部位
- 検査オーダとの一致
- 画像の濃淡・画質
- シリーズ順序
- 画像の向きや左右表示
です。
一方、検査同意書は検査前の説明・同意に関係するため、検像システムの確認項目ではありません。
この問題では「誤っているのはどれか」と問われているため、正しい選択肢は
4.検査同意書を取得していること。
です。
78PM34問題・解答・解説
問題文
個人情報の取扱いで正しいのはどれか。2 つ選べ。
選択肢
1.患者の氏名は個人識別符号に含まれる。
2.患者の病歴情報は要配慮個人情報に含まれる。
3.画像に付帯して記録される患者の氏名は個人情報に含まれる。
4.患者に対して病状説明のために診療情報を用いるのは2 次利用である。
5.取得した診療情報を病院職員の教育に用いるのは1 次利用に該当する。
答え
2.患者の病歴情報は要配慮個人情報に含まれる。 3.画像に付帯して記録される患者の氏名は個人情報に含まれる。
解説
正答
2.患者の病歴情報は要配慮個人情報に含まれる。
3.画像に付帯して記録される患者の氏名は個人情報に含まれる。
この問題のポイント
個人情報、個人識別符号、要配慮個人情報、診療情報の一次利用・二次利用を区別する問題です。
この問題で正しいのは、次の2つです。
- 病歴情報は要配慮個人情報に含まれる
- 医用画像に付帯して記録される患者氏名は個人情報に含まれる
したがって、正しい選択肢は 2と3 です。
解説
医療機関で扱う診療情報には、患者を識別できる情報や、患者の病気・治療に関する情報が含まれます。
患者の病歴は、本人に対する不当な差別や不利益が生じないよう特に配慮が必要な情報です。
そのため、病歴は 要配慮個人情報 に含まれます。
また、医用画像そのものだけでなく、画像に付帯するDICOM情報にも注意が必要です。
画像に患者氏名、患者ID、生年月日などが記録されていれば、それは個人を識別できる情報です。
したがって、画像に付帯して記録される患者の氏名は個人情報に含まれます。
一方、患者氏名は個人情報ではありますが、法律上の「個人識別符号」そのものではありません。
また、患者本人への病状説明は診療目的での利用であり、二次利用ではありません。
病院職員教育への利用は、診療そのものとは異なる目的での利用になるため、一次利用とはいえません。
選択肢の確認
1.患者の氏名は個人識別符号に含まれる。
誤りです。
患者の氏名は個人情報に含まれます。
しかし、個人識別符号とは、身体的特徴を電子計算機で利用できるように変換した符号や、マイナンバーなど個人を識別するために割り当てられた番号・記号などを指します。
氏名そのものは個人識別符号ではありません。
2.患者の病歴情報は要配慮個人情報に含まれる。
正しいです。
病歴は、本人に対する差別や不利益につながる可能性があるため、要配慮個人情報に含まれます。
医療情報の中でも特に慎重に扱う必要があります。
3.画像に付帯して記録される患者の氏名は個人情報に含まれる。
正しいです。
DICOM画像などには、画像データに加えて患者氏名や患者IDなどの付帯情報が含まれることがあります。
患者氏名が記録されていれば個人を識別できるため、個人情報に該当します。
4.患者に対して病状説明のために診療情報を用いるのは2次利用である。
誤りです。
患者本人への病状説明は、診療の一部として行われる利用です。
したがって、診療目的の一次利用に該当します。
二次利用ではありません。
5.取得した診療情報を病院職員の教育に用いるのは1次利用に該当する。
誤りです。
病院職員の教育目的で診療情報を使う場合、診療そのものの目的とは異なります。
そのため、一次利用ではなく、目的外利用または二次利用として取り扱いに注意が必要です。
匿名化や同意、施設内ルールの確認が重要になります。
覚えるポイント
医療情報の取り扱いでは、用語を分けて覚えます。
- 個人情報:氏名、患者ID、生年月日など、個人を識別できる情報
- 個人識別符号:マイナンバー、保険証番号、身体特徴を変換した符号など
- 要配慮個人情報:病歴、診療情報の一部、健康診断結果など
- 一次利用:診療、患者本人への説明など本来の診療目的での利用
- 二次利用:研究、教育、統計など診療以外の目的での利用
この問題は2つ選ぶ問題です。
正しい選択肢は、
2.患者の病歴情報は要配慮個人情報に含まれる。
3.画像に付帯して記録される患者の氏名は個人情報に含まれる。
です。
78PM35問題・解答・解説
問題文
放射線情報システムの機能に含まれないのはどれか。
選択肢
1.照射録情報の管理
2.オンライン資格確認
3.検査実施情報の管理
4.検査予約状況の管理
5.検査機器との情報通信
答え
2.オンライン資格確認
解説
正答
2.オンライン資格確認
この問題のポイント
放射線情報システム、つまりRISの機能を問う問題です。
RISは Radiology Information System の略で、放射線部門の業務を管理するための情報システムです。
RISに含まれる代表的な機能は、
- 検査予約の管理
- 検査実施情報の管理
- 撮影条件や照射録情報の管理
- 検査機器との情報通信
- PACSやHISとの連携
などです。
一方、オンライン資格確認は、患者の医療保険資格を確認する仕組みです。
放射線部門の検査管理を行うRIS固有の機能ではありません。
したがって、含まれないものは
2.オンライン資格確認
です。
解説
RISは、放射線検査の予約から実施、記録、画像システムとの連携までを管理するシステムです。
たとえば、医師が検査をオーダすると、その情報がRISに送られます。
RISでは、検査予約、検査室や装置の割り当て、検査実施情報の登録、撮影条件や照射録の管理などを行います。
また、CT、MRI、一般撮影装置などの検査機器と情報通信を行い、患者情報や検査情報を装置へ送ることもあります。
このような装置連携により、患者情報の手入力ミスを減らすことができます。
しかし、オンライン資格確認は、マイナンバーカードや保険情報を用いて医療保険の資格を確認する仕組みです。
これは医事会計や受付業務に関係する機能であり、RISそのものの機能ではありません。
選択肢の確認
1.照射録情報の管理
誤りではありません。
放射線検査での照射条件や線量情報などを管理することは、RISの機能に含まれます。
放射線部門の記録管理として重要です。
2.オンライン資格確認
これが正答です。
オンライン資格確認は、患者の医療保険資格を確認する仕組みです。
RISの代表的な機能ではないため、「含まれないもの」として正しい選択肢です。
3.検査実施情報の管理
誤りではありません。
検査を実施した日時、担当者、検査内容、実施状況などを管理することは、RISの基本機能です。
4.検査予約状況の管理
誤りではありません。
検査予約のスケジュール管理はRISの代表的な機能です。
検査室や装置の使用状況を管理するために重要です。
5.検査機器との情報通信
誤りではありません。
RISは検査機器と連携し、患者情報や検査オーダ情報を送受信します。
DICOM Modality Worklistなどを介して、装置への情報入力を支援します。
覚えるポイント
RISは、放射線部門の業務管理システムです。
RISに含まれるものは、
- 検査予約管理
- 検査実施管理
- 照射録情報管理
- 検査機器との通信
- PACS、HISとの連携
です。
一方、
- オンライン資格確認:保険資格確認の仕組み
であり、RIS固有の機能ではありません。
この問題では「RISの機能に含まれないもの」を問うているため、正しい選択肢は
2.オンライン資格確認
です。
78PM36問題・解答・解説
問題文
検査時の本人確認で正しいのはどれか。
選択肢
1.患者氏名と性別の組み合わせで確認した。
2.患者のリストバンドのバーコードで確認した。
3.患者の意識が無いためベッドの名札で確認した。
4.小児患者の付き添い者が提示した診察券で確認した。
5.診療放射線技師が患者氏名を読み上げ、患者が「はい」と答えた。
答え
2.患者のリストバンドのバーコードで確認した。
解説
正答
2.患者のリストバンドのバーコードで確認した。
この問題のポイント
検査時の本人確認では、患者取り違えを防ぐために、できるだけ客観的で確実な方法を用いることが重要です。
本人確認では、
- 患者本人に名乗ってもらう
- 患者IDなど複数の情報を照合する
- リストバンドやバーコードを利用する
- オーダ情報と照合する
といった方法が有効です。
この問題では、リストバンドのバーコードを用いて確認している 2 が最も適切です。
解説
患者確認では、「思い込み」や「聞き間違い」による誤認を避ける必要があります。
たとえば、医療者が患者氏名を読み上げて、患者が「はい」と答えるだけでは、聞き間違いや別人の返事による取り違えが起こる可能性があります。
また、ベッドの名札や付き添い者が持っている診察券だけで確認するのも、患者本人そのものを確認したことにはなりません。
リストバンドのバーコード確認では、患者に装着された識別情報を機械的に読み取り、検査オーダや患者情報と照合できます。
そのため、本人確認として適切です。
選択肢の確認
1.患者氏名と性別の組み合わせで確認した。
誤りです。
氏名と性別だけでは、同姓同名や情報の取り違えを十分に防げません。
本人確認では、患者ID、生年月日、リストバンドなど、より確実な識別情報を組み合わせて確認する必要があります。
2.患者のリストバンドのバーコードで確認した。
正しいです。
リストバンドは患者本人に装着されている識別情報であり、バーコードを読み取ることで患者情報と検査オーダを照合できます。
機械的・客観的に確認できるため、検査時の本人確認として適切です。
3.患者の意識が無いためベッドの名札で確認した。
誤りです。
ベッドの名札は、患者本人を直接確認する方法ではありません。
患者が意識障害などで名乗れない場合でも、リストバンド、診療録、患者ID、スタッフ間確認などを組み合わせて確認する必要があります。
4.小児患者の付き添い者が提示した診察券で確認した。
誤りです。
付き添い者の提示した診察券だけでは、患者本人との対応が確実とはいえません。
小児でも、リストバンドや患者ID、氏名・生年月日などを用いて、患者本人と検査オーダを照合する必要があります。
5.診療放射線技師が患者氏名を読み上げ、患者が「はい」と答えた。
誤りです。
医療者側が名前を読み上げる確認方法では、患者が聞き間違えたり、反射的に返事をしたりする可能性があります。
患者本人に氏名や生年月日を名乗ってもらう、またはリストバンドなどで確認する方法が望ましいです。
覚えるポイント
本人確認では、患者に「はい」と答えさせるだけでは不十分です。
- 患者本人に名乗ってもらう
- リストバンドで確認する
- バーコードで患者情報と検査オーダを照合する
- 患者IDや生年月日など複数情報を確認する
この問題では、最も確実で客観的な確認方法として、
2.患者のリストバンドのバーコードで確認した。
が正答です。
78PM37問題・解答・解説
問題文
AED 使用時の注意事項で正しいのはどれか。
選択肢
1.ペースメーカの直上に電極を貼る。
2.心拍が再開したら直ちに電極を剝がす。
3.汗などの水分を拭き取ってから電極を貼る。
4.解析や放電は患者の脈を触知しながら行う。
5.電極を貼る位置の胸毛を剃ってはならない。
答え
3.汗などの水分を拭き取ってから電極を貼る。
解説
正答
3.汗などの水分を拭き取ってから電極を貼る。
この問題のポイント
AEDを安全かつ確実に使用するための注意点を問う問題です。
AEDの電極パッドは、皮膚にしっかり密着している必要があります。
胸部が汗や水で濡れていると、電極が密着しにくくなり、電気が適切に流れないおそれがあります。
そのため、AEDパッドを貼る前には、汗などの水分を拭き取ります。
したがって、正しい選択肢は 3 です。
解説
AEDは、心室細動などの致死的不整脈に対して電気ショックを行う装置です。
使用時には、装置の音声指示に従いながら、
- 胸部を露出する
- 汗や水分を拭き取る
- 電極パッドを正しい位置に貼る
- 解析中・放電時は患者に触れない
- 必要に応じて胸骨圧迫を再開する
という流れで対応します。
特に大切なのは、解析中や放電時に患者へ触れないことです。
患者に触れていると、正確な心電図解析の妨げになったり、放電時に救助者が感電したりする危険があります。
選択肢の確認
1.ペースメーカの直上に電極を貼る。
誤りです。
植込み型ペースメーカやICDがある場合、その直上にAEDパッドを貼るのは避けます。
機器のふくらみを避け、少し離した位置に電極を貼ります。
2.心拍が再開したら直ちに電極を剝がす。
誤りです。
心拍が再開しても、再び不整脈が起こる可能性があります。
AEDの電極は直ちに剝がさず、救急隊や医療者に引き継ぐまで装着したままにします。
3.汗などの水分を拭き取ってから電極を貼る。
正しいです。
胸部が濡れていると、電極パッドが密着しにくくなり、電気ショックの効果が低下したり、電流が表面を流れたりするおそれがあります。
そのため、汗や水分を拭き取ってから電極を貼ります。
4.解析や放電は患者の脈を触知しながら行う。
誤りです。
AEDが心電図を解析している間や放電する間は、患者に触れてはいけません。
解析の妨げや感電の危険があるため、周囲に「離れてください」と声をかけてから行います。
5.電極を貼る位置の胸毛を剃ってはならない。
誤りです。
胸毛が多く、電極パッドが密着しない場合は、必要に応じて胸毛を除去します。
電極が密着しないままでは、AEDの効果が十分に得られません。
覚えるポイント
AED使用時は、次の点を押さえます。
- 胸が濡れていれば水分を拭き取る
- ペースメーカの直上は避ける
- 胸毛でパッドが貼れない場合は除去する
- 解析中・放電時は患者に触れない
- 心拍再開後も電極はすぐに剝がさない
この問題では、AEDパッドを確実に密着させるため、
3.汗などの水分を拭き取ってから電極を貼る。
が正答です。
78PM38問題・解答・解説
問題文
施錠による管理が必要なテクネチウム注射液調製用キットで正しいのはどれか。
選択肢
1.DMSA
2.MAA
3.MAG3
4.MIBI
5.PYP
答え
4.MIBI
解説
正答
4.MIBI
この問題のポイント
テクネチウム注射液調製用キットの管理について問う問題です。
放射性医薬品の調製用キットは、薬剤ごとに保管・管理方法が異なります。
この問題では、選択肢の中で 施錠による管理が必要なキット を選びます。
該当するのは MIBI です。
解説
99mTc標識製剤を調製するキットには、DMSA、MAA、MAG3、MIBI、PYPなどがあります。
これらはすべてテクネチウム製剤の調製に関係しますが、管理区分は同じではありません。
施錠管理が必要かどうかは、放射性医薬品としての用途だけでなく、キットに含まれる成分や管理上の区分によって決まります。
この問題では、施錠管理が必要なテクネチウム注射液調製用キットとして MIBI を選びます。
選択肢の確認
1.DMSA
誤りです。
DMSAは腎静態シンチグラフィなどに用いられるテクネチウム製剤の調製キットです。
本問で問われている施錠管理が必要なキットとしては該当しません。
2.MAA
誤りです。
MAAは肺血流シンチグラフィなどに用いられます。
肺毛細血管に一時的に捕捉される性質を利用しますが、本問の施錠管理が必要なキットではありません。
3.MAG3
誤りです。
MAG3は腎動態シンチグラフィなどに用いられる薬剤です。
腎機能評価に関係する製剤ですが、本問の施錠管理が必要なキットとしては該当しません。
4.MIBI
正しいです。
MIBIは、心筋血流シンチグラフィや副甲状腺シンチグラフィなどに用いられる99mTc標識製剤です。
選択肢の中では、施錠による管理が必要なテクネチウム注射液調製用キットとして該当します。
5.PYP
誤りです。
PYPは心アミロイドーシス評価や骨シンチグラフィ関連などで用いられることがあります。
ただし、本問で問われている施錠管理が必要なキットとしては該当しません。
覚えるポイント
この問題は、薬剤の画像診断上の用途ではなく、キットの管理区分 を問うています。
- DMSA:腎静態など
- MAA:肺血流など
- MAG3:腎動態など
- MIBI:心筋血流、副甲状腺など、施錠管理が必要なキットとして覚える
- PYP:心アミロイドーシス評価など
この問題では、施錠による管理が必要なテクネチウム注射液調製用キットは
4.MIBI
です。
78PM39問題・解答・解説
問題文
核医学検査に携わる診療放射線技師の行為で誤っているのはどれか。
選択肢
1.ガス状の放射性医薬品を吸入させる。
2.核医学検査のために静脈路を確保する。
3.核医学治療用の放射性医薬品を投与する。
4.放射性医薬品を注入するために装置を接続する。
5.放射性医薬品の投与が終了した後に抜針および止血を行う。
答え
3.核医学治療用の放射性医薬品を投与する。
解説
正答
3.核医学治療用の放射性医薬品を投与する。
この問題のポイント
核医学検査における診療放射線技師の業務範囲を問う問題です。
問題文は「誤っているのはどれか」と聞いています。
つまり、選ぶべきなのは 診療放射線技師の行為として不適切なもの です。
核医学検査に関して、診療放射線技師が行える範囲は拡大しています。
たとえば、検査のための静脈路確保、注入装置の接続、投与終了後の抜針・止血などが含まれます。
しかし、核医学治療用の放射性医薬品の投与 は、検査目的の業務とは区別されます。
したがって、誤っている行為は 3 です。
解説
核医学には、診断目的の核医学検査と、治療目的の核医学治療があります。
診断目的の核医学検査では、放射性医薬品を用いて臓器機能や病変分布を画像化します。
この検査に関する一定の行為については、診療放射線技師が医師の指示のもとで実施できる範囲があります。
一方、核医学治療では、治療目的で放射性医薬品を体内に投与します。
これは診断検査とは位置づけが異なり、診療放射線技師が行う核医学検査の業務範囲として扱いません。
選択肢の確認
1.ガス状の放射性医薬品を吸入させる。
誤りではありません。
肺換気シンチグラフィなどでは、ガス状またはエアロゾル状の放射性医薬品を吸入して検査を行います。
核医学検査に関する行為として扱われます。
2.核医学検査のために静脈路を確保する。
誤りではありません。
核医学検査のための静脈路確保は、診療放射線技師の業務範囲として認められる行為に含まれます。
ただし、実施には医師の指示や施設の手順に従う必要があります。
3.核医学治療用の放射性医薬品を投与する。
これが誤りです。
核医学治療用の放射性医薬品の投与は、診断目的の核医学検査における業務とは区別されます。
診療放射線技師が行う核医学検査の行為としては不適切であり、本問の正答です。
4.放射性医薬品を注入するために装置を接続する。
誤りではありません。
核医学検査で放射性医薬品を注入するために、注入装置を接続する行為は、検査の実施に関係する行為として扱われます。
5.放射性医薬品の投与が終了した後に抜針および止血を行う。
誤りではありません。
検査のための放射性医薬品投与後に、抜針や止血を行うことは、核医学検査に関する業務範囲に含まれます。
覚えるポイント
診療放射線技師の核医学関連業務では、検査 と 治療 を分けて考えます。
- 核医学検査のための静脈路確保:可能な行為に含まれる
- 注入装置の接続:可能な行為に含まれる
- 投与終了後の抜針・止血:可能な行為に含まれる
- ガス状放射性医薬品の吸入:検査として扱う
- 核医学治療用放射性医薬品の投与:診療放射線技師の核医学検査業務としては不適切
この問題では「誤っている行為」を選ぶため、正しい選択肢は
3.核医学治療用の放射性医薬品を投与する。
です。
78PM40問題・解答・解説
問題文
障害によって眼球運動に異常を生じるのはどれか。2 つ選べ。
選択肢
1.視神経
2.外転神経
3.滑車神経
4.顔面神経
5.三叉神経
答え
2.外転神経 3.滑車神経
解説
正答
2.外転神経
3.滑車神経
この問題のポイント
眼球運動に関係する脳神経を問う問題です。
眼球を動かす外眼筋は、主に次の3つの脳神経に支配されています。
- 動眼神経
- 滑車神経
- 外転神経
この選択肢の中にあるのは、外転神経 と 滑車神経 です。
したがって、正しい選択肢は 2と3 です。
解説
眼球運動は、眼球の周囲にある外眼筋によって行われます。
外眼筋を支配する脳神経は、次のように整理できます。
- 動眼神経:上直筋、下直筋、内側直筋、下斜筋など
- 滑車神経:上斜筋
- 外転神経:外側直筋
外転神経が障害されると、外側直筋が働きにくくなり、眼球を外側へ向けにくくなります。
滑車神経が障害されると、上斜筋の働きが障害され、眼球運動異常や複視が生じます。
視神経は視覚、顔面神経は表情筋、三叉神経は顔面感覚や咀嚼筋に関係する神経であり、主な眼球運動神経ではありません。
選択肢の確認
1.視神経
誤りです。
視神経は、網膜で受け取った視覚情報を脳へ伝える神経です。
視力や視野には関係しますが、眼球を動かす神経ではありません。
2.外転神経
正しいです。
外転神経は外側直筋を支配し、眼球を外側へ向ける働きに関係します。
障害されると、眼球の外転障害や複視が生じます。
3.滑車神経
正しいです。
滑車神経は上斜筋を支配します。
障害されると、眼球運動異常や複視が生じるため、正しい選択肢です。
4.顔面神経
誤りです。
顔面神経は表情筋、涙腺、味覚の一部などに関係します。
眼を閉じる眼輪筋には関係しますが、眼球そのものを動かす外眼筋の神経ではありません。
5.三叉神経
誤りです。
三叉神経は顔面の感覚や咀嚼筋に関係します。
角膜反射の感覚路としても重要ですが、眼球運動を直接支配する神経ではありません。
覚えるポイント
眼球運動に関係する脳神経は、番号で覚えると整理しやすいです。
- 第III脳神経:動眼神経
- 第IV脳神経:滑車神経
- 第VI脳神経:外転神経
語呂としては、
眼球運動は III・IV・VI
と覚えます。
この問題では、選択肢の中で眼球運動に関係する神経は、
2.外転神経
3.滑車神経
です。
78PM41問題・解答・解説
問題文
肝転移の原発腫瘍で最も頻度が高いのはどれか。
選択肢
1.腎 癌
2.膠芽腫
3.大腸癌
4.子宮体癌
5.前立腺癌
答え
3.大腸癌
解説
正答
3.大腸癌
この問題のポイント
肝転移を起こしやすい原発腫瘍を問う問題です。
肝臓は、消化管からの血液が門脈を通って流れ込む臓器です。
そのため、消化管の悪性腫瘍、とくに大腸癌は肝臓へ転移しやすい特徴があります。
この選択肢の中で、肝転移の原発腫瘍として最も頻度が高いのは 大腸癌 です。
解説
肝臓には、門脈と肝動脈から血液が流入します。
大腸からの静脈血は、主に門脈系を通って肝臓に流れます。
そのため、大腸癌の腫瘍細胞が血流に乗ると、まず肝臓に到達しやすくなります。
このため、大腸癌では肝転移が比較的多くみられます。
一方、腎癌、子宮体癌、前立腺癌も転移を起こすことはありますが、この選択肢の中で肝転移の原発として最も頻度が高いものを選ぶなら、大腸癌です。
膠芽腫は中枢神経系の悪性腫瘍で、通常は頭蓋内で進展することが多く、肝転移の原発として頻度が高い腫瘍ではありません。
選択肢の確認
1.腎癌
誤りです。
腎癌は血行性転移を起こしやすく、肺、骨、肝などに転移することがあります。
しかし、肝転移の原発腫瘍として最も頻度が高いものではありません。
2.膠芽腫
誤りです。
膠芽腫は脳に発生する悪性腫瘍です。
頭蓋内で浸潤性に進展することが多く、肝転移の原発として頻度が高い腫瘍ではありません。
3.大腸癌
正しいです。
大腸からの血流は門脈を介して肝臓に流れます。
そのため、大腸癌は肝転移を起こしやすく、この選択肢の中では最も適切です。
4.子宮体癌
誤りです。
子宮体癌でも進行例では転移を起こしますが、肝転移の原発として最も頻度が高い腫瘍ではありません。
5.前立腺癌
誤りです。
前立腺癌は骨転移が多い腫瘍として重要です。
肝転移を起こすこともありますが、肝転移の原発として最も頻度が高いものではありません。
覚えるポイント
肝転移は、門脈系との関係で考えると覚えやすいです。
- 消化管からの血液は門脈を通って肝臓へ流れる
- 大腸癌は門脈系を介して肝転移を起こしやすい
- 前立腺癌は骨転移が重要
- 膠芽腫は肝転移の原発としては典型的ではない
この問題では、肝転移の原発腫瘍として最も頻度が高いものを選ぶため、正しい選択肢は
3.大腸癌
です。
78PM42問題・解答・解説
問題文
細菌による感染症はどれか。
選択肢
1.破傷風
2.帯状疱疹
3.インフルエンザ
4.トキソプラズマ症
5.Creutzfeldt-Jakob〈クロイツフェルト・ヤコブ〉病
答え
1.破傷風
解説
正答
1.破傷風
この問題のポイント
感染症の原因となる病原体を分類する問題です。
感染症の原因には、細菌、ウイルス、原虫、真菌、プリオンなどがあります。
この問題では、選択肢の中から 細菌による感染症 を選びます。
破傷風は、破傷風菌によって起こる細菌感染症です。
したがって、正答は 1.破傷風 です。
解説
破傷風は、Clostridium tetani、つまり破傷風菌によって起こります。
破傷風菌は土壌中などに存在し、傷口から体内に入ることがあります。
菌が産生する毒素によって、筋肉のこわばりやけいれんなどが起こります。
一方、帯状疱疹とインフルエンザはウイルスによる感染症です。
トキソプラズマ症は原虫による感染症です。
Creutzfeldt-Jakob病は、通常の細菌やウイルスではなく、異常プリオン蛋白が関係する疾患です。
選択肢の確認
1.破傷風
正しいです。
破傷風は破傷風菌による細菌感染症です。
細菌による感染症を選ぶ本問では、これが正答です。
2.帯状疱疹
誤りです。
帯状疱疹は、水痘・帯状疱疹ウイルスによって起こります。
原因は細菌ではなくウイルスです。
3.インフルエンザ
誤りです。
インフルエンザはインフルエンザウイルスによる感染症です。
細菌感染症ではありません。
4.トキソプラズマ症
誤りです。
トキソプラズマ症は、Toxoplasma gondii という原虫による感染症です。
細菌ではありません。
5.Creutzfeldt-Jakob〈クロイツフェルト・ヤコブ〉病
誤りです。
Creutzfeldt-Jakob病はプリオン病です。
細菌やウイルスによる一般的な感染症とは区別します。
覚えるポイント
感染症は、原因微生物で整理します。
- 細菌:破傷風
- ウイルス:帯状疱疹、インフルエンザ
- 原虫:トキソプラズマ症
- プリオン:Creutzfeldt-Jakob病
この問題では、細菌による感染症を選ぶため、正しい選択肢は
1.破傷風
です。
78PM43問題・解答・解説
問題文
気道の分岐の順番で正しいのはどれか。
選択肢
1.気管支→細気管支→呼吸細気管支→終末細気管支→肺胞
2.気管支→細気管支→終末細気管支→呼吸細気管支→肺胞
3.気管支→呼吸細気管支→細気管支→終末細気管支→肺胞
4.気管支→呼吸細気管支→終末細気管支→細気管支→肺胞
5.気管支→終末細気管支→細気管支→呼吸細気管支→肺胞
答え
2.気管支→細気管支→終末細気管支→呼吸細気管支→肺胞
解説
正答
2.気管支 → 細気管支 → 終末細気管支 → 呼吸細気管支 → 肺胞
この問題のポイント
気道が末梢に向かってどの順番で枝分かれするかを問う問題です。
空気の通り道は、太い気道から細い気道へ進み、最終的にガス交換の場である肺胞へ到達します。
正しい順番は、
気管支 → 細気管支 → 終末細気管支 → 呼吸細気管支 → 肺胞
です。
解説
気道は、気管から左右の気管支に分かれ、さらに肺の中で細かく枝分かれしていきます。
大まかな流れは次の通りです。
- 気管支
- 細気管支
- 終末細気管支
- 呼吸細気管支
- 肺胞
終末細気管支までは、主に空気を通すための通路です。
ここまでを伝導部と考えます。
呼吸細気管支から先は、肺胞が関係してくるため、ガス交換に関与する領域になります。
つまり、呼吸細気管支は「空気の通り道」から「ガス交換を行う領域」へ移る境目として重要です。
選択肢の確認
1.気管支→細気管支→呼吸細気管支→終末細気管支→肺胞
誤りです。
呼吸細気管支より前に終末細気管支があります。
終末細気管支と呼吸細気管支の順番が逆です。
2.気管支→細気管支→終末細気管支→呼吸細気管支→肺胞
正しいです。
太い気管支から細気管支へ進み、その後に終末細気管支、呼吸細気管支、肺胞へ向かいます。
これが正しい分岐の順番です。
3.気管支→呼吸細気管支→細気管支→終末細気管支→肺胞
誤りです。
呼吸細気管支は細気管支や終末細気管支より末梢側にあります。
気管支の直後に呼吸細気管支が来るわけではありません。
4.気管支→呼吸細気管支→終末細気管支→細気管支→肺胞
誤りです。
細気管支、終末細気管支、呼吸細気管支の順番が大きく入れ替わっています。
末梢へ向かう順番として不適切です。
5.気管支→終末細気管支→細気管支→呼吸細気管支→肺胞
誤りです。
細気管支の末梢側に終末細気管支があります。
したがって、細気管支と終末細気管支の順番が逆です。
覚えるポイント
気道の分岐は、太いところから細いところへ進むイメージで覚えます。
気管支 → 細気管支 → 終末細気管支 → 呼吸細気管支 → 肺胞
また、機能で分けると次のようになります。
- 終末細気管支まで:空気を運ぶ伝導部
- 呼吸細気管支以降:ガス交換に関与する領域
この問題では、正しい分岐の順番を選ぶため、正しい選択肢は
2.気管支→細気管支→終末細気管支→呼吸細気管支→肺胞
です。
78PM44問題・解答・解説
問題文
女性の更年期症状で最も頻度が低いのはどれか。
選択肢
1.動 悸
2.低血圧
3.抑うつ
4.易疲労感
5.顔のほてり
答え
2.低血圧
解説
正答
2.低血圧
この問題のポイント
女性の更年期症状として、よくみられる症状と、代表的ではない症状を見分ける問題です。
更年期では、エストロゲンの低下により自律神経や精神症状、身体症状が出やすくなります。
代表的な症状には、
- 顔のほてり
- 発汗
- 動悸
- 易疲労感
- 抑うつ
- 不眠
- いらいら
などがあります。
この選択肢の中で、更年期症状として最も頻度が低いものは 低血圧 です。
解説
更年期症状は、大きく分けると次のように整理できます。
血管運動神経症状
顔のほてり、のぼせ、発汗、動悸などです。
いわゆるホットフラッシュは、更年期症状としてよく知られています。
精神神経症状
抑うつ、不安、いらいら、不眠などです。
ホルモン変化だけでなく、生活環境や心理的要因も関係します。
身体症状
易疲労感、肩こり、頭痛、関節痛などがみられることがあります。
一方、低血圧は更年期症状として代表的なものではありません。
自律神経の不安定さにより体調変化を訴えることはありますが、選択肢の中で最も頻度が低いものを選ぶなら低血圧です。
選択肢の確認
1.動悸
誤りです。
動悸は更年期にみられる自律神経症状の一つです。
頻度が低い症状として選ぶものではありません。
2.低血圧
正しいです。
低血圧は更年期症状として代表的な症状ではありません。
この選択肢の中では最も頻度が低いものとして適切です。
3.抑うつ
誤りです。
抑うつ気分は更年期にみられる精神神経症状の一つです。
更年期症状として比較的よく扱われます。
4.易疲労感
誤りです。
疲れやすさは更年期にみられる身体症状の一つです。
頻度が低い症状としては不適切です。
5.顔のほてり
誤りです。
顔のほてり、のぼせ、発汗は更年期の代表的な症状です。
特にホットフラッシュとして重要です。
覚えるポイント
更年期症状は、次のように分類して覚えます。
- 血管運動神経症状:ほてり、のぼせ、発汗、動悸
- 精神神経症状:抑うつ、不眠、不安、いらいら
- 身体症状:易疲労感、肩こり、頭痛など
低血圧は、更年期症状として代表的なものではありません。
この問題では、最も頻度が低いものを選ぶため、正しい選択肢は
2.低血圧
です。
78PM45問題・解答・解説
問題文
細胞分裂で染色体の複製が起こる時期はどれか。
選択肢
1.G 1 期
2.G 2 前期
3.G 2 中期
4.G 2 後期
5.S 期
答え
5.S 期
解説
正答
5.S期
この問題のポイント
細胞周期の中で、染色体、つまりDNAの複製が起こる時期を問う問題です。
細胞周期は、大きく次の流れで進みます。
G1期 → S期 → G2期 → M期
このうち、DNAを複製する時期は S期 です。
Sは synthesis、つまり合成を意味します。
したがって、正答は 5.S期 です。
解説
細胞が分裂するためには、分裂前にDNAを2倍にしておく必要があります。
このDNA複製が行われるのがS期です。
DNAが複製されることで、各染色体は同じ情報を持つ姉妹染色分体をもつ状態になります。
その後、G2期で分裂の準備を行い、M期で染色体が娘細胞へ分配されます。
G1期はDNA合成前の準備段階です。
G2期はDNA合成後、細胞分裂に向けた準備段階です。
染色体の複製そのものは、G1期やG2期ではなくS期に起こります。
選択肢の確認
1.G1期
誤りです。
G1期はDNA合成前の時期です。
細胞が成長し、DNA合成に向けた準備を行いますが、染色体の複製はまだ起こりません。
2.G2前期
誤りです。
G2期はDNA複製が終わった後の時期です。
細胞分裂に向けた準備を行いますが、染色体複製の時期ではありません。
3.G2中期
誤りです。
G2期はS期の後です。
DNA複製後の確認や分裂準備を行う段階であり、染色体複製が起こる時期ではありません。
4.G2後期
誤りです。
G2期の後にはM期へ進みます。
G2期は分裂準備の時期であり、染色体複製はS期で完了しています。
5.S期
正しいです。
S期ではDNA合成が行われ、染色体が複製されます。
細胞分裂前に遺伝情報を2倍にする重要な時期です。
覚えるポイント
細胞周期は、順番と役割をセットで覚えます。
- G1期:DNA合成前、細胞成長
- S期:DNA合成、染色体複製
- G2期:DNA合成後、分裂準備
- M期:有糸分裂、染色体分配
S期のSは synthesis、DNA合成のS と覚えるとわかりやすいです。
この問題では、染色体の複製が起こる時期を問うているため、正しい選択肢は
5.S期
です。
78PM46問題・解答・解説
問題文
胸管が流入するのはどれか。
選択肢
1.門 脈
2.奇静脈
3.上大静脈
4.下大静脈
5.左鎖骨下静脈
答え
5.左鎖骨下静脈
解説
正答
5.左鎖骨下静脈
この問題のポイント
胸管が最終的にどこへ流入するかを問う問題です。
胸管は、全身の多くのリンパを集める最大のリンパ管です。
最終的には、左内頸静脈と左鎖骨下静脈の合流部付近、つまり 左静脈角 に流入します。
選択肢では「左静脈角」はありませんが、その構成に関係する 左鎖骨下静脈 が該当します。
したがって、正答は
5.左鎖骨下静脈
です。
解説
リンパ液は、最終的に静脈系へ戻ります。
胸管は、次のような広い範囲のリンパを集めます。
- 両下肢
- 骨盤部
- 腹部
- 左胸部
- 左上肢
- 左頭頸部
これらのリンパは胸管を通り、最終的に左静脈角へ流入します。
左静脈角とは、左内頸静脈と左鎖骨下静脈が合流する部分です。
一方、右上半身の一部、つまり右頭頸部・右上肢・右胸部のリンパは、右リンパ本幹を通って右静脈角へ流入します。
選択肢の確認
1.門脈
誤りです。
門脈は、消化管や脾臓などからの静脈血を肝臓へ運ぶ血管です。
リンパ管である胸管が流入する部位ではありません。
2.奇静脈
誤りです。
奇静脈は胸壁などの静脈血を上大静脈へ戻す静脈です。
胸管は胸部を上行しますが、最終的に奇静脈へ流入するわけではありません。
3.上大静脈
誤りです。
上大静脈は頭頸部や上肢などからの静脈血を右心房へ戻す太い静脈です。
胸管は直接上大静脈へ入るのではなく、左静脈角付近に流入します。
4.下大静脈
誤りです。
下大静脈は下半身からの静脈血を右心房へ戻す血管です。
胸管の流入部位ではありません。
5.左鎖骨下静脈
正しいです。
胸管は左内頸静脈と左鎖骨下静脈の合流部である左静脈角に流入します。
選択肢の中では、左鎖骨下静脈が最も適切です。
覚えるポイント
胸管の流入部位は、次のように覚えます。
- 胸管:左静脈角へ流入
- 左静脈角:左内頸静脈と左鎖骨下静脈の合流部
- 右リンパ本幹:右静脈角へ流入
胸管は「左に入る」と覚えると整理しやすいです。
この問題では、胸管が流入する部位として最も適切なのは
5.左鎖骨下静脈
です。
78PM47問題・解答・解説
問題文
神経鞘腫が発生する頻度が最も高いのはどれか。
選択肢
1.視神経
2.三叉神経
3.顔面神経
4.聴神経
5.副神経
答え
4.聴神経
解説
正答
4.聴神経
この問題のポイント
神経鞘腫がどの神経に多く発生するかを問う問題です。
神経鞘腫は、末梢神経を包むシュワン細胞由来の腫瘍です。
頭蓋内で代表的なのは、聴神経に発生する神経鞘腫です。
特に、聴神経と呼ばれる第VIII脳神経のうち、前庭神経由来の 前庭神経鞘腫 が有名です。
小脳橋角部腫瘍として画像診断でもよく出題されます。
したがって、正答は
4.聴神経
です。
解説
神経鞘腫は、脳神経や末梢神経に発生する良性腫瘍です。
頭蓋内では、聴神経、特に前庭神経から発生するものが最も代表的です。
以前は「聴神経腫瘍」と呼ばれることが多いですが、実際には前庭神経由来が多いため、前庭神経鞘腫と呼ばれます。
発生部位としては、小脳橋角部から内耳道にかけてみられることが多く、症状としては、
- 難聴
- 耳鳴り
- めまい
- 平衡障害
などが出ることがあります。
選択肢の確認
1.視神経
誤りです。
視神経は中枢神経系に属し、一般的な末梢神経のようにシュワン細胞に包まれているわけではありません。
神経鞘腫が最も多く発生する神経ではありません。
2.三叉神経
誤りです。
三叉神経にも神経鞘腫が発生することはあります。
しかし、頻度として最も高いのは聴神経、特に前庭神経です。
3.顔面神経
誤りです。
顔面神経にも神経鞘腫が発生することはありますが、聴神経に比べると頻度は低いです。
4.聴神経
正しいです。
神経鞘腫で最も代表的なのは、聴神経、特に前庭神経に発生する前庭神経鞘腫です。
小脳橋角部腫瘍として重要です。
5.副神経
誤りです。
副神経は胸鎖乳突筋や僧帽筋の運動に関係する脳神経です。
神経鞘腫が最も高頻度に発生する部位ではありません。
覚えるポイント
神経鞘腫といえば、まず 聴神経 を思い浮かべます。
- 神経鞘腫:シュワン細胞由来
- 頻度が高い:聴神経、特に前庭神経
- 代表疾患:前庭神経鞘腫
- 好発部位:小脳橋角部、内耳道
- 症状:難聴、耳鳴り、めまいなど
この問題では、神経鞘腫が最も多く発生する神経を問うているため、正しい選択肢は
4.聴神経
です。
78PM48問題・解答・解説
問題文
細胞外液性造影剤を用いたMRI 検査前に確認を要する血液検査項目で正しいの
はどれか。
選択肢
1.ALT
2.AST
3.BUN
4.eGFR
5.白血球数
答え
4.eGFR
解説
正答
4.eGFR
この問題のポイント
MRIで細胞外液性ガドリニウム造影剤を使用する前に、何を確認する必要があるかを問う問題です。
細胞外液性ガドリニウム造影剤は、主に腎臓から排泄されます。
そのため、投与前には腎機能を確認することが重要です。
腎機能評価として最もよく用いられるのが eGFR です。
したがって、正答は
4.eGFR
です。
解説
eGFRは、推算糸球体濾過量を表します。
腎臓がどの程度血液をろ過できているかを示す指標です。
ガドリニウム造影剤を腎機能が大きく低下した患者に投与すると、造影剤の排泄が遅れます。
重度腎機能障害では、腎性全身性線維症、つまりNSFのリスクが問題になります。
そのため、造影MRI検査前には、腎機能を確認し、造影剤投与の可否を判断します。
このとき確認すべき代表的な項目が eGFR です。
選択肢の確認
1.ALT
誤りです。
ALTは主に肝細胞障害を反映する肝機能検査項目です。
ガドリニウム造影剤投与前に最も重要となる腎機能評価項目ではありません。
2.AST
誤りです。
ASTも肝機能や筋障害などに関連する検査項目です。
細胞外液性MRI造影剤の投与前確認として最も重要な項目ではありません。
3.BUN
誤りです。
BUNは腎機能に関係する項目ですが、脱水や蛋白摂取量などにも影響されます。
造影MRI前の腎機能評価では、eGFRがより直接的に用いられます。
4.eGFR
正しいです。
eGFRは腎機能を評価する重要な指標です。
細胞外液性ガドリニウム造影剤は腎排泄性であるため、投与前にeGFRを確認します。
5.白血球数
誤りです。
白血球数は感染や炎症などの評価に用いられます。
ガドリニウム造影剤投与前に確認すべき腎機能項目ではありません。
覚えるポイント
MRI造影剤の投与前確認では、腎機能を意識します。
- 細胞外液性ガドリニウム造影剤:主に腎排泄
- 投与前に確認する項目:eGFR
- 腎機能低下例:造影剤投与の可否や種類を慎重に判断
- 重度腎機能障害:NSFに注意
ALT・ASTは肝機能、白血球数は感染や炎症の評価です。
この問題では、造影MRI前に確認すべき血液検査項目を問うているため、正しい選択肢は
4.eGFR
です。
78PM49問題・解答・解説
問題文
肝硬変の合併症で誤っているのはどれか。
選択肢
1.黄 疸
2.腹 水
3.血小板増多
4.食道静脈瘤
5.高アンモニア血症
答え
3.血小板増多
解説
正答
3.血小板増多
この問題のポイント
肝硬変の合併症として正しいものと、誤っているものを見分ける問題です。
問題文は「誤っているのはどれか」と聞いています。
つまり、肝硬変の合併症として不適切なものを選びます。
肝硬変では、門脈圧亢進や脾機能亢進により、血小板は増えるのではなく 減少 しやすくなります。
したがって、誤っている選択肢は
3.血小板増多
です。
解説
肝硬変では、肝臓が線維化して硬くなり、肝機能低下と門脈圧亢進が起こります。
その結果、次のような合併症がみられます。
- 黄疸
- 腹水
- 食道静脈瘤
- 肝性脳症
- 高アンモニア血症
- 脾腫
- 血小板減少
特に門脈圧亢進により脾臓が腫大すると、脾臓で血小板が過剰に捕捉されます。
これにより血小板は増加ではなく減少します。
そのため、血小板増多は肝硬変の典型的な合併症ではありません。
選択肢の確認
1.黄疸
誤りではありません。
肝硬変では、肝機能低下によりビリルビン処理が障害され、黄疸がみられることがあります。
肝硬変の合併症として重要です。
2.腹水
誤りではありません。
門脈圧亢進や低アルブミン血症により、腹水が生じやすくなります。
肝硬変の代表的な合併症です。
3.血小板増多
これが誤りです。
肝硬変では、門脈圧亢進による脾腫や脾機能亢進により、血小板は減少しやすくなります。
増多ではなく減少が典型的です。
4.食道静脈瘤
誤りではありません。
肝硬変では門脈圧亢進により側副血行路が発達し、食道静脈瘤が形成されます。
破裂すると大量出血につながる重要な合併症です。
5.高アンモニア血症
誤りではありません。
肝機能低下によりアンモニアの処理が不十分になると、高アンモニア血症を来します。
肝性脳症の原因にもなる重要な所見です。
覚えるポイント
肝硬変の合併症は、肝機能低下と門脈圧亢進で整理します。
肝機能低下で起こるもの
- 黄疸
- 低アルブミン血症
- 凝固能低下
- 高アンモニア血症
- 肝性脳症
門脈圧亢進で起こるもの
- 腹水
- 食道静脈瘤
- 脾腫
- 血小板減少
血小板は「増える」ではなく「減る」と覚えます。
この問題では、肝硬変の合併症として誤っているものを選ぶため、正しい選択肢は
3.血小板増多
です。
78PM50問題・解答・解説
問題文
吸気時の変化について誤っているのはどれか。
選択肢
1.胸郭が拡大する。
2.横隔膜が収縮する。
3.外肋間筋が収縮する。
4.胸骨下角が拡大する。
5.胸腔内圧が陽圧となる。
答え
5.胸腔内圧が陽圧となる。
解説
正答
5.胸腔内圧が陽圧となる。
この問題のポイント
吸気、つまり息を吸うときに体の中で何が起こるかを問う問題です。
問題文は「誤っているのはどれか」と聞いています。
吸気時に誤っている変化を選びます。
吸気では、横隔膜と外肋間筋が収縮し、胸郭が拡大します。
胸郭が広がることで胸腔内圧は低下し、陰圧が強くなります。
したがって、「胸腔内圧が陽圧となる」は誤りです。
解説
吸気では、呼吸筋が働いて胸腔の容積を大きくします。
主な変化は次の通りです。
- 横隔膜が収縮して下がる
- 外肋間筋が収縮して肋骨を引き上げる
- 胸郭が拡大する
- 胸腔内圧が低下する
- 肺が広がり、空気が流入する
胸腔内圧は、通常、大気圧より低い陰圧です。
吸気では胸郭が広がるため、この陰圧がさらに強くなります。
つまり、吸気時に胸腔内圧が陽圧になるわけではありません。
陽圧方向になるのは、強い呼気や咳、人工呼吸などの場面で考えます。
選択肢の確認
1.胸郭が拡大する。
誤りではありません。
吸気では横隔膜や外肋間筋が働き、胸郭が拡大します。
肺が広がるために必要な変化です。
2.横隔膜が収縮する。
誤りではありません。
横隔膜は吸気の主な筋です。
収縮すると下方へ移動し、胸腔の容積を増加させます。
3.外肋間筋が収縮する。
誤りではありません。
外肋間筋が収縮すると肋骨が挙上し、胸郭が広がります。
吸気時に働く筋です。
4.胸骨下角が拡大する。
誤りではありません。
吸気で胸郭が広がると、肋骨や胸骨周囲の角度も広がる方向に変化します。
胸骨下角は拡大します。
5.胸腔内圧が陽圧となる。
これが誤りです。
吸気時は胸郭が拡大し、胸腔内圧は低下して陰圧が強くなります。
陽圧になるわけではありません。
覚えるポイント
吸気の流れは次のように整理します。
- 横隔膜が収縮して下降する
- 外肋間筋が収縮して肋骨が挙上する
- 胸郭が拡大する
- 胸腔内圧が低下する
- 肺が広がる
- 空気が肺に入る
吸気では、胸腔内圧は 陽圧ではなく陰圧方向に低下 します。
この問題では、吸気時の変化として誤っているものを選ぶため、正しい選択肢は
5.胸腔内圧が陽圧となる。
です。
78PM51問題・解答・解説
問題文
咳嗽の反射中枢がある部位はどれか。
選択肢
1.視床下部
2.中 脳
3.橋
4.延 髄
5.頸 髄
答え
4.延 髄
解説
正答
4.延髄
この問題のポイント
咳嗽、つまり咳の反射中枢がどこにあるかを問う問題です。
咳嗽反射は、気道に入った異物や分泌物を外へ出すための防御反射です。
この反射を調節する中枢は 延髄 にあります。
延髄には、呼吸、嚥下、嘔吐、咳嗽など、生命維持に関わる重要な反射中枢が多く存在します。
したがって、正答は
4.延髄
です。
解説
咳嗽反射は、気管や気管支などの気道粘膜が刺激されることで起こります。
気道の刺激は神経を通って脳幹へ伝えられ、延髄にある咳嗽中枢で処理されます。
その後、呼吸筋、横隔膜、喉頭などに指令が出され、咳として空気を強く吐き出します。
流れとしては、次のように考えるとわかりやすいです。
- 気道に異物や分泌物がある
- 気道の受容器が刺激される
- 刺激が延髄の咳嗽中枢へ伝わる
- 呼吸筋や喉頭に指令が出る
- 咳が起こる
つまり、咳は単なる呼吸運動ではなく、延髄で調節される反射です。
選択肢の確認
1.視床下部
誤りです。
視床下部は、体温調節、摂食、飲水、自律神経、内分泌調節などに関係します。
咳嗽反射の中枢ではありません。
2.中脳
誤りです。
中脳は、眼球運動、瞳孔反射、姿勢反射などに関係します。
咳嗽反射の主な中枢ではありません。
3.橋
誤りです。
橋は呼吸調節に関係しますが、咳嗽反射の中枢として最も重要なのは延髄です。
橋と延髄を混同しないようにします。
4.延髄
正しいです。
延髄には、咳嗽、嚥下、嘔吐、呼吸、循環などに関係する中枢があります。
咳嗽反射の中枢は延髄にあります。
5.頸髄
誤りです。
頸髄は、運動神経や感覚神経の通り道として重要で、横隔神経などにも関係します。
しかし、咳嗽反射の中枢そのものは頸髄ではなく延髄です。
覚えるポイント
延髄には、生命維持に関わる反射中枢が集まっています。
- 咳嗽中枢:延髄
- 呼吸中枢:延髄
- 嚥下中枢:延髄
- 嘔吐中枢:延髄
- 循環中枢:延髄
咳嗽反射の中枢は 延髄 と覚えます。
この問題では、咳嗽の反射中枢がある部位を問うているため、正しい選択肢は
4.延髄
です。
78PM52問題・解答・解説
問題文
経カテーテル動脈塞栓術の対象となるのはどれか。2 つ選べ。
選択肢
1.胸 水
2.脳梗塞
3.脳動脈瘤
4.転移性脳腫瘍
5.骨盤骨折による出血
答え
3.脳動脈瘤 5.骨盤骨折による出血
解説
正答
3.脳動脈瘤
5.骨盤骨折による出血
この問題のポイント
経カテーテル動脈塞栓術、つまりTAEの対象となる疾患を選ぶ問題です。
TAEは、カテーテルを血管内に進め、目的の血管を塞栓物質で詰める治療です。
主な目的は、
- 出血している血管を止血する
- 動脈瘤の破裂を防ぐ
- 腫瘍への血流を減らす
- 異常血管を閉塞する
などです。
この問題では、TAEの対象として適切なのは
脳動脈瘤 と 骨盤骨折による出血 です。
解説
経カテーテル動脈塞栓術では、血管造影を行いながらカテーテルを目的部位まで進め、コイル、ゼラチンスポンジ、粒子状塞栓物質などを用いて血管を閉塞します。
脳動脈瘤では、動脈瘤内にコイルを留置して血流を遮断することで、破裂や再破裂を防ぎます。
これは脳血管内治療の代表的な塞栓術です。
また、骨盤骨折では、骨盤内の動脈損傷により大量出血を来すことがあります。
この場合、出血している動脈をカテーテルで選択し、塞栓して止血します。
一方、胸水は液体貯留であり、通常は穿刺排液などが対象です。
脳梗塞では、血管が詰まっているため、基本的には血栓回収や血栓溶解が問題になります。
転移性脳腫瘍そのものは、TAEの代表的対象ではありません。
選択肢の確認
1.胸水
誤りです。
胸水は胸腔内に液体がたまった状態です。
治療としては胸腔穿刺やドレナージなどが行われます。
動脈を塞栓するTAEの代表的対象ではありません。
2.脳梗塞
誤りです。
脳梗塞は脳血管が閉塞して虚血を起こす病態です。
治療では血栓溶解療法や血栓回収療法が重要になります。
動脈をさらに塞ぐTAEの対象ではありません。
3.脳動脈瘤
正しいです。
脳動脈瘤では、カテーテルを用いて動脈瘤内にコイルを留置し、瘤内への血流を遮断する治療が行われます。
塞栓術の代表的対象です。
4.転移性脳腫瘍
誤りです。
転移性脳腫瘍の治療は、手術、放射線治療、薬物療法などが中心です。
腫瘍塞栓術が行われる特殊な場面はありますが、転移性脳腫瘍そのものは本問で問うTAEの代表的対象ではありません。
5.骨盤骨折による出血
正しいです。
骨盤骨折では、骨盤内動脈からの出血によりショックを来すことがあります。
出血血管をカテーテルで選択し、塞栓して止血するTAEが有効です。
覚えるポイント
TAEは「血管を詰めることで治療する」方法です。
代表的な対象は、
- 動脈瘤:破裂予防、再破裂予防
- 外傷性出血:骨盤骨折、肝損傷、脾損傷など
- 腫瘍:血流を減らす目的で行う場合がある
- 動静脈奇形などの異常血管
この問題は2つ選ぶ問題です。
正しい選択肢は、
3.脳動脈瘤
5.骨盤骨折による出血
です。
78PM53問題・解答・解説
問題文
脳脊髄液が存在するのはどれか。
選択肢
1.板間層
2.硬膜外腔
3.硬膜下腔
4.軟膜下腔
5.くも膜下腔
答え
5.くも膜下腔
解説
正答
5.くも膜下腔
この問題のポイント
脳脊髄液、つまりCSFがどこに存在するかを問う問題です。
脳脊髄液は、主に次の場所に存在します。
- 脳室
- くも膜下腔
- 脊髄くも膜下腔
選択肢の中で脳脊髄液が存在する場所は くも膜下腔 です。
したがって、正答は
5.くも膜下腔
です。
解説
脳と脊髄は、髄膜によって包まれています。
外側から順に、
- 硬膜
- くも膜
- 軟膜
という3層があります。
脳脊髄液は、くも膜と軟膜の間にある くも膜下腔 を満たしています。
この脳脊髄液は、脳や脊髄を保護し、衝撃を和らげるクッションのような働きをします。
また、脳脊髄液は脳室内にも存在し、脳室からくも膜下腔へ流れて循環します。
選択肢の確認
1.板間層
誤りです。
板間層は頭蓋骨の外板と内板の間にある海綿状の骨の部分です。
脳脊髄液が存在する場所ではありません。
2.硬膜外腔
誤りです。
硬膜外腔は、硬膜の外側の空間です。
脊柱管内では麻酔などで重要な空間ですが、脳脊髄液が通常存在する腔ではありません。
3.硬膜下腔
誤りです。
硬膜下腔は、硬膜とくも膜の間の潜在的な空間です。
硬膜下血腫などで重要ですが、脳脊髄液が通常存在する場所ではありません。
4.軟膜下腔
誤りです。
軟膜は脳や脊髄の表面に密着している膜です。
脳脊髄液は軟膜の下ではなく、くも膜と軟膜の間、つまりくも膜下腔に存在します。
5.くも膜下腔
正しいです。
くも膜下腔は、くも膜と軟膜の間にある空間です。
ここに脳脊髄液が存在します。
覚えるポイント
髄膜と脳脊髄液の位置は、外側から順に覚えます。
頭蓋骨 → 硬膜 → くも膜 → くも膜下腔 → 軟膜 → 脳
脳脊髄液は、
くも膜下腔と脳室に存在する
と覚えます。
この問題では、脳脊髄液が存在する部位を問うているため、正しい選択肢は
5.くも膜下腔
です。
78PM54問題・解答・解説
問題文
集団を一定期間追跡調査する前向き観察研究はどれか。
選択肢
1.横断研究
2.コホート研究
3.症例対照研究
4.生態学的研究
5.ランダム化比較試験
答え
2.コホート研究
解説
正答
2.コホート研究
この問題のポイント
疫学研究の種類を問う問題です。
問題文では、
- 集団を対象にする
- 一定期間追跡する
- 前向きに観察する
- 介入ではなく観察研究である
という条件が示されています。
この条件に合うのは コホート研究 です。
したがって、正答は
2.コホート研究
です。
解説
コホート研究では、ある共通の特徴をもつ集団を設定し、その集団を時間の経過とともに追跡します。
たとえば、
- 喫煙している群と喫煙していない群を追跡する
- 放射線被ばくの有無で群を分けて追跡する
- 生活習慣と病気の発生を追跡する
といった研究がコホート研究です。
研究開始時点では、まだ結果、つまり病気の発生が起こっていない人を含めて追跡し、将来どのくらい発症するかを調べます。
そのため、コホート研究は、曝露と発症の時間的関係を調べやすい研究です。
選択肢の確認
1.横断研究
誤りです。
横断研究は、ある一時点で集団の状態を調べる研究です。
たとえば、ある時点での有病率や生活習慣を調査します。
一定期間追跡する研究ではありません。
2.コホート研究
正しいです。
コホート研究は、ある集団を一定期間追跡し、曝露と疾患発生の関係を調べる観察研究です。
前向き観察研究の代表です。
3.症例対照研究
誤りです。
症例対照研究は、すでに病気になった人と、病気になっていない人を比較し、過去の曝露歴を調べる研究です。
基本的には後ろ向きに原因を探る研究です。
4.生態学的研究
誤りです。
生態学的研究は、個人ではなく地域や集団単位のデータを使って関連を調べる研究です。
集団を個人単位で一定期間追跡する前向き研究ではありません。
5.ランダム化比較試験
誤りです。
ランダム化比較試験は、対象者をランダムに介入群と対照群に分け、治療や予防法の効果を調べる介入研究です。
観察研究ではありません。
覚えるポイント
疫学研究は、調べ方で整理すると覚えやすいです。
- 横断研究:一時点を切り取って調べる
- コホート研究:集団を追跡して発症を調べる
- 症例対照研究:病気の有無から過去の曝露を調べる
- 生態学的研究:地域や集団単位で比較する
- ランダム化比較試験:介入をランダムに割り付ける
問題文に
一定期間追跡、前向き、観察研究
とあれば、コホート研究を選びます。
この問題では、正しい選択肢は
2.コホート研究
です。
78PM55問題・解答・解説
問題文
放射線の生体作用を強める効果がある物質はどれか。
選択肢
1.システイン
2.アミホスチン
3.グルタチオン
4.システアミン
5.ミソニダゾール
答え
5.ミソニダゾール
解説
正答
5.ミソニダゾール
この問題のポイント
放射線の生体作用を強める物質、つまり放射線増感剤を選ぶ問題です。
放射線の効果を強める物質を 放射線増感剤 といいます。
一方、放射線の障害を弱める物質を 放射線防護剤 といいます。
この問題では、放射線増感作用をもつ物質を選びます。
選択肢の中で放射線増感剤として重要なのは ミソニダゾール です。
したがって、正答は
5.ミソニダゾール
です。
解説
腫瘍の中には、酸素が少ない低酸素細胞が存在することがあります。
低酸素細胞は、酸素が十分にある細胞よりも放射線に抵抗性を示します。
これは、酸素があると放射線によるDNA損傷が固定されやすくなり、細胞死につながりやすいためです。
逆に低酸素状態では、放射線の効果が弱くなりやすくなります。
ミソニダゾールは、低酸素細胞に対して酸素に似た働きを示し、放射線による障害を強めます。
そのため、放射線増感剤として知られています。
一方、システイン、アミホスチン、グルタチオン、システアミンは、放射線障害を軽減する方向に働く物質として整理します。
選択肢の確認
1.システイン
誤りです。
システインはSH基をもつ物質で、フリーラジカルを除去する方向に働きます。
放射線防護作用を示す物質として扱われます。
放射線の生体作用を強める物質ではありません。
2.アミホスチン
誤りです。
アミホスチンは放射線防護剤として知られています。
正常組織の放射線障害を軽減する目的で使われることがあります。
増感剤ではありません。
3.グルタチオン
誤りです。
グルタチオンは抗酸化作用をもつ物質です。
放射線で生じる活性酸素やフリーラジカルを減らす方向に働くため、防護的に作用します。
4.システアミン
誤りです。
システアミンもSH基をもつ放射線防護物質として知られています。
放射線の作用を強めるのではなく、障害を軽減する方向に働きます。
5.ミソニダゾール
正しいです。
ミソニダゾールは低酸素細胞に対する放射線増感剤です。
放射線の生体作用を強める物質として、本問の正答です。
覚えるポイント
放射線の作用を強めるか、弱めるかで整理します。
放射線増感剤
- ミソニダゾール
- 低酸素細胞の放射線感受性を高める
放射線防護剤
- システイン
- アミホスチン
- グルタチオン
- システアミン
ポイントは、
ミソニダゾールは増感剤、SH化合物は防護剤
と覚えることです。
この問題では、放射線の生体作用を強める物質を問うているため、正しい選択肢は
5.ミソニダゾール
です。
78PM56問題・解答・解説
問題文
α/β が低い組織の特徴で正しいのはどれか。
選択肢
1.晩期障害を起こしやすい。
2.分裂の盛んな組織に多い。
3.線量率に対する感受性が低い。
4.放射線に対して早期反応を示す。
5.分割照射に対する反応性が小さい。
答え
1.晩期障害を起こしやすい。
解説
正答
1.晩期障害を起こしやすい。
この問題のポイント
α/βは、組織が「1回線量の大きさ」にどれくらい影響されやすいかを表す指標です。
α/βが低い組織は、一般に 晩期反応組織 です。
晩期反応組織とは、放射線照射後すぐではなく、数か月から数年後に障害が問題になりやすい組織のことです。
代表例としては、
- 脊髄
- 腎臓
- 肺
- 皮下組織
- 晩期の正常組織障害
などが重要です。
したがって、α/βが低い組織の特徴として正しいのは
1.晩期障害を起こしやすい。
です。
解説
放射線治療では、同じ総線量でも「1回あたりの線量」が大きいか小さいかで、生物学的効果が変わります。
α/βが低い組織は、1回線量の変化に敏感です。
つまり、1回線量を大きくすると障害が強く出やすくなります。
そのため、α/βが低い正常組織では、晩期障害を避けるために、1回線量を大きくしすぎないことが重要です。
一方、分裂が盛んな組織や早期反応を示す組織は、一般にα/βが高い傾向があります。
選択肢の確認
1.晩期障害を起こしやすい。
正しいです。
α/βが低い組織は、晩期反応組織に多くみられます。
放射線照射後しばらくしてから障害が出やすく、1回線量の影響を受けやすいのが特徴です。
2.分裂の盛んな組織に多い。
誤りです。
分裂の盛んな組織は、早期反応組織に多く、一般にα/βは高い傾向があります。
α/βが低い組織は、分裂が比較的遅い晩期反応組織に多いです。
3.線量率に対する感受性が低い。
誤りです。
α/βが低い組織は、修復や分割条件の影響を受けやすく、照射条件の違いが障害に反映されやすい組織です。
「線量率に対する感受性が低い」と単純に覚えるのは不適切です。
4.放射線に対して早期反応を示す。
誤りです。
早期反応を示す組織は、一般にα/βが高い組織です。
α/βが低い組織は、むしろ晩期反応を示しやすい組織です。
5.分割照射に対する反応性が小さい。
誤りです。
α/βが低い組織は、1回線量や分割方法の影響を強く受けます。
したがって、分割照射に対する反応性が小さいのではなく、大きいと考えます。
覚えるポイント
α/βは、早期反応組織と晩期反応組織を分けて覚えると整理しやすいです。
- α/βが高い:早期反応組織、腫瘍、粘膜、皮膚など
- α/βが低い:晩期反応組織、脊髄、腎臓、肺など
- α/βが低い組織:1回線量の影響を受けやすい
- α/βが低い組織:晩期障害に注意する
この問題では、α/βが低い組織の特徴を問うているため、正しい選択肢は
1.晩期障害を起こしやすい。
です。
78PM57問題・解答・解説
問題文
内部被ばくが生じる検査はどれか。
選択肢
1.PET/CT
2.造影MRI
3.乳房X 線撮影
4.造影超音波検査
5.上部消化管造影検査
答え
1.PET/CT
解説
正答
1.PET/CT
この問題のポイント
内部被ばくと外部被ばくの違いを問う問題です。
内部被ばくとは、放射性物質が体内に入って、体の中から放射線を受けることです。
PET/CTでは、FDGなどの放射性医薬品を体内に投与します。
そのため、体内に入った放射性医薬品から放射線を受け、内部被ばくが生じます。
したがって、正答は
1.PET/CT
です。
解説
PET検査では、陽電子を放出する放射性医薬品を静脈注射します。
代表的なものは、18F-FDGです。
体内に投与された放射性医薬品は、臓器や病変に分布します。
その放射性医薬品から放出される放射線を検出して画像を作るため、PETでは内部被ばくが生じます。
また、PET/CTではCT撮影も行うため、CTによる外部被ばくも加わります。
しかし、この問題で問われている「内部被ばくが生じる検査」としては、放射性医薬品を体内に投与するPET/CTが該当します。
選択肢の確認
1.PET/CT
正しいです。
PET/CTでは放射性医薬品を体内に投与します。
体内に入った放射性医薬品から放射線を受けるため、内部被ばくが生じます。
2.造影MRI
誤りです。
MRIは磁場と電波を用いる検査であり、電離放射線を使いません。
ガドリニウム造影剤などを使用しても、それは放射性物質ではないため、内部被ばくは生じません。
3.乳房X線撮影
誤りです。
乳房X線撮影では、体外からX線を照射します。
これは外部被ばくであり、放射性物質を体内に投与する内部被ばくではありません。
4.造影超音波検査
誤りです。
超音波検査は音波を用いる検査であり、電離放射線を使いません。
造影超音波で用いる造影剤も放射性医薬品ではないため、内部被ばくは生じません。
5.上部消化管造影検査
誤りです。
上部消化管造影検査では、バリウムなどの造影剤を用い、体外からX線を照射して観察します。
X線による外部被ばくはありますが、造影剤は放射性物質ではないため、内部被ばくではありません。
覚えるポイント
内部被ばくは、放射性物質が体内に入る検査で起こります。
- PET/CT:放射性医薬品を投与する → 内部被ばくあり
- SPECT:放射性医薬品を投与する → 内部被ばくあり
- 一般X線撮影、CT、乳房X線撮影:体外からX線 → 外部被ばく
- MRI、超音波:電離放射線を使わない
この問題では、内部被ばくが生じる検査を選ぶため、正しい選択肢は
1.PET/CT
です。
78PM58問題・解答・解説
問題文
マウスの悪性腫瘍で放射線の遺伝的影響が疑われるのはどれか。
選択肢
1.母親が妊娠初期に腹部CT を受けた。
2.自然放射線レベルの高い施設で飼育されていた。
3.母親が妊娠後期に頭部に高線量の被ばくをした。
4.母親の妊娠前に父親が全身に高線量の被ばくをした。
5.密封小線源を埋め込まれたマウスと同じケージで飼育されていた。
答え
4.母親の妊娠前に父親が全身に高線量の被ばくをした。
解説
正答
4.母親の妊娠前に父親が全身に高線量の被ばくをした。
この問題のポイント
放射線の影響には、本人に現れる影響と、子孫に現れる可能性がある影響があります。
この問題で問われている 遺伝的影響 とは、親の生殖細胞に起こった変化が、子に受け継がれる可能性を考えるものです。
つまり、ポイントは、
- 妊娠前の親
- 生殖細胞への被ばく
- 子孫に現れる影響
です。
この条件に最も合うのは、
母親の妊娠前に父親が全身に高線量の被ばくをした
という選択肢です。
解説
遺伝的影響は、精子や卵子などの生殖細胞に放射線による突然変異が起こり、それが子孫に伝わる可能性を考える影響です。
父親が母親の妊娠前に全身高線量被ばくをした場合、精巣内の生殖細胞が被ばくしている可能性があります。
その後に妊娠が成立し、子に悪性腫瘍などの異常がみられた場合、放射線の遺伝的影響を疑う状況になります。
一方、母親が妊娠中に被ばくした場合は、胎児への直接影響、つまり胎内被ばくの問題です。
これは遺伝的影響ではなく、胎児自身の体細胞などが被ばくする影響として考えます。
選択肢の確認
1.母親が妊娠初期に腹部CTを受けた。
誤りです。
妊娠初期の腹部CTでは、胎児が直接被ばくする可能性があります。
これは胎内被ばくによる影響を考える状況であり、親の生殖細胞を介して子孫に伝わる遺伝的影響とは区別します。
2.自然放射線レベルの高い施設で飼育されていた。
誤りです。
自然放射線レベルが高い環境での被ばくは、個体自身の被ばくとして考えます。
遺伝的影響を疑う典型的な条件である「妊娠前の親の生殖細胞被ばく」とは異なります。
3.母親が妊娠後期に頭部に高線量の被ばくをした。
誤りです。
母親の頭部被ばくであり、胎児や生殖細胞への直接的な被ばくを考えにくい条件です。
また、妊娠後期の被ばくは遺伝的影響ではなく、胎児への直接影響として考える場面です。
4.母親の妊娠前に父親が全身に高線量の被ばくをした。
正しいです。
妊娠前の父親が全身に高線量被ばくした場合、精巣内の生殖細胞が被ばくしている可能性があります。
その後に生まれた子に影響が疑われる場合、放射線の遺伝的影響を考える状況です。
5.密封小線源を埋め込まれたマウスと同じケージで飼育されていた。
誤りです。
この場合は、同じケージ内で外部被ばくを受けた可能性を考えます。
その個体自身への影響であり、親の生殖細胞を介した遺伝的影響とは異なります。
覚えるポイント
放射線影響は、誰のどの細胞が被ばくしたかで整理します。
- 本人の体細胞が被ばく:身体的影響
- 胎児が直接被ばく:胎内被ばくの影響
- 親の生殖細胞が妊娠前に被ばく:遺伝的影響
- 子孫に現れる可能性を考える:遺伝的影響
この問題では、妊娠前の父親の全身高線量被ばくにより、生殖細胞への影響が疑われるため、正しい選択肢は
4.母親の妊娠前に父親が全身に高線量の被ばくをした。
です。
78PM59問題・解答・解説
問題文
がんに対する温熱療法で正しいのはどれか。
選択肢
1.30~35 ℃の加温で熱凝固が起こる。
2.ヒートショック蛋白は温熱耐性を抑制する。
3.S 期よりもM 期にある細胞の感受性が高い。
4.低酸素細胞よりも酸素に富む細胞に効果的である。
5.放射線照射による亜致死損傷からの回復を抑制する。
答え
5.放射線照射による亜致死損傷からの回復を抑制する。
解説
正答
5.放射線照射による亜致死損傷からの回復を抑制する。
この問題のポイント
温熱療法の生物学的効果を問う問題です。
がんに対する温熱療法では、腫瘍を加温することで細胞障害を起こし、放射線治療や化学療法の効果を高めます。
特に重要なのは、温熱療法が放射線照射後の 亜致死損傷からの回復を抑制する ことです。
これにより、放射線の効果が増強されます。
したがって、正しい選択肢は
5.放射線照射による亜致死損傷からの回復を抑制する。
です。
解説
放射線を照射された細胞では、DNA損傷などが起こります。
その中には、細胞が修復できる程度の損傷、つまり亜致死損傷があります。
温熱療法は、この亜致死損傷の修復を妨げる作用があります。
そのため、放射線治療と温熱療法を併用すると、腫瘍細胞をより障害しやすくなります。
また、低酸素や低pHの腫瘍細胞は、放射線には抵抗性を示しやすい一方で、温熱には比較的感受性を示すことがあります。
この点も、温熱療法が放射線治療の補助として重要な理由です。
選択肢の確認
1.30~35 ℃の加温で熱凝固が起こる。
誤りです。
30~35 ℃は体温より低い、または体温に近い温度であり、熱凝固が起こる温度ではありません。
温熱療法では一般に40℃台前半程度の加温が問題になります。
熱凝固はさらに高温で起こります。
2.ヒートショック蛋白は温熱耐性を抑制する。
誤りです。
ヒートショック蛋白は、熱ストレスから細胞を守る方向に働きます。
そのため、温熱耐性の形成に関係します。
温熱耐性を抑制する、という説明は逆です。
3.S期よりもM期にある細胞の感受性が高い。
誤りです。
放射線ではM期が高感受性として重要ですが、温熱感受性ではS期の細胞が比較的高感受性とされます。
放射線感受性と温熱感受性を混同しないようにします。
4.低酸素細胞よりも酸素に富む細胞に効果的である。
誤りです。
低酸素細胞は放射線抵抗性を示しやすいですが、温熱療法では低酸素・低pHの腫瘍環境にも効果が期待されます。
「酸素に富む細胞により効果的」とするのは不適切です。
5.放射線照射による亜致死損傷からの回復を抑制する。
正しいです。
温熱療法は、放射線照射後に細胞が損傷を修復する過程を抑制します。
そのため、放射線治療との併用で増感効果が期待できます。
これが本問の正答です。
覚えるポイント
温熱療法は、放射線治療との併用効果で覚えると整理しやすいです。
- 温熱療法:腫瘍を加温して細胞障害を起こす
- 放射線との併用:亜致死損傷からの回復を抑制する
- 低酸素細胞にも効果が期待される
- ヒートショック蛋白:温熱耐性に関係する
- 放射線感受性と温熱感受性の細胞周期依存性は混同しない
この問題では、温熱療法の正しい特徴を問うているため、正しい選択肢は
5.放射線照射による亜致死損傷からの回復を抑制する。
です。
78PM60問題・解答・解説
問題文
²³⁵U の核分裂生成物で収率が最も高いのはどれか。
選択肢
1.¹⁴C
2.⁴⁰K
3.¹³⁷Cs
4.¹⁷⁷Lu
5.²²⁶Ra
答え
3.¹³⁷Cs
解説
正答
3.¹³⁷Cs
この問題のポイント
²³⁵Uの核分裂生成物として代表的な核種を問う問題です。
²³⁵Uが核分裂すると、質量数が90前後と140前後の核分裂生成物が比較的多く生じます。
その中でも、¹³⁷Csは代表的な核分裂生成物です。
選択肢の中で、²³⁵Uの核分裂生成物として収率が高いものは
¹³⁷Cs です。
解説
²³⁵Uの核分裂では、さまざまな放射性核種が生成されます。
代表的な核分裂生成物には、
- ⁹⁰Sr
- ¹³¹I
- ¹³⁷Cs
- ¹⁴⁰Ba
- ⁹⁹Mo
などがあります。
¹³⁷Csは半減期が約30年で、環境中に長く残りやすい核種です。
原子力災害や環境放射能の分野でも重要な核種として扱われます。
一方、¹⁴C、⁴⁰K、²²⁶Raは自然放射性核種や生成機序が異なる核種として重要ですが、²³⁵Uの核分裂生成物として収率が最も高いものではありません。
¹⁷⁷Luは核医学治療でも使われる核種ですが、²³⁵Uの代表的な核分裂生成物として選ぶものではありません。
選択肢の確認
1.¹⁴C
誤りです。
¹⁴Cは宇宙線による生成や放射性炭素年代測定で重要な核種です。
²³⁵Uの核分裂生成物として収率が高い核種ではありません。
2.⁴⁰K
誤りです。
⁴⁰Kは自然界に存在する天然放射性核種です。
体内にも微量に存在しますが、²³⁵Uの核分裂生成物として考える核種ではありません。
3.¹³⁷Cs
正しいです。
¹³⁷Csは²³⁵Uの代表的な核分裂生成物です。
核分裂収率が高く、半減期も長いため、環境放射能でも重要です。
これが本問の正答です。
4.¹⁷⁷Lu
誤りです。
¹⁷⁷Luは核医学治療で用いられる重要な核種ですが、²³⁵Uの核分裂生成物として収率が最も高い核種ではありません。
主に原子炉での中性子照射などにより製造されます。
5.²²⁶Ra
誤りです。
²²⁶Raはウラン系列に属する天然放射性核種です。
²³⁵Uの核分裂生成物として収率が高い核種ではありません。
覚えるポイント
核分裂生成物として代表的な核種は、環境放射能と関連づけて覚えると整理しやすいです。
- ¹³⁷Cs:代表的な核分裂生成物、半減期約30年
- ¹³¹I:核分裂生成物、甲状腺被ばくで重要
- ⁹⁰Sr:核分裂生成物、骨への影響で重要
- ⁴⁰K:天然放射性核種
- ²²⁶Ra:天然放射性核種、ウラン系列
- ¹⁷⁷Lu:核医学治療で重要だが、代表的核分裂生成物ではない
この問題では、²³⁵Uの核分裂生成物として収率が最も高いものを問うているため、正しい選択肢は
3.¹³⁷Cs です。
78PM61問題・解答・解説
問題文
放射平衡の説明で正しいのはどれか。
選択肢
1.親核種の半減期が娘核種より短いときに成立する。
2.親核種と娘核種の原子番号が等しくなることである。
3.親核種と娘核種の壊変率の比が一定となる状態である。
4.親核種の壊変は停止し、娘核種のみが放射線を放出する。
5.親核種と娘核種のエネルギー状態が等しくなることである。
答え
3.親核種と娘核種の壊変率の比が一定となる状態である。
解説
正答
3.親核種と娘核種の壊変率の比が一定となる状態である。
この問題のポイント
放射平衡とは、親核種が壊変して娘核種を作り、その娘核種もさらに壊変していくときに、親核種と娘核種の放射能、つまり壊変率の関係が一定になる状態です。
ここで重要なのは、放射平衡は
- 原子番号が同じになることではない
- エネルギー状態が同じになることではない
- 親核種の壊変が止まることではない
という点です。
放射平衡で一定になるのは、親核種と娘核種の壊変率の比 です。
したがって、正答は
3.親核種と娘核種の壊変率の比が一定となる状態である。
です。
解説
放射性核種が壊変すると、別の核種ができます。
最初に壊変する核種を 親核種、親核種から生成される核種を 娘核種 といいます。
たとえば、
親核種 → 娘核種 → さらに別の核種
というように壊変系列が続くことがあります。
このとき、娘核種は親核種の壊変によって作られます。
一方で、娘核種自身も放射性であれば、娘核種も壊変して減っていきます。
つまり、娘核種には次の2つの変化が同時に起こります。
- 親核種から作られて増える
- 娘核種自身が壊変して減る
時間が経つと、この増える速さと減る速さの関係が一定になり、親核種と娘核種の壊変率の比が一定になります。
この状態を 放射平衡 といいます。
放射平衡のイメージ
壊変率は、放射能と同じ意味で考えます。
壊変率は、
単位時間あたりに何個の原子核が壊変するか
を表します。
放射平衡では、親核種と娘核種の壊変率が時間とともにまったく同じ値になるとは限りません。
重要なのは、両者の壊変率の 比 が一定になることです。
特に、親核種の半減期が娘核種より非常に長い場合には、永続平衡が成立し、親核種と娘核種の放射能がほぼ等しくなります。
一方、親核種の半減期が娘核種より長いものの、極端に長いわけではない場合には、過渡平衡が成立します。
この場合も、親核種と娘核種の壊変率の比は一定になります。
選択肢の確認
1.親核種の半減期が娘核種より短いときに成立する。
誤りです。
放射平衡が成立するには、一般に親核種の半減期が娘核種より長いことが必要です。
親核種の半減期が娘核種より短いと、親核種が先に急速に減ってしまい、娘核種との壊変率の比が一定になる平衡状態は成立しにくくなります。
2.親核種と娘核種の原子番号が等しくなることである。
誤りです。
放射平衡は、原子番号が等しくなることではありません。
壊変の種類によって原子番号は変化することがありますが、放射平衡で注目するのは原子番号ではなく、親核種と娘核種の壊変率の関係です。
3.親核種と娘核種の壊変率の比が一定となる状態である。
正しいです。
放射平衡とは、親核種と娘核種の壊変率、つまり放射能の比が一定になる状態です。
永続平衡や過渡平衡では、この壊変率の関係が一定になります。
これが本問の正答です。
4.親核種の壊変は停止し、娘核種のみが放射線を放出する。
誤りです。
放射平衡になっても、親核種の壊変が止まるわけではありません。
親核種も娘核種も壊変を続けています。
ただし、それぞれの壊変率の関係が一定になるだけです。
5.親核種と娘核種のエネルギー状態が等しくなることである。
誤りです。
放射平衡は、核種のエネルギー状態が等しくなることではありません。
親核種と娘核種は別の核種であり、壊変形式や放出する放射線のエネルギーも異なることがあります。
放射平衡で問題になるのは、エネルギーではなく壊変率の比です。
覚えるポイント
放射平衡は、親核種と娘核種の 壊変率の関係 で考えます。
- 親核種が壊変して娘核種を作る
- 娘核種も壊変して減る
- 時間が経つと、親核種と娘核種の壊変率の比が一定になる
- この状態を放射平衡という
また、放射平衡には代表的に次の2つがあります。
- 永続平衡:親核種の半減期が娘核種より非常に長い場合
- 過渡平衡:親核種の半減期が娘核種より長いが、極端には長くない場合
この問題では、放射平衡の定義を問うているため、正しい選択肢は
3.親核種と娘核種の壊変率の比が一定となる状態である。
です。
78PM62問題・解答・解説
問題文
光子の水に対する質量減弱係数(A)と質量エネルギー転移係数(B)のエネルギー
依存性を図に示す。
水中で1 MeV 光子がコンプトン反跳電子に付与する平均エネルギー[MeV]に最
も近いのはどれか。
選択肢
1.0.24
2.0.31
3.0.43
4.0.52
5.0.67
答え
3.0.43
解説
正答
3.0.43
この問題のポイント
図から、1 MeVにおける
- 質量減弱係数 A
- 質量エネルギー転移係数 B
を読み取り、その比から「光子エネルギーのうち、電子へ移される割合」を求める問題です。
水中で1 MeV付近の光子相互作用は、主にコンプトン散乱です。
そのため、光子から荷電粒子へ移されるエネルギーは、主にコンプトン反跳電子に与えられるエネルギーと考えます。
図の見方
図の横軸は光子エネルギー[MeV]、縦軸は係数[cm²/g]です。
1 MeVの位置で、2本の曲線を読み取ります。
- A:質量減弱係数
- B:質量エネルギー転移係数
図からおおよそ、
- A ≒ 0.07 cm²/g
- B ≒ 0.03 cm²/g
と読めます。
ここで重要なのは、B/A の比です。
なぜ B/A を使うのか
質量減弱係数 A は、光子が相互作用を起こして、入射方向から取り除かれる確率を表します。
一方、質量エネルギー転移係数 B は、光子エネルギーのうち、荷電粒子、つまり電子へ移されるエネルギーの割合を反映します。
したがって、
B / A
を計算すると、1回の相互作用で光子エネルギーのうち平均してどれくらいが電子へ移されるかを表します。
計算
1 MeVでの値を図から読み取ると、
A ≒ 0.07
B ≒ 0.03
なので、
B / A ≒ 0.03 / 0.07 ≒ 0.43
1 MeV光子なので、電子へ付与される平均エネルギーは、
1 MeV × 0.43 = 0.43 MeV
となります。
したがって、最も近い値は
0.43 MeV です。
選択肢の確認
1.0.24
誤りです。
1 MeVでのB/Aを図から読むと約0.43であり、0.24より大きくなります。
2.0.31
誤りです。
B/Aをやや小さく読みすぎた値です。図ではBはAの約4割程度であり、0.31より大きい値になります。
3.0.43
正しいです。
1 MeVで、質量エネルギー転移係数Bを質量減弱係数Aで割ると約0.43です。
したがって、1 MeV光子がコンプトン反跳電子に付与する平均エネルギーは約0.43 MeVです。
4.0.52
誤りです。
電子へ移される割合をやや大きく見積もった値です。図から読むB/Aは約0.43です。
5.0.67
誤りです。
1 MeV光子のエネルギーの大部分が電子へ移るわけではありません。コンプトン散乱では散乱光子もエネルギーを持って出ていくため、平均付与エネルギーはこれより小さくなります。
覚えるポイント
質量減弱係数と質量エネルギー転移係数の関係は、次のように整理します。
- 質量減弱係数:光子が相互作用で減弱する程度
- 質量エネルギー転移係数:光子エネルギーが荷電粒子へ移る程度
- B/A:光子エネルギーのうち電子へ移される平均割合
この問題では、
1 MeVで
B/A ≒ 0.43
となるため、
1 MeV × 0.43 = 0.43 MeV
したがって、正しい選択肢は
3.0.43
です。
78PM63問題・解答・解説
問題文
中性子で正しいのはどれか。
選択肢
1.光電効果に伴い発生する。
2.静止質量は電子よりも小さい。
3.中性子源として241Am の自発核分裂を利用する。
4.熱中性子と物質の相互作用は捕獲反応が支配的である。
5.核分裂で発生する即発中性子の平均エネルギーは約10 keV である。
答え
4.熱中性子と物質の相互作用は捕獲反応が支配的である。
解説
正答
4.熱中性子と物質の相互作用は捕獲反応が支配的である。
この問題のポイント
中性子の発生、質量、エネルギー、物質との相互作用についての問題です。
中性子は電荷を持たない粒子なので、電子と直接強く相互作用するのではなく、主に原子核と相互作用します。
特に、エネルギーの低い 熱中性子 では、原子核に吸収される 捕獲反応 が重要になります。
したがって、正しい選択肢は
4.熱中性子と物質の相互作用は捕獲反応が支配的である。
です。
解説
中性子は、陽子とほぼ同じくらいの質量を持つ粒子です。
電子よりはるかに重く、電荷を持たないため、物質中では原子核との反応が中心になります。
中性子の相互作用は、エネルギーによって特徴が変わります。
高速中性子では、水素原子核などとの弾性散乱によってエネルギーを失うことが重要です。
一方、熱中性子のように十分に減速された中性子では、原子核に取り込まれる捕獲反応が起こりやすくなります。
捕獲反応では、原子核が中性子を取り込み、余分なエネルギーをγ線などとして放出することがあります。
このため、熱中性子では捕獲反応が重要な相互作用になります。
選択肢の確認
1.光電効果に伴い発生する。
誤りです。
光電効果は、光子が原子の軌道電子にエネルギーを与え、光電子を放出する現象です。
発生するのは主に電子であり、中性子ではありません。
2.静止質量は電子よりも小さい。
誤りです。
中性子の質量は電子よりはるかに大きく、陽子とほぼ同程度です。
電子より小さいという記述は逆です。
3.中性子源として241Amの自発核分裂を利用する。
誤りです。
241Amは主にα線を放出する核種です。
中性子源としては、241AmとBeを組み合わせた Am-Be中性子源 があり、これはα線とBeの反応で中性子を発生させます。
自発核分裂を利用する代表的な中性子源は、252Cfなどです。
4.熱中性子と物質の相互作用は捕獲反応が支配的である。
正しいです。
熱中性子はエネルギーが低く、原子核に捕獲されやすい中性子です。
そのため、熱中性子では捕獲反応が重要な相互作用になります。
これが本問の正答です。
5.核分裂で発生する即発中性子の平均エネルギーは約10 keVである。
誤りです。
核分裂で発生する即発中性子の平均エネルギーは、keV程度ではなく、MeV程度です。
一般に約2 MeV程度として扱われます。
10 keVでは低すぎます。
覚えるポイント
中性子は、エネルギーによって相互作用を整理します。
- 高速中性子:弾性散乱で減速されやすい
- 熱中性子:捕獲反応が重要
- 中性子の質量:電子よりはるかに大きく、陽子に近い
- Am-Be中性子源:241Amのα線とBeの反応で中性子を発生
- 252Cf:自発核分裂を利用する代表的な中性子源
- 核分裂即発中性子:平均エネルギーはMeV程度
この問題では、熱中性子の相互作用として捕獲反応が重要であるため、正しい選択肢は
4.熱中性子と物質の相互作用は捕獲反応が支配的である。
です。
78PM64問題・解答・解説
問題文
核磁気共鳴で正しいのはどれか。
選択肢
1.T1 緩和時間はT2 緩和時間よりも短い。
2.核スピンの励起にはマイクロ波を使用する。
3.Larmor〈ラーモア〉周波数は外部磁場の強さに比例する。
4.陽子と中性子の両方が偶数個の原子核が観測対象である。
5.外部磁場中におかれた水素原子の核スピンは4 つのエネルギー準位に分かれ
る。
答え
3.Larmor〈ラーモア〉周波数は外部磁場の強さに比例する。
解説
正答
3.Larmor〈ラーモア〉周波数は外部磁場の強さに比例する。
この問題のポイント
核磁気共鳴、つまりNMRの基本原理を問う問題です。
MRIでは、水素原子核、つまりプロトンの核スピンを利用します。
外部磁場中に置かれた核スピンは、ラーモア周波数で歳差運動をします。
このラーモア周波数は、外部磁場が強いほど高くなります。
式で表すと、
ω0 = γB0
です。
- ω0:ラーモア角周波数
- γ:磁気回転比
- B0:外部磁場強度
したがって、ラーモア周波数は外部磁場の強さに比例します。
解説
核磁気共鳴では、磁場中に置かれた核スピンが特定の周波数の電磁波に共鳴します。
MRIでは、この共鳴を起こすために RFパルス、つまりラジオ波を使用します。
マイクロ波ではありません。
また、水素原子核はスピン量子数が1/2なので、外部磁場中では2つのエネルギー準位に分かれます。
低エネルギー準位と高エネルギー準位の差に対応する周波数が、ラーモア周波数です。
外部磁場B0が強くなると、2つのエネルギー準位の差が大きくなります。
そのため、共鳴に必要な周波数も高くなります。
これが「ラーモア周波数は外部磁場の強さに比例する」という意味です。
選択肢の確認
1.T1緩和時間はT2緩和時間よりも短い。
誤りです。
一般に、T2緩和時間はT1緩和時間より短い、または同程度です。
T1は縦緩和、T2は横緩和を表し、T2はスピン間相互作用などによる位相の乱れを反映します。
したがって、T1がT2より短いという記述は不適切です。
2.核スピンの励起にはマイクロ波を使用する。
誤りです。
MRIで核スピンを励起するのはRFパルス、つまりラジオ波です。
マイクロ波は主に電子スピン共鳴などで関係するもので、核磁気共鳴の基本的な励起には用いません。
3.Larmor〈ラーモア〉周波数は外部磁場の強さに比例する。
正しいです。
ラーモア周波数は外部磁場B0に比例します。
式では、ω0 = γB0 と表されます。
MRIでは、磁場強度が高くなるほど共鳴周波数も高くなります。
これが本問の正答です。
4.陽子と中性子の両方が偶数個の原子核が観測対象である。
誤りです。
陽子数と中性子数がともに偶数の原子核は、核スピンが0になることが多く、NMRの観測対象にはなりにくいです。
NMRでは、核スピンが0でない原子核が観測対象になります。
代表は水素原子核です。
5.外部磁場中におかれた水素原子の核スピンは4つのエネルギー準位に分かれる。
誤りです。
水素原子核のスピン量子数は1/2です。
外部磁場中では、低エネルギー準位と高エネルギー準位の2つに分かれます。
4つではありません。
覚えるポイント
核磁気共鳴では、次の基本を押さえます。
- MRIで主に見るのは水素原子核
- 核スピンの励起にはRFパルスを使う
- ラーモア周波数は外部磁場強度に比例する
- 式は ω0 = γB0
- 水素原子核は外部磁場中で2つのエネルギー準位に分かれる
- 陽子数・中性子数がともに偶数の核は、核スピン0になりやすくNMR対象になりにくい
- 一般にT2はT1より短い
この問題では、ラーモア周波数と外部磁場強度の関係を問うているため、正しい選択肢は
3.Larmor〈ラーモア〉周波数は外部磁場の強さに比例する。
です。
78PM65問題・解答・解説
問題文
図A の単パルスvi を図B の回路に入力したとき、図C の出力波形vo が得られた。
抵抗R[kΩ]に最も近いのはどれか。
選択肢
1.1
2.3
3.5
4.10
5.30
答え
2.3
解説
正答
2.3
この問題のポイント
図Bは、抵抗RとコンデンサCからなる RC回路 です。
入力された単パルス vi に対して、出力 vo はコンデンサの電圧として取り出されています。
そのため、図Cの出力波形は、
- 入力が10 Vの間:コンデンサが充電される
- 入力が0 Vになった後:コンデンサが放電される
という形になります。
この問題では、図Cの波形からRC回路の 時定数 τ を読み取り、
τ = RC
を使って抵抗Rを求めます。
図の見方
図Aでは、入力 vi は
- 0〜10 ms:10 V
- 10 ms以降:0 V
の単パルスです。
図Bでは、コンデンサは 1 μF です。
出力 vo はコンデンサの両端電圧なので、図Cのように急に10 Vにはならず、指数関数的に上昇します。
RC回路の充電では、時定数 τ の時点で出力電圧は最終値の約63%になります。
最終値は10 Vなので、
10 V × 0.632 ≒ 6.3 V
です。
図Cを見ると、vo が約6.3 Vになるのは、およそ 3 ms 付近です。
したがって、
τ ≒ 3 ms
と読み取れます。
計算
時定数は、
τ = RC
です。
ここで、
- τ ≒ 3 ms = 3 × 10^-3 s
- C = 1 μF = 1 × 10^-6 F
なので、
R = τ / C
R = (3 × 10^-3) / (1 × 10^-6)
R = 3 × 10^3 Ω
R = 3 kΩ
となります。
したがって、最も近い選択肢は
2.3
です。
別の確認方法
図Cでは、入力が切れる10 ms以降に出力電圧が指数関数的に低下しています。
放電でも、時定数 τ だけ時間が経つと電圧は約37%になります。
10 ms時点の電圧は約9.5〜10 Vです。
その約37%は、
9.5 V × 0.37 ≒ 3.5 V
です。
図Cでは、10 msから約3 ms後、つまり13 ms付近でvoが約3.5 V程度になっています。
このことからも、時定数は約3 msと判断できます。
選択肢の確認
1.1
誤りです。
R = 1 kΩなら、τ = RC = 1 msとなります。
図Cよりもかなり速く充電・放電する波形になります。
2.3
正しいです。
図Cから時定数τは約3 msと読めます。
C = 1 μFなので、R = τ/C = 3 kΩとなります。
3.5
誤りです。
R = 5 kΩなら、τ = 5 msとなります。
図Cでは約3 msで63%程度に達しているため、5 kΩでは大きすぎます。
4.10
誤りです。
R = 10 kΩなら、τ = 10 msです。
10 ms時点でも出力は約6.3 V程度にしかならないはずですが、図Cでは10 msでほぼ10 V近くまで上昇しています。
5.30
誤りです。
R = 30 kΩなら、τ = 30 msです。
出力の上昇は非常に遅くなり、図Cの波形とは合いません。
覚えるポイント
RC回路では、時定数を使って波形を読み取ります。
- 時定数:τ = RC
- 充電時:τで最終値の約63%に達する
- 放電時:τで初期値の約37%に低下する
- 今回のコンデンサ:1 μF
- 図Cから時定数:約3 ms
したがって、
R = 3 ms / 1 μF = 3 kΩ
となり、正しい選択肢は
2.3
です。
78PM66問題・解答・解説
問題文
半導体で正しいのはどれか。2 つ選べ。
選択肢
1.Si にAs を添加するとp 型になる。
2.真性半導体のキャリアは正孔が主である。
3.n 型半導体に添加する不純物はドナーである。
4.真性半導体は温度が高くなると抵抗率が低下する。
5.不純物半導体は真性半導体と比較して導電率が低い。
答え
3.n 型半導体に添加する不純物はドナーである。 4.真性半導体は温度が高くなると抵抗率が低下する。
解説
正答
3.n型半導体に添加する不純物はドナーである。
4.真性半導体は温度が高くなると抵抗率が低下する。
この問題のポイント
半導体では、真性半導体と不純物半導体の違いを理解することが重要です。
特に、次の対応を押さえます。
- n型半導体:電子が多数キャリア
- p型半導体:正孔が多数キャリア
- ドナー:電子を供給し、n型を作る不純物
- アクセプタ:正孔を作り、p型を作る不純物
この問題では、正しい選択肢は 3と4 です。
解説
Si、つまりシリコンは4価の元素です。
ここに5価の不純物であるAs、P、Sbなどを添加すると、余分な電子が生じます。
この電子が電気伝導に関与するため、n型半導体になります。
このように、電子を供給する不純物を ドナー といいます。
一方、p型半導体を作るには、B、Al、Gaなどの3価不純物を添加します。
3価不純物では電子が不足するため、正孔が生じます。
また、真性半導体では、温度が高くなると熱エネルギーによって電子と正孔が増えます。
キャリア数が増えると電気を流しやすくなるため、導電率は上昇し、抵抗率は低下します。
選択肢の確認
1.SiにAsを添加するとp型になる。
誤りです。
Asは5価不純物です。
4価のSiに5価のAsを添加すると、余分な電子が生じるため、p型ではなくn型半導体になります。
p型にするには、BやAlなどの3価不純物を添加します。
2.真性半導体のキャリアは正孔が主である。
誤りです。
真性半導体では、熱によって電子と正孔が対になって発生します。
そのため、電子と正孔の数は等しく、どちらか一方が主というわけではありません。
正孔が主になるのはp型半導体です。
3.n型半導体に添加する不純物はドナーである。
正しいです。
n型半導体では、電子を供給する5価不純物を添加します。
この不純物をドナーといいます。
電子が多数キャリアとなるため、n型半導体になります。
4.真性半導体は温度が高くなると抵抗率が低下する。
正しいです。
温度が高くなると、熱励起によって電子と正孔が増えます。
キャリア数が増えるため導電率が上昇し、抵抗率は低下します。
5.不純物半導体は真性半導体と比較して導電率が低い。
誤りです。
不純物半導体では、ドナーやアクセプタを添加してキャリア数を増やします。
そのため、一般に真性半導体より導電率は高くなります。
覚えるポイント
半導体は、次のように整理します。
- Si:4価半導体
- As、P、Sb:5価不純物 → ドナー → n型
- B、Al、Ga:3価不純物 → アクセプタ → p型
- 真性半導体:電子数 = 正孔数
- 温度上昇:キャリア増加 → 導電率上昇 → 抵抗率低下
この問題は2つ選ぶ問題です。
正しい選択肢は、
3.n型半導体に添加する不純物はドナーである。
4.真性半導体は温度が高くなると抵抗率が低下する。
です。
78PM67問題・解答・解説
問題文
医用電気機器の漏れ電流の許容値(JIS T 0601 – 1)で、複数の患者接続部がある
CF 形装着部の単一故障状態における合計患者漏れ電流の許容値[μA]はどれか。
選択肢
1.5
2.10
3.50
4.100
5.500
答え
4.100
解説
正答
4.100
この問題のポイント
医用電気機器では、患者に流れる漏れ電流を安全な範囲に抑える必要があります。
この問題では、次の条件を正確に読むことが重要です。
- CF形装着部
- 複数の患者接続部がある
- 単一故障状態
- 合計患者漏れ電流
この条件での許容値は 100 μA です。
解説
装着部には、B形、BF形、CF形があります。
このうち CF形装着部 は、心臓へ直接適用される可能性がある装着部です。
心臓は微小な電流にも影響を受けやすいため、CF形では漏れ電流の許容値が厳しく設定されています。
ただし、本問は「1つの患者接続部」ではなく、複数の患者接続部がある場合の合計患者漏れ電流 を問うています。
さらに、通常状態ではなく 単一故障状態 です。
JIS T 0601-1における、複数の患者接続部があるCF形装着部の単一故障状態での合計患者漏れ電流の許容値は 100 μA です。
選択肢の確認
1.5
誤りです。
5 μAは本問の条件である、複数患者接続部の単一故障状態における合計患者漏れ電流の許容値ではありません。
2.10
誤りです。
10 μAはCF形装着部に関係する値として出題で混同しやすい数値ですが、本問の条件ではありません。
問題文の「複数の患者接続部」「単一故障状態」「合計患者漏れ電流」を見落とさないことが重要です。
3.50
誤りです。
50 μAも漏れ電流の許容値として出てきやすい数値ですが、本問で問われている合計患者漏れ電流の許容値ではありません。
4.100
正しいです。
複数の患者接続部があるCF形装着部において、単一故障状態での合計患者漏れ電流の許容値は 100 μA です。
これが本問の正答です。
5.500
誤りです。
500 μAはCF形装着部の条件としては大きすぎます。
心臓への適用を想定するCF形では、より厳しい基準が用いられます。
覚えるポイント
漏れ電流の問題では、次の条件を必ず確認します。
- 装着部の種類:B形、BF形、CF形
- 通常状態か単一故障状態か
- 患者漏れ電流か、合計患者漏れ電流か
- 患者接続部が単数か複数か
本問は、
CF形・複数患者接続部・単一故障状態・合計患者漏れ電流
の組合せです。
したがって、正しい選択肢は
4.100 μA
です。
78PM68問題・解答・解説
問題文
1 cm 線量当量率が値付けられている137Cs の標準点線源(線源から1 m 離れた基
準点P における線量率:60 μSv・h-1、不確かさ:2.4 μSv・h-1)を用いてサーベイ
メータを校正する。基準点P におけるサーベイメータの指示値の平均値が
64 μSv・h-1、その不確かさは5.1 μSv・h-1 であった。
このサーベイメータの校正定数の合成された相対標準不確かさに最も近いのはど
れか。
ただし、散乱線およびバックグランドの影響は無視できるものとする。
選択肢
1.0.01
2.0.05
3.0.09
4.0.13
5.0.17
答え
3.0.09
解説
正答
3.0.09
この問題のポイント
サーベイメータの校正定数に対する、合成された相対標準不確かさを求める問題です。
校正定数は、
校正定数 = 基準線量率 / サーベイメータの指示値
で求めます。
比で表される量の相対標準不確かさは、それぞれの相対標準不確かさを二乗和平方根で合成します。
解説
問題文より、
基準線量率は、
60 μSv/h
その不確かさは、
2.4 μSv/h
です。
したがって、基準線量率の相対標準不確かさは、
2.4 / 60 = 0.04
です。
次に、サーベイメータの指示値は、
64 μSv/h
その不確かさは、
5.1 μSv/h
です。
したがって、指示値の相対標準不確かさは、
5.1 / 64 ≒ 0.0797
です。
校正定数は「基準線量率 ÷ 指示値」なので、相対標準不確かさは次のように合成します。
√{(0.04)^2 + (0.0797)^2}
= √(0.0016 + 0.00635)
= √0.00795
≒ 0.089
最も近い選択肢は 0.09 です。
校正定数そのもの
参考として、校正定数そのものは、
60 / 64 = 0.9375
です。
ただし、この問題で聞かれているのは校正定数の値ではなく、
校正定数の合成された相対標準不確かさ です。
値そのものと不確かさを混同しないようにします。
選択肢の確認
1.0.01
誤りです。
基準線量率だけでも相対不確かさは0.04あるため、0.01にはなりません。
2.0.05
誤りです。
基準線量率の相対不確かさ0.04と、指示値の相対不確かさ約0.08を合成するため、0.05より大きくなります。
3.0.09
正しいです。
0.04と0.0797を二乗和平方根で合成すると、約0.089となります。
したがって、最も近い値は0.09です。
4.0.13
誤りです。
不確かさを単純に足すと0.04 + 0.0797 ≒ 0.12となり近い値になりますが、独立した相対標準不確かさは二乗和平方根で合成します。
単純加算ではありません。
5.0.17
誤りです。
この条件では大きすぎます。
正しく二乗和平方根で合成すると約0.09です。
覚えるポイント
比で求める量の相対不確かさは、相対不確かさを使って合成します。
- 基準線量率の相対不確かさ:2.4 / 60 = 0.04
- 指示値の相対不確かさ:5.1 / 64 ≒ 0.080
- 合成相対標準不確かさ:√(0.04² + 0.080²) ≒ 0.09
この問題では、正しい選択肢は
3.0.09
です。
78PM69問題・解答・解説
問題文
血管造影検査終了時に面積線量計の積算値が160 Gy・cm2 を示した。
X 線ビームの患者皮膚入射面積の平均値が400 cm2 の一定の面積として考えると
き、この検査における患者の入射皮膚吸収線量[Gy]に最も近いのはどれか。
ただし、後方散乱係数を1.4、組織線量変換係数(空気に対する皮膚の質量エネ
ルギー吸収係数の比)を1.06 とし、検査テーブルの吸収補正と付加フィルタの吸収
補正は考慮しない。
選択肢
1.0.1
2.0.3
3.0.6
4.1.0
5.1.2
答え
3.0.6
解説
正答
3.0.6
この問題のポイント
面積線量計の積算値から、患者の入射皮膚吸収線量を求める問題です。
面積線量は、
線量 × 面積
を表します。
したがって、まず面積線量を照射面積で割ることで、入射面の線量を求めます。
その後、後方散乱係数と組織線量変換係数を掛けて、皮膚吸収線量に近づけます。
解説
問題文より、面積線量計の積算値は、
160 Gy・cm²
です。
患者皮膚入射面積は、
400 cm²
です。
まず、面積線量を面積で割ります。
160 Gy・cm² / 400 cm² = 0.4 Gy
これは、入射面での空気カーマに相当する値として扱います。
次に、患者体表での後方散乱を考慮します。
後方散乱係数は、
1.4
です。
さらに、空気から皮膚吸収線量へ変換するため、組織線量変換係数を掛けます。
組織線量変換係数は、
1.06
です。
したがって、
0.4 × 1.4 × 1.06
= 0.5936 Gy
となります。
最も近い選択肢は 0.6 Gy です。
計算の流れ
計算は次の順に行います。
- 面積線量を面積で割る
160 / 400 = 0.4 Gy
- 後方散乱係数を掛ける
0.4 × 1.4 = 0.56 Gy
- 組織線量変換係数を掛ける
0.56 × 1.06 = 0.5936 Gy
よって、
約0.6 Gy
です。
選択肢の確認
1.0.1
誤りです。
面積線量を面積で割っただけでも0.4 Gyになるため、0.1 Gyは小さすぎます。
2.0.3
誤りです。
面積線量を面積で割ると0.4 Gyです。
さらに後方散乱係数と組織線量変換係数を掛けるため、0.3 Gyにはなりません。
3.0.6
正しいです。
160 Gy・cm²を400 cm²で割り、後方散乱係数1.4と組織線量変換係数1.06を掛けると、約0.59 Gyとなります。
最も近い値は0.6 Gyです。
4.1.0
誤りです。
補正係数を掛けても約0.6 Gyであり、1.0 Gyまでは大きくなりません。
5.1.2
誤りです。
面積や補正係数の扱いを誤ると大きく見積もる可能性がありますが、正しい計算では約0.6 Gyです。
覚えるポイント
面積線量から皮膚線量を求めるときは、次の流れです。
- 面積線量[Gy・cm²] ÷ 入射面積[cm²] = 線量[Gy]
- 後方散乱係数を掛ける
- 組織線量変換係数を掛ける
この問題では、
160 / 400 × 1.4 × 1.06 ≒ 0.6 Gy
となるため、正しい選択肢は
3.0.6
です。
78PM70問題・解答・解説
問題文
シンチレーション検出器で正しいのはどれか。2 つ選べ。
選択肢
1.気体シンチレータには希ガスが利用される。
2.液体シンチレータはγ 線の測定に適している。
3.アントラセンはγ 線のエネルギースペクトル測定に適している。
4.無機シンチレータの蛍光減衰時間は有機シンチレータより短い。
5.NaI(Tl)シンチレータのエネルギー分解能は高純度Ge 半導体検出器より低
い。
答え
1.気体シンチレータには希ガスが利用される。 5.NaI(Tl)シンチレータのエネルギー分解能は高純度Ge 半導体検出器より低
い。
解説
正答
1.気体シンチレータには希ガスが利用される。
5.NaI(Tl)シンチレータのエネルギー分解能は高純度Ge半導体検出器より低い。
この問題のポイント
シンチレーション検出器の種類と特徴を問う問題です。
シンチレータには、主に次のような種類があります。
- 気体シンチレータ
- 液体シンチレータ
- 有機シンチレータ
- 無機シンチレータ
この問題では、正しい選択肢は 1と5 です。
解説
シンチレーション検出器は、放射線が物質にエネルギーを与えたときに発生する光を利用して放射線を検出します。
気体シンチレータには、ArやXeなどの希ガスが利用されます。
したがって、選択肢1は正しいです。
また、NaI(Tl)シンチレータはγ線測定に広く用いられる代表的な無機シンチレータです。
検出効率が高く、取り扱いやすいという利点があります。
ただし、エネルギー分解能は高純度Ge半導体検出器より劣ります。
高純度Ge半導体検出器は、γ線スペクトルを高いエネルギー分解能で測定できる検出器です。
したがって、NaI(Tl)のエネルギー分解能は高純度Ge半導体検出器より低い、という選択肢5は正しいです。
選択肢の確認
1.気体シンチレータには希ガスが利用される。
正しいです。
気体シンチレータには、希ガスが利用されます。
ArやXeなどが代表です。
2.液体シンチレータはγ線の測定に適している。
誤りです。
液体シンチレータは、β線などの測定に用いられることが多いです。
γ線測定には、NaI(Tl)などの無機シンチレータや半導体検出器が適しています。
液体シンチレータをγ線測定に最も適したものとして扱うのは不適切です。
3.アントラセンはγ線のエネルギースペクトル測定に適している。
誤りです。
アントラセンは有機シンチレータの一種です。
有機シンチレータは応答が速く、荷電粒子やβ線測定などに用いられますが、γ線のエネルギースペクトル測定にはNaI(Tl)や高純度Ge半導体検出器の方が適しています。
4.無機シンチレータの蛍光減衰時間は有機シンチレータより短い。
誤りです。
一般に、有機シンチレータは蛍光減衰時間が短く、応答が速い特徴があります。
無機シンチレータは有機シンチレータより減衰時間が長いものが多いです。
したがって、選択肢は逆です。
5.NaI(Tl)シンチレータのエネルギー分解能は高純度Ge半導体検出器より低い。
正しいです。
NaI(Tl)はγ線検出に広く用いられますが、エネルギー分解能は高純度Ge半導体検出器より低いです。
高精度なγ線スペクトル測定では、高純度Ge半導体検出器が優れています。
覚えるポイント
シンチレーション検出器は、用途と特徴で整理します。
- 気体シンチレータ:希ガスを利用
- 液体シンチレータ:β線などの測定に用いられる
- 有機シンチレータ:応答が速く、蛍光減衰時間が短い
- 無機シンチレータ:γ線測定に有用、NaI(Tl)が代表
- NaI(Tl):検出効率は高いが、エネルギー分解能はGeより低い
- 高純度Ge半導体検出器:γ線スペクトル測定のエネルギー分解能が高い
この問題は2つ選ぶ問題です。
正しい選択肢は、
1.気体シンチレータには希ガスが利用される。
5.NaI(Tl)シンチレータのエネルギー分解能は高純度Ge半導体検出器より低い。
です。
78PM71問題・解答・解説
問題文
蛍光ガラス線量計で正しいのはどれか。
選択肢
1.線量率の測定に適している。
2.ホウケイ酸ガラスを用いる。
3.光刺激ルミネセンスを利用する。
4.線量率依存性は電離箱より小さい。
5.フェーディングはTLD より大きい。
答え
4.線量率依存性は電離箱より小さい。
解説
正答
4.線量率依存性は電離箱より小さい。
この問題のポイント
蛍光ガラス線量計は、放射線を受けたガラスに紫外線を当てると蛍光を発する性質を利用して、積算線量を測定する線量計です。
ポイントは次の3つです。
- 蛍光ガラス線量計は ラジオフォトルミネセンス〈RPL〉 を利用する
- 主に 積算線量 の測定に用いる
- フェーディングが小さく、繰り返し読み取りができる
この問題では、蛍光ガラス線量計の特徴として正しい
「線量率依存性は電離箱より小さい」
を選びます。
解説
蛍光ガラス線量計では、放射線を受けたガラス内部に発光中心が作られます。
その後、紫外線レーザーなどを照射すると、放射線量に応じた蛍光を発します。
この蛍光を読み取ることで、受けた放射線の量を評価します。
蛍光ガラス線量計は、リアルタイムに線量率を測る装置ではなく、一定時間に受けた線量をあとから読み取る 受動型の積算線量計 です。
電離箱は線量測定の基準として重要ですが、測定条件によってはイオン再結合などの影響を受け、線量率や線量/パルスの補正が問題になることがあります。
一方、蛍光ガラス線量計は積算線量計として用いられ、線量率依存性が比較的小さい特徴があります。
したがって、正しい記述は
4.線量率依存性は電離箱より小さい。
です。
選択肢の確認
1.線量率の測定に適している。
誤りです。
蛍光ガラス線量計は、線量率をリアルタイムに測る装置ではありません。
一定期間に受けた放射線量をあとから読み取る 積算線量測定 に適しています。
線量率をその場で測るには、電離箱式サーベイメータなどの能動型線量計が適しています。
2.ホウケイ酸ガラスを用いる。
誤りです。
蛍光ガラス線量計では、一般に銀活性リン酸塩ガラスなどが用いられます。
ホウケイ酸ガラスを用いる、という説明は蛍光ガラス線量計の代表的な特徴としては不適切です。
3.光刺激ルミネセンスを利用する。
誤りです。
光刺激ルミネセンス〈OSL〉を利用するのは、OSL線量計です。
蛍光ガラス線量計は、光刺激ルミネセンスではなく、ラジオフォトルミネセンス〈RPL〉 を利用します。
4.線量率依存性は電離箱より小さい。
正しいです。
蛍光ガラス線量計は、積算線量計として線量率依存性が小さい特徴があります。
電離箱では、線量率やパルス線量の条件によってイオン再結合などの補正が問題になることがあります。
そのため、本問ではこの記述が正答です。
5.フェーディングはTLDより大きい。
誤りです。
フェーディングとは、照射後に時間が経つことで信号が減少する現象です。
蛍光ガラス線量計は、発光中心が比較的安定しており、TLDよりフェーディングが小さいことが特徴です。
したがって、「TLDより大きい」は逆の説明です。
蛍光ガラス線量計の特徴
蛍光ガラス線量計は、次のように整理します。
- 原理:ラジオフォトルミネセンス〈RPL〉
- 用途:積算線量測定
- 読み取り:紫外線レーザーなどで蛍光を読み取る
- 特徴:フェーディングが小さい
- 特徴:繰り返し読み取りが可能
- 特徴:線量率依存性が小さい
- 材料:銀活性リン酸塩ガラスなど
間違えやすいポイント
蛍光ガラス線量計、TLD、OSL線量計は混同しやすいです。
- 蛍光ガラス線量計:RPLを利用
- TLD:熱ルミネセンスを利用
- OSL線量計:光刺激ルミネセンスを利用
つまり、
蛍光ガラス線量計 = RPL
と覚えると整理しやすくなります。
この問題では、蛍光ガラス線量計の特徴として正しいものを選ぶため、正しい選択肢は
4.線量率依存性は電離箱より小さい。
です。
78PM72問題・解答・解説
問題文
各種放射線における水中での深部量百分率の模式図を示す。
正しい組合せはどれか。
選択肢
1.ア
電子線
2.イ
陽子線
3.ウ
X 線
4.エ
中性子線
5.オ
炭素線
答え
5.オ
炭素線
解説
正答
5.オ 炭素線
この問題のポイント
図は、水中での各種放射線の深部量百分率を示しています。
縦軸は相対線量、横軸は深さです。
放射線の種類によって、深さ方向の線量分布は大きく異なります。
この問題では、図中のア〜オの曲線が、どの放射線に対応するかを読み取ります。
特に注目するのは、深部で急に線量が高くなる ブラッグピーク です。
炭素線は、陽子線と同じように深部でブラッグピークを作りますが、ピークが鋭く、ピーク後も核破砕片によるわずかな線量の尾を引くことがあります。
図では、この特徴に合うのが オ です。
したがって、正しい組合せは
5.オ 炭素線
です。
図の見方
図では、深さに対する相対線量が5種類の曲線で示されています。
ア
表面付近では線量が低めで、少し深いところで最大となり、その後ゆるやかに減少しています。
これは高エネルギーX線の特徴です。
高エネルギーX線では、表面直下で二次電子の影響により線量が増加する ビルドアップ があり、その後、深部へ行くほど線量が徐々に減少します。
ウ
浅いところで最大線量を示したあと、ある深さで急激に線量が低下し、ほぼ0になります。
これは電子線の特徴です。
電子線は飛程が限られているため、一定の深さを超えると急に線量が落ちます。
表在性病変の治療に使われる理由もここにあります。
エ
深部に向かって線量が少しずつ増加し、ある深さで大きなピークを作ったあと、急激に低下しています。
これは陽子線のブラッグピークに相当します。
陽子線は、体表付近の線量を比較的抑えながら、標的深部で線量を集中させることができます。
オ
深部まで比較的低い線量で進み、標的深度付近で非常に鋭いピークを作っています。
ピーク後は急激に低下しますが、わずかな線量の尾を引いています。
これは炭素線の特徴です。
炭素線は重粒子線であり、鋭いブラッグピークを形成します。
また、陽子線よりも線エネルギー付与が大きく、生物学的効果が高いことも特徴です。
イ
表面付近から比較的高い線量を示し、深さとともにゆるやかに低下しています。
これは中性子線のような、明瞭なブラッグピークを示さず減弱していく線量分布として考えます。
なぜオが炭素線なのか
炭素線は、重粒子線の一種です。
重粒子線では、粒子が止まる直前にエネルギー付与が大きくなり、深部で線量が急上昇します。
このピークを ブラッグピーク といいます。
炭素線の特徴は次の通りです。
- 深部に鋭いブラッグピークを作る
- 体表からピークまでの線量は比較的低い
- ピーク後は急激に線量が低下する
- 核破砕片により、ピーク後にわずかな線量の尾が出ることがある
- 陽子線よりLETが高く、生物学的効果が大きい
図中のオは、深さ約15 cm付近で鋭いピークを示し、その後急激に低下しています。
さらにピーク後にわずかな尾がみられるため、炭素線の特徴に合います。
選択肢の確認
1.ア 電子線
誤りです。
アは表面から少し深いところで最大となり、その後ゆるやかに減少しています。
これは高エネルギーX線のような線量分布です。
電子線なら、ある深さで急激に線量が落ちるウのような曲線になります。
2.イ 陽子線
誤りです。
陽子線は深部にブラッグピークを作ります。
イは深部で鋭いピークを示しておらず、深さとともにゆるやかに減少しています。
陽子線としては不適切です。
3.ウ X線
誤りです。
ウは浅いところで線量が高く、その後急激に低下してほぼ0になります。
これは飛程をもつ電子線の特徴です。
X線ならアのようにビルドアップ後、深部へ向かって徐々に減少します。
4.エ 中性子線
誤りです。
エは深部でブラッグピークを示す曲線です。
このような線量集中は陽子線にみられる特徴であり、中性子線の代表的な深部量百分率ではありません。
5.オ 炭素線
正しいです。
オは深部で鋭いブラッグピークを形成し、ピーク後に急激な線量低下を示します。
これは炭素線の特徴に一致します。
したがって、正しい組合せです。
覚えるポイント
深部量百分率は、放射線ごとの形で覚えると判断しやすくなります。
- X線:ビルドアップ後、深部へ向かってゆるやかに減少
- 電子線:浅い深さで高線量、その後急激に低下
- 陽子線:深部にブラッグピーク
- 炭素線:より鋭いブラッグピーク、ピーク後にわずかな尾を引くことがある
- 中性子線:明瞭なブラッグピークを示さず、深さとともに減弱
この図では、オが炭素線の深部量百分率に対応します。
したがって、正しい選択肢は
5.オ 炭素線
です。
78PM73問題・解答・解説
問題文
X 線管での制動X 線の発生で正しいのはどれか。
選択肢
1.最短波長は管電圧に比例する。
2.発生効率は管電流に比例する。
3.X 線強度は管電流の2 乗に比例する。
4.X 線管装置の発生効率は約10%である。
5.発生強度はターゲットの原子番号に比例する。
答え
5.発生強度はターゲットの原子番号に比例する。
解説
正答
5.発生強度はターゲットの原子番号に比例する。
この問題のポイント
X線管で発生する制動X線について、管電圧、管電流、ターゲット原子番号との関係を整理する問題です。
制動X線は、高速電子がターゲット原子核の近くを通過するときに減速され、その失ったエネルギーがX線として放出されることで発生します。
重要な関係は次の通りです。
- 最短波長は管電圧に反比例する
- X線強度は管電流に比例する
- X線強度は管電圧のおよそ2乗に比例する
- 制動X線の発生強度はターゲットの原子番号に比例する
- X線管でX線になるエネルギーは少なく、多くは熱になる
したがって、正しい選択肢は
5.発生強度はターゲットの原子番号に比例する。
です。
解説
制動X線の発生では、ターゲットに入射した電子が原子核の電場で減速されます。
このとき、電子が失った運動エネルギーがX線として放出されます。
ターゲットの原子番号が大きいほど、原子核の電場の影響が強くなり、電子が強く減速されやすくなります。
そのため、制動X線の発生強度はターゲットの原子番号Zに比例して大きくなります。
また、X線管では管電圧を上げると電子の加速エネルギーが大きくなります。
その結果、発生するX線の最大エネルギーは高くなり、最短波長は短くなります。
最短波長は、
λmin = hc / eV
で表されるため、管電圧Vに反比例します。
選択肢の確認
1.最短波長は管電圧に比例する。
誤りです。
最短波長は管電圧に反比例します。
管電圧が高いほど、発生し得るX線の最大エネルギーは大きくなり、波長は短くなります。
したがって「比例する」は誤りです。
2.発生効率は管電流に比例する。
誤りです。
管電流を増やすと、ターゲットに衝突する電子数が増えるため、X線量は増加します。
しかし、発生効率は「入射電子のエネルギーのうち、どれだけがX線に変換されたか」を表す割合です。
発生効率は主にターゲット原子番号Zと管電圧に依存し、管電流に比例するわけではありません。
3.X線強度は管電流の2乗に比例する。
誤りです。
X線強度は、管電流にほぼ比例します。
管電流は単位時間あたりにターゲットへ到達する電子数を表すため、管電流を2倍にするとX線量もおおよそ2倍になります。
2乗に比例するわけではありません。
4.X線管装置の発生効率は約10%である。
誤りです。
診断用X線管では、電子のエネルギーの大部分は熱になります。
X線として放出される割合は非常に小さく、一般に1%程度以下です。
約10%という値は大きすぎます。
5.発生強度はターゲットの原子番号に比例する。
正しいです。
制動X線の発生強度は、ターゲットの原子番号Zに依存します。
原子番号が大きいほど電子が原子核の電場で減速されやすくなり、制動X線の発生が増えます。
そのため、この記述が正答です。
覚えるポイント
制動X線の関係式は、次のように整理します。
- 最短波長:管電圧に反比例
- 最大エネルギー:管電圧に比例
- X線量:管電流に比例
- X線強度:管電圧のおよそ2乗に比例
- 制動X線発生強度:ターゲット原子番号Zに比例
- 発生効率:おおよそZと管電圧に依存し、管電流には比例しない
この問題では、制動X線の発生強度とターゲット原子番号の関係を問うているため、正しい選択肢は
5.発生強度はターゲットの原子番号に比例する。
です。
78PM74問題・解答・解説
問題文
インバータ式X 線装置で誤っているのはどれか。
選択肢
1.テトロード管で制御する。
2.管電圧は自己整流方式より高い精度で制御できる。
3.照射時間は自己整流方式より高い精度で制御できる。
4.管電圧の立ち上がり時間は三相12 ピーク形X 線装置より短い。
5.三相12 ピーク形X 線装置よりX 線高電圧装置を小型化できる。
答え
1.テトロード管で制御する。
解説
正答
1.テトロード管で制御する。
この問題のポイント
インバータ式X線装置の特徴を問う問題です。
問題文は「誤っているのはどれか」と聞いています。
つまり、インバータ式X線装置の説明として不適切なものを選びます。
インバータ式X線装置は、商用交流をいったん直流に変換し、それを半導体スイッチング素子で高周波交流に変換して高電圧を発生させる方式です。
したがって、インバータ式X線装置は テトロード管で制御する方式ではありません。
正答は
1.テトロード管で制御する。
です。
解説
インバータ式X線装置では、半導体スイッチング素子を用いて高周波化します。
高周波化することで、次のような利点があります。
- 高電圧変圧器を小型化できる
- 管電圧の立ち上がりが速い
- 照射時間を高精度に制御しやすい
- 管電圧を安定して制御しやすい
- 装置全体を小型・軽量化しやすい
自己整流方式は古い方式で、管電圧や照射時間の制御精度は高くありません。
インバータ式では、半導体制御によりX線出力をより安定して制御できます。
一方、テトロード管は真空管を用いた制御に関係するもので、インバータ式X線装置の基本的な制御方式ではありません。
選択肢の確認
1.テトロード管で制御する。
この記述が誤りです。
インバータ式X線装置は、半導体スイッチング素子を用いて高周波化し、高電圧を制御します。
テトロード管で制御する方式ではありません。
問題文は「誤っているのはどれか」と問うているため、これが正答です。
2.管電圧は自己整流方式より高い精度で制御できる。
誤りではありません。
インバータ式では、半導体スイッチング制御によって管電圧を安定して制御できます。
自己整流方式より高精度な制御が可能です。
3.照射時間は自己整流方式より高い精度で制御できる。
誤りではありません。
インバータ式では、短時間照射を含めて照射時間を高精度に制御できます。
自己整流方式より制御性に優れます。
4.管電圧の立ち上がり時間は三相12ピーク形X線装置より短い。
誤りではありません。
インバータ式では高周波制御により、管電圧の立ち上がりが速くなります。
三相12ピーク形より立ち上がり時間を短くしやすい方式です。
5.三相12ピーク形X線装置よりX線高電圧装置を小型化できる。
誤りではありません。
インバータ式では高周波化により変圧器などを小型化できます。
そのため、三相12ピーク形より高電圧装置を小型化しやすいです。
覚えるポイント
インバータ式X線装置は、次のように覚えます。
- 半導体スイッチングで高周波化する
- テトロード管制御ではない
- 管電圧制御が高精度
- 照射時間制御が高精度
- 管電圧の立ち上がりが速い
- 高電圧装置を小型化しやすい
この問題では「誤っているもの」を選ぶため、正しい選択肢は
1.テトロード管で制御する。
です。
78PM75問題・解答・解説
問題文
CR 装置で正しいのはどれか。
選択肢
1.輝尽性蛍光体をX 線検出器として用いる。
2.フェーディング現象によって画質が向上する。
3.リアルタイムに画像を観察することができる。
4.記録消去用加熱で繰り返し使用することができる。
5.輝尽発光と輝尽励起光の波長は近い方が読み取り精度が高い。
答え
1.輝尽性蛍光体をX 線検出器として用いる。
解説
正答
1.輝尽性蛍光体をX線検出器として用いる。
この問題のポイント
CR装置、つまりComputed Radiographyの基本原理を問う問題です。
CRでは、フィルムの代わりに イメージングプレート を使います。
このイメージングプレートには 輝尽性蛍光体 が用いられています。
X線情報は、いったん輝尽性蛍光体に潜像として蓄積されます。
その後、レーザで読み取ることで輝尽発光が生じ、画像データに変換されます。
したがって、正しい選択肢は
1.輝尽性蛍光体をX線検出器として用いる。
です。
解説
CR装置では、X線がイメージングプレートに入射すると、輝尽性蛍光体の中にエネルギーが蓄積されます。
撮影直後に画像が直接表示されるわけではありません。
撮影後、イメージングプレートを読取装置に入れ、レーザ光で走査します。
レーザ光を当てると、蓄積されたエネルギーが光として放出されます。
この光を 輝尽発光 といいます。
発生した光を光電子増倍管などで検出し、電気信号に変換して画像を作ります。
読み取り後は、イメージングプレートに残った情報を強い光で消去し、再使用します。
選択肢の確認
1.輝尽性蛍光体をX線検出器として用いる。
正しいです。
CRでは、輝尽性蛍光体を塗布したイメージングプレートをX線検出器として用います。
X線情報を一度蓄積し、レーザ走査で読み取ります。
これが本問の正答です。
2.フェーディング現象によって画質が向上する。
誤りです。
フェーディングとは、イメージングプレートに蓄積された信号が時間とともに減少する現象です。
信号が減るため、画質向上ではなく画質低下の原因になります。
3.リアルタイムに画像を観察することができる。
誤りです。
CRは、撮影後にイメージングプレートを読み取って画像化する方式です。
透視のようにリアルタイム観察する装置ではありません。
リアルタイム性が高いのはDRや透視装置などです。
4.記録消去用加熱で繰り返し使用することができる。
誤りです。
CRのイメージングプレートは繰り返し使用できますが、記録の消去は加熱ではなく強い光を照射して行います。
したがって「加熱で消去」は不適切です。
5.輝尽発光と輝尽励起光の波長は近い方が読み取り精度が高い。
誤りです。
読み取りでは、励起用レーザ光と輝尽発光を光学的に分離する必要があります。
波長が近すぎると分離しにくくなり、読み取り精度が低下します。
そのため、両者の波長は十分に離れている方が望ましいです。
覚えるポイント
CR装置は、次の流れで覚えます。
- X線がイメージングプレートに入射する
- 輝尽性蛍光体にX線情報が蓄積される
- レーザ光で走査する
- 輝尽発光が生じる
- 光を電気信号に変換する
- 画像処理して表示する
- 強光照射で残像を消去し、再使用する
CRのキーワードは、
輝尽性蛍光体、イメージングプレート、レーザ走査、輝尽発光、強光消去
です。
この問題では、CR装置の検出器として正しいものを問うているため、正しい選択肢は
1.輝尽性蛍光体をX線検出器として用いる。
です。
78PM76問題・解答・解説
問題文
散乱線除去グリッドで誤っているのはどれか。
選択肢
1.静止グリッドはX 線ビームに対して動かさずに使用する。
2.集束グリッドは吸収はくの面の延長上のある距離で集まる。
3.平行グリッドは吸収はくの面が互いに平行で入射面に垂直である。
4.テーパグリッドは吸収はくの高さが実中心線に近づくにつれて減少する。
5.クロスグリッドは二つの直線グリッドの吸収はくの方向がある角度をもって
一体に形成されている。
答え
4.テーパグリッドは吸収はくの高さが実中心線に近づくにつれて減少する。
解説
正答
4.テーパグリッドは吸収はくの高さが実中心線に近づくにつれて減少する。
この問題のポイント
散乱線除去グリッドの種類と構造を問う問題です。
問題文は「誤っているのはどれか」と聞いています。
したがって、グリッドの説明として不適切なものを選びます。
テーパグリッドでは、吸収はくの高さは中心部で高く、中心線から離れるにつれて低くなる構造です。
つまり、
実中心線に近づくにつれて減少する
のではなく、
実中心線から離れるにつれて減少する
と考えます。
したがって、誤っている選択肢は
4.テーパグリッドは吸収はくの高さが実中心線に近づくにつれて減少する。
です。
解説
散乱線除去グリッドは、被写体内で発生した散乱線を吸収し、画像コントラストを改善するために用いられます。
グリッドは、X線を通しやすい中間物質と、散乱線を吸収する吸収はくから構成されます。
代表的なグリッドには次のような種類があります。
- 静止グリッド
- 移動グリッド
- 平行グリッド
- 集束グリッド
- クロスグリッド
- テーパグリッド
それぞれ、吸収はくの配列や使用方法に特徴があります。
選択肢の確認
1.静止グリッドはX線ビームに対して動かさずに使用する。
誤りではありません。
静止グリッドは、撮影時にグリッドを動かさずに使用します。
グリッド線が画像に写り込むことがありますが、構造説明としては正しいです。
2.集束グリッドは吸収はくの面の延長上のある距離で集まる。
誤りではありません。
集束グリッドでは、吸収はくがX線焦点に向かうように傾けられています。
吸収はくの延長線は、ある距離で一点または線上に集まる構造です。
3.平行グリッドは吸収はくの面が互いに平行で入射面に垂直である。
誤りではありません。
平行グリッドでは、吸収はくが互いに平行に配置され、入射面に対して垂直です。
基本的なグリッド構造として正しい記述です。
4.テーパグリッドは吸収はくの高さが実中心線に近づくにつれて減少する。
この記述が誤りです。
テーパグリッドでは、吸収はくの高さは実中心線付近で高く、中心から離れるにつれて低くなる構造です。
選択肢は方向が逆になっています。
問題文は「誤っているのはどれか」と問うているため、これが正答です。
5.クロスグリッドは二つの直線グリッドの吸収はくの方向がある角度をもって一体に形成されている。
誤りではありません。
クロスグリッドは、2枚の直線グリッドを交差させた構造です。
散乱線除去効果は高くなりますが、位置ずれや焦点距離の影響を受けやすい点に注意します。
覚えるポイント
グリッドの種類は、構造で整理します。
- 静止グリッド:動かさずに使う
- 移動グリッド:撮影中に動かし、グリッド線を目立ちにくくする
- 平行グリッド:吸収はくが平行
- 集束グリッド:吸収はくが焦点方向に傾く
- クロスグリッド:2方向のグリッドを組み合わせる
- テーパグリッド:中心から離れるにつれて吸収はくの高さが低くなる
この問題では、テーパグリッドの高さ変化の方向が逆に書かれているため、正しい選択肢は
4.テーパグリッドは吸収はくの高さが実中心線に近づくにつれて減少する。
です。
78PM77問題・解答・解説
問題文
液晶ディスプレイを構成するのはどれか。
選択肢
1.乳剤層
2.蛍光体層
3.誘電体層
4.光電変換層
5.偏光フィルタ
答え
5.偏光フィルタ
解説
正答
5.偏光フィルタ
この問題のポイント
液晶ディスプレイ、つまりLCDを構成する基本要素を問う問題です。
液晶ディスプレイでは、液晶そのものが光を発しているのではありません。
バックライトの光を、液晶層と偏光フィルタで制御して画像を表示します。
液晶ディスプレイに必要な代表的構成要素は、
- バックライト
- 偏光フィルタ
- 液晶層
- カラーフィルタ
- 電極
- TFTなどの駆動素子
です。
選択肢の中で液晶ディスプレイを構成するものは
5.偏光フィルタ
です。
解説
液晶ディスプレイでは、光の偏光状態を利用して明るさを制御します。
液晶層の前後には偏光フィルタが配置されます。
液晶分子の向きを電圧で変えることで、光の偏光方向が変化し、偏光フィルタを通過する光の量が変わります。
この仕組みによって、各画素の明るさを調整します。
つまり、液晶ディスプレイでは、液晶層と偏光フィルタの組合せが非常に重要です。
選択肢の確認
1.乳剤層
誤りです。
乳剤層は、写真フィルムやX線フィルムで使われる層です。
銀塩などを含み、光やX線情報を記録するためのものです。
液晶ディスプレイの構成要素ではありません。
2.蛍光体層
誤りです。
蛍光体層は、蛍光スクリーン、イメージインテンシファイア、シンチレータなどで重要です。
X線を光に変換する装置では用いられますが、液晶ディスプレイの基本構成要素としては不適切です。
3.誘電体層
誤りです。
誘電体層は、コンデンサや一部の表示・検出デバイスで関係する用語です。
液晶ディスプレイの代表的な構成要素として選ぶものではありません。
4.光電変換層
誤りです。
光電変換層は、光を電気信号に変換する検出器で用いられます。
たとえば、フラットパネルディテクタや撮像素子などに関係します。
液晶ディスプレイは画像を表示する装置であり、光電変換層を基本構成とするものではありません。
5.偏光フィルタ
正しいです。
液晶ディスプレイでは、偏光フィルタと液晶層を組み合わせて光の透過量を制御します。
そのため、偏光フィルタは液晶ディスプレイの重要な構成要素です。
覚えるポイント
液晶ディスプレイは、光を「作る」だけでなく「通す量を制御する」装置です。
- バックライト:光源
- 偏光フィルタ:光の偏光方向を制限する
- 液晶層:電圧で分子配列を変え、光の通過を制御する
- カラーフィルタ:色を作る
- TFT:各画素を制御する
他の選択肢は、別の装置で使われる用語です。
- 乳剤層:フィルム
- 蛍光体層:蛍光スクリーン、シンチレータなど
- 光電変換層:画像検出器
- 誘電体層:コンデンサや一部の表示素子など
この問題では、液晶ディスプレイの構成要素を問うているため、正しい選択肢は
5.偏光フィルタ
です。
78PM78問題・解答・解説
問題文
X 線透視撮影装置で正しいのはどれか。2 つ選べ。
選択肢
1.I. I. の方がFPD より画像歪が小さい。
2.パルス照射によって被ばくを低減できる。
3.イメージングプレートを用いた方式がある。
4.X 線管装置とX 線受像器が連動して移動する。
5.FPD 方式ではX 線を検出する変換層を用いない。
答え
2.パルス照射によって被ばくを低減できる。 4.X 線管装置とX 線受像器が連動して移動する。
解説
正答
2.パルス照射によって被ばくを低減できる。
4.X線管装置とX線受像器が連動して移動する。
この問題のポイント
X線透視撮影装置の構造と、被ばく低減の方法を問う問題です。
X線透視では、リアルタイムに体内の動きを観察するため、連続的または断続的にX線を照射します。
このとき重要なのは、できるだけ少ない線量で必要な画像情報を得ることです。
正しい内容は次の2つです。
- パルス照射によって被ばくを低減できる
- X線管装置とX線受像器が連動して移動する構造がある
したがって、正答は 2と4 です。
解説
X線透視では、連続透視よりもパルス透視を用いることで、X線が出ている時間を短くできます。
X線を常に出し続けるのではなく、短いパルス状に照射することで、患者被ばくを低減できます。
また、透視撮影装置では、X線管装置とX線受像器が向かい合うように配置されます。
Cアーム装置や透視台では、観察方向を変えてもX線管と受像器の位置関係が保たれるように、両者が連動して移動します。
一方、I.I.〈イメージインテンシファイア〉は、構造上、画像歪を生じやすい装置です。
FPD〈フラットパネルディテクタ〉はI.I.に比べて画像歪が少ない特徴があります。
また、イメージングプレートはCRで用いられるもので、リアルタイム透視には適していません。
FPDでは、X線を検出するために直接変換方式または間接変換方式の変換層を用います。
選択肢の確認
1.I.I.の方がFPDより画像歪が小さい。
誤りです。
I.I.では、入力面や電子レンズ系の影響により、糸巻き歪やS字歪などの画像歪が生じやすくなります。
FPDは平面検出器であり、I.I.より画像歪が少ないのが特徴です。
2.パルス照射によって被ばくを低減できる。
正しいです。
パルス透視では、X線を連続的に照射するのではなく、短い時間だけ断続的に照射します。
照射時間を減らせるため、患者被ばく低減に有効です。
3.イメージングプレートを用いた方式がある。
誤りです。
イメージングプレートはCR装置で用いられる記録媒体です。
CRでは撮影後に読み取りを行うため、リアルタイム透視には適していません。
X線透視撮影装置では、I.I.やFPDなどが用いられます。
4.X線管装置とX線受像器が連動して移動する。
正しいです。
透視撮影装置では、X線管装置と受像器が対向関係を保ちながら移動します。
Cアーム装置などでは、観察方向を変えてもX線管と受像器が連動して動きます。
5.FPD方式ではX線を検出する変換層を用いない。
誤りです。
FPDではX線を電気信号に変換するための変換層を用います。
直接変換方式ではアモルファスセレンなど、間接変換方式ではシンチレータなどを使用します。
したがって「変換層を用いない」は誤りです。
覚えるポイント
X線透視撮影装置は、次のように整理します。
- パルス透視:被ばく低減に有効
- I.I.:画像歪が生じやすい
- FPD:画像歪が少ない
- FPD:X線検出のための変換層を用いる
- CRのイメージングプレート:リアルタイム透視には不向き
- X線管と受像器:連動して移動する構造がある
この問題は2つ選ぶ問題です。
正しい選択肢は、
2.パルス照射によって被ばくを低減できる。
4.X線管装置とX線受像器が連動して移動する。
です。
78PM79問題・解答・解説
問題文
歯科用X 線装置で正しいのはどれか。
選択肢
1.口内法撮影用X 線装置は可動絞り装置がついている。
2.口内法撮影用X 線装置のX 線管は回転陽極管である。
3.歯科用コーンビームCT 装置は視野サイズの変更ができない。
4.パノラマX 線撮影装置は歯列弓に合わせた画像を取得できる。
5.歯科用コーンビームCT 装置は全身用CT 装置に比べ被ばく量が多い。
答え
4.パノラマX 線撮影装置は歯列弓に合わせた画像を取得できる。
解説
正答
4.パノラマX線撮影装置は歯列弓に合わせた画像を取得できる。
この問題のポイント
歯科用X線装置の種類と特徴を問う問題です。
歯科領域では、主に次のような装置が使われます。
- 口内法撮影用X線装置
- パノラマX線撮影装置
- 歯科用コーンビームCT〈CBCT〉装置
この中で、パノラマX線撮影装置は、歯列弓に沿ってX線管と受像器を移動させ、上下顎や歯列を一枚の展開画像として描出します。
したがって、正しい選択肢は
4.パノラマX線撮影装置は歯列弓に合わせた画像を取得できる。
です。
解説
パノラマX線撮影では、X線管と受像器が患者の周囲を回転しながら撮影します。
このとき、焦点域が歯列弓に沿うように設計されているため、上下の歯列や顎骨を広く観察できます。
一方、口内法撮影用X線装置は、歯や歯周組織を局所的に撮影する装置です。
一般に小型で、回転陽極管ではなく固定陽極管が用いられます。
歯科用CBCTは、円錐状のX線ビームを用いて顎顔面領域の三次元画像を取得する装置です。
視野サイズを変更できる装置があり、全身用CTよりも撮影範囲を限定しやすいため、一般に被ばくを抑えやすい特徴があります。
選択肢の確認
1.口内法撮影用X線装置は可動絞り装置がついている。
誤りです。
口内法撮影用X線装置では、照射筒や固定絞りによって照射野を制限します。
一般撮影装置のような可動絞り装置がついている、という説明は不適切です。
2.口内法撮影用X線装置のX線管は回転陽極管である。
誤りです。
口内法撮影用X線装置は小容量の装置であり、通常は固定陽極X線管が用いられます。
回転陽極管は、より大きな熱容量が必要な一般撮影装置などで用いられます。
3.歯科用コーンビームCT装置は視野サイズの変更ができない。
誤りです。
歯科用CBCTでは、検査目的に応じて視野サイズを選択できる装置があります。
小視野で必要範囲だけ撮影することで、被ばく低減にもつながります。
4.パノラマX線撮影装置は歯列弓に合わせた画像を取得できる。
正しいです。
パノラマX線撮影装置は、歯列弓に沿った焦点域を利用し、上下顎や歯列を一枚の画像として取得します。
これが本問の正答です。
5.歯科用コーンビームCT装置は全身用CT装置に比べ被ばく量が多い。
誤りです。
歯科用CBCTは顎顔面領域など限られた範囲を撮影するため、一般に全身用CTより被ばく量を抑えられることが多いです。
撮影条件や視野サイズによって線量は変わりますが、「全身用CTより多い」とするのは不適切です。
覚えるポイント
歯科用X線装置は、用途で整理します。
- 口内法撮影:歯や歯周組織を局所的に撮影
- 口内法撮影用X線管:固定陽極管が一般的
- パノラマ撮影:歯列弓に沿った広い展開画像を取得
- 歯科用CBCT:顎顔面領域の三次元画像を取得
- 歯科用CBCT:視野サイズを選択できる装置がある
この問題では、パノラマX線撮影装置の特徴を述べた
4.パノラマX線撮影装置は歯列弓に合わせた画像を取得できる。
が正答です。
78PM80問題・解答・解説
問題文
マルチスライスCT で正しいのはどれか。
選択肢
1.画像再構成法に90 度線形補間法がある。
2.多列化した検出器からのデータ処理をする。
3.コーン角が大きくなるほど散乱線が減少する。
4.体軸方向のZ 軸補間は実効スライス厚に影響しない。
5.リングアーチファクトはFeldkamp〈フェルドカンプ〉法で補正できる。
答え
2.多列化した検出器からのデータ処理をする。
解説
正答
2.多列化した検出器からのデータ処理をする。
この問題のポイント
マルチスライスCT〈MDCT〉の基本構造と画像再構成の特徴を問う問題です。
マルチスライスCTでは、体軸方向、つまりZ軸方向に複数列の検出器が並んでいます。
この多列検出器から同時にデータを取得し、複数断面や広範囲の画像を高速に再構成します。
したがって、正しい選択肢は
2.多列化した検出器からのデータ処理をする。
です。
解説
マルチスライスCTは、従来のシングルスライスCTと異なり、体軸方向に複数列の検出器を備えています。
これにより、
- 1回転で複数スライス分のデータを取得できる
- 広範囲を短時間で撮影できる
- 薄いスライス厚で撮影しやすい
- 三次元画像処理に適したボリュームデータを得やすい
という利点があります。
ただし、検出器が多列化すると、X線ビームは体軸方向に広がり、コーンビーム状になります。
そのため、コーン角が大きい場合には、コーンビームアーチファクトや散乱線の影響を考慮する必要があります。
選択肢の確認
1.画像再構成法に90度線形補間法がある。
誤りです。
ヘリカルCTの補間では、180度補間法や360度補間法などが重要です。
マルチスライスCTの代表的な画像再構成法として「90度線形補間法」を選ぶのは不適切です。
2.多列化した検出器からのデータ処理をする。
正しいです。
マルチスライスCTでは、体軸方向に多列化した検出器から同時にデータを取得します。
そのデータを処理して、複数スライスや三次元画像を再構成します。
これが本問の正答です。
3.コーン角が大きくなるほど散乱線が減少する。
誤りです。
コーン角が大きくなると、X線ビームの体軸方向の広がりが大きくなります。
それにより散乱線やコーンビームアーチファクトの影響は問題になりやすくなります。
「散乱線が減少する」は誤りです。
4.体軸方向のZ軸補間は実効スライス厚に影響しない。
誤りです。
Z軸補間は、体軸方向のデータ位置を補う処理であり、スライス感度プロファイルや実効スライス厚に影響します。
したがって、影響しないとはいえません。
5.リングアーチファクトはFeldkamp〈フェルドカンプ〉法で補正できる。
誤りです。
Feldkamp法は、主にコーンビームCTの三次元再構成に関係する手法です。
リングアーチファクトは検出器素子の感度むらや校正不良などで起こるため、検出器補正や校正によって対応します。
覚えるポイント
マルチスライスCTの特徴は、次のように整理します。
- 体軸方向に多列検出器を持つ
- 1回転で複数スライスのデータを取得する
- 広範囲を高速撮影できる
- 薄いスライス厚でボリュームデータを得やすい
- Z軸補間は実効スライス厚に影響する
- コーン角が大きいとコーンビームアーチファクトや散乱線が問題になりやすい
この問題では、マルチスライスCTの基本である多列検出器のデータ処理を述べた
2.多列化した検出器からのデータ処理をする。
が正答です。
78PM81問題・解答・解説
問題文
現在用いられているdual energy CT の収集方式で誤っているのはどれか。
選択肢
1.ビーム分割方式
2.二層検出器方式
3.高速管電圧変調方式
4.translate rotate 方式
5.dual source MDCT 収集方式
答え
4.translate rotate 方式
解説
正答
4.translate rotate方式
この問題のポイント
dual energy CT〈DECT〉の収集方式を問う問題です。
問題文は「誤っているのはどれか」と聞いています。
つまり、現在用いられているdual energy CTの収集方式ではないものを選びます。
dual energy CTでは、異なる2種類のX線エネルギー情報を利用して、物質弁別や仮想単色X線画像などを作成します。
現在用いられる代表的な方式には、次のようなものがあります。
- dual source MDCT収集方式
- 高速管電圧変調方式
- 二層検出器方式
- ビーム分割方式
一方、translate rotate方式は、初期世代CTの機械的走査方式であり、現在のdual energy CTの収集方式ではありません。
したがって、正答は
4.translate rotate方式
です。
解説
dual energy CTは、低エネルギーX線と高エネルギーX線で得られる減弱情報の違いを利用します。
これにより、ヨード、カルシウム、尿酸結石などの物質弁別や、仮想非造影画像、仮想単色X線画像の作成が可能になります。
2種類のエネルギーデータを得る方法には複数あります。
dual source方式では、2組のX線管と検出器を使って異なる管電圧で撮影します。
高速管電圧変調方式では、1本のX線管の管電圧を高速に切り替えます。
二層検出器方式では、検出器の浅い層と深い層で異なるエネルギー成分を分離します。
ビーム分割方式では、フィルタなどを用いてX線ビームを異なるスペクトルに分けます。
translate rotate方式は、X線管と検出器が並進移動し、その後回転する初期のCT走査方式です。
dual energy CTの収集方式とは別の概念です。
選択肢の確認
1.ビーム分割方式
誤りではありません。
ビーム分割方式は、X線ビームを異なるエネルギースペクトルに分けて収集するdual energy CTの方式です。
現在用いられる方式に含まれます。
2.二層検出器方式
誤りではありません。
二層検出器方式では、検出器を2層構造にして、低エネルギー成分と高エネルギー成分を分離します。
dual energy CTの方式の一つです。
3.高速管電圧変調方式
誤りではありません。
高速管電圧変調方式では、管電圧を高速に切り替えて、低管電圧データと高管電圧データを取得します。
dual energy CTの方式として用いられます。
4.translate rotate方式
これが誤りです。
translate rotate方式は、初期世代CTの走査方式です。
現在用いられているdual energy CTの収集方式ではありません。
問題文は「誤っているのはどれか」と問うているため、これが正答です。
5.dual source MDCT収集方式
誤りではありません。
dual source MDCTでは、2組のX線管と検出器を用いて異なるエネルギーのデータを収集します。
dual energy CTの代表的な方式です。
覚えるポイント
dual energy CTの方式は、2種類のエネルギーデータをどう得るかで整理します。
- dual source方式:X線管と検出器を2組使う
- 高速管電圧変調方式:管電圧を高速に切り替える
- 二層検出器方式:検出器内でエネルギーを分離する
- ビーム分割方式:X線ビームを異なるスペクトルに分ける
- translate rotate方式:初期世代CTの走査方式であり、DECT方式ではない
この問題では、dual energy CTの収集方式として誤っているものを選ぶため、正しい選択肢は
4.translate rotate方式
です。
78PM82問題・解答・解説
問題文
CT 像の三次元画像処理で正しいのはどれか。
選択肢
1.最大値投影法は最大ボクセル値を投影面に表示する。
2.仮想内視鏡は臓器外部に視点を置いた画像を表示する。
3.曲面任意多断面再構成法は任意の直線断面を抽出して表示する。
4.ボリュームレンダリング法は物体の表面だけを立体的に表示する。
5.表面表示法は閾値による表面情報だけでなく内部情報を含む画像を表示す
る。
答え
1.最大値投影法は最大ボクセル値を投影面に表示する。
解説
正答
1.最大値投影法は最大ボクセル値を投影面に表示する。
この問題のポイント
CT画像の三次元画像処理法の特徴を問う問題です。
CTの三次元画像処理には、代表的に次のような方法があります。
- MIP〈最大値投影法〉
- MinIP〈最小値投影法〉
- MPR〈多断面再構成〉
- CPR〈曲面任意多断面再構成〉
- VR〈ボリュームレンダリング〉
- SSD〈表面表示法〉
- 仮想内視鏡
この問題では、最大値投影法〈MIP〉の説明が正しいです。
解説
最大値投影法〈MIP〉は、視線方向に並んだボクセルの中から、最も高いCT値を投影面に表示する方法です。
高いCT値を持つ構造が強調されるため、
- 造影血管
- 骨
- 石灰化
- 高吸収構造
などの表示に有用です。
一方、仮想内視鏡は臓器内腔に視点を置いた画像を表示します。
ボリュームレンダリング法は、表面だけでなく内部情報も含め、各ボクセルに色や不透明度を与えて立体表示します。
表面表示法は、しきい値で抽出した表面だけを立体表示します。
選択肢の確認
1.最大値投影法は最大ボクセル値を投影面に表示する。
正しいです。
MIPでは、投影線上にあるボクセルのうち最大値を示すものを投影面に表示します。
血管や骨など高吸収構造の表示に適しています。
これが本問の正答です。
2.仮想内視鏡は臓器外部に視点を置いた画像を表示する。
誤りです。
仮想内視鏡は、気管、大腸、血管などの内腔側に視点を置いて、内視鏡で見たような画像を作る方法です。
臓器外部に視点を置くわけではありません。
3.曲面任意多断面再構成法は任意の直線断面を抽出して表示する。
誤りです。
曲面任意多断面再構成法〈CPR〉は、血管や胆管、歯列などの曲がった構造に沿って曲面を設定し、その断面を展開表示する方法です。
任意の直線断面を表示するのは、通常のMPRです。
4.ボリュームレンダリング法は物体の表面だけを立体的に表示する。
誤りです。
ボリュームレンダリング法〈VR〉は、各ボクセルのCT値に色や透明度を割り当て、内部情報も含めて立体的に表示します。
表面だけを表示する方法ではありません。
5.表面表示法は閾値による表面情報だけでなく内部情報を含む画像を表示する。
誤りです。
表面表示法〈SSD〉は、しきい値で抽出した物体の表面を立体表示する方法です。
内部情報を含めて表示するのはボリュームレンダリング法です。
覚えるポイント
CT三次元画像処理は、方法ごとの特徴で覚えます。
- MIP:最大CT値を投影する
- MinIP:最小CT値を投影する
- MPR:任意断面を再構成する
- CPR:曲がった構造に沿って展開する
- VR:内部情報も含めて立体表示する
- SSD:しきい値で表面だけを表示する
- 仮想内視鏡:内腔に視点を置く
この問題では、MIPの説明として正しい
1.最大値投影法は最大ボクセル値を投影面に表示する。
が正答です。
78PM83問題・解答・解説
問題文
X 線撮影で異なる構造物がX 線の進行方向に重なってしまい1 つの像として写
る現象はどれか。
選択肢
1.接線効果
2.重積効果
3.ヒール効果
4.部分容積効果
5.Groedel〈グレーデル〉効果
答え
2.重積効果
解説
正答
2.重積効果
この問題のポイント
X線撮影は、立体的な人体を2次元画像として投影する検査です。
そのため、X線の進行方向に複数の構造物が並んでいると、それらが画像上で重なって写ります。
このように、異なる構造物が重なり合って1つの像のように見える現象を 重積効果 といいます。
したがって、正しい選択肢は
2.重積効果
です。
解説
X線撮影では、X線が体を通過し、その透過量の違いが検出器に記録されます。
このとき、体の奥行き方向の情報は1枚の画像上にまとめられます。
つまり、X線の通り道にある骨、血管、臓器、病変などが、検出器上では同じ位置に重なって投影されることがあります。
これが重積効果です。
たとえば胸部X線写真では、
- 肋骨と肺野が重なる
- 心陰影と肺血管が重なる
- 鎖骨と肺尖部が重なる
- 横隔膜と腹部臓器が重なる
といったことが起こります。
X線写真を読むときには、「画像上で重なって見えているだけなのか」「本当にその場所に病変があるのか」を考えることが大切です。
選択肢の確認
1.接線効果
誤りです。
接線効果は、X線が構造物の辺縁に接するように通過したとき、その辺縁が強調されて見える現象です。
曲面や管腔構造の輪郭がはっきり見える場合に関係します。
構造物が重なって1つの像として写る現象ではありません。
2.重積効果
正しいです。
異なる構造物がX線の進行方向に重なり、画像上で1つの像のように写る現象です。
X線撮影が投影画像であることによって起こります。
3.ヒール効果
誤りです。
ヒール効果は、X線管の陽極側と陰極側でX線強度が異なる現象です。
陽極側ではターゲット内でX線が吸収されやすく、X線強度が弱くなります。
構造物の重なりを表す用語ではありません。
4.部分容積効果
誤りです。
部分容積効果は、主にCTやMRIなどで、1つの画素またはボクセル内に複数の組織が含まれ、その平均値として表示される現象です。
X線撮影で奥行き方向の構造が重なる現象とは異なります。
5.Groedel〈グレーデル〉効果
誤りです。
グレーデル効果は、被写体と検出器の距離を離すことで散乱線が検出器に到達しにくくなる現象です。
いわゆるエアギャップ法による散乱線低減に関係します。
構造物が重なって写る現象ではありません。
覚えるポイント
X線撮影の用語は、現象ごとに整理します。
- 重積効果:異なる構造物が重なって写る
- 接線効果:辺縁に接するX線で輪郭が強調される
- ヒール効果:陽極側と陰極側でX線強度が異なる
- 部分容積効果:1画素・1ボクセル内の複数組織が平均化される
- グレーデル効果:被写体・検出器間距離を広げて散乱線を減らす
この問題では、X線の進行方向に複数の構造物が重なって1つの像として写る現象を問うているため、正しい選択肢は
2.重積効果
です。
78PM84問題・解答・解説
問題文
X 線撮影において患者の被ばく低減に効果があるのはどれか。
ただし、他の条件は一定とする。
選択肢
1.mAs 値を上げる。
2.管電圧を低くする。
3.グリッドを使用する。
4.付加フィルタを使用する。
5.X 線管焦点から被検者までの距離を短くする。
答え
4.付加フィルタを使用する。
解説
正答
4.付加フィルタを使用する。
この問題のポイント
X線撮影で患者被ばくを減らす方法を問う問題です。
患者被ばくを減らすには、画像形成にあまり役立たないX線をできるだけ取り除くことが重要です。
特に、低エネルギーX線は体内で吸収されやすく、検出器まで届きにくいため、画像形成への寄与が小さい一方で皮膚線量を増やします。
この低エネルギー成分を除去するのが 付加フィルタ です。
したがって、被ばく低減に効果があるのは
4.付加フィルタを使用する。
です。
解説
X線管から出るX線には、さまざまなエネルギーのX線が含まれています。
そのうち低エネルギーのX線は、患者の体表付近で吸収されやすく、検出器まで届きにくいです。
つまり、画像を作る役割は小さいのに、患者の皮膚線量を増やしてしまいます。
付加フィルタを使用すると、この低エネルギー成分が除去されます。
その結果、X線ビームは硬化し、不要な皮膚被ばくを減らすことができます。
これを線質の硬化といいます。
選択肢の確認
1.mAs値を上げる。
誤りです。
mAs値を上げると、X線量が増えます。
そのため、画像濃度や信号量は増えますが、患者被ばくも増加します。
被ばく低減にはなりません。
2.管電圧を低くする。
誤りです。
管電圧を低くすると、X線の透過力が低下します。
低エネルギー成分が増え、体内で吸収されやすくなるため、被ばく低減としては不適切です。
また、同じ画像濃度を保とうとするとmAsを増やす必要があり、被ばくが増えることがあります。
3.グリッドを使用する。
誤りです。
グリッドは散乱線を除去し、画像コントラストを改善するために使います。
しかし、グリッドは一次X線も一部吸収するため、同じ画像濃度を得るにはmAsを増やす必要があります。
その結果、患者被ばくは増加しやすくなります。
4.付加フィルタを使用する。
正しいです。
付加フィルタは、画像形成に寄与しにくい低エネルギーX線を除去します。
皮膚で吸収される不要なX線を減らせるため、患者被ばく低減に有効です。
5.X線管焦点から被検者までの距離を短くする。
誤りです。
X線管焦点から被検者までの距離を短くすると、逆二乗則により被検者に届くX線強度が増加します。
そのため、患者被ばくは増えやすくなります。
被ばく低減には距離を短くするのではなく、適切に距離を確保することが重要です。
覚えるポイント
患者被ばく低減の基本は、不要なX線を減らすことです。
- mAsを下げる:線量を減らす
- 適切に管電圧を設定する:透過性と線量のバランスを取る
- 付加フィルタを使う:低エネルギーX線を除去する
- 不要なグリッド使用を避ける:線量増加を防ぐ
- 適切な撮影距離を保つ:過剰な入射線量を避ける
この問題では、他の条件を一定としたとき、患者被ばく低減に最も直接有効なのは
4.付加フィルタを使用する。
です。
78PM85問題・解答・解説
問題文
乳房CC 方向撮影で正しいのはどれか。
選択肢
1.圧迫圧は50 N 程度とする。
2.管電圧は圧迫乳房厚に反比例する。
3.自動露出制御〈AEC〉は使用しない。
4.外側上部がブラインドエリアになりやすい。
5.乳房支持台の角度を被検者の大胸筋と平行に合わせる。
答え
4.外側上部がブラインドエリアになりやすい。
解説
正答
4.外側上部がブラインドエリアになりやすい。
この問題のポイント
乳房撮影のCC方向、つまり頭尾方向撮影の特徴を問う問題です。
CC方向撮影では、乳房を上下方向から圧迫して撮影します。
乳房全体をできるだけ検出器上に引き出すことが重要ですが、外側上部は入りにくく、ブラインドエリアになりやすい部位です。
したがって、正しい選択肢は
4.外側上部がブラインドエリアになりやすい。
です。
解説
乳房撮影では、主にCC方向撮影とMLO方向撮影を組み合わせて評価します。
CC方向撮影では、乳房を頭尾方向、つまり上から下へ圧迫して撮影します。
乳頭が正面を向き、内側・外側の乳腺ができるだけ左右対称に入るようにポジショニングします。
しかし、CC方向撮影では乳房の外側上部、特に腋窩に近い領域が画像に入りにくくなります。
この部分はブラインドエリアになりやすいため、乳房を十分に前方へ引き出し、外側組織をできるだけ含めることが大切です。
一方、MLO方向撮影では、大胸筋を含めるために乳房支持台の角度を被検者の大胸筋走行に合わせます。
これはCC方向撮影ではなくMLO方向撮影のポイントです。
選択肢の確認
1.圧迫圧は50 N程度とする。
誤りです。
乳房撮影では、画質向上と被ばく低減のために適切な圧迫が必要です。
50 N程度では一般に十分な圧迫とはいえません。
圧迫は患者の疼痛や乳房状態を確認しながら、適切な範囲で行います。
2.管電圧は圧迫乳房厚に反比例する。
誤りです。
圧迫乳房厚が厚くなるほど、X線の透過力が必要になります。
そのため、管電圧は乳房厚や乳腺濃度に応じて調整されますが、反比例するわけではありません。
一般に厚い乳房では管電圧を高めに設定します。
3.自動露出制御〈AEC〉は使用しない。
誤りです。
乳房撮影では、適正な画像濃度を得るためにAECを使用することが一般的です。
乳房厚や乳腺量に応じて適切な露出を得るために重要です。
4.外側上部がブラインドエリアになりやすい。
正しいです。
CC方向撮影では、外側上部や腋窩寄りの乳腺が画像に入りにくいことがあります。
そのため、外側乳腺を十分に引き出すポジショニングが重要です。
5.乳房支持台の角度を被検者の大胸筋と平行に合わせる。
誤りです。
これはMLO方向撮影の説明です。
MLO撮影では大胸筋を含めるため、乳房支持台の角度を大胸筋の走行に合わせます。
CC方向撮影の説明としては不適切です。
覚えるポイント
乳房撮影は、CCとMLOの違いを整理して覚えます。
CC方向撮影
- 頭尾方向に圧迫する
- 乳房を前方へ十分に引き出す
- 外側上部がブラインドエリアになりやすい
- 乳頭を正面に向ける
MLO方向撮影
- 斜位方向に圧迫する
- 大胸筋を含める
- 乳房支持台の角度を大胸筋に合わせる
- 腋窩尾部の描出に重要
この問題では、乳房CC方向撮影で正しい特徴を問うているため、正しい選択肢は
4.外側上部がブラインドエリアになりやすい。
です。
78PM86問題・解答・解説
問題文
立位胸部X 線写真と比較して、仰臥位ポータブル胸部X 線写真の特徴で正しい
のはどれか。
選択肢
1.胃泡が明瞭になる。
2.心陰影が縮小する。
3.肺尖部が広く描出される。
4.肺野への肩甲骨の重なりが減少する。
5.心陰影に重なる肺血管の描出が不良になる。
答え
5.心陰影に重なる肺血管の描出が不良になる。
解説
正答
5.心陰影に重なる肺血管の描出が不良になる。
この問題のポイント
立位胸部X線写真と、仰臥位ポータブル胸部X線写真の違いを問う問題です。
仰臥位ポータブル胸部X線写真では、通常、立位PA撮影とは異なり、ベッド上でAP方向に撮影します。
そのため、
- 心陰影が拡大して見えやすい
- 吸気が不十分になりやすい
- 肩甲骨が肺野に重なりやすい
- 胃泡が明瞭に見えにくい
- 心陰影や縦隔に重なる肺血管の描出が悪くなりやすい
といった特徴があります。
したがって、正しい選択肢は
5.心陰影に重なる肺血管の描出が不良になる。
です。
解説
立位胸部X線写真では、通常PA方向で撮影します。
患者は立位で十分に吸気し、肩甲骨を肺野の外へ逃がすようにポジショニングします。
また、胸部と検出器を近づけ、焦点・検出器間距離を十分にとることで、心臓の拡大を抑えた画像が得られます。
一方、仰臥位ポータブル撮影では、患者がベッド上に寝たまま撮影されることが多く、AP方向撮影になります。
AP方向では心臓が検出器から離れやすく、拡大して写ります。
また、十分な吸気が得られにくく、肩甲骨や軟部組織の重なりも増えやすくなります。
このような理由から、心陰影と重なる肺血管や後心臓部の肺野は見えにくくなります。
選択肢の確認
1.胃泡が明瞭になる。
誤りです。
立位では胃内の空気が上方に集まり、左横隔膜下に胃泡として見えやすくなります。
仰臥位では空気の分布が変わり、胃泡は立位ほど明瞭になりにくいです。
2.心陰影が縮小する。
誤りです。
仰臥位ポータブル撮影は多くの場合AP方向です。
AP撮影では心臓が検出器から離れやすく、拡大して見えます。
したがって、心陰影は縮小ではなく拡大して見えやすくなります。
3.肺尖部が広く描出される。
誤りです。
仰臥位ポータブル撮影では、ポジショニングや肩・鎖骨の重なりの影響を受けやすく、肺尖部が特に広く明瞭に描出されるとはいえません。
立位PA撮影の方が標準的で観察しやすい画像が得られます。
4.肺野への肩甲骨の重なりが減少する。
誤りです。
立位PA撮影では、肩を前方に出して肩甲骨を肺野外へ逃がすことができます。
一方、仰臥位ポータブル撮影では体位の制限があり、肩甲骨が肺野に重なりやすくなります。
したがって、重なりは減少ではなく増加しやすいです。
5.心陰影に重なる肺血管の描出が不良になる。
正しいです。
仰臥位ポータブル撮影では、AP撮影による心陰影の拡大、吸気不十分、体位による血管影や軟部組織の重なりにより、心陰影に重なる肺血管や後心臓部の描出が不良になりやすいです。
これが本問の正答です。
覚えるポイント
仰臥位ポータブル胸部X線写真の特徴は、立位PA撮影と比較して覚えます。
- AP方向になりやすい
- 心陰影が拡大して見えやすい
- 吸気不十分になりやすい
- 肩甲骨が肺野に重なりやすい
- 胃泡は立位ほど明瞭ではない
- 心陰影に重なる肺血管の描出が不良になりやすい
この問題では、仰臥位ポータブル胸部X線写真の特徴として正しいものを選ぶため、正しい選択肢は
5.心陰影に重なる肺血管の描出が不良になる。
です。
78PM87問題・解答・解説
問題文
頸椎斜位撮影で正しいのはどれか。
選択肢
1.顎を引かせる。
2.撮影距離を50 cm にする。
3.非検側の肩を検出器面に密着させる。
4.検出器面に対して前額面を20 °にする。
5.中心X 線は水平面から尾頭方向30 °で入射する。
答え
3.非検側の肩を検出器面に密着させる。
解説
正答
3.非検側の肩を検出器面に密着させる。
この問題のポイント
頸椎斜位撮影は、頸椎の椎間孔を観察するための撮影です。
頸椎の椎間孔は、正面像や側面像だけでは重なりが多く、十分に観察しにくいことがあります。
そこで、体を斜位にして、左右どちらかの椎間孔が開いて見えるようにします。
このとき、検側と非検側の関係、体の斜位角、中心X線の入射角が重要です。
本問では、頸椎斜位撮影の体位として正しい
「非検側の肩を検出器面に密着させる」
が正答です。
解説
頸椎斜位撮影では、頸椎の椎間孔を描出するために、体を斜めにします。
標準的には、前額面を検出器面に対して約45°斜位にします。
この角度により、椎体や椎弓の重なりを避け、椎間孔を観察しやすくします。
また、頸椎撮影では拡大を抑えるため、撮影距離は短くしすぎません。
50 cmのような短い撮影距離は不適切です。
顎は引きすぎると下顎骨が上位頸椎に重なりやすくなります。
頸椎全体を観察しやすくするには、下顎が頸椎に重ならないように頭部を調整します。
中心X線は、撮影法に応じて頭尾方向または尾頭方向に角度をつけますが、30°は大きすぎます。
頸椎斜位撮影で一般的に用いられる角度は、約15〜20°程度です。
選択肢の確認
1.顎を引かせる。
誤りです。
顎を強く引くと、下顎骨が上位頸椎に重なりやすくなります。
頸椎斜位撮影では、下顎骨と後頭骨が頸椎に重ならないように頭部を調整することが重要です。
したがって、「顎を引かせる」は不適切です。
2.撮影距離を50 cmにする。
誤りです。
頸椎撮影では、拡大やボケを抑えるために、十分な撮影距離をとります。
50 cmは短すぎます。
頸椎撮影では、一般により長い撮影距離が用いられます。
3.非検側の肩を検出器面に密着させる。
正しいです。
頸椎斜位撮影では、椎間孔を開いて描出するために、体位を斜位にします。
本問では、非検側の肩を検出器面に密着させる体位が正しいと判断します。
これが本問の正答です。
4.検出器面に対して前額面を20°にする。
誤りです。
頸椎斜位撮影では、前額面を検出器面に対して約45°とするのが基本です。
20°では斜位角が不十分で、椎間孔が十分に開いて描出されにくくなります。
5.中心X線は水平面から尾頭方向30°で入射する。
誤りです。
頸椎斜位撮影では中心X線に角度をつけますが、30°は大きすぎます。
一般には約15〜20°程度の入射角を用います。
したがって、30°で入射するという記述は不適切です。
覚えるポイント
頸椎斜位撮影では、次の点を整理して覚えます。
- 目的:頸椎椎間孔の描出
- 体位:斜位で撮影する
- 斜位角:おおよそ45°
- 顎:下顎骨が頸椎に重ならないように調整する
- 撮影距離:短すぎる距離は不適切
- 中心X線角度:約15〜20°程度を用いる
- 本問の正答:非検側の肩を検出器面に密着させる
この問題では、頸椎斜位撮影の体位として正しいものを問うているため、正しい選択肢は
3.非検側の肩を検出器面に密着させる。
です。
78PM88問題・解答・解説
問題文
注腸造影検査で硫酸バリウム注入後に空気を注入する目的はどれか。
選択肢
1.直腸の運動を促すため。
2.粘膜面を描出するため。
3.腸管内のpH を調整するため。
4.検査後の排便を促進するため。
5.硫酸バリウムを希釈するため。
答え
2.粘膜面を描出するため。
解説
正答
2.粘膜面を描出するため。
この問題のポイント
注腸造影検査、特に二重造影法で、硫酸バリウムの後に空気を入れる目的を問う問題です。
二重造影では、
- 硫酸バリウム:大腸粘膜の表面に薄く付着させる
- 空気:腸管を膨らませる
という役割があります。
バリウムで粘膜面を薄くコーティングし、空気で腸管を拡張することで、粘膜の凹凸や病変を観察しやすくします。
したがって、空気を注入する目的は
粘膜面を描出するため
です。
解説
注腸造影検査では、大腸の形態や粘膜面の異常を調べます。
硫酸バリウムだけを多量に入れると、腸管内がバリウムで満たされ、腸管の全体像は見えますが、細かい粘膜面の観察には不十分なことがあります。
そこで、二重造影法では、まず硫酸バリウムを注入して大腸粘膜に薄く付着させます。
その後、空気を注入して腸管を拡張します。
これにより、粘膜面に薄く付着したバリウムと、腸管内の空気とのコントラストが生じます。
その結果、粘膜のひだ、ポリープ、陥凹性病変、腫瘍による粘膜変化などを描出しやすくなります。
選択肢の確認
1.直腸の運動を促すため。
誤りです。
空気注入の主目的は、直腸や大腸の運動を促すことではありません。
むしろ、検査中は腸管を適度に拡張して、粘膜面を観察しやすくすることが重要です。
2.粘膜面を描出するため。
正しいです。
硫酸バリウムを粘膜面に薄く付着させ、空気で腸管を拡張することで、粘膜面を詳しく描出できます。
これが二重造影法の基本です。
3.腸管内のpHを調整するため。
誤りです。
空気注入は、腸管内のpHを調整するために行うものではありません。
造影検査での空気の役割は、腸管拡張とコントラスト形成です。
4.検査後の排便を促進するため。
誤りです。
検査後はバリウム排泄のために水分摂取などが重要ですが、検査中の空気注入は排便促進を目的とするものではありません。
5.硫酸バリウムを希釈するため。
誤りです。
空気は硫酸バリウムを希釈するために注入するのではありません。
バリウムは粘膜面に薄く付着させ、空気は腸管を拡張するために用います。
覚えるポイント
注腸二重造影は、次のように覚えます。
- バリウム:粘膜面を薄くコーティングする
- 空気:腸管を拡張する
- 目的:粘膜面の凹凸や病変を見やすくする
- 観察対象:ポリープ、腫瘍、潰瘍、粘膜ひだなど
この問題では、硫酸バリウム注入後に空気を注入する目的を問うているため、正しい選択肢は
2.粘膜面を描出するため。
です。
78PM89問題・解答・解説
問題文
骨塩定量検査で大腿骨頸部を測定部位とするのはどれか。
選択肢
1.定量的CT〈QCT〉法
2.定量的超音波〈QUS〉法
3.X 線写真濃度測定〈RA〉法
4.単一エネルギーX 線吸収測定〈SXA〉法
5.二重エネルギーX 線吸収測定〈DXA〉法
答え
5.二重エネルギーX 線吸収測定〈DXA〉法
解説
正答
5.二重エネルギーX線吸収測定〈DXA〉法
この問題のポイント
骨塩定量検査の測定法と、代表的な測定部位を対応させる問題です。
大腿骨頸部は、骨粗鬆症や大腿骨近位部骨折リスクの評価で重要な部位です。
この大腿骨頸部や腰椎の骨密度評価に標準的に用いられるのが DXA法 です。
したがって、正しい選択肢は
5.二重エネルギーX線吸収測定〈DXA〉法
です。
解説
DXA法は、Dual-energy X-ray Absorptiometry の略です。
2種類の異なるエネルギーのX線を用いて、骨と軟部組織の吸収差を利用し、骨密度を測定します。
DXA法は、骨粗鬆症診断で最も標準的に用いられる骨密度測定法です。
代表的な測定部位は、
- 腰椎
- 大腿骨近位部
- 大腿骨頸部
です。
特に大腿骨頸部は、高齢者で問題となる大腿骨近位部骨折のリスク評価に重要です。
各検査法の代表的な測定部位
骨塩定量検査には複数の方法があります。
DXA法
二重エネルギーX線を用いる方法です。
腰椎や大腿骨頸部など、骨粗鬆症診断で重要な部位を測定します。
QUS法
超音波を用いる方法です。
代表的には踵骨で測定します。
X線被ばくがない点が特徴ですが、大腿骨頸部を標準測定部位とする検査ではありません。
RA法
X線写真濃度測定法です。
手部X線写真などを用いて、中手骨などの骨量を評価します。
大腿骨頸部の測定法ではありません。
SXA法
単一エネルギーX線吸収測定法です。
主に橈骨や踵骨など末梢骨の測定に用いられます。
大腿骨頸部の標準的測定法ではありません。
QCT法
CTを用いて骨密度を評価する方法です。
腰椎などの海綿骨評価に用いられることがあります。
ただし、国家試験で大腿骨頸部を代表測定部位とする方法としてはDXA法を選びます。
選択肢の確認
1.定量的CT〈QCT〉法
誤りです。
QCT法はCTを用いて骨密度を評価する方法で、腰椎などの評価に用いられます。
大腿骨頸部の骨密度測定として標準的に問われる方法はDXA法です。
2.定量的超音波〈QUS〉法
誤りです。
QUS法は超音波を用いた骨評価法で、代表的な測定部位は踵骨です。
大腿骨頸部を測定する方法ではありません。
3.X線写真濃度測定〈RA〉法
誤りです。
RA法は手部X線写真などを用いて骨量を評価する方法です。
大腿骨頸部を測定部位とする方法ではありません。
4.単一エネルギーX線吸収測定〈SXA〉法
誤りです。
SXA法は単一エネルギーX線を用いる方法で、橈骨や踵骨など末梢骨の評価に用いられます。
大腿骨頸部を標準的に測定する方法ではありません。
5.二重エネルギーX線吸収測定〈DXA〉法
正しいです。
DXA法は腰椎や大腿骨頸部の骨密度測定に用いられる標準的な方法です。
骨粗鬆症診断や骨折リスク評価で重要です。
これが本問の正答です。
覚えるポイント
骨塩定量検査は、方法と測定部位をセットで覚えます。
- DXA法:腰椎、大腿骨頸部、大腿骨近位部
- QUS法:踵骨
- RA法:手部、中手骨
- SXA法:橈骨、踵骨など末梢骨
- QCT法:腰椎などのCT評価
この問題では、大腿骨頸部を測定部位とする骨塩定量検査を問うているため、正しい選択肢は
5.二重エネルギーX線吸収測定〈DXA〉法
です。
78PM90問題・解答・解説
問題文
骨盤部のX 線写真を別に示す。
正しい組合せはどれか。
選択肢
1.ア
仙腸関節
2.イ
閉鎖孔
3.ウ
坐 骨
4.エ
大転子
5.オ
Jacoby〈ヤコビー〉線
答え
2.イ
閉鎖孔
解説
正答
2.イ 閉鎖孔
この問題のポイント
骨盤正面X線写真で、矢印や線が示す解剖構造を読み取る問題です。
骨盤部では、次の構造を区別できることが重要です。
- 仙腸関節
- 閉鎖孔
- 坐骨
- 大転子
- Jacoby〈ヤコビー〉線
この画像では、イ の矢印が骨盤の下方にある大きな孔を示しています。
これは 閉鎖孔 です。
したがって、正しい組合せは
2.イ 閉鎖孔
です。
画像の見方
骨盤正面像では、左右の寛骨、仙骨、大腿骨近位部が描出されます。
ア
アの矢印は、腸骨翼の内側寄りを示しています。
仙腸関節は、仙骨と腸骨が接する関節で、仙骨の左右にある縦方向の関節裂隙として見えます。
アの位置は仙腸関節そのものではありません。
イ
イの矢印は、骨盤下部の大きな楕円形の孔を示しています。
これは 閉鎖孔 です。
閉鎖孔は、恥骨と坐骨に囲まれてできる大きな孔で、骨盤正面像で左右に描出されます。
この画像では、イがその閉鎖孔に一致します。
ウ
ウは、正中下方の恥骨結合付近を示しています。
坐骨は閉鎖孔の下方から後下方を構成する骨であり、ウの位置そのものではありません。
そのため、ウを坐骨とするのは不適切です。
エ
エの矢印は、大腿骨近位部の内側寄りにある小さな突出部付近を示しています。
大転子は大腿骨近位部の外側に大きく突出する部分です。
エの位置は大転子ではなく、小転子付近に相当するため、エを大転子とするのは誤りです。
オ
オの破線は、左右の腸骨付近を横に結ぶ線として描かれています。
Jacoby〈ヤコビー〉線は、左右の腸骨稜の最高点を結ぶ線です。
この画像のオは、腸骨稜の最高点を正確に結ぶ線としては示されていないため、Jacoby線とは判断しません。
選択肢の確認
1.ア 仙腸関節
誤りです。
仙腸関節は、仙骨と腸骨の間にある関節です。
アは仙腸関節そのものではなく、腸骨翼の領域を示しています。
2.イ 閉鎖孔
正しいです。
イは恥骨と坐骨に囲まれた大きな孔を示しています。
これは骨盤正面像で確認できる 閉鎖孔 です。
したがって、これが正答です。
3.ウ 坐骨
誤りです。
ウは正中の恥骨結合付近を示しています。
坐骨は閉鎖孔の下方から後下方に位置する骨であり、ウの位置とは一致しません。
4.エ 大転子
誤りです。
大転子は大腿骨近位部の外側にある大きな突出部です。
エは大腿骨の内側寄り、小転子付近を示しており、大転子ではありません。
5.オ Jacoby〈ヤコビー〉線
誤りです。
Jacoby線は左右の腸骨稜の最高点を結ぶ線です。
オの破線はその位置と一致しないため、Jacoby線とは判断しません。
覚えるポイント
骨盤正面像では、代表的な構造を位置で覚えます。
- 仙腸関節:仙骨と腸骨の間
- 閉鎖孔:恥骨と坐骨に囲まれる大きな孔
- 坐骨:閉鎖孔の下方から後下方を構成する骨
- 大転子:大腿骨近位部の外側の大きな突出
- 小転子:大腿骨近位部の内側寄りの小さな突出
- Jacoby線:左右の腸骨稜最高点を結ぶ線
この画像では、イが閉鎖孔を示しているため、正しい選択肢は
2.イ 閉鎖孔
です。
78PM91問題・解答・解説
問題文
頸部造影CT(動脈相)像を別に示す。
矢印で示すのはどれか。
選択肢
1.外頸動脈
2.総頸動脈
3.椎骨動脈
4.内頸動脈
5.鎖骨下動脈
答え
1.外頸動脈
解説
正答
1.外頸動脈
画像の見方
これは頸部造影CTの軸位断像です。CT画像では、画面左が患者の右側、画面右が患者の左側です。矢印は患者左側の頸動脈分岐部付近にある、造影された小円形の血管を示しています。
なぜ外頸動脈か
総頸動脈は頸部で二股に分かれ、内頸動脈と外頸動脈になります。
この断面では、矢印で示された血管は、同側の内頸動脈よりもやや前内側に位置しています。外頸動脈は頸部で顔面・頭皮・甲状腺などへ向かう枝を出す血管で、頸動脈分岐後は内頸動脈より前内側を走ることが多いです。
一方、内頸動脈は脳へ向かう血管で、頸部では枝を出さず、外頸動脈より後外側に位置することが多いです。したがって、矢印の血管は外頸動脈と判断します。
他の選択肢との区別
2.総頸動脈
総頸動脈は内頸動脈と外頸動脈に分かれる前の1本の太い血管です。この画像ではすでに分岐後のレベルで、矢印は分岐後の一方の血管を示しているため誤りです。
3.椎骨動脈
椎骨動脈は頸椎の横突孔内を上行する血管で、頸動脈より後方・外側、椎体の近くに見えます。矢印の位置は頸動脈分岐部付近であり、椎骨動脈ではありません。
4.内頸動脈
内頸動脈は外頸動脈より後外側を走り、頸部では枝を出しません。矢印の血管はより前内側にあり、外頸動脈の位置関係に合います。
5.鎖骨下動脈
鎖骨下動脈はもっと下方、鎖骨付近から上肢へ向かう太い血管です。この画像のような咽頭・頸動脈分岐部レベルでは通常該当しません。
覚えるポイント
頸動脈分岐後の軸位CTでは、
- 外頸動脈:前内側、枝を出す
- 内頸動脈:後外側、頸部では枝を出さない
と覚えると判別しやすいです。
本問では、矢印の血管が内頸動脈より前内側にあるため、外頸動脈が正答です。
78PM92問題・解答・解説
問題文
胸部造影CT 像を別に示す。
正しい組合せはどれか。
選択肢
1.ア
上行大動脈
2.イ
食 道
3.ウ
肺動脈
4.エ
上大静脈
5.オ
奇静脈
答え
1.ア
上行大動脈
解説
正答
1.ア 上行大動脈
画像の見方
これは胸部造影CTの軸位断像です。CT画像では、画面左が患者の右側、画面右が患者の左側になります。
この断面は縦隔上部〜気管分岐部付近のレベルで、中央に気管・主気管支の空気による黒い管腔が見え、その周囲に造影された大血管が白く描出されています。
各ラベルの確認
ア:上行大動脈
アは前縦隔寄りにある大きな円形の造影血管を示しています。
上行大動脈は胸部CT横断像で、心臓から出て前方・やや右寄りに位置する太い血管として見えます。したがって、ア=上行大動脈は正しい組合せです。
イ:食道ではない
イは中央の黒い空気を含む管腔、つまり気管〜主気管支付近を示しています。
食道は通常、気管の後方、椎体の前方付近に位置するため、イの位置とは異なります。
ウ:肺動脈ではない
ウは患者左側、椎体の左前方にある大きな造影血管を示しています。
この位置は下行大動脈に相当します。肺動脈は気管支や肺門部に近い位置を走るため、ウ=肺動脈ではありません。
エ:上大静脈ではない
エは患者右側で、気管の右後方〜上大静脈の後方付近にある小さめの造影血管を示しています。
この位置関係から、奇静脈に相当します。上大静脈はもっと前外側に位置するため、エ=上大静脈ではありません。
オ:奇静脈ではない
オは上行大動脈の右側、患者右前方にある造影血管を示しています。
この位置は上大静脈に相当します。したがって、オ=奇静脈ではありません。
選択肢の判定
1.ア 上行大動脈:正しい。
2.イ 食道:誤り。イは気管〜主気管支付近です。
3.ウ 肺動脈:誤り。ウは下行大動脈です。
4.エ 上大静脈:誤り。エは奇静脈に相当します。
5.オ 奇静脈:誤り。オは上大静脈です。
覚えるポイント
胸部造影CTの横断像では、
- 上行大動脈:前方、やや患者右側寄りに大きく見える
- 下行大動脈:椎体の左前方に見える
- 上大静脈:患者右前方、上行大動脈の右側に見える
- 奇静脈:気管右側〜上大静脈後方付近に見える
- 食道:気管の後方、椎体の前方に位置する
本問では、アが上行大動脈を示しているため、正答は 1 です。
78PM93問題・解答・解説
問題文
X 線による画像形成〈イメージングチェーン〉でデジタルシステムに特有の影響
因子はどれか。
選択肢
1.電気雑音
2.AEC 制御
3.幾何学的不鋭
4.グリッド露出係数
5.ビームハードニング
答え
1.電気雑音
解説
正答
1.電気雑音
問題のポイント
X線画像ができるまでの流れを「イメージングチェーン」といいます。
デジタルシステムでは、X線を検出したあとに電気信号へ変換し、読み出し回路やA/D変換などを通して画像データにします。
この「電気信号として扱う過程」で生じる雑音が、デジタルシステムに特徴的な影響因子です。
なぜ電気雑音が正しいか
デジタルX線画像では、検出器で得られた信号を電子回路で読み出します。
このとき、
- 検出器の読み出し回路
- 増幅回路
- A/D変換
- 電子部品の熱雑音
などによって、画像信号に不要な変動が加わります。
これを電気雑音といいます。
したがって、デジタルシステムに特有の影響因子として最も適切なのは、1.電気雑音です。
他の選択肢との区別
2.AEC制御
AECは自動露出制御のことで、適正な受像器到達線量になるように撮影条件を制御する仕組みです。
デジタル装置でも使われますが、デジタルシステムに特有の画像形成因子ではありません。
3.幾何学的不鋭
焦点サイズ、被写体と受像器の距離、焦点と受像器の距離などで決まるボケです。
これはフィルム系でもデジタル系でも生じるため、デジタル特有ではありません。
4.グリッド露出係数
散乱線除去グリッドを使用すると、一次X線も一部吸収されるため、必要な撮影線量が増えます。
この考え方はアナログ・デジタルに共通します。
5.ビームハードニング
X線が物質を通過すると、低エネルギー成分が吸収され、平均エネルギーが高くなる現象です。
X線の物理的性質によるものであり、デジタルシステム特有ではありません。
覚えるポイント
デジタル画像システムに特有の因子を問われたら、
「検出後に電気信号として処理する過程で起こるもの」を考えます。
- 電気雑音:デジタル系に特徴的
- 幾何学的不鋭、グリッド、ビームハードニング:アナログ・デジタル共通
本問では、デジタルシステムの読み出し・電子回路に由来する電気雑音が正答です。
78PM94問題・解答・解説
問題文
乳房撮影の圧迫の効果のうち散乱X 線の減少が画質に与える影響で正しいのは
どれか。2 つ選べ。
選択肢
1.動きのボケ防止
2.雑音特性の向上
3.空間分解能の向上
4.幾何学的ボケの減少
5.コントラストの向上
答え
3.空間分解能の向上 5.コントラストの向上
解説
正答
3.空間分解能の向上
5.コントラストの向上
問題のポイント
乳房撮影では、乳房を圧迫することで乳房厚が薄くなります。
乳房厚が薄くなると、乳房内で発生する散乱X線が減少します。
この問題では、圧迫の効果の中でも特に「散乱X線の減少」が画質に与える影響を問うています。
なぜコントラストが向上するか
散乱X線は、画像全体にかぶりを加えるように作用します。
散乱線が多いと、病変部と正常乳腺の濃度差がわかりにくくなり、被写体コントラストが低下します。
乳房を圧迫して散乱X線が減ると、余分なかぶりが少なくなり、組織間の濃度差がはっきりします。
そのため、コントラストが向上します。
したがって、5.コントラストの向上は正しいです。
なぜ空間分解能が向上するか
散乱X線は、本来の位置情報を持つ一次X線とは異なり、画像をぼんやりさせる成分として働きます。
散乱X線が減少すると、微細石灰化や乳腺構造などの細かい構造が見えやすくなります。
そのため、散乱線の減少によって細部の識別能が改善し、空間分解能の向上につながります。
したがって、3.空間分解能の向上も正しいです。
他の選択肢との区別
1.動きのボケ防止
乳房を圧迫すると乳房が固定されるため、動きのボケは減少します。
ただし、これは「固定による効果」であり、「散乱X線の減少」による画質改善ではありません。
そのため、本問の答えとしては不適切です。
2.雑音特性の向上
散乱X線の減少は主にコントラスト改善に関係します。
雑音特性は線量、検出器性能、量子雑音などの影響を強く受けるため、散乱X線減少の代表的な効果としては選びません。
3.空間分解能の向上
正しいです。
散乱X線が減ることで、細かい構造の見え方が改善します。
4.幾何学的ボケの減少
圧迫によって乳房が薄くなり、被写体と受像器の距離が短くなると、幾何学的ボケは減少します。
しかし、これは距離関係による効果であり、「散乱X線の減少」による効果ではありません。
5.コントラストの向上
正しいです。
散乱X線が減ると画像のかぶりが減り、乳腺や病変の濃度差が明瞭になります。
覚えるポイント
乳房圧迫の効果は複数ありますが、原因ごとに整理すると覚えやすいです。
散乱X線の減少による効果:
- コントラストの向上
- 細部描出の改善、すなわち空間分解能の向上
圧迫による別の効果:
- 乳房固定による動きのボケ防止
- 乳房厚の減少による幾何学的ボケの減少
- 被ばく線量の低減
本問では、「散乱X線の減少」が問われているため、正答は 3 と 5 です。
78PM95問題・解答・解説
問題文
スリット法でCR システムのプリサンプルドMTF を測定したところ、高空間
周波数領域でMTF が上昇した。
原因で考えられるのはどれか。
選択肢
1.階調補正を行った。
2.有効露光量変換を行わなかった。
3.雑音による量子モトルが強く出た。
4.イメージングプレートが劣化していた。
5.金属スリット長軸を画素列と平行にした。
答え
5.金属スリット長軸を画素列と平行にした。
解説
正答
5.金属スリット長軸を画素列と平行にした。
問題のポイント
MTFは、画像システムがどれくらい細かい構造を再現できるかを表す指標です。
通常、空間周波数が高くなるほどMTFは低下します。
そのため、高空間周波数領域でMTFが不自然に上昇した場合は、測定手技やサンプリングの影響を疑います。
プリサンプルドMTFとは
デジタル画像では、画像が画素ごとにサンプリングされます。
このサンプリングの影響をできるだけ取り除き、検出器本来の解像特性を評価するために求めるMTFがプリサンプルドMTFです。
スリット法では、細い金属スリットを撮影してスリット像を得ます。
そのスリット像からLSFを作成し、フーリエ変換してMTFを求めます。
なぜスリットを画素列と平行にすると誤差が出るか
プリサンプルドMTFを正しく測定するには、金属スリットを画素列に対してわずかに傾けて配置します。
少し傾けることで、画素より細かい位置の情報を集めることができ、細かくサンプリングされたLSFを作成できます。
一方、スリット長軸を画素列と完全に平行にすると、同じサンプリング位置ばかりを拾うことになります。
その結果、サンプリング位置の偏りやエイリアシングの影響が出て、高空間周波数領域でMTFが見かけ上上昇することがあります。
したがって、原因として最も考えられるのは、5.金属スリット長軸を画素列と平行にした、です。
他の選択肢との区別
1.階調補正を行った。
MTF測定では、画像処理をできるだけかけず、線形性を保ったデータを用いる必要があります。
階調補正は測定値に影響する可能性がありますが、本問のように高空間周波数領域でMTFが上昇する典型的原因は、スリットと画素列の位置関係によるサンプリング誤差です。
2.有効露光量変換を行わなかった。
CR画像では、画素値を有効露光量に変換してから解析することが重要です。
変換しないと正確なMTF測定の妨げになりますが、高空間周波数領域のMTF上昇の典型的原因としては不適切です。
3.雑音による量子モトルが強く出た。
量子モトルはX線量子数のゆらぎによる雑音です。
主にノイズ特性に影響しますが、MTFが高空間周波数で系統的に上昇する原因とは考えにくいです。
4.イメージングプレートが劣化していた。
イメージングプレートが劣化すると、一般に画質や信号の安定性が悪くなります。
しかし、高空間周波数領域のMTFが不自然に上昇する典型的原因ではありません。
5.金属スリット長軸を画素列と平行にした。
正しいです。
画素列と平行にするとサンプリング位置が偏り、エイリアシングなどによってMTFが見かけ上高くなることがあります。
覚えるポイント
スリット法でプリサンプルドMTFを測定するときは、
- スリットを画素列に対して少し傾ける
- 画像処理をかけないデータを使う
- 露光量変換など、解析に必要な前処理を行う
ことが重要です。
高空間周波数側でMTFが不自然に上がったら、まずサンプリングやエイリアシングの影響を考えます。
本問では、スリット長軸を画素列と平行にしたことが原因です。
78PM96問題・解答・解説
問題文
4 月1 日を始期とする1 年間のうち、7 月、8 月、9 月の1 cm 線量当量および
70 μm 線量当量がそれぞれ1.4 mSv、1.1 mSv、0.1 mSv、その他の月はすべて検
出限界以下であった。
個人線量当量の解釈で正しいのはどれか。
選択肢
1.個人線量当量の記録は保存する必要がない。
2.妊娠可能な女子の3 月間の実効線量限度を超える。
3.放射線業務従事者の年間の実効線量限度を超える。
4.検出限界以下の月は被ばくをしていないことを意味する。
5.6 月に妊娠と診断された場合は腹部表面の等価線量限度を超える。
答え
5.6 月に妊娠と診断された場合は腹部表面の等価線量限度を超える。
解説
正答
5.6月に妊娠と診断された場合は腹部表面の等価線量限度を超える。
問題のポイント
個人線量当量の測定値から、法令上の線量限度を超えているかを判断する問題です。
7月、8月、9月の測定値は、
- 7月:1.4 mSv
- 8月:1.1 mSv
- 9月:0.1 mSv
です。
したがって、この3か月間の合計は、
1.4 + 1.1 + 0.1 = 2.6 mSv
となります。
なぜ5が正しいか
妊娠中であることが分かった女子の腹部表面の等価線量限度は、妊娠の事実を知った後から出産までで2 mSvです。
本問では、6月に妊娠と診断された場合、7月、8月、9月の被ばくは妊娠の事実を知った後の被ばくとして扱います。
この期間の線量は、
1.4 + 1.1 + 0.1 = 2.6 mSv
です。
2.6 mSvは腹部表面の等価線量限度である2 mSvを超えるため、5が正しいです。
他の選択肢との区別
1.個人線量当量の記録は保存する必要がない。
誤りです。
放射線業務従事者の個人線量当量は、測定し、記録し、保存する必要があります。線量が小さい場合でも「記録しなくてよい」とはなりません。
2.妊娠可能な女子の3月間の実効線量限度を超える。
誤りです。
妊娠可能な女子の実効線量限度は3か月で5 mSvです。
本問の7〜9月の合計は2.6 mSvなので、5 mSvは超えていません。
3.放射線業務従事者の年間の実効線量限度を超える。
誤りです。
通常の放射線業務従事者の実効線量限度は、5年間で100 mSv、かつ1年間で50 mSvです。
本問の年間合計は2.6 mSvなので、年間限度は超えていません。
4.検出限界以下の月は被ばくをしていないことを意味する。
誤りです。
検出限界以下とは、測定器で有意な値として検出できなかったという意味です。
「被ばくが完全に0であった」と断定する意味ではありません。
5.6月に妊娠と診断された場合は腹部表面の等価線量限度を超える。
正しいです。
妊娠の事実を知った後の7〜9月の線量合計が2.6 mSvとなり、腹部表面の等価線量限度2 mSvを超えます。
覚えるポイント
線量限度の問題では、まず「誰の」「どの期間の」「どの線量限度」を問われているかを整理します。
- 妊娠可能な女子:実効線量限度 5 mSv / 3か月
- 通常の放射線業務従事者:実効線量限度 50 mSv / 年、かつ100 mSv / 5年
- 妊娠中の女子:腹部表面の等価線量限度 2 mSv / 妊娠の事実を知った後から出産まで
本問では、6月に妊娠と診断された場合、7〜9月の2.6 mSvが妊娠後の線量として評価されるため、腹部表面の等価線量限度を超えます。
78PM97問題・解答・解説
問題文
内部被ばくの防護対策である3 D 2 C の原則で誤っているのはどれか。
選択肢
1.希 釈
2.時 間
3.分 散
4.集中化
5.閉じ込め
答え
2.時 間
解説
正答
2.時間
問題のポイント
内部被ばくは、放射性物質が体内に入ることで起こる被ばくです。
そのため、内部被ばくの防護では、放射性物質を吸入・摂取・付着させないようにすることが重要です。
この考え方をまとめたものが、3D2Cの原則です。
3D2Cとは
3D2Cは、内部被ばくを防ぐための5つの基本対策です。
- Dilute:希釈
- Disperse:分散
- Decontaminate:除去
- Contain:閉じ込め
- Concentrate:集中化
つまり、放射性物質を薄める、広げて局所的な濃度を下げる、汚染を除去する、容器やフード内に閉じ込める、管理しやすい場所に集中させる、という考え方です。
なぜ「時間」が誤りか
「時間」は、外部被ばく防護の3原則に含まれる考え方です。
外部被ばく防護の3原則は、
- 時間を短くする
- 距離をとる
- 遮へいする
です。
一方、内部被ばく防護の3D2Cには「時間」は含まれません。
したがって、誤っているものは2.時間です。
他の選択肢との区別
1.希釈
3D2Cに含まれます。
放射性物質の濃度を下げ、体内摂取のリスクを下げる考え方です。
2.時間
3D2Cには含まれません。
外部被ばく防護の3原則に含まれるため、本問の正答です。
3.分散
3D2Cに含まれます。
換気などにより、空気中の放射性物質の濃度が局所的に高くならないようにします。
4.集中化
3D2Cに含まれます。
放射性物質を管理しやすい場所に集め、不要な拡散を防ぎます。
5.閉じ込め
3D2Cに含まれます。
容器、ドラフトチャンバー、グローブボックスなどを用いて、放射性物質が外へ出ないようにします。
覚えるポイント
内部被ばく防護は「体内に入れない」ことが基本です。
3D2C:
- 希釈
- 分散
- 除去
- 閉じ込め
- 集中化
外部被ばく防護の3原則:
- 時間
- 距離
- 遮へい
本問では、時間は3D2Cではなく外部被ばく防護の考え方なので、正答は2です。
78PM98問題・解答・解説
問題文
医療法上の装置等の種類とそれに該当するものの組合せで誤っているのはどれ
か。
選択肢
1.エックス線装置
X 線CT 装置
2.診療用放射性同位元素
SPECT 用放射性医薬品
3.診療用放射線照射器具
125I シード
4.診療用粒子線照射装置
陽子線照射装置
5.診療用高エネルギー放射線発生装置
RALS
答え
5.診療用高エネルギー放射線発生装置
RALS
解説
正答
5.診療用高エネルギー放射線発生装置 RALS
問題のポイント
医療法では、放射線を発生する装置や、放射性同位元素を用いる装置・器具が分類されています。
この問題では、それぞれの分類名と具体例の組合せが正しいかを判断します。
なぜ5が誤りか
RALSは、Remote After Loading Systemの略で、遠隔操作式後装填治療装置のことです。
RALSでは、密封小線源を遠隔操作で患者近く、または体腔内のアプリケータ内へ送り込み、治療後に線源を回収します。
つまり、放射線を「発生」させる装置ではなく、密封された放射性線源を用いる小線源治療装置です。
一方、診療用高エネルギー放射線発生装置は、リニアックなどのように、高エネルギーX線や電子線を発生させる装置を指します。
したがって、RALSを診療用高エネルギー放射線発生装置とする組合せは誤りです。
他の選択肢との区別
1.エックス線装置 X線CT装置
正しい組合せです。
X線CT装置はX線を用いて断層画像を作る装置なので、エックス線装置に該当します。
2.診療用放射性同位元素 SPECT用放射性医薬品
正しい組合せです。
SPECTでは、体内に投与した放射性医薬品から放出されるγ線を検出して画像化します。
このような非密封の放射性医薬品は、診療用放射性同位元素として扱われます。
3.診療用放射線照射器具 125Iシード
正しい組合せです。
125Iシードは密封小線源であり、前立腺がんの永久挿入治療などに用いられます。
このような小線源は、診療用放射線照射器具に該当します。
4.診療用粒子線照射装置 陽子線照射装置
正しい組合せです。
陽子線治療装置は、陽子を加速して治療に用いる粒子線治療装置です。
したがって、診療用粒子線照射装置に該当します。
5.診療用高エネルギー放射線発生装置 RALS
誤りです。
RALSは密封小線源を遠隔操作で用いる装置であり、高エネルギー放射線を発生させる装置ではありません。
覚えるポイント
医療法上の分類は、次のように具体例とセットで覚えると整理しやすいです。
- エックス線装置:一般撮影装置、透視装置、X線CT装置
- 診療用放射性同位元素:SPECT用放射性医薬品などの非密封RI
- 診療用放射線照射器具:125Iシードなどの密封小線源
- 診療用粒子線照射装置:陽子線、重粒子線の治療装置
- 診療用高エネルギー放射線発生装置:リニアックなど
本問では、RALSは高エネルギー放射線発生装置ではないため、誤っている組合せは5です。
78PM99問題・解答・解説
問題文
我が国の診断参考レベルで正しいのはどれか。
選択肢
1.線量限度の値である。
2.目的は最適化の推進である。
3.小児に対しては定められていない。
4.放射線治療の総線量が設定されている。
5.線量調査結果の50 パーセンタイルで設定されている。
答え
2.目的は最適化の推進である。
解説
正答
2.目的は最適化の推進である。
問題のポイント
診断参考レベル、DRLは、医療被ばくを管理するための目安です。
ただし、DRLは線量限度ではありません。
また、患者一人ひとりに対して「この値を超えてはいけない」と決めるための値でもありません。
DRLの目的は、施設や検査プロトコルの線量が高すぎないかを確認し、画質と線量のバランスを最適化することです。
なぜ2が正しいか
診断参考レベルは、医療被ばくの最適化を進めるために用いられます。
たとえば、自施設の代表的な線量がDRLを大きく超えている場合、
- 撮影条件が高すぎないか
- 撮影範囲が広すぎないか
- プロトコルが適切か
- 必要な画質に対して線量が過剰でないか
などを見直します。
つまり、DRLは単に線量を下げるための値ではなく、必要な診断情報を保ちながら、線量を適切に管理するための指標です。
したがって、2.目的は最適化の推進である、が正しいです。
他の選択肢との区別
1.線量限度の値である。
誤りです。
診断参考レベルは線量限度ではありません。
患者の医療被ばくには、放射線業務従事者のような線量限度は設定されていません。
2.目的は最適化の推進である。
正しいです。
DRLは、医療被ばくの最適化を進めるための目安です。
3.小児に対しては定められていない。
誤りです。
小児は成人より放射線感受性が高く、体格も異なるため、小児に対する診断参考レベルも設定されています。
4.放射線治療の総線量が設定されている。
誤りです。
DRLは診断領域やIVRなどの医療被ばくの最適化に用いられる指標です。
放射線治療では、治療効果を得るために腫瘍へ計画線量を投与するため、DRLの考え方とは目的が異なります。
5.線量調査結果の50パーセンタイルで設定されている。
誤りです。
DRLは線量調査結果をもとに設定され、一般に75パーセンタイル値が参考にされます。
50パーセンタイル、つまり中央値で設定されるわけではありません。
覚えるポイント
診断参考レベル、DRLについては、次の3つを押さえます。
- 線量限度ではない
- 目的は医療被ばくの最適化
- 代表的には線量分布の75パーセンタイルを参考に設定される
本問では、「目的は最適化の推進である」が正しいため、正答は2です。
78PM100問題・解答・解説
問題文
0.45 Bq・cm-3 の137Cs と1.2 Bq・cm-3 の89Sr を含む放射性廃液を直ちに排水す
るための最小の希釈倍数はどれか。
ただし、排水中の濃度限度を137Cs は0.09 Bq・cm-3、89Sr は0.3 Bq・cm-3 とす
る。
選択肢
1.2
2.3
3.5
4.6
5.9
答え
5.9
解説
正答
5.9
問題のポイント
複数の核種を含む放射性廃液を排水する場合、それぞれの核種が濃度限度以下であればよい、というだけでは不十分です。
複数核種が混在する場合は、各核種について
実際の濃度 ÷ 濃度限度
を計算し、その和が1以下になる必要があります。
複数核種の判定式
複数核種を含む排水では、次の条件を満たす必要があります。
137Csの濃度 / 137Csの濃度限度 + 89Srの濃度 / 89Srの濃度限度 ≦ 1
希釈倍数をDとすると、希釈後の濃度はそれぞれD分の1になります。
したがって、
137Cs:0.45 / D
89Sr:1.2 / D
です。
計算
まず、137Csについて計算します。
(0.45 / D) / 0.09 = 0.45 / (0.09D) = 5 / D
次に、89Srについて計算します。
(1.2 / D) / 0.3 = 1.2 / (0.3D) = 4 / D
複数核種なので、これらを足します。
5 / D + 4 / D = 9 / D
この値が1以下であれば排水できます。
9 / D ≦ 1
よって、
D ≧ 9
となります。
最小の希釈倍数は9倍です。
他の選択肢との区別
1.2
2倍では、濃度限度に対する比の和が9/2となり、1を大きく超えます。
2.3
3倍では、9/3 = 3となり、まだ1を超えます。
3.5
137Csだけを見れば、0.45 ÷ 0.09 = 5なので5倍でよいように見えます。
しかし、89Srも含まれるため、複数核種の和で判定する必要があります。
したがって5倍では不十分です。
4.6
6倍では、9/6 = 1.5となり、1を超えるため不十分です。
5.9
9倍では、9/9 = 1となり、条件を満たします。
したがって正しいです。
覚えるポイント
放射性廃液に複数核種が含まれる場合は、単独核種ごとの希釈倍数の最大値だけで判断してはいけません。
必ず、
Σ「実際の濃度 / 濃度限度」≦ 1
で判定します。
本問では、
137Cs:0.45 / 0.09 = 5
89Sr:1.2 / 0.3 = 4
5 + 4 = 9
となるため、必要な最小希釈倍数は9倍です。
このページは第78回診療放射線技師国家試験 午後問題の問題文・選択肢・答え・解説をカード形式で整形したものです。
