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39AM1
問題文
[39AM1] 患者の権利について誤っているのはどれか。
選択肢
1.患者は担当医師、病院を自由に選択できる。 2.リスボン宣言で患者の権利が謳われている。 3.患者の死後、その配偶者は診療情報を自由に閲覧できる。 4.健康保険料を支払っていない人も適切な医療をうけられる。 5.患者は医師が必要と判断した急性心筋梗塞の急性期治療を拒否できる。
答え
3.患者の死後、その配偶者は診療情報を自由に閲覧できる。
解説
正答
3
この問題のポイント
この問題では、患者の権利と診療情報の取り扱いが問われています。
患者には、医療機関を選ぶ権利、説明を受ける権利、治療を選択・拒否する権利などがあります。
一方で、診療情報は個人情報であり、患者の死後であっても遺族が無条件に自由閲覧できるものではありません。
解説
患者の権利では、次の考え方が重要です。
- 医療を受ける権利
- 説明を受ける権利
- 自己決定権
- プライバシーの保護
- 診療情報の適切な管理
リスボン宣言は、世界医師会による患者の権利に関する宣言です。患者の自己決定権、情報を得る権利、秘密保持などが示されています。
ただし、診療情報は患者本人の個人情報です。患者の死後であっても、配偶者や遺族が常に自由に閲覧できるわけではありません。医療機関は、関係性、請求目的、本人の意思、第三者の利益などを考慮して慎重に対応します。
ひっかけポイント 「配偶者だから自由に閲覧できる」と考えるのは危険です。診療情報は死亡後も慎重に取り扱われます。
選択肢の確認
1.記述としては正しい。 患者には、担当医師や医療機関を選択する権利があります。実際には地域、緊急性、診療体制などの制約はありますが、基本的な権利として認められます。
2.記述としては正しい。 リスボン宣言では、患者の自己決定権、情報を得る権利、秘密保持、尊厳ある医療などが示されています。
3.正答。記述としては誤り。 患者の死後であっても、配偶者が診療情報を自由に閲覧できるわけではありません。診療情報は個人情報であり、遺族への開示は一定の手続きと判断に基づいて行われます。
4.記述としては正しい。 健康保険料の支払い状況にかかわらず、緊急時や必要な医療は適切に提供されるべきです。医療には、人命と健康を守る公共性があります。
5.記述としては正しい。 患者には治療を受けるかどうかを決める自己決定権があります。医師が必要と判断した治療であっても、患者が十分な説明を受けたうえで拒否することはあり得ます。
覚えるポイント
- 患者には自己決定権があります。
- リスボン宣言は患者の権利に関する重要な宣言です。
- 診療情報は患者の死後も慎重に扱います。
- 遺族であっても、診療情報を無条件に自由閲覧できるわけではありません。
39AM2
問題文
[39AM2] 二類感染症はどれか。 a.鳥インフルエンザ(H5N1) b.結 核 c.急性灰白髄炎 d.狂犬病 e.新型コロナウイルス感染症
選択肢
1.a、b、c 2.a、b、e 3.a、d、e 4.b、c、d 5.c、d、e
答え
1.a、b、c
解説
正答
1
この問題のポイント
この問題では、感染症法における二類感染症が問われています。
二類感染症は、感染力や重篤性からみて、入院対応や就業制限などの強い対策が必要となり得る感染症です。
解説
二類感染症として重要なのは、次の疾患です。
- 急性灰白髄炎
- 結核
- ジフテリア
- 重症急性呼吸器症候群、SARS
- 中東呼吸器症候群、MERS
- 鳥インフルエンザ、H5N1
- 鳥インフルエンザ、H7N9
この問題の小項目では、次のように整理します。
- a.鳥インフルエンザ(H5N1) → 二類感染症
- b.結 核 → 二類感染症
- c.急性灰白髄炎 → 二類感染症
- d.狂犬病 → 四類感染症
- e.新型コロナウイルス感染症 → 二類感染症ではない
したがって、二類感染症の組合せは a、b、c です。
ひっかけポイント 狂犬病は重篤ですが、二類ではなく四類感染症です。重症度だけで分類を判断しないようにします。
選択肢の確認
1.正しい。 選択肢1は a、b、c の組合せです。鳥インフルエンザ(H5N1)、結核、急性灰白髄炎はいずれも二類感染症です。
2.誤り。 選択肢2にはeが含まれます。新型コロナウイルス感染症は、この問題で問われている二類感染症には該当しません。
3.誤り。 選択肢3にはdとeが含まれます。狂犬病は四類感染症であり、新型コロナウイルス感染症も二類感染症として扱う組合せではありません。
4.誤り。 選択肢4にはdが含まれます。狂犬病は四類感染症です。
5.誤り。 選択肢5にはdとeが含まれます。二類感染症の組合せとしては不適切です。
覚えるポイント
- 二類感染症には結核、急性灰白髄炎、鳥インフルエンザ(H5N1)などがあります。
- 狂犬病は四類感染症です。
- 組合せ問題では、小項目の分類を先に判定してから選択肢を選びます。
39AM3
問題文
[39AM3] 臨床工学技士が「生命維持管理装置」の操作をする上で医師の指示を必要としないのはどれか。
選択肢
1.人工心肺装置の保守点検 2.人工呼吸器作動中の喀痰吸引 3.血液浄化装置の回路を介した採血 4.身体への回路を介した薬剤の注入 5.心・血管カテーテル治療における電気的刺激の負荷装置の操作
答え
1.人工心肺装置の保守点検
解説
正答
1
この問題のポイント
この問題では、臨床工学技士の業務範囲と医師の指示が必要な行為が問われています。
臨床工学技士は、医師の指示のもとに生命維持管理装置の操作を行います。
一方、装置の保守点検は、患者に対する直接的な操作とは異なり、医師の個別指示を必要としない業務として整理されます。
解説
臨床工学技士の重要な業務は、生命維持管理装置の操作と保守点検です。
ここで区別すべき点は、次の2つです。
- 患者に対して装置を用いる操作
- 装置を安全に使用するための保守点検
患者の身体に接続された回路を介して採血、薬剤注入、吸引、刺激負荷などを行う場合は、患者への侵襲や治療内容に関わります。そのため、医師の指示が必要です。
人工心肺装置の保守点検は、装置の安全性や性能を確認する業務です。これは医師の個別指示を受けて実施する生命維持管理装置の操作とは性質が異なります。
臨床工学技士としての注意点 装置の保守点検は臨床工学技士の重要業務です。ただし、患者に接続して治療・処置に関わる操作を行う場合は、医師の指示が必要になります。
選択肢の確認
1.正答。医師の指示を必要としません。 人工心肺装置の保守点検は、装置の機能や安全性を確認する業務です。患者に対する直接的な装置操作ではないため、医師の個別指示を必要としないものとして扱います。
2.医師の指示が必要です。 人工呼吸器作動中の喀痰吸引は、気道に対する処置であり、患者の状態に直接影響します。医師の指示のもとで行う必要があります。
3.医師の指示が必要です。 血液浄化装置の回路を介した採血は、患者の血液回路を扱う行為です。患者に対する医療行為に該当するため、医師の指示が必要です。
4.医師の指示が必要です。 身体への回路を介した薬剤の注入は、薬剤投与に関わる行為です。治療内容に直接関係するため、医師の指示が必要です。
5.医師の指示が必要です。 心・血管カテーテル治療における電気的刺激の負荷装置の操作は、患者の循環動態や不整脈誘発に関係します。医師の指示が必要です。
覚えるポイント
- 臨床工学技士は、医師の指示のもとで生命維持管理装置の操作を行います。
- 保守点検は臨床工学技士の重要業務です。
- 患者の身体や回路を介する採血、薬剤注入、吸引、刺激負荷は医師の指示が必要です。
39AM4
問題文
[39AM4] TCA サイクル(クエン酸回路)が 1 周するまでの反応について正しいのはどれか。
選択肢
1.水素を消費する。 2.酸素を消費する。 3.二酸化炭素が生じる。 4.NAD⁺ が生じる。 5.ピルビン酸とクエン酸が反応してオキサロ酢酸が生じる。
答え
3.二酸化炭素が生じる。
解説
正答
3
この問題のポイント
この問題では、TCA サイクルで何が消費され、何が産生されるかが問われています。
TCA サイクルでは、アセチル CoA が酸化され、二酸化炭素が生じます。また、NADH や FADH₂ などの還元型補酵素が産生されます。
解説
TCA サイクルは、ミトコンドリア内で行われる代謝経路です。
主な流れは次の通りです。
- アセチル CoA がオキサロ酢酸と結合する
- クエン酸が生成される
- 反応が進む過程で CO₂ が発生する
- NAD⁺ や FAD が還元され、NADH や FADH₂ が生じる
- 最終的にオキサロ酢酸が再生される
TCA サイクルそのものでは、酸素分子を直接消費するわけではありません。酸素は主に電子伝達系で最終電子受容体として使われます。
ひっかけポイント TCA サイクルと電子伝達系を混同しないことが重要です。酸素を直接使うのは主に電子伝達系です。
選択肢の確認
1.誤り。 TCA サイクルでは、NAD⁺ や FAD が水素を受け取り、NADH や FADH₂ が生じます。水素を単純に消費する反応ではありません。
2.誤り。 酸素はTCA サイクルで直接消費されるのではなく、電子伝達系で最終電子受容体として使われます。
3.正しい。 TCA サイクルでは脱炭酸反応が起こり、二酸化炭素が生じます。アセチル CoA 1 分子あたり、TCA サイクル1周で CO₂ が2分子生じます。
4.誤り。 NAD⁺ はTCA サイクルで還元され、NADH になります。したがって、NAD⁺ が産生されるのではなく、NADH が生じます。
5.誤り。 ピルビン酸はまずアセチル CoA に変換されます。その後、アセチル CoA とオキサロ酢酸が反応してクエン酸が生じます。
覚えるポイント
- TCA サイクルでは二酸化炭素が生じます。
- TCA サイクルではNADHやFADH₂が生じます。
- 酸素を直接消費する主な過程は電子伝達系です。
- アセチル CoA とオキサロ酢酸からクエン酸ができます。
39AM5
問題文
[39AM5] 自律神経作用薬について正しいのはどれか。 a.コリン作動薬は排尿作用がある。 b.抗コリン作動薬は便秘を起こす。 c.α 受容体遮断薬は血圧を上げる。 d.β 受容体作動薬は止血に用いられる。 e.β 受容体遮断薬は心拍数を下げる。
選択肢
1.a、b、c 2.a、b、e 3.a、d、e 4.b、c、d 5.c、d、e
答え
2.a、b、e
解説
正答
2
この問題のポイント
この問題では、自律神経作用薬の基本作用が問われています。
特に、コリン作動薬、抗コリン作動薬、α 受容体遮断薬、β 受容体作動薬、β 受容体遮断薬の作用を整理することが重要です。
解説
自律神経作用薬は、交感神経系と副交感神経系のどこに作用するかで考えると整理しやすくなります。
小項目の正誤は次の通りです。
- a.正しい。コリン作動薬は副交感神経作用を強め、膀胱排尿筋収縮などにより排尿を促します。
- b.正しい。抗コリン作動薬は副交感神経作用を抑え、腸管運動を低下させるため便秘を起こしやすくなります。
- c.誤り。α 受容体遮断薬は血管収縮作用を抑えるため、一般に血圧を下げます。
- d.誤り。止血に関係する血管収縮は主にα 受容体刺激による作用です。β 受容体作動薬は止血目的の代表薬ではありません。
- e.正しい。β 受容体遮断薬は心拍数や心収縮力を低下させます。
したがって、正しい小項目は a、b、e です。
ひっかけポイント α 受容体と β 受容体を混同しないことが大切です。血管収縮による止血は主にα 受容体刺激作用と結びつけて覚えます。
選択肢の確認
1.誤り。 選択肢1は a、b、c の組合せです。cの「α 受容体遮断薬は血圧を上げる」は誤りです。α 受容体遮断薬は一般に血管拡張により血圧を下げます。
2.正しい。 選択肢2は a、b、e の組合せです。コリン作動薬の排尿作用、抗コリン作動薬の便秘、β 受容体遮断薬の心拍数低下はいずれも正しいです。
3.誤り。 選択肢3にはdが含まれます。β 受容体作動薬は止血に用いられる代表的作用ではありません。
4.誤り。 選択肢4にはcとdが含まれます。α 受容体遮断薬は血圧を上げるのではなく下げる方向に働き、β 受容体作動薬は止血薬として整理しません。
5.誤り。 選択肢5にはcとdが含まれます。どちらも誤りの小項目です。
覚えるポイント
- コリン作動薬は副交感神経作用を強め、排尿を促します。
- 抗コリン作動薬は腸管運動を抑え、便秘を起こしやすくします。
- α 受容体遮断薬は血管拡張により血圧を下げます。
- β 受容体遮断薬は心拍数を下げます。
- 組合せ問題では、小項目の正誤を先に判定してから選択肢を選びます。
39AM6
問題文
[39AM6] 正しいのはどれか。 a.核内で RNA が作られる。 b.ゴルジ装置で分泌物質が作られる。 c.リソソームで脂質が作られる。 d.リボソームで糖質が作られる。 e.ミトコンドリアで ATP が作られる。
選択肢
1.a、b、c 2.a、b、e 3.a、d、e 4.b、c、d 5.c、d、e
答え
2.a、b、e
解説
正答
2
この問題のポイント
この問題では、細胞小器官の働きが問われています。
核、ゴルジ装置、リソソーム、リボソーム、ミトコンドリアの役割を整理しておくことが重要です。
解説
細胞小器官は、それぞれ役割が異なります。
- 核では、DNA の情報をもとに RNA が作られます。
- ゴルジ装置では、タンパク質の修飾、濃縮、分泌小胞への包装が行われます。
- リソソームは、細胞内物質の分解に関わります。
- リボソームは、タンパク質合成に関わります。
- ミトコンドリアは、酸化的リン酸化により ATP を産生します。
小項目の正誤は次の通りです。
- a.正しい。核内では転写により RNA が作られます。
- b.正しい。ゴルジ装置は分泌物質の加工や輸送に関わります。
- c.誤り。リソソームは主に分解を担います。脂質合成は主に滑面小胞体で行われます。
- d.誤り。リボソームは糖質ではなく、タンパク質を合成します。
- e.正しい。ミトコンドリアでは ATP が作られます。
したがって、正しい小項目は a、b、e です。
ひっかけポイント リソソームは「合成」ではなく「分解」、リボソームは「糖質」ではなく「タンパク質」と結びつけて覚えます。
選択肢の確認
1.誤り。 選択肢1は a、b、c の組合せです。cの「リソソームで脂質が作られる」は誤りです。
2.正しい。 選択肢2は a、b、e の組合せです。核内での RNA 産生、ゴルジ装置での分泌物質の加工・輸送、ミトコンドリアでの ATP 産生はいずれも正しいです。
3.誤り。 選択肢3にはdが含まれます。リボソームで作られるのは糖質ではなくタンパク質です。
4.誤り。 選択肢4にはcとdが含まれます。リソソームは分解に関わり、リボソームはタンパク質合成に関わります。
5.誤り。 選択肢5にはcとdが含まれます。どちらも誤りの小項目です。
覚えるポイント
- 核では RNA が作られます。
- ゴルジ装置は分泌物質の加工・輸送に関わります。
- リソソームは分解に関わります。
- リボソームはタンパク質合成に関わります。
- ミトコンドリアは ATP 産生に関わります。
39AM7
問題文
[39AM7] 血液中の CO₂ について正しいのはどれか。
選択肢
1.半分程度が HCO₃⁻ の状態で存在している。 2.過換気を続けると血液 CO₂ 分圧は上がる。 3.肺胞での CO₂ の拡散能は O₂ よりも低い。 4.ヘモグロビンと結合しているものがある。 5.代謝性アルカローシスの呼吸代償では血液 CO₂ 分圧は下がる。
答え
4.ヘモグロビンと結合しているものがある。
解説
正答
4
この問題のポイント
この問題では、血液中の二酸化炭素の運搬形態が問われています。
CO₂ は血液中で、主に次の3つの形で運ばれます。
- HCO₃⁻
- ヘモグロビンなどのタンパク質と結合した形
- 溶存 CO₂
解説
血液中の CO₂ の多くは、赤血球内で炭酸脱水酵素の作用により HCO₃⁻ となって運ばれます。
また、一部の CO₂ はヘモグロビンと結合してカルバミノヘモグロビンとして運ばれます。
CO₂ は O₂ よりも水に溶けやすく、肺胞と血液の間を拡散しやすい気体です。そのため、肺胞での拡散能は O₂ より低いのではなく高いと考えます。
呼吸との関係では、過換気では CO₂ が過剰に排出されるため、血液 CO₂ 分圧は低下します。代謝性アルカローシスでは、呼吸性代償として低換気となり、CO₂ 分圧は上昇しやすくなります。
ひっかけポイント CO₂ は「HCO₃⁻として多く運ばれる」だけでなく、「ヘモグロビンと結合するものもある」と押さえます。
選択肢の確認
1.誤り。 血液中 CO₂ の多くは HCO₃⁻ として存在しますが、一般に半分程度ではなく、より多い割合が HCO₃⁻ として運ばれます。
2.誤り。 過換気を続けると CO₂ が呼出されやすくなり、血液 CO₂ 分圧は低下します。
3.誤り。 CO₂ は O₂ よりも拡散しやすく、肺胞での拡散能は O₂ より高いです。
4.正しい。 血液中 CO₂ の一部は、ヘモグロビンと結合してカルバミノヘモグロビンとして運ばれます。
5.誤り。 代謝性アルカローシスでは、呼吸性代償として低換気となり、血液 CO₂ 分圧は上がりやすくなります。
覚えるポイント
- CO₂ の主な運搬形態はHCO₃⁻です。
- CO₂ の一部はヘモグロビンと結合して運ばれます。
- 過換気では CO₂ 分圧は低下します。
- 代謝性アルカローシスの呼吸代償では CO₂ 分圧は上昇しやすくなります。
39AM8
問題文
[39AM8] 正しいのはどれか。
選択肢
1.血液から細胞成分を取り除いたものを血清という。 2.血液に対する全血球の体積比をヘマトクリット値という。 3.健常人の血漿アルブミン濃度は血漿グロブリン濃度よりも高い。 4.血漿から血液凝固に関わる物質を取り除いたものを血餅という。 5.健常人の血漿電解質浸透圧は 9 %食塩水の浸透圧とほぼ等しい。
答え
3.健常人の血漿アルブミン濃度は血漿グロブリン濃度よりも高い。
解説
正答
3
この問題のポイント
この問題では、血液成分、血漿と血清の違い、ヘマトクリット値、血漿タンパク質が問われています。
血液の基本用語は、臨床検査値や体外循環、血液浄化療法を理解するうえでも重要です。
解説
血液は、細胞成分と液体成分に分けられます。
- 細胞成分:赤血球、白血球、血小板
- 液体成分:血漿
血液から細胞成分を取り除いたものは血漿です。血漿からフィブリノゲンなどの凝固因子を除いたものが血清です。
ヘマトクリット値は、血液全体に対する赤血球容積の割合を示します。全血球の割合ではありません。
血漿タンパク質では、健常人では一般にアルブミンがグロブリンより高濃度です。アルブミンは膠質浸透圧の維持にも重要です。
ひっかけポイント 「血漿」と「血清」を混同しやすいです。血清は、血漿から凝固因子を除いたものです。
選択肢の確認
1.誤り。 血液から細胞成分を取り除いたものは血漿です。血清は、血漿から凝固因子を取り除いたものです。
2.誤り。 ヘマトクリット値は、血液に対する赤血球容積の割合です。全血球の体積比ではありません。
3.正しい。 健常人では、血漿アルブミン濃度は血漿グロブリン濃度よりも高いです。
4.誤り。 血漿から血液凝固に関わる物質を取り除いたものは血清です。血餅は血液凝固により形成される凝固塊です。
5.誤り。 健常人の血漿浸透圧は、0.9%食塩水とほぼ等張です。9%食塩水は高張すぎます。
覚えるポイント
- 血液から細胞成分を除いたものは血漿です。
- 血漿から凝固因子を除いたものは血清です。
- ヘマトクリット値は赤血球容積比です。
- 健常人では、血漿アルブミン濃度はグロブリン濃度より高いです。
- 等張食塩水は0.9%食塩水です。
39AM9
問題文
[39AM9] ある物質 A の血漿中濃度が 30 mg/dL、1 分間の尿中排泄量が 11 mg であった。糸球体濾過量が 120 mL/min のとき、物質 A は濾過されたうちのおよそ何%が排泄されているか。 ただし、物質 A は血中で代謝を受けず糸球体で自由に濾過されるものとする。
選択肢
1.10% 2.30% 3.50% 4.70% 5.90%
答え
2.30%
解説
正答
2
この問題のポイント
この問題では、糸球体で濾過された量と尿中排泄量から、濾過量のうち何%が排泄されたかを計算します。
ポイントは、血漿中濃度の単位を dL から mL に直すことです。
解説
まず、糸球体で濾過された物質 A の量を求めます。
計算の流れ
血漿中濃度は次の通りです。
- 30 mg/dL = 30 mg / 100 mL
- 30 mg/dL = 0.30 mg/mL
糸球体濾過量は 120 mL/min です。
したがって、1分間に濾過される物質 A の量は、
- 濾過量 = 血漿中濃度 × 糸球体濾過量
- 濾過量 = 0.30 mg/mL × 120 mL/min
- 濾過量 = 36 mg/min
尿中排泄量は 11 mg/min です。
濾過されたうち排泄された割合は、
- 排泄割合 = 11 / 36 × 100
- 排泄割合 ≒ 30.6%
最も近い選択肢は 30%です。
ひっかけポイント mg/dL のまま GFR の mL/min と掛けないようにします。dL を mL に直してから計算します。
選択肢の確認
1.誤り。 10%では、濾過量36 mg/minに対して排泄量が約3.6 mg/minとなり、問題文の11 mg/minと合いません。
2.正しい。 濾過量は36 mg/minで、尿中排泄量は11 mg/minです。11 / 36 × 100 ≒ 30.6%となるため、約30%が適切です。
3.誤り。 50%では、排泄量は18 mg/min程度になります。実際の排泄量11 mg/minより大きくなります。
4.誤り。 70%では、排泄量は25 mg/min程度になります。実際の排泄量より大きすぎます。
5.誤り。 90%では、排泄量は32 mg/min程度になります。実際の排泄量11 mg/minとは大きく異なります。
覚えるポイント
- 濾過量 = 血漿中濃度 × GFR
- 30 mg/dL = 0.30 mg/mL
- 排泄割合 = 尿中排泄量 / 濾過量 × 100
- 腎機能の計算では、単位変換を最初に確認します。
39AM10
問題文
[39AM10] 甲状腺ホルモン分泌のフィードバック制御を行うのはどれか。 a.視 床 b.視床下部 c.下垂体 d.松果体 e.副 腎
選択肢
1.a、b 2.a、e 3.b、c 4.c、d 5.d、e
答え
3.b、c
解説
正答
3
この問題のポイント
この問題では、甲状腺ホルモンの分泌調節が問われています。
甲状腺ホルモンは、視床下部、下垂体、甲状腺からなる内分泌軸で調節されます。
解説
甲状腺ホルモン分泌は、次の流れで制御されます。
- 視床下部から TRH が分泌される
- TRH が下垂体前葉を刺激する
- 下垂体前葉から TSH が分泌される
- TSH が甲状腺を刺激する
- 甲状腺から T₃、T₄ が分泌される
血中の甲状腺ホルモンが増えると、視床下部と下垂体に対して負のフィードバックが働きます。
その結果、TRH と TSH の分泌が抑制され、甲状腺ホルモン分泌が調節されます。
小項目の正誤は次の通りです。
- a.誤り。視床は感覚情報などの中継に関わりますが、甲状腺ホルモン分泌の主要なフィードバック制御部位ではありません。
- b.正しい。視床下部は TRH を分泌し、甲状腺ホルモンによる負のフィードバックを受けます。
- c.正しい。下垂体前葉は TSH を分泌し、甲状腺ホルモンによる負のフィードバックを受けます。
- d.誤り。松果体は主にメラトニン分泌に関わります。
- e.誤り。副腎は副腎皮質ホルモンやカテコールアミンに関わりますが、甲状腺ホルモン分泌の主なフィードバック制御部位ではありません。
したがって、正しい小項目は b、c です。
ひっかけポイント 「視床」と「視床下部」は別です。内分泌調節で重要なのは視床下部です。
選択肢の確認
1.誤り。 選択肢1は a、b の組合せです。bは正しいですが、aの視床は甲状腺ホルモン分泌の主要なフィードバック制御部位ではありません。
2.誤り。 選択肢2は a、e の組合せです。視床と副腎は、甲状腺ホルモン分泌のフィードバック制御を担う組合せではありません。
3.正しい。 選択肢3は b、c の組合せです。視床下部と下垂体は、甲状腺ホルモンの負のフィードバック制御に関わります。
4.誤り。 選択肢4は c、d の組合せです。cは正しいですが、松果体は甲状腺ホルモン分泌の主要な制御部位ではありません。
5.誤り。 選択肢5は d、e の組合せです。松果体と副腎は、甲状腺ホルモン分泌のフィードバック制御を担う組合せではありません。
覚えるポイント
- 甲状腺ホルモン調節は、視床下部、下垂体、甲状腺の軸で考えます。
- 視床下部は TRH を分泌します。
- 下垂体前葉は TSH を分泌します。
- 甲状腺ホルモンは視床下部と下垂体に負のフィードバックをかけます。
- 視床と視床下部を混同しないようにします。
39AM11
問題文
[39AM11] 浮腫の機序で正しいのはどれか。
選択肢
1.リンパ管の閉塞 2.心拍出量の増加 3.毛細血管透過性の低下 4.血漿アルブミン濃度の上昇 5.細胞内ナトリウム濃度の低下
答え
1.リンパ管の閉塞
解説
正答
1
この問題のポイント
この問題では、浮腫が起こる基本機序が問われています。
浮腫は、血管内から組織間質へ水分が移動し、間質液が過剰にたまる状態です。
主な機序は、静水圧の上昇、膠質浸透圧の低下、毛細血管透過性の亢進、リンパ還流障害、ナトリウム・水分貯留です。
解説
浮腫を考えるときは、血管内と間質の水分移動を整理します。
代表的な浮腫の原因は次の通りです。
- 静脈圧・毛細血管静水圧の上昇
- 血漿アルブミン低下による膠質浸透圧の低下
- 炎症などによる毛細血管透過性の亢進
- リンパ管閉塞によるリンパ還流障害
- 腎疾患や心不全などによるナトリウム・水分貯留
リンパ管の閉塞では、組織間液がリンパ管へ回収されにくくなります。その結果、間質液がたまり、浮腫が生じます。
ひっかけポイント 「透過性の低下」や「アルブミン濃度の上昇」は浮腫を起こしにくい方向です。浮腫は、透過性亢進やアルブミン低下で起こります。
選択肢の確認
1.正しい。 リンパ管が閉塞すると、組織間液の回収が障害されます。間質液が貯留するため、浮腫の原因になります。
2.誤り。 心拍出量の増加そのものは、典型的な浮腫の機序ではありません。心不全などで静脈圧が上昇すると浮腫が起こりますが、それは心拍出量増加ではなく、うっ血や静水圧上昇が関係します。
3.誤り。 毛細血管透過性の低下では、血管外へ水分やタンパク質が漏れにくくなります。浮腫の機序として重要なのは、毛細血管透過性の亢進です。
4.誤り。 血漿アルブミン濃度が上昇すると、血漿膠質浸透圧が保たれやすくなり、浮腫は起こりにくくなります。浮腫の原因になるのは、低アルブミン血症です。
5.誤り。 浮腫では、細胞内ナトリウム濃度の低下よりも、体内のナトリウム・水分貯留や細胞外液量の増加が重要です。
覚えるポイント
- 浮腫の原因は、静水圧上昇、膠質浸透圧低下、毛細血管透過性亢進、リンパ還流障害です。
- リンパ管閉塞は浮腫の原因になります。
- 低アルブミン血症は浮腫を起こします。
- 毛細血管透過性は「低下」ではなく「亢進」で浮腫につながります。
39AM12
問題文
[39AM12] 急性呼吸促迫症候群(ARDS)について正しいのはどれか。
選択肢
1.肺コンプライアンスが増加する。 2.肺微小血管の透過性が亢進する。 3.PaO₂/FIO₂ > 300 mmHg である。 4.PaCO₂ は重症度に関係する。 5.心原性肺水腫が原因となる。
答え
2.肺微小血管の透過性が亢進する。
解説
正答
2
この問題のポイント
この問題では、急性呼吸促迫症候群、ARDSの病態が問われています。
ARDS は、心不全による肺水腫ではなく、炎症により肺胞毛細血管の透過性が亢進して起こる非心原性肺水腫です。
解説
ARDS では、敗血症、重症肺炎、外傷、誤嚥などを契機に強い炎症が起こります。
その結果、肺胞上皮と肺毛細血管内皮が障害され、肺微小血管の透過性が亢進します。血漿成分が肺胞内や間質へ漏れ出し、肺水腫を生じます。
ARDS の特徴は次の通りです。
- 肺微小血管透過性の亢進
- 非心原性肺水腫
- 重度の低酸素血症
- 肺コンプライアンスの低下
- 両側性肺浸潤影
- PaO₂/FIO₂ 比の低下
ARDS の重症度評価では、主に PaO₂/FIO₂ 比を用います。PaO₂/FIO₂ が 300 mmHg 以下の場合に ARDS を考えます。
国家試験ではここを押さえる ARDS は「透過性亢進」「非心原性肺水腫」「肺コンプライアンス低下」「PaO₂/FIO₂ 低下」のセットで覚えます。
選択肢の確認
1.誤り。 ARDS では肺が硬くなり、肺コンプライアンスは低下します。増加ではありません。
2.正しい。 ARDS では炎症により肺微小血管の透過性が亢進します。その結果、非心原性肺水腫が生じます。
3.誤り。 ARDS では PaO₂/FIO₂ は低下します。一般に PaO₂/FIO₂ が 300 mmHg 以下で ARDS を考えます。
4.誤り。 PaCO₂ は換気状態を反映しますが、ARDS の重症度分類で中心となるのは PaO₂/FIO₂ 比です。
5.誤り。 ARDS は心原性肺水腫ではなく、非心原性肺水腫です。左心不全などの心原性肺水腫とは区別します。
覚えるポイント
- ARDS は非心原性肺水腫です。
- ARDS では肺微小血管透過性が亢進します。
- 肺コンプライアンスは低下します。
- 重症度評価ではPaO₂/FIO₂ 比が重要です。
- PaO₂/FIO₂ が高いのではなく、低下する病態です。
39AM13
問題文
[39AM13] CO₂ ナルコーシスについて誤っているのはどれか。
選択肢
1.自発呼吸が減弱する。 2.意識障害を呈する。 3.SpO₂ 90%を目標に治療する。 4.治療方法の一つに NPPV がある。 5.呼吸性アルカローシスを呈する。
答え
5.呼吸性アルカローシスを呈する。
解説
正答
5
この問題のポイント
この問題では、CO₂ ナルコーシスの病態と治療の考え方が問われています。
CO₂ ナルコーシスは、高二酸化炭素血症により中枢神経症状や呼吸抑制をきたす状態です。
解説
CO₂ ナルコーシスでは、肺胞換気量の低下などにより CO₂ が体内に貯留します。
CO₂ が増加すると、PaCO₂ が上昇し、血液は酸性に傾きます。そのため、典型的には呼吸性アシドーシスを呈します。
症状としては、次のようなものがあります。
- 自発呼吸の減弱
- 傾眠
- 意識障害
- 頭痛
- 羽ばたき振戦
- 重症例で昏睡
治療では、酸素投与だけでなく、換気を改善することが重要です。必要に応じて NPPV や気管挿管による人工呼吸管理を行います。
慢性高二酸化炭素血症の患者では、高濃度酸素投与により換気抑制や CO₂ 貯留が悪化することがあるため、SpO₂ は過度に高くしすぎず、90%前後を目標に調整する考え方が重要です。
ひっかけポイント CO₂ ナルコーシスは「アルカローシス」ではなく、CO₂ 貯留による呼吸性アシドーシスです。
選択肢の確認
1.記述としては正しい。 CO₂ ナルコーシスでは中枢性の呼吸抑制が起こり、自発呼吸が減弱することがあります。
2.記述としては正しい。 高二酸化炭素血症により中枢神経が抑制され、傾眠や意識障害を呈します。
3.記述としては正しい。 慢性呼吸不全などでは、酸素投与により CO₂ 貯留が悪化しないよう、SpO₂ 90%前後を目標に管理することがあります。
4.記述としては正しい。 NPPV は換気を補助し、CO₂ 排出を改善する治療方法の一つです。
5.正答。記述としては誤り。 CO₂ ナルコーシスでは PaCO₂ が上昇し、呼吸性アシドーシスを呈します。呼吸性アルカローシスではありません。
覚えるポイント
- CO₂ ナルコーシスは高二酸化炭素血症による意識障害です。
- 病態は呼吸性アシドーシスです。
- 自発呼吸が減弱することがあります。
- 治療では酸素化だけでなく、換気の改善が重要です。
- NPPV は治療選択肢の一つです。
39AM14
問題文
[39AM14] 二次性低血圧症の原因でないのはどれか。
選択肢
1.脱 水 2.心不全 3.アジソン病 4.甲状腺機能低下症 5.原発性アルドステロン症
答え
5.原発性アルドステロン症
解説
正答
5
この問題のポイント
この問題では、二次性低血圧症の原因と、低血圧ではなく高血圧を起こす代表疾患が問われています。
原発性アルドステロン症は、低血圧ではなく二次性高血圧の代表的な原因です。
解説
低血圧は、循環血液量の低下、心拍出量の低下、血管収縮不全、内分泌異常などで起こります。
二次性低血圧の原因として重要なのは次のようなものです。
- 脱水や出血による循環血液量低下
- 心不全による心拍出量低下
- 副腎皮質機能低下症、アジソン病
- 甲状腺機能低下症
- 敗血症やアナフィラキシーなどによる血管拡張
一方、原発性アルドステロン症では、アルドステロンが過剰に分泌されます。アルドステロンはナトリウムと水分の再吸収を促進するため、循環血液量が増加しやすく、一般に高血圧をきたします。
ひっかけポイント 原発性アルドステロン症は「低血圧」ではなく「高血圧」と結びつけます。低カリウム血症を伴う高血圧として問われやすい疾患です。
選択肢の確認
1.原因として該当します。 脱水では循環血液量が減少し、静脈還流や心拍出量が低下します。そのため低血圧を起こします。
2.原因として該当します。 心不全では心拍出量が低下し、十分な血圧を維持できなくなることがあります。
3.原因として該当します。 アジソン病は副腎皮質機能低下症です。コルチゾールやアルドステロンの不足により、低血圧をきたします。
4.原因として該当します。 甲状腺機能低下症では代謝低下、心拍出量低下、徐脈などにより低血圧をきたすことがあります。
5.正答。原因ではありません。 原発性アルドステロン症はアルドステロン過剰によりナトリウム・水分貯留を起こし、一般に高血圧の原因となります。二次性低血圧症の原因ではありません。
覚えるポイント
- 脱水は循環血液量低下により低血圧を起こします。
- 心不全は心拍出量低下により低血圧を起こします。
- アジソン病は副腎皮質機能低下により低血圧を起こします。
- 甲状腺機能低下症でも低血圧をきたすことがあります。
- 原発性アルドステロン症は二次性高血圧の代表です。
39AM15
問題文
[39AM15] 心房細動患者に抗凝固療法を行う目的はどれか。
選択肢
1.脳塞栓症の予防 2.肺塞栓症の予防 3.不整脈性失神の予防 4.深部静脈血栓症の予防 5.アテローム血栓性脳梗塞の予防
答え
1.脳塞栓症の予防
解説
正答
1
この問題のポイント
この問題では、心房細動と血栓塞栓症の関係が問われています。
心房細動では心房内、特に左心耳に血栓が形成されやすくなります。その血栓が脳血管へ飛ぶと、脳塞栓症を起こします。
解説
心房細動では、心房が規則正しく収縮せず、細かく震えるように興奮します。
その結果、心房内の血液がうっ滞しやすくなり、血栓が形成されます。特に左心耳は血栓ができやすい部位です。
形成された血栓が左心系から大動脈へ流れ、脳動脈に詰まると心原性脳塞栓症を起こします。
そのため、心房細動患者では、脳塞栓症予防を目的として抗凝固療法を行います。
臨床工学技士としての注意点 心房細動患者では、透析、手術、カテーテル治療、補助循環などの場面でも抗凝固薬の有無や出血リスクを意識する必要があります。
選択肢の確認
1.正しい。 心房細動では左心房内に血栓が形成されやすく、脳塞栓症の原因になります。抗凝固療法の主目的は脳塞栓症の予防です。
2.誤り。 肺塞栓症は主に深部静脈血栓が肺動脈に飛ぶことで起こります。心房細動に対する抗凝固療法の主目的としては、脳塞栓症予防が重要です。
3.誤り。 抗凝固療法は血栓形成を抑える治療であり、不整脈性失神を直接予防する治療ではありません。
4.誤り。 深部静脈血栓症の予防に抗凝固療法が用いられることはありますが、心房細動患者に抗凝固療法を行う主目的は脳塞栓症の予防です。
5.誤り。 アテローム血栓性脳梗塞は、動脈硬化性病変を背景とする血栓形成が主な機序です。心房細動で問題となるのは心原性脳塞栓症です。
覚えるポイント
- 心房細動では左心房、特に左心耳に血栓ができやすいです。
- 心房細動の抗凝固療法は脳塞栓症予防が目的です。
- 心房細動による脳梗塞は心原性脳塞栓症です。
- 肺塞栓症や深部静脈血栓症とは機序を区別します。
39AM16
問題文
[39AM16] 褐色細胞腫でみられるのはどれか。
選択肢
1.徐 脈 2.高血糖 3.嗄 声 4.体重増加 5.血圧低下
答え
2.高血糖
解説
正答
2
この問題のポイント
この問題では、褐色細胞腫でみられる症状・検査異常が問われています。
褐色細胞腫は、副腎髄質や傍神経節から発生し、カテコールアミンを過剰に分泌する腫瘍です。
解説
褐色細胞腫では、アドレナリンやノルアドレナリンなどのカテコールアミンが過剰になります。
そのため、次のような所見がみられます。
- 高血圧
- 頻脈
- 動悸
- 発汗
- 頭痛
- 高血糖
- 体重減少
カテコールアミンは、肝臓での糖新生やグリコーゲン分解を促進します。また、インスリン分泌を抑制する方向にも働くため、高血糖をきたしやすくなります。
ひっかけポイント 褐色細胞腫は「血圧上昇、頻脈、高血糖」と結びつけます。徐脈や血圧低下ではありません。
選択肢の確認
1.誤り。 褐色細胞腫ではカテコールアミン過剰により、徐脈ではなく頻脈をきたしやすくなります。
2.正しい。 カテコールアミン過剰により糖新生やグリコーゲン分解が促進され、高血糖をきたします。
3.誤り。 嗄声は反回神経麻痺や喉頭疾患などでみられる症状です。褐色細胞腫の代表的所見ではありません。
4.誤り。 褐色細胞腫では代謝亢進や発作性症状により、体重増加よりも体重減少がみられることがあります。
5.誤り。 褐色細胞腫ではカテコールアミン過剰により血管収縮が起こり、血圧は低下ではなく上昇しやすくなります。
覚えるポイント
- 褐色細胞腫はカテコールアミン過剰の疾患です。
- 代表所見は高血圧、頻脈、発汗、頭痛、高血糖です。
- カテコールアミンは糖代謝を亢進させ、高血糖を起こします。
- 徐脈や血圧低下ではなく、頻脈や血圧上昇を考えます。
39AM17
問題文
[39AM17] パーキンソン病の主要症状でないのはどれか。
選択肢
1.姿勢反射障害 2.安静時振戦 3.無動・寡動 4.筋固縮 5.眼 振
答え
5.眼 振
解説
正答
5
この問題のポイント
この問題では、パーキンソン病の主要症状が問われています。
パーキンソン病では、黒質ドパミン神経の変性により、運動症状が出現します。
解説
パーキンソン病の主要な運動症状は、次の4つです。
- 安静時振戦
- 筋固縮
- 無動・寡動
- 姿勢反射障害
これらは国家試験で非常によく問われます。
眼振は、前庭系、小脳、脳幹などの障害でみられることがありますが、パーキンソン病の主要症状としては扱いません。
ひっかけポイント パーキンソン病は「振戦、固縮、無動・寡動、姿勢反射障害」の4つをセットで覚えます。
選択肢の確認
1.主要症状です。 姿勢反射障害は、進行したパーキンソン病でみられる主要症状です。転倒リスクにも関係します。
2.主要症状です。 安静時振戦はパーキンソン病の代表的症状です。安静時に目立ち、動作で軽くなることがあります。
3.主要症状です。 無動・寡動は、動作開始が遅くなる、動作が小さくなる、表情が乏しくなるなどの症状として現れます。
4.主要症状です。 筋固縮は筋緊張が高まる症状で、歯車様固縮として表現されることがあります。
5.正答。主要症状ではありません。 眼振はパーキンソン病の主要症状ではありません。前庭系や小脳、脳幹の障害を考える所見です。
覚えるポイント
- パーキンソン病の主要症状は安静時振戦、筋固縮、無動・寡動、姿勢反射障害です。
- 眼振はパーキンソン病の主要症状ではありません。
- 姿勢反射障害は転倒リスクと関係します。
- 無動・寡動は動作緩慢や表情低下として現れます。
39AM18
問題文
[39AM18] 手術部位感染症の予防策でないのはどれか。
選択肢
1.入院前の禁煙 2.手術前日の入浴 3.術中の低体温維持 4.術前入院期間の短縮 5.除毛時の電気クリッパの使用
答え
3.術中の低体温維持
解説
正答
3
この問題のポイント
この問題では、手術部位感染症、SSIの予防策が問われています。
SSI 予防では、術前・術中・術後の感染リスクを下げる管理が重要です。
解説
手術部位感染症の予防では、次のような対策が重要です。
- 禁煙
- 術前入浴や皮膚清潔
- 適切な除毛
- 術前入院期間の短縮
- 周術期の適切な抗菌薬投与
- 血糖管理
- 体温管理
術中低体温は、末梢血流低下や免疫機能低下を招き、感染リスクを高める方向に働きます。
そのため、SSI 予防では低体温を維持するのではなく、正常体温を保つことが重要です。
安全管理上のポイント 周術期管理では、感染対策だけでなく、体温、血糖、循環、呼吸を総合的に管理します。
選択肢の確認
1.予防策として該当します。 喫煙は創傷治癒を妨げ、感染リスクを高めます。入院前からの禁煙はSSI予防に有用です。
2.予防策として該当します。 手術前日の入浴により皮膚表面の汚れや細菌量を減らすことができ、SSI予防に関係します。
3.正答。予防策ではありません。 術中低体温は感染リスクを高める可能性があります。SSI予防では低体温を維持するのではなく、正常体温を維持します。
4.予防策として該当します。 術前入院期間が長いと、院内細菌への曝露が増える可能性があります。術前入院期間の短縮は感染対策として有用です。
5.予防策として該当します。 除毛が必要な場合は、皮膚を傷つけにくい電気クリッパを用います。剃刀による除毛は皮膚損傷を起こしやすく、感染リスクを高めます。
覚えるポイント
- SSI は手術部位感染症です。
- 術中低体温はSSIリスクを高める方向に働きます。
- SSI予防では正常体温の維持が重要です。
- 除毛が必要な場合は電気クリッパを用います。
- 禁煙、術前入浴、術前入院期間短縮も予防策です。
39AM19
問題文
[39AM19] 急性腎前性腎障害の原因となるのはどれか。 a.出 血 b.熱 傷 c.造影剤投与 d.前立腺肥大 e.尿管結石
選択肢
1.a、b 2.a、e 3.b、c 4.c、d 5.d、e
答え
1.a、b
解説
正答
1
この問題のポイント
この問題では、急性腎障害、AKIの分類が問われています。
急性腎障害は、原因部位によって次の3つに分けて考えます。
- 腎前性
- 腎性
- 腎後性
解説
腎前性腎障害は、腎臓そのものが最初から障害されるのではなく、腎血流量が低下することで起こります。
代表的な原因は次の通りです。
- 出血
- 脱水
- 熱傷
- ショック
- 心不全
- 重症感染症による循環不全
小項目の正誤は次の通りです。
- a.正しい。出血により循環血液量が減少し、腎血流が低下します。
- b.正しい。熱傷では体液喪失により循環血液量が低下し、腎前性腎障害の原因になります。
- c.誤り。造影剤投与は腎実質障害を起こすことがあり、腎性腎障害として考えます。
- d.誤り。前立腺肥大は尿路閉塞を起こし、腎後性腎障害の原因になります。
- e.誤り。尿管結石は尿路閉塞を起こし、腎後性腎障害の原因になります。
したがって、腎前性腎障害の原因は a、b です。
ひっかけポイント 急性腎障害は「腎血流低下」「腎実質障害」「尿路閉塞」に分けて考えると整理しやすくなります。
選択肢の確認
1.正しい。 選択肢1は a、b の組合せです。出血と熱傷はいずれも循環血液量の低下を通じて腎前性腎障害を起こします。
2.誤り。 選択肢2にはeが含まれます。尿管結石は尿路閉塞による腎後性腎障害の原因です。
3.誤り。 選択肢3にはcが含まれます。造影剤投与は腎実質障害による腎性腎障害として考えます。
4.誤り。 選択肢4は c、d の組合せです。造影剤投与は腎性、前立腺肥大は腎後性の原因です。
5.誤り。 選択肢5は d、e の組合せです。前立腺肥大と尿管結石はいずれも尿路閉塞による腎後性腎障害の原因です。
覚えるポイント
- 腎前性腎障害は腎血流低下で起こります。
- 出血、脱水、熱傷、ショックは腎前性の代表です。
- 造影剤腎症は腎性腎障害として考えます。
- 前立腺肥大や尿管結石は腎後性腎障害です。
- AKI は「腎前性、腎性、腎後性」に分けて整理します。
39AM20
問題文
[39AM20] 腎性貧血の経口治療薬はどれか。
選択肢
1.葉 酸 2.ビタミン B12 3.エリスロポエチン 4.コリンエステラーゼ阻害薬 5.低酸素誘導因子プロリン水酸化酵素(HIF-PH)阻害薬
答え
5.低酸素誘導因子プロリン水酸化酵素(HIF-PH)阻害薬
解説
正答
5
この問題のポイント
この問題では、腎性貧血の治療薬が問われています。
腎性貧血は、腎機能低下によりエリスロポエチン産生が低下して起こる貧血です。
解説
腎臓は、赤血球産生を促すエリスロポエチンを産生します。
慢性腎臓病などで腎機能が低下すると、エリスロポエチンの産生が不足します。その結果、骨髄での赤血球産生が低下し、腎性貧血が起こります。
腎性貧血の治療には、次のような薬剤が用いられます。
- 赤血球造血刺激因子製剤
- HIF-PH阻害薬
- 鉄剤
HIF-PH阻害薬は、低酸素誘導因子、HIFを安定化させ、内因性エリスロポエチン産生や鉄代謝改善を介して造血を促します。経口投与できることが特徴です。
一方、エリスロポエチン製剤は治療薬として重要ですが、一般に注射薬です。この問題では「経口治療薬」が問われています。
ひっかけポイント 腎性貧血の治療薬としてエリスロポエチンは重要ですが、「経口治療薬」と聞かれたらHIF-PH阻害薬を選びます。
選択肢の確認
1.誤り。 葉酸は葉酸欠乏性貧血に関係します。腎性貧血の経口治療薬として最も適切ではありません。
2.誤り。 ビタミン B12 は巨赤芽球性貧血などで重要です。腎性貧血の経口治療薬として選ぶものではありません。
3.誤り。 エリスロポエチンは腎性貧血の治療に関係しますが、一般に注射で投与されます。この問題では経口治療薬が問われています。
4.誤り。 コリンエステラーゼ阻害薬は、アルツハイマー型認知症などで用いられる薬剤です。腎性貧血の治療薬ではありません。
5.正しい。 HIF-PH阻害薬は経口投与可能な腎性貧血治療薬です。HIFを安定化させ、エリスロポエチン産生や鉄利用を促して造血を改善します。
覚えるポイント
- 腎性貧血はエリスロポエチン不足が主な原因です。
- エリスロポエチン製剤は重要ですが、一般に注射薬です。
- 経口治療薬としてはHIF-PH阻害薬を覚えます。
- 葉酸やビタミン B12 は別の貧血で重要です。
- 透析患者では、貧血管理、鉄代謝、炎症、出血もあわせて確認します。
39AM21
問題文
[39AM21] ワクチンが有効なのはどれか。 a.A 型肝炎ウイルス b.B 型肝炎ウイルス c.C 型肝炎ウイルス d.D 型肝炎ウイルス e.E 型肝炎ウイルス
選択肢
1.a、b 2.a、e 3.b、c 4.c、d 5.d、e
答え
1.a、b
解説
正答
1
この問題のポイント
この問題では、肝炎ウイルスとワクチンの対応が問われています。
国家試験では、A 型肝炎ウイルスと B 型肝炎ウイルスにはワクチンが有効であることをまず押さえます。
解説
肝炎ウイルスには A、B、C、D、E 型があります。
このうち、ワクチンが有効なものとして重要なのは次の2つです。
- A 型肝炎ウイルス
- B 型肝炎ウイルス
C 型肝炎ウイルスは変異が多く、ワクチンは実用化されていません。
D 型肝炎ウイルスは B 型肝炎ウイルスに依存して感染します。そのため B 型肝炎ワクチンによって間接的に D 型肝炎の予防につながりますが、D 型肝炎ウイルスそのものに対するワクチンとしては扱いません。
E 型肝炎ウイルスは、国や地域によって状況が異なりますが、国家試験対策としては、A 型と B 型をワクチン有効として整理します。
小項目の正誤は次の通りです。
- a.正しい。A 型肝炎ウイルスにはワクチンがあります。
- b.正しい。B 型肝炎ウイルスにはワクチンがあります。
- c.誤り。C 型肝炎ウイルスに対する実用的なワクチンはありません。
- d.誤り。D 型肝炎ウイルス単独に対するワクチンとしては扱いません。
- e.誤り。国家試験では、E 型肝炎ウイルスをワクチン有効として選ぶ問題設定ではありません。
したがって、正しい小項目は a、b です。
ひっかけポイント D 型肝炎は B 型肝炎に依存しますが、選ぶべき基本は「A 型、B 型にワクチンあり」です。
選択肢の確認
1.正しい。 選択肢1は a、b の組合せです。A 型肝炎ウイルスと B 型肝炎ウイルスにはワクチンが有効です。
2.誤り。 選択肢2にはeが含まれます。E 型肝炎ウイルスは、この問題でワクチン有効として扱う組合せではありません。
3.誤り。 選択肢3にはcが含まれます。C 型肝炎ウイルスには実用的なワクチンがありません。
4.誤り。 選択肢4は c、d の組合せです。C 型にはワクチンがなく、D 型単独のワクチンとしては扱いません。
5.誤り。 選択肢5は d、e の組合せです。ワクチンが有効な代表として選ぶ組合せではありません。
覚えるポイント
- A 型肝炎にはワクチンがあります。
- B 型肝炎にはワクチンがあります。
- C 型肝炎には実用的なワクチンはありません。
- D 型肝炎は B 型肝炎に依存します。
- 肝炎ウイルスのワクチン問題では、まず「A 型、B 型」を選びます。
39AM22
問題文
[39AM22] 特発性血小板減少性紫斑病(ITP)の治療に関連する病原体はどれか。
選択肢
1.腸炎ビブリオ 2.レプトスピラ 3.カンピロバクター 4.腸管出血性大腸菌 5.ヘリコバクター・ピロリ
答え
5.ヘリコバクター・ピロリ
解説
正答
5
この問題のポイント
この問題では、特発性血小板減少性紫斑病、ITPと関連する病原体が問われています。
ITP では、ヘリコバクター・ピロリ感染が治療に関連します。
解説
ITP は、自己免疫機序により血小板が破壊され、血小板数が低下する疾患です。
血小板が減少するため、次のような症状がみられます。
- 紫斑
- 点状出血
- 鼻出血
- 歯肉出血
- 月経過多
ITP では、ヘリコバクター・ピロリ感染がある場合、除菌療法によって血小板数が改善することがあります。そのため、ITP の治療方針を考えるうえでヘリコバクター・ピロリ感染の有無が重要になります。
ひっかけポイント ヘリコバクター・ピロリは胃炎や胃潰瘍だけでなく、ITP の治療にも関係します。
選択肢の確認
1.誤り。 腸炎ビブリオは食中毒の原因菌として重要ですが、ITP の治療に関連する代表的病原体ではありません。
2.誤り。 レプトスピラはレプトスピラ症の原因となる病原体です。ITP の治療に関連する代表ではありません。
3.誤り。 カンピロバクターは腸炎や、ギラン・バレー症候群との関連で重要です。ITP の治療に関連する病原体としては選びません。
4.誤り。 腸管出血性大腸菌は出血性腸炎や溶血性尿毒症症候群と関連します。ITP の治療に関連する代表的病原体ではありません。
5.正しい。 ヘリコバクター・ピロリ感染を伴う ITP では、除菌療法により血小板数が改善することがあります。
覚えるポイント
- ITP は自己免疫性に血小板が減少する疾患です。
- ITP では紫斑や出血傾向が問題になります。
- ITP の治療ではヘリコバクター・ピロリ除菌が関連します。
- カンピロバクターはギラン・バレー症候群との関連で覚えます。
- 腸管出血性大腸菌は溶血性尿毒症症候群と関連します。
39AM23
問題文
[39AM23] 周術期管理で誤っているのはどれか。
選択肢
1.手術開始前に患者名を声に出して確認する。 2.ペースメーカ植込み術では室温を下げる。 3.術中の体位により神経損傷を生じ得る。 4.硬膜外麻酔は術後の鎮痛にも有用である。 5.疼痛緩和を目的に神経ブロックを行う。
答え
2.ペースメーカ植込み術では室温を下げる。
解説
正答
2
この問題のポイント
この問題では、周術期管理と手術室での安全管理が問われています。
周術期では、患者確認、体位管理、疼痛管理、感染対策、体温管理が重要です。
解説
周術期管理では、手術前、手術中、手術後を通して患者安全を守る必要があります。
重要な管理項目は次の通りです。
- 患者確認
- 手術部位の確認
- 体位による神経損傷の予防
- 体温管理
- 感染対策
- 疼痛管理
- 麻酔関連合併症の予防
ペースメーカ植込み術では、感染予防や患者状態の安定が重要です。室温を下げることは、患者の低体温や不快感につながることがあり、周術期管理として適切とはいえません。
また、術中低体温は創傷治癒や感染リスクにも関係するため、むやみに室温を下げる管理は避けます。
安全管理上のポイント 周術期では、患者確認、体位、体温、疼痛、感染対策をセットで確認します。臨床工学技士も、ペースメーカや手術室機器に関わる場面では患者安全を意識します。
選択肢の確認
1.記述としては正しい。 手術開始前に患者名を声に出して確認することは、患者誤認や手術部位誤認を防ぐために重要です。
2.正答。記述としては誤り。 ペースメーカ植込み術で室温を下げることは、低体温や患者不快につながる可能性があります。周術期管理として適切な対応ではありません。
3.記述としては正しい。 術中の体位によって、末梢神経圧迫や牽引による神経損傷が起こることがあります。体位固定と除圧が重要です。
4.記述としては正しい。 硬膜外麻酔は術中麻酔だけでなく、術後鎮痛にも有用です。疼痛管理により呼吸状態や離床にも良い影響があります。
5.記述としては正しい。 神経ブロックは疼痛緩和を目的に行われます。術後痛や処置時痛の管理に用いられます。
覚えるポイント
- 周術期管理では患者確認が重要です。
- 術中体位により神経損傷が起こることがあります。
- 術中低体温は避け、体温管理を行います。
- 硬膜外麻酔や神経ブロックは疼痛管理に有用です。
- ペースメーカ植込み術では感染対策と患者安全を重視します。
39AM24
問題文
[39AM24] SOFA スコアに含まれる項目はどれか。 a.血小板数 b.白血球数 c.血清アルブミン値 d.血清クレアチニン値 e.血清ビリルビン値
選択肢
1.a、b、c 2.a、b、e 3.a、d、e 4.b、c、d 5.c、d、e
答え
3.a、d、e
解説
正答
3
この問題のポイント
この問題では、SOFA スコアに含まれる評価項目が問われています。
SOFA スコアは、臓器障害の程度を評価するためのスコアです。敗血症や集中治療領域で重要です。
解説
SOFA スコアでは、主に6つの臓器系を評価します。
- 呼吸機能
- 凝固機能
- 肝機能
- 循環機能
- 中枢神経機能
- 腎機能
代表的な評価項目は次の通りです。
- 呼吸:PaO₂/FIO₂ 比
- 凝固:血小板数
- 肝:血清ビリルビン値
- 循環:平均血圧や昇圧薬使用
- 中枢神経:GCS
- 腎:血清クレアチニン値や尿量
小項目の正誤は次の通りです。
- a.正しい。血小板数は凝固機能の評価項目です。
- b.誤り。白血球数は SOFA スコアの項目ではありません。
- c.誤り。血清アルブミン値は SOFA スコアの項目ではありません。
- d.正しい。血清クレアチニン値は腎機能の評価項目です。
- e.正しい。血清ビリルビン値は肝機能の評価項目です。
したがって、SOFA スコアに含まれる項目は a、d、e です。
ひっかけポイント 炎症の指標である白血球数や、栄養・肝合成能に関係するアルブミン値は、SOFA スコアの項目ではありません。
選択肢の確認
1.誤り。 選択肢1は a、b、c の組合せです。血小板数は含まれますが、白血球数と血清アルブミン値は SOFA スコアに含まれません。
2.誤り。 選択肢2にはbが含まれます。白血球数は SOFA スコアの項目ではありません。
3.正しい。 選択肢3は a、d、e の組合せです。血小板数、血清クレアチニン値、血清ビリルビン値はいずれも SOFA スコアに含まれます。
4.誤り。 選択肢4にはbとcが含まれます。白血球数と血清アルブミン値は SOFA スコアの評価項目ではありません。
5.誤り。 選択肢5にはcが含まれます。血清アルブミン値は SOFA スコアに含まれません。
覚えるポイント
- SOFA スコアは臓器障害の評価に用います。
- 血小板数は凝固機能の項目です。
- 血清クレアチニン値は腎機能の項目です。
- 血清ビリルビン値は肝機能の項目です。
- 白血球数とアルブミン値は SOFA スコアの項目ではありません。
39AM25
問題文
[39AM25] 続発性免疫不全症の原因でないのはどれか。
選択肢
1.ステロイド治療 2.骨粗しょう症 3.維持透析 4.悪性腫瘍 5.糖尿病
答え
2.骨粗しょう症
解説
正答
2
この問題のポイント
この問題では、続発性免疫不全症の原因が問われています。
続発性免疫不全症は、生まれつきではなく、病気や治療、栄養状態、加齢などによって二次的に免疫機能が低下する状態です。
解説
免疫不全症は、大きく次の2つに分けられます。
- 原発性免疫不全症
- 続発性免疫不全症
続発性免疫不全症は、他の疾患や治療によって免疫機能が低下するものです。
代表的な原因には次のものがあります。
- ステロイド治療
- 免疫抑制薬
- 悪性腫瘍
- 糖尿病
- 慢性腎不全
- 維持透析
- 低栄養
- HIV 感染症
骨粗しょう症は骨量低下や骨折リスク増加に関係する疾患であり、続発性免疫不全症の代表的原因ではありません。
ひっかけポイント 「高齢者に多い疾患」だから免疫不全の原因と考えるのではなく、免疫細胞の機能低下や感染防御能低下に直接関わるかで判断します。
選択肢の確認
1.原因として該当します。 ステロイド治療は免疫反応を抑制します。長期投与や高用量投与では感染リスクが上昇し、続発性免疫不全の原因になります。
2.正答。原因ではありません。 骨粗しょう症は骨密度低下や骨折リスクに関係する疾患です。続発性免疫不全症の代表的原因ではありません。
3.原因として該当します。 維持透析患者では、尿毒症、栄養状態、慢性炎症、血液透析に伴う要因などにより免疫機能が低下しやすくなります。
4.原因として該当します。 悪性腫瘍では、疾患そのものや抗がん薬治療、放射線治療などにより免疫機能が低下することがあります。
5.原因として該当します。 糖尿病では好中球機能や血流障害などにより感染防御能が低下し、感染症にかかりやすくなります。
覚えるポイント
- 続発性免疫不全症は、後天的な原因で免疫が低下する状態です。
- ステロイド治療は免疫抑制を起こします。
- 維持透析、悪性腫瘍、糖尿病は感染リスク上昇と関係します。
- 骨粗しょう症は続発性免疫不全症の代表的原因ではありません。
- 臨床工学技士は、透析患者の感染リスクを常に意識します。
39AM26
問題文
[39AM26] 測定値が平均値 M、標準偏差 σ の正規分布に従うとき、データが M ± σ の範囲に含まれる確率[%]はどれか。
選択肢
1.63.2 2.68.3 3.70.7 4.95.4 5.99.7
答え
2.68.3
解説
正答
2
この問題のポイント
この問題では、正規分布における平均値と標準偏差の関係が問われています。
正規分布では、平均値 M を中心として、データがどの範囲にどれくらい含まれるかを覚えておくことが重要です。
解説
正規分布では、平均値 M と標準偏差 σ を用いてデータのばらつきを表します。
代表的な範囲と含まれる確率は次の通りです。
- M ± 1σ:約 68.3%
- M ± 2σ:約 95.4%
- M ± 3σ:約 99.7%
この問題では、データが M ± σ の範囲に含まれる確率が問われています。
したがって、約 68.3%です。
ひっかけポイント 95.4%は M ± 2σ、99.7%は M ± 3σ です。1σ、2σ、3σ の対応を混同しないようにします。
選択肢の確認
1.誤り。 63.2%は、正規分布の M ± σ に含まれる確率ではありません。
2.正しい。 正規分布では、M ± 1σ の範囲に約 68.3%のデータが含まれます。
3.誤り。 70.7%は、正規分布の M ± σ に含まれる代表的な確率ではありません。
4.誤り。 95.4%は、M ± 2σ の範囲に含まれる確率です。
5.誤り。 99.7%は、M ± 3σ の範囲に含まれる確率です。
覚えるポイント
- 正規分布の M ± 1σ は約 68.3% です。
- M ± 2σ は約 95.4% です。
- M ± 3σ は約 99.7% です。
- 医用統計では、平均値と標準偏差からデータのばらつきを読むことが重要です。
39AM27
問題文
[39AM27] pH 測定に使われるガラス電極で検出しているのはどれか。
選択肢
1.電位差 2.電 流 3.抵抗値 4.吸光度 5.温 度
答え
1.電位差
解説
正答
1
この問題のポイント
この問題では、pH ガラス電極の測定原理が問われています。
pH 測定では、水素イオン活量の違いによって生じる電位差を検出します。
解説
ガラス電極は、pH に応じてガラス膜の内外に電位差が生じる性質を利用します。
pH メータでは、ガラス電極と比較電極を用いて、試料溶液中の水素イオン活量に対応した電位差を測定します。
この電位差は、ネルンストの式に従って pH と関係します。
つまり、pH ガラス電極が直接検出しているのは、電流や抵抗値ではなく電位差です。
ひっかけポイント pH は水素イオン濃度に関係しますが、装置が直接測っている量は「濃度そのもの」ではなく、電極間の電位差です。
選択肢の確認
1.正しい。 pH 測定に使われるガラス電極では、水素イオン活量に応じて生じる電位差を検出します。
2.誤り。 ガラス電極では、pH による電流を測定しているわけではありません。測定対象は電位差です。
3.誤り。 抵抗値を測る方法ではありません。ガラス膜の性質により生じる電位差を利用します。
4.誤り。 吸光度は分光光度計などで用いられる測定量です。ガラス電極による pH 測定の基本原理ではありません。
5.誤り。 温度は pH 測定値に影響しますが、ガラス電極が検出している主な量ではありません。pH 測定では温度補正が必要になることがあります。
覚えるポイント
- pH ガラス電極は電位差を検出します。
- 電位差は水素イオン活量に対応します。
- pH 測定にはガラス電極と比較電極が関わります。
- 電流、抵抗値、吸光度を測っているわけではありません。
39AM28
問題文
[39AM28] 標準 12 誘導心電図計測で右手と左手の誘導電極を誤って逆に装着した。 正しいのはどれか。 a.Ⅰ誘導とⅢ誘導の波形が入れ替わる。 b.Ⅱ誘導の波形は反転する。 c.aVF の波形は変化しない。 d.aVR と aVL の波形が入れ替わる。 e.V₁ の波形は反転する。
選択肢
1.a、b 2.a、e 3.b、c 4.c、d 5.d、e
答え
4.c、d
解説
正答
4
この問題のポイント
この問題では、標準 12 誘導心電図の電極付け間違いが問われています。
右手電極と左手電極を逆に装着した場合、肢誘導の波形がどのように変化するかを理解することが重要です。
解説
標準肢誘導は、右手、左手、左足の電位差から作られます。
代表的な関係は次の通りです。
- Ⅰ誘導:左手 − 右手
- Ⅱ誘導:左足 − 右手
- Ⅲ誘導:左足 − 左手
- aVR:右手方向を見る誘導
- aVL:左手方向を見る誘導
- aVF:左足方向を見る誘導
右手と左手の電極を逆にすると、右手と左手に関係する誘導が変化します。
このときの主な変化は次の通りです。
- Ⅰ誘導は反転する
- Ⅱ誘導とⅢ誘導は入れ替わる
- aVR と aVL は入れ替わる
- aVF は変化しない
- 胸部誘導 V₁ は大きくは反転しない
小項目の正誤は次の通りです。
- a.誤り。Ⅰ誘導とⅢ誘導が入れ替わるのではありません。Ⅱ誘導とⅢ誘導が入れ替わります。
- b.誤り。Ⅱ誘導は反転ではなく、Ⅲ誘導に相当する波形になります。
- c.正しい。aVF は左足方向の誘導であり、右手と左手を入れ替えても基準の平均が変わらないため、波形は変化しません。
- d.正しい。aVR と aVL は右手方向と左手方向を見る誘導なので、右手と左手を入れ替えると波形が入れ替わります。
- e.誤り。V₁ は胸部誘導であり、右手と左手の肢電極を入れ替えても単純に反転するわけではありません。
したがって、正しい小項目は c、d です。
ひっかけポイント 右手・左手の入れ替えでは「Ⅰ誘導が反転」「Ⅱ誘導とⅢ誘導が入れ替わる」「aVR と aVL が入れ替わる」「aVF は変化しない」と整理します。
選択肢の確認
1.誤り。 選択肢1は a、b の組合せです。Ⅰ誘導とⅢ誘導が入れ替わるわけではなく、Ⅱ誘導も反転ではありません。
2.誤り。 選択肢2にはeが含まれます。V₁ は胸部誘導であり、右手と左手の電極を入れ替えても反転するとはいえません。
3.誤り。 選択肢3にはbが含まれます。Ⅱ誘導は反転ではなく、Ⅲ誘導に相当する波形になります。
4.正しい。 選択肢4は c、d の組合せです。aVF は変化せず、aVR と aVL は入れ替わります。
5.誤り。 選択肢5にはeが含まれます。V₁ の波形は反転しません。
覚えるポイント
- 右手と左手を逆にすると、Ⅰ誘導は反転します。
- Ⅱ誘導とⅢ誘導は入れ替わります。
- aVR と aVL は入れ替わります。
- aVF は変化しません。
- 胸部誘導 V₁ は右手・左手の入れ替えで単純に反転しません。
39AM29
問題文
[39AM29] 観血式血圧測定で正しいのはどれか。
選択肢
1.不整脈があると測定が困難である。 2.大気開放の位置を右心房の高さに合わせてゼロ点調整を行う。 3.血圧アンプには高域通過フィルタが使用される。 4.加圧バッグは動脈圧と同圧になるように加圧する。 5.トランスデューサにはフォトダイオードが利用されている。
答え
2.大気開放の位置を右心房の高さに合わせてゼロ点調整を行う。
解説
正答
2
この問題のポイント
この問題では、観血式血圧測定の基本操作と測定原理が問われています。
観血式血圧測定では、動脈カテーテル、圧トランスデューサ、加圧バッグ、フラッシュシステムを用いて、動脈圧を連続的に測定します。
解説
観血式血圧測定で特に重要なのは、ゼロ点調整とトランスデューサの高さです。
圧トランスデューサの基準点は、右心房の高さに合わせます。一般に、仰臥位では中腋窩線付近が目安になります。
ゼロ点調整では、トランスデューサを大気開放し、大気圧を 0 mmHg として設定します。
この操作を誤ると、測定値が実際より高くなったり低くなったりします。
また、観血式血圧測定は拍動ごとの血圧波形を直接測るため、不整脈がある場合でも血圧変動を連続的に観察できます。非観血式血圧測定よりも循環動態の変化を把握しやすい点が特徴です。
臨床工学技士としての注意点 観血式血圧測定では、ゼロ点、トランスデューサの高さ、気泡、血栓、回路の屈曲、過減衰・共振を確認します。
選択肢の確認
1.誤り。 観血式血圧測定では動脈圧波形を連続的に直接測定できます。不整脈があると非観血式血圧測定では測定困難になることがありますが、観血式では拍動ごとの変化を把握できます。
2.正しい。 大気開放の位置を右心房の高さに合わせてゼロ点調整を行います。右心房の高さを基準にすることで、静水圧による測定誤差を減らします。
3.誤り。 血圧波形では高周波ノイズを除くために低域通過フィルタ、ローパスフィルタの考え方が重要です。高域通過フィルタを用いると低周波成分や基線情報が失われ、血圧測定に不適切です。
4.誤り。 加圧バッグは、動脈圧と同圧ではなく、通常は動脈圧より高い圧に加圧して、持続フラッシュを維持します。一般に 300 mmHg 程度に加圧します。
5.誤り。 観血式血圧測定のトランスデューサには、圧変化を電気信号に変換する圧センサが用いられます。フォトダイオードは光を検出する素子であり、観血式血圧測定の代表的トランスデューサではありません。
覚えるポイント
- 観血式血圧測定では右心房の高さでゼロ点調整を行います。
- ゼロ点調整では大気開放して 0 mmHg を設定します。
- 加圧バッグは通常、動脈圧より高い圧に加圧します。
- 観血式では拍動ごとの血圧波形を連続的に観察できます。
- トランスデューサの高さ、気泡、屈曲、過減衰、共振を確認します。
39AM30
問題文
[39AM30] 図のカプノグラムで呼気終末を示す点はどれか。
選択肢
1.A 2.B 3.C 4.D 5.E
答え
3.C
解説
正答
3
この問題のポイント
この問題では、カプノグラムで呼気終末がどこにあたるかが問われています。
呼気終末は、呼気が終わる直前の点です。カプノグラムでは、呼気相のプラトーの最後、つまり吸気に切り替わって CO2 分圧が急に下がる直前を見ます。
解説
カプノグラムは、呼吸に伴う呼気中 CO2 分圧の変化を時間軸で示した波形です。
正常なカプノグラムは、主に次の流れで読みます。
- 基線部
- 吸気中、または解剖学的死腔からの呼気が出ている部分です。
- CO2 はほぼ 0 に近くなります。
- 呼気立ち上がり部
- 死腔ガスと肺胞ガスが混ざり始め、CO2 分圧が急上昇します。
- 肺胞プラトー
- 肺胞ガスが主体となる部分です。
- CO2 分圧が高い状態で、ゆるやかな上昇またはほぼ平坦な波形になります。
- 呼気終末
- 呼気が終わる直前の点です。
- カプノグラムでは、肺胞プラトーの最後で、吸気によって CO2 が急低下する直前です。
- このときの CO2 分圧を PETCO2、または 呼気終末二酸化炭素分圧といいます。
図では、A、B、C が高い CO2 分圧を示す肺胞プラトー上にあります。その中で、呼気が終わって吸気に移る直前の点は C です。
図で見るポイント 横軸は時間、縦軸は CO2 分圧です。呼気終末は「CO2 が高いまま続いたあと、急に下がり始める直前」を選びます。
PETCO2 は、人工呼吸器管理中の換気状態の評価に重要です。一般に、肺胞換気が低下すると PETCO2 は上昇しやすく、過換気では低下しやすくなります。
ただし、PETCO2 は PaCO2 と完全に同じではありません。肺血流、死腔換気、換気血流比、気道リーク、回路トラブルなどの影響も受けます。
臨床工学技士としての注意点 人工呼吸器管理中にカプノグラムを見るときは、数値だけでなく波形の形も確認します。波形の急な消失、基線上昇、プラトーの傾き変化は、回路外れ、再呼吸、気道閉塞、気管チューブトラブルなどの発見につながります。
選択肢の確認
1.誤り。 A は CO2 分圧が急上昇した後、肺胞プラトーに入った付近の点です。呼気の終わりではなく、肺胞ガスが出始めた後の比較的早い部分です。
2.誤り。 B は肺胞プラトーの途中の点です。CO2 分圧は高いですが、まだ呼気が続いているため、呼気終末ではありません。
3.正しい。 C は肺胞プラトーの最後で、吸気に切り替わって CO2 分圧が急低下する直前の点です。ここが呼気終末であり、この時点の CO2 分圧が PETCO2 です。
4.誤り。 D は CO2 分圧が急に低下した後の点です。吸気によって CO2 が洗い流されている途中またはその直後に相当するため、呼気終末ではありません。
5.誤り。 E は CO2 分圧がほぼ 0 の基線上の点です。吸気相または次の呼気が始まる前の低 CO2 部分であり、呼気終末ではありません。
覚えるポイント
- 呼気終末は、呼気が終わる直前の点です。
- カプノグラムでは、肺胞プラトーの最後を選びます。
- PETCO2 は、呼気終末の CO2 分圧です。
- 波形では、高い CO2 分圧から急に下がる直前が呼気終末です。
- 人工呼吸器管理では、PETCO2 の数値とカプノグラム波形の両方を確認します。
39AM31
問題文
[39AM31] 酸素飽和度の光学的測定について誤っているのはどれか。
選択肢
1.NIRS は近赤外線を用いて測定する。 2.局所組織における酸素化状態を rSO₂ という。 3.透過光の強度はランベルト・ベールの法則に従う。 4.光ファイバ内蔵カテーテルで SVO₂ を連続的に測定できる。 5.ヘモグロビンが酸素化すると赤色光をよく吸収するようになる。
答え
5.ヘモグロビンが酸素化すると赤色光をよく吸収するようになる。
解説
正答
5
この問題のポイント
この問題では、酸素飽和度の光学的測定について問われています。
特に重要なのは、酸素化ヘモグロビンと還元ヘモグロビンで、赤色光と赤外光の吸収特性が異なることです。
この問題は「誤っているもの」を選ぶ問題です。記述として誤っている 5 が正答です。
解説
酸素飽和度を光学的に測定する装置では、血液や組織に光を当て、透過光または反射光の変化から酸素化の程度を推定します。
代表的なものに、パルスオキシメータ、NIRS、光トポグラフィ、SVO₂ 連続測定用カテーテルがあります。
まず押さえるべき点は、ヘモグロビンの光吸収特性です。
- 酸素化ヘモグロビン
- 赤色光の吸収は相対的に少ない
- 赤外光の吸収は相対的に多い
- 還元ヘモグロビン
- 赤色光を相対的によく吸収する
- 赤外光の吸収は相対的に少ない
そのため、「ヘモグロビンが酸素化すると赤色光をよく吸収する」という記述は逆です。
ひっかけポイント パルスオキシメータでは、赤色光と赤外光の吸収差を利用します。酸素化ヘモグロビンが赤色光をよく吸収するのではなく、還元ヘモグロビンが赤色光をよく吸収します。
NIRS は近赤外線を用いて、組織内の酸素化状態を非侵襲的に評価する方法です。脳酸素モニタや光トポグラフィでは、近赤外光が比較的生体組織を透過しやすい性質を利用します。
rSO₂ は regional oxygen saturation のことで、局所組織の酸素化状態を表します。SpO₂ が主に動脈血の拍動成分を反映するのに対し、rSO₂ は測定部位の動脈血、静脈血、毛細血管血を含む組織酸素化の指標です。
透過光の強度は、基本的にはランベルト・ベールの法則で説明されます。吸光物質の濃度や光路長が大きいほど、透過光は弱くなります。
臨床工学技士としての注意点 光学的測定では、体動、低灌流、外光、爪のマニキュア、センサ装着不良、皮膚色、異常ヘモグロビンなどが測定誤差の原因になります。数値だけでなく、波形やセンサ装着状態も確認します。
選択肢の確認
1.記述としては正しい。 NIRS は near-infrared spectroscopy の略で、近赤外線を用いて組織の酸素化状態を測定します。
2.記述としては正しい。 rSO₂ は局所組織の酸素化状態を示す指標です。脳酸素飽和度モニタなどで用いられます。
3.記述としては正しい。 透過光の強度は、吸光物質の濃度や光路長に応じて減衰します。この関係はランベルト・ベールの法則で説明されます。
4.記述としては正しい。 光ファイバ内蔵カテーテルを用いることで、混合静脈血酸素飽和度である SVO₂ を連続的に測定できます。循環動態や酸素需給バランスの評価に用いられます。
5.正答。記述としては誤り。 酸素化ヘモグロビンは、赤色光をよく吸収するのではありません。赤色光を相対的によく吸収するのは還元ヘモグロビンです。酸素化ヘモグロビンは、赤外光の吸収が相対的に大きくなります。
覚えるポイント
- NIRS は近赤外線を用いる測定法です。
- rSO₂ は局所組織の酸素化状態を示します。
- SVO₂ は混合静脈血酸素飽和度です。
- 還元ヘモグロビンは赤色光を相対的によく吸収します。
- 酸素化ヘモグロビンは赤外光を相対的によく吸収します。
- 「酸素化すると赤色光をよく吸収する」は逆なので注意します。
39AM32
問題文
[39AM32] 装置から生体に物理的エネルギーを加えて計測するのはどれか。 a.PET 装置 b.SPECT 装置 c.X 線 CT 装置 d.超音波診断装置 e.光トポグラフィ装置
選択肢
1.a、b、c 2.a、b、e 3.a、d、e 4.b、c、d 5.c、d、e
答え
5.c、d、e
解説
正答
5
この問題のポイント
この問題では、計測装置が生体へ物理的エネルギーを加えて測定する装置かどうかを判定します。
正しい小項目は、c.X 線 CT 装置、d.超音波診断装置、e.光トポグラフィ装置です。
したがって、正答は 5 です。
解説
生体計測装置は、大きく分けると次のように考えられます。
- 生体から自然に出てくる信号や、体内の放射性医薬品から出る信号を検出するもの
- 装置から生体へエネルギーを加え、その透過、反射、散乱、吸収などを測定するもの
この問題で問われているのは、後者です。
X 線 CT 装置では、装置の X 線管から生体へ X 線を照射し、透過した X 線を検出器で測定します。X 線という物理的エネルギーを生体に加えているため該当します。
超音波診断装置では、プローブから超音波を生体へ送信し、組織や臓器から返ってくる反射波を受信します。超音波という機械的振動エネルギーを加えているため該当します。
光トポグラフィ装置では、近赤外光を頭部などに照射し、組織内での吸収や散乱の変化を利用して酸素化状態を評価します。光エネルギーを加えているため該当します。
一方、PET 装置とSPECT 装置は、放射性医薬品を体内に投与し、体内から放出される放射線を検出して画像化します。装置自体が X 線や超音波のようなエネルギーを外部から生体へ照射して計測するものとは区別します。
ひっかけポイント PET や SPECT では放射線を扱いますが、装置から生体へ照射しているわけではありません。体内の放射性医薬品から出る放射線を検出している点がポイントです。
選択肢の確認
1.誤り。 選択肢1は a、b、c の組合せです。cの X 線 CT 装置は該当しますが、aの PET 装置とbの SPECT 装置は、装置から生体へ物理的エネルギーを加えて測定する装置としては扱いません。
2.誤り。 選択肢2は a、b、e の組合せです。eの光トポグラフィ装置は該当しますが、aの PET 装置とbの SPECT 装置が該当しません。
3.誤り。 選択肢3は a、d、e の組合せです。dの超音波診断装置とeの光トポグラフィ装置は該当しますが、aの PET 装置が該当しません。
4.誤り。 選択肢4は b、c、d の組合せです。cの X 線 CT 装置とdの超音波診断装置は該当しますが、bの SPECT 装置が該当しません。
5.正しい。 選択肢5は c、d、e の組合せです。X 線 CT 装置は X 線、超音波診断装置は超音波、光トポグラフィ装置は近赤外光を生体へ加えて計測します。
覚えるポイント
- X 線 CT は X 線を照射して測定します。
- 超音波診断装置は超音波を送信して測定します。
- 光トポグラフィは近赤外光を照射して測定します。
- PET と SPECT は体内から放出される放射線を検出します。
- 「装置から加える」のか「体内から出る信号を検出する」のかを分けて考えます。
39AM33
問題文
[39AM33] 機械力を使う治療機器はどれか。 a.輸液ポンプ b.人工呼吸器 c.吸引器 d.除細動器 e.保育器
選択肢
1.a、b、c 2.a、b、e 3.a、d、e 4.b、c、d 5.c、d、e
答え
1.a、b、c
解説
正答
1
この問題のポイント
この問題では、治療機器が利用するエネルギーの種類を判定します。
機械力とは、ポンプ、圧力、吸引、送気、流体移動などの機械的な力を利用することです。
正しい小項目は、a.輸液ポンプ、b.人工呼吸器、c.吸引器です。
したがって、正答は 1 です。
解説
医用治療機器は、患者に加えるエネルギーの種類で整理すると理解しやすくなります。
- 機械的エネルギー
- 電気的エネルギー
- 熱エネルギー
- 光エネルギー
- 超音波エネルギー
- 放射線エネルギー
この問題で問われているのは、機械力を使う治療機器です。
輸液ポンプは、ローラ機構、フィンガ機構、シリンジの押し子などを用いて薬液を送り出します。薬液を移動させるために機械的な力を使うため該当します。
人工呼吸器は、タービン、ブロワ、ピストン、圧縮ガスなどによって気体を患者へ送ります。陽圧換気により肺へガスを送り込むため、機械力を利用する機器です。
吸引器は、陰圧を発生させて血液、分泌物、痰などを吸引します。圧力差を用いて流体を移動させるため、機械力を使う治療機器です。
一方、除細動器は電気エネルギーを心臓へ加える装置です。保育器は温度、湿度、気流などを管理して新生児の環境を維持する装置であり、主な作用は機械力ではなく保温・環境管理です。
国家試験ではここを押さえる 「ポンプで送る」「圧をかける」「吸引する」「流体を動かす」という表現があれば、機械力を利用する機器として考えやすくなります。
選択肢の確認
1.正しい。 選択肢1は a、b、c の組合せです。輸液ポンプ、人工呼吸器、吸引器はいずれも、液体や気体を移動させるために機械力を利用します。
2.誤り。 選択肢2は a、b、e の組合せです。輸液ポンプと人工呼吸器は該当しますが、保育器は主に保温や環境管理を行う装置であり、機械力を使う治療機器としては扱いません。
3.誤り。 選択肢3は a、d、e の組合せです。輸液ポンプは該当しますが、除細動器は電気エネルギーを用いる装置です。保育器も機械力を主作用とする治療機器ではありません。
4.誤り。 選択肢4は b、c、d の組合せです。人工呼吸器と吸引器は該当しますが、除細動器は電気エネルギーを用いる装置です。
5.誤り。 選択肢5は c、d、e の組合せです。吸引器は該当しますが、除細動器と保育器は機械力を主作用とする治療機器ではありません。
覚えるポイント
- 輸液ポンプは薬液を機械的に送り出します。
- 人工呼吸器はガスを機械的に送ります。
- 吸引器は陰圧を利用して吸引します。
- 除細動器は電気エネルギーを利用します。
- 保育器は保温・湿度・環境管理を主目的とします。
- エネルギー分類の問題では、装置が患者に何を加えているかを確認します。
39AM34
問題文
[39AM34] 電気メスの熱傷対策でないのはどれか。
選択肢
1.高周波分流モニタ 2.対極板接触モニタ 3.患者回路連続性モニタ 4.対極板コード断線モニタ 5.商用交流漏れ電流モニタ
答え
5.商用交流漏れ電流モニタ
解説
正答
5
この問題のポイント
この問題では、電気メスによる熱傷対策に関係するモニタかどうかを判定します。
電気メスの熱傷は、主に高周波電流の集中や対極板の接触不良、対極板コードの断線、意図しない高周波分流などで起こります。
この問題は「熱傷対策でないもの」を選ぶため、正答は 5 です。
解説
電気メスは、高周波電流を利用して組織を切開・凝固する治療機器です。
モノポーラ電気メスでは、アクティブ電極から患者体内へ高周波電流が流れ、対極板を通って装置へ戻ります。対極板は広い面積で患者に接触し、電流密度を下げることで熱傷を防ぎます。
熱傷の主な原因は次の通りです。
- 対極板の接触面積不足
- 対極板の貼付不良
- 対極板コードの断線
- 高周波電流が意図しない経路へ分流すること
- 金属部や他の電極への接触
- 皮膚の湿潤や消毒薬の残留
- コード配置や患者体位による電流集中
そのため、電気メスには熱傷を防ぐためのさまざまな監視機能があります。
高周波分流モニタは、高周波電流が本来の経路以外へ流れる危険を監視します。
対極板接触モニタは、対極板と皮膚の接触状態を監視し、接触不良による電流集中を防ぎます。
患者回路連続性モニタや対極板コード断線モニタは、患者回路や対極板コードが正常に接続されているかを確認し、戻り電流の経路異常を防ぐために重要です。
一方、商用交流漏れ電流モニタは、50 Hz または 60 Hz の商用交流に関連する漏れ電流を監視する考え方です。これは電撃防止や電気安全管理に関係しますが、電気メスの高周波電流による熱傷対策とは目的が異なります。
ひっかけポイント 電気メスの熱傷対策では、「高周波電流の戻り道」と「対極板の接触状態」を先に確認します。商用交流漏れ電流は電気安全の重要項目ですが、高周波熱傷対策そのものではありません。
選択肢の確認
1.熱傷対策として該当します。 高周波分流モニタは、高周波電流が意図しない経路へ流れることを監視します。分流による局所的な電流集中は熱傷につながるため、熱傷対策に関係します。
2.熱傷対策として該当します。 対極板接触モニタは、対極板と患者皮膚の接触状態を監視します。接触不良があると電流密度が上がり、対極板部位の熱傷が起こりやすくなります。
3.熱傷対策として該当します。 患者回路連続性モニタは、患者回路が連続しているかを確認するための監視です。回路の不良や接続異常は、戻り電流の経路異常や熱傷リスクにつながります。
4.熱傷対策として該当します。 対極板コード断線モニタは、対極板コードの断線を検出します。対極板への戻り経路が障害されると、意図しない部位へ電流が集中し、熱傷の原因になります。
5.正答。熱傷対策ではありません。 商用交流漏れ電流モニタは、商用交流に関連する漏れ電流の監視であり、電撃防止の考え方に関係します。電気メスの高周波電流による熱傷対策としては扱いません。
覚えるポイント
- 電気メスの熱傷は、高周波電流の集中で起こります。
- 対極板は電流密度を下げるために広く密着させます。
- 対極板接触不良は熱傷の重要な原因です。
- 高周波分流や対極板コード断線も熱傷リスクになります。
- 商用交流漏れ電流は電撃対策であり、高周波熱傷対策とは区別します。
39AM35
問題文
[39AM35] 除細動器について正しいのはどれか。 a.成人の体内直接通電は 20〜60 J で行う。 b.点検に用いる負荷抵抗は標準的に 5 Ω とされている。 c.電極を皮膚に強く押し付けると熱傷が生じる。 d.除細動効果は通電エネルギーに依存する。 e.オートショック AED にはショックボタンがない。
選択肢
1.a、b、c 2.a、b、e 3.a、d、e 4.b、c、d 5.c、d、e
答え
3.a、d、e
解説
正答
3
この問題のポイント
この問題では、除細動器の通電エネルギー、点検、電極接触、AED の構造について問われています。
正しい小項目は、a.成人の体内直接通電は 20〜60 J で行う、d.除細動効果は通電エネルギーに依存する、e.オートショック AED にはショックボタンがないです。
したがって、正答は 3 です。
解説
除細動器は、心室細動や無脈性心室頻拍などに対して、心筋に短時間の電気エネルギーを加え、無秩序な興奮をリセットする装置です。
除細動を理解するときは、次の点を整理します。
- 体外式除細動か、体内直接通電か
- 単相性波形か、二相性波形か
- 設定エネルギーと実際の通電エネルギー
- 患者インピーダンス
- 電極の接触状態
- 同期通電か非同期通電か
- AED の操作方式
a.成人の体内直接通電は 20〜60 J で行う。
体内直接通電では、開胸下などで心臓に直接電極を当てて通電します。胸壁を介する体外式除細動よりもインピーダンスが小さいため、必要なエネルギーは低くなります。成人では 20〜60 J 程度で行うため、正しい記述です。
b.点検に用いる負荷抵抗は標準的に 5 Ω とされている。
これは誤りです。除細動器の点検では、患者の胸郭インピーダンスを模擬するため、標準的には 50 Ω 程度の負荷抵抗を用います。5 Ω は小さすぎます。
c.電極を皮膚に強く押し付けると熱傷が生じる。
これは誤りです。体外式除細動では、電極と皮膚の接触を良くし、接触抵抗を下げることが重要です。接触が不十分な場合、電流が狭い範囲に集中し、熱傷の原因になります。適切な圧着、パッド密着、ゲルの使用により熱傷リスクを下げます。
d.除細動効果は通電エネルギーに依存する。
正しい記述です。除細動効果は、心筋に十分な電流が流れるかどうかに関係します。通電エネルギー、波形、電極位置、患者インピーダンスなどが影響しますが、通電エネルギーは重要な要素です。
e.オートショック AED にはショックボタンがない。
正しい記述です。オートショック AED は、除細動が必要と判断した場合に音声や表示で警告した後、自動的にショックを行います。そのため、従来型 AED のようなショックボタンはありません。
安全管理上のポイント 除細動器では、出力点検、バッテリー確認、電極パッド期限、同期通電の動作確認、記録紙やアラームの確認が重要です。通電時は患者、ベッド、輸液ライン、周囲の医療者に触れていないことを声出し確認します。
選択肢の確認
1.誤り。 選択肢1は a、b、c の組合せです。aは正しいですが、bは負荷抵抗が 5 Ω としている点が誤りです。また、cは電極を適切に密着させることが熱傷予防につながるため誤りです。
2.誤り。 選択肢2は a、b、e の組合せです。aとeは正しいですが、bが誤りです。点検用の負荷抵抗は標準的に 5 Ω ではなく、50 Ω 程度を用います。
3.正しい。 選択肢3は a、d、e の組合せです。成人の体内直接通電は 20〜60 J 程度で行い、除細動効果は通電エネルギーに依存します。また、オートショック AED にはショックボタンがありません。
4.誤り。 選択肢4は b、c、d の組合せです。dは正しいですが、bとcが誤りです。負荷抵抗は 5 Ω ではなく、電極の適切な密着は熱傷予防に重要です。
5.誤り。 選択肢5は c、d、e の組合せです。dとeは正しいですが、cが誤りです。電極を適切に皮膚へ密着させることは、接触抵抗を下げて熱傷リスクを減らします。
覚えるポイント
- 体内直接通電は体外式より低いエネルギーで行います。
- 成人の体内直接通電は 20〜60 J が目安です。
- 除細動器の点検用負荷抵抗は標準的に 50 Ω 程度です。
- 電極接触が悪いと熱傷リスクが上がります。
- 除細動効果は、通電エネルギー、波形、電極位置、患者インピーダンスに影響されます。
- オートショック AED にはショックボタンがありません。
39AM36
問題文
[39AM36] 除細動器内部コンデンサの静電容量が 150 μF で、設定エネルギーが 300 J の場合、除細動に用いる充電電圧[V]はどれか。 ただし、内部損失がないものとする。
選択肢
1.141 2.200 3.1,414 4.2,000 5.14,142
答え
4.2,000
解説
正答
4
この問題のポイント
この問題では、除細動器内部コンデンサに蓄えられるエネルギーから、充電電圧を求めます。
使う式は、コンデンサに蓄えられるエネルギーです。
- E = 1/2 × C × V^2
ここで、E はエネルギー、C は静電容量、V は充電電圧です。
解説
除細動器では、内部のコンデンサに電気エネルギーを蓄え、短時間で患者へ放電します。
内部損失がない条件なので、設定エネルギー 300 J はコンデンサに蓄えられたエネルギーとして考えます。
計算の流れ
使う公式は次の通りです。
- E = 1/2 × C × V^2
求めたいのは V なので、式を変形します。
- V^2 = 2E / C
- V = √(2E / C)
単位変換
静電容量を F に直します。
- 150 μF = 150 × 10^-6 F
- 150 × 10^-6 F = 1.50 × 10^-4 F
代入
- E = 300 J
- C = 150 × 10^-6 F
式に代入します。
- V^2 = 2 × 300 / 150 × 10^-6
- V^2 = 600 / 150 × 10^-6
- V^2 = 4.0 × 10^6
したがって、
- V = √(4.0 × 10^6)
- V = 2.0 × 10^3
- V = 2,000 V
よって、除細動に用いる充電電圧は 2,000 V です。
ひっかけポイント 1/2 を忘れると 1,414 V を選びやすくなります。コンデンサのエネルギー式は必ず E = 1/2 × C × V^2 と覚えます。
安全管理上のポイント 除細動器は高電圧・大エネルギーを扱う治療機器です。点検時は出力エネルギー、充電時間、放電動作、電極・パッド、バッテリー状態を確認します。
選択肢の確認
1.誤り。 141 V では、150 μF のコンデンサに 300 J を蓄えるには電圧が低すぎます。
2.誤り。 200 V では、必要なエネルギーに対して電圧が不足します。計算結果は 2,000 V です。
3.誤り。 1,414 V は、エネルギー式の 1/2 を考慮しない場合に出やすい値です。正しくは E = 1/2 × C × V^2 を用います。
4.正しい。 計算すると、V = 2,000 V となります。したがって、この選択肢が正答です。
5.誤り。 14,142 V は大きすぎます。μF から F への単位変換と、平方根の計算を確認します。
覚えるポイント
- コンデンサのエネルギーは E = 1/2 × C × V^2 です。
- μF は 10^-6 F に変換します。
- 除細動器はコンデンサに蓄えたエネルギーを放電します。
- 1/2 を忘れると誤答しやすくなります。
- 計算問題では、公式、単位変換、代入、平方根の順に確認します。
39AM37
問題文
[39AM37] 輸液ポンプとシリンジポンプに共通するアラームはどれか。 a.閉 塞 b.押し子 c.気泡混入 d.流量異常 e.バッテリー
選択肢
1.a、b 2.a、e 3.b、c 4.c、d 5.d、e
答え
2.a、e
解説
正答
2
この問題のポイント
この問題では、輸液ポンプとシリンジポンプに共通するアラームを選びます。
共通する代表的なアラームは、閉塞とバッテリーです。
正しい小項目は、a.閉塞、e.バッテリーです。
したがって、正答は 2 です。
解説
輸液ポンプとシリンジポンプは、どちらも薬液を一定速度で投与するための機器です。
ただし、薬液を送る仕組みが異なります。
- 輸液ポンプ
- 輸液チューブをローラやフィンガ機構でしごいて送液します。
- 輸液ライン、滴下、気泡、ドア開放などに関する監視が重要です。
- シリンジポンプ
- シリンジの押し子を機械的に押して送液します。
- シリンジの装着、押し子の固定、残量、閉塞などの監視が重要です。
両者に共通して重要なのは、薬液が流れにくくなる閉塞と、電源供給に関わるバッテリーです。
閉塞アラームは、輸液ラインやカテーテルの閉塞、クレンメの閉め忘れ、三方活栓の向き、針先の閉塞などで圧が上昇した場合に作動します。輸液ポンプでもシリンジポンプでも重要です。
バッテリーアラームは、内蔵バッテリーの残量低下や電源異常を知らせます。どちらの機器でも、搬送時や停電時の安全確保に重要です。
一方、押し子はシリンジポンプに特有の要素です。気泡混入は主に輸液ポンプで重要なアラームとして扱われます。流量異常も機種により監視方法はありますが、この組合せ問題では両者に共通する代表的アラームとしては扱いません。
臨床工学技士としての注意点 アラームが鳴ったときは、アラームを止める前に原因を確認します。ライン閉塞、三方活栓、クレンメ、シリンジ装着、バッテリー残量、AC電源接続を順に確認することが重要です。
ひっかけポイント 「押し子」はシリンジポンプに特徴的です。「気泡混入」は輸液ポンプで代表的です。両方に共通するものだけを選びます。
選択肢の確認
1.誤り。 選択肢1は a、b の組合せです。aの閉塞は共通しますが、bの押し子はシリンジポンプに特有の要素です。
2.正しい。 選択肢2は a、e の組合せです。閉塞アラームとバッテリーアラームは、輸液ポンプとシリンジポンプの両方に共通する代表的なアラームです。
3.誤り。 選択肢3は b、c の組合せです。bの押し子はシリンジポンプに特有です。cの気泡混入は主に輸液ポンプで重要なアラームとして扱われ、共通する組合せとしては不適切です。
4.誤り。 選択肢4は c、d の組合せです。気泡混入と流量異常は、この問題で問われている両者共通の代表的アラームとしては扱いません。
5.誤り。 選択肢5は d、e の組合せです。eのバッテリーは共通しますが、dの流量異常は両者共通の代表的アラームとしては不適切です。
覚えるポイント
- 閉塞アラームは輸液ポンプとシリンジポンプに共通します。
- バッテリーアラームも両者に共通します。
- 押し子はシリンジポンプに特徴的です。
- 気泡混入は輸液ポンプで代表的に扱われます。
- アラーム対応では、原因確認、患者状態、ライン状態、電源状態をセットで確認します。
39AM38
問題文
[39AM38] 超音波振動子の医療応用で誤っているのはどれか。
選択肢
1.歯牙の破砕 2.肝実質の破砕 3.水晶体の破砕 4.尿管結石の破砕 5.がんへの温熱療法
答え
1.歯牙の破砕
解説
正答
1
この問題のポイント
この問題では、超音波振動子の医療応用として適切でないものを選びます。
超音波は、診断だけでなく、破砕、乳化、吸引、加温などの治療にも応用されます。
この問題は「誤っているもの」を選ぶ問題です。記述として誤っている 1 が正答です。
解説
超音波振動子は、電気エネルギーを機械的振動に変換し、超音波を発生させます。
医療では、超音波の性質を利用して次のような応用が行われます。
- 組織や結石の破砕
- 水晶体の乳化・吸引
- 軟部組織の切開・凝固
- がん組織への加温
- 画像診断
- 洗浄や歯石除去
肝実質の破砕では、超音波吸引装置が用いられます。肝実質などの軟らかい組織を破砕・乳化し、吸引することで、血管や胆管などを比較的温存しながら処置する目的があります。
水晶体の破砕は、白内障手術で行われる超音波乳化吸引に関係します。超音波振動により混濁した水晶体を破砕・乳化し、吸引します。
尿管結石の破砕では、超音波や衝撃波などを用いた結石破砕が医療応用として扱われます。
がんへの温熱療法では、超音波エネルギーを組織に集中させ、温度上昇を利用して治療効果を狙います。高密度焦点式超音波なども関連します。
一方、歯牙の破砕は超音波振動子の一般的な医療応用としては扱いません。歯科領域では、超音波スケーラによる歯石除去などに用いられますが、歯そのものを破砕する目的ではありません。
ひっかけポイント 歯科で超音波を使うことはあります。ただし、代表的なのは歯石除去や洗浄であり、歯牙そのものの破砕ではありません。
選択肢の確認
1.正答。記述としては誤り。 超音波振動子は歯科で歯石除去などに用いられますが、歯牙そのものを破砕する医療応用としては通常扱いません。この問題では、これが誤っている記述です。
2.記述としては正しい。 肝実質の破砕には、超音波吸引装置などが用いられます。軟部組織を破砕・乳化し、吸引する医療応用です。
3.記述としては正しい。 水晶体の破砕は、白内障手術における超音波乳化吸引に関係します。超音波で水晶体を破砕・乳化して吸引します。
4.記述としては正しい。 尿管結石の破砕は、超音波や衝撃波を利用する治療応用として扱われます。結石を細かくして排出または除去しやすくします。
5.記述としては正しい。 超音波は、がん組織の加温や集束超音波治療などに応用されます。エネルギーを集中させて温度上昇を利用します。
覚えるポイント
- 超音波振動子は、電気エネルギーを機械的振動に変換します。
- 肝実質の破砕は超音波吸引装置に関係します。
- 水晶体の破砕は白内障手術の超音波乳化吸引に関係します。
- 尿管結石の破砕も超音波・衝撃波の医療応用として押さえます。
- がんへの温熱療法では超音波による加温が利用されます。
- 歯科の超音波利用は主に歯石除去であり、歯牙の破砕とは区別します。
39AM39
問題文
[39AM39] 電撃に関する閾値で誤っているのはどれか。
選択肢
1.ミクロショックで心室細動を生じる商用交流電流 :10 nA 2.マクロショックで心室細動を生じる商用交流電流 :100 mA 3.手で触れて感じる最小の商用交流電流 :1 mA 4.電線を握った手が自分で離脱困難となる商用交流電流:10 mA 5.電撃閾値が変化し始める周波数 :1 kHz
答え
1.ミクロショックで心室細動を生じる商用交流電流 :10 nA
解説
正答
1
この問題のポイント
この問題では、電撃に関する代表的な閾値が問われています。
重要なのは、ミクロショックとマクロショックを区別することです。
この問題は「誤っているもの」を選ぶ問題です。記述として誤っている 1 が正答です。
解説
電撃の危険性は、電流の大きさだけでなく、電流の通り道、周波数、通電時間、接触状態、皮膚抵抗などによって変わります。
臨床工学技士国家試験では、代表値として次のように整理します。
- 手で触れて感じる最小の商用交流電流:約 1 mA
- 電線を握った手が自分で離脱困難となる商用交流電流:約 10 mA
- マクロショックで心室細動を生じる商用交流電流:約 100 mA
- ミクロショックで心室細動を生じる商用交流電流:約 100 μA
- 電撃閾値が変化し始める周波数:約 1 kHz
マクロショックは、体表から体内へ電流が流れる電撃です。皮膚抵抗があるため、心室細動を起こすには比較的大きな電流が必要です。代表値として 100 mA 程度を押さえます。
ミクロショックは、心臓に留置されたカテーテルや電極などを介して、心臓へ直接に近い形で電流が流れる場合の電撃です。皮膚抵抗による保護が期待できないため、非常に小さな電流でも心室細動の危険があります。
ただし、ミクロショックで心室細動を生じる代表値は 10 nA ではありません。国家試験上は 100 μA 程度として覚えます。
単位の違いにも注意します。
- 1 μA = 1,000 nA
- 100 μA = 100,000 nA
したがって、10 nA は 100 μA と比べて非常に小さく、この記述は誤りです。
ひっかけポイント ミクロショックはマクロショックより小さい電流で危険ですが、10 nA ではありません。単位の nA、μA、mA を混同しないことが重要です。
ME機器管理での注意点 心臓カテーテル、ペースメーカリード、体内電極などがある患者では、ミクロショック対策が重要です。患者漏れ電流、保護接地、等電位接地、機器の点検を確認します。
選択肢の確認
1.正答。記述としては誤り。 ミクロショックで心室細動を生じる商用交流電流は、代表値として 100 μA 程度を押さえます。10 nA は小さすぎるため、この記述は誤りです。
2.記述としては正しい。 マクロショックで心室細動を生じる商用交流電流は、代表値として 100 mA 程度です。体表から電流が流れるため、皮膚抵抗の影響を受けます。
3.記述としては正しい。 手で触れて感じる最小の商用交流電流は、代表値として 1 mA 程度です。これを最小感知電流として押さえます。
4.記述としては正しい。 電線を握った手が自分で離脱困難となる商用交流電流は、代表値として 10 mA 程度です。筋収縮により自力で離れにくくなるため危険です。
5.記述としては正しい。 電撃閾値が変化し始める周波数は、代表値として 1 kHz 程度です。低周波では神経や筋の刺激が問題になり、高周波になると刺激作用よりも発熱作用が問題になります。
覚えるポイント
- マクロショックは体表から流れる電撃です。
- ミクロショックは心臓へ直接に近い経路で流れる電撃です。
- 最小感知電流は 約 1 mA です。
- 離脱困難電流は 約 10 mA です。
- マクロショックによる心室細動は 約 100 mA です。
- ミクロショックによる心室細動は 約 100 μA です。
- 10 nA はミクロショックの心室細動閾値としては小さすぎます。
39AM40
問題文
[39AM40] 正常状態の許容値が図 1 の ME 機器と図 2 の ME 機器で等しいのはどれか。 a.接触電流 b.接地漏れ電流 c.患者測定電流(交流) d.患者装着部から大地への患者漏れ電流(交流) e.SIP へ外部電圧を印加した場合の患者漏れ電流(直流)
選択肢
1.a、b、c 2.a、b、e 3.a、d、e 4.b、c、d 5.c、d、e
答え
2.a、b、e
解説
正答
2
この問題のポイント
この問題では、ME機器の図記号と、正常状態における漏れ電流・患者測定電流の許容値が問われています。
図1は人型マークで、一般に BF形装着部を示します。図2は心臓マークで、一般に CF形装着部を示します。
CF形装着部は、心臓へ直接適用される可能性を考慮するため、患者に流れる電流について BF形より厳しい許容値が設定される項目があります。
正常状態の許容値が図1と図2で等しいのは、a.接触電流、b.接地漏れ電流、e.SIPへ外部電圧を印加した場合の患者漏れ電流(直流)です。
したがって、正答は 2 です。
解説
ME機器の漏れ電流では、まず次の3点を分けて考えることが重要です。
- どこからどこへ流れる電流か
- 正常状態か、単一故障状態か
- 装着部の種類が B形、BF形、CF形のどれか
図1の人型マークは、患者の体表に接続する装着部を示すマークです。図2の心臓マークは、心臓への直接適用を想定する CF形装着部を示します。
CF形は心臓に近い経路で電流が流れる危険を想定するため、患者漏れ電流や患者測定電流の一部では、BF形より厳しい許容値になります。
a.接触電流
接触電流は、患者や操作者が触れる可能性のある外装部などから、人体を介して流れる電流です。
これは主に機器の外装や保護接地、電源部の安全性に関係します。患者装着部が BF形か CF形かで決まる項目ではないため、図1と図2で正常状態の許容値は等しくなります。
b.接地漏れ電流
接地漏れ電流は、保護接地線を通って大地へ流れる漏れ電流です。
これは主にクラスI機器の保護接地に関係する電流です。患者装着部の種類そのものではなく、機器全体の電気安全に関係するため、図1と図2で正常状態の許容値は等しくなります。
c.患者測定電流(交流)
患者測定電流は、測定のために患者装着部を通じて患者へ流れる微小な電流です。
交流の患者測定電流では、心臓へ直接適用される可能性がある CF形の方が、BF形より厳しく扱われます。そのため、図1と図2で正常状態の許容値は等しくありません。
d.患者装着部から大地への患者漏れ電流(交流)
患者装着部から大地への患者漏れ電流は、患者装着部から患者を介して大地へ流れる可能性のある漏れ電流です。
交流では心筋刺激の危険が問題になりやすいため、CF形装着部では特に厳しい許容値が設定されます。したがって、図1と図2で正常状態の許容値は等しくありません。
e.SIPへ外部電圧を印加した場合の患者漏れ電流(直流)
SIP は信号入力部を意味します。
SIPへ外部電圧を印加した場合の患者漏れ電流は、外部機器や信号線を介して患者側へ流れ込む漏れ電流を確認する項目です。
このうち直流については、正常状態の許容値が図1と図2で等しい項目として扱います。
ひっかけポイント CF形はすべての電流項目で必ず BF形より厳しい、というわけではありません。接触電流や接地漏れ電流のように、装着部の種類ではなく機器全体の電気安全に関係する項目では、許容値が等しくなるものがあります。
ME機器管理での注意点 漏れ電流の問題では、電流の名称だけで判断しないことが重要です。接触電流、接地漏れ電流、患者漏れ電流、患者測定電流を区別し、さらに交流か直流かを確認します。
選択肢の確認
1.誤り。 選択肢1は a、b、c の組合せです。aの接触電流とbの接地漏れ電流は図1と図2で正常状態の許容値が等しい項目です。しかし、cの患者測定電流(交流)は、BF形とCF形で許容値が異なるため不適切です。
2.正しい。 選択肢2は a、b、e の組合せです。接触電流、接地漏れ電流、SIPへ外部電圧を印加した場合の患者漏れ電流(直流)は、図1と図2で正常状態の許容値が等しい項目です。
3.誤り。 選択肢3は a、d、e の組合せです。aとeは等しい項目ですが、dの患者装着部から大地への患者漏れ電流(交流)は、CF形でより厳しく扱われるため、図1と図2で許容値が等しくありません。
4.誤り。 選択肢4は b、c、d の組合せです。bの接地漏れ電流は等しい項目ですが、cの患者測定電流(交流)とdの患者装着部から大地への患者漏れ電流(交流)は等しくありません。
5.誤り。 選択肢5は c、d、e の組合せです。eは等しい項目ですが、cとdが等しくありません。交流で患者側に流れる電流は、CF形でより厳しく扱われる点に注意します。
覚えるポイント
- 図1の人型マークは、一般に BF形装着部を示します。
- 図2の心臓マークは、一般に CF形装着部を示します。
- CF形装着部は、心臓への直接適用を想定するため患者電流に厳しい基準があります。
- 接触電流と接地漏れ電流は、装着部の種類ではなく機器全体の電気安全に関係します。
- 患者測定電流(交流)と患者装着部から大地への患者漏れ電流(交流)は、BF形とCF形で許容値が異なります。
- 漏れ電流問題では、電流の経路、交流か直流か、正常状態か単一故障状態かを順に確認します。
39AM41
問題文
[39AM41] ME 機器の患者漏れ電流で直流の許容値が規定される主な理由はどれか。
選択肢
1.交流よりも感電閾値が低いため 2.ミクロショックを生じやすいため 3.交流よりも F 形装着部を通過しやすいため 4.電気分解による組織損傷の恐れがあるため 5.内部バッテリーで動作する機器があるため
答え
4.電気分解による組織損傷の恐れがあるため
解説
正答
4
この問題のポイント
この問題では、ME機器の患者漏れ電流において、なぜ直流成分にも許容値が定められているのかが問われています。
ポイントは、直流電流による危険を「感電しやすさ」だけで考えないことです。
直流では、電極や体液との接触部で電気分解が起こり、化学的な組織損傷につながるおそれがあります。
解説
患者漏れ電流とは、ME機器の患者装着部から患者を介して流れる意図しない電流です。
漏れ電流には交流成分と直流成分があり、それぞれ生体への影響が異なります。
交流、特に商用周波数付近の電流では、心筋刺激や電撃の危険が重要になります。一方、直流電流では、持続的に同じ向きに電荷が移動するため、電極と生体組織の接触部で化学反応が起こりやすくなります。
具体的には、体液中のイオンが移動し、電極周囲で電気分解が生じます。その結果、局所的なpH変化、ガス発生、金属イオンの溶出、組織の化学的損傷などが問題になります。
そのため、患者漏れ電流では、直流成分についても許容値が規定されています。
ひっかけポイント 直流の許容値がある理由を、単純に「交流より感電しやすいから」と考えると誤りです。直流では、電気分解による組織損傷が重要な理由になります。
選択肢の確認
1.誤り。 直流は、一般に商用周波数の交流よりも感電閾値が低いから規定されているわけではありません。ME機器の患者漏れ電流で直流成分を管理する主な理由は、感電閾値ではなく電気分解による局所組織損傷です。
2.誤り。 ミクロショックは、心臓内や心臓近傍に直接電流が流れることで、非常に小さな電流でも心室細動などを起こし得る現象です。ミクロショック対策として漏れ電流の管理は重要ですが、直流許容値が規定される主な理由としては、電気分解による組織損傷の方が適切です。
3.誤り。 F形装着部は、患者装着部を接地から浮かせる構造により、患者を介した漏れ電流を低減する目的の装着部です。直流が交流よりもF形装着部を通過しやすいから許容値が規定されているわけではありません。
4.正しい。 直流電流が患者装着部から生体へ持続的に流れると、電極と体液の接触部で電気分解が生じるおそれがあります。これにより、局所的な化学変化や組織損傷を起こす可能性があるため、患者漏れ電流では直流の許容値も規定されます。
5.誤り。 内部バッテリーで動作するME機器が存在すること自体は事実ですが、それが直流患者漏れ電流の許容値を規定する主な理由ではありません。問題の中心は、直流電流が生体組織に及ぼす電気化学的作用です。
覚えるポイント
- 患者漏れ電流は、患者装着部を介して患者に流れる意図しない電流である。
- 交流では、心筋刺激や電撃の危険が重要になる。
- 直流では、持続的な電荷移動により電気分解が起こりやすい。
- 直流患者漏れ電流の許容値が規定される主な理由は、電気分解による組織損傷の防止である。
- 漏れ電流の問題では、「どこを流れる電流か」「交流か直流か」「患者装着部の種類は何か」を分けて考える。
39AM42
問題文
[39AM42] JIS T 0601-1 で規定されている図の漏れ電流測定用器具(MD)について正しいのはどれか。
選択肢
1.R₁ と C₁ とで高域遮断フィルタを構成する。 2.R₂ の抵抗値は 10 kΩ である。 3.電圧測定器の入力インピーダンスは 100 kΩ である。 4.電圧測定器の入力容量は 150 μF である。 5.漏れ電流値は電圧測定値を R₁ で除して求める。
答え
1.R₁ と C₁ とで高域遮断フィルタを構成する。
解説
正答
1
この問題のポイント
この問題では、JIS T 0601-1で規定される漏れ電流測定用器具 MDの回路構成が問われています。
図では、左側が測定対象に接続される端子、右側が電圧測定器です。回路中のR₁ と C₁に注目すると、抵抗とコンデンサによる周波数特性をもつ回路であることが分かります。
図で見るポイント R₁ は上側の線路に直列に入っており、C₁ は電圧測定器と並列に下側線路へ接続されています。出力を C₁ の両端から取り出すため、R₁ と C₁ は高周波成分を減衰させる高域遮断フィルタとして働きます。
解説
漏れ電流測定用器具 MDは、ME機器から流れる漏れ電流を、人体への影響を考慮した形で評価するための測定用ネットワークです。
図の回路では、次の構成が重要です。
- R₁:10 kΩ
- R₂:1 kΩ
- C₁:0.015 μF
- 電圧測定器の入力インピーダンス:1 MΩ以上
- 電圧測定器の入力容量:150 pF以下
R₁ と C₁ は、R₁ が直列、C₁ が測定端子側で並列に入る形になっています。これは、出力をコンデンサ C₁ の両端で見る低域通過フィルタです。
低域通過フィルタは、高い周波数成分を通しにくくするため、別の言い方では高域遮断フィルタといいます。
遮断周波数は、おおよそ次の関係で表されます。
- f = 1 / (2π × R₁ × C₁)
R₁ = 10 kΩ、C₁ = 0.015 μF を用いると、遮断周波数は約1 kHzになります。
このMDは、単に電流をそのまま測るだけでなく、人体への電撃作用を考慮して周波数特性をもたせている点が重要です。
ひっかけポイント 「高域遮断フィルタ」と「低域通過フィルタ」は表現が違いますが、意味は対応しています。高い周波数を遮断し、低い周波数を通しやすい回路です。
選択肢の確認
1.正しい。 R₁ は直列抵抗、C₁ は電圧測定器と並列に接続されたコンデンサです。出力を C₁ の両端で測るため、R₁ と C₁ は高周波成分を減衰させる高域遮断フィルタを構成します。
2.誤り。 R₂ の抵抗値は10 kΩではなく 1 kΩです。10 kΩはR₁の値です。R₁ と R₂ の数値を入れ替えないように注意します。
3.誤り。 電圧測定器の入力インピーダンスは100 kΩではなく 1 MΩ以上です。入力インピーダンスが十分に高いことで、MD回路に余分な電流を流しにくくし、測定値への影響を小さくします。
4.誤り。 電圧測定器の入力容量は150 μFではありません。規定される入力容量は150 pF以下です。μF と pF では大きさが大きく異なるため、単位のひっかけに注意します。
5.誤り。 漏れ電流値は、電圧測定器で測定した電圧をR₁ではなく R₂、すなわち 1 kΩで除して求めます。したがって、1 V と測定された場合は、1 V / 1 kΩ = 1 mA と評価します。
覚えるポイント
- MDは、漏れ電流を人体への影響を考慮して測定するための測定用器具である。
- 図のR₁ と C₁は、高周波成分を減衰させる高域遮断フィルタを構成する。
- R₁ = 10 kΩ、R₂ = 1 kΩ、C₁ = 0.015 μFを押さえる。
- 電圧測定器は、入力インピーダンス 1 MΩ以上、入力容量 150 pF以下が重要である。
- 漏れ電流値は、電圧測定値を1 kΩで除して求める。
- ME機器安全管理では、漏れ電流の種類だけでなく、測定に用いるMDの構成と周波数特性も確認する。
39AM43
問題文
[39AM43] 接触電流を単一故障状態で測定するとき、漏れ電流測定用器具(MD)を接続する位置として正しいのはどれか。 ただし、図中の矢印は接続した状態をあらわす。 A:壁面接地端子 B:3P-2P 変換プラグの接地線 C:機器の信号入力部 D:患者接続部 E:機器外装の金属部
選択肢
1.A-B間 2.B-C間 3.C-D間 4.D-E間 5.E-A間
答え
5.E-A間
解説
正答
5
この問題のポイント
この問題では、接触電流を単一故障状態で測定するときに、漏れ電流測定用器具 MDをどこに接続するかが問われています。
接触電流は、機器外装の金属部など患者接続部以外の触れる部分から、人を介して大地へ流れる電流を想定したものです。
したがって、測定では機器外装の金属部 Eと大地側である壁面接地端子 Aの間にMDを接続することが基本になります。
解説
接触電流は、使用者や患者が機器の外装金属部などの可触部に触れたときに、身体を通って流れ得る電流です。
一方、患者接続部に関係する漏れ電流は、患者漏れ電流として別に扱います。ここを混同しないことが重要です。
図では、次の点が重要です。
図で見るポイント 図では、ME機器は3P-2P変換プラグを介して電源に接続されています。
A は壁面接地端子、B は3P-2P変換プラグの接地線、E は機器外装の金属部です。
単一故障状態では、保護接地が正常に機能しない状態を想定します。このとき、可触部に生じる漏れ電流を評価するため、E と A の間に MD を接続して測定します。
接触電流の測定対象はあくまで外装の金属部です。したがって、患者接続部 Dや信号入力部 Cを相手にした接続は、接触電流の測定としては不適切です。
ひっかけポイント 接触電流は「外装などの可触部」、 患者漏れ電流は「患者接続部」 の評価です。
問題文に患者接続部が出てきても、測定したいものが何かを先に確認します。
ME機器管理での注意点 漏れ電流の問題では、
- 何を測るのか
- 正常状態か単一故障状態か
- どことどこの間にMDを入れるのか を整理して考えることが大切です。
選択肢の確認
1.誤り。 A は壁面接地端子、B は3P-2P変換プラグの接地線です。この間は接地線まわりの接続関係であり、機器外装に触れたときの接触電流を評価する接続ではありません。
2.誤り。 B は3P-2P変換プラグの接地線、C は機器の信号入力部です。信号入力部は可触金属外装の評価位置ではなく、接触電流測定の接続位置としては不適切です。
3.誤り。 C は機器の信号入力部、D は患者接続部です。この組合せは、信号系や患者接続部に関係する経路であり、接触電流ではなく別の漏れ電流の考え方に近くなります。
4.誤り。 D は患者接続部、E は機器外装の金属部です。患者接続部を含むため、接触電流の測定位置としては不適切です。患者接続部に関係する電流は患者漏れ電流として考えます。
5.正しい。 E は機器外装の金属部、A は壁面接地端子です。接触電流は、可触部から人を介して大地へ流れる電流を想定するため、E-A間にMDを接続して測定します。これが接触電流測定として正しい位置です。
覚えるポイント
- 接触電流は、機器の可触部や外装金属部から人を介して流れる電流である。
- 患者接続部に関する漏れ電流は、患者漏れ電流として別に扱う。
- 単一故障状態では、保護接地が正常に働かない状態も想定して評価する。
- 接触電流測定では、機器外装の金属部 Eと壁面接地端子 Aの間にMDを接続する。
- この問題の正答はE-A間であり、選択肢では5である。
39AM44
問題文
[39AM44] 人工呼吸器のテスト肺を用いた点検について誤っているのはどれか。
選択肢
1.呼吸回路コンプライアンスの確認 2.アラーム機能の確認 3.モニタ機能の確認 4.換気モードの確認 5.換気能力の確認
答え
1.呼吸回路コンプライアンスの確認
解説
正答
1
この問題のポイント
この問題では、人工呼吸器のテスト肺を用いた点検で確認できる項目と、確認しにくい項目の区別が問われています。
テスト肺は、患者の肺の代わりとして人工呼吸器に接続し、換気動作、アラーム、モニタ表示、換気モードなどを確認するために使います。
一方、呼吸回路コンプライアンスは、呼吸回路自体の膨らみやすさに関する特性です。これはテスト肺を用いた通常の動作確認だけで評価する項目ではありません。
解説
人工呼吸器の点検では、患者に接続する前に、装置が設定どおりに換気できるかを確認します。
テスト肺を接続すると、人工呼吸器が吸気を送ったときにテスト肺が膨らみ、呼気時に戻るため、患者に装着する前の模擬的な確認ができます。
テスト肺で確認しやすい項目は、次のようなものです。
- 設定した換気モードで動作するか
- 一回換気量、気道内圧、換気回数などのモニタ表示が妥当か
- 高圧、低圧、無呼吸、回路外れなどのアラーム機能が作動するか
- 人工呼吸器が一定の換気を行えるかという換気能力
一方、呼吸回路コンプライアンスは、呼吸回路内に圧がかかったときに回路が膨らみ、その分だけ送気量が回路内に失われる性質です。
これは、テスト肺の膨らみやすさと混ざってしまうため、テスト肺を接続した通常の点検で直接確認するものではありません。呼吸回路コンプライアンスの確認や補正は、人工呼吸器のセルフテスト、回路チェック、専用の測定手順などで行います。
ひっかけポイント テスト肺で確認する項目と、呼吸回路そのものの特性を測定する項目を分けて考えます。
テスト肺は「人工呼吸器が患者に換気する動作」を模擬する道具であり、呼吸回路コンプライアンスを直接測る道具ではありません。
臨床工学技士としての注意点 人工呼吸器の始業点検では、装置の作動、換気状態、アラーム、電源、酸素供給、呼吸回路接続、加温加湿器、フィルタなどを総合的に確認します。テスト肺で問題がなくても、患者接続前には回路接続やアラーム設定を再確認することが重要です。
選択肢の確認
1.正答。記述としては誤り。 呼吸回路コンプライアンスは、呼吸回路自体の膨らみやすさに関する特性です。テスト肺を用いた通常の点検では、テスト肺のコンプライアンスや抵抗の影響を受けるため、呼吸回路コンプライアンスを直接確認する項目としては不適切です。
2.記述としては正しい。 テスト肺を用いることで、高圧アラーム、低圧アラーム、回路外れアラーム、無呼吸アラームなどの作動を確認できます。アラーム機能の確認は、患者安全に直結する重要な点検項目です。
3.記述としては正しい。 テスト肺を接続して換気を行うと、一回換気量、気道内圧、換気回数、分時換気量などのモニタ表示を確認できます。設定値と表示値が大きくずれていないかを確認します。
4.記述としては正しい。 テスト肺を用いることで、量規定換気、圧規定換気、補助換気など、設定した換気モードで人工呼吸器が動作するかを確認できます。換気モードの確認は、患者接続前の基本的な点検です。
5.記述としては正しい。 テスト肺に対して適切に送気できるか、設定した換気量や圧が得られるかを確認することで、人工呼吸器の換気能力を評価できます。
この問題では「誤っているもの」を選ぶため、記述として誤っている1が正答です。
覚えるポイント
- テスト肺は、患者の肺を模擬して人工呼吸器の動作を確認する器具である。
- テスト肺では、アラーム機能、モニタ機能、換気モード、換気能力を確認できる。
- 呼吸回路コンプライアンスは、呼吸回路自体の膨らみやすさに関する特性である。
- 呼吸回路コンプライアンスの確認や補正は、通常、人工呼吸器のセルフテストや回路チェックで行う。
- 「テスト肺のコンプライアンス」と「呼吸回路コンプライアンス」を混同しない。
39AM45
問題文
[39AM45] 内容量 40 L の大型二酸化炭素ボンベに用いられているガス別特定はどれか。
選択肢
1.DISS 2.NIST 3.おねじ 4.ヨーク形 5.ピン方式
答え
3.おねじ
解説
正答
3
この問題のポイント
この問題では、医療ガスボンベのガス別特定方式が問われています。
内容量40 Lの大型ボンベは、携帯用の小型ボンベではなく、大型容器として扱います。
大型の二酸化炭素ボンベでは、ガスを取り違えないようにするため、接続部におねじが用いられます。
解説
医療ガスでは、酸素、亜酸化窒素、二酸化炭素、空気などを取り違えると重大事故につながります。
そのため、ボンベや配管端末器、ホースアセンブリ、圧力調整器などには、ガスごとに接続形状を変えるガス別特定が用いられます。
ガス別特定には、代表的に次のような方式があります。
- おねじ、めねじ:大型ボンベなどのねじ接続
- ヨーク形、ピン方式:小型ボンベの取り違え防止
- DISS:配管設備や機器接続部で用いられるねじ式のガス別特定
- NIST:医療ガスホースなどで用いられるガス別特定接続
この問題の条件は、内容量 40 L の大型二酸化炭素ボンベです。
40 L の大型ボンベでは、ガス別特定としておねじが用いられます。したがって、正答は3です。
ひっかけポイント 「二酸化炭素」というガス名だけでなく、大型ボンベか小型ボンベかを確認します。
小型ボンベではヨーク形やピン方式が関係しますが、40 L の大型ボンベではねじ接続が重要です。
安全管理上のポイント 医療ガスの接続では、形状が合うかどうかだけで判断せず、ガス名、色表示、ラベル、圧力調整器、残量、使用目的を確認します。特に酸素と二酸化炭素の取り違えは、患者安全上きわめて危険です。
選択肢の確認
1.誤り。 DISSは、医療ガスの配管設備や機器接続部などで用いられるガス別特定の接続方式です。内容量40 Lの大型二酸化炭素ボンベに用いられる方式としては不適切です。
2.誤り。 NISTは、医療ガスホースなどの接続部で用いられるガス別特定方式です。大型二酸化炭素ボンベの容器弁接続として問われている場合の答えではありません。
3.正しい。 内容量40 Lの大型二酸化炭素ボンベでは、ガス別特定としておねじが用いられます。大型ボンベでは、ガスごとにねじの形状や向きなどを変えて取り違えを防ぎます。
4.誤り。 ヨーク形は、主に小型ボンベと圧力調整器を接続する方式です。内容量40 Lの大型二酸化炭素ボンベに用いられる方式としては不適切です。
5.誤り。 ピン方式は、小型ボンベでガスの種類ごとにピン位置を変えて誤接続を防ぐ方式です。大型ボンベの二酸化炭素に用いられる方式ではありません。
覚えるポイント
- 医療ガスでは、誤接続を防ぐためにガス別特定が用いられる。
- 40 L の大型二酸化炭素ボンベでは、ガス別特定としておねじを押さえる。
- ヨーク形、ピン方式は小型ボンベで重要である。
- DISSやNISTは、配管・ホース・機器接続部のガス別特定として整理する。
- 医療ガス管理では、接続方式だけでなく、ガス名、ラベル、残圧、使用目的を必ず確認する。
39AM46
問題文
[39AM46] 図のような一様な電界 E = 2.0×10³ V/m の平面において、単位正電荷(+1 C)が点 A から点 B まで 1.0 m 移動した。このとき電界がした仕事[J]はどれか。
選択肢
1.5.0×10² 2.1.0×10³ 3.2.0×10³ 4.2.5×10³ 5.5.0×10³
答え
2.1.0×10³
解説
正答
2
この問題のポイント
この問題では、一様電界中で電荷が移動するときの仕事を求めます。
使う基本式は次のとおりです。
- W = qEd cosθ
ここで、
- W:電界がした仕事
- q:電荷
- E:電界の強さ
- d:移動距離
- θ:電界の向きと移動方向のなす角
電界と移動方向が完全に同じなら cos0° = 1 なので仕事は最大です。 今回は図より、電界の向きと移動方向のなす角が 60°であることを読み取るのが重要です。
解説
一様な電界では、正電荷には電界の向きと同じ向きに力が働きます。
図では、電界 E は右向きです。 また、単位正電荷は点 A から点 B へ 1.0 m 移動しています。
図で見るポイント 破線の矢印は電界 E の向きを示しており、すべて右向きです。
A から B への移動方向は右下向きです。
図中の 60° は、電界の向きと移動方向のなす角として読み取ります。
電界がした仕事は、移動距離のうち電界方向の成分だけが関係します。
したがって、
- W = qEd cosθ
に代入します。
計算の流れ
使う値は次のとおりです。
- q = +1 C
- E = 2.0×10³ V/m
- d = 1.0 m
- θ = 60°
cos60° = 1/2 なので、
- W = 1 × 2.0×10³ × 1.0 × 1/2
- W = 1.0×10³ J
したがって、正しい値は1.0×10³ Jです。
ひっかけポイント 角度が出てくるときは、必ずどの向きとどの向きの角度かを確認します。
また、電界の仕事は移動距離そのものではなく、電界方向成分で決まります。
国家試験ではここを押さえる 一様電界での仕事は、
- 電界と同方向なら正
- 逆方向なら負
- 直角方向なら 0 となります。
選択肢の確認
1.誤り。 5.0×10² J になるには、計算結果が半分になりすぎています。今回の条件では 1 × 2.0×10³ × 1.0 × cos60° = 1.0×10³ J です。
2.正しい。 電界がした仕事は W = qEd cosθ で求めます。q = 1 C、E = 2.0×10³ V/m、d = 1.0 m、θ = 60° を代入すると、 W = 1.0×10³ J となります。
3.誤り。 2.0×10³ J は cos60° をかけずに、 W = qEd のままで計算した値です。今回は移動方向が電界方向と 60° の角度をなすので、cos60° をかける必要があります。
4.誤り。 2.5×10³ J は与えられた電界、電荷、移動距離からは求まりません。計算式と値の代入を正しく行うと 1.0×10³ J です。
5.誤り。 5.0×10³ J は明らかに大きすぎます。E = 2.0×10³ V/m、q = 1 C、d = 1.0 m なので、最大でも qEd = 2.0×10³ J を超えることはありません。
覚えるポイント
- 一様電界で電界がした仕事は W = qEd cosθ で求める。
- θ は電界の向きと移動方向のなす角である。
- 今回は cos60° = 1/2 を使う。
- 計算は
- W = 1 × 2.0×10³ × 1.0 × 1/2
- W = 1.0×10³ J
- 電界方向と直角に移動すると、電界のした仕事は 0 になる。
39AM47
問題文
[39AM47] 正しいのはどれか。
選択肢
1.直線状の導線を流れる電流がつくる磁界の強さは導線からの距離の 2 乗に反比例する。 2.直線状の導線を流れる電流の周りには、これを中心とする放射状の磁界が発生する。 3.2 本の平行導線に逆方向に電流が流れていると両者の間に引力が働く。 4.ローレンツ力の大きさは磁界中を運動する電荷の大きさに比例する。 5.円形コイルに電流を流すとコイルと同心円状に磁界が発生する。
答え
4.ローレンツ力の大きさは磁界中を運動する電荷の大きさに比例する。
解説
正答
4
この問題のポイント
この問題では、電流がつくる磁界と磁界中を運動する電荷に働く力が問われています。
重要なのは、次の3つです。
- 直線電流の周りの磁界は同心円状
- 平行導線では、同方向電流は引力、逆方向電流は斥力
- ローレンツ力は、電荷の大きさ、速度、磁束密度に関係する
特に選択肢4のローレンツ力は、式を覚えていれば判断しやすい内容です。
解説
磁界中を運動する電荷に働く磁気的な力をローレンツ力といいます。
磁界によるローレンツ力の大きさは、次の式で表されます。
- F = |q|vB sinθ
ここで、
- F:ローレンツ力の大きさ
- q:電荷
- v:電荷の速さ
- B:磁束密度
- θ:速度の向きと磁界の向きのなす角
この式から、ローレンツ力の大きさは電荷の大きさ |q| に比例します。
したがって、選択肢4は正しい記述です。
ひっかけポイント 電磁気では、電界は放射状になりやすい一方、直線電流がつくる磁界は導線を中心とする同心円状です。
「放射状」と「同心円状」を混同しないことが重要です。
選択肢の確認
1.誤り。 直線状の導線を流れる電流がつくる磁界の強さは、導線からの距離に反比例します。距離の2乗に反比例するわけではありません。
直線電流の周りの磁界は、一般に次の関係で表されます。
- H = I / (2πr)
このため、距離 r が大きくなると磁界は 1/r に比例して小さくなります。
2.誤り。 直線状の導線を流れる電流の周りには、導線を中心とする同心円状の磁界が発生します。放射状ではありません。
向きは右ねじの法則で決まります。親指を電流の向きに向けると、残りの指が巻く向きが磁界の向きです。
3.誤り。 2本の平行導線に逆方向の電流が流れると、両者の間には斥力が働きます。
平行導線では、
- 同方向の電流:引力
- 逆方向の電流:斥力
と覚えます。
4.正しい。 磁界中を運動する電荷に働くローレンツ力の大きさは、
- F = |q|vB sinθ
で表されます。したがって、ローレンツ力の大きさは電荷の大きさ |q| に比例します。
5.誤り。 円形コイルに電流を流すと、コイル中心付近ではコイル面に垂直な向きの磁界が生じます。コイルと同心円状に磁界が発生するわけではありません。
円形コイルでは、右ねじの法則により、電流の向きからコイル中心を貫く磁界の向きを判断します。
覚えるポイント
- 直線電流がつくる磁界の強さは、導線からの距離に反比例する。
- 直線電流の周りの磁界は、導線を中心とする同心円状である。
- 平行導線では、同方向電流は引力、逆方向電流は斥力である。
- 磁界中を動く電荷に働くローレンツ力は F = |q|vB sinθ で表される。
- ローレンツ力の大きさは、電荷の大きさに比例する。
39AM48
問題文
[39AM48] 電解コンデンサについて正しいのはどれか。 a.原理的に端子に極性が生じる。 b.セラミックスを使用している。 c.自己インダクタンスを利用している。 d.金属箔の間隔が広いほど大容量になる。 e.金属箔表面の酸化膜を誘電体としている。
選択肢
1.a、b 2.a、e 3.b、c 4.c、d 5.d、e
答え
2.a、e
解説
正答
2
この問題のポイント
この問題では、電解コンデンサの構造と特徴が問われています。
電解コンデンサは、金属箔の表面に形成した非常に薄い酸化膜を誘電体として利用するコンデンサです。
重要な特徴は次の2つです。
- 原理的に極性をもつ
- 金属箔表面の酸化膜を誘電体として使う
したがって、正しい小項目は a、e であり、選択肢では2が正答です。
解説
コンデンサの静電容量は、基本的に次の関係で決まります。
- C = εS / d
ここで、
- C:静電容量
- ε:誘電率
- S:電極の面積
- d:電極間距離
電解コンデンサでは、電極としてアルミニウムなどの金属箔を用い、その表面に形成された非常に薄い酸化膜を誘電体として利用します。
酸化膜は非常に薄くできるため、電極間距離 d が小さくなり、大きな静電容量を得やすくなります。
また、酸化膜は電気化学的に形成されるため、陽極と陰極の関係が生じます。このため、一般的な電解コンデンサには極性があります。逆向きの電圧を加えると、酸化膜の劣化、漏れ電流の増加、発熱、破損につながることがあります。
ひっかけポイント 電解コンデンサは「電解」という言葉から、電池やインダクタのように考えてしまうことがあります。
しかし本質は、酸化膜を誘電体として使うコンデンサです。自己インダクタンスを利用する部品ではありません。
小項目の確認
a.正しい。 電解コンデンサは原理的に陽極と陰極があり、端子に極性が生じます。
b.誤り。 セラミックスを誘電体として使用するのは、主にセラミックコンデンサです。電解コンデンサの代表的な誘電体は金属箔表面の酸化膜です。
c.誤り。 自己インダクタンスを利用するのは、コイルやインダクタの考え方です。コンデンサは電荷を蓄え、電界としてエネルギーを蓄積します。
d.誤り。 静電容量は、電極間距離が狭いほど大きくなります。金属箔の間隔が広いほど大容量になるわけではありません。
e.正しい。 電解コンデンサでは、金属箔表面に形成された酸化膜を誘電体として利用します。酸化膜を非常に薄くできるため、大容量化しやすい特徴があります。
選択肢の確認
1.誤り。 選択肢1は a、b の組合せです。aは正しいですが、bは誤りです。セラミックスを用いるのは主にセラミックコンデンサです。
2.正しい。 選択肢2は a、e の組合せです。電解コンデンサは原理的に端子に極性があり、金属箔表面の酸化膜を誘電体として利用します。
3.誤り。 選択肢3は b、c の組合せです。bはセラミックコンデンサの説明に近く、cはインダクタの説明に近い内容です。どちらも電解コンデンサの説明としては不適切です。
4.誤り。 選択肢4は c、d の組合せです。電解コンデンサは自己インダクタンスを利用しません。また、金属箔の間隔が広いほど大容量になるわけでもありません。
5.誤り。 選択肢5は d、e の組合せです。eは正しいですが、dは誤りです。静電容量は、電極間距離が小さいほど大きくなります。
覚えるポイント
- 電解コンデンサは、金属箔表面の酸化膜を誘電体として利用する。
- 電解コンデンサは、原理的に極性をもつ。
- 逆電圧を加えると、漏れ電流増加、発熱、破損の原因になる。
- 静電容量は C = εS / d で表され、電極間距離 d が小さいほど大きくなる。
- セラミックスを使うのは主にセラミックコンデンサである。
- 自己インダクタンスを利用するのはインダクタであり、電解コンデンサの原理ではない。
39AM49
問題文
[39AM49] 図の回路において端子 ab 間の合成コンダクタンス[S]はどれか。
選択肢
1.0.5 2.1.0 3.2.0 4.3.0 5.4.0
答え
5.4.0
解説
正答
5
この問題のポイント
この問題では、コンダクタンスで表された回路の合成値を求めます。
ポイントは、抵抗と同じ感覚で処理しないことです。
- 並列接続のコンダクタンスは、そのまま加算できる
- 直列接続のコンダクタンスは、そのまま加算できない
- 直列部分は、いったん抵抗に直すと考えやすい
図では、左側の 2.0 S の枝と、上側 10 S と右側 2.5 S が直列になった枝が、端子 a-b 間に並列に接続されています。
解説
コンダクタンス G は、抵抗 R の逆数です。
- G = 1 / R
- R = 1 / G
単位は S、ジーメンスです。
図で見るポイント 端子 a から端子 b へ流れる経路は2つあります。
1つ目は、左側の縦の 2.0 S を通る経路です。
2つ目は、上側の 10 S を通り、右側の 2.5 S を通って b に戻る経路です。
つまり、10 S と 2.5 S は直列、その直列枝と 2.0 S は並列です。
計算の流れ
まず、上側の 10 S と右側の 2.5 S の直列合成を求めます。
直列接続ではコンダクタンスをそのまま足せないため、抵抗に直します。
- 10 S の抵抗:R = 1 / 10 = 0.1 Ω
- 2.5 S の抵抗:R = 1 / 2.5 = 0.4 Ω
直列なので抵抗を加えます。
- R = 0.1 + 0.4
- R = 0.5 Ω
これをコンダクタンスに戻します。
- G = 1 / 0.5
- G = 2.0 S
したがって、右側の直列枝の合成コンダクタンスは 2.0 S です。
次に、この直列枝 2.0 S と、左側の 2.0 S は端子 a-b 間で並列です。
並列接続のコンダクタンスは加算できます。
- G全体 = 2.0 + 2.0
- G全体 = 4.0 S
したがって、端子 ab 間の合成コンダクタンスは 4.0 S です。
ひっかけポイント コンダクタンスは並列で足す、抵抗は直列で足すと整理します。
10 S と 2.5 S は直列なので、10 + 2.5 = 12.5 S としてはいけません。
選択肢の確認
1.誤り。 0.5 は、10 S と 2.5 S の直列枝を抵抗に直したときの合成抵抗 0.5 Ω に相当します。この問題で求めるのは抵抗ではなく、合成コンダクタンスです。
2.誤り。 1.0 S ではありません。10 S と 2.5 S の直列枝は 2.0 S となり、さらに左側の 2.0 S と並列に加算されます。
3.誤り。 2.0 S は、10 S と 2.5 S の直列枝だけの合成コンダクタンスです。端子 ab 間には、左側にもう1つ 2.0 S の枝が並列にあります。
4.誤り。 3.0 S にはなりません。直列枝の合成は 2.0 S、左側の枝も 2.0 S なので、並列合成は 4.0 S です。
5.正しい。 10 S と 2.5 S の直列枝を抵抗に直して計算すると、合成コンダクタンスは 2.0 S です。これが左側の 2.0 S と並列になるため、
- G全体 = 2.0 + 2.0
- G全体 = 4.0 S
となります。
覚えるポイント
- コンダクタンス G は抵抗 R の逆数で、G = 1 / R である。
- コンダクタンスの単位は S、ジーメンスである。
- 並列接続のコンダクタンスはそのまま加算できる。
- 直列接続のコンダクタンスはそのまま加算せず、抵抗に直して考えるとよい。
- 図では、10 S と 2.5 S が直列、その枝と 2.0 S が並列である。
- 合成コンダクタンスは 4.0 S であり、選択肢では5である。
39AM50
問題文
[39AM50] 図 1 の RC 回路の複素インピーダンスについて、角周波数 ω[rad/s]を 0 から∞まで連続的に変化させたときのベクトル軌跡を図 2 に示した。図 2 において ω = 1/CR におけるインピーダンスを示すのはどれか。
選択肢
1.ア 2.イ 3.ウ 4.エ 5.オ
答え
4.エ
解説
正答
4
この問題のポイント
この問題では、並列 RC 回路の複素インピーダンスを求め、図2のベクトル軌跡上でどの点に対応するかを判断します。
図1では、抵抗 R とコンデンサ C が並列に接続されています。
並列回路では、インピーダンス Z よりも先にアドミタンス Yを考えると整理しやすくなります。
- 抵抗のアドミタンス:1 / R
- コンデンサのアドミタンス:jωC
- 全体のアドミタンス:Y = 1 / R + jωC
求めたいのはインピーダンスなので、
- Z = 1 / Y
として計算します。
解説
図1の並列 RC 回路のアドミタンスは次のようになります。
- Y = 1 / R + jωC
したがって、複素インピーダンス Z は、
- Z = 1 / Y
- Z = 1 / (1 / R + jωC)
分母を整理するために R をかけると、
- Z = R / (1 + jωCR)
ここで、
- x = ωCR
とおくと、
- Z = R / (1 + jx)
となります。
分母を実数化します。
- Z = R(1 – jx) / (1 + x^2)
よって、実部と虚部は次のようになります。
- 実部:R / (1 + x^2)
- 虚部:-Rx / (1 + x^2)
この問題では、
- ω = 1 / CR
なので、
- x = ωCR
- x = (1 / CR) × C × R
- x = 1
となります。
したがって、
- 実部 = R / (1 + 1^2) = R / 2
- 虚部 = -R × 1 / (1 + 1^2) = -R / 2
つまり、
- Z = R / 2 – jR / 2
です。
図で見るポイント 図2では、横軸が実軸、縦軸が虚軸です。
並列 RC 回路のインピーダンス軌跡は、実軸上の R から出発し、周波数が高くなるにつれて原点へ近づく下半円になります。
ω = 1 / CR のときは、実部が R / 2、虚部が -R / 2 になるため、図2の最下点であるエに対応します。
また、このときの偏角は、
- tanθ = 虚部 / 実部
- tanθ = (-R / 2) / (R / 2)
- tanθ = -1
となるため、角度は -45° です。
図2でも、エは実部 R / 2、虚部 -R / 2 の位置にあり、45°方向の点として示されています。
ひっかけポイント 直列 RC 回路ではなく、並列 RC 回路であることに注意します。
並列回路では、まずアドミタンスを足してから、最後にインピーダンスへ戻すと計算しやすくなります。
選択肢の確認
1.誤り。 アは実軸上の R の位置です。これは ω = 0 のとき、コンデンサが開放に近い状態となり、回路全体が抵抗 R だけに見える場合に対応します。ω = 1 / CR の点ではありません。
2.誤り。 イは軌跡上で実部が大きく、虚部の絶対値が比較的小さい位置です。ω = 1 / CR のときは実部 R / 2、虚部 -R / 2 となるため、イではありません。
3.誤り。 ウは図中で30°付近の方向にある点です。ω = 1 / CR では偏角が -45°となるため、ウではありません。
4.正しい。 ω = 1 / CR のとき、x = ωCR = 1 です。したがって、
- Z = R / (1 + j)
- Z = R(1 – j) / 2
- Z = R / 2 – jR / 2
となります。図2で実部 R / 2、虚部 -R / 2 の点はエです。
5.誤り。 オは60°付近の方向にある点です。これは ω = 1 / CR のときの偏角 -45°とは一致しません。したがって、ω = 1 / CR に対応する点ではありません。
覚えるポイント
- 図1は抵抗 R とコンデンサ C の並列回路である。
- 並列回路では、まずアドミタンス Yを求めるとよい。
- 並列 RC 回路では、Y = 1 / R + jωC となる。
- インピーダンスは Z = R / (1 + jωCR) で表される。
- ω = 1 / CR のとき、ωCR = 1 である。
- このとき Z = R / 2 – jR / 2 となり、図2ではエに対応する。
- 正答は選択肢4である。
39AM51
問題文
[39AM51] 図の変圧回路で、交流電源につながる回路のインピーダンス Z[Ω]はどれか。
選択肢
1.25 2.50 3.100 4.200 5.400
答え
5.400
解説
正答
5
この問題のポイント
この問題では、変圧器を介して負荷インピーダンスが一次側にどう見えるかが問われています。
理想変圧器では、二次側に接続された負荷インピーダンスは、一次側から見ると巻数比の2乗倍に変換されます。
図では、二次側に 100 Ω の抵抗が接続されています。
巻数比は 2:1 なので、交流電源側から見たインピーダンスは、
- Z = (2 / 1)^2 × 100
- Z = 4 × 100
- Z = 400 Ω
となります。
解説
変圧器では、電圧比は巻数比に比例します。
- V1 / V2 = N1 / N2
一方、電流比は巻数比の逆比になります。
- I1 / I2 = N2 / N1
インピーダンスは、
- Z = V / I
で表されます。
そのため、二次側の負荷インピーダンス ZL を一次側から見た値 Z は、次の式で求めます。
- Z = (N1 / N2)^2 × ZL
ここで、
- N1:一次側巻数
- N2:二次側巻数
- ZL:二次側負荷インピーダンス
です。
図で見るポイント 図では、交流電源が左側の巻線につながっています。
右側には 100 Ω の抵抗が接続されています。
巻数比は 2:1 と示されているため、左側を一次側、右側を二次側として考えると、一次側から見たインピーダンスは二次側負荷の 2の2乗倍 になります。
計算の流れ
与えられた値は次のとおりです。
- 巻数比 N1:N2 = 2:1
- 二次側負荷 ZL = 100 Ω
一次側から見たインピーダンスは、
- Z = (N1 / N2)^2 × ZL
- Z = (2 / 1)^2 × 100
- Z = 4 × 100
- Z = 400 Ω
したがって、交流電源につながる回路のインピーダンス Z は 400 Ω です。
ひっかけポイント 変圧器のインピーダンス変換では、巻数比をそのまま掛けるのではなく、巻数比の2乗を掛けます。
2:1 だから 200 Ω とするのは誤りです。
国家試験ではここを押さえる 変圧器の問題では、
- 電圧は巻数比に比例
- 電流は巻数比に反比例
- インピーダンスは巻数比の2乗に比例 と整理します。
選択肢の確認
1.誤り。 25 Ω は、巻数比を逆にして、さらに2乗してしまった場合に近い値です。今回求めるのは交流電源側、つまり一次側から見たインピーダンスです。巻数比 2:1 なので、100 Ω は 4倍されます。
2.誤り。 50 Ω は、100 Ω を半分にした値です。インピーダンス変換では単純に巻数比だけで割るのではなく、巻数比の2乗で考えます。
3.誤り。 100 Ω は二次側に接続されている負荷抵抗そのものです。変圧器を介して一次側から見た場合は、巻数比によってインピーダンスが変換されます。
4.誤り。 200 Ω は、巻数比 2:1 をそのまま掛けた値です。しかし、インピーダンス変換では巻数比の2乗を掛けるため、200 Ω ではありません。
5.正しい。 巻数比が N1:N2 = 2:1、二次側負荷が 100 Ω なので、
- Z = (2 / 1)^2 × 100
- Z = 400 Ω
となります。したがって、交流電源につながる回路のインピーダンスは 400 Ω です。
覚えるポイント
- 変圧器では、電圧比は巻数比に比例する。
- 変圧器では、電流比は巻数比に反比例する。
- インピーダンス変換では、巻数比の2乗を用いる。
- 二次側負荷 ZL を一次側から見ると、Z = (N1 / N2)^2 × ZL となる。
- 巻数比 2:1、負荷 100 Ω なら、一次側から見たインピーダンスは 400 Ω である。
39AM52
問題文
[39AM52] 抵抗率[Ω・m]が小さい順に並んでいるのはどれか。
選択肢
1.Au < Ag < Cu 2.Fe < Al < Ge 3.Cu < Si < Al 4.Au < Fe < Al 5.Ag < Cu < Fe
答え
5.Ag < Cu < Fe
解説
正答
5
この問題のポイント
この問題では、物質の抵抗率の大小関係が問われています。
抵抗率が小さいほど、電流が流れやすい物質です。
代表的な金属では、抵抗率の小さい順に次のように整理します。
- Ag 銀
- Cu 銅
- Au 金
- Al アルミニウム
- Fe 鉄
半導体である Si シリコン や Ge ゲルマニウム は、一般に金属より抵抗率が大きい物質として扱います。
解説
抵抗率 ρ は、材料そのものが電流を流しにくい程度を表す量です。
抵抗 R は次の式で表されます。
- R = ρL / S
ここで、
- R:抵抗
- ρ:抵抗率
- L:導体の長さ
- S:断面積
です。
同じ長さ、同じ断面積の導体で比べると、抵抗率 ρ が小さい材料ほど抵抗 R も小さくなります。
国家試験では、厳密な数値よりも、代表的な順序を覚えておくことが重要です。
代表的には、
- 銀 Ag:最も抵抗率が小さい金属
- 銅 Cu:銀に次いで小さく、電線材料としてよく使われる
- 金 Au:銅より抵抗率はやや大きいが、耐食性が高い
- アルミニウム Al:軽量で送電線などに用いられる
- 鉄 Fe:上記の良導体金属より抵抗率が大きい
という関係になります。
したがって、選択肢の中で抵抗率が小さい順に正しく並んでいるのは、Ag < Cu < Fe です。
ひっかけポイント 金は高価で電気をよく通すイメージがありますが、抵抗率だけを見ると、金 Au より銀 Ag や銅 Cu の方が小さいです。
金は抵抗率の小ささだけでなく、酸化しにくい性質を利用して接点やコネクタに使われます。
選択肢の確認
1.誤り。 Au < Ag < Cu ではありません。代表的な抵抗率の小さい順は Ag < Cu < Au です。銀が最も小さく、銅がそれに続きます。
2.誤り。 Fe < Al < Ge ではありません。鉄 Fe よりアルミニウム Al の方が抵抗率は小さいです。また、ゲルマニウム Ge は半導体であり、一般に金属より抵抗率が大きい物質として扱います。
3.誤り。 Cu < Si < Al ではありません。シリコン Si は半導体であり、アルミニウム Al より抵抗率が大きい物質として扱います。金属である Cu と Al の方が、半導体の Si より電流を流しやすいです。
4.誤り。 Au < Fe < Al ではありません。アルミニウム Al は鉄 Fe より抵抗率が小さいため、Fe < Al の順序が不適切です。代表的には Au < Al < Fe の関係になります。
5.正しい。 Ag < Cu < Fe は、抵抗率が小さい順として適切です。銀 Ag は代表的な金属の中で最も抵抗率が小さく、銅 Cu が続き、鉄 Fe はこれらより抵抗率が大きいです。
覚えるポイント
- 抵抗率は、材料そのものの電流の流れにくさを表す。
- 抵抗率が小さいほど、電流が流れやすい。
- 代表的な良導体の順序は Ag < Cu < Au < Al < Fe と整理する。
- Si や Ge は半導体であり、一般に金属より抵抗率が大きい。
- 金 Au は酸化しにくいため接点材料に使われるが、抵抗率は銀 Ag や銅 Cu より小さいわけではない。
39AM53
問題文
[39AM53] 誤っている組合せはどれか。
選択肢
1.ホール素子 センサに加わった圧力を起電力として検出 2.ひずみゲージ 材料の変形を金属箔の抵抗変化で検出 3.SQUID 超伝導現象を利用して微弱な磁気を検出 4.白金温度センサ 温度に対応する金属の抵抗変化で検出 5.タッチパネル 静電容量の変化で接触位置を検出
答え
1.ホール素子 センサに加わった圧力を起電力として検出
解説
正答
1
この問題のポイント
この問題では、センサの種類と検出原理の組合せが問われています。
問題文は「誤っている組合せはどれか。」です。
そのため、正答である1は、選択肢として選ぶべき答えですが、記述内容としては誤りです。
ホール素子は、圧力ではなく、主に磁界を検出する素子です。
解説
センサの問題では、次のように「何を検出するか」と「どの物理現象を利用するか」をセットで整理します。
ホール素子は、電流を流した半導体や導体に磁界を加えると、電流と磁界の両方に垂直な方向に電圧が生じるホール効果を利用します。
この電圧をホール電圧といい、磁束密度や磁界の検出に用いられます。
したがって、ホール素子を「圧力を起電力として検出するセンサ」とする組合せは誤りです。
圧力を電気信号に変換する代表例としては、圧電素子、半導体圧力センサ、ひずみゲージ式圧力センサなどがあります。
ひっかけポイント 「起電力として検出」という言葉だけでホール素子を選ばないようにします。
ホール素子のキーワードは、磁界、ホール効果、ホール電圧です。
圧力の検出は、圧電効果や抵抗変化を利用するセンサと結びつけます。
選択肢の確認
1.正答。記述としては誤り。 ホール素子は、センサに加わった圧力を起電力として検出する素子ではありません。ホール素子はホール効果を利用し、磁界によって生じるホール電圧から磁気を検出します。
2.記述としては正しい。 ひずみゲージは、材料が変形したときに生じるひずみを、金属箔などの抵抗変化として検出します。圧力、荷重、トルクなどの測定にも応用されます。
3.記述としては正しい。 SQUIDは、超伝導量子干渉素子です。超伝導現象やジョセフソン接合を利用して、非常に微弱な磁気を検出できます。脳磁図や心磁図などの高感度磁気計測と関係します。
4.記述としては正しい。 白金温度センサは、白金の電気抵抗が温度によって変化する性質を利用します。安定性や再現性が高く、温度測定に用いられます。
5.記述としては正しい。 静電容量方式のタッチパネルでは、指などが近づいたり触れたりすることで生じる静電容量の変化を利用して、接触位置を検出します。
この問題では「誤っている組合せ」を選ぶため、記述として誤っている1が正答です。
覚えるポイント
- ホール素子は、ホール効果を利用して磁界を検出する。
- 圧力検出には、圧電素子、ひずみゲージ式圧力センサ、半導体圧力センサなどが関係する。
- ひずみゲージは、変形を抵抗変化として検出する。
- SQUIDは、超伝導現象を利用して微弱磁気を検出する。
- 白金温度センサは、温度による白金の抵抗変化を利用する。
- 静電容量方式のタッチパネルは、静電容量の変化で接触位置を検出する。
39AM54
問題文
[39AM54] 図の回路で P 点の電位[V]はどれか。 ただし、A は理想演算増幅器で Vo は出力電圧とする。
選択肢
1.-6 2.-2 3.0 4.2 5.6
答え
4.2
解説
正答
4
この問題のポイント
この問題では、理想演算増幅器の基本性質を使って、反転入力端子につながる P 点の電位を求めます。
重要なのは、次の2つです。
- 理想演算増幅器では、入力端子に電流が流れない
- 負帰還がかかっているとき、反転入力端子と非反転入力端子はほぼ同電位になる
図では、P 点は反転入力端子側です。
一方、非反転入力端子側は、4 V の入力が 1 kΩ と 1 kΩ で分圧されています。
したがって、非反転入力端子の電位は 2 V です。
負帰還により、P 点も 2 V になります。
解説
理想演算増幅器では、入力インピーダンスが無限大とみなされます。
そのため、+入力端子、-入力端子には電流が流れません。
また、出力から反転入力端子側へ抵抗を介して戻る経路があるため、この回路には負帰還がかかっています。
負帰還がある理想演算増幅器では、次の関係を使います。
- V- = V+
ここで、
- V-:反転入力端子の電位
- V+:非反転入力端子の電位
です。
図では、P 点は反転入力端子に接続されています。
そのため、
- P点の電位 = V-
です。
次に、非反転入力端子側を見ます。
図で見るポイント 図の下側では、4 V の信号が 1 kΩ を通って非反転入力端子に入っています。
さらに、その点から 1 kΩ が接地へ接続されています。
理想演算増幅器の入力端子には電流が流れないため、この部分は 1 kΩ と 1 kΩ の単純な分圧回路として考えます。
非反転入力端子の電位は、4 V を 1 kΩ と 1 kΩ で分圧した値です。
- V+ = 4 × 1 kΩ / (1 kΩ + 1 kΩ)
- V+ = 4 × 1 / 2
- V+ = 2 V
負帰還により、
- V- = V+
- V- = 2 V
P 点は反転入力端子側なので、
- P点の電位 = 2 V
したがって、正答は 4 です。
ひっかけポイント P 点は反転入力端子側にありますが、必ずしも 0 V ではありません。
反転増幅回路で非反転入力端子が接地されている場合は、P 点が仮想接地となり 0 V と考えます。
しかし、この回路では非反転入力端子が 2 V になっているため、P 点も 2 V になります。
出力電圧との区別
問題で問われているのは P 点の電位であり、出力電圧 Vo ではありません。
参考として、P 点でキルヒホッフの電流則を使うと、出力電圧 Vo は次のように求められます。
- P = 2 V
- 10 V 側から P 点へ流れる電流 = (10 – 2) / 1 kΩ = 8 mA
- 理想演算増幅器の入力端子には電流が流れない
- そのため、この 8 mA は帰還抵抗 1 kΩ を通って出力側へ流れる
- 出力側は P 点より 8 V 低い
- Vo = 2 – 8 = -6 V
つまり、-6 V は出力電圧 Voです。
P 点の電位は 2 Vなので、選択肢1を選ばないように注意します。
選択肢の確認
1.誤り。 -6 V は、この回路の出力電圧 Vo として求まる値です。問題で問われているのは出力電圧ではなく、P 点の電位です。
2.誤り。 P 点は負帰還により非反転入力端子と同電位になります。非反転入力端子は 4 V を 1 kΩ と 1 kΩ で分圧した 2 V であり、-2 V ではありません。
3.誤り。 P 点は常に 0 V ではありません。非反転入力端子が接地されている反転増幅回路では仮想接地として 0 V とみなしますが、この回路では非反転入力端子が 2 V です。
4.正しい。 非反転入力端子の電位は、4 V を 1 kΩ と 1 kΩ で分圧した値です。
- V+ = 4 × 1 / 2
- V+ = 2 V
負帰還がある理想演算増幅器では V- = V+ となるため、P 点の電位は 2 Vです。
5.誤り。 6 V にはなりません。10 V 側の入力と帰還抵抗は出力電圧 Vo の決定に関係しますが、P 点の電位は非反転入力端子の分圧電位によって 2 V に定まります。
覚えるポイント
- 理想演算増幅器では、入力端子に電流が流れない。
- 負帰還があるとき、理想演算増幅器では V- = V+ と考える。
- 非反転入力端子が 0 V でない場合、反転入力端子も 0 V とは限らない。
- この回路では、4 V を 1 kΩ と 1 kΩ で分圧するため V+ = 2 Vである。
- P 点は反転入力端子側なので、負帰還により P = 2 Vとなる。
- -6 V は出力電圧 Voであり、P 点の電位ではない。
39AM55
問題文
[39AM55] 図は RS-FF(フリップフロップ)である。誤っているのはどれか。
選択肢
1.フィードバック構成を有する。 2.双安定回路である。 3.S = R = 0 のとき出力は維持される。 4.S = R = 1 の入力は禁止である。 5.S = 0、R = 1 のとき Q = 1 である。
答え
5.S = 0、R = 1 のとき Q = 1 である。
解説
正答
5
この問題のポイント
この問題では、RS-FFの基本動作が問われています。
RS-FFは、Set入力とReset入力によって1ビットの情報を保持する基本的な記憶回路です。
この問題では、選択肢の内容から、S と R が有効入力として働くNOR型のRS-FFとして考えます。
重要な動作は次のとおりです。
- S = 0、R = 0:出力を保持
- S = 1、R = 0:セット、Q = 1
- S = 0、R = 1:リセット、Q = 0
- S = 1、R = 1:禁止入力
したがって、S = 0、R = 1 のとき Q = 1という記述は誤りです。
解説
RS-FFは、出力を入力側へ戻すフィードバック構成をもつ記憶回路です。
図では、左側に入力 S と R、右側に出力 Q と反転出力が示されています。
図で見るポイント S は Set の入力、R は Reset の入力です。
Q は出力、反転出力は Q と反対の状態を示します。
フリップフロップは、出力の一部を入力側へ戻すことで、前の状態を保持できます。
RS-FFは、2つの安定な出力状態をもつため、双安定回路です。
双安定回路とは、次の2つの状態のどちらかを安定して保持できる回路です。
- Q = 1 の状態
- Q = 0 の状態
NOR型RS-FFでは、S = R = 0 のとき、外部からセットやリセットの指示が入らないため、直前の出力状態が維持されます。
一方、S = 1、R = 0 ではセットされて Q = 1 になります。
S = 0、R = 1 ではリセットされて Q = 0 になります。
S = R = 1 では、Q と反転出力が同時に 0 になり、RS-FFとして本来の相補関係が崩れます。その後、入力を同時に戻したときの状態も不定になり得るため、禁止入力として扱います。
ひっかけポイント S = 0、R = 1は Reset が有効な状態です。
Reset が有効なので、Q は 1 ではなく 0になります。
また、RS-FFにはNOR型とNAND型があり、入力の有効レベルが異なる場合があります。この問題では、選択肢3、4の条件からNOR型の基本動作として判断します。
選択肢の確認
1.記述としては正しい。 RS-FFは、出力を入力側に戻すフィードバック構成を有します。このフィードバックにより、入力が保持条件になった後も出力状態を記憶できます。
2.記述としては正しい。 RS-FFは、Q = 1 と Q = 0 の2つの安定状態をもつ双安定回路です。1ビットの情報を保持する基本回路として重要です。
3.記述としては正しい。 NOR型RS-FFでは、S = R = 0 のとき、セットもリセットも指示されないため、出力は直前の状態を維持します。これは保持状態です。
4.記述としては正しい。 NOR型RS-FFでは、S = R = 1 の入力は禁止です。この状態では、Q と反転出力の相補関係が崩れ、入力を戻した後の状態が不定になる可能性があります。
5.正答。記述としては誤り。 S = 0、R = 1 のときはリセット状態です。したがって、Q は 1 ではなく 0になります。
この問題では「誤っているもの」を選ぶため、記述として誤っている5が正答です。
覚えるポイント
- RS-FFは、Set入力とReset入力をもつ基本的な記憶回路である。
- RS-FFはフィードバック構成をもち、1ビットの情報を保持できる。
- RS-FFは、2つの安定状態をもつ双安定回路である。
- NOR型RS-FFでは、S = R = 0で保持する。
- NOR型RS-FFでは、S = 1、R = 0でセットされ、Q = 1 になる。
- NOR型RS-FFでは、S = 0、R = 1でリセットされ、Q = 0 になる。
- NOR型RS-FFでは、S = R = 1は禁則状態として扱う。
39AM56
問題文
[39AM56] 無線 LAN の規格 IEEE 802.11 a(5 GHz 帯)に利用される半波長のアンテナで最も近い長さ[cm]はどれか。
選択肢
1.3 2.6 3.9 4.12 5.18
答え
1.3
解説
正答
1
この問題のポイント
この問題では、電磁波の波長と半波長アンテナの長さを求めます。
無線 LAN の IEEE 802.11a は、問題文にあるように 5 GHz 帯を利用します。
アンテナの長さを求めるときは、まず波長 λ を求めます。
- λ = c / f
ここで、
- λ:波長
- c:電磁波の速さ
- f:周波数
です。
半波長アンテナなので、求める長さは λ / 2 です。
解説
電磁波の速さは、真空中や空気中ではおおよそ次の値を使います。
- c = 3.0×10^8 m/s
周波数は 5 GHz なので、Hz に直します。
- 5 GHz = 5.0×10^9 Hz
計算の流れ
まず、波長 λ を求めます。
- λ = c / f
- λ = 3.0×10^8 / 5.0×10^9
- λ = 0.060 m
m を cm に変換します。
- 0.060 m = 6.0 cm
これは1波長の長さです。
問題では半波長のアンテナの長さを問われているため、
- 半波長 = 6.0 cm / 2
- 半波長 = 3.0 cm
したがって、最も近い選択肢は 3 cm です。
ひっかけポイント 5 GHz から求めた 6 cm は1波長です。
問題では「半波長のアンテナ」とあるため、さらに 2 で割ります。
国家試験ではここを押さえる 無線通信やアンテナの問題では、
- 周波数が高いほど波長は短い
- 波長は λ = c / f で求める
- 半波長アンテナは λ / 2 をセットで確認します。
選択肢の確認
1.正しい。 5 GHz の電磁波の波長は約 6 cm です。半波長アンテナではその半分なので、約 3 cm となります。
2.誤り。 6 cm は、5 GHz の電磁波の1波長に近い長さです。半波長アンテナでは、これを 2 で割る必要があります。
3.誤り。 9 cm は、5 GHz の半波長としては長すぎます。計算すると半波長は約 3 cm です。
4.誤り。 12 cm は、5 GHz の波長や半波長とは一致しません。波長 6 cm の約2倍に相当します。
5.誤り。 18 cm は、5 GHz 帯の半波長アンテナとしては長すぎます。5 GHz は周波数が高いため、アンテナ長は数 cm 程度になります。
覚えるポイント
- 電磁波の波長は λ = c / f で求める。
- 電磁波の速さは、おおよそ 3.0×10^8 m/s を使う。
- 5 GHz = 5.0×10^9 Hz に単位変換する。
- 5 GHz の波長は約 6 cm である。
- 半波長アンテナの長さは 約3 cm である。
39AM57
問題文
[39AM57] 0.0〜1.5 V の電圧を 4 bit で AD 変換したときに 1.0 V に対応するレベルを 2 進数で表したのはどれか。 ただし、0000 は 0.0 V に対応するものとする。
選択肢
1.0010 2.0101 3.1010 4.1101 5.1110
答え
3.1010
解説
正答
3
この問題のポイント
この問題では、AD変換における量子化レベルと、10進数から2進数への変換が問われています。
4 bit では、表せるレベル数は次のとおりです。
- 2^4 = 16 レベル
2進数では、
- 最小:0000
- 最大:1111
です。
問題文では、0000 は 0.0 V に対応すると明記されています。
0.0〜1.5 V を 0000〜1111 の16段階で対応させるので、レベル番号は 0〜15 になります。
解説
4 bit の AD 変換では、2進数で 0000 から 1111 まで表せます。
それぞれを10進数で表すと、
- 0000 = 0
- 0001 = 1
- 0010 = 2
- 0101 = 5
- 1010 = 10
- 1111 = 15
です。
この問題では、0.0 V がレベル 0、1.5 V がレベル 15 に対応すると考えます。
したがって、1レベルあたりの電圧は、
- 1.5 V / 15 = 0.1 V
です。
計算の流れ
1.0 V が何レベルに対応するかを求めます。
- レベル = 1.0 V / 0.1 V
- レベル = 10
次に、10進数の 10 を 2進数に変換します。
- 10 = 8 + 2
- 8 の位を 1
- 4 の位を 0
- 2 の位を 1
- 1 の位を 0
したがって、
- 10 = 1010
よって、1.0 V に対応する2進数は 1010 です。
ひっかけポイント 4 bit なのでレベル数は 16 ですが、0000 を 0 として数えると、番号は 0〜15 です。
この問題では 0.0 V から 1.5 V までを 15区間として考えるため、1レベルは 0.1 V になります。
国家試験ではここを押さえる AD変換の問題では、
- bit数からレベル数を出す
- 最小値と最大値の対応を確認する
- 10進数を2進数に直す という順で考えます。
選択肢の確認
1.誤り。 0010 は10進数で 2 です。1レベルが 0.1 V なので、レベル2は 0.2 V に対応します。1.0 V ではありません。
2.誤り。 0101 は10進数で 5 です。レベル5は 0.5 V に対応します。1.0 V に対応するレベルは10です。
3.正しい。 1010 は10進数で 10 です。1レベルが 0.1 V なので、レベル10は 1.0 V に対応します。
4.誤り。 1101 は10進数で 13 です。レベル13は 1.3 V に対応します。1.0 V ではありません。
5.誤り。 1110 は10進数で 14 です。レベル14は 1.4 V に対応します。1.0 V ではありません。
覚えるポイント
- 4 bit では 2^4 = 16 レベルを表せる。
- 0000 は10進数の 0、1111 は10進数の 15である。
- この問題では 0.0〜1.5 V を 0〜15 レベルに対応させる。
- 1レベルあたりの電圧は 0.1 Vである。
- 1.0 V はレベル 10に対応する。
- 10進数の 10 は2進数で 1010である。
39AM58
問題文
[39AM58] 1 ピクセルが赤、緑、青の各色 256 階調で構成されている縦 1024 ピクセル、横 1024 ピクセルのカラー画像 1 枚のデータ量[MB]はどれか。 ただし、画像以外のデータは無視し、圧縮符号化は行わないものとする。
選択肢
1.1 2.3 3.24 4.256 5.768
答え
2.3
解説
正答
2
この問題のポイント
この問題では、カラー画像のデータ量を計算します。
ポイントは次の3つです。
- 256階調は 8 bit
- 赤、緑、青の3色なので 8 bit × 3 = 24 bit
- 8 bit = 1 byte なので、1ピクセルは 3 byte
画像サイズは、縦 1024 ピクセル、横 1024 ピクセルです。
- 1024 × 1024 = 1,048,576 ピクセル
これに 1ピクセルあたり 3 byte を掛けます。
解説
まず、各色の階調数から必要なビット数を求めます。
256階調は、
- 256 = 2^8
なので、1色あたり 8 bit 必要です。
RGBカラー画像では、1ピクセルが次の3成分で構成されます。
- 赤 R:8 bit
- 緑 G:8 bit
- 青 B:8 bit
したがって、1ピクセルあたりの情報量は、
- 8 bit × 3 = 24 bit
です。
8 bit = 1 byte なので、
- 24 bit = 3 byte
となります。
計算の流れ
画像の総ピクセル数は、
- 1024 × 1024 = 1,048,576 ピクセル
1ピクセルあたり 3 byte なので、画像1枚のデータ量は、
- 1,048,576 × 3 byte
- 3,145,728 byte
ここで、1 MB を 1024 × 1024 byte として計算すると、
- 1 MB = 1,048,576 byte
したがって、
- 3,145,728 byte / 1,048,576 byte
- 3 MB
となります。
よって、正答は 3 MB です。
ひっかけポイント 24 bit をそのまま 24 byte としないように注意します。
1 byte = 8 bit なので、24 bit は 3 byte です。
国家試験ではここを押さえる 画像データ量では、
- 階調数から bit 数を求める
- 1ピクセルあたりの bit 数を求める
- bit を byte に変換する
- 総ピクセル数を掛ける という順で計算します。
選択肢の確認
1.誤り。 1 MB は、1024×1024 ピクセルの画像で、1ピクセルが1 byteの場合に近い値です。今回はRGBの3色があり、1ピクセルは3 byteです。
2.正しい。 256階調は1色あたり8 bitです。RGBの3色で24 bit、つまり3 byteです。1024×1024ピクセルなので、データ量は約 3 MB になります。
3.誤り。 24 MB は、1ピクセルあたりの 24 bit を 24 byte と誤って扱った場合に近い値です。24 bit は3 byteです。
4.誤り。 256 MB は、256階調という数値をデータ量として直接扱ったような値です。256階調は1色あたり8 bitを意味します。
5.誤り。 768 MB は、階調数や色数をそのまま掛けるような誤りに近い値です。正しくは、256階調を8 bitとして扱い、RGBで3 byte/ピクセルとします。
覚えるポイント
- 256階調 = 2^8 = 8 bitである。
- RGBカラーでは、赤、緑、青の3色を使う。
- 1ピクセルあたり 8 bit × 3 = 24 bit = 3 byteである。
- 1024×1024 ピクセルは 1,048,576 ピクセルである。
- 圧縮なしのRGB画像では、1024×1024ピクセル、各色256階調なら 3 MBになる。
39AM59
問題文
[39AM59] コンピュータの電源を切ると保持していた情報が消えるのはどれか。
選択肢
1.SSD 2.HDD 3.DVD-RW 4.メインメモリ 5.フラッシュメモリ
答え
4.メインメモリ
解説
正答
4
この問題のポイント
この問題では、コンピュータの記憶装置について、揮発性と不揮発性の違いが問われています。
- 揮発性メモリ:電源を切ると情報が消える
- 不揮発性メモリ:電源を切っても情報が残る
コンピュータのメインメモリは、一般にDRAMなどで構成される揮発性メモリです。
したがって、電源を切ると保持していた情報が消えます。
解説
コンピュータの記憶装置は、大きく次のように整理できます。
メインメモリは、CPUがプログラムやデータを一時的に読み書きするために使用する高速な記憶装置です。
一般的なメインメモリはDRAMで構成されており、電荷を保持することで情報を記憶します。しかし、電源供給がなくなると情報を保持できないため、電源を切ると内容は消えます。
これを揮発性といいます。
一方、SSD、HDD、DVD-RW、フラッシュメモリは、電源を切っても情報を保持できるため、不揮発性記憶装置に分類されます。
ひっかけポイント SSDは高速なのでメインメモリと混同しやすいですが、SSDは補助記憶装置です。
SSDやフラッシュメモリは、電源を切ってもデータが残ります。
「作業中の一時保存場所」がメインメモリ、「長期保存場所」が補助記憶装置と考えると整理しやすいです。
医療情報での注意点 医療機器や医療情報システムでは、電源断や再起動で消える情報と、保存される情報を区別することが重要です。検査データや設定値を扱う場合は、どこに保存されているかを確認します。
選択肢の確認
1.誤り。 SSDはフラッシュメモリを利用した補助記憶装置です。電源を切っても保存されたデータは保持されるため、不揮発性です。
2.誤り。 HDDは磁気ディスクにデータを記録する補助記憶装置です。電源を切ってもデータは保持されます。
3.誤り。 DVD-RWは光ディスクの一種で、記録された情報は電源を切っても保持されます。したがって不揮発性の記憶媒体です。
4.正しい。 メインメモリは、CPUが処理中のデータやプログラムを一時的に置く記憶装置です。一般に揮発性であり、電源を切ると保持していた情報が消えます。
5.誤り。 フラッシュメモリは不揮発性メモリです。USBメモリやSSDなどに利用され、電源を切っても情報を保持します。
覚えるポイント
- 揮発性メモリは、電源を切ると情報が消える。
- 不揮発性メモリは、電源を切っても情報が残る。
- メインメモリは一般に揮発性である。
- SSD、HDD、DVD-RW、フラッシュメモリは、電源を切っても情報を保持できる。
- メインメモリは作業領域、補助記憶装置は保存領域として整理する。
39AM60
問題文
[39AM60] SaaS(software as a service)について誤っているのはどれか。
選択肢
1.システムを稼働しているハードウェアの保守管理は利用者が行う。 2.ネットワーク経由でソフトウェアを遠隔利用するサービスである。 3.利用者が入力したデータはクラウドサーバに保存できる。 4.ソフトウェアの更新はサービスを提供する事業者が行う。 5.電子カルテシステムに利用されている。
答え
1.システムを稼働しているハードウェアの保守管理は利用者が行う。
解説
正答
1
この問題のポイント
この問題では、SaaSの特徴が問われています。
SaaS は software as a service の略で、ソフトウェアを利用者の端末に個別にインストールして管理するのではなく、ネットワーク経由でサービスとして利用する形態です。
問題文は「誤っているのはどれか。」です。
SaaSでは、システムを稼働しているサーバやハードウェアの保守管理は、原則としてサービス提供事業者側が行います。
したがって、「ハードウェアの保守管理は利用者が行う」という選択肢1が誤りです。
解説
SaaSは、クラウドサービスの代表的な利用形態の1つです。
利用者は、インターネットなどのネットワークを介して、事業者が提供するソフトウェア機能を利用します。
典型的には、利用者はWebブラウザや専用アプリを通じてサービスを利用します。ソフトウェアの本体やデータは、サービス提供事業者が管理するクラウドサーバ上で扱われます。
SaaSの特徴は次のとおりです。
- ネットワーク経由でソフトウェアを利用する
- 利用者が入力したデータをクラウドサーバに保存できる
- ソフトウェアの更新や修正はサービス提供事業者が行う
- サーバやハードウェアの保守管理もサービス提供事業者側が担う
- 利用者は自施設で大規模なサーバを保有しなくても利用できる場合がある
医療分野でも、電子カルテ、予約管理、文書管理、画像関連サービスなどでクラウド型サービスが利用されることがあります。
ひっかけポイント SaaSでは、利用者は「ソフトウェアを使う側」です。
サーバ、OS、ミドルウェア、ソフトウェア更新、ハードウェア保守などは、基本的にサービス提供事業者が管理します。
利用者がハードウェア保守を行うという説明は、SaaSの特徴としては不適切です。
医療情報での注意点 医療機関でSaaSを利用する場合、利便性だけでなく、患者情報の保護、アクセス権限、認証、通信の暗号化、バックアップ、障害時対応、監査ログなども確認する必要があります。
選択肢の確認
1.正答。記述としては誤り。 SaaSでは、システムを稼働しているサーバやハードウェアの保守管理は、原則としてサービスを提供する事業者が行います。利用者がハードウェア保守管理を行うという記述は、SaaSの説明として誤りです。
2.記述としては正しい。 SaaSは、ネットワーク経由でソフトウェアを遠隔利用するサービスです。利用者はWebブラウザや専用アプリなどを通じて機能を利用します。
3.記述としては正しい。 SaaSでは、利用者が入力したデータをクラウドサーバに保存できる形態が一般的です。ただし、医療情報では保存先、管理体制、セキュリティ、契約内容を確認する必要があります。
4.記述としては正しい。 SaaSでは、ソフトウェアの更新や保守はサービス提供事業者が行います。利用者側で個別にソフトウェアを更新する負担を減らせる点が特徴です。
5.記述としては正しい。 SaaSやクラウド型の仕組みは、電子カルテシステムなどの医療情報システムに利用されることがあります。医療分野で利用する場合は、個人情報保護や情報セキュリティ対策が重要です。
この問題では「誤っているもの」を選ぶため、記述として誤っている1が正答です。
覚えるポイント
- SaaSは、ソフトウェアをネットワーク経由でサービスとして利用する形態である。
- SaaSでは、利用者は主にソフトウェア機能を利用する側である。
- サーバやハードウェアの保守管理は、原則としてサービス提供事業者が行う。
- ソフトウェアの更新も、通常はサービス提供事業者が行う。
- 医療分野でSaaSを使う場合は、患者情報の保護、認証、アクセス制御、ログ管理、バックアップが重要である。
39AM61
問題文
[39AM61] IPv6 は以下のように 16 bit のフィールド 8 個から構成されている。表現できる IP アドレスの数はどれか。 2026:0301:abcd:ef01:2345:6789:abcd:ef01 IPv6 の表記の例
選択肢
1.2^8 2.2^16 3.2^32 4.2^64 5.2^128
答え
5.2^128
解説
正答
5
この問題のポイント
この問題では、IPv6アドレスのビット数から、表現できるアドレス数を求めます。
IPv6 は、問題文にあるように 16 bit のフィールドが8個で構成されます。
したがって、全体のビット数は、
- 16 bit × 8 = 128 bit
です。
1 bit では 0 と 1 の2通りを表せるため、128 bit で表せるアドレス数は 2^128 になります。
解説
IPアドレスは、ネットワーク上の機器を識別するための番号です。
IPv6では、アドレス全体が 128 bit で表されます。
問題文の例では、次のようにコロンで区切られた8個のフィールドがあります。
- 2026
- 0301
- abcd
- ef01
- 2345
- 6789
- abcd
- ef01
それぞれのフィールドは 16 bit です。
したがって、IPv6アドレス全体は、
- 16 bit × 8個 = 128 bit
となります。
n bit で表現できる組合せ数は、各 bit が 0 または 1 の2通りをとるため、
- 2^n
です。
IPv6では n = 128 なので、
- 表現できるIPアドレス数 = 2^128
となります。
ひっかけポイント 8個のフィールドがあるため、2^8 と考えてしまうのは誤りです。
各フィールドが 16 bit であり、それが8個あるので、合計は 128 bit です。
国家試験ではここを押さえる IPv6は 128 bit、IPv4は 32 bit と整理して覚えます。
表現できるアドレス数は、ビット数を n とすると 2^n です。
選択肢の確認
1.誤り。 2^8 は、8 bit で表せる組合せ数です。IPv6は8個のフィールドを持ちますが、1フィールドが16 bitなので、全体は8 bitではありません。
2.誤り。 2^16 は、1つのフィールドだけで表せる組合せ数です。IPv6アドレス全体は、16 bit のフィールドが8個あるため、16 bitではなく128 bitです。
3.誤り。 2^32 は、IPv4アドレスの表現数に対応します。IPv6はIPv4より長い128 bitのアドレス空間を持ちます。
4.誤り。 2^64 は、128 bitの半分に相当します。IPv6アドレス全体のビット数は64 bitではなく128 bitです。
5.正しい。 IPv6は 16 bit のフィールドが8個で構成されます。
- 16 × 8 = 128
したがって、表現できるIPアドレスの数は 2^128 です。
覚えるポイント
- IPv6は、128 bit のIPアドレスである。
- IPv6は、16 bit のフィールド8個で構成される。
- 全体のビット数は 16 × 8 = 128 bitである。
- n bit で表現できる組合せ数は 2^nである。
- IPv6で表現できるIPアドレス数は 2^128である。
- IPv4は32 bit、IPv6は128 bitとして区別する。
39AM62
問題文
[39AM62] 医療情報システムの安全管理に必要な要素である「可用性」に該当するのはどれか。
選択肢
1.必要な時に情報にアクセスできる。 2.利用者が本人であることを保証する。 3.情報が正確かつ完全な形で閲覧できる。 4.アクセスログを記録し後から追跡できる。 5.許可された者のみが情報にアクセスできる。
答え
1.必要な時に情報にアクセスできる。
解説
正答
1
この問題のポイント
この問題では、医療情報システムの安全管理で重要な情報セキュリティの3要素のうち、可用性が問われています。
情報セキュリティの基本は、次の3つです。
- 機密性:許可された者だけが情報にアクセスできる
- 完全性:情報が正確で改ざんされていない
- 可用性:必要なときに情報やシステムを利用できる
可用性に該当するのは、必要な時に情報にアクセスできることです。
解説
医療情報システムでは、電子カルテ、検査結果、画像情報、処方情報、透析記録、人工呼吸器管理記録など、多くの重要な情報を扱います。
これらの情報は、単に漏えいを防ぐだけでは不十分です。
必要な場面で必要な情報を参照できなければ、診療や治療の遅れ、誤判断、患者安全上の問題につながります。
この「必要な時に使える状態を保つこと」が可用性です。
可用性を確保するためには、次のような対策が関係します。
- システムの冗長化
- バックアップ
- 停電対策
- ネットワーク障害への備え
- 障害発生時の復旧手順
- 定期的な保守点検
- サーバや端末の安定稼働
ひっかけポイント 情報セキュリティでは、機密性、完全性、可用性を混同しないことが重要です。
「見られないようにする」は機密性、 「正しい状態を保つ」は完全性、 「必要な時に使える」は可用性です。
医療情報での注意点 医療現場では、システム停止が診療に直結します。
電子カルテや部門システムが使えない場合に備えて、代替運用、紙運用、復旧手順、連絡体制を整備しておくことが重要です。
選択肢の確認
1.正しい。 必要な時に情報にアクセスできることは、可用性に該当します。医療情報システムでは、診療に必要な情報を必要なタイミングで利用できることが患者安全に直結します。
2.誤り。 利用者が本人であることを保証するのは、認証に関する内容です。ID、パスワード、多要素認証、生体認証などが関係します。可用性ではありません。
3.誤り。 情報が正確かつ完全な形で閲覧できることは、完全性に該当します。改ざんや誤入力、データ欠損を防ぐことが重要です。
4.誤り。 アクセスログを記録し、後から追跡できることは、監査性や追跡性に関係します。誰が、いつ、どの情報にアクセスしたかを確認するための仕組みです。
5.誤り。 許可された者のみが情報にアクセスできることは、機密性に該当します。アクセス制御、権限管理、認可などが関係します。
覚えるポイント
- 情報セキュリティの3要素は、機密性、完全性、可用性である。
- 可用性は、必要な時に情報やシステムを利用できることである。
- 機密性は、許可された者だけが情報にアクセスできることである。
- 完全性は、情報が正確で完全な状態に保たれることである。
- 認証は、利用者が本人であることを確認する仕組みである。
- 医療情報システムでは、可用性の低下が診療停止や患者安全上のリスクにつながる。
39AM63
問題文
[39AM63] 図 1 のブロック線図を図 2 のように等価変換したとき、伝達関数 A はどれか。
選択肢
1.H + K 2.K – H 3.HK 4.K/H 5.K/G
答え
4.K/H
解説
正答
4
この問題のポイント
この問題では、ブロック線図の等価変換が問われています。
図1では、フィードバック信号は H の前の分岐点から取り出され、伝達関数 K を通って加算点の負入力へ戻っています。
図2では、フィードバック信号を取り出す位置が H の後、つまり出力 Y 側に移動しています。
分岐点をブロック H の後ろへ移動すると、同じフィードバック信号にするために、フィードバック経路の伝達関数を補正する必要があります。
その補正が A = K / H です。
解説
図1と図2が等価であるためには、加算点に戻ってくる負のフィードバック信号が同じでなければなりません。
図で見るポイント 図1では、G の出力であり H の入力となる信号を分岐して、K を通して戻しています。
図2では、H を通過した後の出力 Y を分岐して、A を通して戻しています。
つまり、分岐点を H の前から H の後ろへ移動しています。
図1で、G の出力、すなわち H の入力となる信号を U とします。
図1では、フィードバック信号は、
- K × U
です。
一方、図2では、U が H を通った後に出力 Y になります。
- Y = H × U
図2のフィードバック信号は、Y に A をかけたものなので、
- A × Y
- A × H × U
です。
図1と図2が等価であるためには、戻ってくる信号が等しくなる必要があります。
- K × U = A × H × U
U を消去すると、
- K = A × H
したがって、
- A = K / H
となります。
ひっかけポイント 分岐点をブロックの前から後ろへ移動すると、移動したブロックの影響を打ち消す必要があります。
今回は H の後ろへ移動しているため、フィードバック経路には 1 / H の補正が必要です。
もともと K があるので、A は K / H になります。
伝達関数で確認する方法
図1の全体の伝達関数を考えます。
G の出力を U とすると、
- U = G × (X – K × U)
- U = GX – GKU
- U × (1 + GK) = GX
- U / X = G / (1 + GK)
出力は、
- Y = H × U
なので、
- Y / X = GH / (1 + GK)
次に図2を考えます。
図2では、出力 Y を A で戻しているので、
- Y = GH × (X – A × Y)
- Y = GHX – AGHY
- Y × (1 + AGH) = GHX
したがって、
- Y / X = GH / (1 + AGH)
図1と図2が等価であるためには、分母が一致する必要があります。
- 1 + GK = 1 + AGH
- GK = AGH
- K = AH
- A = K / H
やはり、選択肢4が正しいことが分かります。
選択肢の確認
1.誤り。 H + K ではありません。分岐点を H の後ろへ移動したときは、加算ではなく、H の影響を打ち消すために割り算で補正します。
2.誤り。 K – H ではありません。ブロック線図の分岐点移動では、伝達関数を引き算で補正するのではなく、通過したブロックの伝達関数で割るか掛けるかを考えます。
3.誤り。 HK ではありません。もし図2で A = HK とすると、フィードバック信号は A × H × U = H^2K × U となり、図1の K × U と一致しません。
4.正しい。 図1では、H の前の信号 U に K をかけて戻しています。図2では、H の後の信号 Y = H × U から戻すため、A × H × U = K × U となる必要があります。
したがって、
- A = K / H
です。
5.誤り。 K/G ではありません。移動している分岐点は、G の前後ではなく H の前後です。したがって補正に関係するのは G ではなく H です。
覚えるポイント
- ブロック線図の等価変換では、加算点に入る信号や分岐点から戻る信号が変わらないようにする。
- 分岐点をブロックの前から後ろへ移動するときは、そのブロックの伝達関数で割る補正が必要になる。
- 分岐点をブロックの後ろから前へ移動するときは、そのブロックの伝達関数を掛ける補正が必要になる。
- 今回は分岐点を H の前から H の後ろへ移動している。
- もとのフィードバックが K なので、移動後の伝達関数は A = K / H である。
39AM64
問題文
[39AM64] カプノメータで測定される呼気終末二酸化炭素分圧(PETCO₂)が上昇する要因として正しいのはどれか。
選択肢
1.低体温 2.食道挿管 3.肺塞栓症 4.心拍出量の低下 5.肺胞換気量の低下
答え
5.肺胞換気量の低下
解説
正答
5
この問題のポイント
この問題では、カプノメータで測定される呼気終末二酸化炭素分圧 PETCO₂が上昇する要因が問われています。
PETCO₂は、呼気終末に測定される二酸化炭素分圧で、肺胞内のCO₂濃度を反映しやすい指標です。
重要なのは、PETCO₂が主に次の要素に影響されることです。
- CO₂産生量
- 肺血流、心拍出量
- 肺胞換気量
- 気管チューブや呼吸回路の状態
この中で、PETCO₂を上昇させる代表的な要因は肺胞換気量の低下です。
解説
PETCO₂は、呼気の最後に排出されるガスのCO₂分圧です。
正常な換気と肺血流が保たれている場合、PETCO₂は動脈血二酸化炭素分圧 PaCO₂ と近い値になります。
CO₂は体内で産生され、血液によって肺へ運ばれ、肺胞換気によって体外へ排出されます。
したがって、肺胞換気量が低下すると、CO₂を十分に排出できなくなります。
その結果、
- 肺胞内CO₂が増加する
- PaCO₂が上昇する
- PETCO₂も上昇しやすくなる
という流れになります。
特に人工呼吸器管理では、分時換気量や肺胞換気量が不足すると、CO₂が体内に貯留し、PETCO₂上昇として現れることがあります。
国家試験ではここを押さえる PaCO₂ と PETCO₂ は、主に肺胞換気量に左右されると考えます。
肺胞換気量が低下するとCO₂排出が減り、PETCO₂は上昇しやすくなります。
ひっかけポイント 肺塞栓症や心拍出量低下では、肺へ運ばれるCO₂が減るため、PETCO₂は低下しやすくなります。
PaCO₂が上がる病態と、PETCO₂が上がる病態は必ずしも同じではありません。
選択肢の確認
1.誤り。 低体温では代謝が低下し、CO₂産生量が減少します。そのため、PETCO₂は上昇するよりも低下しやすくなります。
2.誤り。 食道挿管では、気管ではなく食道にチューブが入っているため、肺胞からの呼気CO₂を持続的に検出できません。胃内に残ったCO₂で一時的に波形が出ることはありますが、通常はPETCO₂は低下または消失します。
3.誤り。 肺塞栓症では肺血流が低下し、換気されていても血流のない肺胞、つまり死腔換気が増加します。肺胞まで運ばれるCO₂が減るため、PETCO₂は低下しやすくなります。
4.誤り。 心拍出量が低下すると、末梢で産生されたCO₂が肺へ運ばれにくくなります。そのため、呼気中に排出されるCO₂が減少し、PETCO₂は低下しやすくなります。心肺蘇生中にPETCO₂が循環状態の指標として使われるのはこのためです。
5.正しい。 肺胞換気量が低下すると、CO₂を十分に排出できず、肺胞内にCO₂が蓄積します。その結果、PETCO₂は上昇します。人工呼吸器では、換気回数や1回換気量が不足するとPETCO₂上昇につながります。
覚えるポイント
- PETCO₂は、呼気終末のCO₂分圧である。
- PETCO₂は、換気、肺血流、CO₂産生量の影響を受ける。
- 肺胞換気量が低下するとPETCO₂は上昇しやすい。
- 肺塞栓症や心拍出量低下では、肺へ運ばれるCO₂が減り、PETCO₂は低下しやすい。
- 食道挿管では、持続的な呼気CO₂波形が得られにくい。
- 人工呼吸器管理では、PETCO₂の変化を換気状態、循環状態、チューブ位置と結びつけて判断する。
39AM65
問題文
[39AM65] 人工鼻について正しいのはどれか。
選択肢
1.死腔が大きくなる。 2.ネブライザと併用する。 3.加湿過剰となりやすい。 4.気道粘膜の熱傷の原因となる。 5.痰の粘稠度が高い症例で用いる。
答え
1.死腔が大きくなる。
解説
正答
1
この問題のポイント
この問題では、人工呼吸管理で使用される人工鼻の特徴と注意点が問われています。
人工鼻は、正式には熱湿交換器またはHMEと呼ばれます。
患者の呼気中の熱と水分を保持し、次の吸気時にそれを戻すことで、吸入ガスを加温・加湿します。
ただし、人工鼻を呼吸回路内に装着すると、回路内に器具の内容量が加わるため、死腔が増加します。
解説
通常、鼻や上気道は吸気を加温・加湿する働きを持っています。
しかし、気管挿管や気管切開では、上気道を通らずにガスが気管へ直接入るため、吸入ガスの加温・加湿が不足しやすくなります。
人工鼻は、この不足を補うために使用されます。
人工鼻の主な特徴は次のとおりです。
- 呼気中の熱と水分を保持する
- 次の吸気時に熱と水分を戻す
- 装置が比較的簡便である
- 電源を必要としない
- 呼吸回路に追加するため、死腔が増加する
- 分泌物で閉塞すると換気不良の原因になる
特に小児や低体重患者、換気量が少ない患者では、人工鼻による死腔増加がCO₂再吸入につながることがあります。
ひっかけポイント 人工鼻は加温加湿に使いますが、能動的に水蒸気を供給する加温加湿器とは異なります。
人工鼻は呼気から熱と水分を回収する器具であり、加湿過剰になりやすい器具ではありません。
臨床工学技士としての注意点 人工鼻を使用するときは、死腔増加、気道抵抗上昇、分泌物による閉塞、交換時期、ネブライザ使用時の取り扱いを確認します。
痰が多い患者や粘稠な患者では、人工鼻の閉塞に注意が必要です。
選択肢の確認
1.正しい。 人工鼻を呼吸回路に挿入すると、人工鼻内部の容積が加わります。そのため、患者側の器械的死腔が増加します。特に小児や低換気の患者ではCO₂再吸入に注意します。
2.誤り。 人工鼻は原則としてネブライザと併用しません。ネブライザの薬液粒子が人工鼻に付着すると、薬剤が患者へ届きにくくなり、さらに人工鼻の目詰まりや抵抗増加を起こすおそれがあります。ネブライザ使用時は、人工鼻を一時的に外すなどの対応が必要です。
3.誤り。 人工鼻は呼気中の熱と水分を回収して吸気へ戻す器具であり、加湿過剰になりやすいわけではありません。むしろ、条件によっては加湿不足となり、分泌物の粘稠化やチューブ閉塞に注意が必要です。
4.誤り。 人工鼻は電気的に加熱する器具ではないため、通常、気道粘膜の熱傷の原因にはなりません。熱傷リスクが問題になるのは、加温加湿器の温度管理異常などを考える場面です。
5.誤り。 痰の粘稠度が高い症例では、人工鼻の閉塞や加湿不足が問題になりやすいため、使用には注意が必要です。分泌物が多い場合や粘稠な場合は、加温加湿器の使用を検討します。
覚えるポイント
- 人工鼻は、呼気中の熱と水分を回収して吸気へ戻す器具である。
- 人工鼻を装着すると、死腔が増加する。
- 人工鼻はネブライザと原則併用しない。
- 人工鼻は加湿過剰よりも、加湿不足や閉塞に注意する。
- 痰が多い症例や粘稠な症例では、人工鼻の閉塞に注意する。
- 人工呼吸器管理では、加温加湿、死腔、気道抵抗、分泌物管理をセットで考える。
39AM66
問題文
[39AM66] PEEP(呼気終末陽圧)の影響について誤っているのはどれか。
選択肢
1.頭蓋内圧が上昇する。 2.心拍出量が増加する。 3.肺胞の虚脱を防止する。 4.平均気道内圧が上昇する。 5.FRC(機能的残気量)が増加する。
答え
2.心拍出量が増加する。
解説
正答
2
この問題のポイント
この問題では、PEEPの生理学的影響が問われています。
PEEPは、呼気終末にも気道内圧を陽圧に保つ設定です。
主な効果は次のとおりです。
- 肺胞虚脱を防ぐ
- FRCを増加させる
- 平均気道内圧を上昇させる
- 酸素化を改善しやすい
- 胸腔内圧上昇により静脈還流を減らし、心拍出量を低下させることがある
問題文は「誤っているのはどれか。」です。
PEEPで心拍出量は増加するのではなく、一般に低下しやすいため、2が正答です。
解説
PEEPは positive end-expiratory pressure の略で、日本語では呼気終末陽圧といいます。
呼気の終わりにも気道内に陽圧を残すことで、肺胞が完全に虚脱するのを防ぎます。
その結果、肺内には次のような変化が起こります。
- 肺胞が開きやすくなる
- 無気肺が改善しやすい
- 機能的残気量 FRC が増える
- 平均気道内圧が上がる
- 酸素化が改善しやすい
一方で、PEEPを高くすると胸腔内圧が上昇します。
胸腔内圧が上昇すると、全身静脈から右心系へ血液が戻りにくくなります。これを静脈還流の低下といいます。
静脈還流が低下すると、右心室の前負荷が低下し、その結果として心拍出量が低下することがあります。
ひっかけポイント PEEPは酸素化を改善するために使われますが、循環には負担となることがあります。
「肺にはよい方向の効果があるが、心拍出量は増えるとは限らない」と整理します。
臨床工学技士としての注意点 PEEPを上げた後は、SpO₂やPaO₂だけでなく、血圧、心拍数、尿量、中心静脈圧、循環動態も確認します。
過剰なPEEPは、過膨張、気胸、血圧低下、心拍出量低下の原因になります。
選択肢の確認
1.記述としては正しい。 PEEPにより胸腔内圧が上昇すると、頭蓋内からの静脈還流が妨げられ、頭蓋内圧が上昇することがあります。特に頭蓋内圧亢進がある患者では注意が必要です。
2.正答。記述としては誤り。 PEEPにより胸腔内圧が上昇すると、静脈還流が低下し、心拍出量は増加ではなく低下しやすくなります。したがって、この記述が誤りです。
3.記述としては正しい。 PEEPは呼気終末にも陽圧をかけるため、肺胞がつぶれるのを防ぎます。無気肺の予防や酸素化改善に関係します。
4.記述としては正しい。 PEEPを設定すると呼気終末の圧が上がるため、呼吸周期全体でみた平均気道内圧も上昇します。平均気道内圧の上昇は酸素化に影響します。
5.記述としては正しい。 PEEPにより呼気終末にも肺内にガスが残りやすくなり、FRC、すなわち機能的残気量が増加します。FRCの増加は肺胞虚脱の予防に関係します。
この問題では「誤っているもの」を選ぶため、記述として誤っている2が正答です。
覚えるポイント
- PEEPは、呼気終末にも気道内に陽圧を残す設定である。
- PEEPは、肺胞虚脱を防ぎ、FRCを増加させる。
- PEEPは、平均気道内圧を上昇させ、酸素化を改善しやすい。
- PEEPにより胸腔内圧が上がると、静脈還流が低下する。
- PEEPでは、心拍出量は増加ではなく低下しやすい。
- PEEP設定後は、酸素化だけでなく循環動態も確認する。
39AM67
問題文
[39AM67] 人工呼吸器の換気設定で PaCO₂ に直接影響するのはどれか。 a.換気回数(RR) b.1 回換気量(VT) c.吸気終末休止(EIP) d.呼気終末陽圧(PEEP) e.吸入酸素濃度(FIO₂)
選択肢
1.a、b 2.a、e 3.b、c 4.c、d 5.d、e
答え
1.a、b
解説
正答
1
この問題のポイント
この問題では、人工呼吸器の設定のうち、PaCO₂に直接影響する因子が問われています。
PaCO₂は、主に肺胞換気量によって決まります。
肺胞換気量は、次の式で考えます。
- 肺胞換気量 = (VT – 死腔量) × RR
ここで、
- VT:1回換気量
- RR:換気回数
- 死腔量:ガス交換に参加しない換気量
です。
したがって、PaCO₂に直接影響する設定は、換気回数 RRと1回換気量 VTです。
解説
体内で産生されたCO₂は、血液によって肺へ運ばれ、肺胞換気によって体外へ排出されます。
CO₂排出量が不足すると、PaCO₂は上昇します。
逆に、CO₂排出量が増えると、PaCO₂は低下します。
人工呼吸器でCO₂排出に直接関係するのは、どれだけ肺胞を換気できているかです。
分時換気量は、
- 分時換気量 = VT × RR
で表されます。
ただし、実際にガス交換に参加するのは、死腔を除いた肺胞換気量です。
- 肺胞換気量 = (VT – 死腔量) × RR
そのため、RRとVTはPaCO₂に直接影響します。
国家試験ではここを押さえる PaCO₂は換気、PaO₂は酸素化と整理します。
PaCO₂を下げたいときは、基本的に肺胞換気量を増やします。
酸素化を改善したいときは、FIO₂、PEEP、平均気道内圧などを考えます。
小項目の確認
a.正しい。 換気回数 RR を増やすと、単位時間あたりに換気される量が増えるため、CO₂排出が増え、PaCO₂は低下しやすくなります。RRはPaCO₂に直接影響します。
b.正しい。 1回換気量 VT を増やすと、1回の呼吸で肺胞へ届く換気量が増えます。その結果、CO₂排出が増え、PaCO₂は低下しやすくなります。VTはPaCO₂に直接影響します。
c.誤り。 吸気終末休止 EIP は、吸気の終わりに一時的に気流を止める設定です。ガス分布やプラトー圧測定に関係しますが、RRやVTほどPaCO₂に直接影響する設定ではありません。
d.誤り。 PEEPは呼気終末陽圧であり、肺胞虚脱を防ぎ、FRCや酸素化に関係します。PaCO₂への影響が全くないわけではありませんが、直接的にPaCO₂を調節する主因はRRとVTです。
e.誤り。 FIO₂は吸入酸素濃度であり、主に酸素化、つまりPaO₂やSpO₂に影響します。CO₂排出を直接増減させる設定ではありません。
選択肢の確認
1.正しい。 選択肢1は a、b の組合せです。換気回数 RR と1回換気量 VT は、肺胞換気量を直接変化させるため、PaCO₂に直接影響します。
2.誤り。 選択肢2は a、e の組合せです。aは正しいですが、eのFIO₂は主に酸素化に関係し、PaCO₂を直接調節する設定ではありません。
3.誤り。 選択肢3は b、c の組合せです。bは正しいですが、cのEIPはPaCO₂に直接影響する主因ではありません。
4.誤り。 選択肢4は c、d の組合せです。EIPとPEEPは、主に肺内ガス分布、平均気道内圧、FRC、酸素化などに関係します。PaCO₂への直接的な調節因子としては不適切です。
5.誤り。 選択肢5は d、e の組合せです。PEEPとFIO₂は主に酸素化に関係します。PaCO₂を直接調節する設定は、換気回数 RR と1回換気量 VT です。
覚えるポイント
- PaCO₂は肺胞換気量に直接左右される。
- 肺胞換気量は (VT – 死腔量) × RR で考える。
- RRを増やすとCO₂排出が増え、PaCO₂は低下しやすい。
- VTを増やすとCO₂排出が増え、PaCO₂は低下しやすい。
- FIO₂とPEEPは主に酸素化に関係する。
- 人工呼吸器設定では、CO₂管理と酸素化管理を分けて考える。
39AM68
問題文
[39AM68] 高気圧酸素治療に適する病態はどれか。 a.気 胸 b.肺気腫 c.気管支喘息 d.難治性皮膚潰瘍 e.一酸化炭素中毒
選択肢
1.a、b 2.a、e 3.b、c 4.c、d 5.d、e
答え
5.d、e
解説
正答
5
この問題のポイント
この問題では、高気圧酸素治療の適応となる病態が問われています。
高気圧酸素治療は、高い気圧環境下で高濃度酸素を吸入させる治療です。
血液中に物理的に溶け込む酸素量を増やし、組織への酸素供給を高めることを目的とします。
代表的な適応として重要なのは、次の2つです。
- 一酸化炭素中毒
- 難治性皮膚潰瘍
したがって、正しい小項目は d、e であり、選択肢では5が正答です。
解説
高気圧酸素治療では、通常より高い気圧の環境で酸素を吸入します。
これにより、ヘモグロビンに結合する酸素だけでなく、血漿中に溶解する酸素量が増加します。
その結果、末梢組織や虚血組織にも酸素を届けやすくなります。
高気圧酸素治療が有用とされる病態には、次のようなものがあります。
- 一酸化炭素中毒
- 減圧症
- 空気塞栓、ガス塞栓
- 難治性皮膚潰瘍
- 放射線障害に伴う組織障害
- 重症軟部組織感染症
- 慢性難治性骨髄炎
一酸化炭素中毒では、一酸化炭素がヘモグロビンに強く結合し、酸素運搬が妨げられます。
高気圧酸素治療により、血液中の溶解酸素を増やし、さらに一酸化炭素の排出を促進します。
難治性皮膚潰瘍では、局所の低酸素状態が創傷治癒を妨げます。高気圧酸素治療により組織酸素分圧を高め、創傷治癒を助けることが期待されます。
ひっかけポイント 呼吸器疾患であれば高気圧酸素治療に適する、というわけではありません。
気胸や空気貯留を伴う肺疾患では、圧変化により病態が悪化するリスクがあります。
臨床工学技士としての注意点 高気圧酸素治療では、圧力変化、酸素中毒、気圧外傷、火災リスク、持ち込み物品、患者監視を厳重に管理します。
気胸の有無や耳抜きの可否、呼吸状態、意識状態の確認も重要です。
小項目の確認
a.誤り。 気胸は高気圧酸素治療に適する病態ではありません。未処置の気胸では、加圧・減圧により胸腔内の空気が膨張または圧変化を受け、緊張性気胸などの危険があります。
b.誤り。 肺気腫では肺内に空気が閉じ込められやすく、ブラや気腫性変化を伴うことがあります。圧変化によって気胸などを起こすリスクがあるため、適応としては不適切です。
c.誤り。 気管支喘息は高気圧酸素治療の代表的な適応ではありません。発作時には気道狭窄やエアトラッピングが問題となるため、圧環境下での治療には注意が必要です。
d.正しい。 難治性皮膚潰瘍では、局所の低酸素状態が創傷治癒を妨げることがあります。高気圧酸素治療により組織への酸素供給を増やし、創傷治癒を促進する目的で用いられることがあります。
e.正しい。 一酸化炭素中毒は高気圧酸素治療の重要な適応です。高気圧酸素により溶解酸素量を増やし、一酸化炭素ヘモグロビンの解離を促進して、組織低酸素を改善します。
選択肢の確認
1.誤り。 選択肢1は a、b の組合せです。気胸と肺気腫はいずれも高気圧酸素治療の適応としては不適切です。圧変化による悪化リスクを考えます。
2.誤り。 選択肢2は a、e の組合せです。eの一酸化炭素中毒は正しいですが、aの気胸は不適切です。未処置の気胸は高気圧酸素治療で注意すべき病態です。
3.誤り。 選択肢3は b、c の組合せです。肺気腫と気管支喘息はいずれも代表的な適応ではありません。空気の閉じ込めや圧変化に注意が必要です。
4.誤り。 選択肢4は c、d の組合せです。dの難治性皮膚潰瘍は正しいですが、cの気管支喘息は高気圧酸素治療の代表的な適応ではありません。
5.正しい。 選択肢5は d、e の組合せです。難治性皮膚潰瘍と一酸化炭素中毒は、高気圧酸素治療に適する病態として重要です。
覚えるポイント
- 高気圧酸素治療は、高圧環境下で高濃度酸素を吸入する治療である。
- 血漿中の溶解酸素量を増やし、組織酸素供給を高める。
- 一酸化炭素中毒は重要な適応である。
- 難治性皮膚潰瘍も適応として押さえる。
- 未処置の気胸は圧変化で悪化する危険があり、適応としては不適切である。
- 高気圧酸素治療では、酸素中毒、気圧外傷、火災リスク、患者監視を重視する。
39AM69
問題文
[39AM69] 量規定で人工呼吸管理中の気道内圧上昇の原因で正しいのはどれか。 a.気管チューブのカフの虚脱 b.気管チューブの片側気管支挿入 c.痰など分泌物の貯留 d.ファイティング e.人工呼吸回路からのリーク
選択肢
1.a、b、c 2.a、b、e 3.a、d、e 4.b、c、d 5.c、d、e
答え
4.b、c、d
解説
正答
4
この問題のポイント
この問題では、量規定換気で人工呼吸管理中に気道内圧が上昇する原因を判断します。
量規定換気では、設定した1回換気量 VTを送り込むことを優先します。
そのため、肺や気道の状態が悪くなっても、同じ量のガスを入れようとするため、条件によっては気道内圧が上昇します。
気道内圧上昇の代表的な原因は、次の2系統で考えます。
- 気道抵抗の増加
- 肺・胸郭コンプライアンスの低下
この問題では、片側気管支挿入、分泌物貯留、ファイティングが気道内圧上昇の原因になります。
解説
量規定換気では、設定された換気量を送るために、人工呼吸器が必要な圧を発生させます。
つまり、同じ1回換気量を送る場合でも、気道が狭くなったり肺が膨らみにくくなったりすると、より高い圧が必要になります。
気道内圧が上昇する主な状況は次のとおりです。
- 気管チューブの屈曲や閉塞
- 痰などの分泌物貯留
- 気管支攣縮
- 片側気管支挿入
- 無気肺、肺水腫、ARDSなどによる肺コンプライアンス低下
- 患者の咳嗽、体動、ファイティング
- 気胸などによる肺の膨らみにくさ
一方、カフの虚脱や呼吸回路からのリークでは、送気したガスが逃げます。
そのため、気道内圧は上がるよりも低下しやすい、または十分な換気量が入らなくなります。
ひっかけポイント 量規定換気で気道内圧が上がるのは、設定した換気量を入れるために、より大きな圧が必要になる場合です。
閉塞、抵抗増加、肺が膨らみにくい状態、患者との同調不良を疑います。
逆に、リークでは圧が逃げるため、気道内圧は上昇しにくくなります。
臨床工学技士としての注意点 高気道内圧アラームが鳴った場合は、人工呼吸器だけでなく、患者、気管チューブ、呼吸回路を同時に確認します。
特に、SpO₂低下、胸郭の左右差、呼吸音、気管チューブの固定位置、回路の屈曲、分泌物、患者のファイティングを迅速に評価します。
小項目の確認
a.誤り。 気管チューブのカフが虚脱すると、カフ周囲からガスが漏れます。これはリークの原因となり、気道内圧は上昇するよりも低下しやすくなります。また、換気量不足や低換気、低圧アラームの原因になります。
b.正しい。 気管チューブが片側気管支、特に右主気管支へ深く入りすぎると、片肺換気になります。換気できる肺容量が減り、肺が膨らみにくくなるため、同じ換気量を送るには高い圧が必要になります。したがって、気道内圧上昇の原因になります。
c.正しい。 痰などの分泌物が気管チューブ内や気道内に貯留すると、気道抵抗が増加します。量規定換気では、設定した換気量を送るために圧が上昇しやすくなります。吸引が必要な代表的状況です。
d.正しい。 ファイティングとは、患者の自発呼吸や咳嗽、体動が人工呼吸器の送気と合わない状態です。患者が呼気をしようとしているタイミングで人工呼吸器が送気するなど、同調不良が起こると気道内圧が上昇します。
e.誤り。 人工呼吸回路からリークがあると、送気したガスが外へ逃げます。そのため、気道内圧は上昇するよりも低下しやすく、低圧アラームや換気量不足の原因になります。
選択肢の確認
1.誤り。 選択肢1は a、b、c の組合せです。bとcは気道内圧上昇の原因ですが、aの気管チューブのカフの虚脱はリークを起こし、気道内圧上昇の原因としては不適切です。
2.誤り。 選択肢2は a、b、e の組合せです。bは正しいですが、aとeはいずれもリークに関係し、気道内圧は低下しやすくなります。
3.誤り。 選択肢3は a、d、e の組合せです。dのファイティングは気道内圧上昇の原因ですが、aとeはリークにより気道内圧低下につながりやすい項目です。
4.正しい。 選択肢4は b、c、d の組合せです。片側気管支挿入、分泌物貯留、ファイティングはいずれも量規定換気中の気道内圧上昇の原因になります。
5.誤り。 選択肢5は c、d、e の組合せです。cとdは正しいですが、eの人工呼吸回路からのリークは気道内圧上昇ではなく、低圧や換気量不足の原因になります。
覚えるポイント
- 量規定換気では、設定した換気量を送るため、抵抗増加やコンプライアンス低下で気道内圧が上昇する。
- 分泌物貯留は気道抵抗を増加させ、気道内圧上昇の原因になる。
- 片側気管支挿入では換気される肺容量が減り、気道内圧が上昇しやすい。
- ファイティングは患者と人工呼吸器の同調不良であり、気道内圧上昇を起こす。
- カフ虚脱や回路リークはガスが逃げるため、気道内圧上昇ではなく低圧や換気量不足の原因になりやすい。
- 高気道内圧アラームでは、患者状態、気管チューブ、分泌物、回路、換気設定を順に確認する。
39AM70
問題文
[39AM70] 図のポンプについて正しいのはどれか。 a.拍動流ポンプである。 b.抗凝固療法は不要である。 c.吸引ポンプとして使用できる。 d.後負荷により流量が変動する。 e.低回転数運転時には逆流が発生し得る。
選択肢
1.a、b 2.a、e 3.b、c 4.c、d 5.d、e
答え
5.d、e
解説
正答
5
この問題のポイント
この問題では、図に示された遠心ポンプの特徴が問われています。
図では、中央から血液が流入し、羽根車の回転によって外周方向へ送られ、側方の出口へ流出する構造が描かれています。
遠心ポンプは、人工心肺、ECMO、補助循環などで用いられる非拍動流ポンプです。
重要な特徴は次のとおりです。
- 回転数と圧較差によって流量が決まる
- 後負荷が上がると流量は低下しやすい
- 非閉塞型ポンプであり、条件によって逆流が起こり得る
- 血液を扱うため、原則として抗凝固管理が必要
- 吸引ポンプとして使うものではない
したがって、正しい小項目は d、e であり、選択肢では5が正答です。
解説
遠心ポンプは、回転する羽根車によって血液に遠心力を与え、外周方向へ押し出すポンプです。
ローラポンプのようにチューブを押しつぶして一定量を送り出す容積型ポンプではありません。
そのため、遠心ポンプの流量は次の要因に影響されます。
- ポンプ回転数
- 前負荷
- 後負荷
- 回路抵抗
- 血液粘性
- 回路内の閉塞や屈曲
図で見るポイント 図では、血液が上方の入口からポンプ中央へ入り、回転流によって外周方向へ移動し、側方の出口から送り出される様子が示されています。
このような構造は、血液に遠心力を与えて流れを作る遠心ポンプの特徴です。
遠心ポンプは、回転数を一定にしていても、送血先の圧が高くなると流量が低下します。これを後負荷依存性といいます。
また、遠心ポンプは非閉塞型であり、ポンプが停止したり回転数が低すぎたりすると、送血側の圧がポンプを逆向きに押し戻し、逆流が起こることがあります。
このため、人工心肺やECMOでは、遠心ポンプ使用時に流量、回転数、圧、回路クランプ、逆流、空気混入を十分に監視する必要があります。
ひっかけポイント 遠心ポンプは「回していれば一定量が必ず出る」ポンプではありません。
ローラポンプは容積型で流量が回転数に依存しやすいのに対し、遠心ポンプは後負荷や前負荷の影響を受けやすいと整理します。
臨床工学技士としての注意点 遠心ポンプは過度な陰圧、脱血不良、空気混入、逆流、血栓形成、溶血に注意します。
特に低回転数や停止時には逆流リスクがあるため、回路クランプや一方向弁の有無、流量表示、圧モニタを確認します。
小項目の確認
a.誤り。 図のポンプは遠心ポンプであり、基本的には非拍動流ポンプです。拍動流を発生させる専用制御を行う場合を除き、通常は連続流として扱います。
b.誤り。 遠心ポンプを用いる体外循環では、血液が人工材料表面に接触するため、凝固系が活性化されます。そのため、通常はヘパリンなどによる抗凝固療法が必要です。
c.誤り。 遠心ポンプは、血液を送るためのポンプであり、医療用吸引器のような吸引ポンプとして使用するものではありません。過度な陰圧は脱血不良、気泡混入、キャビテーション、溶血などの危険につながります。
d.正しい。 遠心ポンプでは、後負荷、つまり送血先の圧や回路抵抗が上昇すると流量が低下しやすくなります。回転数が同じでも、後負荷により流量は変動します。
e.正しい。 遠心ポンプは非閉塞型であるため、低回転数運転時や停止時には、送血側から脱血側へ血液が逆流することがあります。逆流防止のため、回転数、流量、回路クランプ操作に注意が必要です。
選択肢の確認
1.誤り。 選択肢1は a、b の組合せです。aの「拍動流ポンプ」は誤りで、遠心ポンプは基本的に非拍動流ポンプです。bの「抗凝固療法は不要」も誤りで、体外循環では抗凝固管理が必要です。
2.誤り。 選択肢2は a、e の組合せです。eは正しいですが、aは誤りです。図のポンプは遠心ポンプであり、拍動流ポンプではありません。
3.誤り。 選択肢3は b、c の組合せです。bは抗凝固療法が不要としており誤りです。cも、遠心ポンプを吸引ポンプとして用いるという点で不適切です。
4.誤り。 選択肢4は c、d の組合せです。dは正しいですが、cは誤りです。遠心ポンプは吸引ポンプとして使うものではありません。
5.正しい。 選択肢5は d、e の組合せです。遠心ポンプでは、後負荷により流量が変動します。また、低回転数運転時には逆流が発生し得ます。したがって、この組合せが正しいです。
覚えるポイント
- 図のポンプは遠心ポンプである。
- 遠心ポンプは基本的に非拍動流ポンプである。
- 遠心ポンプでは、流量は回転数だけでなく前負荷、後負荷、回路抵抗の影響を受ける。
- 後負荷が上昇すると流量は低下しやすい。
- 遠心ポンプは非閉塞型であり、低回転数や停止時に逆流が起こり得る。
- 血液を扱う体外循環では、遠心ポンプ使用時も抗凝固管理が必要である。
39AM71
問題文
[39AM71] 人工心肺装置を用いた体外循環中の反応について誤っているのはどれか。 a.低体温体外循環は生体酸素需要を増加させる。 b.血液希釈法は末梢血管抵抗を増加させる。 c.血液中アルドステロン濃度は増加する。 d.血液中アドレナリン濃度は増加する。 e.血小板数は増加する。
選択肢
1.a、b、c 2.a、b、e 3.a、d、e 4.b、c、d 5.c、d、e
答え
2.a、b、e
解説
正答
2
この問題のポイント
この問題では、人工心肺装置を用いた体外循環中の生体反応について、誤っている小項目の組合せを選びます。
体外循環中には、血液が人工材料表面に接触すること、低体温、血液希釈、非生理的灌流、手術侵襲などにより、さまざまな生体反応が起こります。
重要な整理は次のとおりです。
- 低体温では代謝が抑制され、生体酸素需要は低下する
- 血液希釈では血液粘稠度が低下し、末梢血管抵抗は低下しやすい
- 手術侵襲や体外循環により、カテコールアミンやホルモン反応は亢進する
- 血小板は人工材料表面への接触、活性化、消費、希釈などで減少しやすい
したがって、誤っている小項目は a、b、e であり、選択肢では2が正答です。
解説
人工心肺装置を用いた体外循環では、血液が体外回路、人工肺、リザーバ、チューブなどの人工材料表面に接触します。
この非生理的な環境により、凝固線溶系、補体、炎症反応、内分泌反応、血小板機能などが変化します。
また、心臓手術では臓器保護を目的として低体温体外循環が行われることがあります。低体温では細胞代謝が抑制されるため、酸素消費量は低下します。これは臓器保護の重要な理由です。
一方、体外循環ではプライミング液による血液希釈が起こります。血液希釈によりヘマトクリットは低下し、血液粘稠度も低下します。そのため、一般に末梢血管抵抗は低下しやすくなります。
さらに、手術侵襲や非拍動流、低体温、血圧変動などにより、交感神経系や内分泌系が刺激されます。そのため、血液中のアドレナリンやアルドステロンなどは増加しやすくなります。
血小板は、体外回路内での機械的刺激や人工材料表面への接触により活性化・消費されます。また、血液希釈の影響も受けるため、血小板数は増加ではなく減少しやすいです。
ひっかけポイント 低体温は「体が冷えるので負担が大きく酸素需要が増える」と考えがちですが、実際には代謝を抑えて酸素需要を下げる目的で用いられます。
臨床工学技士としての注意点 体外循環では、灌流量、圧、温度、ヘマトクリット、血液ガス、抗凝固、尿量、混合静脈血酸素飽和度、血小板、溶血、回路内凝血を総合的に監視します。
小項目の確認
a.記述としては誤り。 低体温体外循環では、生体の代謝が抑制されるため、酸素需要は増加ではなく低下します。臓器保護のために低体温を用いる理由の1つです。
b.記述としては誤り。 血液希釈法では、血液粘稠度が低下します。そのため、末梢血管抵抗は増加ではなく、一般に低下しやすいです。
c.記述としては正しい。 体外循環や手術侵襲では、循環動態や内分泌反応の変化により、レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系が亢進し、血液中アルドステロン濃度は増加しやすくなります。
d.記述としては正しい。 手術侵襲、体外循環、低体温、循環変動などのストレスにより、交感神経系が刺激されます。そのため、血液中アドレナリン濃度は増加しやすくなります。
e.記述としては誤り。 体外循環中は、血小板が人工材料表面への接触や機械的刺激で活性化・消費されます。また血液希釈の影響も受けるため、血小板数は増加ではなく減少しやすいです。
選択肢の確認
1.誤り。 選択肢1は a、b、c の組合せです。aとbは誤りですが、cは記述として正しいため、誤っている小項目の組合せとしては不適切です。
2.正しい。 選択肢2は a、b、e の組合せです。低体温体外循環は酸素需要を低下させ、血液希釈は末梢血管抵抗を低下させやすく、血小板数は増加ではなく減少しやすいです。したがって、誤っている小項目の組合せとして正しいです。
3.誤り。 選択肢3は a、d、e の組合せです。aとeは誤りですが、dは記述として正しいため、不適切です。
4.誤り。 選択肢4は b、c、d の組合せです。bは誤りですが、cとdは記述として正しいため、不適切です。
5.誤り。 選択肢5は c、d、e の組合せです。eは誤りですが、cとdは記述として正しいため、不適切です。
覚えるポイント
- 低体温体外循環では、代謝が抑制され、生体酸素需要は低下する。
- 血液希釈では、血液粘稠度が低下し、末梢血管抵抗は低下しやすい。
- 体外循環や手術侵襲により、アドレナリンやアルドステロンは増加しやすい。
- 体外循環中は、血小板の活性化、消費、希釈により、血小板数は減少しやすい。
- この問題では、誤っている小項目は a、b、e である。
39AM72
問題文
[39AM72] 人工心肺装置を用いた体外循環中の管理で正しいのはどれか。
選択肢
1.平均大動脈圧 100 mmHg 2.中心静脈圧 20 mmHg 3.混合静脈血酸素飽和度 50% 4.ヘマトクリット値 25% 5.活性化凝固時間(ACT) 200 秒
答え
4.ヘマトクリット値 25%
解説
正答
4
この問題のポイント
この問題では、人工心肺装置を用いた体外循環中の管理目標として適切な値を選びます。
体外循環中は、灌流量、圧、酸素供給、抗凝固、血液希釈、体温などを総合的に管理します。
国家試験で特に押さえる目安は次のとおりです。
- 平均動脈圧は、過度に高くしすぎない
- 混合静脈血酸素飽和度は、低すぎないように管理する
- ヘマトクリット値は、血液希釈下で20〜30%程度が目安になる
- ACTは、体外循環中には十分に延長させる
- 中心静脈圧が高い状態は、脱血不良などを疑う
この中で適切なのは、ヘマトクリット値 25%です。
解説
体外循環では、人工心肺装置のプライミング液により血液が希釈されます。
血液希釈によりヘマトクリット値は低下しますが、適度な血液希釈は血液粘稠度を下げ、末梢循環を保ちやすくする利点があります。
一方で、ヘマトクリット値が低すぎると酸素運搬能が低下します。
そのため、体外循環中のヘマトクリット値は、患者状態や施設方針により異なりますが、国家試験では25%程度が適切な管理値として扱われます。
国家試験ではここを押さえる 人工心肺中の管理では、単一の数値だけでなく、酸素供給と循環灌流のバランスを考えます。
ヘマトクリット値は高すぎても粘稠度が上がり、低すぎても酸素運搬能が不足します。
臨床工学技士としての注意点 体外循環中は、灌流量、平均動脈圧、SvO₂、ヘマトクリット、血液ガス、ACT、温度、尿量、回路圧、気泡、人工肺機能を継続的に確認します。
選択肢の確認
1.誤り。 平均大動脈圧 100 mmHg は、体外循環中の管理値としては高すぎます。体外循環中は、臓器灌流を保ちながら過度な高圧を避けて管理します。
2.誤り。 中心静脈圧 20 mmHg は高値です。体外循環中に中心静脈圧が高い場合、脱血不良、カニューレ位置不良、回路閉塞、静脈還流障害などを疑います。
3.誤り。 混合静脈血酸素飽和度 50%は低値です。酸素供給が不足している可能性があり、灌流量不足、貧血、酸素化不良、代謝亢進などを確認する必要があります。
4.正しい。 ヘマトクリット値 25%は、体外循環中の血液希釈下で管理目標として扱われる範囲に入ります。酸素運搬能と血液粘稠度のバランスをみる重要な指標です。
5.誤り。 ACT 200 秒は、体外循環中の抗凝固管理としては短すぎます。人工心肺中は血液が人工材料表面に接触するため、ヘパリン投与によりACTを十分に延長させ、回路内凝血を防ぎます。
覚えるポイント
- 体外循環中は、灌流、酸素化、抗凝固、血液希釈、体温を総合管理する。
- ヘマトクリット値は、体外循環中には25%程度が適切な目安として問われやすい。
- 混合静脈血酸素飽和度 50%は低すぎる。
- ACT 200 秒は、人工心肺中の抗凝固としては不十分である。
- 中心静脈圧 20 mmHg は高く、脱血不良などを疑う。
- 平均大動脈圧 100 mmHg は体外循環中の管理値としては高すぎる。
39AM73
問題文
[39AM73] 図の Swan-Ganz(スワン・ガンツ)カテーテルで測定できるのはどれか。 a.心拍出量 b.左室駆出率 c.左室圧 d.収縮期動脈圧 e.混合静脈血酸素飽和度
選択肢
1.a、b 2.a、e 3.b、c 4.c、d 5.d、e
答え
2.a、e
解説
正答
2
この問題のポイント
この問題では、Swan-Ganzカテーテル、すなわち肺動脈カテーテルで測定できる項目が問われています。
Swan-Ganzカテーテルは、主に右心系から肺動脈に留置して、循環動態を評価するために用いられます。
代表的に測定できるものは次のとおりです。
- 肺動脈圧
- 肺動脈楔入圧
- 中心静脈圧、右房圧
- 右室圧
- 心拍出量
- 混合静脈血酸素飽和度
したがって、正しい小項目は a、e であり、選択肢では2が正答です。
解説
Swan-Ganzカテーテルは、静脈から挿入され、右房、右室を通って肺動脈へ進めるカテーテルです。
先端にバルーンを備え、血流に乗せて肺動脈まで進めることができます。
図で見るポイント この問題は図の確認が重要です。カテーテルの先端、バルーン、各ルーメンの位置、肺動脈内に留置される構造を順に確認します。
Swan-Ganzカテーテルは左室や大動脈に直接入れるカテーテルではなく、右心系から肺動脈に留置するカテーテルです。
心拍出量は、熱希釈法により測定できます。一定量の冷たい液体を注入し、肺動脈側で温度変化を測定することで心拍出量を算出します。
また、肺動脈で採取または連続測定される血液は、全身から戻ってきた静脈血が混合された血液です。そのため、Swan-Ganzカテーテルでは混合静脈血酸素飽和度 SvO₂を測定できます。
一方、左室駆出率は心エコー、心臓MRI、RI検査などで評価される指標です。Swan-Ganzカテーテルで直接測定するものではありません。
左室圧や収縮期動脈圧も、Swan-Ganzカテーテルが直接測定する項目ではありません。左室圧は左心カテーテル、大動脈圧や末梢動脈圧は動脈ラインなどで測定します。
ひっかけポイント Swan-Ganzカテーテルは「心臓に入るカテーテル」ですが、左室や大動脈を直接測るものではありません。
基本は右心系と肺動脈の情報を測るカテーテルです。
小項目の確認
a.正しい。 Swan-Ganzカテーテルでは、熱希釈法などにより心拍出量を測定できます。循環管理で重要な指標です。
b.誤り。 左室駆出率は、左室が拡張末期容量のうちどれだけを拍出したかを示す指標です。心エコーなどで評価されることが多く、Swan-Ganzカテーテルで直接測定する項目ではありません。
c.誤り。 Swan-Ganzカテーテルは右心系から肺動脈へ挿入されます。左室内に留置するカテーテルではないため、左室圧は測定できません。
d.誤り。 収縮期動脈圧は、動脈ラインや血圧計で測定される全身動脈圧です。Swan-Ganzカテーテルで直接測定する主目的の項目ではありません。
e.正しい。 Swan-Ganzカテーテルでは、肺動脈血の酸素飽和度として混合静脈血酸素飽和度 SvO₂を測定できます。酸素供給と酸素消費のバランス評価に有用です。
選択肢の確認
1.誤り。 選択肢1は a、b の組合せです。aの心拍出量は測定できますが、bの左室駆出率は直接測定できません。
2.正しい。 選択肢2は a、e の組合せです。Swan-Ganzカテーテルでは、心拍出量と混合静脈血酸素飽和度を測定できます。
3.誤り。 選択肢3は b、c の組合せです。左室駆出率も左室圧も、Swan-Ganzカテーテルで直接測定する項目ではありません。
4.誤り。 選択肢4は c、d の組合せです。左室圧と収縮期動脈圧は、Swan-Ganzカテーテルの測定項目としては不適切です。
5.誤り。 選択肢5は d、e の組合せです。eの混合静脈血酸素飽和度は測定できますが、dの収縮期動脈圧はSwan-Ganzカテーテルの直接測定項目ではありません。
覚えるポイント
- Swan-Ganzカテーテルは、右心系から肺動脈に留置する肺動脈カテーテルである。
- 心拍出量は、熱希釈法などで測定できる。
- 肺動脈血から混合静脈血酸素飽和度 SvO₂を評価できる。
- 左室駆出率、左室圧、収縮期動脈圧は、Swan-Ganzカテーテルで直接測定する項目ではない。
- Swan-Ganzカテーテルは、酸素供給と酸素消費のバランスや循環動態の評価に用いられる。
39AM74
問題文
[39AM74] V-V ECMO で正しいのはどれか。
選択肢
1.循環補助を行う。 2.左室後負荷が増加する。 3.膜型人工肺が用いられる。 4.送血部位は大腿動脈とする。 5.成人では血液ポンプにローラポンプが用いられる。
答え
3.膜型人工肺が用いられる。
解説
正答
3
この問題のポイント
この問題では、V-V ECMOの特徴が問われています。
ECMOは、体外循環によって血液を取り出し、人工肺でガス交換を行って体内へ戻す治療です。
V-V ECMOは、静脈から脱血し、静脈へ送血する方式です。
主な目的は、心臓の循環補助ではなく、呼吸補助です。
V-V ECMOでも、血液の酸素化と二酸化炭素除去のために膜型人工肺が用いられます。
解説
ECMOには、代表的に次の2つがあります。
- V-V ECMO:静脈脱血、静脈送血。主に呼吸補助。
- V-A ECMO:静脈脱血、動脈送血。呼吸補助に加え、循環補助も行う。
V-V ECMOでは、静脈血を体外へ取り出し、膜型人工肺で酸素化とCO₂除去を行った後、酸素化された血液を静脈側へ戻します。
そのため、肺機能が高度に障害された患者で、心機能が比較的保たれている場合に用いられます。
一方、V-V ECMOは静脈に血液を返すため、動脈圧を直接上げる循環補助にはなりません。全身へ血液を送るのは患者自身の心臓です。
国家試験ではここを押さえる V-V ECMOは呼吸補助、V-A ECMOは循環補助を含むと整理します。
どちらも血液ガス交換のために膜型人工肺を用います。
臨床工学技士としての注意点 ECMOでは、流量、回転数、脱血圧、送血圧、膜型人工肺前後圧、酸素化、CO₂除去、抗凝固、血栓、気泡、溶血、カニューレ位置を継続的に管理します。
選択肢の確認
1.誤り。 V-V ECMOは主に呼吸補助を目的とします。循環補助を行うのは、静脈から脱血して動脈へ送血するV-A ECMOです。
2.誤り。 V-V ECMOは静脈へ送血する方式であり、動脈系へ直接送血しません。そのため、V-A ECMOのように左室後負荷を増加させる作用は基本的にありません。
3.正しい。 V-V ECMOでは、体外へ取り出した血液を膜型人工肺に通して酸素化し、二酸化炭素を除去します。したがって、この記述は正しいです。
4.誤り。 V-V ECMOでは、送血部位は静脈です。大腿動脈へ送血するのはV-A ECMOで用いられることがある方法です。V-V ECMOでは大腿静脈、内頸静脈などが関係します。
5.誤り。 成人のECMOでは、血液ポンプとして主に遠心ポンプが用いられます。ローラポンプはチューブを圧迫する容積型ポンプであり、成人ECMOで一般的に用いられる主流ではありません。
覚えるポイント
- V-V ECMOは、静脈から脱血し、静脈へ送血する。
- V-V ECMOは主に呼吸補助を行う。
- 循環補助を行うのは主にV-A ECMOである。
- ECMOでは、血液ガス交換のために膜型人工肺を用いる。
- V-V ECMOの送血部位は動脈ではなく静脈である。
- 成人ECMOの血液ポンプは、一般に遠心ポンプが用いられる。
39AM75
問題文
[39AM75] 血液透析療法の治療目的はどれか。 a.小分子量尿毒素の除去 b.アシドーシスの是正 c.電解質異常の是正 d.活性酸素の除去 e.貧血の是正
選択肢
1.a、b、c 2.a、b、e 3.a、d、e 4.b、c、d 5.c、d、e
答え
1.a、b、c
解説
正答
1
この問題のポイント
この問題では、血液透析療法の治療目的が問われています。
血液透析の基本目的は、腎機能が低下した患者で、腎臓が担っていた機能の一部を代行することです。
主な目的は次のとおりです。
- 小分子量尿毒素の除去
- 余分な水分の除去
- 電解質異常の是正
- アシドーシスの是正
この問題の小項目では、a、b、c が血液透析療法の治療目的です。
解説
血液透析では、患者の血液を体外へ取り出し、ダイアライザを通して透析液と半透膜を介して接触させます。
主な物質移動は、次の原理で説明できます。
- 拡散:尿素、クレアチニン、カリウムなどの濃度差による移動
- 限外濾過:圧力差による水分除去
- 透析液組成による補正:電解質や酸塩基平衡の調整
血液透析では、尿素やクレアチニンなどの小分子量尿毒素を除去します。
また、腎不全では酸の排泄が低下し、代謝性アシドーシスを起こしやすくなります。透析液には重炭酸などの緩衝成分が含まれており、アシドーシスの是正に役立ちます。
さらに、カリウム、ナトリウム、カルシウム、リンなどの電解質異常も、透析により調整します。
一方、活性酸素の除去は血液透析療法の主目的ではありません。
また、腎不全患者では腎性貧血が問題になりますが、これは主にエリスロポエチン産生低下や鉄代謝異常などが関係します。血液透析そのものが貧血を直接是正するわけではなく、赤血球造血刺激因子製剤や鉄補充などで治療します。
ひっかけポイント 血液透析は「腎臓のすべての機能」を完全に代行する治療ではありません。
尿毒素、水分、電解質、酸塩基平衡の管理が中心です。
貧血の是正は透析そのものの主目的ではなく、薬物療法などで行います。
臨床工学技士としての注意点 透析中は、血液流量、透析液流量、透析液濃度、除水量、静脈圧、TMP、抗凝固、漏血、気泡、血圧低下、穿刺部状態を確認します。
小項目の確認
a.正しい。 血液透析では、尿素、クレアチニンなどの小分子量尿毒素を拡散により除去します。これは血液透析の代表的な目的です。
b.正しい。 腎不全では酸の排泄低下により代謝性アシドーシスが起こりやすくなります。血液透析では透析液を介して酸塩基平衡を調整し、アシドーシスを是正します。
c.正しい。 血液透析では、カリウム、ナトリウム、カルシウム、リンなどの電解質異常を透析液との濃度差により調整します。特に高カリウム血症の是正は重要です。
d.誤り。 活性酸素の除去は、血液透析療法の主たる治療目的ではありません。透析膜や血液接触による酸化ストレスが問題になることもあります。
e.誤り。 貧血は慢性腎不全で重要な合併症ですが、血液透析そのものの主目的ではありません。腎性貧血は、主にエリスロポエチン製剤や鉄補充などで治療します。
選択肢の確認
1.正しい。 選択肢1は a、b、c の組合せです。小分子量尿毒素の除去、アシドーシスの是正、電解質異常の是正はいずれも血液透析療法の治療目的です。
2.誤り。 選択肢2は a、b、e の組合せです。aとbは正しいですが、eの貧血の是正は血液透析そのものの主目的ではありません。
3.誤り。 選択肢3は a、d、e の組合せです。aは正しいですが、dの活性酸素の除去とeの貧血の是正は、血液透析療法の主目的としては不適切です。
4.誤り。 選択肢4は b、c、d の組合せです。bとcは正しいですが、dの活性酸素の除去は血液透析の主目的ではありません。
5.誤り。 選択肢5は c、d、e の組合せです。cは正しいですが、dとeは血液透析療法の主目的ではありません。
覚えるポイント
- 血液透析の主目的は、尿毒素除去、水分除去、電解質補正、酸塩基平衡の是正である。
- 小分子量尿毒素は、主に拡散で除去される。
- 余分な水分は、主に限外濾過で除去される。
- 代謝性アシドーシスは、透析液を介して是正される。
- 腎性貧血は重要な合併症だが、透析そのものではなく薬物療法などで治療する。
- この問題では、正しい小項目は a、b、c である。
39AM76
問題文
[39AM76] 図は血液透析の標準的な回路構成である。抗凝固薬注入部位はどれか。
選択肢
1.ア 2.イ 3.ウ 4.エ 5.オ
答え
2.イ
解説
正答
2
この問題のポイント
この問題では、血液透析回路における抗凝固薬の注入部位が問われています。
血液透析では、血液が体外回路、チャンバ、ダイアライザなどの人工材料表面に接触します。
そのままでは血液凝固が起こりやすいため、通常はヘパリンなどの抗凝固薬を注入します。
標準的な血液透析回路では、抗凝固薬は血液ポンプ後、ダイアライザ前の脱血側回路に注入します。
図では、この部位がイです。
解説
血液透析では、患者から脱血した血液が血液ポンプで送られ、ダイアライザを通過した後、返血側回路を通って患者へ戻ります。
抗凝固薬は、体外回路内で血液が凝固しないようにする目的で使用します。
特に凝固が問題になりやすい部位は、次のような血液が人工材料と接触する部分です。
- 血液回路
- チャンバ
- ダイアライザ
- 返血側回路
そのため、抗凝固薬はできるだけダイアライザに入る前に注入し、ダイアライザや返血側回路を通過する血液に抗凝固作用が及ぶようにします。
また、血液ポンプ後は陽圧側となり、抗凝固薬を安定して注入しやすい部位です。
図で見るポイント 図では、右側の患者から上側回路へ血液が脱血され、血液ポンプを通って左側のダイアライザへ向かいます。
イは血液ポンプの後で、ダイアライザに入る前の位置です。
この位置に抗凝固薬を注入すると、ダイアライザを含む下流側の回路で血液凝固を防ぎやすくなります。
抗凝固薬をダイアライザ後や返血側の後半で注入すると、ダイアライザ内の血液には十分に作用しません。
そのため、抗凝固薬注入部位としては不適切です。
ひっかけポイント 抗凝固薬は「患者に近い場所」や「返血側」に入れるのではなく、血液ポンプ後、ダイアライザ前に注入するのが標準的です。
ダイアライザを通る前に抗凝固薬が血液に混ざることが重要です。
臨床工学技士としての注意点 抗凝固薬の投与では、注入ラインの接続、シリンジポンプ設定、残量、閉塞、逆流、投与量、出血傾向、ACTや凝固状態を確認します。
抗凝固薬が正しく注入されないと、ダイアライザ凝血や回路凝血につながります。
選択肢の確認
1.誤り。 アは、血液ポンプの入口側に近い脱血側回路です。標準的な抗凝固薬注入部位としては、血液ポンプ後のイが適切です。
2.正しい。 イは、血液ポンプ後、ダイアライザ前の位置です。ここで抗凝固薬を注入すると、ダイアライザや下流側回路を流れる血液に抗凝固作用を及ぼしやすいため、標準的な注入部位として適切です。
3.誤り。 ウは、ダイアライザ入口付近の回路です。抗凝固薬注入部位として問われる標準的位置は、図では血液ポンプ後のイです。ウでは、上流側の回路やチャンバに十分な抗凝固作用が及びにくくなります。
4.誤り。 エは、ダイアライザを通過した後の血液回路です。この位置で抗凝固薬を注入しても、すでにダイアライザを通過した後であり、ダイアライザ内凝血の予防には不十分です。
5.誤り。 オは、返血側チャンバ付近の位置です。返血側の後半であり、抗凝固薬を注入するには遅すぎます。ダイアライザや上流側回路の凝血予防には適しません。
覚えるポイント
- 血液透析では、体外回路内で凝血を防ぐために抗凝固薬を使用する。
- 標準的な抗凝固薬注入部位は、血液ポンプ後、ダイアライザ前である。
- 図では、抗凝固薬注入部位はイである。
- ダイアライザ後や返血側後半で注入しても、ダイアライザ内凝血の予防には不十分である。
- 抗凝固薬注入では、投与量、注入ライン、シリンジポンプ設定、凝血、出血傾向を確認する。
39AM77
問題文
[39AM77] 図の中空糸が 15000 本平行に束ねられてハウジングに詰められているダイアライザのプライミングボリューム[mL]に最も近いのはどれか。 ただし、プライミングボリュームはダイアライザの全中空糸内容量と等しいとする。
選択肢
1.50 2.70 3.100 4.200 5.300
答え
3.100
解説
正答
3
この問題のポイント
この問題では、中空糸型ダイアライザのプライミングボリュームを、円柱の体積として計算します。
図では、1本の中空糸について次の値が示されています。
- 内径:200 μm
- 長さ:22 cm
- 本数:15000 本
プライミングボリュームは、問題文より全中空糸の内容量と等しいとします。
したがって、1本の中空糸内腔の体積を求め、それに 15000 本を掛けます。
解説
中空糸の内腔は、細い円柱として考えます。
円柱の体積は次の式で求めます。
- 体積 = 断面積 × 長さ
- 断面積 = π × 半径^2
図で見るポイント 図中の 200 μm は中空糸の内径です。
体積計算で使うのは半径なので、内径を2で割ります。
図中の 22 cm は中空糸の長さです。
計算の流れ
まず、内径を cm に変換します。
- 1 μm = 10^-4 cm
- 200 μm = 200 × 10^-4 cm
- 200 μm = 2.0 × 10^-2 cm
半径は内径の半分です。
- 半径 r = 1.0 × 10^-2 cm
1本の中空糸の断面積は、
- 断面積 = π × r^2
- 断面積 = 3.14 × (1.0 × 10^-2)^2
- 断面積 = 3.14 × 10^-4 cm^2
長さは 22 cm なので、1本あたりの内容量は、
- 1本の体積 = 3.14 × 10^-4 × 22
- 1本の体積 = 6.908 × 10^-3 cm^3
中空糸は 15000 本あるため、全中空糸内容量は、
- 全体積 = 6.908 × 10^-3 × 15000
- 全体積 = 103.62 cm^3
ここで、
- 1 cm^3 = 1 mL
なので、
- 全体積 = 約104 mL
選択肢の中で最も近いのは 100 mL です。
ひっかけポイント 200 μm を半径として使うと、体積が4倍になってしまいます。
図の 200 μm は内径なので、半径は 100 μm です。
血液浄化療法での注意点 プライミングボリュームは、体外循環中に回路やダイアライザ内へ入る血液量に関係します。
小児や循環血液量が少ない患者では、プライミング量が循環動態に与える影響が大きくなるため注意します。
選択肢の確認
1.誤り。 50 mL は計算値の約104 mLより小さすぎます。中空糸内径、長さ、本数を用いて計算すると、約100 mLになります。
2.誤り。 70 mL も計算値より小さい値です。1本あたりの内容量は約0.0069 mLであり、15000本では約104 mLになります。
3.正しい。 内径 200 μm、長さ 22 cm の中空糸が 15000 本あるため、全中空糸内容量は約104 mLです。最も近い選択肢は 100 mL です。
4.誤り。 200 mL は計算値の約2倍です。直径と半径の扱い、または単位換算を誤ると大きめの値になりやすいため注意します。
5.誤り。 300 mL は大きすぎます。中空糸内腔のみの体積を計算する条件では、約100 mLが妥当です。
覚えるポイント
- 中空糸の内容量は、円柱の体積として計算する。
- 円柱の体積は π × 半径^2 × 長さで求める。
- 図の 200 μm は内径なので、半径は 100 μmである。
- 1 μm = 10^-4 cm、1 cm^3 = 1 mL である。
- 1本の中空糸内容量に本数を掛けて、全中空糸内容量を求める。
- この問題では、計算値は約104 mLであり、最も近い選択肢は100 mLである。
39AM78
問題文
[39AM78] 透析液水質基準(2016 年、日本透析医学会)について正しいのはどれか。
選択肢
1.硝酸塩は RO 膜で阻止可能である。 2.透析液の生物学的汚染はエンドトキシン濃度単独で判定される。 3.標準透析液はオンライン血液透析濾過療法に置換液として使用される。 4.透析用水の化学的汚染に関する水質基準検査は RO 装置設置前に行う。 5.残留塩素測定は総塩素(クロラミンと遊離塩素の合計)測定が推奨される。
答え
5.残留塩素測定は総塩素(クロラミンと遊離塩素の合計)測定が推奨される。
解説
正答
5
この問題のポイント
この問題では、2016年版の透析液水質基準について、化学的汚染、生物学的汚染、残留塩素管理の基本が問われています。
特に重要なのは、残留塩素を遊離塩素だけでなく、クロラミンを含めた総塩素として測定する点です。
クロラミンは透析液中に混入すると、溶血などの重大な合併症につながるおそれがあります。
解説
血液透析では、透析液がダイアライザの半透膜を介して患者血液と接します。
そのため、透析液や透析用水の水質管理は、患者安全に直結します。
水質管理では、大きく次の2つを分けて考えます。
- 化学的汚染:塩素、クロラミン、硝酸塩、アルミニウム、重金属など
- 生物学的汚染:生菌、エンドトキシンなど
残留塩素については、遊離塩素だけでなく、結合塩素であるクロラミンも問題になります。
クロラミンは、原水中のアンモニア態窒素などと消毒用塩素が反応して生じることがあります。活性炭ろ過装置の処理能力を超えると、透析用水や透析液へ混入する危険があります。
そのため、2016年版の透析液水質基準では、残留塩素測定として総塩素、すなわち遊離塩素とクロラミンの合計を測定することが推奨されます。
ひっかけポイント 残留塩素という言葉だけを見ると、遊離塩素だけを測定すればよいと考えがちです。
透析では、クロラミンによる溶血リスクが重要なため、総塩素測定を押さえます。
血液浄化療法での注意点 透析液水質管理では、RO装置、軟水装置、活性炭ろ過装置、ETRF、配管、透析液供給装置、末端透析液までを一連のシステムとして管理します。
日常点検では、残留塩素、硬度、電気伝導率、エンドトキシン、生菌数などを目的に応じて確認します。
選択肢の確認
1.誤り。 硝酸塩や亜硝酸塩は、RO膜で阻止が困難な化学的汚染物質として注意が必要です。RO装置で常に十分に除去できると考えるのは不適切です。原水の水質や供給水源の情報確認も重要になります。
2.誤り。 透析液の生物学的汚染は、エンドトキシン濃度だけで判定するものではありません。エンドトキシン濃度と生菌数の両方を用いて清浄度を評価します。
3.誤り。 標準透析液は、オンライン血液透析濾過療法の置換液として使用するものではありません。オンラインHDFで体内に補充される置換液には、より高い清浄度が求められます。
4.誤り。 透析用水の化学的汚染に関する評価は、RO装置設置前に行うというより、供給水源の確認や、RO装置などの水処理システムを通した透析用水としての水質確認が重要です。RO装置設置前だけで完結する検査ではありません。
5.正しい。 残留塩素測定では、遊離塩素だけでなく、結合塩素であるクロラミンも含めた総塩素の測定が推奨されます。クロラミンは透析患者で溶血などを起こす危険があるため、総塩素として管理することが重要です。
覚えるポイント
- 透析液水質管理では、化学的汚染と生物学的汚染を分けて考える。
- 生物学的汚染は、エンドトキシン濃度と生菌数で評価する。
- 硝酸塩、亜硝酸塩はRO膜で阻止が困難な化学的汚染物質として注意する。
- オンラインHDFの置換液には、標準透析液より高い清浄度が必要である。
- 残留塩素測定では、総塩素、すなわち遊離塩素とクロラミンの合計を測定することが推奨される。
- クロラミン混入は溶血などの重大なリスクにつながるため、透析機器管理で重要である。
39AM79
問題文
[39AM79] 腹膜透析について誤っているのはどれか。 a.血液透析と併用可能である。 b.循環動態への影響が少ない。 c.バスキュラーアクセスが必要である。 d.透析液にはカリウムイオンが含まれる。 e.ブドウ糖透析液では除水量が最大となる透析時間が存在する。
選択肢
1.a、b 2.a、e 3.b、c 4.c、d 5.d、e
答え
4.c、d
解説
正答
4
この問題のポイント
この問題では、腹膜透析の特徴について、誤っている小項目の組合せを選びます。
腹膜透析は、腹腔内に透析液を注入し、患者自身の腹膜を半透膜として利用する血液浄化療法です。
重要な特徴は次のとおりです。
- 血液透析との併用が可能である
- 血液透析に比べて循環動態への影響が少ない
- バスキュラーアクセスは不要である
- 腹膜透析液は通常、カリウムを含まない
- ブドウ糖透析液では、除水量が最大となる貯留時間が存在する
したがって、誤っている小項目は c、d であり、選択肢では4が正答です。
解説
腹膜透析では、腹腔内に留置した腹膜透析カテーテルから透析液を注入します。
血液中の尿毒素や電解質、水分は、腹膜を介して透析液側へ移動します。
血液透析のように、血液を体外へ取り出してダイアライザへ送る治療ではないため、バスキュラーアクセスは不要です。必要なのは血管アクセスではなく、腹膜透析カテーテルです。
また、腹膜透析は比較的ゆっくり持続的に除水や溶質除去を行うため、血液透析に比べると急激な血圧変動が起こりにくく、循環動態への影響が少ないとされます。
腹膜透析液には、浸透圧物質としてブドウ糖が含まれることがあります。ブドウ糖濃度により浸透圧差が生じ、血液側から透析液側へ水分が移動します。
ただし、時間が経つとブドウ糖が体内へ吸収され、浸透圧差が小さくなります。そのため、ブドウ糖透析液では除水量がある時間で最大となり、その後は除水効率が低下したり、再吸収が起こったりします。
ひっかけポイント 腹膜透析では「透析」と名前がついていても、血液透析のようなバスキュラーアクセスは使いません。
使うのは腹膜透析カテーテルです。
血液浄化療法での注意点 腹膜透析では、腹膜炎、出口部感染、トンネル感染、排液混濁、除水不良、腹膜機能低下、体液過剰、血糖管理などを確認します。
排液の性状とバッグ交換時の清潔操作は、患者教育でも重要です。
小項目の確認
a.記述としては正しい。 腹膜透析は血液透析と併用できます。腹膜透析だけでは透析量や除水が不足する場合、血液透析を組み合わせる方法が行われることがあります。
b.記述としては正しい。 腹膜透析は、持続的または緩徐に水分や溶質を除去するため、血液透析に比べて急激な血圧変動が少なく、循環動態への影響が少ないとされます。
c.記述としては誤り。 腹膜透析では、血液を体外へ取り出すためのバスキュラーアクセスは必要ありません。必要なのは、腹腔内へ透析液を出し入れするための腹膜透析カテーテルです。
d.記述としては誤り。 腹膜透析液には、通常、カリウムイオンは含まれません。腎不全患者では高カリウム血症を起こしやすいため、カリウムを除去する方向に働くように設計されています。
e.記述としては正しい。 ブドウ糖透析液では、ブドウ糖による浸透圧差で除水が起こります。しかし時間経過とともにブドウ糖が吸収され、浸透圧差が低下するため、除水量が最大となる透析時間が存在します。
選択肢の確認
1.誤り。 選択肢1は a、b の組合せです。a、bはいずれも記述として正しいため、誤っている小項目の組合せではありません。
2.誤り。 選択肢2は a、e の組合せです。a、eはいずれも記述として正しいため、不適切です。
3.誤り。 選択肢3は b、c の組合せです。cは記述として誤りですが、bは記述として正しいため、誤っている小項目の組合せとしては不十分です。
4.正答。誤っている小項目の組合せです。 選択肢4は c、d の組合せです。腹膜透析ではバスキュラーアクセスは不要であり、透析液には通常カリウムイオンは含まれません。したがって、c、dはいずれも記述として誤りです。
5.誤り。 選択肢5は d、e の組合せです。dは記述として誤りですが、eは記述として正しいため、不適切です。
この問題では「誤っているもの」を選ぶため、誤っている小項目である c、d を含む4が正答です。
覚えるポイント
- 腹膜透析は、腹膜を半透膜として利用する血液浄化療法である。
- 腹膜透析では、血液透析と異なりバスキュラーアクセスは不要である。
- 腹膜透析に必要なのは、腹腔内に留置する腹膜透析カテーテルである。
- 腹膜透析は、血液透析より循環動態への影響が少ない。
- 腹膜透析液には、通常、カリウムイオンは含まれない。
- ブドウ糖透析液では、浸透圧差の変化により、除水量が最大となる貯留時間が存在する。
39AM80
問題文
[39AM80] 図のように、点滴スタンドの支柱から水平に 10 cm の位置に質量 500 g の輸液バッグが吊り下げられている。支柱に働く力のモーメント[N・m]はどれか。 ただし、重力加速度の大きさを 9.8 m/s² とする。
選択肢
1.0.49 2.4.9 3.49 4.490 5.4,900
答え
1.0.49
解説
正答
1
この問題のポイント
この問題では、力のモーメントの計算が問われています。
力のモーメントは、支点から力の作用線までの距離と、力の大きさの積で求めます。
- 力のモーメント = 力 × 腕の長さ
図では、輸液バッグが支柱から水平方向に 10 cm 離れた位置に吊り下げられています。
輸液バッグには重力による下向きの力が働くため、この重力が支柱に回転させようとする作用、つまりモーメントを生じます。
図で見るポイント 支柱から輸液バッグの吊り下げ位置までの水平距離が 10 cm です。
ここがモーメントの腕の長さになります。
解説
質量 500 g を kg に直します。
- 500 g = 0.5 kg
重力加速度は 9.8 m/s² なので、輸液バッグに働く重力の大きさは、
- 力 = 質量 × 重力加速度
- 力 = 0.5 × 9.8
- 力 = 4.9 N
次に、支柱から輸液バッグまでの距離 10 cm を m に直します。
- 10 cm = 0.10 m
力のモーメントは、
- モーメント = 力 × 腕の長さ
- モーメント = 4.9 × 0.10
- モーメント = 0.49 N・m
したがって、支柱に働く力のモーメントは 0.49 N・m です。
ひっかけポイント 500 g をそのまま 500 として計算しないようにします。
g は kg に、cm は m に直してから計算します。
選択肢の確認
1.正しい。 500 g = 0.5 kg、10 cm = 0.10 m です。力は 0.5 × 9.8 = 4.9 N なので、モーメントは 4.9 × 0.10 = 0.49 N・m です。
2.誤り。 4.9 は輸液バッグに働く重力の大きさです。モーメントを求めるには、さらに腕の長さ 0.10 m を掛ける必要があります。
3.誤り。 49 は距離や質量の単位換算を誤った場合に出やすい値です。10 cm は 10 m ではなく 0.10 m です。
4.誤り。 490 は、500 g や 10 cm を SI 単位に直さずに扱うと出やすい値です。N・m で答えるため、kg と m に直します。
5.誤り。 4,900 は過大です。質量 500 g は 0.5 kg であり、距離 10 cm は 0.10 m です。
覚えるポイント
- 力のモーメントは、力 × 腕の長さで求めます。
- 500 g = 0.5 kg です。
- 10 cm = 0.10 m です。
- 重力の大きさは、質量 × 重力加速度で求めます。
- この問題では、4.9 N × 0.10 m = 0.49 N・m です。
39AM81
問題文
[39AM81] ポアソン比について誤っているのはどれか。
選択肢
1.縦ひずみに対する横ひずみの比を用いて表される。 2.材料によって固有の値をもつ。 3.荷重を加えても体積が変わらなければ 0.5 となる。 4.生体組織では正の値をとる。 5.生体軟組織では鉄鋼材料よりも小さい。
答え
5.生体軟組織では鉄鋼材料よりも小さい。
解説
正答
5
この問題のポイント
この問題では、ポアソン比の意味と、生体軟組織の力学的特徴が問われています。
ポアソン比は、材料を一方向に引っ張ったり圧縮したりしたときに、縦方向のひずみに対して横方向にどれだけ変形するかを表す値です。
重要なのは、生体軟組織は体積変化が小さく、ほぼ非圧縮性に近いという点です。
非圧縮性に近い材料では、ポアソン比は 0.5 に近い値をとります。
鉄鋼材料のポアソン比は一般に約0.3程度であるため、生体軟組織のポアソン比は鉄鋼材料より小さいのではなく、むしろ大きい傾向があります。
解説
ポアソン比は、材料に荷重を加えたときの縦ひずみと横ひずみの関係を表します。
引張荷重を加えると、材料は引っ張った方向に伸び、横方向には縮みます。
このとき、ポアソン比 ν は一般に次のように表されます。
- ν = – 横ひずみ / 縦ひずみ
マイナスを付けるのは、引張方向の縦ひずみが正、横方向のひずみが負になるため、ポアソン比を正の値として扱うためです。
ポアソン比は材料の性質を示す値であり、材料によって異なります。
代表的には、
- ゴムや生体軟組織:0.5に近い
- 鉄鋼材料:およそ0.3程度
- コルクなど:小さい値をとることがある
と整理できます。
生体軟組織は水分を多く含み、圧縮しても体積が大きく変わりにくい性質があります。そのため、ポアソン比は0.5に近く、鉄鋼材料よりも小さいとはいえません。
ひっかけポイント 「軟らかい材料だからポアソン比が小さい」と考えると誤りです。
ポアソン比は硬さそのものではなく、縦方向に変形したときの横方向変形の割合を表します。
生体軟組織は軟らかいですが、体積変化が小さいためポアソン比は大きくなりやすいです。
選択肢の確認
1.記述としては正しい。 ポアソン比は、縦ひずみに対する横ひずみの比を用いて表されます。符号を考慮して、一般に ν = – 横ひずみ / 縦ひずみ と表します。
2.記述としては正しい。 ポアソン比は、ヤング率などと同じく材料の力学的性質を示す値です。材料によって固有の値をもちます。
3.記述としては正しい。 荷重を加えても体積が変わらない、つまり非圧縮性材料とみなせる場合、ポアソン比は理想的には 0.5 になります。生体軟組織はこの値に近いことがあります。
4.記述としては正しい。 多くの生体組織では、引っ張ると横方向に縮むため、ポアソン比は正の値をとります。一般的な生体組織の変形を考えるうえで重要です。
5.正答。記述としては誤り。 生体軟組織は水分を多く含み、体積変化が小さいため、ポアソン比は0.5に近い値をとることがあります。鉄鋼材料のポアソン比は一般に約0.3程度であり、生体軟組織の方が小さいとはいえません。
この問題では「誤っているもの」を選ぶため、記述として誤っている5が正答です。
覚えるポイント
- ポアソン比は、縦ひずみに対する横ひずみの比を用いて表す。
- 一般に ν = – 横ひずみ / 縦ひずみ と表される。
- ポアソン比は材料によって異なる。
- 体積が変わらない非圧縮性材料では、ポアソン比は 0.5 となる。
- 生体軟組織は非圧縮性に近く、ポアソン比は0.5に近い。
- 生体軟組織のポアソン比は、鉄鋼材料より小さいとはいえない。
39AM82
問題文
[39AM82] ハーゲン・ポアズイユの式について正しいのはどれか。
選択肢
1.理想流体において成り立つ。 2.管路内が乱流の場合に成り立つ。 3.流量は管路長さに比例する。 4.流量は管路両端の圧力差に反比例する。 5.流量は管路半径の 4 乗に比例する。
答え
5.流量は管路半径の 4 乗に比例する。
解説
正答
5
この問題のポイント
この問題では、ハーゲン・ポアズイユの式の基本関係が問われています。
ハーゲン・ポアズイユの式は、細い円管内を流れる粘性流体の層流について、流量と圧力差、管半径、管路長、粘性係数の関係を表します。
最重要ポイントは、流量が管路半径の4乗に比例することです。
つまり、管半径が少し変わるだけでも、流量は大きく変化します。
解説
ハーゲン・ポアズイユの式は、次のように表されます。
- Q = π r^4 ΔP / (8 η L)
ここで、
- Q:流量
- r:管路半径
- ΔP:管路両端の圧力差
- η:粘性係数
- L:管路長
- π:円周率
です。
この式から、流量 Q は次の関係をもちます。
- 管路半径 r の4乗に比例する
- 圧力差 ΔP に比例する
- 粘性係数 η に反比例する
- 管路長 L に反比例する
特に重要なのは、半径 r が4乗で効くことです。
たとえば、半径が2倍になると、
- 2^4 = 16
なので、他の条件が同じなら流量は16倍になります。
逆に、半径が半分になると、
- (1 / 2)^4 = 1 / 16
となり、流量は16分の1になります。
これは、血管狭窄、カテーテル内径、輸液ライン、人工心肺回路、透析回路などを考えるうえで重要です。
ひっかけポイント 管路の「半径」と「直径」を混同しないようにします。
ハーゲン・ポアズイユの式では、流量は半径の4乗に比例します。
また、成り立つ条件は層流であり、乱流ではありません。
臨床工学技士としての注意点 細いカテーテルや回路の狭窄、血栓、折れ曲がりは、流量低下や圧上昇の原因になります。
半径が少し小さくなるだけでも流量が大きく低下するため、ラインの内径、閉塞、屈曲を確認することが重要です。
選択肢の確認
1.誤り。 ハーゲン・ポアズイユの式は、粘性をもつ流体の層流に対して成り立つ式です。粘性を考えない理想流体に対して成り立つ式ではありません。
2.誤り。 この式は、管路内の流れが層流の場合に成り立ちます。乱流では、流速分布や圧力損失の関係が異なるため、ハーゲン・ポアズイユの式をそのまま適用できません。
3.誤り。 流量は管路長さに比例するのではなく、管路長さに反比例します。管が長いほど流れにくくなり、流量は低下します。
4.誤り。 流量は管路両端の圧力差に反比例するのではなく、圧力差に比例します。圧力差が大きいほど、流量は増加します。
5.正しい。 ハーゲン・ポアズイユの式では、流量 Q は管路半径 r の4乗に比例します。したがって、半径の変化は流量に非常に大きく影響します。
覚えるポイント
- ハーゲン・ポアズイユの式は、円管内の粘性流体の層流に対して成り立つ。
- 基本式は Q = π r^4 ΔP / (8 η L) である。
- 流量 Q は、管路半径 r の4乗に比例する。
- 流量 Q は、圧力差 ΔP に比例する。
- 流量 Q は、粘性係数 η と管路長 L に反比例する。
- カテーテルや回路の内径低下は、流量を大きく低下させる。
39AM83
問題文
[39AM83] 図は上腕での動脈圧波形である。末梢側にいくと生じる変化で正しいのはどれか。
選択肢
1.①から②への立ち上がりが緩やかになる。 2.①から④までの波形全体が下方にシフトする。 3.①から④までの時間が長くなる。 4.②での値が増大する。 5.③の切れ込みが深くなる。
答え
4.②での値が増大する。
解説
正答
4
この問題のポイント
この問題では、動脈圧波形が中枢側から末梢側へ伝わるときの変化が問われています。
上腕動脈から橈骨動脈などの末梢側へいくと、一般に次のような変化がみられます。
- 収縮期圧が高くなる
- 脈圧が大きくなる
- 波形の立ち上がりが急峻になる
- 平均圧は大きく変わらない、または末梢に向かってわずかに低下する
- 切痕は目立ちにくくなることがある
図の②は収縮期圧のピークを示します。
末梢側ではこの②の値が増大するため、正しいのは4です。
解説
動脈圧波形は、心臓から駆出された血液によって生じた圧波が、動脈内を末梢へ伝わることで観察されます。
末梢側へいくと、血管の分岐、血管径の変化、血管壁の硬さ、末梢血管抵抗、反射波などの影響を受けます。
その結果、中心動脈に比べて末梢動脈では、収縮期圧のピークが高くなりやすくなります。これを脈波の増幅として整理します。
図で見るポイント ①は拡張期圧付近の低い部分です。
②は収縮期圧のピークです。
③は大動脈弁閉鎖などに関連する切痕、いわゆる重複切痕に相当する部分です。
④は次の拍動に移る前の拡張期末期に近い部分です。
末梢側へいくと、反射波の影響などにより収縮期のピークが増強されます。
そのため、図の②で示される値は増大します。
一方で、波形全体が単純に下へ移動するわけではありません。収縮期圧は増大し、拡張期圧は低下傾向を示すことがあり、脈圧が大きくなります。
また、心拍周期そのものが末梢へ行くことで長くなるわけではありません。波形の到達は遅れますが、①から④までの1拍の時間が長くなると考えるのは不適切です。
ひっかけポイント 「末梢に行くほど圧が落ちる」と単純に考えると誤りです。
平均圧は末梢に向かって低下し得ますが、収縮期圧のピークは末梢側で高くなることがあります。
生体計測での注意点 観血式血圧測定では、測定部位によって波形や収縮期圧が変わります。
橈骨動脈など末梢動脈の圧波形を読むときは、測定部位、トランスデューサの高さ、ゼロ点調整、回路内気泡、カテーテルの閉塞や過減衰も確認します。
選択肢の確認
1.誤り。 末梢側へいくと、①から②への立ち上がりは緩やかになるのではなく、むしろ急峻になりやすいです。末梢動脈では波形が鋭くなり、収縮期ピークが高くなる傾向があります。
2.誤り。 末梢側へいくと、波形全体が単純に下方へシフトするわけではありません。平均圧は末梢に向かってわずかに低下することがありますが、収縮期圧は増大し、脈圧は大きくなりやすいです。
3.誤り。 末梢側では圧波の到達が遅れますが、①から④までの1拍の時間が長くなるわけではありません。1拍の時間は心拍数によって決まるため、末梢側へ行くこと自体で波形全体の時間幅が長くなるとはいえません。
4.正しい。 ②は収縮期圧のピークを示します。末梢側へいくと、反射波や血管特性の影響で収縮期圧が増大しやすくなります。したがって、②での値が増大するという記述は正しいです。
5.誤り。 ③は切痕に相当する部分です。末梢側では切痕が深くなるというより、反射波や波形変化の影響で目立ちにくくなることがあります。末梢側で正しく押さえるべき変化は、収縮期圧ピークの増大です。
覚えるポイント
- 動脈圧波形は、末梢側へいくと収縮期圧が増大しやすい。
- 末梢側では、一般に脈圧が大きくなる。
- 波形の立ち上がりは、末梢側で急峻になりやすい。
- 平均圧は末梢側へ向かって大きく上昇するわけではなく、わずかに低下することがある。
- 図の②は収縮期圧ピークであり、末梢側で増大する。
- 観血式血圧測定では、測定部位による波形差を考慮して評価する。
39AM84
問題文
[39AM84] 人の耳に聴こえる音の強さのレベルを表す単位はどれか。
選択肢
1.W 2.J 3.Pa 4.dB 5.Hz
答え
4.dB
解説
正答
4
この問題のポイント
この問題では、音の強さのレベルを表す単位が問われています。
人の耳が感じる音の大きさは、物理量をそのまま直線的に感じるのではなく、広い範囲の音を対数的に感じます。
そのため、音の強さや音圧のレベルは、対数尺度であるデシベル dBで表します。
解説
音に関係する物理量には、音の強さ、音圧、周波数などがあります。
このうち、音の強さのレベルや音圧レベルを表すときに用いる単位が dB です。
dBは、基準値に対してどれくらい大きいかを対数で表す単位です。
音の強さのレベルは、概念的には次のように表されます。
- 音の強さのレベル = 10 log10(音の強さ / 基準の音の強さ) dB
音圧レベルでは、音圧の2乗が音の強さに関係するため、音圧を用いてdBで表すこともあります。
ひっかけポイント Pa は音圧そのものの単位です。
しかし、問題では「音の強さのレベル」を問うているため、単位は dB です。
国家試験ではここを押さえる 音の問題では、
- 音圧:Pa
- 周波数:Hz
- 音の強さのレベル、音圧レベル:dB を区別します。
選択肢の確認
1.誤り。 Wはワットで、仕事率や電力の単位です。音響出力などを表すことはありますが、音の強さのレベルを表す単位ではありません。
2.誤り。 Jはジュールで、エネルギーや仕事の単位です。音の強さのレベルを表す単位ではありません。
3.誤り。 Paはパスカルで、圧力の単位です。音圧そのものの単位として用いられますが、音の強さのレベルを表す単位ではありません。
4.正しい。 dBはデシベルで、音の強さのレベルや音圧レベルを表す単位です。人が聴こえる音の範囲は非常に広いため、対数尺度で表すdBが用いられます。
5.誤り。 Hzはヘルツで、周波数の単位です。音の高さに関係しますが、音の強さのレベルを表す単位ではありません。
覚えるポイント
- dB は、音の強さのレベルや音圧レベルを表す単位である。
- Pa は音圧そのものの単位である。
- Hz は周波数の単位で、音の高さに関係する。
- W は仕事率や電力、J はエネルギーの単位である。
- 音のレベルは、人の感覚に合わせて対数尺度で表される。
39AM85
問題文
[39AM85] 興奮性細胞について誤っているのはどれか。
選択肢
1.静止状態の Na⁺ 濃度は細胞内よりも細胞外が高い。 2.再分極では電位依存性の K⁺ チャネルが働く。 3.脱分極では細胞内に Na⁺ が流入する。 4.過分極時の電位は静止電位よりも低い。 5.閾膜電位は静止電位よりも低い。
答え
5.閾膜電位は静止電位よりも低い。
解説
正答
5
この問題のポイント
この問題では、神経細胞や筋細胞などの興奮性細胞における膜電位変化が問われています。
重要なのは、次の流れです。
- 静止膜電位では、細胞内は細胞外に対して負に保たれる
- 脱分極では、Na⁺が細胞内へ流入する
- 再分極では、K⁺が細胞外へ流出する
- 過分極では、膜電位が静止膜電位よりさらに負になる
- 閾膜電位は、静止膜電位より脱分極側にある
問題文は「誤っているのはどれか。」です。
閾膜電位は静止電位より低いのではなく、一般に静止電位より高い、つまり負の値が浅い電位です。
解説
興奮性細胞は、刺激によって膜電位が変化し、活動電位を発生できる細胞です。
代表例は次のとおりです。
- 神経細胞
- 骨格筋細胞
- 心筋細胞
- 平滑筋細胞
静止状態では、細胞内は細胞外に対して負の電位を持ちます。これは、Na⁺、K⁺、Cl⁻などのイオン分布と、細胞膜のイオン透過性によって決まります。
一般に、Na⁺濃度は細胞外で高く、K⁺濃度は細胞内で高くなっています。
活動電位では、まず電位依存性Na⁺チャネルが開き、Na⁺が細胞内へ流入します。その結果、膜電位は正方向へ変化します。これが脱分極です。
その後、電位依存性K⁺チャネルが開き、K⁺が細胞外へ流出します。膜電位は再び負の方向へ戻ります。これが再分極です。
K⁺チャネルがしばらく開いていると、膜電位が静止電位よりさらに負になることがあります。これを過分極といいます。
ひっかけポイント 膜電位では「高い」「低い」が負の値で表されるため混乱しやすいです。
例えば、-55 mV は -70 mV より数値として高い電位です。
閾膜電位は静止電位より脱分極側にあり、静止電位より低いわけではありません。
選択肢の確認
1.記述としては正しい。 静止状態では、Na⁺濃度は細胞内よりも細胞外で高くなっています。この濃度勾配により、Na⁺はチャネルが開くと細胞内へ流入しやすくなります。
2.記述としては正しい。 再分極では、主に電位依存性K⁺チャネルが開き、K⁺が細胞外へ流出します。その結果、膜電位は再び負の方向へ戻ります。
3.記述としては正しい。 脱分極では、電位依存性Na⁺チャネルが開き、Na⁺が細胞内へ流入します。これにより膜電位は急速に正方向へ変化します。
4.記述としては正しい。 過分極時の膜電位は、静止電位よりもさらに負になります。したがって、静止電位よりも低い電位と表現できます。
5.正答。記述としては誤り。 閾膜電位は、活動電位が発生するために必要な膜電位の境界です。静止電位よりも低いのではなく、静止電位より脱分極側にあります。例えば、静止電位が -70 mV、閾膜電位が -55 mV のように、閾膜電位は数値として高い電位になります。
この問題では「誤っているもの」を選ぶため、記述として誤っている5が正答です。
覚えるポイント
- 興奮性細胞は、刺激により活動電位を発生できる細胞である。
- 静止状態では、Na⁺濃度は細胞外で高い。
- 脱分極では、Na⁺が細胞内へ流入する。
- 再分極では、K⁺が細胞外へ流出する。
- 過分極では、膜電位が静止電位よりさらに負になる。
- 閾膜電位は、静止電位より脱分極側にある。
39AM86
問題文
[39AM86] 放射線感受性の最も高い組織はどれか。
選択肢
1.脳 2.肝 臓 3.骨皮質 4.小腸上皮 5.脂肪組織
答え
4.小腸上皮
解説
正答
4
この問題のポイント
この問題では、放射線感受性が高い組織の特徴が問われています。
放射線感受性は、一般に次のような細胞で高くなります。
- 細胞分裂が盛んである
- 未分化である
- 将来の分裂回数が多い
この考え方は、ベルゴニー・トリボンドーの法則として整理されます。
小腸上皮は細胞の入れ替わりが非常に盛んであり、放射線感受性が高い組織です。
解説
放射線は、細胞のDNAを傷害し、細胞分裂に影響を与えます。
そのため、活発に増殖している組織ほど、放射線の影響を受けやすくなります。
代表的に放射線感受性が高い組織には、次のようなものがあります。
- 骨髄
- 生殖腺
- リンパ組織
- 消化管上皮
- 小腸上皮
小腸上皮は、腸管内腔に面しており、消化液や機械的刺激にさらされるため、細胞の更新が速い組織です。
そのため、放射線により障害を受けやすく、腹部照射や全身被ばくでは、消化管症状が問題になることがあります。
一方、脳、骨皮質、脂肪組織などは、細胞分裂が少なく、比較的放射線感受性が低い組織として扱われます。
ひっかけポイント 生命に重要な臓器ほど放射線感受性が高い、というわけではありません。
放射線感受性は、主に細胞分裂の盛んさと関係します。
医療安全での注意点 放射線を扱う検査や治療では、被ばく線量、照射範囲、臓器ごとの感受性を考慮します。
特に骨髄、消化管、生殖腺などは感受性が高いため、線量管理が重要です。
選択肢の確認
1.誤り。 脳は神経細胞の分裂が少なく、一般に放射線感受性は比較的低い組織です。高線量では障害を受けますが、この選択肢の中で最も感受性が高い組織ではありません。
2.誤り。 肝臓は代謝機能が高い臓器ですが、小腸上皮ほど細胞の更新が速いわけではありません。放射線感受性は小腸上皮より低いと考えます。
3.誤り。 骨皮質は硬い骨組織であり、細胞分裂が盛んな組織ではありません。放射線感受性は比較的低いです。
4.正しい。 小腸上皮は細胞の更新が非常に速く、分裂が盛んな組織です。そのため、放射線感受性が高く、この選択肢の中では最も適切です。
5.誤り。 脂肪組織は細胞分裂が盛んな組織ではなく、放射線感受性は低い部類に入ります。
覚えるポイント
- 放射線感受性は、細胞分裂が盛んな組織で高い。
- 未分化で、将来の分裂回数が多い細胞ほど放射線感受性が高い。
- 小腸上皮は細胞更新が速く、放射線感受性が高い。
- 脳、骨皮質、脂肪組織は比較的放射線感受性が低い。
- 放射線防護では、臓器ごとの感受性を考えて線量管理を行う。
39AM87
問題文
[39AM87] 断面積が 10 cm²、厚みが 1 mm の生体組織を 1 分間に伝導する熱量[J]はどれか。 ただし、組織の両面の温度差は 5 ℃、熱伝導率は 5×10^-3 J/(cm・s・℃)とする。
選択肢
1.2.5 2.25 3.150 4.250 5.1,500
答え
3.150
解説
正答
3
この問題のポイント
この問題では、熱伝導によって移動する熱量を計算します。
熱伝導で1秒あたりに移動する熱量は、次の関係で求めます。
- 1秒あたりの熱量 = 熱伝導率 × 断面積 × 温度差 / 厚み
さらに、問題では1分間に伝導する熱量を求めるため、最後に 60 秒を掛けます。
単位をそろえることが最大のポイントです。
解説
熱伝導では、温度の高い側から低い側へ熱が移動します。
厚みが薄いほど熱は伝わりやすく、断面積が大きいほど伝わる熱量は大きくなります。
計算の流れ
使う公式は次のとおりです。
- Q = k × A × ΔT × t / L
ここで、
- Q:伝導する熱量
- k:熱伝導率
- A:断面積
- ΔT:温度差
- t:時間
- L:厚み
です。
与えられた値は次のとおりです。
- k = 5×10^-3 J/(cm・s・℃)
- A = 10 cm²
- ΔT = 5 ℃
- t = 1 分 = 60 s
- L = 1 mm
熱伝導率の単位に cm が含まれているため、厚みを cm に直します。
- 1 mm = 0.1 cm
公式に代入します。
- Q = 5×10^-3 × 10 × 5 × 60 / 0.1
まず、1秒あたりの熱量を考えると、
- 5×10^-3 × 10 × 5 / 0.1
- = 0.005 × 10 × 5 / 0.1
- = 0.25 / 0.1
- = 2.5 J/s
1分間は60秒なので、
- Q = 2.5 × 60
- Q = 150 J
したがって、1分間に伝導する熱量は 150 J です。
ひっかけポイント 厚み 1 mm をそのまま 1 cm として扱うと、計算結果が10分の1になってしまいます。
この問題では熱伝導率の単位が cm なので、1 mm = 0.1 cmに変換します。
国家試験ではここを押さえる 熱伝導の計算では、
- 公式を確認する
- 単位をそろえる
- 1秒あたりか、指定時間全体かを確認する という順で進めます。
選択肢の確認
1.誤り。 2.5 Jは、1秒あたりに伝導する熱量です。問題では1分間の熱量を問われているため、60秒を掛ける必要があります。
2.誤り。 25 Jにはなりません。厚みを正しく 0.1 cm に変換し、さらに1分間として60秒を掛けると150 Jになります。
3.正しい。 計算は次のようになります。
- Q = 5×10^-3 × 10 × 5 × 60 / 0.1
- Q = 150 J
したがって、正答は150 Jです。
4.誤り。 250 Jは、時間や厚みの扱いを誤った場合に出やすい値です。正しく計算すると150 Jです。
5.誤り。 1,500 Jは大きすぎます。厚みや時間の単位換算を誤るとこのような値になりやすいため注意します。
覚えるポイント
- 熱伝導の熱量は Q = k × A × ΔT × t / L で求める。
- 熱伝導率の単位に合わせて、長さの単位をそろえる。
- この問題では 1 mm = 0.1 cm に変換する。
- まず1秒あたりの熱量は 2.5 J/s である。
- 1分間では 2.5 × 60 = 150 J となる。
- 正答は選択肢3である。
39AM88
問題文
[39AM88] 医用材料の安全性試験について誤っているのはどれか。
選択肢
1.物性試験を行う。 2.無菌性を評価する。 3.溶出物試験を行う。 4.製品の全数を個々に評価する。 5.医薬品医療機器等法に則る。
答え
4.製品の全数を個々に評価する。
解説
正答
4
この問題のポイント
この問題では、医用材料の安全性試験の考え方が問われています。
医用材料は、患者の血液、組織、体液、粘膜などに接触することがあるため、材料そのものの性質だけでなく、生体への影響を評価する必要があります。
ただし、安全性試験は、すべての製品を1個ずつ個別に評価するものではありません。
製品の設計、材料、製造工程、滅菌工程、ロット管理、代表サンプルによる試験などを組み合わせて安全性を確認します。
したがって、製品の全数を個々に評価するという記述が誤りです。
解説
医用材料の安全性評価では、材料が目的の用途に対して安全に使用できるかを確認します。
評価対象には、次のようなものがあります。
- 材料の機械的性質や耐久性
- 無菌性
- 発熱性、毒性、刺激性、感作性などの生物学的安全性
- 溶出物や残留物
- 滅菌方法や包装の妥当性
- 使用目的や体内接触時間に応じたリスク
物性試験では、強度、弾性、摩耗、耐久性、寸法安定性などを確認します。
無菌性の評価では、滅菌済み医療機器が微生物に汚染されていないことを確認します。
溶出物試験では、材料から溶け出す化学物質が生体に悪影響を及ぼさないかを評価します。
これらは医用材料の安全性評価として重要です。
一方で、製品を全数について個々に安全性試験することは、現実的ではありません。特に破壊試験や生物学的試験は、実施した製品そのものを臨床使用できなくなる場合もあります。
そのため、品質管理では、代表サンプル、ロット試験、工程管理、バリデーション、規格適合性などにより安全性を保証します。
ひっかけポイント 「安全性を厳密に確認する」ことと、「全製品を個々に試験する」ことは同じではありません。
医用材料では、全数個別試験ではなく、試験計画、工程管理、品質保証によって安全性を担保します。
医療安全での注意点 医用材料を使用する際は、材質、滅菌状態、使用期限、包装破損、適応、禁忌、単回使用か再使用可能かを確認します。
特に体内留置や血液接触を伴う材料では、生体適合性と無菌性が重要です。
選択肢の確認
1.記述としては正しい。 医用材料では、強度、弾性、耐久性、摩耗、変形などを確認する物性試験が行われます。材料が目的の医療用途に耐えられるかを確認する重要な試験です。
2.記述としては正しい。 滅菌済み医療材料では、無菌性の評価が重要です。微生物汚染があると感染の原因となるため、滅菌工程や包装状態を含めて管理します。
3.記述としては正しい。 医用材料から溶け出す化学物質は、生体に毒性、刺激性、感作性などを起こす可能性があります。そのため、溶出物試験は安全性評価として重要です。
4.正答。記述としては誤り。 医用材料の安全性試験では、製品の全数を個々に評価するわけではありません。代表サンプル、ロット管理、工程管理、滅菌バリデーション、品質保証などにより安全性を確認します。
5.記述としては正しい。 医用材料を含む医療機器は、医薬品医療機器等法などの関係法規に基づいて品質、有効性、安全性が管理されます。法規に則った評価や承認、認証、届出、製造販売管理が重要です。
この問題では「誤っているもの」を選ぶため、記述として誤っている4が正答です。
覚えるポイント
- 医用材料の安全性評価では、物性、無菌性、溶出物、生物学的安全性などを確認する。
- 材料の使用部位、接触時間、接触対象に応じて必要な試験が変わる。
- 安全性試験は、製品全数を個々に評価するものではない。
- 品質保証では、代表サンプル、ロット管理、工程管理、バリデーションが重要である。
- 医用材料は、医薬品医療機器等法などの法規に基づいて管理される。
39AM89
問題文
[39AM89] セルロースによる補体活性化の要因はどれか。
選択肢
1.アセチル基 2.水酸基 3.メチル基 4.硫酸基 5.カルボニル基
答え
2.水酸基
解説
正答
2
この問題のポイント
この問題では、セルロース膜による補体活性化に関係する官能基が問われています。
セルロースは、古くから透析膜材料として用いられてきた天然高分子です。
しかし、未修飾セルロース膜では、膜表面の水酸基が補体系を活性化しやすいことが知られています。
したがって、補体活性化の要因として正しいのは水酸基です。
解説
血液が人工材料表面に接触すると、血漿タンパクや血球成分が材料表面と相互作用します。
透析膜では、血液が膜表面に長時間接触するため、材料の表面性状が生体反応に大きく影響します。
セルロース膜は、多数の水酸基をもつ高分子です。
この水酸基が血液と接触すると、補体系が活性化されやすくなります。補体活性化により、白血球の活性化、炎症反応、一過性の白血球減少などが問題になることがあります。
この問題の中心は、セルロース膜の生体適合性です。
セルロース膜の補体活性化を低減するために、水酸基を化学修飾した膜が開発されてきました。例えば、セルロースの水酸基をアセチル化したセルロースアセテート膜などでは、未修飾セルロースより補体活性化が軽減されます。
ひっかけポイント 「アセチル基」はセルロースを修飾して補体活性化を抑える側のキーワードです。
補体活性化の要因として問われた場合は、未修飾セルロース表面の水酸基を選びます。
血液浄化療法での注意点 透析膜では、溶質除去性能だけでなく、生体適合性も重要です。
補体活性化、血小板活性化、凝固、炎症反応、アレルギー様反応などを材料特性と結びつけて理解します。
選択肢の確認
1.誤り。 アセチル基は、セルロースをアセチル化したセルロースアセテートなどに関係します。水酸基を修飾することで補体活性化を抑える方向に働くため、セルロースによる補体活性化の主因としては不適切です。
2.正しい。 セルロース表面の水酸基は、補体活性化の要因となります。未修飾セルロース膜では、この水酸基により補体が活性化されやすく、生体適合性上の問題となります。
3.誤り。 メチル基は、セルロースによる補体活性化の主因ではありません。補体活性化で重要なのは、セルロース表面に多く存在する水酸基です。
4.誤り。 硫酸基は、ヘパリンなどの硫酸化多糖と関連して考えられる官能基ですが、セルロース膜による補体活性化の主因ではありません。
5.誤り。 カルボニル基は、セルロースの補体活性化の主要因として問われる官能基ではありません。国家試験では、セルロース膜と水酸基を対応させて覚えます。
覚えるポイント
- セルロースは、多数の水酸基をもつ天然高分子である。
- 未修飾セルロース膜では、水酸基により補体活性化が起こりやすい。
- 補体活性化は、炎症反応や白血球変動などに関係する。
- セルロースの水酸基を修飾すると、生体適合性が改善されることがある。
- セルロースによる補体活性化の要因は水酸基である。
39AM90
問題文
[39AM90] 天然高分子について誤っているのはどれか。
選択肢
1.コラーゲンは再生医療材料に用いられる。 2.ゼラチンは変性したコラーゲンである。 3.シルク(絹)は縫合糸に用いられる。 4.エラスチンは膠原線維である。 5.キチンは多糖類である。
答え
4.エラスチンは膠原線維である。
解説
正答
4
この問題のポイント
この問題では、天然高分子材料の種類と特徴が問われています。
天然高分子には、タンパク質系と多糖類系があります。
代表例は次のとおりです。
- コラーゲン
- ゼラチン
- エラスチン
- シルク
- キチン
- キトサン
- ヒアルロン酸
この問題では、エラスチンとコラーゲンの区別が重要です。
エラスチンは弾性線維を構成するタンパク質であり、膠原線維ではありません。
膠原線維を構成する主な成分はコラーゲンです。
したがって、選択肢4が誤りです。
解説
天然高分子は、生物由来の高分子材料です。
医用材料としては、生体適合性、細胞接着性、生分解性、組織再生への応用などの点で重要です。
コラーゲンは、皮膚、腱、骨、血管などの結合組織に多く含まれる構造タンパク質です。細胞外マトリックスの主要成分であり、再生医療材料、創傷被覆材、足場材料などに利用されます。
ゼラチンは、コラーゲンを加熱や化学処理などで変性させたものです。生体適合性があり、医薬品カプセルや止血材、細胞培養材料などにも関係します。
シルクは、絹糸由来のタンパク質材料で、縫合糸として用いられてきました。
キチンは、カニやエビなどの甲殻類の殻、昆虫の外骨格などに含まれる多糖類です。脱アセチル化したものはキトサンです。
一方、エラスチンは、弾性線維を構成するタンパク質です。血管、肺、皮膚など、伸び縮みが必要な組織に多く存在します。
膠原線維はコラーゲンを主成分とする線維であり、エラスチンとは別の線維成分です。
ひっかけポイント 「エラスチン」は名前のとおり、弾性に関係するタンパク質です。
膠原線維はコラーゲン、弾性線維はエラスチンと対応させて覚えます。
医用材料での注意点 天然高分子は生体適合性に優れるものが多い一方、由来、精製度、免疫反応、感染リスク、ロット差、力学的強度などを考慮する必要があります。
選択肢の確認
1.記述としては正しい。 コラーゲンは細胞外マトリックスの主要成分であり、細胞接着性や生体適合性を利用して再生医療材料に用いられます。足場材料や創傷治癒材料として重要です。
2.記述としては正しい。 ゼラチンは、コラーゲンが熱や化学処理などによって変性したものです。コラーゲン由来の天然高分子材料として整理します。
3.記述としては正しい。 シルク、すなわち絹は、古くから縫合糸として用いられてきた天然高分子材料です。タンパク質系の材料として扱います。
4.正答。記述としては誤り。 エラスチンは膠原線維ではありません。エラスチンは弾性線維を構成するタンパク質です。膠原線維を構成する主な成分はコラーゲンです。
5.記述としては正しい。 キチンは、N-アセチルグルコサミンを主な構成単位とする多糖類です。甲殻類の殻や昆虫の外骨格などに含まれます。
この問題では「誤っているもの」を選ぶため、記述として誤っている4が正答です。
覚えるポイント
- コラーゲンは膠原線維の主成分であり、再生医療材料に用いられる。
- ゼラチンは変性したコラーゲンである。
- シルクは縫合糸に用いられる天然高分子である。
- エラスチンは弾性線維を構成するタンパク質であり、膠原線維ではない。
- キチンは多糖類である。
- 「膠原線維 = コラーゲン」「弾性線維 = エラスチン」と整理する。
