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78AM1問題・解答・解説
問題文
[78AM1] MRI 装置の生データと画像信号で正しいのはどれか。
選択肢
- 1.k-空間には生データの虚数成分だけが収められる。
- 2.空気の信号は 0 、水の信号は 1000 近傍に分布する。
- 3.生データをフーリエ変換した後の画像信号は k-空間に保管される。
- 4.画像信号はフーリエ変換後の虚数成分と実数成分の両方を用いて表される。
- 5.水は生体内で最も存在比が大きいため、画像の中で最も高い信号値となる。
答え
4.画像信号はフーリエ変換後の虚数成分と実数成分の両方を用いて表される。
解説
正答
4.画像信号はフーリエ変換後の虚数成分と実数成分の両方を用いて表される。
問題のポイント
MRIでは、撮像中に得られる信号はそのまま画像として保存されるわけではありません。
まず、受信コイルで得られた生データは k-空間 に配置されます。
その後、k-空間データをフーリエ変換することで画像が作られます。
MRIの信号は、実数成分と虚数成分をもつ複素信号として扱われる点が重要です。
なぜ4が正しいか
MRIで得られる生データは、位相情報を含む複素データです。
複素データは、
- 実数成分
- 虚数成分
の両方を持ちます。
k-空間に収められた生データをフーリエ変換すると、画像空間の信号になります。
このフーリエ変換後の画像信号も、基本的には実数成分と虚数成分をもつ複素画像として得られます。
実際に表示されるMRI画像では、これらの成分から絶対値画像を作ることが多く、
信号強度 = √(実数成分² + 虚数成分²)
として表されます。
したがって、画像信号はフーリエ変換後の虚数成分と実数成分の両方を用いて表される、という4が正しいです。
他の選択肢との区別
1.k-空間には生データの虚数成分だけが収められる。
誤りです。
k-空間には、MRIで収集された複素信号が収められます。虚数成分だけではなく、実数成分と虚数成分の両方を含みます。
2.空気の信号は0、水の信号は1000近傍に分布する。
誤りです。
これはCT値の説明です。CTでは水が0 HU、空気が約−1000 HUです。
MRIの信号値は装置条件や撮像条件によって変化する相対値であり、水が1000近傍に固定されるわけではありません。
3.生データをフーリエ変換した後の画像信号はk-空間に保管される。
誤りです。
k-空間に保存されるのはフーリエ変換前の生データです。
フーリエ変換後は画像空間のデータになります。
4.画像信号はフーリエ変換後の虚数成分と実数成分の両方を用いて表される。
正しいです。
MRIの画像信号は複素信号として得られ、実数成分と虚数成分の両方が関係します。
5.水は生体内で最も存在比が大きいため、画像の中で最も高い信号値となる。
誤りです。
MRI信号は水の量だけで決まるわけではありません。
T1値、T2値、プロトン密度、TR、TE、撮像シーケンスなどによって信号強度は大きく変わります。
例えば、T1強調像では脂肪が高信号になりやすく、FLAIRでは脳脊髄液のような水成分が抑制されます。
覚えるポイント
MRIでは、
- 生データはk-空間に入る
- k-空間データをフーリエ変換すると画像になる
- MRI信号は実数成分と虚数成分をもつ複素信号である
- 表示画像では実数成分と虚数成分から絶対値画像を作ることが多い
と整理します。
本問では、MRI画像信号がフーリエ変換後の実数成分と虚数成分の両方を用いて表されるため、正答は4です。
78AM2問題・解答・解説
問題文
[78AM2] 1.5 T MRI 装置で最小バンド幅 426 Hz、 スライス選択傾斜磁場が最大 20 mT・m-1 のときの最小スライス厚[mm]はどれか。
選択肢
- 1.0.2
- 2.0.5
- 3.1.0
- 4.2.0
- 5.5.0
答え
2.0.5
解説
正答
2.0.5
問題のポイント
MRIのスライス厚は、スライス選択方向にかける傾斜磁場の強さと、RFパルスのバンド幅で決まります。
スライス厚を薄くするには、
- RFパルスのバンド幅を小さくする
- スライス選択傾斜磁場を強くする
必要があります。
本問では「最小スライス厚」を問われているので、最小バンド幅と最大傾斜磁場を使って計算します。
使用する式
スライス厚 Δz は、次の式で求めます。
Δz = BW / (γ × G)
ここで、
- Δz:スライス厚
- BW:RFパルスのバンド幅
- γ:プロトンの磁気回転比
- G:スライス選択傾斜磁場
です。
プロトンの磁気回転比は、
γ = 42.6 MHz/T
として計算します。
計算
スライス選択傾斜磁場は、
20 mT/m = 0.020 T/m
です。
1 m あたりの周波数変化は、
42.6 × 10⁶ Hz/T × 0.020 T/m
= 852,000 Hz/m
となります。
これを 1 mm あたりに直すと、
852,000 Hz/m ÷ 1000
= 852 Hz/mm
です。
つまり、この条件では、スライス方向に1 mm移動すると共鳴周波数が852 Hz変化します。
バンド幅は426 Hzなので、
スライス厚 = 426 Hz ÷ 852 Hz/mm
= 0.5 mm
となります。
したがって、最小スライス厚は0.5 mmです。
他の選択肢との区別
1.0.2 mm
誤りです。
0.2 mmにするには、より小さいバンド幅またはより強い傾斜磁場が必要です。
2.0.5 mm
正しいです。
426 Hz ÷ 852 Hz/mm = 0.5 mm となります。
3.1.0 mm
誤りです。
1.0 mmは、バンド幅が852 Hzの場合などに相当します。本問のバンド幅は426 Hzなので、もっと薄い0.5 mmになります。
4.2.0 mm
誤りです。
スライス厚を過大に見積もっています。
5.5.0 mm
誤りです。
臨床でよく用いられる厚さに近い値ですが、本問の計算条件から求める最小スライス厚ではありません。
覚えるポイント
スライス厚の計算では、
スライス厚 = バンド幅 / (磁気回転比 × スライス選択傾斜磁場)
を使います。
また、最小スライス厚を求めるときは、
- バンド幅は最小値
- 傾斜磁場は最大値
を使います。
本問では、426 Hz ÷ 852 Hz/mm = 0.5 mm となるため、正答は2です。
78AM3問題・解答・解説
問題文
[78AM3] 無散瞳眼底写真撮影装置で正しいのはどれか。
選択肢
- 1.連続撮影ができない。
- 2.位置合わせ用照明には紫外光を用いる。
- 3.カメラ内部固視灯は焦点調整に使用する。
- 4.対物レンズは被検眼角膜に接することが望ましい。
- 5.有孔ミラーは光源から眼底に照射される光と眼底から反射されてくる光を分 ける役割を持つ。
答え
5.有孔ミラーは光源から眼底に照射される光と眼底から反射されてくる光を分 ける役割を持つ。
解説
正答
5.有孔ミラーは光源から眼底に照射される光と眼底から反射されてくる光を分ける役割を持つ。
問題のポイント
無散瞳眼底写真撮影装置は、散瞳薬を使わずに眼底を撮影する装置です。
散瞳薬を使わないため、観察中に瞳孔が縮まらないように工夫されています。
そのため、位置合わせや観察には主に近赤外光を使い、実際の撮影時にはフラッシュ光を用います。
また、眼底カメラでは、眼底へ向かう照明光と、眼底から戻ってくる撮影光をうまく分ける光学系が重要です。
なぜ5が正しいか
有孔ミラーは、中央に穴のあるミラーです。
眼底写真撮影装置では、
- 光源から出た照明光を眼底へ導く光路
- 眼底で反射して戻ってくる光をカメラへ導く光路
を分ける必要があります。
有孔ミラーは、この照明光と反射光の光路を分離する役割を持ちます。
これにより、眼底を照明しながら、眼底から戻った像を撮影系へ導くことができます。
したがって、5が正しいです。
他の選択肢との区別
1.連続撮影ができない。
誤りです。
撮影時のフラッシュにより一時的に縮瞳しやすいため、撮影間隔に制限が出ることはあります。
しかし、装置として連続的に複数枚を撮影できないと断定するのは不適切です。
2.位置合わせ用照明には紫外光を用いる。
誤りです。
無散瞳眼底カメラでは、位置合わせや観察に近赤外光を用います。
紫外光ではありません。近赤外光は可視光より瞳孔反応を起こしにくいため、散瞳薬なしでの観察に適しています。
3.カメラ内部固視灯は焦点調整に使用する。
誤りです。
内部固視灯は、被検者に見てもらうことで視線を誘導し、撮影部位を決めるために使います。
焦点調整そのものに使うものではありません。
4.対物レンズは被検眼角膜に接することが望ましい。
誤りです。
無散瞳眼底写真撮影装置は基本的に非接触で撮影します。
対物レンズを角膜に接触させるものではなく、適切な作動距離を保って撮影します。
5.有孔ミラーは光源から眼底に照射される光と眼底から反射されてくる光を分ける役割を持つ。
正しいです。
照明光路と撮影光路を分離するための重要な部品です。
覚えるポイント
無散瞳眼底写真撮影装置では、
- 散瞳薬を使わずに眼底を撮影する
- 位置合わせや観察には近赤外光を用いる
- 内部固視灯は視線誘導に使う
- 対物レンズは角膜に接触させない
- 有孔ミラーは照明光と反射光の光路を分ける
と整理します。
本問では、有孔ミラーの役割を正しく述べている5が正答です。
78AM4問題・解答・解説
問題文
[78AM4] 1.5 T MRI 装置による高速 SE 法での頭部 MR 像を別に示す。 設定した TR[ms]、TE[ms]に近い組合せはどれか。 TR—-TE
選択肢
- 1.600—-15
- 2.1,000—-100
- 3.3,000—-15
- 4.4,000—-100
- 5.10,000—-150
答え
5.10,000—-150
解説
正答
5.10,000—-150
画像の見方
提示画像は頭部MRIの軸位断像です。
画像では、脳室や脳溝の脳脊髄液〈CSF〉が黒く抑制されています。
一方で、脳実質にはT2強調像に近いコントラストがあり、灰白質と白質の差も確認できます。
このように、
- CSFが低信号に抑制されている
- T2強調像に近いコントラストを示す
- 高速SE法で撮像される
という特徴から、FLAIR像に相当する画像と考えます。
なぜTR 10,000 ms、TE 150 msか
FLAIRは、脳脊髄液の信号を抑制したT2強調系の画像です。
T2強調を得るには、
- TRを長くする
- TEを長くする
必要があります。
FLAIRではさらに、CSFを抑制するために反転回復パルスを用います。
そのため、通常のT2強調像よりもTRが非常に長く設定されます。
本問の選択肢の中で、FLAIRに近い条件は、
TR 10,000 ms、TE 150 ms
です。
したがって、正答は5です。
他の選択肢との区別
1.TR 600 ms、TE 15 ms
短いTR、短いTEなのでT1強調像に近い条件です。
T1強調像ではCSFは低信号になりますが、白質が灰白質より高信号になりやすく、本画像のようなFLAIRらしいT2系コントラストとは合いません。
2.TR 1,000 ms、TE 100 ms
TEは長めですが、TRが短すぎます。
十分なT2強調やFLAIRの条件としては不適切です。
3.TR 3,000 ms、TE 15 ms
TRは長めですが、TEが短いため、プロトン密度強調像に近い条件です。
本画像のようなT2強調系のコントラストにはなりにくいです。
4.TR 4,000 ms、TE 100 ms
長いTR、長いTEなので通常のT2強調像に近い条件です。
しかし通常のT2強調像では、脳室や脳溝のCSFは高信号、つまり白く描出されます。
提示画像ではCSFが黒く抑制されているため、通常のT2強調像とは異なります。
5.TR 10,000 ms、TE 150 ms
非常に長いTRと長いTEで、FLAIR像に近い条件です。
提示画像のようにCSFが抑制され、T2強調系の脳実質コントラストを示す画像に合います。
覚えるポイント
頭部MRIでは、TRとTEから画像の種類を推定できます。
- 短TR・短TE:T1強調像
- 長TR・短TE:プロトン密度強調像
- 長TR・長TE:T2強調像
- 非常に長いTR・長いTE・CSF抑制:FLAIR像
本問の画像では、脳室や脳溝のCSFが黒く抑制されているため、FLAIR像と判断します。
FLAIRでは非常に長いTRと長いTEを用いるため、最も近い組合せは 10,000 ms、150 ms です。
78AM5問題・解答・解説
問題文
[78AM5] 細胞外液性ガドリニウム造影剤で正しいのはどれか。
選択肢
- 1.尿中に排泄される。
- 2.MRCP で必要とされる。
- 3.肝細胞に特異的に取り込まれる。
- 4.環状型は線状型より脳組織に沈着しやすい。
- 5.アナフィラキシーの頻度は非イオン性水溶性ヨード造影剤より高い。
答え
1.尿中に排泄される。
解説
正答
1.尿中に排泄される。
問題のポイント
ガドリニウム造影剤にはいくつか種類がありますが、本問で問われているのは「細胞外液性ガドリニウム造影剤」です。
細胞外液性ガドリニウム造影剤は、血管内に投与されたあと、血管外の細胞外液へ分布し、主に腎臓から尿中へ排泄されます。
つまり、
- 血管内と細胞外液に分布する
- 細胞内には基本的に入らない
- 肝細胞に特異的には取り込まれない
- 主な排泄経路は腎排泄
という特徴があります。
なぜ1が正しいか
細胞外液性ガドリニウム造影剤は、投与後に血管内から細胞外液へ移行します。
その後、多くは腎臓でろ過され、尿中へ排泄されます。
そのため、腎機能が低下している患者では、排泄が遅延することがあります。
特に重度腎機能障害では、ガドリニウム造影剤の使用可否を慎重に判断する必要があります。
したがって、1.尿中に排泄される、が正しいです。
他の選択肢との区別
1.尿中に排泄される。
正しいです。
細胞外液性ガドリニウム造影剤は、主に腎臓から尿中へ排泄されます。
2.MRCPで必要とされる。
誤りです。
MRCPは、胆管や膵管内の液体を高信号に描出する検査で、基本的にはT2強調画像を利用します。
胆汁や膵液などの水成分を利用して描出するため、通常、細胞外液性ガドリニウム造影剤は必須ではありません。
3.肝細胞に特異的に取り込まれる。
誤りです。
肝細胞に特異的に取り込まれるのは、肝細胞特異性造影剤です。
代表例として、Gd-EOB-DTPAのような肝細胞に取り込まれる造影剤があります。
細胞外液性ガドリニウム造影剤は、肝細胞に特異的に取り込まれる造影剤ではありません。
4.環状型は線状型より脳組織に沈着しやすい。
誤りです。
一般に、ガドリニウム造影剤は構造によって線状型と環状型に分けられます。
環状型はガドリニウムをより安定に保持しやすく、線状型より体内残留や沈着が少ないと考えられています。
したがって、「環状型の方が沈着しやすい」は逆です。
5.アナフィラキシーの頻度は非イオン性水溶性ヨード造影剤より高い。
誤りです。
ガドリニウム造影剤でもアレルギー様反応やアナフィラキシーは起こり得ます。
しかし、その頻度が非イオン性水溶性ヨード造影剤より高いとはいえません。
一般に、重篤な過敏反応の頻度はヨード造影剤より低いとされます。
覚えるポイント
細胞外液性ガドリニウム造影剤は、
- 細胞外液に分布する
- 主に腎臓から尿中へ排泄される
- MRCPでは通常必須ではない
- 肝細胞特異的には取り込まれない
- 環状型は線状型より安定性が高く、沈着しにくい傾向がある
と整理します。
本問では、細胞外液性ガドリニウム造影剤の基本的特徴である「尿中に排泄される」が正答です。
78AM6問題・解答・解説
問題文
[78AM6] 腹部 MR 像を別に示す。 画像の説明で正しいのはどれか。 2 つ選べ。
選択肢
- 1.水抑制画像である。
- 2.腎動脈が観察できる。
- 3.上行結腸が観察できる。
- 4.造影後に撮影している。
- 5.膵尾部に低信号域が観察できる。
答え
4.造影後に撮影している。 5.膵尾部に低信号域が観察できる。
解説
正答
4.造影後に撮影している。
5.膵尾部に低信号域が観察できる。
画像の見方
提示画像は腹部MRIの軸位断像です。
画像左下にRマーカーがあるため、画像左側が患者の右側、画像右側が患者の左側です。
画像左側には肝臓、画像右側には胃、脾臓、左腎が見えます。
肝実質や腎実質、血管内が高信号に描出されており、造影剤投与後のT1強調系画像と考えられます。
また、皮下脂肪や腹腔内脂肪の信号が抑えられているため、脂肪抑制を併用した造影T1強調像として見ると理解しやすいです。
なぜ4が正しいか
画像では、肝臓、腎臓、大動脈などが明るく描出されています。
これはガドリニウム造影剤投与後に、血流のある臓器や血管がT1短縮効果によって高信号になるためです。
したがって、この画像は造影後に撮影された画像と判断できます。
よって、4.造影後に撮影している、は正しいです。
なぜ5が正しいか
膵臓は胃の後方、脾臓の内側へ向かって横走する臓器です。
膵尾部は患者左側、つまり画像では右側寄り、脾臓の近くに位置します。
この画像では、膵尾部付近に周囲より低信号に見える領域が確認できます。
そのため、5.膵尾部に低信号域が観察できる、は正しいです。
他の選択肢との区別
1.水抑制画像である。
誤りです。
この画像では水を選択的に抑制しているというより、脂肪抑制を併用した造影T1強調像として考えるのが自然です。
水抑制画像であれば、液体成分の信号低下を主目的として評価しますが、本画像のポイントは造影後の臓器・血管の増強効果です。
2.腎動脈が観察できる。
誤りです。
左腎や大動脈は見えますが、この断面で腎動脈を明瞭に同定する設問ではありません。
腎動脈は大動脈から左右の腎門へ向かう細い血管で、MRAや適切な断面・時相で評価します。
3.上行結腸が観察できる。
誤りです。
上行結腸は患者右側の腹部を走る大腸です。
本画像は上腹部の断面で、肝臓、胃、脾臓、左腎、膵臓周囲が主に描出されています。上行結腸を示す画像ではありません。
4.造影後に撮影している。
正しいです。
肝臓、腎臓、血管が高信号に描出されており、造影後の画像と判断できます。
5.膵尾部に低信号域が観察できる。
正しいです。
膵尾部は画像右側、脾臓近傍に位置し、その部位に低信号域が見られます。
覚えるポイント
腹部MRIで造影後T1強調像を判断するときは、
- 血管が明るい
- 肝臓や腎臓などの実質臓器が造影される
- 脂肪抑制が併用されると皮下脂肪が暗くなる
- 膵尾部は患者左側、つまり画像右側の脾臓近くにある
という点を確認します。
本問では、造影後に撮影されていることと、膵尾部に低信号域があることから、正答は4と5です。
78AM7問題・解答・解説
問題文
[78AM7] 胸部 MRI の T1 強調像を別に示す。 前縦隔腫瘤が接するのはどれか。
選択肢
- 1.右心房
- 2.左心室
- 3.上大静脈
- 4.肺動脈幹
- 5.上行大動脈
答え
4.肺動脈幹
解説
正答
4.肺動脈幹
画像の見方
提示画像は胸部MRIのT1強調軸位断像です。
画像左下にRマーカーがあるため、画像左側が患者の右側、画像右側が患者の左側です。
また、軸位断像では画像上側が前方、画像下側が後方です。
T1強調像では、皮下脂肪や縦隔脂肪が高信号に見えます。
一方で、肺野は低信号で黒く見え、流れの速い大血管内腔もflow voidにより低信号に見えます。
この画像では、胸骨のすぐ後方、つまり前縦隔に腫瘤が認められます。
腫瘤は患者左側寄り、画像では右上寄りの前縦隔にあり、その後方〜内側で大血管に接しています。
なぜ肺動脈幹か
肺動脈幹は右心室から出たあと、上行大動脈の左前方を走り、左右の肺動脈へ分岐します。
胸部横断像では、肺動脈幹は、
- 前縦隔に近い
- 上行大動脈より患者左側寄り
- 左右肺動脈へ分岐する手前の中央部に位置する
という特徴があります。
提示画像の前縦隔腫瘤は、胸骨後方にあり、患者左側寄りの大血管に接しています。
この位置関係は肺動脈幹に一致します。
したがって、前縦隔腫瘤が接している構造は肺動脈幹です。
他の選択肢との区別
1.右心房
誤りです。
右心房はより下方、心臓レベルで明瞭に見える構造です。
この画像は大血管レベルであり、腫瘤が接しているのは右心房ではありません。
2.左心室
誤りです。
左心室もより下方の心臓レベルで確認される構造です。
本画像のような上部縦隔〜大血管レベルでは、前縦隔腫瘤の接触部位としては合いません。
3.上大静脈
誤りです。
上大静脈は患者右側、つまり画像左側寄りに位置します。
提示画像の腫瘤は患者左側寄りの前縦隔にあり、上大静脈の位置とは異なります。
4.肺動脈幹
正しいです。
肺動脈幹は上行大動脈の左前方に位置し、前縦隔腫瘤と接しやすい位置にあります。
本画像でも、腫瘤は肺動脈幹の位置にある低信号の大血管に接しています。
5.上行大動脈
誤りです。
上行大動脈は中央〜患者右側寄り、画像ではやや左側寄りに見えます。
腫瘤が主に接しているのは、上行大動脈ではなく、より患者左側寄りにある肺動脈幹です。
覚えるポイント
胸部MRI・CTの横断像で前縦隔腫瘤を見るときは、まず大血管の位置関係を整理します。
- 上大静脈:患者右側、画像左側
- 上行大動脈:中央〜患者右側寄り
- 肺動脈幹:上行大動脈の左前方、患者左側寄り
- 右心房・左心室:より下方の心臓レベル
本問では、前縦隔腫瘤が患者左側寄りの大血管、すなわち肺動脈幹に接しているため、正答は4です。
78AM8問題・解答・解説
問題文
[78AM8] 発症 1 〜 6 時間における脳梗塞病変部について、拡散強調像と T2 強調像の信号 強度の組合せで正しいのはどれか。 拡散強調像ーーーーT2 強調像
選択肢
- 1.高信号ーーーー低信号
- 2.高信号ーーーー等信号
- 3.低信号ーーーー高信号
- 4.低信号ーーーー低信号
- 5.低信号ーーーー等信号
答え
2.高信号ーーーー等信号
解説
正答
2.高信号ーーーー等信号
問題のポイント
発症早期の脳梗塞では、拡散強調像〈DWI〉が最も早く異常を検出しやすいです。
発症1〜6時間の超急性期〜急性期では、脳梗塞部位に細胞性浮腫が起こります。
その結果、水分子の動きが制限され、拡散強調像では高信号になります。
一方、T2強調像では、発症直後はまだ明らかなT2延長が出にくいため、病変部は等信号に見えることが多いです。
したがって、組合せは、
- 拡散強調像:高信号
- T2強調像:等信号
となります。
なぜ拡散強調像で高信号になるか
脳梗塞が起こると、血流低下により細胞のエネルギー代謝が障害されます。
すると、Na⁺/K⁺ポンプの働きが低下し、水が細胞内へ移動します。
この状態を細胞性浮腫といいます。
細胞性浮腫では、細胞外腔が狭くなり、水分子が自由に動きにくくなります。
この「拡散制限」によって、拡散強調像では病変部が高信号に描出されます。
なお、急性期脳梗塞ではADC mapでは低信号になります。
DWI高信号とADC低下がそろうと、真の拡散制限を示す所見として重要です。
なぜT2強調像では等信号か
T2強調像で高信号になるには、組織内の水分増加やT2延長がある程度進む必要があります。
しかし、発症1〜6時間の早期では、T2強調像で明らかな変化がまだ出ていないことがあります。
そのため、T2強調像では病変部が正常脳実質とほぼ同じ信号、つまり等信号に見えることが多いです。
このため、急性期脳梗塞では、T2強調像よりも拡散強調像の方が早期診断に有用です。
他の選択肢との区別
1.高信号ーーーー低信号
誤りです。
拡散強調像が高信号になる点は合っていますが、発症早期のT2強調像で低信号になるのは典型的ではありません。
2.高信号ーーーー等信号
正しいです。
発症1〜6時間の脳梗塞では、拡散強調像で高信号、T2強調像で等信号となることが多いです。
3.低信号ーーーー高信号
誤りです。
T2強調像で高信号となるのは、時間が経過して浮腫が明瞭になってからです。
また、発症早期の脳梗塞では拡散強調像は低信号ではなく高信号になります。
4.低信号ーーーー低信号
誤りです。
急性期脳梗塞の病変部は拡散強調像で高信号を示すため、この組合せは合いません。
5.低信号ーーーー等信号
誤りです。
T2強調像が等信号となる点は早期脳梗塞として合っていますが、拡散強調像は低信号ではなく高信号です。
覚えるポイント
脳梗塞のMRI信号変化は、時間経過で整理すると覚えやすいです。
発症早期、特に1〜6時間では、
- 拡散強調像〈DWI〉:高信号
- ADC map:低信号
- T2強調像:等信号のことが多い
となります。
つまり、急性期脳梗塞では「DWIが先に陽性、T2はまだ目立たない」と覚えると判別しやすいです。
本問では、発症1〜6時間の脳梗塞病変部を問うているため、正答は 2.高信号ーーーー等信号 です。
78AM9問題・解答・解説
問題文
[78AM9] 右肋骨弓下縦走査の超音波像を別に示す。 考えられるのはどれか。
選択肢
- 1.胆石
- 2.脾腫
- 3.腹水
- 4.脂肪肝
- 5.水腎症
答え
4.脂肪肝
解説
正答
4.脂肪肝
画像の見方
提示画像は、右肋骨弓下縦走査の腹部超音波像です。
この走査では、肝臓と右腎が同じ画面に描出されやすく、肝実質のエコー輝度を右腎皮質と比較できます。
画像では、肝臓が右腎皮質よりも全体に高エコー、つまり白っぽく見えています。
このように、肝臓と腎臓の明るさの差が目立つ所見を「肝腎コントラストの増強」といいます。
肝腎コントラストの増強は、脂肪肝を示す代表的な超音波所見です。
なぜ脂肪肝か
脂肪肝では、肝細胞内に脂肪が蓄積します。
脂肪が増えると超音波の反射が強くなり、肝実質が高エコーに見えます。
典型的には、
- 肝実質エコーの上昇
- 肝腎コントラストの増強
- 深部エコーの減衰
- 肝内血管の不明瞭化
などが見られます。
本画像では、肝臓が右腎より明るく描出されており、脂肪肝を考える所見です。
他の選択肢との区別
1.胆石
誤りです。
胆石では、胆囊内に強い高エコー像と、その後方に音響陰影が見られます。
本画像では胆囊内結石や明らかな音響陰影は確認できません。
2.脾腫
誤りです。
脾臓は左上腹部にある臓器です。
本画像は右肋骨弓下縦走査で、主に肝臓と右腎を観察している画像です。脾腫を評価する画像ではありません。
3.腹水
誤りです。
腹水は、肝周囲や肝腎境界部などに黒い無エコー域として描出されます。
本画像では、肝臓と右腎の間に明らかな液体貯留は見られません。
4.脂肪肝
正しいです。
肝実質が右腎皮質より高エコーで、肝腎コントラストが増強しています。脂肪肝に合う所見です。
5.水腎症
誤りです。
水腎症では、腎盂や腎杯が拡張し、腎臓の中心部に黒い無エコー域が広がって見えます。
本画像の右腎には、腎盂腎杯の明らかな拡張は認められません。
覚えるポイント
右肋骨弓下縦走査で肝臓と右腎が同時に見えたら、肝腎コントラストを確認します。
- 肝臓が腎皮質より明るい:脂肪肝を疑う
- 肝腎境界に黒い液体:腹水を疑う
- 腎盂腎杯が黒く拡張:水腎症を疑う
- 胆囊内の高エコー+音響陰影:胆石を疑う
本問では、肝臓が右腎より高エコーで、肝腎コントラストが増強しているため、脂肪肝が正答です。
78AM10問題・解答・解説
問題文
[78AM10] 甲状腺結節の超音波像を別に示す。 矢印で示すのはどれか。
選択肢
- 1.ハロー
- 2.音響陰影
- 3.側方陰影
- 4.多重反射
- 5.サイドローブ
答え
2.音響陰影
解説
正答
2.音響陰影
画像の見方
提示画像は甲状腺結節の超音波像です。
超音波画像では、画面上側が浅部、画面下側が深部です。
甲状腺内に結節があり、その内部または辺縁に強い高エコーを示す部分が見られます。
矢印は、その高エコー部分の深部に続く黒い帯状の低エコー域を示しています。
これは、超音波が強く反射・吸収され、その奥に音が届きにくくなることで生じる所見です。
このような高エコー構造の後方にできる暗い影を、音響陰影といいます。
なぜ音響陰影か
音響陰影は、超音波が強く減衰する構造物の後方に生じます。
代表的には、
- 石灰化
- 胆石
- 結石
- 骨
- 空気を含む構造
などの後方で見られます。
この画像では、甲状腺結節内の強い高エコー部分の深部に、縦方向の黒い影が伸びています。
甲状腺結節では、粗大石灰化や辺縁石灰化を伴うと、その後方に音響陰影が出ることがあります。
したがって、矢印で示されているのは音響陰影です。
他の選択肢との区別
1.ハロー
誤りです。
ハローは、結節の周囲を取り囲む低エコーの輪状構造です。
良性結節などで見られることがあります。
本画像の矢印は結節周囲の輪ではなく、高エコー部分の深部にできた黒い影を示しています。
2.音響陰影
正しいです。
強い反射・吸収を起こす構造の後方に、黒い影として描出されます。
本画像では、結節内の高エコー部分の後方に縦長の低エコー域があり、音響陰影に一致します。
3.側方陰影
誤りです。
側方陰影は、嚢胞や曲面構造の辺縁で音が屈折・減衰して、構造物の左右の深部に影が出る所見です。
本画像では、影は結節の側方ではなく、高エコー部分の真後ろに出ています。
4.多重反射
誤りです。
多重反射は、強い反射面の間で超音波が何度も反射し、深部方向に等間隔の反復エコーとして見えるアーチファクトです。
本画像の矢印部は反復する線状エコーではなく、黒く抜ける影です。
5.サイドローブ
誤りです。
サイドローブは、主ビーム以外の弱い超音波ビームによって、本来ない位置にエコーが描出されるアーチファクトです。
本画像のように高エコー構造の後方が暗く抜ける所見ではありません。
覚えるポイント
超音波で「高エコーの後ろが黒く抜ける」所見を見たら、音響陰影を考えます。
- 音響陰影:石灰化・結石などの後方に黒い影
- ハロー:結節周囲の低エコーの輪
- 側方陰影:嚢胞や曲面構造の左右に出る影
- 多重反射:等間隔に繰り返すエコー
- サイドローブ:本来ない位置に出る偽エコー
本問では、甲状腺結節内の高エコー部分の後方に黒い影が伸びているため、正答は2.音響陰影です。
78AM11問題・解答・解説
問題文
[78AM11] 標識化合物の分解を防ぐ保存法で正しいのはどれか。 2 つ選べ。
選択肢
- 1.常温で保存する。
- 2.窒素ガスを充塡する。
- 3.比放射能を高くする。
- 4.放射能濃度を高くする。
- 5.ラジカルスカベンジャを添加する。
答え
2.窒素ガスを充塡する。 5.ラジカルスカベンジャを添加する。
解説
正答
2.窒素ガスを充塡する。
5.ラジカルスカベンジャを添加する。
問題のポイント
標識化合物は、放射性核種を含む化合物です。
放射線を自分自身で出しているため、保存中に分子が壊れることがあります。
この分解を自己放射線分解、または放射線分解といいます。
標識化合物の分解を防ぐには、
- 酸素による酸化を防ぐ
- 放射線で生じたラジカルの反応を抑える
- 放射能濃度を高くしすぎない
- 比放射能を高くしすぎない
- 必要に応じて低温・遮光で保存する
という考え方が重要です。
なぜ2が正しいか
容器内に酸素が多いと、標識化合物が酸化されて分解しやすくなります。
そこで、容器内を窒素ガスで置換・充塡すると、酸素を追い出すことができます。
酸素が少なくなることで酸化反応が抑えられ、標識化合物の分解を防ぎやすくなります。
したがって、2.窒素ガスを充塡する、は正しいです。
なぜ5が正しいか
放射線が水や溶媒に作用すると、反応性の高いラジカルが発生します。
このラジカルが標識化合物と反応すると、化学構造が壊れて分解が進みます。
ラジカルスカベンジャは、発生したラジカルを捕捉して反応を抑える物質です。
そのため、標識化合物の放射線分解を防ぐ目的で添加されることがあります。
したがって、5.ラジカルスカベンジャを添加する、は正しいです。
他の選択肢との区別
1.常温で保存する。
誤りです。
一般に化学反応は温度が高いほど進みやすくなります。
標識化合物の分解を抑えるには、常温よりも冷蔵・冷凍など低温保存が有効な場合があります。
2.窒素ガスを充塡する。
正しいです。
酸素を除いて酸化分解を抑えることができます。
3.比放射能を高くする。
誤りです。
比放射能が高いほど、単位物質量あたりの放射能が大きくなります。
その分、自己放射線分解が起こりやすくなるため、分解防止には不利です。
4.放射能濃度を高くする。
誤りです。
放射能濃度が高いほど、溶液中で放射線分解が起こりやすくなります。
分解を防ぐには、必要に応じて希釈し、放射能濃度を下げることが有効です。
5.ラジカルスカベンジャを添加する。
正しいです。
放射線によって生じたラジカルを捕捉し、標識化合物の分解を抑えます。
覚えるポイント
標識化合物の分解防止では、
- 窒素ガス充塡:酸素を除いて酸化を防ぐ
- ラジカルスカベンジャ添加:ラジカル反応を抑える
- 低温保存:化学反応を抑える
- 低濃度保存:自己放射線分解を抑える
と整理します。
本問では、分解を防ぐ保存法として、2.窒素ガスを充塡する、5.ラジカルスカベンジャを添加する、が正答です。
78AM12問題・解答・解説
問題文
[78AM12] 生物学的半減期を b、物理的半減期を p とすると有効半減期を表すのはどれ か。
選択肢
- 1.b+ p
- 2.b− p
- 3.1/ b + 1/ p
- 4.( b+ p) /2
- 5.b p/ ( b+ p)
答え
5.b p/ ( b+ p)
解説
正答
5.bp /(b+p)
問題のポイント
体内に入った放射性物質の減少には、2つの要因があります。
1つは、放射性核種そのものが壊変して減ることです。
これを物理的減衰といい、その半減期が物理的半減期 p です。
もう1つは、代謝や排泄によって体外へ出ていくことです。
これを生物学的減少といい、その半減期が生物学的半減期 b です。
実際の体内放射能は、この2つが同時に働いて減少します。
その実際の減少の速さを表す半減期が有効半減期です。
有効半減期の式
有効半減期を Te とすると、次の関係があります。
1 / Te = 1 / p + 1 / b
つまり、有効半減期の逆数は、物理的半減期の逆数と生物学的半減期の逆数の和になります。
これを変形すると、
1 / Te = 1 / p + 1 / b
1 / Te = (b + p) / bp
したがって、
Te = bp / (b + p)
となります。
なぜ5が正しいか
問題では、
- 生物学的半減期:b
- 物理的半減期:p
とされています。
有効半減期は、
Te = bp / (b + p)
なので、選択肢では5.bp /(b+p)が正しいです。
他の選択肢との区別
1.b+p
誤りです。
半減期を単純に足すわけではありません。
物理的減衰と生物学的排泄が同時に起こるため、有効半減期は通常どちらの半減期よりも短くなります。
2.b−p
誤りです。
半減期の差で求めるものではありません。
3.1/b+1/p
誤りです。
これは有効半減期そのものではなく、有効半減期の逆数を表す形です。
正しくは、1/Te = 1/b + 1/p です。
4.(b+p)/2
誤りです。
2つの半減期の平均ではありません。
5.bp/(b+p)
正しいです。
生物学的減少と物理的減衰が同時に起こる場合の有効半減期を表します。
覚えるポイント
有効半減期は、次の式で覚えます。
Te = Tb × Tp / (Tb + Tp)
この式から、有効半減期は必ず物理的半減期と生物学的半減期の短い方よりもさらに短くなります。
本問では、生物学的半減期をb、物理的半減期をpとしているため、正答は5.bp/(b+p)です。
78AM13問題・解答・解説
問題文
[78AM13] TEW 法で推定される散乱線成分を表す式はどれか。 ただし、メインウインドウ幅を W1、低エネルギー側サブウインドウのカウントとウインドウ幅を Clow、W2、高エネルギー側サブウインドウのカウントとウインドウ幅を Chigh、W3 とする。
選択肢
- 1.(Clow + Chigh)× W1/2
- 2.(Clow + Chigh)× W1/(W2 + W3)
- 3.(Clow/W2 + Chigh/W3)× W1/2
- 4.(Clow/W2 + Chigh/W3)× W1
- 5.(W2/Clow + W3/Chigh)× W1/2
答え
3.(Clow/W2 + Chigh/W3)× W1/2
解説
正答
3.(Clow/W2 + Chigh/W3)× W1/2
問題のポイント
TEW法は、Triple Energy Window法の略です。
核医学画像で、メインウインドウ内に含まれる散乱線成分を推定して補正する方法です。
TEW法では、
- メインウインドウ
- 低エネルギー側サブウインドウ
- 高エネルギー側サブウインドウ
の3つのエネルギーウインドウを使います。
メインウインドウに含まれる散乱線量を、左右のサブウインドウのカウントから推定します。
考え方
低エネルギー側サブウインドウのカウントを Clow、幅を W2 とすると、単位エネルギー幅あたりの散乱線カウントは、
Clow / W2
です。
高エネルギー側サブウインドウのカウントを Chigh、幅を W3 とすると、単位エネルギー幅あたりの散乱線カウントは、
Chigh / W3
です。
TEW法では、この2つの値の平均を、メインウインドウ内の散乱線の高さとして扱います。
平均値は、
(Clow/W2 + Chigh/W3) / 2
です。
これにメインウインドウ幅 W1 をかけると、メインウインドウ内の散乱線成分になります。
したがって、
散乱線成分 = (Clow/W2 + Chigh/W3) × W1 / 2
となります。
なぜ3が正しいか
選択肢3は、
(Clow/W2 + Chigh/W3)× W1/2
です。
これは、
1.低エネルギー側サブウインドウのカウント密度を求める
2.高エネルギー側サブウインドウのカウント密度を求める
3.両者の平均をとる
4.メインウインドウ幅 W1 をかける
というTEW法の散乱線推定式そのものです。
したがって、正答は3です。
他の選択肢との区別
1.(Clow+Chigh)×W1/2
誤りです。
サブウインドウの幅 W2、W3 で割っていないため、単位エネルギー幅あたりのカウントに直せていません。
2.(Clow+Chigh)×W1/(W2+W3)
誤りです。
一見、幅で補正しているように見えますが、低エネルギー側と高エネルギー側のカウント密度を別々に求めて平均するTEW法の式とは異なります。
3.(Clow/W2+Chigh/W3)×W1/2
正しいです。
左右のサブウインドウのカウント密度を平均し、メインウインドウ幅をかける式です。
4.(Clow/W2+Chigh/W3)×W1
誤りです。
2つのカウント密度を足したあと平均をとる必要があります。
1/2がないため、散乱線成分を過大評価します。
5.(W2/Clow+W3/Chigh)×W1/2
誤りです。
カウントをウインドウ幅で割るべきところが逆になっています。
覚えるポイント
TEW法の散乱線推定式は、
散乱線成分 = { Clow/W2 + Chigh/W3 } × W1 / 2
です。
ポイントは、
- サブウインドウのカウントを幅で割って「カウント密度」にする
- 低エネルギー側と高エネルギー側の平均をとる
- 最後にメインウインドウ幅 W1 をかける
という流れです。
本問では、この形に一致する3が正答です。
78AM14問題・解答・解説
問題文
[78AM14] LSO シンチレータの特徴で正しいのはどれか。
選択肢
- 1.BGO に比べ相対発光量が大きい。
- 2.BGO に比べ発光減衰時間が長い。
- 3.NaI(Tl)に比べ密度が低い。
- 4.NaI(Tl)に比べ相対発光量が大きい。
- 5.NaI(Tl)に比べエネルギー分解能が高い。
答え
1.BGO に比べ相対発光量が大きい。
解説
正答
1.BGOに比べ相対発光量が大きい。
問題のポイント
LSOは、PET装置などで用いられるシンチレータの一つです。
正式には lutetium oxyorthosilicate と呼ばれ、発光量が比較的大きく、発光減衰時間が短いことが特徴です。
PET用シンチレータでは、
- γ線を効率よく止める密度
- 十分な発光量
- 短い発光減衰時間
- 良好な時間分解能
が重要になります。
LSOの特徴
LSOは、BGOと比べると、
- 相対発光量が大きい
- 発光減衰時間が短い
- 時間分解能に優れる
- PETで高速計数に有利
という特徴があります。
一方で、NaI(Tl)と比べると、
- 密度は高い
- 発光量はNaI(Tl)より小さい
- エネルギー分解能はNaI(Tl)より劣ることが多い
と整理できます。
なぜ1が正しいか
BGOは密度が高く、γ線の吸収には優れますが、発光量は比較的小さいシンチレータです。
LSOはBGOよりも発光量が大きいため、信号を得やすく、PET装置で広く用いられます。
したがって、1.BGOに比べ相対発光量が大きい、が正しいです。
他の選択肢との区別
1.BGOに比べ相対発光量が大きい。
正しいです。
LSOはBGOより発光量が大きいシンチレータです。
2.BGOに比べ発光減衰時間が長い。
誤りです。
LSOはBGOより発光減衰時間が短いです。
このため、高計数率測定やTOF-PETに有利です。
3.NaI(Tl)に比べ密度が低い。
誤りです。
LSOはNaI(Tl)より密度が高いです。
密度が高いほど、511 keVの消滅放射線を効率よく検出しやすくなります。
4.NaI(Tl)に比べ相対発光量が大きい。
誤りです。
NaI(Tl)は発光量が非常に大きい代表的なシンチレータです。
LSOの発光量はBGOより大きいですが、NaI(Tl)より大きいわけではありません。
5.NaI(Tl)に比べエネルギー分解能が高い。
誤りです。
一般に、NaI(Tl)はエネルギー分解能に優れます。
LSOはPET用として時間特性や検出効率に優れますが、エネルギー分解能がNaI(Tl)より高いとはいえません。
覚えるポイント
代表的シンチレータの特徴は比較で覚えると整理しやすいです。
- BGO:密度は高いが、発光量が小さく、減衰時間が長い
- LSO:BGOより発光量が大きく、減衰時間が短い。PETに向く
- NaI(Tl):発光量が大きく、エネルギー分解能が良いが、密度はLSOより低い
本問では、LSOの特徴として正しいのは、1.BGOに比べ相対発光量が大きい、です。
78AM15問題・解答・解説
問題文
[78AM15] 18F-FDG PET/CT で得られた PET 像を別に示す。(公式で画像は省略されています) 矢印で示す欠損部の原因で最も考えられるのはどれか。
選択肢
- 1.部分容積効果
- 2.体動による散乱補正エラー
- 3.呼吸位相の違いによる減弱補正エラー
- 4.体内の高吸収物質による減弱補正エラー
- 5.PET と CT の有効視野の違いによるトランケーションアーチファクト
答え
2.体動による散乱補正エラー
解説
正答
2.体動による散乱補正エラー
問題のポイント
18F-FDG PET/CTでは、PET画像を作るときにさまざまな補正処理が行われます。
代表的な補正には、
- 減弱補正
- 散乱補正
- ランダム補正
- 感度補正
- デッドタイム補正
などがあります。
この問題では、PET像に見られる「欠損部」、つまり本来集積があるはずの部位が抜けたように見える原因を問うています。
なぜ体動による散乱補正エラーか
PET撮像中に患者が動くと、収集された放射能分布が本来の位置からずれます。
散乱補正では、体内で散乱したγ線成分を推定し、その分を差し引いて画像を補正します。
しかし、撮像中に体動があると、実際の放射能分布と補正計算に用いる分布が合わなくなります。
その結果、散乱線成分を過大に差し引いてしまうことがあり、PET像上で局所的な集積低下、つまり欠損像として見えることがあります。
したがって、矢印で示す欠損部の原因として最も考えられるのは、体動による散乱補正エラーです。
他の選択肢との区別
1.部分容積効果
誤りです。
部分容積効果は、小さな病変や細い構造の集積が実際より低く見える現象です。
PETの空間分解能に対して病変が小さいと、周囲に信号がにじんでSUVが低く評価されます。
しかし、画像上の明らかな欠損部を作る代表的原因ではありません。
2.体動による散乱補正エラー
正しいです。
撮像中の体動により散乱補正が不正確になり、散乱成分の過補正が起こると、PET像に人工的な欠損が生じることがあります。
3.呼吸位相の違いによる減弱補正エラー
誤りです。
PETは数分間の呼吸運動を平均した画像ですが、CTは一瞬の呼吸位相で撮影されます。
そのため、PETとCTの呼吸位相がずれると、横隔膜周囲、肺底部、肝上縁などで減弱補正エラーが起こります。
典型的には横隔膜近くの位置ずれによるアーチファクトであり、本問の欠損部の原因としては最も適切ではありません。
4.体内の高吸収物質による減弱補正エラー
誤りです。
金属、濃い造影剤、バリウムなどの高吸収物質があると、CT値が高くなり、CT減弱補正後のPET像で偽の高集積が生じることがあります。
つまり、欠損というより過補正による高集積アーチファクトが問題になりやすいです。
5.PETとCTの有効視野の違いによるトランケーションアーチファクト
誤りです。
トランケーションアーチファクトは、体の一部がCTの有効視野からはみ出すことで、減弱補正マップが不完全になる現象です。
腕や体幹外側がCT視野外になる場合などに起こり、画像辺縁部の補正異常として見られます。
本問の矢印で示された欠損部の原因としては、体動による散乱補正エラーの方が適切です。
覚えるポイント
PET/CTのアーチファクトは、原因ごとに整理すると判別しやすいです。
- 体動:PET収集中の位置ずれにより補正エラーや欠損像を生じる
- 呼吸位相の違い:横隔膜周囲、肺底部、肝上縁で減弱補正エラー
- 高吸収物質:CT減弱補正により偽高集積を生じやすい
- トランケーション:CT視野外に体がはみ出し、辺縁部で補正異常
- 部分容積効果:小病変の集積が過小評価される
本問では、PET像の欠損部が補正処理の異常によるものと考えられ、最も適切なのは 2.体動による散乱補正エラー です。
78AM16問題・解答・解説
問題文
[78AM16] PET 装置の性能評価(NEMA NU 2-2018)とその関連項目の組合せで誤っている のはどれか。
選択肢
- 1.画質 NEMA IEC 胴体ファントム
- 2.感度アルミニウム管
- 3.空間分解能 Na 点線源
- 4.計数率特性散乱ファントム
- 5.散乱フラクション F 点線源
答え
5.散乱フラクション F 点線源
解説
正答
5.散乱フラクション F 点線源
問題のポイント
PET装置の性能評価では、評価項目ごとに使用する線源やファントムが決まっています。
NEMA NU 2-2018では、PET装置の性能を客観的に比較できるように、
- 空間分解能
- 感度
- 計数率特性
- 散乱フラクション
- 画質
などを標準化された方法で測定します。
この問題では、「評価項目」と「使用する線源・ファントム」の組合せが正しいかを判断します。
なぜ5が誤りか
散乱フラクションは、PET装置で検出された同時計数のうち、散乱線がどれくらい含まれるかを表す指標です。
散乱フラクションの評価では、点線源ではなく、散乱ファントムを用いて測定します。
具体的には、円柱状の散乱ファントム内に線状線源を配置し、散乱成分と真の同時計数を評価します。
したがって、「散乱フラクション F 点線源」という組合せは誤りです。
他の選択肢との区別
1.画質 NEMA IEC 胴体ファントム
正しい組合せです。
画質評価では、球状ホット病変やコールド領域を持つNEMA IEC胴体ファントムを用います。
臨床画像に近い条件で、コントラスト回復係数、バックグラウンド変動、肺野残留誤差などを評価します。
2.感度 アルミニウム管
正しい組合せです。
感度測定では、線状線源をアルミニウム管で囲み、減弱の異なる条件で測定します。
複数のアルミニウム管を用いた測定結果から、減弱のない条件での感度を推定します。
3.空間分解能 Na 点線源
正しい組合せです。
空間分解能は、点線源を用いて、PET装置がどれだけ小さな構造を分離して描出できるかを評価します。
点線源を複数の位置に置き、再構成画像上のFWHMなどを測定します。
4.計数率特性 散乱ファントム
正しい組合せです。
計数率特性では、散乱ファントムを用いて、放射能濃度の変化に対する真の同時計数、散乱同時計数、ランダム同時計数、NECRなどを評価します。
5.散乱フラクション F 点線源
誤りです。
散乱フラクションは点線源で評価するのではなく、散乱ファントムと線状線源を用いて評価します。
覚えるポイント
NEMA NU 2のPET性能評価では、次の対応を押さえます。
- 画質:NEMA IEC胴体ファントム
- 感度:線状線源とアルミニウム管
- 空間分解能:点線源
- 計数率特性:散乱ファントム
- 散乱フラクション:散乱ファントム
本問では、散乱フラクションを点線源で評価するとしている5が誤りです。
78AM17問題・解答・解説
問題文
[78AM17] 放射性医薬品投与時に 30 秒以上かけてゆっくり静注する必要があるのはどれか。
選択肢
- 1.99mTc−ECD
- 2.99mTc−MIBI
- 3.123I−MIBG
- 4.131I−アドステロール
- 5.201TlCl
答え
4.131I−アドステロール
解説
正答
4.131I−アドステロール
問題のポイント
放射性医薬品には、それぞれ投与方法や注意点があります。
この問題では、「30秒以上かけてゆっくり静注する」という投与上の注意がある放射性医薬品を問うています。
なぜ131I−アドステロールが正しいか
131I−アドステロールは、副腎皮質シンチグラフィに用いられる放射性医薬品です。
副腎皮質ホルモンの前駆物質であるコレステロールに類似した性質を持ち、副腎皮質に集積します。
この薬剤は投与時に急速静注せず、30秒以上かけてゆっくり静注する必要があります。
急速に投与すると、副作用や血管への刺激などが問題になることがあるためです。
したがって、正答は4.131I−アドステロールです。
他の選択肢との区別
1.99mTc−ECD
誤りです。
99mTc−ECDは脳血流シンチグラフィに用いられる薬剤です。
脳血流に応じて脳実質へ取り込まれますが、本問の「30秒以上かけてゆっくり静注する必要がある」薬剤としては該当しません。
2.99mTc−MIBI
誤りです。
99mTc−MIBIは心筋血流シンチグラフィや副甲状腺シンチグラフィなどに用いられます。
131I−アドステロールのように、本問で問われる30秒以上のゆっくり静注の代表ではありません。
3.123I−MIBG
誤りです。
123I−MIBGは交感神経終末や副腎髄質、褐色細胞腫の評価などに用いられます。
投与時の注意はありますが、本問で問われる「30秒以上かけてゆっくり静注する必要がある」薬剤としては、131I−アドステロールを選びます。
4.131I−アドステロール
正しいです。
副腎皮質シンチグラフィに用いられ、30秒以上かけてゆっくり静注します。
5.201TlCl
誤りです。
201TlClは心筋血流シンチグラフィや腫瘍シンチグラフィなどに用いられます。
本問の投与方法の特徴には該当しません。
覚えるポイント
131I−アドステロールは、
- 副腎皮質シンチグラフィに用いる
- コレステロール類似物質として副腎皮質に集積する
- 投与時は30秒以上かけてゆっくり静注する
- 131Iを含むため、甲状腺ブロックなどの管理も重要
と整理します。
本問では、投与時に30秒以上かけてゆっくり静注する必要がある薬剤として、131I−アドステロールが正答です。
78AM18問題・解答・解説
問題文
[78AM18] Na123I による 24 時間後の甲状腺摂取率で正常範囲内はどれか。
選択肢
- 1.0.5%
- 2.3%
- 3.30%
- 4.60%
- 5.80%
答え
3.30%
解説
正答
3.30%
問題のポイント
Na123I、つまりヨウ化ナトリウム123Iは、甲状腺のヨード摂取能を調べる検査に用いられます。
甲状腺はヨードを取り込み、甲状腺ホルモンを合成します。
そのため、投与した123Iがどれくらい甲状腺に取り込まれたかを測定すると、甲状腺機能の評価に役立ちます。
24時間後甲状腺摂取率の正常範囲
123Iによる24時間後の甲状腺摂取率は、施設や測定条件によって多少異なりますが、概ね10〜40%程度が正常範囲として扱われます。
選択肢の中で、この正常範囲に入るのは30%です。
したがって、正答は3.30%です。
他の選択肢との区別
1.0.5%
誤りです。
かなり低値です。
破壊性甲状腺炎、ヨード過剰、甲状腺ホルモン内服中などでは、甲状腺へのヨード取り込みが低下することがあります。
2.3%
誤りです。
3%も低値であり、通常の24時間後甲状腺摂取率としては正常範囲より低いです。
3.30%
正しいです。
24時間後の甲状腺摂取率として正常範囲内に入る代表的な値です。
4.60%
誤りです。
60%は高値です。
Basedow病などの甲状腺機能亢進症では、甲状腺摂取率が高くなることがあります。
5.80%
誤りです。
80%はさらに高値で、正常範囲内とはいえません。
覚えるポイント
123I甲状腺摂取率では、
- 24時間後の正常範囲はおおよそ10〜40%
- 低値:破壊性甲状腺炎、ヨード過剰、甲状腺ホルモン内服など
- 高値:Basedow病などの甲状腺機能亢進症
と整理します。
本問では、正常範囲内に入る値は30%なので、正答は3です。
78AM19問題・解答・解説
問題文
[78AM19] 副腎皮質シンチグラフィで正しいのはどれか。
選択肢
- 1.投与翌日に撮影する。
- 2.123I−MIBG が用いられる。
- 3.褐色細胞腫の診断で用いられる。
- 4.デキサメタゾンによって正常副腎への集積が抑制される。
- 5.原発性アルドステロン症では片側のみに集積を認めることが多い。
答え
4.デキサメタゾンによって正常副腎への集積が抑制される。
解説
正答
4.デキサメタゾンによって正常副腎への集積が抑制される。
問題のポイント
副腎は、大きく副腎皮質と副腎髄質に分けられます。
副腎皮質シンチグラフィでは、副腎皮質に集積する放射性医薬品を用います。
代表的には、131I−アドステロールが用いられます。
一方、123I−MIBGは副腎髄質や交感神経系を評価する薬剤であり、副腎皮質シンチグラフィとは目的が異なります。
なぜ4が正しいか
正常副腎皮質の機能は、下垂体から分泌されるACTHによって調節されています。
デキサメタゾンを投与すると、ACTH分泌が抑制されます。
その結果、正常副腎皮質の活動が低下し、131I−アドステロールなどの集積も抑制されます。
一方、自律的にホルモンを産生する副腎皮質病変では、正常副腎より抑制されにくいことがあります。
この性質を利用して、正常副腎への集積を抑え、病変の描出を助けます。
したがって、4.デキサメタゾンによって正常副腎への集積が抑制される、は正しいです。
他の選択肢との区別
1.投与翌日に撮影する。
誤りです。
副腎皮質シンチグラフィでは、131I−アドステロールの副腎への集積に時間がかかります。
そのため、投与翌日ではなく、数日後に撮影するのが基本です。
2.123I−MIBGが用いられる。
誤りです。
123I−MIBGは副腎髄質、交感神経系、褐色細胞腫などの評価に用いられます。
副腎皮質シンチグラフィの代表薬剤ではありません。
3.褐色細胞腫の診断で用いられる。
誤りです。
褐色細胞腫は副腎髄質由来の腫瘍です。
診断には123I−MIBGシンチグラフィなどが用いられます。
副腎皮質シンチグラフィの主な対象ではありません。
4.デキサメタゾンによって正常副腎への集積が抑制される。
正しいです。
デキサメタゾンによりACTHが抑制され、正常副腎皮質への集積が低下します。
5.原発性アルドステロン症では片側のみに集積を認めることが多い。
誤りです。
原発性アルドステロン症には、片側性のアルドステロン産生腺腫だけでなく、両側性副腎過形成などもあります。
片側のみに集積すると一般化するのは不適切です。
覚えるポイント
副腎シンチグラフィは、皮質と髄質で薬剤と対象疾患を分けて覚えます。
- 副腎皮質:131I−アドステロール
- 副腎髄質:123I−MIBG
- 褐色細胞腫:副腎髄質由来なのでMIBG
- デキサメタゾン:ACTHを抑制し、正常副腎皮質への集積を抑える
本問では、副腎皮質シンチグラフィの特徴として、デキサメタゾンによる正常副腎集積の抑制が正答です。
78AM20問題・解答・解説
問題文
[78AM20] 骨シンチグラフィで集積欠損像となるのはどれか。 2 つ選べ。
選択肢
- 1.授乳期乳房
- 2.尿漏れ部位
- 3.ペースメーカ
- 4.硫酸バリウム
- 5.放射性医薬品の投与部位の漏れ
答え
3.ペースメーカ 4.硫酸バリウム
解説
正答
3.ペースメーカ
4.硫酸バリウム
問題のポイント
骨シンチグラフィでは、99mTc標識リン酸化合物などが骨代謝の盛んな部位に集積します。
画像上で異常を読むときは、
- 集積が増える像
- 集積が低下する像
- 体外・体内物質によるアーチファクト
を区別する必要があります。
本問で問われているのは「集積欠損像」、つまり本来見えるはずの放射能が遮られて、抜けたように見える所見です。
なぜペースメーカが正しいか
ペースメーカは金属を含む体内機器です。
骨シンチグラフィで用いられるγ線は、体内から体外へ出て検出器に届きます。
しかし、ペースメーカのような高吸収物質があると、その部分でγ線が減弱・遮蔽されます。
その結果、ペースメーカの位置に一致して、集積が抜けたような欠損像として見えることがあります。
したがって、3.ペースメーカは正しいです。
なぜ硫酸バリウムが正しいか
硫酸バリウムはX線吸収が大きい高吸収物質です。
消化管内に残っていると、骨シンチグラフィのγ線も減弱させることがあります。
そのため、バリウムが存在する部位に一致して、放射能が低く見える欠損像を生じることがあります。
したがって、4.硫酸バリウムは正しいです。
他の選択肢との区別
1.授乳期乳房
誤りです。
授乳期乳房では、乳房に放射性医薬品が集積し、両側乳房に軟部組織集積が見られることがあります。
欠損像ではなく、むしろ集積増加として問題になります。
2.尿漏れ部位
誤りです。
骨シンチグラフィの薬剤は尿中に排泄されます。
尿漏れや尿による汚染があると、その部位に強い集積、つまりホットスポットとして見えます。
欠損像ではありません。
3.ペースメーカ
正しいです。
金属によるγ線の減弱・遮蔽により、集積欠損像を生じます。
4.硫酸バリウム
正しいです。
高吸収物質であるため、γ線を減弱させ、欠損像の原因になります。
5.放射性医薬品の投与部位の漏れ
誤りです。
注射部位で漏れがあると、漏れた部位に放射能がたまり、局所的な強い集積として見えます。
全身の画質や骨への分布に影響することはありますが、漏れた部位自体は欠損像ではなく高集積像になります。
覚えるポイント
骨シンチグラフィで欠損像を作るものは、「γ線を遮るもの」と考えると覚えやすいです。
- ペースメーカ:金属による減弱・遮蔽
- 硫酸バリウム:高吸収物質による減弱
一方で、尿漏れや注射漏れは放射能そのものが存在するため、基本的には高集積として見えます。
本問では、集積欠損像となるものは、3.ペースメーカ、4.硫酸バリウムです。
78AM21問題・解答・解説
問題文
[78AM21] 外部放射線治療で正しいのはどれか。
選択肢
- 1.局所的な治療ができる。
- 2.高齢者には適応がない。
- 3.良性腫瘍は適応とならない。
- 4.臓器の機能や形態を温存できない。
- 5.手術療法と比較して腫瘍制御の確実性が高い。
答え
1.局所的な治療ができる。
解説
正答
1.局所的な治療ができる。
問題のポイント
外部放射線治療は、体外から腫瘍や病変部に放射線を照射する治療法です。
放射線を照射する範囲を治療計画で設定できるため、全身に作用する薬物療法とは異なり、基本的には局所治療として行われます。
なぜ1が正しいか
外部放射線治療では、腫瘍の位置、広がり、周囲の正常臓器を考慮して照射野を設定します。
そのため、
- 原発巣に照射する
- リンパ節領域に照射する
- 骨転移など疼痛部位に照射する
- 脳転移など限局した病変に照射する
といった局所的な治療が可能です。
したがって、1.局所的な治療ができる、が正しいです。
他の選択肢との区別
1.局所的な治療ができる。
正しいです。
外部放射線治療は、照射範囲を定めて病変部に放射線を集中させる局所治療です。
2.高齢者には適応がない。
誤りです。
高齢であることだけで放射線治療の適応外にはなりません。
全身状態、病期、治療目的、併存疾患、本人の希望などを総合して判断します。手術が難しい高齢者で放射線治療が選択されることもあります。
3.良性腫瘍は適応とならない。
誤りです。
放射線治療は悪性腫瘍だけに用いられるわけではありません。
髄膜腫、聴神経腫瘍、下垂体腺腫、動静脈奇形など、一部の良性疾患でも定位放射線治療などが適応となることがあります。
4.臓器の機能や形態を温存できない。
誤りです。
放射線治療は、手術と比べて臓器の形態や機能を温存しやすい場合があります。
例えば、喉頭癌では発声機能の温存、前立腺癌では臓器温存を目的として放射線治療が選択されることがあります。
5.手術療法と比較して腫瘍制御の確実性が高い。
誤りです。
腫瘍制御の確実性は、疾患、病期、腫瘍の大きさ、部位、組織型、治療法の組合せによって異なります。
外部放射線治療が常に手術療法より確実とはいえません。
覚えるポイント
外部放射線治療の特徴は、
- 局所治療である
- 高齢者でも適応となることがある
- 良性疾患にも用いられることがある
- 臓器機能や形態の温存に役立つことがある
- 手術、薬物療法と組み合わせて行われることが多い
と整理します。
本問では、外部放射線治療の基本的特徴である「局所的な治療ができる」が正答です。
78AM22問題・解答・解説
問題文
[78AM22] 放射線治療効果で誤っているのはどれか。
選択肢
- 1.温熱療法は放射線増感効果を示す。
- 2.加速過分割照射は増殖が遅い腫瘍に有効である。
- 3.シスプラチン(白金製剤)は放射線増感効果を示す。
- 4.放射線治療期間の延長は治療成績の悪化につながる。
- 5.定位放射線照射は通常分割照射に比べ高い局所効果が得られる。
答え
2.加速過分割照射は増殖が遅い腫瘍に有効である。
解説
正答
2.加速過分割照射は増殖が遅い腫瘍に有効である。
問題のポイント
この問題は「誤っているもの」を選ぶ問題です。
放射線治療効果は、
- 腫瘍細胞の増殖速度
- 治療期間
- 1回線量
- 分割回数
- 併用療法
- 酸素状態
- 放射線増感効果
などに影響されます。
なぜ2が誤りか
加速過分割照射は、1日2回など複数回に分けて照射し、全体の治療期間を短縮する方法です。
目的は、治療期間中に腫瘍細胞が再増殖する時間を減らすことです。
そのため、加速過分割照射は、増殖が速い腫瘍で効果が期待されます。
問題文の選択肢2は「増殖が遅い腫瘍に有効」としているため誤りです。
したがって、誤っている選択肢は2です。
他の選択肢との区別
1.温熱療法は放射線増感効果を示す。
正しいです。
温熱療法は腫瘍細胞の放射線感受性を高めることがあります。
特に低酸素細胞や放射線抵抗性の細胞に対して、放射線治療効果を増強する目的で併用されることがあります。
2.加速過分割照射は増殖が遅い腫瘍に有効である。
誤りです。
加速過分割照射は、治療期間中の腫瘍細胞の再増殖を抑える目的があり、増殖が速い腫瘍に対して意義があります。
「増殖が遅い腫瘍に有効」とする記述は不適切です。
3.シスプラチン(白金製剤)は放射線増感効果を示す。
正しいです。
シスプラチンはDNA損傷を起こし、放射線によるDNA損傷の修復を妨げることで、放射線増感効果を示します。
頭頸部癌、肺癌、子宮頸癌などで化学放射線療法として併用されます。
4.放射線治療期間の延長は治療成績の悪化につながる。
正しいです。
治療期間が延長すると、その間に腫瘍細胞が再増殖する可能性があります。
特に増殖の速い腫瘍では、治療期間の延長が局所制御率の低下につながることがあります。
5.定位放射線照射は通常分割照射に比べ高い局所効果が得られる。
正しいです。
定位放射線照射では、病変に対して高精度に大線量を集中して照射します。
そのため、適切な小病変では通常分割照射より高い局所効果が期待できます。
覚えるポイント
放射線治療効果の問題では、次の整理が重要です。
- 温熱療法:放射線増感効果がある
- シスプラチン:放射線増感作用をもつ代表的薬剤
- 治療期間延長:腫瘍再増殖により成績悪化の原因になる
- 加速過分割照射:増殖が速い腫瘍で意義がある
- 定位照射:高精度・大線量集中で高い局所効果が期待される
本問は「誤っているもの」を選ぶので、正答は2です。
78AM23問題・解答・解説
問題文
[78AM23] 肺癌に対する放射線治療の基準点線量処方で正しいのはどれか。(採点除外)
選択肢
- 1.平均肺線量処方
- 2.計画標的体積の D2cc 処方
- 3.計画標的体積の D95%処方
- 4.計画標的体積の Dmax 処方
- 5.計画標的体積の V20Gy 処方
答え
正答未設定(採点除外)
解説
正答
正答未設定
この問題の扱い
本問は、公式発表で採点除外等の対象とされた問題です。
学習上は、「基準点線量処方」と「体積線量指標による処方・評価」を区別することが重要です。
問題のポイント
基準点線量処方とは、ICRU基準点やアイソセンタなど、標的内に設定した特定の点の線量を基準に処方する考え方です。
一方、D95%、D2cc、Dmax、V20Gy、平均肺線量などは、DVH〈dose-volume histogram:線量体積ヒストグラム〉で扱う線量体積指標です。
つまり、
- 基準点線量処方:点の線量を基準にする
- 体積処方・DVH評価:体積と線量の関係で評価する
という違いがあります。
選択肢の考え方
1.平均肺線量処方
平均肺線量は、肺という正常組織が平均してどれくらい照射されるかを示す指標です。
肺臓炎などの有害事象リスク評価に使われる正常組織線量の指標であり、標的への基準点線量処方ではありません。
2.計画標的体積のD2cc処方
D2ccは、ある体積のうち高線量側2ccが受ける線量を示す指標です。
小線源治療やリスク臓器の高線量評価でよく使われる考え方であり、基準点線量処方そのものではありません。
3.計画標的体積のD95%処方
D95%は、PTVの95%体積が受ける線量を表します。
標的体積への線量カバーを評価するうえで重要な指標で、現代の治療計画では処方・評価に用いられることがあります。
ただし、これは「点」を基準にする基準点線量処方ではなく、体積線量指標による処方・評価です。
4.計画標的体積のDmax処方
Dmaxは最大線量を示します。
ホットスポットの確認には重要ですが、最大線量そのものを処方線量の基準にするのは通常不適切です。
5.計画標的体積のV20Gy処方
V20Gyは、20Gy以上照射される体積の割合または体積を表す指標です。
肺癌治療では、通常は肺のV20Gyなど、正常肺の線量制約として重要です。
PTVに対する基準点線量処方ではありません。
なぜ正答未設定なのか
選択肢の中では、肺癌治療計画における標的線量の体積指標としては、3.計画標的体積のD95%処方が学習上もっとも近い内容です。
しかし、問題文は「基準点線量処方」としており、基準点線量処方は本来、PTV内の基準点など「点」の線量を基準にする処方です。
そのため、D95%のような体積処方を正答とするには用語上のズレがあります。
この曖昧さがあるため、本データでは正答未設定として扱います。
覚えるポイント
放射線治療計画では、処方や評価に用いる指標を区別します。
- 基準点線量処方:ICRU基準点、アイソセンタなどの点線量
- D95%:PTVの95%体積をカバーする線量
- D2cc:高線量側2ccが受ける線量
- Dmax:最大線量
- 平均肺線量、肺V20Gy:正常肺の線量制約・有害事象評価
本問は採点除外等対象のため、アプリデータ上は正答未設定とします。
学習上は、基準点処方とD95%などの体積処方を混同しないことが重要です。
78AM24問題・解答・解説
問題文
[78AM24] 緩和的放射線治療の適応に最もなりにくいのはどれか。
選択肢
- 1.胃癌による出血
- 2.腹水による食欲不振
- 3.多発性の転移性脳腫瘍
- 4.疼痛を有する転移性骨腫瘍
- 5.転移性骨腫瘍による脊髄圧迫
答え
2.腹水による食欲不振
解説
正答
2.腹水による食欲不振
問題のポイント
緩和的放射線治療は、がんを完全に治すことよりも、症状を軽くすることを主目的に行う放射線治療です。
代表的な適応には、
- 骨転移による疼痛
- 脊髄圧迫
- 脳転移による神経症状
- 腫瘍出血
- 気道狭窄
- 上大静脈症候群
などがあります。
この問題では、「最もなりにくいもの」を選びます。
なぜ腹水による食欲不振が適応になりにくいか
腹水による食欲不振は、腹腔内に液体が貯留し、胃や腸が圧迫されることで起こります。
腹水は、腹膜播種、肝機能低下、低アルブミン血症、門脈圧亢進など、広範囲で全身的な要因によって生じることが多いです。
放射線治療は局所治療なので、広範囲の腹水そのものを改善する目的では使いにくい治療です。
腹水に対しては、穿刺排液、利尿薬、アルブミン補正、腹水濾過濃縮再静注法、薬物療法などが検討されます。
したがって、2.腹水による食欲不振、が緩和的放射線治療の適応に最もなりにくいです。
他の選択肢との区別
1.胃癌による出血
適応になり得ます。
胃癌などの腫瘍出血に対して、止血目的の緩和的放射線治療が行われることがあります。
腫瘍を縮小させたり、血管新生を抑えたりすることで出血を軽減する効果が期待されます。
2.腹水による食欲不振
最も適応になりにくいです。
腹水は広範囲・全身的な病態として起こることが多く、局所照射で改善させる対象としては不向きです。
3.多発性の転移性脳腫瘍
適応になり得ます。
多発脳転移では、全脳照射や定位照射などが症状緩和や病勢制御の目的で行われることがあります。
4.疼痛を有する転移性骨腫瘍
代表的な適応です。
骨転移による疼痛に対する緩和照射は非常に重要です。
疼痛軽減、鎮痛薬減量、病的骨折予防などを目的に行われます。
5.転移性骨腫瘍による脊髄圧迫
緊急性の高い適応です。
脊髄圧迫では、麻痺や膀胱直腸障害が進行する可能性があるため、早急な治療が必要です。
放射線治療は除圧手術やステロイド投与とあわせて検討されます。
覚えるポイント
緩和的放射線治療は「局所症状を放射線で軽くできるか」で考えます。
適応になりやすいもの:
- 骨転移痛
- 脊髄圧迫
- 脳転移
- 腫瘍出血
- 気道・血管などの局所圧迫症状
適応になりにくいもの:
- 腹水など、広範囲・全身的な病態による症状
本問では、腹水による食欲不振が最も緩和照射の対象になりにくいため、正答は2です。
78AM25問題・解答・解説
問題文
[78AM25] 日本国内の炭素線治療施設で稼働している加速器はどれか。
選択肢
- 1.タンデトロン
- 2.ベータトロン
- 3.サイクロトロン
- 4.シンクロトロン
- 5.マイクロトロン
答え
4.シンクロトロン
解説
正答
4.シンクロトロン
問題のポイント
炭素線治療は、炭素イオンを高エネルギーまで加速して腫瘍に照射する粒子線治療です。
炭素イオンは陽子より重いため、治療に必要な深さまで到達させるには大きなエネルギーが必要です。
そのため、日本国内の炭素線治療施設では、主加速器としてシンクロトロンが用いられています。
なぜシンクロトロンが正しいか
シンクロトロンは、円形軌道を回る荷電粒子に高周波電場を与えて、粒子を段階的に加速する装置です。
炭素線治療では、
- 炭素イオンを高エネルギーまで加速できる
- 必要な深さに応じてエネルギーを変えやすい
- 重粒子線治療に適した高エネルギービームを取り出せる
という理由から、シンクロトロンが用いられます。
したがって、正答は4.シンクロトロンです。
他の選択肢との区別
1.タンデトロン
誤りです。
タンデトロンは静電加速器の一種で、主に分析や研究用途で用いられます。
炭素線治療施設の主加速器として稼働しているものではありません。
2.ベータトロン
誤りです。
ベータトロンは電子を円形軌道で加速する装置です。
X線発生などに関係しますが、炭素イオンを治療エネルギーまで加速する装置ではありません。
3.サイクロトロン
誤りです。
サイクロトロンは陽子線治療で用いられることがあります。
しかし、炭素線のような重いイオンを治療に必要な可変エネルギーで扱うにはシンクロトロンが適しています。
日本国内の炭素線治療施設で問われる加速器はシンクロトロンです。
4.シンクロトロン
正しいです。
炭素イオンを高エネルギーまで加速し、治療に用いる主加速器です。
5.マイクロトロン
誤りです。
マイクロトロンは電子加速器の一種です。
炭素線治療用の主加速器ではありません。
覚えるポイント
粒子線治療と加速器の組合せは、次のように整理します。
- 炭素線治療:シンクロトロン
- 陽子線治療:サイクロトロンまたはシンクロトロン
- 電子線・X線発生:リニアック、ベータトロン、マイクロトロンなど
本問では、日本国内の炭素線治療施設で稼働している加速器を問うているため、正答は4.シンクロトロンです。
78AM26問題・解答・解説
問題文
[78AM26] 放射線治療時の深部線量分布を図に示す。 図の a から e の線量分布のうち炭素線の物理線量分布を示すのはどれか。
選択肢
- 1.a
- 2.b
- 3.c
- 4.d
- 5.e
答え
5.e
解説
正答
5.e
図の見方
横軸は体表面からの深さ、縦軸は相対線量を示しています。
放射線の種類によって、体内での線量分布は大きく異なります。
- X線:体表近くでビルドアップし、その後は深さとともに徐々に減少する
- 電子線:ある深さまでは線量を保ち、その後比較的急に低下する
- 陽子線・炭素線などの粒子線:飛程の終端付近でBraggピークを作り、その後急激に線量が低下する
本問では、このうち「炭素線の物理線量分布」を選びます。
なぜeが炭素線の物理線量分布か
炭素線は重粒子線の一種で、体内を進む途中では比較的低い線量を与え、飛程の終端付近で線量が高くなるBraggピークを示します。
治療では腫瘍の厚みをカバーするため、複数のBraggピークを重ねて拡大Braggピーク〈SOBP〉を作ります。
ただし、炭素線では深部に進むほどLETが高くなり、生物学的効果比〈RBE〉も大きくなります。
そのため、標的内で生物学的効果を均一にするためには、物理線量は単純な平坦分布にはなりません。
炭素線の物理線量分布では、
- 入射部の線量が比較的低い
- 標的領域でBraggピークに由来する線量増加を示す
- 深部側ではRBE上昇を考慮して物理線量が低めになる
- 飛程終端で急激に線量が低下する
- 核破砕片によるわずかな尾引きが残ることがある
という特徴があります。
図のeは、浅部では低線量で、標的領域に向かって線量が上昇し、その後は深部側へ向かってやや低下し、最後に急激に落ち込む形を示しています。
これは炭素線の物理線量分布に合います。
したがって、正答はeです。
他の線量分布との区別
1.a
aは浅部で線量が急に上昇したあと、深部に向かってゆるやかに減少しています。
これは高エネルギーX線の深部線量分布に近い形です。
粒子線のような明瞭な飛程終端の急峻な線量低下はありません。
2.b
bは深部で高い平坦な線量域を作り、その後急激に低下しています。
粒子線治療の標的内線量分布に似ていますが、炭素線の「物理線量分布」として特徴的な非平坦な形ではありません。
3.c
cも深部で線量が高くなり、一定の領域を保った後に急激に低下しています。
標的内を均一にする分布に近いですが、炭素線の物理線量分布としてはeの方が適切です。
4.d
dはある深さから比較的平坦な線量域を示しています。
これは生物学的効果を考慮した分布、または別の粒子線の分布として考えると理解しやすいですが、炭素線の物理線量分布そのものではありません。
5.e
正しいです。
炭素線ではRBEが深部で高くなるため、生物学的効果を均一にするには物理線量は平坦ではなくなります。
図のeのように、低い入射線量、Braggピークに関連した線量上昇、深部側での物理線量低下、急峻な遠位線量低下を示す分布が炭素線の物理線量分布です。
覚えるポイント
炭素線治療では、「物理線量」と「生物線量」を分けて考えることが重要です。
- 物理線量:実際に吸収された線量
- 生物線量:物理線量にRBEを考慮した線量
- 炭素線:深部でLETとRBEが高くなる
- そのため、炭素線の物理線量は標的内で平坦とは限らない
- 飛程終端では急峻な線量低下を示す
本問では、炭素線の物理線量分布に特徴的な形を示すeが正答です。
78AM27問題・解答・解説
問題文
[78AM27] 直線加速器の幾何学的管理項目で正しいのはどれか。
選択肢
- 1.MU 値直線性
- 2.X 線出力係数
- 3.物理ウェッジ係数
- 4.絶対線量の出力不変性
- 5.光照射野と放射線照射野の一致
答え
5.光照射野と放射線照射野の一致
解説
正答
5.光照射野と放射線照射野の一致
問題のポイント
直線加速器〈リニアック〉の品質管理項目は、大きく分けると、
- 線量に関する管理
- 幾何学的位置に関する管理
- 安全機構に関する管理
に整理できます。
この問題で問われているのは「幾何学的管理項目」です。
幾何学的管理とは、照射野、位置、距離、回転中心、レーザ、寝台、コリメータなどが正しい位置関係になっているかを確認する管理です。
なぜ5が正しいか
外部放射線治療では、患者の体表に見える光照射野を目印として、実際に放射線が照射される範囲を確認します。
そのため、
光照射野 = 目で確認できる照射範囲
放射線照射野 = 実際に放射線が出る範囲
が一致している必要があります。
もし光照射野と放射線照射野がずれていると、予定した腫瘍範囲に正しく照射できなかったり、正常組織へ余分に照射されたりする危険があります。
したがって、「光照射野と放射線照射野の一致」は、照射位置や照射範囲の正確さを確認する幾何学的管理項目です。
他の選択肢との区別
1.MU値直線性
誤りです。
MU値を変えたときに、出力線量が比例して変化するかを確認する項目です。
これは線量出力に関する管理であり、幾何学的管理ではありません。
2.X線出力係数
誤りです。
照射野サイズなどによってX線出力がどのように変化するかを示す係数です。
線量計算や治療計画に関係する線量管理項目であり、幾何学的管理ではありません。
3.物理ウェッジ係数
誤りです。
物理ウェッジを挿入したときに、線量がどの程度変化するかを示す係数です。
ウェッジによる線量減弱を評価する線量管理項目です。
4.絶対線量の出力不変性
誤りです。
基準条件で測定したリニアックの出力線量が、日々または定期的に一定に保たれているかを確認する項目です。
これは重要な線量管理ですが、幾何学的管理ではありません。
5.光照射野と放射線照射野の一致
正しいです。
目で確認する光照射野と、実際に放射線が照射される範囲の一致を確認するため、幾何学的管理項目です。
覚えるポイント
幾何学的管理は「位置や形が合っているか」を見る管理です。
代表例:
- 光照射野と放射線照射野の一致
- レーザ位置の確認
- アイソセンタの確認
- ガントリ・コリメータ・寝台回転中心の確認
- SSD表示や距離計の確認
- MLCやコリメータ開度の位置精度
一方、線量管理は「どれだけ線量が出ているか」を見る管理です。
代表例:
- MU値直線性
- 出力係数
- ウェッジ係数
- 絶対線量の出力不変性
本問では、位置・照射野の一致を確認する 5.光照射野と放射線照射野の一致 が幾何学的管理項目なので正答です。
78AM28問題・解答・解説
問題文
[78AM28] 水ファントム中の深さ方向における 10 MV X 線の等線量曲線を別に示す。図の等線量曲線はどれか。
選択肢
- 1.60Coγ 線
- 2.4 MV X 線
- 3.15 MeV 電子線
- 4.250 MeV 炭素線
- 5.250 MeV 陽子線
答え
3.15 MeV 電子線
解説
正答
3.15 MeV 電子線
画像の見方
提示図は、水ファントム中での等線量曲線を示しています。
左側のカラーバーは相対線量を表し、赤い領域ほど高線量、青い領域ほど低線量です。
図にはAとBの線量分布が示されています。
Aは深部方向へ比較的広く線量が分布しており、高エネルギーX線のように深部まで線量が届く形です。
一方、Bは浅い深さに高線量域が集中し、ある深さを過ぎると線量が急激に低下しています。
これは電子線の等線量曲線に特徴的な形です。
なぜ15 MeV電子線か
電子線は、X線やγ線と異なり、体内での飛程が限られています。
そのため電子線の線量分布では、
- 表面近くから比較的高い線量を示す
- ある深さまでは治療に有効な線量が得られる
- 一定の深さを超えると線量が急激に低下する
- 深部臓器への線量を抑えやすい
という特徴があります。
提示図のBでは、高線量域が浅部に限局しており、深部側で急に線量が落ちています。
これは「有限の飛程をもつ電子線」の典型的な分布です。
15 MeV電子線は、数cm程度の深さまで治療に有効な線量を与え、その奥では線量が急激に減少します。
したがって、図の等線量曲線は15 MeV電子線に一致します。
他の選択肢との区別
1.60Coγ線
誤りです。
60Coγ線は光子線であり、深部まで線量が連続的に届きます。
電子線のように、ある深さで急激に線量が消失する分布にはなりません。
2.4 MV X線
誤りです。
4 MV X線も光子線です。
体表近くでビルドアップした後、深さとともに徐々に線量が減少します。
図Bのような浅部限局性と急激な遠位線量低下は、X線より電子線に合います。
3.15 MeV電子線
正しいです。
電子線は有限の飛程をもち、浅部病変の治療に向いています。
図Bのように浅い領域に高線量が集中し、深部で急激に線量が低下する分布を示します。
4.250 MeV炭素線
誤りです。
炭素線は重粒子線で、飛程終端付近にBraggピークを作ります。
高線量域は深部の標的に集中し、電子線のような浅部中心の分布とは異なります。
5.250 MeV陽子線
誤りです。
陽子線もBraggピークを示し、深部の一定位置に高線量を集中させる粒子線です。
図Bのような電子線特有の浅部高線量・急激な深部減衰とは異なります。
覚えるポイント
等線量曲線は、放射線の種類ごとの深部線量分布で見分けます。
- X線・γ線:深部まで届き、線量は徐々に減少する
- 電子線:浅部に高線量、一定深さで急激に低下する
- 陽子線・炭素線:Braggピークにより深部の標的に線量を集中する
本問では、図Bのように浅部に高線量域があり、深部で急激に線量が低下しているため、15 MeV電子線が正答です。
78AM29問題・解答・解説
問題文
[78AM29] MLC の構造とビームの通過位置を別に示す。 MLC の透過線量を示す用語の組合せで正しいのはどれか。 AーーーーB
選択肢
- 1.inter-leaf transmissionーーーーleaf end transmission
- 2.inter-leaf transmissionーーーーintra-leaf transmission
- 3.intra-leaf transmissionーーーーleaf end transmission
- 4.intra-leaf transmissionーーーーinter-leaf transmission
- 5.leaf end transmissionーーーーintra-leaf transmission
答え
4.intra-leaf transmissionーーーーinter-leaf transmission
解説
正答
4.intra-leaf transmissionーーーーinter-leaf transmission
画像の見方
提示図は、MLC〈multi-leaf collimator:多分割絞り〉のリーフ構造と、ビームが通過する位置を示しています。
赤い矢印Aは、リーフ本体の内部を通過する位置を示しています。
赤い矢印Bは、隣り合うリーフとリーフのすき間付近を通過する位置を示しています。
したがって、
- A:intra-leaf transmission
- B:inter-leaf transmission
となります。
なぜAはintra-leaf transmissionか
intra-leaf transmission は、1枚のリーフ本体を透過してくる漏洩線量のことです。
MLCのリーフはタングステン合金などの高密度材料で作られていますが、完全に放射線を遮蔽できるわけではありません。
そのため、リーフの厚い部分を通っても、わずかな放射線が透過します。
図のAは、リーフとリーフのすき間ではなく、リーフ本体の中を通る位置を示しています。
そのため、Aは intra-leaf transmission です。
なぜBはinter-leaf transmissionか
inter-leaf transmission は、隣り合うリーフの間から漏れる線量のことです。
MLCは多数の細いリーフを並べて照射野を形成します。
隣接するリーフ同士の間には、機械的に動くためのわずかなすき間があります。
このすき間から漏れる放射線が inter-leaf transmission です。
図のBは、リーフ本体の内部ではなく、隣り合うリーフの境界部を通る位置を示しています。
そのため、Bは inter-leaf transmission です。
他の用語との区別
intra-leaf transmission
リーフ本体を透過する線量です。
「intra」は「内部」という意味なので、リーフの中を透過すると考えます。
inter-leaf transmission
隣接するリーフ間のすき間から漏れる線量です。
「inter」は「間」という意味なので、リーフとリーフの間から漏れると考えます。
leaf end transmission
リーフ先端部、つまりリーフエンドを通過・透過する線量です。
リーフ先端は丸みを帯びた構造になっていることがあり、その部分で透過線量や半影が問題になります。
本図では、Bはリーフ先端ではなく、隣接リーフ間の境界を示しているため、leaf end transmission ではありません。
選択肢の判定
1.inter-leaf transmissionーーーーleaf end transmission
誤りです。Aはリーフ間ではなくリーフ本体内なので、inter-leaf transmissionではありません。
2.inter-leaf transmissionーーーーintra-leaf transmission
誤りです。AとBが逆です。
3.intra-leaf transmissionーーーーleaf end transmission
誤りです。Aは正しいですが、Bはリーフ間の透過なのでleaf end transmissionではありません。
4.intra-leaf transmissionーーーーinter-leaf transmission
正しいです。Aはリーフ本体を透過する線量、Bは隣接リーフ間から漏れる線量です。
5.leaf end transmissionーーーーintra-leaf transmission
誤りです。Aはリーフ先端ではなくリーフ本体内、Bはリーフ本体内ではなくリーフ間です。
覚えるポイント
MLCの透過線量は、ビームがどこを通るかで名前が変わります。
- intra-leaf transmission:リーフ本体を透過
- inter-leaf transmission:隣接リーフ間から漏れる
- leaf end transmission:リーフ先端部を透過
本問では、Aはリーフ本体内、Bはリーフ間を示しているため、正答は 4 です。
78AM30問題・解答・解説
問題文
[78AM30] 密封小線源治療の対象となるのはどれか。 2 つ選べ。
選択肢
- 1.喉頭癌
- 2.卵巣癌
- 3.子宮頸癌
- 4.前立腺癌
- 5.悪性リンパ腫
答え
3.子宮頸癌 4.前立腺癌
解説
正答
3.子宮頸癌
4.前立腺癌
問題のポイント
密封小線源治療は、放射性同位元素を密封した小さな線源を、腫瘍の近く、または腫瘍内に配置して照射する治療法です。
体外から照射する外部照射と異なり、線源を病変のすぐ近くに置けるため、腫瘍に高線量を集中し、周囲正常組織の線量を抑えやすいという特徴があります。
代表的な対象は、
- 子宮頸癌:腔内照射
- 前立腺癌:永久挿入小線源治療、または高線量率組織内照射
です。
なぜ子宮頸癌が正しいか
子宮頸癌では、外部照射に加えて、腔内照射による密封小線源治療が重要です。
腔内照射では、子宮腔や腟内にアプリケータを挿入し、線源を腫瘍近くに配置します。
これにより、子宮頸部の病変に高線量を集中できます。
子宮頸癌の根治的放射線治療では、外部照射と小線源治療を組み合わせることが多いため、3.子宮頸癌は正しいです。
なぜ前立腺癌が正しいか
前立腺癌では、密封小線源を前立腺内に挿入する治療が行われます。
代表的には、
- 125Iシードを用いる永久挿入治療
- 192Irなどを用いる高線量率組織内照射
があります。
前立腺は比較的限局した臓器であり、線源を前立腺内に配置することで、病変部へ高線量を与えながら、周囲の直腸や膀胱への線量を抑えることができます。
したがって、4.前立腺癌も正しいです。
他の選択肢との区別
1.喉頭癌
誤りです。
喉頭癌では、外部放射線治療や手術が主な治療法です。
密封小線源治療の代表的対象としては、子宮頸癌や前立腺癌を選びます。
2.卵巣癌
誤りです。
卵巣癌は腹腔内に広がりやすく、手術や化学療法が治療の中心になります。
密封小線源を局所に配置して治療する代表的疾患ではありません。
3.子宮頸癌
正しいです。
子宮頸癌では、腔内照射による密封小線源治療が重要です。
4.前立腺癌
正しいです。
前立腺癌では、125Iシードなどを用いた小線源治療が行われます。
5.悪性リンパ腫
誤りです。
悪性リンパ腫は全身性疾患として扱うことが多く、化学療法や免疫療法、必要に応じた外部照射が中心です。
密封小線源治療の代表的対象ではありません。
覚えるポイント
密封小線源治療の代表例は、まず次の2つを押さえます。
- 子宮頸癌:腔内照射
- 前立腺癌:125Iシードなどの組織内照射
「線源を病変の近く、または病変内に置ける疾患」が小線源治療に向いています。
本問では、密封小線源治療の代表的対象である子宮頸癌と前立腺癌が正答です。
78AM31問題・解答・解説
問題文
[78AM31] 人工ニューラルネットワークの学習過程で各層の重みを出力層側からたどって 調整する方法はどれか。
選択肢
- 1.線形判別分析
- 2.ランダムフォレスト
- 3.ロジスティック回帰
- 4.サポートベクターマシン
- 5.バックプロパゲーション
答え
5.バックプロパゲーション
解説
正答
5.バックプロパゲーション
問題のポイント
人工ニューラルネットワークでは、入力データが入力層から中間層を通り、最後に出力層で予測結果が得られます。
学習では、まず出力結果と正解データを比較し、誤差を求めます。
その誤差を出力層側から入力層側へ逆向きに伝えながら、各層の重みを調整します。
この方法をバックプロパゲーション、つまり誤差逆伝播法といいます。
なぜバックプロパゲーションが正しいか
ニューラルネットワークでは、各ニューロン間の結合に「重み」があります。
この重みによって、入力信号がどの程度次の層へ伝わるかが決まります。
学習の流れは次のようになります。
1.入力データをネットワークに入れる
2.出力層で予測結果を得る
3.予測結果と正解との差、つまり誤差を計算する
4.誤差を出力層側から前の層へ順に伝える
5.各層の重みを少しずつ修正する
この「出力層側からたどって重みを調整する」方法がバックプロパゲーションです。
したがって、5.バックプロパゲーションが正しいです。
他の選択肢との区別
1.線形判別分析
誤りです。
線形判別分析は、データを分類するための統計的手法です。
クラス間の分離がよくなるような線形境界を求めますが、ニューラルネットワークの重みを出力層側から逆向きに調整する方法ではありません。
2.ランダムフォレスト
誤りです。
ランダムフォレストは、多数の決定木を組み合わせて分類や回帰を行う機械学習手法です。
ニューラルネットワークの誤差逆伝播とは別の方法です。
3.ロジスティック回帰
誤りです。
ロジスティック回帰は、二値分類などに用いられる統計的・機械学習モデルです。
出力を確率として表すことができますが、多層ニューラルネットワークの各層の重みを逆向きに更新する方法そのものではありません。
4.サポートベクターマシン
誤りです。
サポートベクターマシンは、クラスを分ける境界を最大マージンで決定する分類手法です。
ニューラルネットワークの重み調整法ではありません。
5.バックプロパゲーション
正しいです。
出力層で求めた誤差を入力層方向へ逆向きに伝え、各層の重みを更新する学習方法です。
覚えるポイント
人工ニューラルネットワークの学習では、
- 順伝播:入力層から出力層へ信号を流して予測する
- 誤差計算:予測値と正解値の差を求める
- 逆伝播:出力層から入力層方向へ誤差を伝える
- 重み更新:誤差が小さくなるように各層の重みを調整する
という流れになります。
「出力層側からたどって重みを調整する」ときたら、バックプロパゲーションと覚えます。
本問では、ニューラルネットワークの誤差逆伝播法を問うているため、正答は5です。
78AM32問題・解答・解説
問題文
[78AM32] 5 × 5 の画素値の分布 A を図に示す。 縦方向に平行投影で MIP 処理を行った後の投影数列で正しいのはどれか。
選択肢
- 1.0 1 2 2 1
- 2.3 4 5 3 4
- 3.6 8 7 4 6
- 4.8 7 6 6 5
- 5.15 20 25 15 20
答え
3.6 8 7 4 6
解説
正答
3.6 8 7 4 6
問題のポイント
MIPは Maximum Intensity Projection の略で、最大値投影法と呼ばれます。
投影方向に沿って並んでいる画素値の中から、最も大きい値だけを取り出して投影画像を作る方法です。
本問では「縦方向に平行投影」とあるため、各列ごとに縦方向、つまり i 方向に画素値を見ていき、その列の最大値を求めます。
画素値の分布
図の5×5の画素値は、行 i、列 j として次のように並んでいます。
j = 1:2,6,4,3,0
j = 2:8,1,6,2,3
j = 3:5,7,2,6,5
j = 4:3,2,4,3,3
j = 5:5,4,6,1,4
縦方向にMIP処理を行うので、それぞれの列で最大値を選びます。
各列の最大値
j = 1
2,6,4,3,0 の最大値は 6 です。
j = 2
8,1,6,2,3 の最大値は 8 です。
j = 3
5,7,2,6,5 の最大値は 7 です。
j = 4
3,2,4,3,3 の最大値は 4 です。
j = 5
5,4,6,1,4 の最大値は 6 です。
したがって、投影数列は、
6 8 7 4 6
となります。
他の選択肢との区別
1.0 1 2 2 1
誤りです。
各列の最小値に近い並びであり、最大値を選ぶMIP処理ではありません。
2.3 4 5 3 4
誤りです。
平均値や代表値のような並びですが、MIPでは各列の最大値を選びます。
3.6 8 7 4 6
正しいです。
各列を縦方向に見たときの最大値を並べたものです。
4.8 7 6 6 5
誤りです。
これは各行を横方向に見たときの最大値です。
本問は「縦方向に平行投影」なので、列ごとに最大値を求めます。
5.15 20 25 15 20
誤りです。
これは各列の和です。
MIPは加算処理ではなく、最大値を選ぶ処理です。
覚えるポイント
MIP処理では、投影方向に並ぶ画素値のうち最大値を選びます。
- MIP:最大値を選ぶ
- MinIP:最小値を選ぶ
- 加算投影:値を足し合わせる
- 平均投影:平均値を求める
本問では、縦方向に投影するため、各列の最大値を取り出します。
よって、投影数列は 6 8 7 4 6 となり、正答は3です。
78AM33問題・解答・解説
問題文
[78AM33] Web サイトに短時間で大量のアクセスを集中させてサービスを停止させるのは どれか。
選択肢
- 1.DoS 攻撃
- 2.標的型攻撃
- 3.フィッシング
- 4.ランサムウェア
- 5.SQL インジェクション攻撃
答え
1.DoS 攻撃
解説
正答
1.DoS攻撃
問題のポイント
Webサイトやサーバに対して、短時間に大量の通信やアクセスを送りつけ、正常なサービス提供を妨害する攻撃をDoS攻撃といいます。
DoSは Denial of Service の略で、日本語ではサービス拒否攻撃と呼ばれます。
なぜDoS攻撃が正しいか
Webサイトは、同時に処理できるアクセス数や通信量に限界があります。
DoS攻撃では、攻撃者が大量のリクエストや不正な通信を送り、サーバやネットワークに過大な負荷をかけます。
その結果、
- Webページが表示されない
- 通信が極端に遅くなる
- サーバが応答不能になる
- 正規利用者がサービスを使えなくなる
といった状態になります。
したがって、「Webサイトに短時間で大量のアクセスを集中させてサービスを停止させる」攻撃はDoS攻撃です。
他の選択肢との区別
1.DoS攻撃
正しいです。
大量アクセスや大量通信によってサービス提供を妨害する攻撃です。
複数の端末から一斉に行うものはDDoS攻撃と呼ばれます。
2.標的型攻撃
誤りです。
特定の組織や個人を狙って、メール、添付ファイル、不正サイトなどを使って侵入する攻撃です。
大量アクセスでサーバを停止させる攻撃そのものではありません。
3.フィッシング
誤りです。
偽のWebサイトやメールを使って、ID、パスワード、クレジットカード情報などを盗み取る攻撃です。
サービス停止を目的とする攻撃ではありません。
4.ランサムウェア
誤りです。
感染した端末やサーバ内のファイルを暗号化し、復旧のために身代金を要求する不正プログラムです。
大量アクセスを集中させる攻撃ではありません。
5.SQLインジェクション攻撃
誤りです。
Webアプリケーションの入力欄などに不正なSQL文を入れて、データベースを不正操作する攻撃です。
情報漏えいやデータ改ざんの原因になりますが、本問の説明とは異なります。
覚えるポイント
代表的なサイバー攻撃は、目的で整理すると覚えやすいです。
- DoS攻撃:大量アクセスでサービス停止
- 標的型攻撃:特定組織を狙って侵入
- フィッシング:偽サイトなどで認証情報を盗む
- ランサムウェア:ファイルを暗号化して身代金を要求
- SQLインジェクション:データベースを不正操作
本問では、短時間で大量のアクセスを集中させてサービスを停止させるため、正答は1.DoS攻撃です。
78AM34問題・解答・解説
問題文
[78AM34] 放射線情報システムから撮影装置に対して患者の検査に必要な情報を提供するた めに用いられる DICOM の機能(サービスクラス)はどれか。
選択肢
- 1.storage
- 2.verification
- 3.query and retrieve〈Q/R〉
- 4.modality worklist management〈MWM〉
- 5.modality performed procedure step〈MPPS〉
答え
4.modality worklist management〈MWM〉
解説
正答
4.modality worklist management〈MWM〉
問題のポイント
DICOMには、画像を保存する機能だけでなく、検査情報をやり取りするための機能もあります。
本問では、「放射線情報システム〈RIS〉から撮影装置に対して、患者の検査に必要な情報を提供する機能」を問うています。
この機能が、modality worklist management〈MWM〉です。
なぜMWMが正しいか
撮影装置では、検査前に患者情報や検査情報を入力する必要があります。
例えば、
- 患者ID
- 患者氏名
- 生年月日
- 性別
- 検査部位
- 検査種別
- 予約日時
- 依頼医師
- 撮影プロトコルに関係する情報
などです。
MWMを使うと、撮影装置がRISやHISから検査予定情報を取得できます。
これにより、撮影装置側で手入力する手間が減り、患者取り違えや入力ミスの防止につながります。
したがって、放射線情報システムから撮影装置へ検査に必要な情報を提供するDICOM機能は、4.MWMです。
他の選択肢との区別
1.storage
誤りです。
DICOM Storageは、画像データをPACSなどへ送信・保存するための機能です。
検査予定情報を撮影装置へ提供する機能ではありません。
2.verification
誤りです。
DICOM Verificationは、通信相手とDICOM接続できるかを確認する機能です。
いわゆるDICOM通信の疎通確認で、C-ECHOに相当します。
3.query and retrieve〈Q/R〉
誤りです。
Query/Retrieveは、PACSなどに保存されている過去画像を検索し、取得する機能です。
撮影前の検査予定情報を撮影装置へ渡す機能ではありません。
4.modality worklist management〈MWM〉
正しいです。
RISなどから撮影装置へ、患者情報や検査予定情報を提供する機能です。
5.modality performed procedure step〈MPPS〉
誤りです。
MPPSは、撮影装置からRISやPACSへ、検査の開始・終了・実施内容などを通知する機能です。
検査後の実施情報の連携に関係します。
覚えるポイント
DICOMサービスクラスは、役割で整理します。
- MWM:RISから撮影装置へ検査予定情報を渡す
- MPPS:撮影装置からRIS/PACSへ検査実施情報を返す
- Storage:画像を保存・転送する
- Verification:通信確認
- Q/R:保存済み画像を検索・取得する
本問では、撮影装置に患者・検査情報を提供する機能なので、正答は4.MWMです。
78AM35問題・解答・解説
問題文
[78AM35] 画像診断用ディスプレイの評価で階調ごとの輝度の実測値と理論値の差によって 求められるのはどれか。
選択肢
- 1.解像度
- 2.輝度比
- 3.最大輝度
- 4.輝度均一性
- 5.コントラスト応答
答え
5.コントラスト応答
解説
正答
5.コントラスト応答
問題のポイント
画像診断用ディスプレイでは、階調が正しく表示されているかを評価することが重要です。
医用画像では、わずかな濃度差や輝度差が診断に関わるため、ディスプレイが設定された階調特性どおりに表示できているかを確認します。
このとき、階調ごとの輝度の実測値と理論値との差から評価するのがコントラスト応答です。
なぜコントラスト応答が正しいか
画像診断用ディスプレイでは、DICOM GSDF〈Grayscale Standard Display Function〉に基づいて、階調ごとの輝度が適切に表示されるように管理します。
コントラスト応答では、複数の階調パターンを表示し、それぞれの輝度を実測します。
その実測値が理論的に期待される輝度変化とどの程度一致しているかを評価します。
つまり、
- 低階調から高階調まで
- 各階調での輝度を測定し
- 理論値とのずれを確認する
という評価です。
したがって、階調ごとの輝度の実測値と理論値の差によって求められるものは、5.コントラスト応答です。
他の選択肢との区別
1.解像度
誤りです。
解像度は、細かい線やパターンをどの程度識別できるかを表します。
画素数、表示ピッチ、空間的な分解能に関係し、階調ごとの輝度差から求めるものではありません。
2.輝度比
誤りです。
輝度比は、最大輝度と最小輝度の比を表します。
ディスプレイの明暗の幅を示す指標ですが、階調ごとの実測値と理論値の差を評価するものではありません。
3.最大輝度
誤りです。
最大輝度は、ディスプレイが表示できる最も高い輝度です。
白表示などで測定しますが、階調ごとの理論値との差を評価する項目ではありません。
4.輝度均一性
誤りです。
輝度均一性は、画面内の位置によって輝度がどれくらい均一かを評価する項目です。
中央と周辺部などの輝度差を確認します。
5.コントラスト応答
正しいです。
階調ごとの輝度の実測値と理論値の差から、階調表示の正確さを評価します。
覚えるポイント
ディスプレイ評価は、何を測っているかで見分けます。
- 解像度:細かい構造の見え方
- 輝度比:最大輝度と最小輝度の比
- 最大輝度:最も明るい表示の輝度
- 輝度均一性:画面内の場所による輝度差
- コントラスト応答:階調ごとの輝度が理論どおりか
本問では、階調ごとの輝度の実測値と理論値の差を評価しているため、正答は5.コントラスト応答です。
78AM36問題・解答・解説
問題文
[78AM36] 医療事故の防止対策で正しいのはどれか。
選択肢
- 1.ヒヤリハット事例の隠匿
- 2.注意力を高めるための訓練
- 3.インシデント報告に対する処罰
- 4.過誤を起こしにくい器具の採用
- 5.性格適性検査に基づく配置転換
答え
4.過誤を起こしにくい器具の採用
解説
正答
4.過誤を起こしにくい器具の採用
問題のポイント
医療事故防止では、「人がもっと注意する」だけに頼る対策では不十分です。
人間は疲労、思い込み、忙しさ、確認漏れなどによってミスを起こすことがあります。
そのため、医療安全では、ミスが起こりにくい仕組みや、ミスが起こっても重大事故につながりにくい仕組みを作ることが重要です。
なぜ4が正しいか
過誤を起こしにくい器具を採用することは、ヒューマンエラー対策として有効です。
例えば、
- 誤接続できない形状のコネクタ
- 投与量を設定しやすいシリンジポンプ
- 警告表示が出る装置
- 左右間違いを防ぐ表示
- 使用手順がわかりやすい器具
などです。
このような器具や仕組みは、個人の注意力だけに頼らず、システムとしてエラーを防ぎます。
したがって、4.過誤を起こしにくい器具の採用、が正しいです。
他の選択肢との区別
1.ヒヤリハット事例の隠匿
誤りです。
ヒヤリハットは、事故には至らなかったものの危険があった事例です。
隠すのではなく、共有・分析して再発防止に活かすことが重要です。
2.注意力を高めるための訓練
誤りです。
教育や訓練は必要ですが、注意力だけに依存する対策は効果が限定的です。
医療安全では、注意しなくても間違いにくい仕組みを作ることが重要です。
3.インシデント報告に対する処罰
誤りです。
報告した人を処罰すると、インシデントが報告されにくくなり、危険要因が組織内に残ります。
医療安全では、非懲罰的な報告文化が重要です。
4.過誤を起こしにくい器具の採用
正しいです。
エラーを起こしにくい設計、いわゆるフールプルーフやフェイルセーフの考え方に基づく対策です。
5.性格適性検査に基づく配置転換
誤りです。
個人の性格だけを原因として扱うと、システム上の問題が見逃されます。
医療事故防止では、個人を責めるよりも業務手順や環境の改善が重要です。
覚えるポイント
医療事故防止では、個人の努力だけに頼らず、システムで防ぐことが大切です。
有効な対策:
- ヒヤリハットの共有
- インシデント報告の活用
- 作業手順の標準化
- ダブルチェック
- 誤使用しにくい器具の採用
- フールプルーフ、フェイルセーフ設計
避けるべき対策:
- 隠匿
- 報告者の処罰
- 注意力だけに頼る
- 個人の性格だけを問題にする
本問では、システムとしてエラーを防ぐ 4.過誤を起こしにくい器具の採用 が正答です。
78AM37問題・解答・解説
問題文
[78AM37] ショックの原因と初期治療の組合せで正しいのはどれか。
選択肢
- 1.敗血症抗血小板薬
- 2.緊張性気胸胸腔穿刺
- 3.急性心筋梗塞副腎皮質ホルモン剤
- 4.大動脈瘤破裂抗凝固薬
- 5.アナフィラキシー硫酸アトロピン
答え
2.緊張性気胸胸腔穿刺
解説
正答
2.緊張性気胸 胸腔穿刺
問題のポイント
ショックとは、全身の臓器に十分な血流や酸素が届かなくなった危険な状態です。
原因によって初期治療が大きく異なるため、
- 何が原因でショックになっているか
- まず何を解除・補正すべきか
を判断する必要があります。
なぜ緊張性気胸には胸腔穿刺が正しいか
緊張性気胸では、胸腔内に空気がたまり続け、肺がつぶれ、さらに心臓や大血管が圧迫されます。
その結果、
- 静脈還流が低下する
- 心拍出量が低下する
- 血圧が低下する
- ショック状態になる
という流れになります。
緊張性気胸は、胸腔内圧をすぐに下げる必要がある緊急疾患です。
初期治療として、胸腔穿刺による脱気を行い、その後に胸腔ドレナージを行います。
したがって、2.緊張性気胸 胸腔穿刺、が正しい組合せです。
他の選択肢との区別
1.敗血症 抗血小板薬
誤りです。
敗血症性ショックでは、感染に対する治療が重要です。
初期治療は、輸液、抗菌薬投与、感染源コントロール、必要に応じた昇圧薬などです。
抗血小板薬は初期治療の中心ではありません。
2.緊張性気胸 胸腔穿刺
正しいです。
胸腔内にたまった空気を緊急に抜き、心肺への圧迫を解除します。
3.急性心筋梗塞 副腎皮質ホルモン剤
誤りです。
急性心筋梗塞によるショックでは、冠動脈の再灌流、循環管理、酸素投与、薬物療法などが重要です。
副腎皮質ホルモン剤は初期治療の中心ではありません。
4.大動脈瘤破裂 抗凝固薬
誤りです。
大動脈瘤破裂は大量出血によるショックを起こします。
初期対応は緊急手術や血管内治療、輸血、循環管理です。
抗凝固薬は出血を悪化させる可能性があり不適切です。
5.アナフィラキシー 硫酸アトロピン
誤りです。
アナフィラキシーショックの第一選択はアドレナリンです。
硫酸アトロピンは徐脈などに用いられる薬剤で、アナフィラキシーの初期治療の中心ではありません。
覚えるポイント
ショックの初期治療は、原因とセットで覚えます。
- 敗血症性ショック:輸液、抗菌薬、感染源コントロール、昇圧薬
- 緊張性気胸:胸腔穿刺、胸腔ドレナージ
- 急性心筋梗塞:冠動脈再灌流、循環管理
- 大動脈瘤破裂:緊急手術・血管内治療、輸血
- アナフィラキシー:アドレナリン
本問では、緊張性気胸に対して胸腔穿刺を行う組合せが正しいため、正答は2です。
78AM38問題・解答・解説
問題文
[78AM38] ヨード造影剤の血管内投与の禁忌で正しいのはどれか。 2 つ選べ。
選択肢
- 1.小児
- 2.妊婦
- 3.腸閉塞
- 4.重篤な甲状腺疾患
- 5.ヨード過敏症の既往歴
答え
4.重篤な甲状腺疾患 5.ヨード過敏症の既往歴
解説
正答
4.重篤な甲状腺疾患
5.ヨード過敏症の既往歴
問題のポイント
ヨード造影剤を血管内投与する場合、造影剤による副作用や病態悪化の危険がある患者では、禁忌や慎重投与を確認する必要があります。
本問では、血管内投与の禁忌として正しいものを2つ選びます。
なぜ重篤な甲状腺疾患が禁忌か
ヨード造影剤には多量のヨードが含まれます。
甲状腺はヨードを利用して甲状腺ホルモンを作るため、重篤な甲状腺疾患がある患者では、ヨード負荷によって甲状腺機能が悪化する可能性があります。
特に重篤な甲状腺機能亢進症では、甲状腺クリーゼなどの危険も考慮されます。
したがって、4.重篤な甲状腺疾患は禁忌として扱われます。
なぜヨード過敏症の既往歴が禁忌か
過去にヨード造影剤で重い過敏反応を起こした患者では、再投与によって同様またはそれ以上の反応が起こる可能性があります。
造影剤による過敏反応には、
- 蕁麻疹
- 呼吸困難
- 血圧低下
- アナフィラキシー
- ショック
などがあります。
そのため、ヨード造影剤に対する過敏症の既往がある場合、血管内投与の禁忌として扱われます。
したがって、5.ヨード過敏症の既往歴も正しいです。
他の選択肢との区別
1.小児
誤りです。
小児であること自体は、ヨード造影剤血管内投与の禁忌ではありません。
必要性、体重に応じた投与量、腎機能、アレルギー歴などを確認して使用します。
2.妊婦
誤りです。
妊娠中は放射線被ばくや薬剤使用に注意が必要ですが、妊婦であることだけでヨード造影剤の血管内投与が絶対禁忌になるわけではありません。
検査の必要性とリスクを慎重に判断します。
3.腸閉塞
誤りです。
腸閉塞は消化管造影や経口造影剤の使用では重要な注意点になります。
しかし、本問は「血管内投与」の禁忌を問うているため、腸閉塞は該当しません。
4.重篤な甲状腺疾患
正しいです。
ヨード負荷により甲状腺機能が悪化する危険があるため、禁忌として扱われます。
5.ヨード過敏症の既往歴
正しいです。
過去に重篤な過敏反応を起こしている場合、再投与で重い副作用が起こる可能性があります。
覚えるポイント
ヨード造影剤の血管内投与で特に注意する代表例は、
- ヨード造影剤過敏症の既往
- 重篤な甲状腺疾患
- 腎機能障害
- 気管支喘息
- 重篤な心疾患
- 脱水
- ビグアナイド系糖尿病薬の使用
などです。
このうち、禁忌として問われやすいのは、
- 重篤な甲状腺疾患
- ヨード過敏症の既往歴
です。
本問では、正答は4と5です。
78AM39問題・解答・解説
問題文
[78AM39] MRI における安全性で正しいのはどれか。
選択肢
- 1.緊急時の救命処置は検査室内で行う。
- 2.人体の発熱は主に傾斜磁場によって生じる。
- 3.胎児や乳児に対する安全性は確立されている。
- 4.導電性ワイヤーを内在したカテーテルは、発熱の原因となる。
- 5.条件つき MRI 対応ペースメーカは、撮影条件を遵守すればすべての施設で 検査が可能である。
答え
4.導電性ワイヤーを内在したカテーテルは、発熱の原因となる。
解説
正答
4.導電性ワイヤーを内在したカテーテルは、発熱の原因となる。
問題のポイント
MRIでは、強い静磁場、傾斜磁場、RFパルスを使用します。
そのため、金属の吸着、発熱、末梢神経刺激、騒音、体内デバイスの誤作動などに注意が必要です。
本問では、MRI検査中に生じる発熱の原因と、安全管理の基本を理解しているかが問われています。
なぜ4が正しいか
導電性ワイヤーを内在したカテーテルやリード線などは、MRI中のRFパルスによって誘導電流が生じることがあります。
誘導電流が発生すると、ワイヤーやその周囲で局所的な発熱が起こり、熱傷の原因になります。
特に、体内に長い導電性構造物がある場合や、ループ状になっている場合は注意が必要です。
したがって、4.導電性ワイヤーを内在したカテーテルは、発熱の原因となる、が正しいです。
他の選択肢との区別
1.緊急時の救命処置は検査室内で行う。
誤りです。
MRI検査室内には強い静磁場があるため、一般の救急カート、酸素ボンベ、除細動器などを持ち込むと吸着事故の危険があります。
緊急時は、原則として患者をMRI検査室外へ搬出し、安全な場所で救命処置を行います。
2.人体の発熱は主に傾斜磁場によって生じる。
誤りです。
MRIでの人体の発熱は、主にRFパルスによる高周波エネルギー吸収によって生じます。
この発熱の指標がSAR〈specific absorption rate:比吸収率〉です。
傾斜磁場は主に末梢神経刺激や騒音に関係します。
3.胎児や乳児に対する安全性は確立されている。
誤りです。
MRIは電離放射線を用いない検査ですが、胎児や乳児に対して「安全性が完全に確立されている」とは言い切れません。
検査の必要性、撮像条件、妊娠週数、鎮静の有無などを慎重に判断します。
4.導電性ワイヤーを内在したカテーテルは、発熱の原因となる。
正しいです。
導電性ワイヤーやリード線では、RFによる誘導電流が発生し、局所発熱や熱傷の原因になることがあります。
5.条件つきMRI対応ペースメーカは、撮影条件を遵守すればすべての施設で検査が可能である。
誤りです。
条件つきMRI対応ペースメーカであっても、装置条件、撮像条件、デバイス設定、患者監視、循環器医や臨床工学技士との連携などが必要です。
条件を満たす施設・体制でのみ検査が可能であり、すべての施設で可能というわけではありません。
覚えるポイント
MRI安全管理では、次のように整理します。
- RFパルス:発熱、SAR上昇
- 傾斜磁場:末梢神経刺激、騒音
- 静磁場:金属吸着、体内金属・デバイスへの影響
- 導電性ワイヤー:誘導電流による発熱
- 緊急時:原則としてMRI室外へ搬出して対応
本問では、導電性ワイヤーを内在したカテーテルが発熱の原因となるため、正答は4です。
78AM40問題・解答・解説
問題文
[78AM40] 細胞のエネルギー産生に最も深く関わるのはどれか。
選択肢
- 1.核
- 2.小胞体
- 3.リボソーム
- 4.ミトコンドリア
- 5.Golgi〈ゴルジ〉体
答え
4.ミトコンドリア
解説
正答
4.ミトコンドリア
問題のポイント
細胞内には、それぞれ役割の異なる細胞小器官があります。
この問題では、細胞のエネルギー産生、特にATP産生に最も深く関わる細胞小器官を選びます。
なぜミトコンドリアが正しいか
ミトコンドリアは、細胞のエネルギー工場とも呼ばれます。
ミトコンドリアでは、
- クエン酸回路
- 電子伝達系
- 酸化的リン酸化
が行われ、細胞が利用するエネルギーであるATPが効率よく産生されます。
特に酸素を使ってATPを作る好気的エネルギー代謝では、ミトコンドリアが中心的な役割を担います。
したがって、細胞のエネルギー産生に最も深く関わるのは、4.ミトコンドリアです。
他の選択肢との区別
1.核
誤りです。
核はDNAを含み、遺伝情報の保存や遺伝子発現の制御に関わります。
エネルギー産生そのものの中心ではありません。
2.小胞体
誤りです。
粗面小胞体はタンパク質合成・輸送、滑面小胞体は脂質合成や解毒、カルシウム貯蔵などに関わります。
ATP産生の中心ではありません。
3.リボソーム
誤りです。
リボソームはタンパク質合成を行う構造です。
mRNAの情報をもとにアミノ酸をつなげてタンパク質を作ります。
4.ミトコンドリア
正しいです。
酸化的リン酸化によってATPを産生する、エネルギー代謝の中心的な細胞小器官です。
5.Golgi〈ゴルジ〉体
誤りです。
ゴルジ体は、タンパク質や脂質の修飾、仕分け、分泌に関わります。
エネルギー産生の中心ではありません。
覚えるポイント
細胞小器官は役割で覚えると整理しやすいです。
- 核:遺伝情報の保存
- リボソーム:タンパク質合成
- 小胞体:タンパク質・脂質の合成や輸送
- ゴルジ体:修飾・仕分け・分泌
- ミトコンドリア:ATP産生
本問では、細胞のエネルギー産生に最も関わるものなので、正答は4.ミトコンドリアです。
78AM41問題・解答・解説
問題文
[78AM41] 左右一対あるのはどれか。 2 つ選べ。
選択肢
- 1.延髄
- 2.視床
- 3.脳梁
- 4.被殻
- 5.下垂体
答え
2.視床 4.被殻
解説
正答
2.視床
4.被殻
問題のポイント
脳の構造には、正中に1つあるものと、左右の大脳半球にそれぞれ1つずつあるものがあります。
本問では、「左右一対ある構造」を2つ選びます。
なぜ視床が正しいか
視床は間脳に含まれる構造で、左右の大脳半球に対応して左右一対存在します。
視床は、感覚情報の中継に重要な役割を持ちます。
嗅覚を除く多くの感覚情報は、視床を経由して大脳皮質へ伝えられます。
したがって、2.視床は左右一対ある構造です。
なぜ被殻が正しいか
被殻は、大脳基底核を構成する構造の1つです。
大脳基底核には、尾状核、被殻、淡蒼球などが含まれ、運動の調節に関わります。
被殻も左右の大脳半球にそれぞれ存在するため、左右一対あります。
したがって、4.被殻も正しいです。
他の選択肢との区別
1.延髄
誤りです。
延髄は脳幹の一部で、橋の下方、脊髄の上方に続く正中構造です。
左右一対の構造として数えるものではありません。
2.視床
正しいです。
間脳にある左右一対の構造です。
3.脳梁
誤りです。
脳梁は左右の大脳半球を連絡する白質線維束です。
正中にある1つの構造であり、左右一対ではありません。
4.被殻
正しいです。
大脳基底核の一部で、左右一対存在します。
5.下垂体
誤りです。
下垂体はトルコ鞍内にある内分泌器官で、正中に1つあります。
左右一対の構造ではありません。
覚えるポイント
左右一対かどうかは、脳画像の読影でも重要です。
左右一対:
- 視床
- 被殻
- 尾状核
- 淡蒼球
- 海馬
正中に1つ:
- 脳梁
- 下垂体
- 延髄
- 橋
- 中脳
本問では、左右一対ある構造は視床と被殻なので、正答は2と4です。
78AM42問題・解答・解説
問題文
[78AM42] 門脈に流入するのはどれか。
選択肢
- 1.奇静脈
- 2.腎静脈
- 3.肺静脈
- 4.下大静脈
- 5.上腸間膜静脈
答え
5.上腸間膜静脈
解説
正答
5.上腸間膜静脈
問題のポイント
門脈は、消化管や脾臓、膵臓などから集まった血液を肝臓へ運ぶ血管です。
通常の静脈は心臓へ戻る血液を運びますが、門脈は肝臓へ流入する特殊な静脈系です。
なぜ上腸間膜静脈が正しいか
門脈は主に、上腸間膜静脈と脾静脈が合流して形成されます。
上腸間膜静脈は、小腸や右側結腸などからの静脈血を集めます。
この血液は門脈を通って肝臓へ入り、栄養素の代謝や解毒などに関わります。
したがって、門脈に流入する血管として正しいのは、5.上腸間膜静脈です。
他の選択肢との区別
1.奇静脈
誤りです。
奇静脈は胸壁や背部などからの静脈血を集め、上大静脈へ流入します。
門脈に直接流入する血管ではありません。
2.腎静脈
誤りです。
腎静脈は腎臓からの血液を集め、下大静脈へ流入します。
門脈系ではなく体循環系の静脈です。
3.肺静脈
誤りです。
肺静脈は肺で酸素化された血液を左心房へ戻す血管です。
門脈とは関係しません。
4.下大静脈
誤りです。
下大静脈は下半身や腹部臓器からの静脈血を右心房へ運ぶ大きな静脈です。
門脈へ流入する血管ではありません。
5.上腸間膜静脈
正しいです。
脾静脈とともに門脈形成に関わり、門脈へ流入する代表的な静脈です。
覚えるポイント
門脈系は、消化管から肝臓へ向かう血流として覚えます。
門脈に関係する血管:
- 上腸間膜静脈
- 脾静脈
- 下腸間膜静脈
- 胃静脈
門脈に関係しにくい血管:
- 奇静脈:上大静脈系
- 腎静脈:下大静脈系
- 肺静脈:左心房へ流入
- 下大静脈:右心房へ流入
本問では、門脈に流入する血管は上腸間膜静脈なので、正答は5です。
78AM43問題・解答・解説
問題文
[78AM43] 胎盤を通過する抗体はどれか。
選択肢
- 1.IgA
- 2.IgD
- 3.IgE
- 4.IgG
- 5.IgM
答え
4.IgG
解説
正答
4.IgG
問題のポイント
免疫グロブリンには、IgG、IgA、IgM、IgE、IgDなどがあります。
このうち、胎盤を通過して母体から胎児へ移行できる抗体はIgGです。
なぜIgGが正しいか
IgGは、免疫グロブリンの中で胎盤を通過できる代表的な抗体です。
母体のIgGは胎盤を通って胎児へ移行し、生後しばらくの間、新生児を感染から守る受動免疫として働きます。
新生児は自分で十分な抗体を作る能力がまだ未熟です。
そのため、母体由来のIgGは出生直後の感染防御に重要です。
したがって、胎盤を通過する抗体は4.IgGです。
他の選択肢との区別
1.IgA
誤りです。
IgAは粘膜免疫に重要で、唾液、涙、気道分泌液、腸管分泌液、母乳などに多く含まれます。
胎盤通過の代表ではありません。
2.IgD
誤りです。
IgDは主にB細胞表面の抗原受容体として働きます。
胎盤を通過する代表的な抗体ではありません。
3.IgE
誤りです。
IgEはアレルギー反応や寄生虫防御に関わります。
胎盤を通過する代表的な抗体ではありません。
4.IgG
正しいです。
胎盤を通過し、胎児・新生児に受動免疫を与えます。
5.IgM
誤りです。
IgMは分子量が大きく、通常は胎盤を通過しません。
新生児でIgMが高値の場合は、胎児自身が感染などに反応して産生した可能性を考えます。
覚えるポイント
免疫グロブリンの特徴は、次のように整理します。
- IgG:胎盤通過、血中で最多、受動免疫
- IgA:粘膜免疫、母乳・分泌液
- IgM:初感染で早期に上昇、五量体で大きい
- IgE:アレルギー、寄生虫
- IgD:B細胞表面受容体
本問では、胎盤を通過する抗体を問うているため、正答は4.IgGです。
78AM44問題・解答・解説
問題文
[78AM44] 我が国の新規人工透析導入の原因で最も多いのはどれか。
選択肢
- 1.腎結石
- 2.多発性囊胞腎
- 3.糖尿病性腎症
- 4.ループス腎炎
- 5.慢性糸球体腎炎
答え
3.糖尿病性腎症
解説
正答
3.糖尿病性腎症
問題のポイント
人工透析は、慢性腎臓病が進行して腎機能が高度に低下した場合に導入されます。
新規に人工透析が導入される原因疾患として、日本では糖尿病性腎症が最も多い原因として重要です。
なぜ糖尿病性腎症が正しいか
糖尿病性腎症は、糖尿病による高血糖が長期間続くことで腎臓の糸球体が障害され、腎機能が低下していく疾患です。
進行すると、
- 蛋白尿
- 糸球体濾過量の低下
- 慢性腎不全
- 末期腎不全
へと進み、人工透析が必要になることがあります。
生活習慣病として糖尿病患者が多いこともあり、糖尿病性腎症は新規透析導入の原因として非常に重要です。
したがって、3.糖尿病性腎症が正しいです。
他の選択肢との区別
1.腎結石
誤りです。
腎結石は尿路結石の一種で、疼痛や尿路閉塞、感染の原因になります。
重症化すれば腎機能障害を起こすことはありますが、新規人工透析導入の最多原因ではありません。
2.多発性囊胞腎
誤りです。
多発性囊胞腎は遺伝性疾患で、腎臓に多数の囊胞が形成され、腎機能が低下します。
透析導入の原因になり得ますが、最多ではありません。
3.糖尿病性腎症
正しいです。
新規人工透析導入の原因として最も多い代表的疾患です。
4.ループス腎炎
誤りです。
ループス腎炎は全身性エリテマトーデスに伴う腎障害です。
透析に至ることもありますが、新規透析導入の最多原因ではありません。
5.慢性糸球体腎炎
誤りです。
慢性糸球体腎炎は、かつて透析導入の主要原因でした。
現在も重要な原因疾患ですが、糖尿病性腎症が最多です。
覚えるポイント
新規人工透析導入の原因としては、次の順に整理しておくと理解しやすいです。
- 糖尿病性腎症:最多として重要
- 慢性糸球体腎炎:以前から重要な原因
- 腎硬化症:高血圧や加齢と関連
- 多発性囊胞腎:遺伝性疾患として覚える
本問では、新規人工透析導入の原因で最も多いものを問うているため、正答は3.糖尿病性腎症です。
78AM45問題・解答・解説
問題文
[78AM45] 情報機器作業に関連する自覚症状で頻度が低いのはどれか。
選択肢
- 1.胸痛
- 2.腰痛
- 3.頸部痛
- 4.眼精疲労
- 5.手関節痛
答え
1.胸痛
解説
正答
1.胸痛
問題のポイント
情報機器作業とは、パソコン、タブレット、ディスプレイ、キーボード、マウスなどを使用する作業のことです。
長時間同じ姿勢で作業したり、画面を見続けたり、手首や肩を反復して使ったりすることで、身体症状が出ることがあります。
なぜ胸痛が頻度低いか
情報機器作業で多い自覚症状は、主に目、首、肩、腰、上肢に関係します。
例えば、
- 眼精疲労
- 目の乾燥
- 頸部痛
- 肩こり
- 腰痛
- 手関節痛
- 上肢のしびれやだるさ
などです。
一方、胸痛は情報機器作業に特有の症状としては頻度が低いです。
胸痛がある場合は、筋骨格系だけでなく、心疾患や呼吸器疾患など別の原因も考える必要があります。
したがって、情報機器作業に関連する自覚症状で頻度が低いものは、1.胸痛です。
他の選択肢との区別
1.胸痛
正しいです。
情報機器作業に関連する代表的な自覚症状ではなく、頻度は低いと考えます。
2.腰痛
誤りです。
長時間の座位姿勢、姿勢不良、作業環境の不適合によって腰痛はよくみられます。
3.頸部痛
誤りです。
ディスプレイの高さが合わない、前かがみ姿勢が続くなどにより、頸部痛は起こりやすい症状です。
4.眼精疲労
誤りです。
画面を長時間見ることで、眼精疲労、目の乾き、かすみ、違和感などが生じやすくなります。
情報機器作業に関連する代表的症状です。
5.手関節痛
誤りです。
キーボードやマウス操作の反復により、手関節痛や上肢の負担が起こることがあります。
覚えるポイント
情報機器作業に関連する症状は、作業姿勢と使用部位から考えます。
頻度が高い:
- 眼精疲労
- 頸部痛
- 肩こり
- 腰痛
- 手関節痛
頻度が低い:
- 胸痛
本問では、情報機器作業に典型的な症状ではない胸痛が正答です。
78AM46問題・解答・解説
問題文
[78AM46] 肩関節の腱板を構成する構造で誤っているのはどれか。
選択肢
- 1.棘上筋腱
- 2.棘下筋腱
- 3.小円筋腱
- 4.肩甲下筋腱
- 5.上腕二頭筋長頭腱
答え
5.上腕二頭筋長頭腱
解説
正答
5.上腕二頭筋長頭腱
問題のポイント
肩関節の腱板〈rotator cuff〉は、肩関節を安定させる4つの筋腱で構成されます。
腱板を構成するのは、
- 棘上筋腱
- 棘下筋腱
- 小円筋腱
- 肩甲下筋腱
の4つです。
したがって、腱板を構成しないものを選ぶ本問では、上腕二頭筋長頭腱が正答です。
なぜ上腕二頭筋長頭腱が誤りか
上腕二頭筋長頭腱は、肩関節内を通って上腕骨の結節間溝へ走行する腱です。
肩関節の安定化に関係し、肩関節疾患でもよく問題になりますが、腱板そのものには含まれません。
腱板は、肩甲骨から起こり上腕骨近位部に付着する4つの筋腱が、上腕骨頭を包むように形成する構造です。
上腕二頭筋長頭腱はこの4筋には含まれないため、腱板の構成要素ではありません。
他の選択肢との区別
1.棘上筋腱
正しい構成要素です。
棘上筋は肩甲骨の棘上窩から起こり、上腕骨大結節に付着します。肩の外転初期に重要です。
2.棘下筋腱
正しい構成要素です。
棘下筋は肩甲骨の棘下窩から起こり、上腕骨大結節に付着します。肩関節の外旋に関わります。
3.小円筋腱
正しい構成要素です。
小円筋は肩甲骨外側縁から起こり、上腕骨大結節に付着します。棘下筋と同じく外旋に関わります。
4.肩甲下筋腱
正しい構成要素です。
肩甲下筋は肩甲骨前面から起こり、上腕骨小結節に付着します。肩関節の内旋に関わります。
5.上腕二頭筋長頭腱
誤りです。
肩関節内を走行する重要な腱ですが、腱板を構成する4筋腱には含まれません。
覚えるポイント
腱板は英語の語呂で「SITS」と覚えると便利です。
- S:Supraspinatus=棘上筋
- I:Infraspinatus=棘下筋
- T:Teres minor=小円筋
- S:Subscapularis=肩甲下筋
上腕二頭筋長頭腱は肩関節疾患でよく出てきますが、腱板そのものではありません。
本問では、腱板を構成しない5が正答です。
78AM47問題・解答・解説
問題文
[78AM47] 細菌性肺炎の患者の血液検査で異常高値となる可能性が高いのはどれか。
選択肢
- 1.赤血球数
- 2.血色素量
- 3.ヘマトクリット値
- 4.白血球数
- 5.血小板数
答え
4.白血球数
解説
正答
4.白血球数
問題のポイント
細菌性肺炎は、細菌感染によって肺に炎症が起こる疾患です。
細菌感染では、体が病原体に反応して炎症反応を起こします。
そのため、血液検査では白血球数、特に好中球が増加しやすくなります。
なぜ白血球数が高値になりやすいか
白血球は、感染防御に関わる血球です。
細菌感染が起こると、骨髄から白血球が動員され、血中の白血球数が増加します。
特に細菌感染では好中球が増えることが多く、細菌性肺炎でも白血球数の上昇がよくみられます。
また、炎症反応の指標としてCRP高値、発熱、痰、咳、胸部画像での浸潤影なども診断の参考になります。
したがって、細菌性肺炎で異常高値となる可能性が高いのは、4.白血球数です。
他の選択肢との区別
1.赤血球数
誤りです。
赤血球は酸素運搬に関わる血球です。細菌性肺炎で急に異常高値になる代表的な項目ではありません。
2.血色素量
誤りです。
血色素量〈ヘモグロビン〉は貧血や多血症の評価に関係します。細菌感染の急性炎症反応として高値になる項目ではありません。
3.ヘマトクリット値
誤りです。
ヘマトクリット値は血液中に占める赤血球の割合です。脱水などで上がることはありますが、細菌性肺炎の炎症反応として最も上がりやすい項目ではありません。
4.白血球数
正しいです。
細菌感染では白血球数、特に好中球が増加しやすくなります。
5.血小板数
誤りです。
血小板は止血や凝固に関わります。炎症で変動することはありますが、細菌性肺炎で最も典型的に高値となる検査項目は白血球数です。
覚えるポイント
感染症の血液検査では、原因ごとの反応を整理します。
- 細菌感染:白血球増加、好中球増加、CRP高値
- ウイルス感染:白血球は正常〜低下のこともある、リンパ球増加が目立つことがある
- 貧血評価:赤血球数、血色素量、ヘマトクリット値
- 凝固・止血評価:血小板数
本問では、細菌性肺炎で高値になりやすい白血球数が正答です。
78AM48問題・解答・解説
問題文
[78AM48] 若年者と比較して高齢者で発症頻度が低いのはどれか。
選択肢
- 1.多発性硬化症
- 2.慢性硬膜下血腫
- 3.特発性正常圧水頭症
- 4.Parkinson〈パーキンソン〉病
- 5.Alzheimer 〈アルツハイマー〉型認知症
答え
1.多発性硬化症
解説
正答
1.多発性硬化症
問題のポイント
疾患には、発症しやすい年齢層があります。
本問では、「高齢者で多い疾患」ではなく、「若年者と比較して高齢者で発症頻度が低い疾患」を選びます。
なぜ多発性硬化症が正しいか
多発性硬化症は、中枢神経の脱髄疾患です。
自己免疫的な機序により、脳や脊髄、視神経などに病変を生じます。
発症は若年成人に多く、20〜40歳代で発症することが多い疾患です。
高齢発症もまったくないわけではありませんが、一般に高齢者での発症頻度は若年者より低いと考えます。
したがって、高齢者で発症頻度が低いものは、1.多発性硬化症です。
他の選択肢との区別
1.多発性硬化症
正しいです。
若年成人に多い脱髄疾患であり、高齢者での新規発症は比較的少ないです。
2.慢性硬膜下血腫
誤りです。
高齢者に多い疾患です。軽微な頭部外傷後、脳萎縮により架橋静脈が伸展しやすく、慢性硬膜下血腫を生じやすくなります。
3.特発性正常圧水頭症
誤りです。
高齢者に多い疾患です。歩行障害、認知機能低下、尿失禁が三徴として知られます。
4.Parkinson〈パーキンソン〉病
誤りです。
中高年から高齢者に多い神経変性疾患です。振戦、筋強剛、無動、姿勢反射障害などが特徴です。
5.Alzheimer〈アルツハイマー〉型認知症
誤りです。
高齢者に多い認知症の代表です。加齢とともに発症頻度が上昇します。
覚えるポイント
高齢者で多い疾患:
- 慢性硬膜下血腫
- 特発性正常圧水頭症
- Parkinson病
- Alzheimer型認知症
若年成人で多い疾患:
- 多発性硬化症
本問では、高齢者で発症頻度が低いものを選ぶため、正答は1.多発性硬化症です。
78AM49問題・解答・解説
問題文
[78AM49] 食道と同じ上皮組織を持つ臓器はどれか。
選択肢
- 1.胃
- 2.十二指腸
- 3.回腸
- 4.結腸
- 5.肛門
答え
5.肛門
解説
正答
5.肛門
問題のポイント
消化管の上皮は、部位によって異なります。
食道は、食物が通過するときの摩擦に耐える必要があるため、重層扁平上皮で覆われています。
本問では、食道と同じタイプの上皮を持つ部位を選びます。
なぜ肛門が正しいか
食道の粘膜上皮は、非角化重層扁平上皮です。
重層扁平上皮は、摩擦や機械的刺激に強い上皮です。
肛門管の下部から肛門周囲にかけても、重層扁平上皮がみられます。
排便時の機械的刺激に耐える必要があるためです。
したがって、食道と同じ上皮組織を持つ臓器として、5.肛門が正しいです。
他の選択肢との区別
1.胃
誤りです。
胃は単層円柱上皮で覆われています。粘液を分泌し、胃酸から粘膜を保護します。
2.十二指腸
誤りです。
十二指腸は単層円柱上皮です。吸収や分泌に関わり、絨毛や腸腺を持ちます。
3.回腸
誤りです。
回腸も小腸の一部で、単層円柱上皮です。栄養吸収に適した上皮構造を持ちます。
4.結腸
誤りです。
結腸は単層円柱上皮です。水分吸収や粘液分泌に関係します。
5.肛門
正しいです。
肛門管下部から肛門部は重層扁平上皮で、食道と同じく機械的刺激に強い上皮です。
覚えるポイント
消化管上皮は、機能で覚えると整理しやすいです。
- 食道:重層扁平上皮、摩擦に強い
- 胃:単層円柱上皮、粘液分泌
- 小腸:単層円柱上皮、吸収
- 結腸:単層円柱上皮、水分吸収・粘液分泌
- 肛門:重層扁平上皮、摩擦に強い
本問では、食道と同じ重層扁平上皮を持つ肛門が正答です。
78AM50問題・解答・解説
問題文
[78AM50] 壊死に伴う変化はどれか。
選択肢
- 1.細胞収縮
- 2.細胞分裂
- 3.細胞膜の破裂
- 4.核クロマチンの凝縮
- 5.プログラムされた死
答え
3.細胞膜の破裂
解説
正答
3.細胞膜の破裂
問題のポイント
細胞死には、大きく壊死とアポトーシスがあります。
壊死は、虚血、感染、毒物、外傷などによって細胞が障害され、制御されずに死ぬ現象です。
一方、アポトーシスは、細胞が自らプログラムに従って死ぬ、制御された細胞死です。
本問では、壊死に特徴的な変化を選びます。
なぜ細胞膜の破裂が正しいか
壊死では、細胞のエネルギー産生が障害され、イオンバランスが崩れます。
その結果、細胞内に水が入り、細胞は膨化します。
さらに障害が進むと、細胞膜の構造が保てなくなり、細胞膜が破綻・破裂します。
細胞内の内容物が周囲へ漏れ出すため、炎症反応を引き起こしやすいのが壊死の特徴です。
したがって、壊死に伴う変化として最も適切なのは、3.細胞膜の破裂です。
他の選択肢との区別
1.細胞収縮
誤りです。
細胞収縮はアポトーシスでみられる代表的変化です。
壊死ではむしろ細胞が膨化し、最終的に膜が破綻します。
2.細胞分裂
誤りです。
細胞分裂は細胞増殖の過程であり、壊死に伴う変化ではありません。
3.細胞膜の破裂
正しいです。
壊死では細胞膜が破綻し、内容物が漏れ出して炎症を起こします。
4.核クロマチンの凝縮
誤りとして扱います。
核クロマチンの凝縮はアポトーシスで典型的にみられる変化です。
壊死でも核濃縮、核崩壊、核融解などの核変化は起こりますが、本問の選択肢の中で壊死を最も特徴づける変化は細胞膜の破裂です。
5.プログラムされた死
誤りです。
プログラムされた細胞死はアポトーシスです。
壊死は外的障害などによる制御されない細胞死です。
覚えるポイント
壊死とアポトーシスは対比して覚えます。
壊死:
- 細胞膨化
- 細胞膜破裂
- 内容物の漏出
- 炎症を伴いやすい
- 制御されない細胞死
アポトーシス:
- 細胞収縮
- クロマチン凝縮
- アポトーシス小体形成
- 炎症を伴いにくい
- プログラムされた細胞死
本問では、壊死に特徴的な細胞膜の破裂が正答です。
78AM51問題・解答・解説
問題文
[78AM51] 播種性血管内凝固〈DIC:disseminated intravascular coagulation〉で認められる のはどれか。
選択肢
- 1.血小板数増加
- 2.D-ダイマー増加
- 3.フィブリノゲン増加
- 4.プラスミノゲン増加
- 5.活性化部分トロンボプラスチン時間短縮
答え
2.D-ダイマー増加
解説
正答
2.D-ダイマー増加
問題のポイント
播種性血管内凝固〈DIC〉は、全身の血管内で凝固反応が過剰に起こる病態です。
血管内に微小血栓が多発し、その結果として血小板や凝固因子が消費されます。
さらに、できた血栓を溶かそうとして線溶系も亢進します。
そのため、DICでは「凝固」と「線溶」が同時に進むことを理解するのが重要です。
なぜD-ダイマーが増加するか
D-ダイマーは、安定化フィブリンがプラスミンによって分解されたときに生じる分解産物です。
DICでは、血管内でフィブリン血栓が多く形成されます。
その血栓が線溶によって分解されるため、D-ダイマーが増加します。
したがって、DICで認められる検査所見として、2.D-ダイマー増加が正しいです。
他の選択肢との区別
1.血小板数増加
誤りです。
DICでは血栓形成に血小板が消費されるため、血小板数は低下します。
2.D-ダイマー増加
正しいです。
フィブリン血栓の形成と分解が進むため、D-ダイマーが増加します。
3.フィブリノゲン増加
誤りです。
DICでは凝固因子が消費されるため、フィブリノゲンは低下することが多いです。
ただし炎症の影響で初期に高めに見えることもありますが、典型的には消費により低下を考えます。
4.プラスミノゲン増加
誤りです。
線溶系が亢進すると、プラスミノゲンはプラスミンへ変換され消費されます。
そのため増加ではなく低下しやすくなります。
5.活性化部分トロンボプラスチン時間短縮
誤りです。
DICでは凝固因子が消費されるため、APTTは延長しやすくなります。
短縮ではありません。
覚えるポイント
DICの検査所見は「血栓を作る材料が消費され、血栓分解産物が増える」と覚えると整理しやすいです。
増加:
- D-ダイマー
- FDP
低下:
- 血小板数
- フィブリノゲン
- 凝固因子
延長:
- PT
- APTT
本問では、DICで増加するD-ダイマーが正答です。
78AM52問題・解答・解説
問題文
[78AM52] 慢性放射線皮膚炎が先行病変となるのはどれか。
選択肢
- 1.悪性黒色腫
- 2.カポジ肉腫
- 3.有棘細胞癌
- 4.メルケル細胞癌
- 5.成人 T 細胞白血病
答え
3.有棘細胞癌
解説
正答
3.有棘細胞癌
問題のポイント
慢性放射線皮膚炎は、放射線被ばく後、長期間を経て皮膚に生じる慢性変化です。
皮膚萎縮、色素沈着・脱失、毛細血管拡張、潰瘍、角化などがみられ、長期的には皮膚悪性腫瘍の発生母地になることがあります。
このとき代表的に問題となるのが、有棘細胞癌です。
なぜ有棘細胞癌が正しいか
有棘細胞癌は、表皮の角化細胞由来の悪性腫瘍です。
慢性的な皮膚障害や瘢痕、潰瘍、放射線皮膚炎などが先行病変となり、その部位から有棘細胞癌が発生することがあります。
慢性放射線皮膚炎では、放射線によるDNA損傷や慢性炎症、皮膚組織の修復異常が長期間続きます。
そのため、時間の経過とともに有棘細胞癌を発生するリスクが高くなります。
したがって、慢性放射線皮膚炎が先行病変となるものは、3.有棘細胞癌です。
他の選択肢との区別
1.悪性黒色腫
誤りです。
悪性黒色腫はメラノサイト由来の悪性腫瘍です。紫外線や色素性母斑などとの関連が重要ですが、慢性放射線皮膚炎の代表的な続発腫瘍としては有棘細胞癌を選びます。
2.カポジ肉腫
誤りです。
カポジ肉腫は血管内皮系の腫瘍で、HHV-8感染や免疫不全との関連が知られます。慢性放射線皮膚炎の代表的な先行病変とはいえません。
3.有棘細胞癌
正しいです。
慢性放射線皮膚炎、瘢痕、慢性潰瘍などを背景に発生し得る皮膚癌です。
4.メルケル細胞癌
誤りです。
メルケル細胞癌は神経内分泌性の皮膚悪性腫瘍です。高齢者や免疫抑制状態などが関連しますが、慢性放射線皮膚炎の代表的続発癌ではありません。
5.成人T細胞白血病
誤りです。
成人T細胞白血病はHTLV-1感染に関連する血液悪性腫瘍です。皮膚炎の先行病変から発生する皮膚癌ではありません。
覚えるポイント
慢性刺激や慢性炎症が続く皮膚では、有棘細胞癌が発生しやすくなります。
有棘細胞癌の発生母地として覚えるもの:
- 慢性放射線皮膚炎
- 熱傷瘢痕
- 慢性潰瘍
- 日光角化症
- 白板症
本問では、慢性放射線皮膚炎が先行病変となる代表的腫瘍として、有棘細胞癌が正答です。
78AM53問題・解答・解説
問題文
[78AM53] 内分泌器官はどれか。
選択肢
- 1.汗腺
- 2.乳腺
- 3.涙腺
- 4.顎下腺
- 5.副甲状腺
答え
5.副甲状腺
解説
正答
5.副甲状腺
問題のポイント
分泌腺は、大きく外分泌腺と内分泌腺に分けられます。
外分泌腺は、導管を通して体表面や消化管内などへ分泌物を出します。
内分泌腺は、導管を持たず、ホルモンを血液中へ分泌します。
この問題では、血液中へホルモンを分泌する内分泌器官を選びます。
なぜ副甲状腺が正しいか
副甲状腺は、甲状腺の背側にある小さな内分泌器官です。
副甲状腺は、副甲状腺ホルモン〈PTH〉を血液中へ分泌します。
PTHは血中カルシウム濃度を調節する重要なホルモンです。
PTHは、
- 骨からのカルシウム動員
- 腎臓でのカルシウム再吸収促進
- ビタミンD活性化を介した腸管カルシウム吸収促進
などに関わります。
したがって、内分泌器官は5.副甲状腺です。
他の選択肢との区別
1.汗腺
誤りです。
汗腺は汗を皮膚表面へ分泌する外分泌腺です。導管を通して分泌するため、内分泌器官ではありません。
2.乳腺
誤りです。
乳腺は乳汁を乳管を通して体外へ分泌する外分泌腺です。ホルモンの影響を受けますが、乳腺自体は内分泌器官ではありません。
3.涙腺
誤りです。
涙腺は涙液を眼表面へ分泌する外分泌腺です。
4.顎下腺
誤りです。
顎下腺は唾液腺の一つで、唾液を口腔内へ分泌する外分泌腺です。
5.副甲状腺
正しいです。
PTHを血液中へ分泌する内分泌器官です。
覚えるポイント
内分泌腺と外分泌腺は、導管の有無で見分けます。
内分泌腺:
- 血液中へホルモンを分泌
- 導管を持たない
- 例:下垂体、甲状腺、副甲状腺、副腎、膵島、性腺
外分泌腺:
- 導管を通して体表や管腔内へ分泌
- 例:汗腺、乳腺、涙腺、唾液腺
本問では、副甲状腺が内分泌器官なので正答は5です。
78AM54問題・解答・解説
問題文
[78AM54] 診療放射線技師が実施できる行為はどれか。
選択肢
- 1.胸部正面 X 線写真にて腫瘤影を認めたので、側面像を追加した。
- 2.国家試験合格を確認したので、すぐに診療放射線技師業務を開始した。
- 3.人員が不足していたため、看護師に照射スイッチを押すように依頼した。
- 4.放射線治療中に患者が体調不良を訴えたため、一時的に治療を中断した。
- 5.未告知の癌患者に放射線治療の適応について問いただされたため、告知し た。
答え
4.放射線治療中に患者が体調不良を訴えたため、一時的に治療を中断した。
解説
正答
4.放射線治療中に患者が体調不良を訴えたため、一時的に治療を中断した。
問題のポイント
診療放射線技師の業務では、医師または歯科医師の指示の下で適切に検査・治療を実施することが前提です。
一方で、患者の安全を守るため、検査中や治療中に異常があれば、照射や処置を一時的に止めて安全確認を行うことは重要です。
本問では、「診療放射線技師が実施できる行為」として、患者安全上必要な一時中断を選びます。
なぜ4が正しいか
放射線治療中に患者が体調不良を訴えた場合、そのまま照射を継続すると危険です。
例えば、
- 気分不快
- 呼吸苦
- 疼痛
- 意識レベル低下
- 体動
- パニック
- 固定具による苦痛
などがあれば、治療精度や患者安全に影響します。
このような場合、診療放射線技師は照射を一時的に中断し、患者の状態を確認し、必要に応じて医師や看護師へ連絡します。
したがって、4.放射線治療中に患者が体調不良を訴えたため、一時的に治療を中断した、は実施できる適切な行為です。
他の選択肢との区別
1.胸部正面X線写真にて腫瘤影を認めたので、側面像を追加した。
誤りです。
診療放射線技師が画像を見て独自に診断し、医師の指示なしに追加撮影を行うことは不適切です。
追加撮影が必要な場合は、医師または歯科医師の指示を確認して実施します。
2.国家試験合格を確認したので、すぐに診療放射線技師業務を開始した。
誤りです。
国家試験に合格しただけでは、診療放射線技師として業務を開始できません。
免許申請を行い、診療放射線技師名簿に登録され、免許を受けてから業務を行います。
3.人員が不足していたため、看護師に照射スイッチを押すように依頼した。
誤りです。
放射線を人体へ照射する業務を、資格や権限のない者に依頼することはできません。
人員不足を理由に、看護師へ照射操作を代行させることは不適切です。
4.放射線治療中に患者が体調不良を訴えたため、一時的に治療を中断した。
正しいです。
患者安全を守るため、異常時に照射を一時停止し、状態確認や医師への報告を行うことは適切です。
5.未告知の癌患者に放射線治療の適応について問いただされたため、告知した。
誤りです。
病名や治療方針の告知は、医師が患者・家族との関係、説明方針、診療情報を踏まえて行うべき内容です。
診療放射線技師が独断で未告知の癌を告知することは不適切です。
覚えるポイント
診療放射線技師の行為は、次のように整理します。
実施できる:
- 医師・歯科医師の指示に基づく撮影・照射
- 患者安全のための照射一時停止
- 異常時の報告、確認、救援要請
実施できない:
- 独断で追加撮影する
- 免許登録前に業務を開始する
- 無資格者に照射操作を依頼する
- 医師に代わって病名や治療適応を告知する
本問では、患者安全のために放射線治療を一時中断する4が正答です。
78AM55問題・解答・解説
問題文
[78AM55] 水の放射線分解で正しいのはどれか。
選択肢
- 1.活性酸素は生じない。
- 2.電離した水分子は不対電子を持つ。
- 3.放射線照射後 1 〜 2 秒程度の時間を要する。
- 4.水分子は電子を取り込みマイナスに荷電する。
- 5.ヒドロキシラジカルと水素ラジカルが結合する。
答え
2.電離した水分子は不対電子を持つ。 4.水分子は電子を取り込みマイナスに荷電する。 5.ヒドロキシラジカルと水素ラジカルが結合する。
解説
正答
2.電離した水分子は不対電子を持つ。
4.水分子は電子を取り込みマイナスに荷電する。
5.ヒドロキシラジカルと水素ラジカルが結合する。
問題のポイント
人体の多くは水でできているため、放射線が生体に作用するとき、水の放射線分解が非常に重要です。
放射線が水に作用すると、水分子が電離・励起され、反応性の高いラジカルや活性種が生じます。
これらがDNAや細胞内分子を障害することで、放射線生物作用につながります。
水の放射線分解の流れ
放射線が水にエネルギーを与えると、まず水分子が電離します。
H2O → H2O+・ + e−
このとき生じる電離した水分子 H2O+・ は、不対電子を持つラジカル性のイオンです。
また、放出された電子は水中で水和電子となったり、水分子に捕獲されて一時的にマイナスに荷電した状態を作ったりします。
H2O + e− → H2O−・
さらに反応が進むと、ヒドロキシラジカル〈・OH〉、水素ラジカル〈・H〉、水和電子〈eaq−〉、過酸化水素〈H2O2〉などが生じます。
なぜ2が正しいか
放射線によって水分子が電離すると、H2O+・のようなラジカルイオンが生じます。
ラジカルとは、不対電子を持つ反応性の高い化学種です。
したがって、電離した水分子は不対電子を持つ、という2は正しいです。
なぜ4が正しいか
放射線照射で生じた電子は、水中で水分子に捕獲されることがあります。
その結果、水分子が電子を取り込み、マイナスに荷電した状態を作ります。
この過程は水の放射線分解で起こる基本反応の一つです。
したがって、4.水分子は電子を取り込みマイナスに荷電する、は正しいです。
なぜ5が正しいか
水の放射線分解で生じたヒドロキシラジカル〈・OH〉と水素ラジカル〈・H〉は、互いに反応して水を生成することがあります。
・OH + ・H → H2O
このように、ラジカル同士が再結合する反応も水の放射線分解後に起こります。
したがって、5.ヒドロキシラジカルと水素ラジカルが結合する、は正しいです。
他の選択肢との区別
1.活性酸素は生じない。
誤りです。
水の放射線分解では、ヒドロキシラジカルなどの反応性の高い活性種が生じます。
酸素存在下では、過酸化物や酸素ラジカルなども関与し、間接作用が強まります。
2.電離した水分子は不対電子を持つ。
正しいです。
H2O+・のようなラジカルイオンが生じ、不対電子を持ちます。
3.放射線照射後1〜2秒程度の時間を要する。
誤りです。
水の放射線分解で生じる初期反応は、照射後きわめて短時間で起こります。
1〜2秒という長い時間を要する現象ではありません。
4.水分子は電子を取り込みマイナスに荷電する。
正しいです。
放出電子が水分子に捕獲され、陰性のラジカルイオンや水和電子として存在します。
5.ヒドロキシラジカルと水素ラジカルが結合する。
正しいです。
・OHと・Hが再結合して水を作る反応が起こります。
覚えるポイント
水の放射線分解では、次の生成物を押さえます。
- H2O+・:電離した水分子、ラジカルイオン
- e−、eaq−:放出電子、水和電子
- ・OH:ヒドロキシラジカル
- ・H:水素ラジカル
- H2O2:過酸化水素
重要なのは、放射線が水を分解して反応性の高いラジカルを作り、それが生体分子を障害することです。
本問では、2、4、5が正しい記述です。
78AM56問題・解答・解説
問題文
[78AM56] ある細胞をシャーレに 1,200 個ずつ分注し、様々な線量の α 線を照射してから しばらく培養したところ、次の表の数のコロニーができた。 このデータを使って作成した生存率のグラフで正しいのはどれか。 縦軸は生存率、横軸は線量[Gy]を示す。
選択肢
- 1.
- 2.
- 3.
- 4.
- 5.
答え
5.
解説
正答
5.
問題のポイント
細胞生存率は、単純に「コロニー数 ÷ 分注した細胞数」で見るのではなく、通常は 0 Gy、つまり非照射群を基準にして求めます。
本問では、各線量で1,200個ずつ細胞を分注しています。
0 Gyでできたコロニー数は600個なので、これを生存率1として正規化します。
つまり、
生存率 = 各線量でのコロニー数 ÷ 0 Gyでのコロニー数
として考えます。
表の確認
表より、コロニー数は次のとおりです。
- 0 Gy:600
- 1 Gy:170
- 2 Gy:50
- 3 Gy:14
- 4 Gy:4
0 Gyの600個を基準にして、それぞれの生存率を計算します。
生存率の計算
0 Gy
600 ÷ 600 = 1
1 Gy
170 ÷ 600 = 0.283…
約0.3です。
2 Gy
50 ÷ 600 = 0.0833…
約0.08です。
3 Gy
14 ÷ 600 = 0.0233…
約0.02です。
4 Gy
4 ÷ 600 = 0.00667…
約0.007です。
したがって、生存率はおおよそ、
1,0.3,0.08,0.02,0.007
となります。
グラフの選び方
縦軸は対数目盛で、生存率が示されています。
正しいグラフは、
- 0 Gyで生存率が1
- 1 Gyで約0.3
- 2 Gyで約0.08
- 3 Gyで約0.02
- 4 Gyで約0.007
となるものです。
図の中で、このように線量が増えるにつれて、対数目盛上でほぼ直線的に低下しているのは5です。
したがって、正答は5です。
他の選択肢との区別
1.誤りです。
0 Gyで生存率が1になっておらず、非照射群を基準にした生存率のグラフとして不適切です。
2.誤りです。
0 Gyで生存率が1ではなく、さらに1 Gy以降の低下の仕方も計算値と合いません。
3.誤りです。
0 Gyは1ですが、1 Gyで生存率が極端に低くなりすぎています。
実際の1 Gyの生存率は170/600で約0.3です。
4.誤りです。
0 Gyは1ですが、2 Gy以降の生存率が低くなりすぎており、表から計算される値と合いません。
5.正しいです。
0 Gyを1として、1 Gyで約0.3、2 Gyで約0.08、3 Gyで約0.02、4 Gyで約0.007となり、表から求めた生存率に最も一致します。
覚えるポイント
コロニー形成法で生存率を求めるときは、非照射群を基準にして正規化します。
本問では、
生存率 = 各線量のコロニー数 ÷ 0 Gyのコロニー数
です。
また、α線は高LET放射線であり、細胞生存曲線は肩が小さく、片対数グラフでほぼ直線的に低下しやすい特徴があります。
本問では、計算値に合うグラフは5です。
78AM57問題・解答・解説
問題文
[78AM57] 体重 60 kg の男性が γ 線の全身急性被ばくをしたときの半致死線量(LD50/60)に相 当する吸収エネルギー[J]はどれか。
選択肢
- 1.60
- 2.120
- 3.180
- 4.240
- 5.480
答え
4.240
解説
正答
4.240
問題のポイント
吸収線量 Gy は、物質1 kgあたりに吸収されたエネルギーを表す単位です。
1 Gy = 1 J/kg
です。
本問では、γ線による全身急性被ばくでの半致死線量〈LD50/60〉に相当する吸収エネルギーを求めます。
LD50/60とは
LD50/60とは、被ばく後60日以内に50%が死亡する線量を意味します。
ヒトのγ線またはX線の全身急性被ばくでは、治療を考慮しない場合、LD50/60はおよそ4 Gy程度とされます。
したがって、本問では半致死線量を4 Gyとして計算します。
計算
吸収線量は、
吸収線量 = 吸収エネルギー ÷ 質量
なので、
吸収エネルギー = 吸収線量 × 質量
となります。
体重は60 kg、線量は4 Gyです。
4 Gy = 4 J/kg
したがって、
4 J/kg × 60 kg = 240 J
となります。
よって、吸収エネルギーは240 Jです。
他の選択肢との区別
1.60
60 Jは、60 kgの人で1 Gyに相当します。LD50/60としては低すぎます。
2.120
120 Jは、60 kgの人で2 Gyに相当します。半致死線量としては低い値です。
3.180
180 Jは、60 kgの人で3 Gyに相当します。LD50/60として本問で用いる4 Gyには届きません。
4.240
正しいです。
4 Gy × 60 kg = 240 J です。
5.480
480 Jは、60 kgの人で8 Gyに相当します。LD50/60よりかなり高い線量です。
覚えるポイント
放射線の吸収線量では、
1 Gy = 1 J/kg
を必ず押さえます。
また、γ線・X線の全身急性被ばくにおけるヒトのLD50/60は、およそ4 Gyとして計算することが多いです。
本問では、
4 Gy × 60 kg = 240 J
となるため、正答は4です。
78AM58問題・解答・解説
問題文
[78AM58] 放射線発がんで正しいのはどれか。
選択肢
- 1.リスクは男性が女性の 2 倍とされる。
- 2.固形癌の発生は被ばく後 7 〜 8 年でピークとなる。
- 3.リスク評価には日本の原爆被爆者データが用いられている。
- 4.放射線の影響の判断には相対リスクより絶対リスクが適している。
- 5.皮膚以外に発生するものは線量効果関係においてしきい値を有する。
答え
3.リスク評価には日本の原爆被爆者データが用いられている。
解説
正答
3.リスク評価には日本の原爆被爆者データが用いられている。
問題のポイント
放射線発がんは、確率的影響に分類されます。
確率的影響では、線量が高いほど発生確率が高くなると考えますが、重症度が線量に比例して重くなるわけではありません。
放射線防護では、発がんリスクについて、しきい値なし直線モデル〈LNTモデル〉を基本に考えることが多いです。
なぜ3が正しいか
放射線発がんリスクの評価では、日本の広島・長崎の原爆被爆者の追跡調査データが重要な基礎資料として用いられています。
原爆被爆者データは、
- 被ばく線量の推定が行われている
- 長期間の追跡が行われている
- 白血病や固形癌の発生リスク評価に用いられている
- 放射線防護基準の根拠として重要である
という特徴があります。
したがって、3.リスク評価には日本の原爆被爆者データが用いられている、が正しいです。
他の選択肢との区別
1.リスクは男性が女性の2倍とされる。
誤りです。
放射線発がんリスクは、年齢、性別、臓器、被ばく線量などによって異なります。
一般に、女性の方がリスクが高いと評価されるがんも多く、「男性が女性の2倍」とは一律にいえません。
2.固形癌の発生は被ばく後7〜8年でピークとなる。
誤りです。
白血病は比較的早く増加し、数年後にピークを示すことがあります。
一方、固形癌は潜伏期間が長く、被ばく後10年以上経過してから増加が明らかになることが多いです。
7〜8年でピークという記述は固形癌には合いません。
3.リスク評価には日本の原爆被爆者データが用いられている。
正しいです。
広島・長崎の原爆被爆者の疫学データは、放射線発がんリスク評価の重要な基礎です。
4.放射線の影響の判断には相対リスクより絶対リスクが適している。
誤りです。
放射線発がんリスクの評価では、相対リスク、過剰相対リスク、絶対リスク、過剰絶対リスクなどを目的に応じて使い分けます。
「相対リスクより絶対リスクが適している」と一律にいうのは不適切です。
5.皮膚以外に発生するものは線量効果関係においてしきい値を有する。
誤りです。
放射線発がんは確率的影響であり、放射線防護上はしきい値がないものとして扱います。
「皮膚以外のがんにはしきい値がある」とする記述は誤りです。
覚えるポイント
放射線発がんでは、次の点を押さえます。
- 確率的影響である
- 防護上はしきい値なしとして扱う
- リスク評価には原爆被爆者データが重要
- 白血病は比較的早期に増加する
- 固形癌は長い潜伏期間を経て増加する
本問では、原爆被爆者データが放射線発がんリスク評価に用いられているため、正答は3です。
78AM59問題・解答・解説
問題文
[78AM59] 放射線に対する細胞の感受性で正しいのはどれか。
選択肢
- 1.細胞が大きいほど高い。
- 2.分化度が高いほど高い。
- 3.分裂能が低いほど高い。
- 4.神経細胞は高感受性である。
- 5.造血細胞は高感受性である。
答え
5.造血細胞は高感受性である。
解説
正答
5.造血細胞は高感受性である。
問題のポイント
放射線に対する細胞の感受性は、細胞の分裂能や分化度と大きく関係します。
一般に、ベルゴニー・トリボンドーの法則として、
- 分裂頻度が高い細胞ほど放射線感受性が高い
- 将来の分裂回数が多い細胞ほど放射線感受性が高い
- 未分化な細胞ほど放射線感受性が高い
と整理されます。
なぜ造血細胞が正しいか
造血細胞は骨髄で血液細胞を作る細胞群です。
造血幹細胞や前駆細胞は、活発に分裂・増殖して血球を供給しています。
そのため、放射線に対する感受性が高く、全身被ばくでは骨髄抑制が重要な問題になります。
白血球減少、血小板減少、貧血などは、骨髄の造血機能が障害されることで起こります。
したがって、5.造血細胞は高感受性である、が正しいです。
他の選択肢との区別
1.細胞が大きいほど高い。
誤りです。
放射線感受性は細胞の大きさだけで決まるわけではありません。
重要なのは、分裂能、分化度、細胞周期、DNA修復能などです。
2.分化度が高いほど高い。
誤りです。
一般に、分化度が低い未分化な細胞ほど放射線感受性が高いです。
高度に分化した細胞は分裂能が低く、比較的抵抗性を示すことがあります。
3.分裂能が低いほど高い。
誤りです。
分裂能が高い細胞ほど放射線感受性が高いです。
分裂能が低い細胞は、一般に放射線抵抗性です。
4.神経細胞は高感受性である。
誤りです。
成熟した神経細胞は高度に分化しており、通常ほとんど分裂しません。
そのため、比較的放射線抵抗性が高い細胞とされます。
5.造血細胞は高感受性である。
正しいです。
造血細胞は分裂能が高く、放射線感受性が高い代表的な細胞です。
覚えるポイント
放射線感受性が高い細胞:
- 造血細胞
- 生殖細胞
- 腸管上皮細胞
- リンパ球
- 未分化で分裂が盛んな細胞
放射線感受性が低い細胞:
- 神経細胞
- 筋細胞
- 結合組織細胞
- 高度に分化し分裂能が低い細胞
本問では、分裂能が高い造血細胞が高感受性であるため、正答は5です。
78AM60問題・解答・解説
問題文
[78AM60] エネルギーが 0.025 eV の中性子の速度[m/s]に最も近いのはどれか。 ただし、中性子の質量を 1.7 × 10-27 kg、 1 eV = 1.6 × 10-19 J とする。
選択肢
- 1.1.5 × 103
- 2.2.2 × 103
- 3.4.7 × 106
- 4.5.4 × 1012
- 5.1.4 × 1022
答え
2.2.2 × 103
解説
正答
2.2.2 × 10³
問題のポイント
中性子の運動エネルギーから速度を求める問題です。
非相対論的な粒子の運動エネルギーは、
E = 1/2 mv²
で表されます。
ここで、
- E:運動エネルギー[J]
- m:質量[kg]
- v:速度[m/s]
です。
まずeVをJに変換する
中性子のエネルギーは0.025 eVです。
1 eV = 1.6 × 10⁻¹⁹ J
なので、
0.025 eV = 0.025 × 1.6 × 10⁻¹⁹ J
0.025 × 1.6 = 0.04
したがって、
E = 0.04 × 10⁻¹⁹ J
= 4.0 × 10⁻²¹ J
となります。
速度を求める
運動エネルギーの式
E = 1/2 mv²
をvについて解くと、
v = √(2E/m)
です。
E = 4.0 × 10⁻²¹ J
m = 1.7 × 10⁻²⁷ kg
を代入します。
v = √{(2 × 4.0 × 10⁻²¹) / (1.7 × 10⁻²⁷)}
v = √{8.0 × 10⁻²¹ / 1.7 × 10⁻²⁷}
v = √{4.7 × 10⁶}
√(4.7 × 10⁶) ≒ 2.2 × 10³
したがって、
v ≒ 2.2 × 10³ m/s
となります。
他の選択肢との区別
1.1.5 × 10³
誤りです。
近い値ではありますが、計算すると約2.2 × 10³ m/sになります。
2.2.2 × 10³
正しいです。
E = 1/2mv²を用いて計算すると、この値になります。
3.4.7 × 10⁶
誤りです。
これは平方根を取る前の v² に近い値です。
速度vを求めるには、最後に平方根を取る必要があります。
4.5.4 × 10¹²
誤りです。
単位換算や指数計算を誤った値です。
5.1.4 × 10²²
誤りです。
物理的に極端に大きすぎる値です。
覚えるポイント
粒子の運動エネルギーと速度の関係は、
E = 1/2 mv²
です。
速度を求めるときは、
v = √(2E/m)
を使います。
また、eVで与えられたエネルギーは、必ずJに変換してから計算します。
本問では、
0.025 eV = 4.0 × 10⁻²¹ J
v = √(2E/m) ≒ 2.2 × 10³ m/s
となるため、正答は2です。
78AM61問題・解答・解説
問題文
[78AM61] 同中性子体の関係にある組合せで正しいのはどれか。
選択肢
- 1.12C 16 O
- 2.13C 14 C
- 3.14N 14 C
- 4.15N 16 O
- 5.16O 16 N
答え
4.15N 16 O
解説
正答
4.15N 16O
問題のポイント
同中性子体とは、中性子数が同じで、陽子数が異なる原子核のことです。
原子核では、
- 質量数 A = 陽子数 Z + 中性子数 N
- 中性子数 N = 質量数 A − 原子番号 Z
で求めます。
この問題では、それぞれの核種の中性子数を計算し、中性子数が同じ組合せを選びます。
原子番号の確認
代表的な原子番号は次のとおりです。
- C〈炭素〉:Z = 6
- N〈窒素〉:Z = 7
- O〈酸素〉:Z = 8
各選択肢の確認
1.12C と 16O
12C:中性子数 = 12 − 6 = 6
16O:中性子数 = 16 − 8 = 8
中性子数が異なるため、同中性子体ではありません。
2.13C と 14C
13C:中性子数 = 13 − 6 = 7
14C:中性子数 = 14 − 6 = 8
中性子数が異なるため、同中性子体ではありません。
なお、どちらも炭素なので、これは同位体の関係です。
3.14N と 14C
14N:中性子数 = 14 − 7 = 7
14C:中性子数 = 14 − 6 = 8
中性子数が異なるため、同中性子体ではありません。
質量数が同じなので、これは同重体の関係です。
4.15N と 16O
15N:中性子数 = 15 − 7 = 8
16O:中性子数 = 16 − 8 = 8
中性子数がどちらも8です。
陽子数は異なるため、同中性子体の関係です。
5.16O と 16N
16O:中性子数 = 16 − 8 = 8
16N:中性子数 = 16 − 7 = 9
中性子数が異なるため、同中性子体ではありません。
質量数が同じなので、同重体の関係です。
覚えるポイント
核種の関係は、何が同じかで整理します。
- 同位体:陽子数が同じ、中性子数が異なる
- 同重体:質量数が同じ、陽子数が異なる
- 同中性子体:中性子数が同じ、陽子数が異なる
本問では、15Nと16Oの中性子数がどちらも8なので、正答は4です。
78AM62問題・解答・解説
問題文
[78AM62] 特性 X 線で正しいのはどれか。 2 つ選べ。
選択肢
- 1.オージェ電子と競合して放出される。
- 2.原子番号が高いほど波長が短くなる。
- 3.エネルギー分布は連続スペクトルである。
- 4.中性子と物質との相互作用によって発生する。
- 5.電子が原子核のクーロン力によって減速する過程で発生する。
答え
1.オージェ電子と競合して放出される。 2.原子番号が高いほど波長が短くなる。
解説
正答
1.オージェ電子と競合して放出される。
2.原子番号が高いほど波長が短くなる。
問題のポイント
特性X線は、原子の内殻電子が抜けたあと、その空孔を外側の軌道電子が埋めるときに発生するX線です。
電子が外殻から内殻へ移ると、軌道間のエネルギー差が放出されます。
そのエネルギーがX線として放出されたものが特性X線です。
特性X線のエネルギーは元素ごとに決まるため、「特性」という名前がついています。
なぜ1が正しいか
内殻空孔が生じたあと、外殻電子がその空孔へ遷移すると、余分なエネルギーが放出されます。
このエネルギーの放出方法には、主に2つあります。
- 特性X線として放出される
- 他の軌道電子にエネルギーを与え、オージェ電子として放出される
つまり、特性X線の放出とオージェ電子の放出は競合する現象です。
したがって、1.オージェ電子と競合して放出される、は正しいです。
なぜ2が正しいか
原子番号が高い元素ほど、原子核の正電荷が大きくなり、内殻電子は強く束縛されます。
そのため、内殻と外殻のエネルギー差が大きくなり、特性X線のエネルギーも高くなります。
X線のエネルギー E と波長 λ は、
E = hc / λ
の関係にあります。
エネルギーが高いほど波長は短くなるため、原子番号が高いほど特性X線の波長は短くなります。
したがって、2.原子番号が高いほど波長が短くなる、は正しいです。
他の選択肢との区別
1.オージェ電子と競合して放出される。
正しいです。
内殻空孔の緩和過程では、特性X線放出とオージェ電子放出が競合します。
2.原子番号が高いほど波長が短くなる。
正しいです。
原子番号が高いほど特性X線のエネルギーが高くなり、波長は短くなります。
3.エネルギー分布は連続スペクトルである。
誤りです。
特性X線は軌道間のエネルギー差で決まるため、線スペクトルを示します。
連続スペクトルを示すのは制動X線です。
4.中性子と物質との相互作用によって発生する。
誤りです。
特性X線は主に、内殻電離によって生じた空孔を外殻電子が埋めることで発生します。
中性子と物質との相互作用を直接の発生機序とするものではありません。
5.電子が原子核のクーロン力によって減速する過程で発生する。
誤りです。
これは制動X線の説明です。
電子が原子核近傍で減速・方向変化することで発生するX線が制動X線です。
覚えるポイント
特性X線と制動X線を対比して覚えます。
特性X線:
- 内殻空孔を外殻電子が埋めるときに発生
- 線スペクトル
- 元素固有のエネルギー
- オージェ電子放出と競合
- 原子番号が高いほど高エネルギー、短波長
制動X線:
- 高速電子が原子核のクーロン場で減速して発生
- 連続スペクトル
本問では、特性X線の特徴として正しい1と2が正答です。
78AM63問題・解答・解説
問題文
[78AM63] 電子と物質との相互作用はどれか。 2 つ選べ。
選択肢
- 1.制動放射
- 2.光核反応
- 3.電子対生成
- 4.コンプトン散乱
- 5.Cherenkov 〈チェレンコフ〉放射
答え
1.制動放射 5.Cherenkov 〈チェレンコフ〉放射
解説
正答
1.制動放射
5.Cherenkov〈チェレンコフ〉放射
問題のポイント
この問題では、「電子」が物質中を通過するときに起こる相互作用を選びます。
電子は荷電粒子なので、物質中では主に、
- 原子の電子との衝突による電離・励起
- 原子核のクーロン場による減速、つまり制動放射
- 媒質中の光速を超えて進む場合のチェレンコフ放射
などを起こします。
なぜ制動放射が正しいか
制動放射は、高速電子が原子核の近くを通過するとき、原子核のクーロン力によって進行方向を曲げられたり減速したりすることで発生します。
このとき、電子が失ったエネルギーの一部がX線として放出されます。
これが制動X線です。
したがって、制動放射は電子と物質との相互作用です。
なぜチェレンコフ放射が正しいか
チェレンコフ放射は、荷電粒子が媒質中を、その媒質中の光速より速く進むときに発生する光です。
電子は荷電粒子なので、十分な速度を持って水や組織などの媒質中を進むと、チェレンコフ放射を生じることがあります。
したがって、5.Cherenkov〈チェレンコフ〉放射も電子と物質との相互作用です。
他の選択肢との区別
1.制動放射
正しいです。
高速電子が原子核のクーロン場で減速・偏向され、X線を放出する相互作用です。
2.光核反応
誤りです。
光核反応は、高エネルギー光子が原子核と相互作用して、中性子などを放出する反応です。
電子と物質との相互作用ではなく、光子と原子核との相互作用です。
3.電子対生成
誤りです。
電子対生成は、高エネルギー光子が原子核近傍で電子と陽電子の対を生成する現象です。
これは光子と物質との相互作用です。
4.コンプトン散乱
誤りです。
コンプトン散乱は、光子が軌道電子と相互作用して、散乱光子と反跳電子を生じる現象です。
電子が出てきますが、主役は入射光子なので、光子と物質との相互作用として分類されます。
5.Cherenkov〈チェレンコフ〉放射
正しいです。
荷電粒子である電子が媒質中の光速を超えて進むときに発生します。
覚えるポイント
相互作用は、入射する粒子で分類します。
電子と物質:
- 電離・励起
- 制動放射
- チェレンコフ放射
光子と物質:
- 光電効果
- コンプトン散乱
- 電子対生成
- 光核反応
本問では、電子と物質との相互作用として、制動放射とチェレンコフ放射が正答です。
78AM64問題・解答・解説
問題文
[78AM64] 超音波の性質で正しいのはどれか。
選択肢
- 1.空気中を伝播しやすい。
- 2.組織中を進むにつれて増幅される。
- 3.伝播速度は脂肪組織よりも水中の方が遅い。
- 4.音響インピーダンスの差が大きい境界面では反射が強くなる。
- 5.ドプラ効果とは超音波が骨に当たって乱反射する現象である。
答え
4.音響インピーダンスの差が大きい境界面では反射が強くなる。
解説
正答
4.音響インピーダンスの差が大きい境界面では反射が強くなる。
問題のポイント
超音波検査では、体内に送った超音波が組織境界で反射し、その反射波を画像化します。
反射の強さは、境界をはさむ2つの組織の音響インピーダンスの差によって決まります。
音響インピーダンス Z は、
Z = 密度 × 音速
で表されます。
なぜ4が正しいか
超音波が異なる組織の境界に当たると、一部は反射し、一部は透過します。
このとき、2つの組織の音響インピーダンスの差が大きいほど、反射が強くなります。
例えば、軟部組織と空気、軟部組織と骨の境界では、音響インピーダンスの差が大きいため、強い反射が起こります。
そのため、
- 肺や腸管ガスは超音波観察の妨げになりやすい
- 骨の奥は見えにくい
- 超音波検査ではゼリーを使って空気層をなくす
といった特徴があります。
したがって、4.音響インピーダンスの差が大きい境界面では反射が強くなる、が正しいです。
他の選択肢との区別
1.空気中を伝播しやすい。
誤りです。
超音波は空気中では伝わりにくく、体表とプローブの間に空気が入ると強く反射されます。
そのため、検査ではゼリーを使って空気を排除します。
2.組織中を進むにつれて増幅される。
誤りです。
超音波は組織中を進むにつれて、吸収、散乱、反射により減衰します。
深部ほど信号は弱くなります。
3.伝播速度は脂肪組織よりも水中の方が遅い。
誤りです。
水中の音速は約1480 m/s、脂肪組織では約1450 m/s程度です。
したがって、水中の方が脂肪組織よりやや速く、選択肢は逆です。
4.音響インピーダンスの差が大きい境界面では反射が強くなる。
正しいです。
組織間の音響インピーダンス差が大きいほど、反射が強くなります。
5.ドプラ効果とは超音波が骨に当たって乱反射する現象である。
誤りです。
ドプラ効果は、反射体が動いているときに、受信周波数が変化する現象です。
血流速度測定などに利用されます。骨による乱反射ではありません。
覚えるポイント
超音波の基本性質は次のように整理します。
- 空気は苦手:強く反射し、伝わりにくい
- 組織中では深部へ進むほど減衰する
- 音響インピーダンス差が大きいほど反射が強い
- 水中の音速は脂肪組織よりやや速い
- ドプラ効果は動く反射体による周波数変化
本問では、超音波反射の基本である、音響インピーダンス差が大きいほど反射が強いという4が正答です。
78AM65問題・解答・解説
問題文
[78AM65] 定電流源を用いた電源回路を図に示す。 P 点の対地電位[V]はどれか。
選択肢
- 1.0
- 2.1
- 3.2
- 4.3
- 5.5
答え
3.2
解説
正答
3.2
回路の見方
図では、下側の導線が接地されているため、下側の電位を 0 V とします。
P点は上側の節点です。
P点には次の3つの枝が接続されています。
- 左枝:5 A の定電流源
- 中央枝:1 Ω 抵抗
- 右枝:2 Ω 抵抗と 16 V 電源
右側の16 V電源は、上側端子が正、下側端子が接地側です。
したがって、2 Ω 抵抗の下端の電位は +16 V です。
P点の電位を V とおく
P点の対地電位を V[V]とします。
中央の1 Ω抵抗には、P点から接地へ向かって
V / 1 = V[A]
の電流が流れます。
左の定電流源には、図の矢印方向に 5 A が下向きに流れます。
つまり、P点から接地側へ 5 A が流れ出ます。
一方、右枝では、2 Ω抵抗の下端が +16 V、上端が P点の V です。
そのため、16 V側からP点へ流れ込む電流は、
(16 − V) / 2
です。
キルヒホッフの電流則で考える
P点に流れ込む電流と、P点から流れ出る電流は等しくなります。
P点へ流れ込む電流:
(16 − V) / 2
P点から流れ出る電流:
V + 5
したがって、
(16 − V) / 2 = V + 5
両辺を2倍すると、
16 − V = 2V + 10
整理すると、
6 = 3V
よって、
V = 2 V
となります。
したがって、P点の対地電位は 2 V です。
他の選択肢との区別
1.0
誤りです。
P点は接地されていないため、0 Vとは限りません。計算すると2 Vです。
2.1
誤りです。
電流源と右側の16 V電源の両方を考慮すると、1 Vにはなりません。
3.2
正しいです。
キルヒホッフの電流則より、P点の電位は2 Vです。
4.3
誤りです。
右枝からP点へ流れ込む電流と、1 Ω抵抗・電流源へ流れ出る電流のつり合いを計算すると3 Vではありません。
5.5
誤りです。
5 Aという電流源の値をそのまま電圧と考えてはいけません。抵抗と電源を含めて節点方程式を立てる必要があります。
覚えるポイント
節点電位を求める問題では、
- 接地を 0 V とする
- 求めたい節点電位を V とおく
- 各枝の電流をオームの法則で表す
- 節点に流れ込む電流 = 節点から流れ出る電流
の順に考えます。
本問では、
(16 − V) / 2 = V + 5
となるため、P点の対地電位は 2 V です。
78AM66問題・解答・解説
問題文
[78AM66] 正弦波交流回路の電圧波形 e(t)と電流波形 i(t)を図に示す。 消費電力[W]に最も近いのはどれか。
選択肢
- 1.0
- 2.5
- 3.10
- 4.20
- 5.40
答え
3.10
解説
正答
3.10
図の見方
提示図は、正弦波交流回路における電圧波形 e(t) と電流波形 i(t) を示しています。
破線が電圧 e(t)、実線が電流 i(t) です。
図から読み取れる値は、
- 電圧の最大値:およそ 8 V
- 電流の最大値:およそ 5 A
- 電圧と電流の位相差:約 π/3、つまり 60°
です。
電圧波形 e(t) の方が電流波形 i(t) より先にピークを迎えているため、電圧が電流より進んでいます。
ただし、消費電力の計算では位相差の cos を使うため、進み・遅れの向きよりも位相差の大きさが重要です。
交流回路の消費電力
正弦波交流回路の有効電力、つまり消費電力 P は、
P = 実効電圧 × 実効電流 × cosθ
で求めます。
ここで、
- θ:電圧と電流の位相差
- cosθ:力率
です。
最大値を使う場合は、
P = 1/2 × 電圧最大値 × 電流最大値 × cosθ
として計算できます。
実効値に直して計算する方法
電圧の最大値は 8 V なので、実効値は、
8 / √2 V
です。
電流の最大値は 5 A なので、実効値は、
5 / √2 A
です。
位相差は約60°なので、
cos60° = 1/2
です。
したがって、
P = (8 / √2) × (5 / √2) × 1/2
まず、
(8 / √2) × (5 / √2)
= 40 / 2
= 20
これに力率 1/2 をかけると、
P = 20 × 1/2
= 10 W
となります。
したがって、消費電力は約10 Wです。
最大値から直接計算する方法
同じ計算を最大値で行うと、
P = 1/2 × Em × Im × cosθ
です。
Em = 8 V
Im = 5 A
θ = 60°
を代入すると、
P = 1/2 × 8 × 5 × cos60°
P = 1/2 × 8 × 5 × 1/2
P = 10 W
となります。
他の選択肢との区別
1.0
誤りです。
電圧と電流の位相差が90°なら平均消費電力は0になりますが、本図の位相差は約60°です。
2.5
誤りです。
力率や実効値の扱いを誤ると近い値になることがありますが、正しく計算すると10 Wです。
3.10
正しいです。
電圧最大値8 V、電流最大値5 A、位相差60°として計算すると、消費電力は10 Wです。
4.20
誤りです。
これは実効電圧と実効電流の積に相当します。
位相差による力率 cos60° = 1/2 をかける必要があります。
5.40
誤りです。
これは電圧最大値と電流最大値をそのまま掛けた値です。
交流の平均消費電力では、実効値と位相差を考慮する必要があります。
覚えるポイント
正弦波交流の消費電力は、
P = Vrms Irms cosθ
で求めます。
最大値で与えられている場合は、
P = 1/2 Em Im cosθ
と考えると便利です。
本問では、
- 電圧最大値:8 V
- 電流最大値:5 A
- 位相差:60°
- cos60° = 1/2
なので、
P = 1/2 × 8 × 5 × 1/2 = 10 W
となり、正答は3です。
78AM67問題・解答・解説
問題文
[78AM67] 図の回路で、時刻 t = 0 で vi に 20 mV の直流電圧を加えたとき、t = 3 s における出力電圧 vo[V]に最も近いのはどれか。 ただし、演算増幅器は理想的な特性を有する。
選択肢
- 1.− 5
- 2.− 3
- 3.0
- 4.3
- 5.5
答え
2.− 3
解説
正答
2.−3
回路の見方
提示図は、演算増幅器〈オペアンプ〉を用いた反転積分回路です。
回路では、
- 入力抵抗:10 kΩ
- 帰還コンデンサ:2 μF
- 非反転入力端子〈+端子〉:接地
- 入力電圧 vi:20 mV の直流電圧
となっています。
理想的な演算増幅器では、非反転入力端子が接地されているため、反転入力端子〈−端子〉も仮想接地となり、電位はほぼ 0 V と考えます。
なぜ積分回路か
入力信号 vi は、10 kΩ の抵抗を通って反転入力端子へ入ります。
ただし、理想的な演算増幅器では入力端子に電流は流れません。
そのため、入力抵抗を流れた電流は、そのまま帰還コンデンサへ流れます。
つまり、この回路では、入力電圧によって一定の電流がコンデンサに流れ込み、時間とともに出力電圧が変化します。
反転入力なので、正の直流入力を加えると、出力電圧は負方向へ直線的に変化します。
使用する式
反転積分回路の出力電圧は、初期電圧を0 Vとすると、
vo(t) = − 1 / RC ∫ vi dt
です。
入力 vi が一定の直流電圧なら、
vo(t) = − vi / RC × t
となります。
値を代入する
入力電圧は、
20 mV = 0.020 V
です。
抵抗は、
R = 10 kΩ = 10,000 Ω
コンデンサは、
C = 2 μF = 2 × 10⁻⁶ F
したがって、
RC = 10,000 × 2 × 10⁻⁶
= 0.020 s
となります。
出力電圧を計算する
反転積分回路なので、
vo(t) = − vi / RC × t
です。
t = 3 s を代入すると、
vo(3) = − 0.020 / 0.020 × 3
0.020 / 0.020 = 1
なので、
vo(3) = −1 × 3
= −3 V
したがって、t = 3 s における出力電圧は約 −3 V です。
電流から考える方法
仮想接地により、入力抵抗の右端はほぼ 0 V です。
したがって、入力抵抗を流れる電流は、
I = vi / R
= 0.020 / 10,000
= 2 × 10⁻⁶ A
= 2 μA
です。
この電流が 2 μF のコンデンサに流れるので、
dV/dt = I / C
= 2 μA / 2 μF
= 1 V/s
となります。
反転回路なので出力は負方向へ変化し、
1 V/s × 3 s = 3 V
より、
vo = −3 V
となります。
他の選択肢との区別
1.−5
誤りです。
出力の変化速度は −1 V/s なので、3秒後は −5 V ではなく −3 V です。
2.−3
正しいです。
反転積分回路で、vo = −vi t / RC = −3 V となります。
3.0
誤りです。
直流入力を加えると、積分回路の出力は時間とともに変化します。3秒後も0 Vのままではありません。
4.3
誤りです。
積分量の大きさは3 Vですが、反転積分回路なので符号は負になります。
5.5
誤りです。
大きさも符号も合いません。
覚えるポイント
反転積分回路では、
vo(t) = − 1 / RC ∫ vi dt
を使います。
直流入力を加えた場合は、
vo(t) = − vi / RC × t
です。
本問では、
- vi = 20 mV = 0.020 V
- R = 10 kΩ
- C = 2 μF
- RC = 0.020 s
- t = 3 s
なので、
vo = − 0.020 / 0.020 × 3 = −3 V
となり、正答は2です。
78AM68問題・解答・解説
問題文
[78AM68] 光子フルエンス当たりの相互作用係数を表しているのはどれか。
選択肢
- 1.カーマ
- 2.照射線量
- 3.線阻止能
- 4.線減弱係数
- 5.線エネルギー付与
答え
4.線減弱係数
解説
正答
4.線減弱係数
問題のポイント
光子が物質中を進むと、光電効果、コンプトン散乱、電子対生成などの相互作用によって数が減少します。
このとき、単位長さあたりにどれだけ光子が相互作用して減弱するかを表す係数が、線減弱係数です。
線減弱係数は μ で表され、単位は通常 cm⁻¹ や m⁻¹ です。
なぜ線減弱係数が正しいか
光子フルエンスを Φ とすると、厚さ dx の物質中で相互作用する光子数は、おおまかに
dΦ = − μΦ dx
と表されます。
ここで μ が線減弱係数です。
つまり、線減弱係数 μ は、
- 光子が物質中で相互作用する確率に関係する
- 単位長さあたりの減弱のしやすさを表す
- 光子フルエンスが物質中でどれだけ減るかを表す
係数です。
したがって、「光子フルエンス当たりの相互作用係数」を表すものとして最も適切なのは、4.線減弱係数です。
他の選択肢との区別
1.カーマ
誤りです。
カーマ〈kerma〉は、非荷電粒子が物質中で荷電粒子に与えた初期運動エネルギーを、単位質量あたりで表した量です。
単位はGyです。光子フルエンス当たりの相互作用係数そのものではありません。
2.照射線量
誤りです。
照射線量は、X線またはγ線が空気を電離して生じた電荷量を、空気の質量で割った量です。
単位はC/kgです。光子の相互作用確率を表す係数ではありません。
3.線阻止能
誤りです。
線阻止能は、荷電粒子が物質中を進むときに、単位長さあたりに失うエネルギーを表します。
電子線、陽子線、α線などの荷電粒子に関係する量であり、光子フルエンス当たりの相互作用係数ではありません。
4.線減弱係数
正しいです。
光子が物質中で単位長さあたりに相互作用して減弱する割合を表す係数です。
5.線エネルギー付与
誤りです。
線エネルギー付与〈LET〉は、荷電粒子が単位長さあたりに物質へ付与するエネルギーを表します。
高LET放射線、低LET放射線の分類で重要ですが、光子フルエンス当たりの相互作用係数ではありません。
覚えるポイント
光子と荷電粒子で、使う量を区別します。
光子に関係する量:
- 線減弱係数
- 質量減弱係数
- 質量エネルギー転移係数
- 質量エネルギー吸収係数
荷電粒子に関係する量:
- 線阻止能
- 質量阻止能
- LET
本問では、光子フルエンス当たりの相互作用を表す係数なので、線減弱係数が正答です。
78AM69問題・解答・解説
問題文
[78AM69] Bragg-Gray〈ブラッグ・グレイ〉の空洞理論で誤っているのはどれか。
選択肢
- 1.荷電粒子に適用できる。
- 2.電子平衡状態で成立する。
- 3.空洞内の電子フルエンスは一様である。
- 4.空洞の大きさは二次電子の最大飛程より小さい。
- 5.空気と物質の吸収線量の比は質量エネルギー吸収係数の比に等しい。
答え
5.空気と物質の吸収線量の比は質量エネルギー吸収係数の比に等しい。
解説
正答
5.空気と物質の吸収線量の比は質量エネルギー吸収係数の比に等しい。
問題のポイント
Bragg-Grayの空洞理論は、物質中に小さな空洞、たとえば電離箱の空気空洞を置いたとき、空洞内で測定した電離量から周囲物質の吸収線量を求めるための理論です。
重要なのは、空洞が十分小さく、周囲物質中の荷電粒子場を乱さないと考える点です。
Bragg-Gray空洞理論の基本
Bragg-Grayの空洞理論では、空洞内の線量と周囲物質の線量の関係は、質量阻止能比で表されます。
簡単にいうと、
物質の吸収線量 / 空洞気体の吸収線量
= 物質と気体の質量衝突阻止能比
として扱います。
つまり、Bragg-Gray理論で重要なのは「質量エネルギー吸収係数」ではなく、「質量阻止能」です。
なぜ5が誤りか
選択肢5では、空気と物質の吸収線量の比が「質量エネルギー吸収係数の比」に等しいとしています。
しかし、Bragg-Gray空洞理論では、空洞内に線量を与える主な粒子は電子などの荷電粒子です。
そのため、吸収線量の比は、荷電粒子のエネルギー損失を表す質量衝突阻止能の比で考えます。
質量エネルギー吸収係数は、光子が物質にエネルギーを吸収させる過程を扱う係数です。
Bragg-Gray空洞理論で直接使う基本量ではありません。
したがって、5が誤りです。
他の選択肢との区別
1.荷電粒子に適用できる。
正しいです。
Bragg-Gray空洞理論は、電子などの荷電粒子が空洞内を通過して電離を起こすことを前提にします。
2.電子平衡状態で成立する。
正しいです。
線量評価では、周囲物質中の二次電子場が安定していることが重要です。
特に光子線場で電離箱を用いる場合、電子平衡またはそれに近い条件が重要になります。
3.空洞内の電子フルエンスは一様である。
正しいです。
空洞が十分小さく、電子場を乱さない場合、空洞内の荷電粒子フルエンスは周囲物質中と同じように扱えます。
4.空洞の大きさは二次電子の最大飛程より小さい。
正しいです。
空洞が大きすぎると、空洞内で電子場が変化し、周囲物質中の電子フルエンスを代表できなくなります。
Bragg-Gray空洞では、空洞は二次電子の飛程に比べて十分小さい必要があります。
5.空気と物質の吸収線量の比は質量エネルギー吸収係数の比に等しい。
誤りです。
Bragg-Gray空洞理論では、吸収線量の比は質量衝突阻止能比で表されます。
覚えるポイント
Bragg-Gray空洞理論では、次の点を押さえます。
- 小さな空洞を考える
- 空洞は荷電粒子場を乱さない
- 空洞の大きさは二次電子の飛程より十分小さい
- 線量比は質量衝突阻止能比で表す
- 質量エネルギー吸収係数比ではない
本問は「誤っているもの」を選ぶため、正答は5です。
78AM70問題・解答・解説
問題文
[78AM70] 空洞電離箱線量計を用いて大気条件 25.0 ℃、100.0 kPa のもとで照射線量を測 定した。 温度気圧補正係数に最も近いのはどれか。 ただし、空洞電離箱線量計は基準大気条件 22.0 ℃、101.3 kPa のもとで校正さ れたものとする。
選択肢
- 1.0.95
- 2.0.98
- 3.1.00
- 4.1.02
- 5.1.05
答え
4.1.02
解説
正答
4.1.02
問題のポイント
空洞電離箱では、空洞内の空気質量が温度と気圧で変化します。
温度が高くなると空気密度は低下し、気圧が低くなっても空気密度は低下します。
空気密度が変わると、同じ照射条件でも測定される電離量が変化するため、温度気圧補正が必要です。
温度気圧補正係数の式
基準条件を T0、P0、測定条件を T、P とすると、温度気圧補正係数 kTP は、
kTP = {(273.15 + T) / (273.15 + T0)} × {P0 / P}
で求めます。
ここで、
- T:測定時の温度[℃]
- T0:校正時の基準温度[℃]
- P:測定時の気圧[kPa]
- P0:校正時の基準気圧[kPa]
です。
値を代入する
測定条件は、
T = 25.0 ℃
P = 100.0 kPa
基準条件は、
T0 = 22.0 ℃
P0 = 101.3 kPa
です。
したがって、
kTP = {(273.15 + 25.0) / (273.15 + 22.0)} × {101.3 / 100.0}
kTP = 298.15 / 295.15 × 1.013
298.15 / 295.15 ≒ 1.010
なので、
kTP ≒ 1.010 × 1.013
≒ 1.023
となります。
最も近い選択肢は 1.02 です。
他の選択肢との区別
1.0.95
誤りです。
測定時は基準条件より温度が高く、気圧が低いため、空気密度は低くなります。
その分、補正係数は1より大きくなります。
2.0.98
誤りです。
1より小さい値にはなりません。
3.1.00
誤りです。
測定条件が基準条件と異なるため、補正係数は厳密には1.00ではありません。
4.1.02
正しいです。
計算値は約1.023で、選択肢では1.02が最も近いです。
5.1.05
誤りです。
補正方向は合っていますが、値が大きすぎます。
覚えるポイント
温度気圧補正では、
kTP = {(273.15 + T) / (273.15 + T0)} × {P0 / P}
を使います。
- 温度が基準より高い:補正係数は大きくなる
- 気圧が基準より低い:補正係数は大きくなる
本問では、温度が高く、気圧が低いため、補正係数は1より少し大きくなります。
計算値は約1.02なので、正答は4です。
78AM71問題・解答・解説
問題文
[78AM71] 照射線量が 2.0 × 10-4 C/kg のとき、空気カーマ[Gy]に最も近いのはどれか。 ただし、空気の W 値を 34 eV、電気素量を 1.6 × 10-19 C、 1 eV=1.6 × 10-19 J とする。
選択肢
- 1.1.7 × 10-40
- 2.5.9 × 10-6
- 3.1.1 × 10-3
- 4.6.8 × 10-3
- 5.4.3 × 1016
答え
4.6.8 × 10-3
解説
正答
4.6.8 × 10⁻³
問題のポイント
照射線量 X は、空気中で発生した電荷量を空気の質量で割った量です。
単位は C/kg です。
一方、空気カーマは、空気1 kgあたりに荷電粒子へ転移された運動エネルギーを表します。
単位は Gy、つまり J/kg です。
本問では、照射線量 C/kg を、W値を用いて J/kg に変換します。
W値とは
W値とは、空気中で1組のイオン対を作るのに必要な平均エネルギーです。
本問では、
W = 34 eV
と与えられています。
1個のイオン対を作ると、電気素量 e = 1.6 × 10⁻¹⁹ C の電荷が生じます。
したがって、1 C の電荷を作るのに必要なエネルギーは、
W / e
で表されます。
W/eを求める
W = 34 eV です。
1 eV = 1.6 × 10⁻¹⁹ J なので、
W = 34 × 1.6 × 10⁻¹⁹ J
これを電気素量 e = 1.6 × 10⁻¹⁹ C で割ると、
W/e = (34 × 1.6 × 10⁻¹⁹ J) / (1.6 × 10⁻¹⁹ C)
1.6 × 10⁻¹⁹ が約分されるので、
W/e = 34 J/C
となります。
空気カーマを求める
照射線量は、
X = 2.0 × 10⁻⁴ C/kg
です。
空気カーマ K は、
K = X × W/e
で求められます。
したがって、
K = 2.0 × 10⁻⁴ × 34
K = 68 × 10⁻⁴
K = 6.8 × 10⁻³ J/kg
1 Gy = 1 J/kg なので、
K = 6.8 × 10⁻³ Gy
となります。
他の選択肢との区別
1.1.7 × 10⁻⁴⁰
誤りです。
eV、J、Cの指数を誤って処理した場合に出やすい極端に小さい値です。
2.5.9 × 10⁻⁶
誤りです。
W/eの扱いが逆になると近い桁の誤答になります。
本問では W/e = 34 J/C を掛けます。
3.1.1 × 10⁻³
誤りです。
計算値より小さいです。
4.6.8 × 10⁻³
正しいです。
2.0 × 10⁻⁴ C/kg × 34 J/C = 6.8 × 10⁻³ Gy です。
5.4.3 × 10¹⁶
誤りです。
電気素量で割る操作を誤ると極端に大きい値になります。
覚えるポイント
照射線量 X から空気カーマ K を求めるときは、
K = X × W/e
を使います。
空気のW値が34 eVのとき、
W/e = 34 J/C
と考えると計算が速くなります。
本問では、
K = 2.0 × 10⁻⁴ × 34 = 6.8 × 10⁻³ Gy
となるため、正答は4です。
78AM72問題・解答・解説
問題文
[78AM72] GM 計数管の出力電圧と時間の関係を図に示す。 図の説明で正しいのはどれか。
選択肢
- 1.B は分解時間である。
- 2.A が短いほど数え落としが多くなる。
- 3.図から β 線のエネルギーを取得できる。
- 4.出力電圧の高さは放射能の強さに比例する。
- 5.波高弁別レベルを超えたパルスの数を計数する。
答え
5.波高弁別レベルを超えたパルスの数を計数する。
解説
正答
5.波高弁別レベルを超えたパルスの数を計数する。
図の見方
提示図は、GM計数管で放射線が入射した後の出力電圧の変化を示しています。
GM計数管では、1個の放射線が入射すると、管内で大きなガス増幅が起こり、ほぼ一定の大きさのパルスが発生します。
ただし、1回放電が起こった直後は、管内に陽イオンが残るため、すぐには正常な大きさのパルスを出せません。
そのため、時間経過に伴って、
- まったく計数できない時間
- 小さいパルスしか出ない時間
- 正常なパルスに戻るまでの時間
が生じます。
図の横線で示されている「波高弁別レベル」は、これ以上の高さのパルスだけを計数するためのしきい値です。
なぜ5が正しいか
GM計数管では、出力されたすべての小さな変動を数えるのではなく、波高弁別レベルを超えたパルスだけを1個の計数として扱います。
波高弁別レベルより小さいパルスは、雑音や不十分なパルスとして除外されます。
したがって、図の説明として正しいのは、
「波高弁別レベルを超えたパルスの数を計数する」
です。
AとBの意味
図のAは、最初のパルス後、次のパルスが波高弁別レベルを超えて計数可能になるまでの時間を示しています。
これは分解時間に相当します。
図のBは、最初のパルス後、GM計数管がほぼ正常なパルス波高を回復するまでの時間を示しています。
これは回復時間に相当します。
したがって、「Bは分解時間である」という選択肢1は誤りです。
他の選択肢との区別
1.B は分解時間である。
誤りです。
Bは正常なパルス波高に戻るまでの回復時間を示しています。
分解時間は、次のパルスが波高弁別レベルを超えて計数できるようになるまでの時間で、図ではAに相当します。
2.A が短いほど数え落としが多くなる。
誤りです。
Aが短いほど、次の放射線を早く計数できるようになります。
そのため、数え落としは少なくなります。
数え落としが多くなるのは、分解時間や不感時間が長い場合です。
3.図からβ線のエネルギーを取得できる。
誤りです。
GM計数管では、放射線が入射すると放電が飽和的に起こるため、パルスの高さは入射放射線のエネルギーに比例しません。
したがって、β線のエネルギー測定には適していません。
4.出力電圧の高さは放射能の強さに比例する。
誤りです。
GM計数管のパルス波高はほぼ一定であり、放射能の強さに比例するのは主に計数率です。
放射能が強いほど単位時間あたりのパルス数は増えますが、1つ1つのパルスの高さが比例して大きくなるわけではありません。
5.波高弁別レベルを超えたパルスの数を計数する。
正しいです。
GM計数管では、波高弁別レベルを超えたパルスを計数し、放射線の入射数を評価します。
覚えるポイント
GM計数管では、次の特徴を押さえます。
- パルス波高は放射線エネルギーに比例しない
- エネルギー測定には不向き
- 放射能の強さはパルス数、つまり計数率として評価する
- 波高弁別レベルを超えたパルスを計数する
- 不感時間や分解時間があるため、高計数率では数え落としが起こる
本問では、GM計数管の計数の基本である「波高弁別レベルを超えたパルスの数を計数する」が正答です。
78AM73問題・解答・解説
問題文
[78AM73] X 線管装置で誤っているのはどれか。
選択肢
- 1.放射口は X 線を通過させる開口部である。
- 2.焦点外 X 線は実焦点外から放射される X 線である。
- 3.ターゲット角は実焦点面と基準軸とがなす角である。
- 4.実焦点は加速粒子が当たるターゲットの表面部分である。
- 5.総ろ過は X 線が透過する部分の取り外しできない物質による線質等価ろ過 である。
答え
5.総ろ過は X 線が透過する部分の取り外しできない物質による線質等価ろ過 である。
解説
正答
5.総ろ過はX線が透過する部分の取り外しできない物質による線質等価ろ過である。
問題のポイント
この問題は、X線管装置に関する基本用語を確認する問題です。
特に重要なのは、
- 放射口
- 実焦点
- 焦点外X線
- ターゲット角
- 固有ろ過
- 付加ろ過
- 総ろ過
の区別です。
本問は「誤っているもの」を選ぶ問題です。
なぜ5が誤りか
選択肢5の説明は、「総ろ過」ではなく「固有ろ過」の説明です。
X線管装置では、X線が放射口から出るまでに、管容器、絶縁油、ガラス、放射窓などを通過します。
これらのように、装置から取り外せない部分によるろ過を固有ろ過といいます。
一方、総ろ過とは、
固有ろ過 + 付加ろ過
を合わせたものです。
付加ろ過は、アルミニウム板などを追加して、低エネルギーX線を除去するために加えるろ過です。
したがって、「取り外しできない物質による線質等価ろ過」を総ろ過とする5は誤りです。
他の選択肢との区別
1.放射口はX線を通過させる開口部である。
正しいです。
放射口は、X線管容器からX線を外へ出すための開口部です。
2.焦点外X線は実焦点外から放射されるX線である。
正しいです。
焦点外X線は、電子がターゲット以外の部位に当たったり、反跳電子が別の場所に当たったりして、実焦点以外から発生するX線です。
画像のボケや不要被ばくの原因になります。
3.ターゲット角は実焦点面と基準軸とがなす角である。
正しいです。
ターゲット角は、陽極ターゲット面の傾きに関係する角度です。
実効焦点の大きさやヒール効果に関係します。
4.実焦点は加速粒子が当たるターゲットの表面部分である。
正しいです。
実焦点は、陰極から加速された電子が陽極ターゲットに衝突する実際の面積です。
5.総ろ過はX線が透過する部分の取り外しできない物質による線質等価ろ過である。
誤りです。
これは固有ろ過の説明です。
総ろ過は、固有ろ過と付加ろ過を合わせたものです。
覚えるポイント
ろ過は次のように整理します。
- 固有ろ過:取り外しできない部分によるろ過
- 付加ろ過:追加したフィルタによるろ過
- 総ろ過:固有ろ過 + 付加ろ過
本問では、選択肢5が固有ろ過を総ろ過として説明しているため、正答は5です。
78AM74問題・解答・解説
問題文
[78AM74] 管電圧 100 kV、管電流 800 mA、撮影時間 0.1 s、管電圧リプル百分率 12%のイ ンバータ式 X 線装置の公称最大電力[kW]はどれか。
選択肢
- 1.59.2
- 2.76.0
- 3.80.0
- 4.96.0
- 5.125.0
答え
2.76.0
解説
正答
2.76.0
問題のポイント
X線装置の公称最大電力は、X線高電圧装置が一定条件で出せる最大電力を表します。
基本的には、
電力[kW] = 管電圧[kV] × 管電流[mA] / 1000
で求めます。
ただし、本問では管電圧リプル百分率が12%と与えられています。
インバータ式X線装置では、管電圧が完全な直流ではなく、わずかに変動します。
この変動を考慮して、公称最大電力を求めます。
リプルを考慮する
管電圧リプル百分率が12%の場合、国試計算では公称最大電力の計算に用いる管電圧を、100 kVそのものではなく、およそ95%の管電圧として扱います。
したがって、計算に用いる管電圧は、
100 kV × 0.95 = 95 kV
です。
計算
管電流は、
800 mA = 0.8 A
です。
公称最大電力は、
95 kV × 800 mA / 1000
または、
95 kV × 0.8 A
で求めます。
95 × 0.8 = 76.0
したがって、
公称最大電力 = 76.0 kW
となります。
他の選択肢との区別
1.59.2
誤りです。
リプルを過大に補正した値に近く、本問の計算条件には合いません。
2.76.0
正しいです。
100 kVに0.95を掛けた95 kVを用い、95 kV × 0.8 A = 76.0 kWとなります。
3.80.0
誤りです。
100 kV × 0.8 A = 80.0 kWであり、リプル補正を考慮していません。
4.96.0
誤りです。
管電圧リプル12%を単純に増加方向へ扱った値であり、不適切です。
5.125.0
誤りです。
与えられた管電圧・管電流からは大きすぎる値です。
覚えるポイント
公称最大電力は、
電力[kW] = 管電圧[kV] × 管電流[mA] / 1000
で求めます。
ただし、管電圧リプルがある場合は、リプルを考慮した管電圧を用います。
本問では、
100 kV × 0.95 = 95 kV
95 kV × 800 mA / 1000 = 76.0 kW
となるため、正答は2です。
78AM75問題・解答・解説
問題文
[78AM75] イメージインテンシファイアで誤っているのはどれか。
選択肢
- 1.管状の容器に収納されている。
- 2.入射した X 線は可視光に変換される。
- 3.入力窓にはアルミニウムが用いられている。
- 4.X 線変換部、電子パターン変換部、出力像変換部からなる。
- 5.出力像変換部では入力時の約 100 倍に増幅された可視光に変換される。
答え
5.出力像変換部では入力時の約 100 倍に増幅された可視光に変換される。
解説
正答
5.出力像変換部では入力時の約100倍に増幅された可視光に変換される。
問題のポイント
イメージインテンシファイア〈I.I.〉は、X線透視画像を明るくして観察しやすくする装置です。
基本的な流れは、
X線 → 入力蛍光面で可視光 → 光電子 → 電子加速・集束 → 出力蛍光面で可視光
です。
この過程で画像が明るくなる理由は、
- 縮小利得
- 電子加速によるフラックス利得
の両方によります。
なぜ5が誤りか
出力像変換部では、加速された電子が出力蛍光面に衝突し、可視光へ変換されます。
しかし、「入力時の約100倍に増幅された可視光に変換される」という説明は不正確です。
I.I.の明るさの増加は、出力像変換部だけで単純に約100倍となるわけではありません。
I.I.全体の輝度増倍は、入力面から出力面への像の縮小による縮小利得と、電子加速によるフラックス利得の積で決まります。
総合的な輝度増倍は数千倍程度になることがあります。
したがって、5が誤りです。
他の選択肢との区別
1.管状の容器に収納されている。
正しいです。
I.I.は真空管構造をもち、管状の容器内に入力蛍光面、光電面、電子レンズ、出力蛍光面などを備えています。
2.入射したX線は可視光に変換される。
正しいです。
入力蛍光面で入射X線が可視光に変換されます。
その後、光電面で光電子へ変換されます。
3.入力窓にはアルミニウムが用いられている。
正しいです。
入力窓には、X線を透過しやすく、機械的強度もある材料としてアルミニウムなどが用いられます。
4.X線変換部、電子パターン変換部、出力像変換部からなる。
正しいです。
I.I.は、X線を光・電子像へ変換し、電子像を加速・集束し、最後に出力像として可視光へ変換します。
5.出力像変換部では入力時の約100倍に増幅された可視光に変換される。
誤りです。
I.I.全体の輝度増倍は縮小利得とフラックス利得によるものであり、出力像変換部だけを約100倍とする説明は不適切です。
覚えるポイント
I.I.の構造は次の流れで覚えます。
- 入力蛍光面:X線を可視光へ変換
- 光電面:可視光を電子へ変換
- 電子レンズ:電子像を加速・集束
- 出力蛍光面:電子像を可視光へ変換
- 輝度増倍:縮小利得 × フラックス利得
本問では、出力像変換部だけで約100倍に増幅された可視光になるという5が誤りです。
78AM76問題・解答・解説
問題文
[78AM76] FPD で正しいのはどれか。
選択肢
- 1.量子検出効率は CR に比べ低い。
- 2.TFT スイッチングで信号を読み取る。
- 3.直接変換方式では輝尽性蛍光体が用いられる。
- 4.CR 方式に比べ撮影してから画像表示までの時間が長い。
- 5.間接変換方式は直接変換方式に比べ常時温度管理が必要である。
答え
2.TFT スイッチングで信号を読み取る。
解説
正答
2.TFTスイッチングで信号を読み取る。
問題のポイント
FPD〈flat panel detector〉は、デジタルX線撮影で用いられる平面検出器です。
FPDには大きく、
- 直接変換方式
- 間接変換方式
があります。
どちらの方式でも、画素ごとに蓄積された電荷をTFT〈thin film transistor:薄膜トランジスタ〉のスイッチングによって順に読み出します。
なぜ2が正しいか
FPDでは、X線入射によって各画素に電気信号が蓄積されます。
この信号は、画素ごとに配置されたTFTスイッチを制御することで読み出されます。
TFTを順次オンにし、蓄積電荷を読み出し回路へ送ることで画像データを作ります。
したがって、2.TFTスイッチングで信号を読み取る、が正しいです。
他の選択肢との区別
1.量子検出効率はCRに比べ低い。
誤りです。
一般に、FPDはCRより量子検出効率〈DQE〉が高い傾向があります。
少ない線量でも効率よく画像信号を得やすいのが特徴です。
2.TFTスイッチングで信号を読み取る。
正しいです。
FPDでは画素ごとの電荷信号をTFTスイッチで読み出します。
3.直接変換方式では輝尽性蛍光体が用いられる。
誤りです。
直接変換方式では、X線を直接電荷に変換する材料として、アモルファスセレン〈a-Se〉などが用いられます。
輝尽性蛍光体を用いるのはCRです。
4.CR方式に比べ撮影してから画像表示までの時間が長い。
誤りです。
FPDは撮影後すぐに電気信号を読み出せるため、CRより画像表示までの時間が短いのが特徴です。
CRではカセッテを読み取り装置にかける必要があります。
5.間接変換方式は直接変換方式に比べ常時温度管理が必要である。
誤りです。
温度管理が問題になりやすいのは、直接変換方式で用いられるアモルファスセレンなどです。
間接変換方式の方が常時温度管理を強く必要とする、という記述は不適切です。
覚えるポイント
FPDは方式ごとに整理します。
直接変換方式:
- X線を直接電荷へ変換
- 代表材料:アモルファスセレン
- 空間分解能に有利
間接変換方式:
- X線を蛍光体で光へ変換し、フォトダイオードで電荷へ変換
- 代表材料:CsI、GOSなど
共通点:
- TFTスイッチングで信号を読み出す
- CRより画像表示が速い
- CRよりDQEが高い傾向がある
本問では、FPDの読み出し方式を正しく述べている2が正答です。
78AM77問題・解答・解説
問題文
[78AM77] 散乱線除去グリッドの特性と計算式の組合せで正しいのはどれか。 ただし、h:吸収はくの高さ、D:吸収はくの間隔、d:吸収はくの厚さ、 Tp:一次放射線透過率、Ts:散乱放射線透過率、Tt:全放射線透過率とする。
選択肢
- 1.グリッド比 (D+d)/h
- 2.グリッド密度 1/D
- 3.イメージ改善係数 Tp²/Tt
- 4.グリッド露出係数 1/Tp
- 5.コントラスト改善比 Ts/Tt
答え
3.イメージ改善係数 Tp²/Tt
解説
正答
3.イメージ改善係数 Tp²/Tt
問題のポイント
散乱線除去グリッドの特性には、幾何学的特性と物理的特性があります。
幾何学的特性:
- グリッド比
- グリッド密度
物理的特性:
- 一次放射線透過率 Tp
- 散乱放射線透過率 Ts
- 全放射線透過率 Tt
- 選択度
- コントラスト改善比
- グリッド露出係数
- イメージ改善係数
この問題では、特性名と計算式の組合せが正しいかを判断します。
なぜ3が正しいか
イメージ改善係数は、グリッドを使用することで画像がどれだけ改善するかを表す指標です。
式は、
イメージ改善係数 = Tp² / Tt
です。
ここで、
- Tp:一次放射線透過率
- Tt:全放射線透過率
です。
したがって、3.イメージ改善係数 Tp²/Tt が正しい組合せです。
他の選択肢との区別
1.グリッド比 (D+d)/h
誤りです。
グリッド比は、吸収はくの高さ h を、吸収はくの間隔 D で割ったものです。
正しくは、
グリッド比 = h / D
です。
2.グリッド密度 1/D
誤りです。
グリッド密度は、単位長さあたりの吸収はくの本数です。
吸収はくの間隔Dだけでなく、吸収はくの厚さdも含めて考えます。
正しくは、
グリッド密度 = 1 / (D + d)
です。
3.イメージ改善係数 Tp²/Tt
正しいです。
一次放射線透過率の二乗を全放射線透過率で割ったものです。
4.グリッド露出係数 1/Tp
誤りです。
グリッド露出係数は、グリッドを使用したときに必要となる露出増加の程度を表します。
全放射線透過率の逆数で表されます。
正しくは、
グリッド露出係数 = 1 / Tt
です。
5.コントラスト改善比 Ts/Tt
誤りです。
コントラスト改善比は、一次放射線透過率を全放射線透過率で割ったものです。
正しくは、
コントラスト改善比 = Tp / Tt
です。
覚えるポイント
散乱線除去グリッドの式は、まとめて覚えると強いです。
- グリッド比:h / D
- グリッド密度:1 / (D + d)
- 選択度:Tp / Ts
- コントラスト改善比:Tp / Tt
- グリッド露出係数:1 / Tt
- イメージ改善係数:Tp² / Tt
本問では、イメージ改善係数 Tp²/Tt の組合せが正しいため、正答は3です。
78AM78問題・解答・解説
問題文
[78AM78] トモシンセシスで正しいのはどれか。
選択肢
- 1.振り角は 120 度以上である。
- 2.断層厚は振り角に依存しない。
- 3.循環器用 X 線撮影装置で用いられる。
- 4.回転中心と回転中心から離れた画像の空間分解能は同等である。
- 5.step and shoot 方式では一定の角度ごとに X 線管を止めて撮影する。
答え
5.step and shoot 方式では一定の角度ごとに X 線管を止めて撮影する。
解説
正答
5.step and shoot方式では一定の角度ごとにX線管を止めて撮影する。
問題のポイント
トモシンセシスは、X線管を限られた角度範囲で移動させながら複数の投影画像を取得し、任意の断層面を再構成する撮影法です。
CTのように被写体の周囲を大きく回転して完全な断層像を作るのではなく、比較的小さい振り角で撮影する「限定角度断層撮影」です。
なぜ5が正しいか
トモシンセシスの撮影方式には、X線管を連続的に動かしながら撮影する方式と、一定角度ごとに停止して撮影する方式があります。
step and shoot方式では、
1.X線管をある角度まで移動する
2.その角度でいったん停止する
3.X線を照射して投影画像を取得する
4.次の角度へ移動する
という流れで撮影します。
つまり、一定の角度ごとにX線管を止めて撮影する方式です。
したがって、5が正しいです。
他の選択肢との区別
1.振り角は120度以上である。
誤りです。
トモシンセシスは限定角度で撮影する方法です。通常、CTのように広い角度を回転するのではなく、比較的小さい振り角で複数方向から投影画像を取得します。
2.断層厚は振り角に依存しない。
誤りです。
断層厚は振り角に依存します。一般に、振り角が大きいほど断層厚は薄くなり、深さ方向の分離能が向上します。逆に振り角が小さいと断層厚は厚くなります。
3.循環器用X線撮影装置で用いられる。
誤りです。
トモシンセシスは、乳房撮影、胸部、整形領域などで用いられることがあります。循環器用X線撮影装置の代表的な機能として問われるものではありません。
4.回転中心と回転中心から離れた画像の空間分解能は同等である。
誤りです。
トモシンセシスでは限定角度撮影であるため、断層面や位置によってボケや分解能が変化します。回転中心と離れた位置で空間分解能が常に同等とはいえません。
5.step and shoot方式では一定の角度ごとにX線管を止めて撮影する。
正しいです。
一定角度ごとに停止し、その位置で投影画像を取得します。
覚えるポイント
トモシンセシスは、
- 限定角度で複数投影を撮影する
- 任意断面を再構成できる
- CTより少ない角度範囲で撮影する
- 振り角が大きいほど断層厚は薄くなる
- step and shoot方式では一定角度ごとに停止して撮影する
と整理します。
本問では、step and shoot方式の説明として正しい5が正答です。
78AM79問題・解答・解説
問題文
[78AM79] 乳房用 X 線装置で正しいのはどれか。
選択肢
- 1.拡大撮影はできない。
- 2.自動露出機構を備える。
- 3.インバータ式低電圧装置である。
- 4.X 線管長軸は撮影台と平行である。
- 5.放射窓の材料はタングステンである。
答え
2.自動露出機構を備える。
解説
正答
2.自動露出機構を備える。
問題のポイント
乳房撮影では、乳腺と脂肪のわずかな吸収差や微細石灰化を描出する必要があります。
そのため、乳房用X線装置には、
- 低管電圧撮影に適したX線管
- 圧迫装置
- 自動露出機構〈AEC〉
- 拡大撮影機能
- 専用の撮影台
- 乳房撮影に適した焦点・フィルタ
などが備えられています。
なぜ2が正しいか
乳房撮影では、乳房の厚さや乳腺量によって必要な線量が大きく変わります。
自動露出機構〈AEC〉は、受像器に到達するX線量を検出し、適正な画像濃度・画質になるように撮影を自動的に終了させる機構です。
乳房撮影では被ばくを抑えながら安定した画質を得ることが重要なので、AECは非常に重要です。
したがって、2.自動露出機構を備える、が正しいです。
他の選択肢との区別
1.拡大撮影はできない。
誤りです。
乳房撮影では、微細石灰化や小病変を詳しく観察するために拡大撮影が行われることがあります。専用の拡大撮影台や小焦点を用います。
2.自動露出機構を備える。
正しいです。
乳房厚や乳腺濃度に応じて適切な露出を得るため、AECが用いられます。
3.インバータ式低電圧装置である。
誤りです。
乳房撮影では低い管電圧を用いますが、装置としてはX線管に高電圧を加えるX線高電圧装置です。「低電圧装置」と表現するのは不適切です。
4.X線管長軸は撮影台と平行である。
誤りです。
乳房用X線装置では、乳房撮影に適したX線束、焦点配置、ヒール効果などを考慮してX線管が配置されます。選択肢のように、X線管長軸が撮影台と平行であると単純に述べるのは不適切です。
5.放射窓の材料はタングステンである。
誤りです。
放射窓には、X線吸収の少ないベリリウムなどが用いられます。タングステンは陽極ターゲット材料として用いられることがありますが、放射窓材料ではありません。
覚えるポイント
乳房用X線装置では、
- AECを備える
- 圧迫装置を備える
- 拡大撮影が可能
- 低管電圧撮影を行う
- 放射窓にはX線透過性の高い材料を用いる
- 微細石灰化描出のため小焦点が重要
と整理します。
本問では、乳房用X線装置の基本機能である自動露出機構が正答です。
78AM80問題・解答・解説
問題文
[78AM80] X 線 CT のアーチファクトで誤っているのはどれか。
選択肢
- 1.メタルアーチファクト
- 2.リングアーチファクト
- 3.ストリークアーチファクト
- 4.ケミカルシフトアーチファクト
- 5.ビームハードニングアーチファクト
答え
4.ケミカルシフトアーチファクト
解説
正答
4.ケミカルシフトアーチファクト
問題のポイント
この問題は「X線CTのアーチファクトではないもの」を選ぶ問題です。
X線CTでは、X線吸収、検出器、再構成、被写体の動き、金属、線質変化などによってアーチファクトが生じます。
一方、ケミカルシフトアーチファクトはMRIでみられる代表的なアーチファクトです。
なぜケミカルシフトアーチファクトが誤りか
ケミカルシフトアーチファクトは、水と脂肪の共鳴周波数の違いによって生じるMRI特有のアーチファクトです。
MRIでは、脂肪中のプロトンと水中のプロトンで共鳴周波数がわずかに異なります。
この周波数差により、水と脂肪の境界で位置ずれや黒白の縁取りが生じることがあります。
X線CTは、X線の減弱情報を用いて画像を作る装置であり、核磁気共鳴周波数の違いは関係しません。
したがって、4.ケミカルシフトアーチファクトはX線CTのアーチファクトとしては誤りです。
他の選択肢との区別
1.メタルアーチファクト
正しいCTアーチファクトです。
金属による強いX線吸収やビームハードニング、フォトン不足により、金属周囲にストリーク状のアーチファクトが生じます。
2.リングアーチファクト
正しいCTアーチファクトです。
検出器素子の感度不良や校正不良により、画像上に同心円状のリングが出ることがあります。
3.ストリークアーチファクト
正しいCTアーチファクトです。
金属、被写体の動き、投影データ不足、高吸収物質などによって線状のアーチファクトが生じます。
4.ケミカルシフトアーチファクト
誤りです。
MRIで水と脂肪の共鳴周波数差により生じるアーチファクトです。CTの代表的アーチファクトではありません。
5.ビームハードニングアーチファクト
正しいCTアーチファクトです。
X線が被写体を通過する際に低エネルギー成分が吸収され、平均エネルギーが高くなることで、カッピングやストリークが生じます。
覚えるポイント
CTの代表的アーチファクト:
- メタルアーチファクト
- リングアーチファクト
- ストリークアーチファクト
- ビームハードニングアーチファクト
- モーションアーチファクト
- 部分容積効果
MRIの代表的アーチファクト:
- ケミカルシフトアーチファクト
- 磁化率アーチファクト
- 折り返しアーチファクト
- モーションアーチファクト
本問では、CTではなくMRIのアーチファクトであるケミカルシフトアーチファクトが正答です。
78AM81問題・解答・解説
問題文
[78AM81] X 線 CT 装置の不変性試験の項目で正しいのはどれか。
選択肢
- 1.架台チルト
- 2.散乱線測定
- 3.z 軸方向の空間分解能
- 4.低コントラスト分解能
- 5.アキシャルスキャンの再構成スライス厚
答え
5.アキシャルスキャンの再構成スライス厚
解説
正答
5.アキシャルスキャンの再構成スライス厚
問題のポイント
不変性試験は、装置の性能が導入時や基準時と比べて変化していないかを定期的に確認する試験です。
X線CT装置では、画質や幾何学的精度、スキャン条件などが安定しているかを確認します。
この問題では、X線CT装置の不変性試験の項目として適切なものを選びます。
なぜ5が正しいか
CT画像では、設定したスライス厚や再構成スライス厚が正しく保たれていることが重要です。
再構成スライス厚が変化すると、
- 体軸方向の分解能
- 部分容積効果
- 画像ノイズ
- 病変の描出
- 3D画像やMPR画像の品質
に影響します。
そのため、アキシャルスキャンにおける再構成スライス厚は、CT装置の性能の安定性を確認する項目として重要です。
したがって、5.アキシャルスキャンの再構成スライス厚、が正しいです。
他の選択肢との区別
1.架台チルト
誤りです。
架台チルトはガントリを傾ける機能です。装置機能として重要ですが、本問で問う不変性試験の代表項目としては選びません。
2.散乱線測定
誤りです。
散乱線測定は放射線防護や環境測定、漏えい線評価などに関係します。CT装置の不変性試験項目として問われるものではありません。
3.z軸方向の空間分解能
誤りです。
z軸方向の空間分解能はCT性能評価で重要ですが、本問の不変性試験項目としては、アキシャルスキャンの再構成スライス厚が適切です。
4.低コントラスト分解能
誤りです。
低コントラスト分解能は画質評価で重要ですが、本問で示された選択肢の中では、CT装置の不変性試験項目として5を選びます。
5.アキシャルスキャンの再構成スライス厚
正しいです。
設定・再構成されたスライス厚が基準から変化していないかを確認する項目です。
覚えるポイント
不変性試験は「装置の性能が以前と同じ状態に保たれているか」を見る試験です。
CTで確認する代表的な項目には、
- CT値の安定性
- 画像ノイズ
- 均一性
- スライス厚
- 位置精度
- 線量に関係する項目
などがあります。
本問では、アキシャルスキャンの再構成スライス厚が正答です。
78AM82問題・解答・解説
問題文
[78AM82] 不変性試験で正しいのはどれか。
選択肢
- 1.契約仕様を満たしているかを確認する。
- 2.特定の時点における機器の性能を確認する。
- 3.機器の構成要素の性能変化の早期発見をする。
- 4.既存の機器に大幅な改造が行われた後に実施する。
- 5.製品が必要な品質を満たしているか否かを確認する。
答え
3.機器の構成要素の性能変化の早期発見をする。
解説
正答
3.機器の構成要素の性能変化の早期発見をする。
問題のポイント
医療機器の品質管理試験には、目的の異なる複数の試験があります。
代表的には、
- 受入試験
- 状態試験
- 不変性試験
があります。
このうち不変性試験は、装置の性能が時間の経過とともに変化していないかを継続的に確認する試験です。
なぜ3が正しいか
不変性試験の目的は、機器の性能低下や構成要素の変化を早期に発見することです。
装置は使用を続けるうちに、
- 検出器の感度変化
- X線出力の変動
- 表示系の劣化
- 幾何学的位置のずれ
- 画像ノイズの増加
- 再構成条件や線量の変動
などが生じることがあります。
不変性試験を定期的に行うことで、これらの変化を早期に見つけ、患者安全と画像品質を維持できます。
したがって、3.機器の構成要素の性能変化の早期発見をする、が正しいです。
他の選択肢との区別
1.契約仕様を満たしているかを確認する。
誤りです。
これは主に受入試験の目的です。装置導入時に、契約仕様や要求性能を満たしているか確認します。
2.特定の時点における機器の性能を確認する。
誤りです。
これは状態試験に近い考え方です。ある時点での装置性能を総合的に確認します。
3.機器の構成要素の性能変化の早期発見をする。
正しいです。
不変性試験は、基準状態からの性能変化を定期的に確認し、異常を早期に発見するために行います。
4.既存の機器に大幅な改造が行われた後に実施する。
誤りです。
大幅な改造後には、受入試験や状態試験に相当する確認が必要になります。不変性試験の基本的な目的とは異なります。
5.製品が必要な品質を満たしているか否かを確認する。
誤りです。
これは製品の品質確認や受入試験に近い内容です。不変性試験は、日常・定期的に性能変化を監視する試験です。
覚えるポイント
品質管理試験は目的で覚えます。
- 受入試験:導入時に契約仕様・性能を満たすか確認
- 状態試験:特定時点での装置性能を確認
- 不変性試験:基準状態からの性能変化を定期的に確認
- 不変性試験の目的:性能変化の早期発見
本問では、不変性試験の目的を正しく述べている3が正答です。
78AM83問題・解答・解説
問題文
[78AM83] X 線撮影条件で正しいのはどれか。
選択肢
- 1.撮影距離が長いほど画像の拡大率が大きくなる。
- 2.照射野を広くすると画像コントラストが低下する。
- 3.管電圧が高いほど被検者に対する透過性は低下する。
- 4.管電流が大きいほど入射 X 線のエネルギーは高くなる。
- 5.エアギャップ法では検出器に到達する散乱線が増加する。
答え
2.照射野を広くすると画像コントラストが低下する。
解説
正答
2.照射野を広くすると画像コントラストが低下する。
問題のポイント
X線撮影条件では、画像の拡大、コントラスト、散乱線、X線のエネルギーなどを分けて考えることが大切です。
特に画像コントラストは、散乱線の影響を強く受けます。
散乱線が増えると、画像全体に余分な信号が重なり、黒白の差が小さくなります。
なぜ2が正しいか
照射野を広くすると、X線が当たる被写体の範囲が広がります。
すると、被写体内で発生する散乱線が増加します。
散乱線は、検出器に到達すると画像にかぶりを加えます。
その結果、目的部位の濃度差が小さくなり、画像コントラストが低下します。
したがって、2.照射野を広くすると画像コントラストが低下する、が正しいです。
他の選択肢との区別
1.撮影距離が長いほど画像の拡大率が大きくなる。
誤りです。
撮影距離、つまり焦点・受像器間距離を長くすると、画像の拡大率は小さくなります。
拡大を少なくするには、撮影距離を長くし、被写体を受像器に近づけます。
2.照射野を広くすると画像コントラストが低下する。
正しいです。
照射野が広いほど散乱線が増え、画像のかぶりが増加してコントラストが低下します。
3.管電圧が高いほど被検者に対する透過性は低下する。
誤りです。
管電圧を高くするとX線の平均エネルギーが高くなり、透過性は上昇します。
ただし、被写体コントラストは低下しやすくなります。
4.管電流が大きいほど入射X線のエネルギーは高くなる。
誤りです。
管電流は主にX線量、つまり発生するX線光子数に関係します。
X線のエネルギーを主に決めるのは管電圧です。
5.エアギャップ法では検出器に到達する散乱線が増加する。
誤りです。
エアギャップ法では、被写体と検出器の距離を離すことで、散乱線が検出器に届きにくくなります。
そのため、検出器に到達する散乱線は減少します。
覚えるポイント
撮影条件は次のように整理します。
- 照射野を広げる:散乱線増加、コントラスト低下
- 撮影距離を長くする:拡大率低下
- 管電圧を高くする:透過性上昇、被写体コントラスト低下
- 管電流を大きくする:X線量増加
- エアギャップ法:散乱線を減らす
本問では、照射野拡大により散乱線が増えて画像コントラストが低下するため、正答は2です。
78AM84問題・解答・解説
問題文
[78AM84] 剣状突起よりも尾側に位置するのはどれか。
選択肢
- 1.胸骨上窩
- 2.喉頭隆起
- 3.乳様突起
- 4.肩甲骨下縁
- 5.肋骨弓下縁
答え
5.肋骨弓下縁
解説
正答
5.肋骨弓下縁
問題のポイント
「尾側」とは、体の下方、足側という意味です。
この問題では、剣状突起より下にある体表指標を選びます。
剣状突起は胸骨の最下端にある部分で、胸骨体の下方、みぞおち付近に触れる構造です。
なぜ肋骨弓下縁が正しいか
肋骨弓は、第7〜第10肋軟骨が作る弓状の構造です。
肋骨弓下縁は、剣状突起よりも外側から下方へ向かって走るため、剣状突起より尾側に位置する部位として考えられます。
したがって、5.肋骨弓下縁、が正しいです。
他の選択肢との区別
1.胸骨上窩
誤りです。
胸骨上窩は胸骨柄の上方、頸部下端にあるくぼみです。
剣状突起よりかなり頭側です。
2.喉頭隆起
誤りです。
喉頭隆起はいわゆる「のどぼとけ」で、頸部にあります。
剣状突起より頭側です。
3.乳様突起
誤りです。
乳様突起は側頭骨の一部で、耳の後ろに触れる骨性隆起です。
頭部にあるため、剣状突起より頭側です。
4.肩甲骨下縁
誤りです。
肩甲骨下縁、特に肩甲骨下角は背部でおおむね第7肋骨付近の高さに位置します。
剣状突起より明らかに尾側の指標としては、肋骨弓下縁がより適切です。
5.肋骨弓下縁
正しいです。
胸郭下部にあり、剣状突起より尾側に位置します。
覚えるポイント
代表的な体表指標の上下関係は、頭側から次のように整理できます。
- 乳様突起:耳の後ろ
- 喉頭隆起:頸部
- 胸骨上窩:胸骨柄の上
- 剣状突起:胸骨の最下端
- 肋骨弓下縁:胸郭下縁
本問では、剣状突起より尾側にある肋骨弓下縁が正答です。
78AM85問題・解答・解説
問題文
[78AM85] 頭部 X 線撮影法と観察目的の組合せで正しいのはどれか。
選択肢
- 1.Caldwell 〈コールドウェル〉法大後頭孔
- 2.Rhese〈レーゼ〉法三半規管
- 3.Schüller〈シュラー〉法視神経管
- 4.Stenvers 〈ステンバース〉法トルコ鞍
- 5.Waters〈ウォータース〉法頰骨
答え
5.Waters〈ウォータース〉法頰骨
解説
正答
5.Waters〈ウォータース〉法 頰骨
問題のポイント
頭部X線撮影法は、撮影法ごとに観察目的が決まっています。
この問題では、代表的な頭部撮影法と、観察する部位の組合せを確認します。
なぜWaters法と頰骨が正しいか
Waters〈ウォータース〉法は、後頭前頭方向で頭部を後屈させて撮影する方法です。
主に、
- 上顎洞
- 顔面骨
- 眼窩底
- 頰骨
- 頰骨弓
などの観察に用いられます。
したがって、Waters法と頰骨の組合せは正しいです。
他の選択肢との区別
1.Caldwell〈コールドウェル〉法 大後頭孔
誤りです。
Caldwell法は、前頭洞、篩骨洞、眼窩、錐体上縁などの観察に用いられます。
大後頭孔の観察には、Towne法などが関係します。
2.Rhese〈レーゼ〉法 三半規管
誤りです。
Rhese法は、視神経管の観察に用いられる代表的な撮影法です。
三半規管の観察目的としては不適切です。
3.Schüller〈シュラー〉法 視神経管
誤りです。
Schüller法は、側頭骨、乳突蜂巣、顎関節などの観察に用いられます。
視神経管にはRhese法が代表的です。
4.Stenvers〈ステンバース〉法 トルコ鞍
誤りです。
Stenvers法は、側頭骨錐体部、内耳道、半規管などの観察に用いられます。
トルコ鞍の撮影には頭部側面撮影などが関係します。
5.Waters〈ウォータース〉法 頰骨
正しいです。
Waters法は副鼻腔や顔面骨、頰骨の観察に用いられます。
覚えるポイント
代表的な頭部撮影法は、観察目的とセットで覚えます。
- Caldwell法:前頭洞、篩骨洞、眼窩
- Waters法:上顎洞、頰骨、顔面骨
- Rhese法:視神経管
- Schüller法:乳突蜂巣、側頭骨、顎関節
- Stenvers法:側頭骨錐体部、内耳道、半規管
- Towne法:大後頭孔、後頭骨
本問では、Waters法と頰骨の組合せが正しいため、正答は5です。
78AM86問題・解答・解説
問題文
[78AM86] DLP で正しいのはどれか。
選択肢
- 1.撮影 1 回当たりの実効線量である。
- 2.CT 画像の空間分解能を示す指標である。
- 3.スライス厚当たりの平均吸収線量である。
- 4.全撮影範囲の CTDIvol を積算した値である。
- 5.CT 画像のコントラスト分解能を示す指標である。
答え
4.全撮影範囲の CTDIvol を積算した値である。
解説
正答
4.全撮影範囲のCTDIvolを積算した値である。
問題のポイント
DLPは Dose Length Product の略で、日本語では線量長さ積と呼ばれます。
CT検査で、どれくらいの範囲にどれくらいの線量が与えられたかを表す指標です。
DLPの式
DLPは次の式で求めます。
DLP = CTDIvol × 撮影範囲の長さ
単位は、
mGy・cm
です。
CTDIvolは、ある撮影条件での平均的なCT線量指標です。
DLPはそれに撮影長を掛けるため、撮影範囲全体の線量の目安になります。
なぜ4が正しいか
DLPは、全撮影範囲にわたってCTDIvolを積算した値です。
例えば、CTDIvolが10 mGyで撮影範囲が30 cmなら、
DLP = 10 mGy × 30 cm = 300 mGy・cm
となります。
したがって、4.全撮影範囲のCTDIvolを積算した値である、が正しいです。
他の選択肢との区別
1.撮影1回当たりの実効線量である。
誤りです。
DLPは実効線量そのものではありません。
実効線量は、DLPに部位ごとの換算係数を掛けて概算することがあります。
2.CT画像の空間分解能を示す指標である。
誤りです。
空間分解能は、どれだけ細かい構造を識別できるかを表す画質指標です。
DLPは線量指標であり、空間分解能ではありません。
3.スライス厚当たりの平均吸収線量である。
誤りです。
これはCTDIに近い考え方です。
DLPはCTDIvolに撮影長を掛けたもので、スライス厚当たりの線量ではありません。
4.全撮影範囲のCTDIvolを積算した値である。
正しいです。
DLP = CTDIvol × 撮影範囲です。
5.CT画像のコントラスト分解能を示す指標である。
誤りです。
コントラスト分解能は画質指標です。
DLPは被ばく線量に関係する指標です。
覚えるポイント
CT線量指標は次のように整理します。
- CTDIvol:CT撮影条件における平均線量指標
- DLP:CTDIvol × 撮影範囲
- 実効線量:DLP × 変換係数で概算されることがある
- DLPの単位:mGy・cm
本問では、DLPを正しく説明している4が正答です。
78AM87問題・解答・解説
問題文
[78AM87] 上部消化管造影検査で正しいのはどれか。
選択肢
- 1.窒素で胃を膨らませる。
- 2.二重造影では胃小区を描出する。
- 3.硫酸バリウムの使用量は 500 mL 程度である。
- 4.半立位第 2 斜位撮影では幽門部を描出できる。
- 5.Brown〈ブラウン〉法による前処置を実施する。
答え
2.二重造影では胃小区を描出する。
解説
正答
2.二重造影では胃小区を描出する。
問題のポイント
上部消化管造影検査では、食道、胃、十二指腸を観察します。
胃X線検査では、硫酸バリウムと発泡剤によるガスを使って、胃粘膜の凹凸を詳しく描出します。
特に二重造影法では、少量のバリウムを胃粘膜に薄く付着させ、胃内をガスで膨らませることで、胃小区などの細かい粘膜模様を観察できます。
なぜ2が正しいか
二重造影では、
- 陽性造影剤:硫酸バリウム
- 陰性造影剤:空気または発泡剤で発生した二酸化炭素
を利用します。
バリウムが胃粘膜に薄く付着し、ガスで胃が伸展されることで、胃粘膜の細かい構造が見やすくなります。
胃小区は胃粘膜表面の細かい網目状・顆粒状の構造であり、二重造影で描出されます。
したがって、2.二重造影では胃小区を描出する、が正しいです。
他の選択肢との区別
1.窒素で胃を膨らませる。
誤りです。
胃を膨らませるためには、発泡剤により発生する二酸化炭素や空気を利用します。
窒素を用いるわけではありません。
2.二重造影では胃小区を描出する。
正しいです。
バリウムを粘膜に薄く付着させ、ガスで胃を膨らませることで胃小区を観察します。
3.硫酸バリウムの使用量は500 mL程度である。
誤りです。
上部消化管の二重造影では、高濃度バリウムを比較的少量使用します。
500 mL程度は多すぎます。
4.半立位第2斜位撮影では幽門部を描出できる。
誤りです。
半立位第2斜位は、胃上部や噴門部などの描出で用いられることがあります。
幽門部の代表的描出としてこの記述を選ぶのは不適切です。
5.Brown〈ブラウン〉法による前処置を実施する。
誤りです。
Brown法は注腸X線検査の前処置として知られる方法です。
上部消化管造影検査の前処置として選ぶものではありません。
覚えるポイント
上部消化管造影検査では、
- 硫酸バリウムを用いる
- 発泡剤で胃を膨らませる
- 二重造影で胃粘膜や胃小区を描出する
- バリウム量は二重造影では比較的少量
- Brown法は主に注腸検査の前処置
と整理します。
本問では、二重造影で胃小区を描出するという2が正答です。
78AM88問題・解答・解説
問題文
[78AM88] 経静脈性尿路造影写真を別に示す。 時系列が正しいのはどれか。
選択肢
- 1.ア → イ → ウ → エ
- 2.イ → ウ → エ → ア
- 3.ウ → イ → ア → エ
- 4.エ → ア → ウ → イ
- 5.エ → ウ → イ → ア
答え
5.エ → ウ → イ → ア
解説
正答
5.エ → ウ → イ → ア
画像の見方
提示画像は、経静脈性尿路造影〈IVU:intravenous urography〉の時系列画像です。
経静脈的にヨード造影剤を投与すると、造影剤は血液中から腎臓で濾過され、尿として排泄されます。
そのため、時間の経過とともに、
1.腎実質
2.腎盂・腎杯
3.尿管
4.膀胱
の順に造影剤が描出されていきます。
時系列の考え方
経静脈性尿路造影では、まず造影前の単純写真を撮影し、その後、造影剤が腎臓から尿路へ排泄される様子を時間順に観察します。
エ:最も早い時相
エでは、腎盂・腎杯、尿管、膀胱に明らかな造影剤がまだ見られません。
これは造影前、または造影剤排泄前の画像と考えられます。
したがって、最初はエです。
ウ:造影剤が上部尿路に出始めた時相
ウでは、腎盂・腎杯や尿管が描出され始めています。
膀胱にも少量の造影剤が入り始めていますが、まだ強い貯留はありません。
これは造影剤が腎臓から尿管へ排泄され始めた比較的早い時相です。
イ:腎盂・腎杯、尿管、膀胱がより明瞭な時相
イでは、腎盂・腎杯や尿管がウより明瞭に描出され、膀胱内にも造影剤が貯留しています。
造影剤が尿路全体へ進んできた時相と考えられます。
ア:最も遅い時相
アでは、膀胱内の造影剤貯留が目立ちます。
時間が経過して、腎臓から排泄された造影剤が下部尿路、つまり膀胱へ集まった後期像と判断できます。
したがって、最後はアです。
正しい順序
以上より、時系列は、
エ:造影前または排泄前
↓
ウ:腎盂・腎杯、尿管が描出され始める
↓
イ:尿路全体がより明瞭に描出される
↓
ア:膀胱内への造影剤貯留が目立つ後期像
となります。
したがって、正しい順序は、
エ → ウ → イ → ア
です。
他の選択肢との区別
1.ア → イ → ウ → エ
誤りです。
アは膀胱への造影剤貯留が目立つ後期像であり、最初ではありません。
2.イ → ウ → エ → ア
誤りです。
エは造影剤がほとんど描出されていない最初の画像であり、途中に入る順序ではありません。
3.ウ → イ → ア → エ
誤りです。
エは造影前または排泄前の画像なので、最後ではありません。
4.エ → ア → ウ → イ
誤りです。
エが最初なのは正しいですが、アは膀胱貯留が目立つ後期像なので、ウやイより先には来ません。
5.エ → ウ → イ → ア
正しいです。
造影剤が腎臓から尿管、膀胱へ排泄されていく流れに合います。
覚えるポイント
経静脈性尿路造影の時系列は、造影剤の排泄経路で考えます。
- 造影前:尿路は造影されない
- 早期:腎実質、腎盂・腎杯が描出され始める
- 中間期:腎盂・腎杯、尿管が明瞭になる
- 後期:膀胱内に造影剤が貯留する
本問では、造影剤が見られないエから始まり、上部尿路が描出されるウ、尿路全体が明瞭なイ、膀胱貯留が目立つアへ進むため、正答は5です。
78AM89問題・解答・解説
問題文
[78AM89] 腹部 CT で正しいのはどれか。
選択肢
- 1.心電同期撮影を行う。
- 2.造影検査前は水分制限を行う。
- 3.位置決めの基準点は胸骨上窩とする。
- 4.体幹部に両手を下ろした状態で撮影する。
- 5.ダイナミック CT 検査では非イオン性水溶性ヨード造影剤を使用する。
答え
5.ダイナミック CT 検査では非イオン性水溶性ヨード造影剤を使用する。
解説
正答
5.ダイナミックCT検査では非イオン性水溶性ヨード造影剤を使用する。
問題のポイント
腹部CTでは、肝臓、膵臓、腎臓、脾臓、消化管、腹部血管などを評価します。
特に造影CTでは、静脈内にヨード造影剤を投与し、撮影タイミングを変えて複数相を撮影することで、臓器や病変の血流動態を観察します。
このように、造影剤投与後に時間を追って撮影する検査をダイナミックCTといいます。
なぜ5が正しいか
腹部のダイナミックCTでは、非イオン性水溶性ヨード造影剤を静脈内投与して撮影します。
非イオン性水溶性ヨード造影剤は、現在のCT造影検査で広く用いられている造影剤です。
血管内に投与すると、血流に乗って全身へ分布し、臓器や血管、腫瘍の造影効果を評価できます。
腹部ダイナミックCTでは、代表的に、
- 動脈相
- 門脈相
- 平衡相
- 遅延相
などを目的に応じて撮影します。
例えば肝細胞癌では動脈相で濃染し、門脈相や平衡相でwashoutを示すことがあります。
このように、造影剤の時間的変化を見るために、非イオン性水溶性ヨード造影剤を用います。
したがって、5が正しいです。
他の選択肢との区別
1.心電同期撮影を行う。
誤りです。
心電同期撮影は、心臓CTや冠動脈CTなど、心拍動によるブレを抑えるために用いられます。
通常の腹部CTでは、心電同期撮影は行いません。
2.造影検査前は水分制限を行う。
誤りです。
造影CTでは、腎機能や脱水に注意が必要です。
一般に、造影剤腎症のリスクを下げるためには、脱水を避けることが重要です。
検査内容によって食事制限を行うことはありますが、「造影検査前は水分制限を行う」とするのは不適切です。
3.位置決めの基準点は胸骨上窩とする。
誤りです。
胸骨上窩は頸部〜胸部上部の体表指標です。
腹部CTの位置決め基準としては不適切です。
腹部CTでは、検査目的に応じて横隔膜上部から骨盤部までなど、撮影範囲を設定します。
4.体幹部に両手を下ろした状態で撮影する。
誤りです。
腹部CTでは、通常、両上肢を挙上して撮影します。
両手を体幹部に下ろしたまま撮影すると、腕によるビームハードニングアーチファクトや線量増加の原因になります。
ただし、挙上困難な患者ではやむを得ず下ろして撮影することもあります。
5.ダイナミックCT検査では非イオン性水溶性ヨード造影剤を使用する。
正しいです。
腹部ダイナミックCTでは、非イオン性水溶性ヨード造影剤を静脈内投与し、時相ごとの造影効果を観察します。
覚えるポイント
腹部CTでは、次の点を押さえます。
- 通常は心電同期撮影を行わない
- 造影検査では脱水を避けることが重要
- 両上肢は可能な限り挙上する
- ダイナミックCTでは非イオン性水溶性ヨード造影剤を使用する
- 動脈相、門脈相、平衡相などの時相で病変の血流動態を評価する
本問では、腹部ダイナミックCTで非イオン性水溶性ヨード造影剤を使用するという5が正答です。
78AM90問題・解答・解説
問題文
[78AM90] 胸部正面 X 線写真を別に示す。 心胸郭比〈CTR〉で正しいのはどれか。
選択肢
- 1.(A + B)/C
- 2.(B − A)/C
- 3.(C − B)/A
- 4.C/(A + B)
- 5.C/(B − A)
答え
1.(A + B)/C
解説
正答
1.(A+B)/C
画像の見方
提示画像は胸部正面X線写真です。
画像右上に「P-A」とあるため、後前方向撮影〈PA撮影〉です。
また、左上に「立位」とあるため、立位胸部正面像として撮影されています。
心胸郭比〈CTR:cardiothoracic ratio〉は、胸部正面像で心陰影の横径が胸郭横径に対してどの程度あるかを示す指標です。
図では、
- 点線:正中矢状線
- A:正中線から右心縁までの最大距離
- B:正中線から左心縁までの最大距離
- C:胸郭内径の最大横径
を示しています。
心胸郭比〈CTR〉の式
CTRは次の式で求めます。
CTR = 最大心横径 / 最大胸郭横径
図の記号で表すと、
最大心横径 = A + B
最大胸郭横径 = C
です。
したがって、
CTR = (A + B)/ C
となります。
百分率で表す場合は、
CTR = (A + B)/ C × 100[%]
です。
本問の選択肢では百分率ではなく比の形で問われているため、正答は1.(A+B)/Cです。
なぜA+Bが心横径か
心臓は正中線をまたいで左右に広がっています。
そのため、心陰影の横幅を求めるには、
- 正中線から右心縁までの距離 A
- 正中線から左心縁までの距離 B
を足します。
つまり、A+B が最大心横径になります。
なぜCが胸郭横径か
Cは、左右の胸郭内側縁を結んだ最大横径を示しています。
CTRでは、心臓の横幅をこの胸郭横径で割って評価します。
胸郭横径は、肋骨の外側ではなく、胸郭内径を用いる点が重要です。
他の選択肢との区別
1.(A+B)/C
正しいです。
A+Bが最大心横径、Cが最大胸郭横径なので、CTRの式に一致します。
2.(B−A)/C
誤りです。
心横径は左右の距離を足して求めます。BからAを引くのではありません。
3.(C−B)/A
誤りです。
胸郭横径から左心側の距離を引いても、CTRは求められません。
4.C/(A+B)
誤りです。
分子と分母が逆です。CTRは心横径を胸郭横径で割ります。
5.C/(B−A)
誤りです。
分子と分母が逆であり、さらにB−Aも心横径ではありません。
覚えるポイント
心胸郭比〈CTR〉は、
CTR = 最大心横径 / 最大胸郭横径
です。
図で表すと、
CTR = (A+B)/C
となります。
一般に、立位PA胸部正面像でCTRが50%を超えると心拡大を疑います。
本問では、AとBを足した心横径をCで割るため、正答は1です。
78AM91問題・解答・解説
問題文
[78AM91] 腹部の血管造影写真を別に示す。 正しい組合せはどれか。
選択肢
- 1.ア左胃動脈
- 2.イ総肝動脈
- 3.ウ右肝動脈
- 4.エ固有肝動脈
- 5.オ腹腔動脈
答え
4.エ固有肝動脈
解説
正答
4.エ 固有肝動脈
画像の見方
提示画像は腹部血管造影像です。
画像左下にRマーカーがあるため、画像左側が患者の右側、画像右側が患者の左側です。
したがって、画像左側は肝臓側、画像右側は脾臓側として考えます。
この造影像では、腹腔動脈から分岐する主要血管が描出されています。
腹腔動脈の主な分枝は、
- 左胃動脈
- 脾動脈
- 総肝動脈
です。
総肝動脈は肝臓側へ走行し、途中で胃十二指腸動脈を分岐した後、肝門部へ向かう固有肝動脈になります。
なぜエが固有肝動脈か
エは、肝臓側へ向かう太い動脈のうち、胃十二指腸動脈を分岐した後に肝門部へ上行する血管を示しています。
総肝動脈は、腹腔動脈から分岐して肝臓側へ走ります。
その後、下方へ向かう胃十二指腸動脈を分岐し、残った本幹が肝門部へ向かいます。
この胃十二指腸動脈分岐後の肝臓へ向かう血管が、固有肝動脈です。
画像では、エの矢印がこの部位を示しているため、エ=固有肝動脈が正しい組合せです。
各ラベルの確認
ア
アは画像右側、つまり患者左側へ蛇行して走る太い血管を示しています。
この走行は脾臓へ向かう脾動脈に一致します。
したがって、ア=左胃動脈ではありません。
イ
イは腹腔動脈の起始部付近、または腹腔動脈本幹に近い部位を示しています。
総肝動脈そのものとしては、より肝臓側へ向かう枝を考えます。
したがって、イ=総肝動脈は不適切です。
ウ
ウは総肝動脈から下方へ分岐する血管を示しています。
この位置関係から、胃十二指腸動脈に相当します。
右肝動脈は肝門部で固有肝動脈から分岐して肝内へ向かう枝なので、ウ=右肝動脈ではありません。
エ
エは胃十二指腸動脈を分岐した後、肝門部へ向かう血管です。
これは固有肝動脈に相当します。
したがって、エ=固有肝動脈は正しいです。
オ
オは腹腔動脈から肝臓側へ向かう太い血管の本幹を示しています。
この部位は総肝動脈に相当します。
腹腔動脈はより中枢側で、左胃動脈・脾動脈・総肝動脈へ分かれる根元の血管です。
したがって、オ=腹腔動脈ではありません。
選択肢の判定
1.ア 左胃動脈
誤りです。アは脾動脈に相当します。
2.イ 総肝動脈
誤りです。イは腹腔動脈本幹付近として考える位置です。
3.ウ 右肝動脈
誤りです。ウは下方へ向かう胃十二指腸動脈に相当します。
4.エ 固有肝動脈
正しいです。胃十二指腸動脈分岐後、肝門部へ向かう血管です。
5.オ 腹腔動脈
誤りです。オは総肝動脈に相当します。
覚えるポイント
腹腔動脈造影では、まず3大分枝を確認します。
- 左胃動脈:上方へ向かう比較的細い枝
- 脾動脈:患者左側、画像右側へ蛇行して走る
- 総肝動脈:患者右側、画像左側へ向かう
さらに総肝動脈は、
総肝動脈
↓
胃十二指腸動脈を分岐
↓
固有肝動脈
↓
右肝動脈・左肝動脈
と続きます。
本問では、エが胃十二指腸動脈分岐後に肝門部へ向かう血管を示しているため、固有肝動脈が正答です。
78AM92問題・解答・解説
問題文
[78AM92] 頭部 CT 像を別に示す。 正しい組合せはどれか。
選択肢
- 1.ア小脳
- 2.イ延髄
- 3.ウ後頭葉
- 4.エ第四脳室
- 5.オ四丘体槽
答え
4.エ第四脳室
解説
正答
4.エ 第四脳室
画像の見方
提示画像は頭部CTの軸位断像です。
画像左下にRマーカーがあるため、画像左側が患者の右側、画像右側が患者の左側です。
また、軸位断像では画像上側が前方、画像下側が後方です。
この断面は頭蓋底〜後頭蓋窩レベルで、前方には眼窩や副鼻腔、側方には側頭骨、後方には小脳が見えています。
中央には脳幹があり、その後方に脳脊髄液を含む低吸収域が見えます。
なぜエが第四脳室か
第四脳室は、脳幹の背側、小脳の腹側に位置する脳室です。
CTでは脳脊髄液を含むため、脳実質より低吸収、つまり黒っぽく見えます。
位置としては、
- 橋・延髄の後方
- 小脳の前方
- 正中付近
にあります。
画像のエは、後頭蓋窩の正中付近で、脳幹の後方かつ小脳の前方にある低吸収域を示しています。
この位置関係は第四脳室に一致します。
したがって、エ=第四脳室が正しい組合せです。
各ラベルの確認
ア
アは画像右側、つまり患者左側の側頭葉付近を示しています。
小脳は後頭蓋窩の後方、画像下側に位置するため、ア=小脳ではありません。
イ
イは脳幹部のうち、橋付近を示していると考えます。
延髄は橋よりさらに尾側、より下方の断面で明瞭になります。
したがって、イ=延髄は不適切です。
ウ
ウは後頭蓋窩の小脳半球を示しています。
後頭葉は大脳半球の後方にある構造で、この断面では小脳とは区別します。
したがって、ウ=後頭葉ではありません。
エ
エは脳幹の後方、小脳の前方にある低吸収域を示しています。
これは第四脳室に相当します。
したがって、エ=第四脳室は正しいです。
オ
オは脳幹前方のくも膜下腔、または橋前槽付近を示していると考えます。
四丘体槽は中脳背側、四丘体の後方に位置する脳槽であり、この画像のオの位置とは異なります。
したがって、オ=四丘体槽ではありません。
選択肢の判定
1.ア 小脳
誤りです。アは側頭葉付近であり、小脳ではありません。
2.イ 延髄
誤りです。イは脳幹部でも橋付近であり、延髄とは位置が異なります。
3.ウ 後頭葉
誤りです。ウは後頭蓋窩の小脳半球に相当します。
4.エ 第四脳室
正しいです。脳幹の後方、小脳の前方にある低吸収域です。
5.オ 四丘体槽
誤りです。オは橋前槽付近であり、四丘体槽の位置ではありません。
覚えるポイント
頭部CTの後頭蓋窩レベルでは、次の位置関係を押さえると判別しやすいです。
- 小脳:後頭蓋窩の後方、画像下側
- 橋:中央の脳幹部
- 第四脳室:橋・延髄の後方、小脳の前方
- 橋前槽:橋の前方
- 四丘体槽:中脳背側、四丘体の後方
本問では、エが脳幹の後方、小脳の前方にある低吸収域を示しているため、第四脳室が正答です。
78AM93問題・解答・解説
問題文
[78AM93] 信号検出理論で偽陽性率を表す式はどれか。 ただし、TP は真陽性、FP は偽陽性、FN は偽陰性、TN は真陰性を示す。
選択肢
- 1.FN/(FN+TP)
- 2.FP/(FP+TN)
- 3.TN/(FP+TN)
- 4.TP/(FN+TP)
- 5.TP/(FP+TP)
答え
2.FP/(FP+TN)
解説
正答
2.FP/(FP+TN)
問題のポイント
信号検出理論では、病変や異常が「ある・ない」と、判定が「陽性・陰性」の組合せで結果を整理します。
4つの基本分類は次のとおりです。
- TP〈true positive〉:真陽性
実際に陽性で、検査でも陽性と判定したもの - FP〈false positive〉:偽陽性
実際には陰性なのに、検査で陽性と判定したもの - FN〈false negative〉:偽陰性
実際には陽性なのに、検査で陰性と判定したもの - TN〈true negative〉:真陰性
実際に陰性で、検査でも陰性と判定したもの
本問では「偽陽性率」を問われています。
偽陽性率とは
偽陽性率は、実際には陰性である集団のうち、誤って陽性と判定された割合です。
つまり、分母は「実際に陰性だったもの」になります。
実際に陰性だったものは、
FP + TN
です。
そのうち、誤って陽性と判定したものが FP です。
したがって、
偽陽性率 = FP /(FP + TN)
となります。
なぜ2が正しいか
選択肢2は、
FP/(FP+TN)
です。
これは、実際には陰性である集団 FP+TN の中で、誤って陽性と判定した FP の割合を表しています。
したがって、偽陽性率の式として正しいです。
他の選択肢との区別
1.FN/(FN+TP)
誤りです。
これは、実際に陽性である集団のうち、陰性と誤判定した割合です。
つまり、偽陰性率に相当します。
2.FP/(FP+TN)
正しいです。
実際に陰性である集団のうち、陽性と誤判定した割合であり、偽陽性率です。
3.TN/(FP+TN)
誤りです。
これは、実際に陰性である集団のうち、正しく陰性と判定した割合です。
特異度に相当します。
4.TP/(FN+TP)
誤りです。
これは、実際に陽性である集団のうち、正しく陽性と判定した割合です。
感度に相当します。
5.TP/(FP+TP)
誤りです。
これは、陽性と判定された集団のうち、実際に陽性だった割合です。
陽性的中率に相当します。
覚えるポイント
信号検出理論では、分母を「実際の状態」で考えるか、「判定結果」で考えるかを整理すると間違えにくいです。
- 感度:TP /(TP + FN)
- 特異度:TN /(TN + FP)
- 偽陽性率:FP /(FP + TN)
- 偽陰性率:FN /(FN + TP)
- 陽性的中率:TP /(TP + FP)
偽陽性率は「本当は陰性なのに陽性と判定した割合」なので、正答は2です。
78AM94問題・解答・解説
問題文
[78AM94] FPD の雑音特性に最も影響するのはどれか。
選択肢
- 1.構造雑音
- 2.焦点寸法
- 3.検出量子数
- 4.量子化雑音
- 5.dexel〈detector element〉寸法
答え
3.検出量子数
解説
正答
3.検出量子数
問題のポイント
FPD〈flat panel detector〉の画質評価では、空間分解能、コントラスト、雑音特性、DQEなどが重要です。
雑音特性に最も大きく関係するのは、検出器に到達して実際に検出されるX線量子数です。
X線量子はランダムに発生・吸収されるため、検出される量子数には統計的なゆらぎがあります。
このゆらぎが量子雑音、またはX線量子モトルです。
なぜ検出量子数が正しいか
X線画像の雑音で最も基本となるのは、X線量子数の統計的ゆらぎです。
検出量子数を N とすると、量子数のばらつきはおおよそ √N に比例します。
相対的な雑音は、
√N / N = 1 / √N
となります。
つまり、
- 検出量子数が多い:相対雑音は小さい
- 検出量子数が少ない:相対雑音は大きい
という関係になります。
FPDでも、撮影線量が少ない場合や検出量子数が少ない場合は、画像がざらつきやすくなります。
そのため、FPDの雑音特性に最も影響するのは検出量子数です。
他の選択肢との区別
1.構造雑音
誤りです。
構造雑音は、検出器の画素間感度差や固定パターンなどに由来する雑音です。
補正処理によって低減されます。
雑音の一因ではありますが、FPDの雑音特性に最も大きく影響する基本因子としては、検出量子数を選びます。
2.焦点寸法
誤りです。
焦点寸法は、主に幾何学的不鋭や空間分解能に関係します。
焦点が大きいほど幾何学的ボケが増えますが、FPDの雑音特性を最も左右する因子ではありません。
3.検出量子数
正しいです。
X線量子の統計的ゆらぎが画像雑音の主要因となります。
検出量子数が多いほど相対雑音は低下し、少ないほど雑音は増加します。
4.量子化雑音
誤りです。
量子化雑音は、アナログ信号をデジタル値へ変換するときの丸め誤差に由来します。
ビット数が十分であれば、通常はX線量子雑音より影響は小さくなります。
5.dexel〈detector element〉寸法
誤りです。
dexel寸法は検出器素子、つまり画素サイズに関係します。
主にサンプリングや空間分解能に影響します。
画素サイズが変われば1画素あたりに検出される量子数にも影響しますが、雑音特性の本質的な主要因としては検出量子数です。
覚えるポイント
FPDの雑音特性では、まずX線量子雑音を考えます。
- 検出量子数が多い:雑音は少ない
- 検出量子数が少ない:雑音は多い
- 相対雑音は 1/√N に比例する
- 焦点寸法やdexel寸法は主に空間分解能に関係する
- 量子化雑音はA/D変換に伴う雑音だが、通常は主要因ではない
本問では、FPDの雑音特性に最も影響する因子として、検出量子数が正答です。
78AM95問題・解答・解説
問題文
[78AM95] C-D〈contrast-detail〉曲線を図に示す。 曲線のうち低コントラストの識別能が最も高いのはどれか。
選択肢
- 1.ア
- 2.イ
- 3.ウ
- 4.エ
- 5.オ
答え
1.ア
解説
正答
1.ア
図の見方
提示図はC-D〈contrast-detail〉曲線です。
横軸は直径、縦軸はコントラストを示しています。
C-D曲線は、「どのくらい小さく、どのくらい低コントラストの物体まで識別できるか」を表す曲線です。
一般に、C-D曲線では、
- 曲線が下にあるほど:より低コントラストの物体を識別できる
- 曲線が左にあるほど:より小さい物体を識別できる
- 曲線が左下にあるほど:識別能が高い
と判断します。
なぜアが正しいか
低コントラスト識別能が高いとは、同じ大きさの対象を、より小さいコントラスト差で見分けられるという意味です。
図では、アの曲線が最も下側に位置しています。
つまり、同じ直径の対象を比較したとき、アは最も低いコントラストで識別できることを示しています。
したがって、低コントラストの識別能が最も高いのはアです。
C-D曲線の読み方
C-D曲線は、識別の限界を示す曲線です。
例えば、ある直径の信号を見たいとき、その直径に対応する曲線上のコントラストが「見えるために必要な最小コントラスト」です。
そのため、曲線が高い位置にあるほど、見えるために大きなコントラストが必要です。
逆に、曲線が低い位置にあるほど、少ないコントラスト差でも見分けられるため、低コントラスト識別能が高いといえます。
他の選択肢との区別
1.ア
正しいです。
最も左下に位置する曲線であり、低コントラスト・小径の対象を最も識別しやすいことを示します。
2.イ
誤りです。
アより上側に位置しており、同じ直径の対象を識別するにはアより高いコントラストが必要です。
3.ウ
誤りです。
図の中央付近を通る曲線で、アやイよりも低コントラスト識別能は低いです。
4.エ
誤りです。
さらに右上寄りに位置しており、低コントラストの対象を識別する能力はアより低くなります。
5.オ
誤りです。
最も右上寄りの曲線であり、識別にはより大きな直径または高いコントラストが必要です。
低コントラスト識別能が最も高い曲線ではありません。
覚えるポイント
C-D曲線では、曲線が左下にあるほど画質・識別能が良いと考えます。
- 下にある:低コントラストを識別しやすい
- 左にある:小さい対象を識別しやすい
- 左下にある:総合的に識別能が高い
本問では、最も左下にあるアが、低コントラストの識別能が最も高い曲線です。
78AM96問題・解答・解説
問題文
[78AM96] 国際放射線防護委員会〈ICRP〉2007 年勧告における現存被ばく状況の公衆被ばく に定められた線量制限で正しいのはどれか。
選択肢
- 1.線量限度
- 2.耐容線量
- 3.介入レベル
- 4.参考レベル
- 5.線量拘束値
答え
4.参考レベル
解説
正答
4.参考レベル
問題のポイント
ICRP 2007年勧告では、被ばく状況を大きく次の3つに分けて考えます。
- 計画被ばく状況
- 緊急時被ばく状況
- 現存被ばく状況
このうち、現存被ばく状況とは、すでに存在している線源や汚染による被ばくを管理する状況です。
例として、自然放射線による被ばく、過去の事故や過去の行為に由来する残存汚染などが含まれます。
なぜ参考レベルが正しいか
ICRP 2007年勧告では、緊急時被ばく状況や現存被ばく状況における防護の最適化に、参考レベルを用います。
参考レベルは、「この値以下に抑えることを目標に、防護を最適化するための目安」です。
線量限度のように、超えてはいけない法的な上限という性格ではありません。
現存被ばく状況では、すでに存在している被ばくを現実的に低減していく必要があります。
そのため、参考レベルを設定し、それを上回る被ばくを優先的に低減する、という考え方をとります。
したがって、現存被ばく状況の公衆被ばくに定められた線量制限として正しいのは、4.参考レベルです。
他の選択肢との区別
1.線量限度
誤りです。
線量限度は、主に計画被ばく状況で用いられます。
現存被ばく状況では、線量限度ではなく参考レベルを用いて防護の最適化を進めます。
2.耐容線量
誤りです。
耐容線量は古い放射線防護の考え方であり、ICRP 2007年勧告における現存被ばく状況の線量制限として用いる用語ではありません。
3.介入レベル
誤りです。
介入レベルは、ICRP 1990年勧告以前の「介入」の考え方で用いられた用語です。
ICRP 2007年勧告では、被ばく状況を3分類し、現存被ばく状況では参考レベルを用いる考え方に整理されています。
4.参考レベル
正しいです。
現存被ばく状況や緊急時被ばく状況で、防護の最適化に用いる線量の目安です。
5.線量拘束値
誤りです。
線量拘束値は、主に計画被ばく状況で、特定線源からの個人線量を制限するための最適化の道具として使われます。
現存被ばく状況の公衆被ばくで用いる代表的な線量制限は参考レベルです。
覚えるポイント
ICRP 2007年勧告では、被ばく状況と線量制限をセットで覚えます。
- 計画被ばく状況:線量限度、線量拘束値
- 緊急時被ばく状況:参考レベル
- 現存被ばく状況:参考レベル
本問では、現存被ばく状況の公衆被ばくを問うているため、正答は4.参考レベルです。
78AM97問題・解答・解説
問題文
[78AM97] 原子力災害時の避難退域時検査として避難者に対して実施する体表面汚染の測定 に適したサーベイメータで正しいのはどれか。
選択肢
- 1.電離箱式
- 2.半導体式
- 3.GM 計数管式
- 4.比例計数管式
- 5.ZnS(Ag)シンチレーション式
答え
3.GM 計数管式
解説
正答
3.GM計数管式
問題のポイント
避難退域時検査では、原子力災害時に避難してきた住民や車両に放射性物質が付着していないかを確認します。
避難者の体表面汚染を調べる目的では、主にβ線を含む表面汚染を効率よく検出できる測定器が必要です。
この用途で代表的に使われるのが、GM計数管式サーベイメータです。
なぜGM計数管式が正しいか
GM計数管式サーベイメータは、表面汚染の有無を確認するのに適しています。
特徴として、
- β線の表面汚染検査に使いやすい
- 比較的感度が高い
- 汚染部位を探しやすい
- 避難退域時検査で広く用いられる
という点があります。
原子力災害時の体表面汚染では、放射性ヨウ素や放射性セシウムなど、β線やγ線を放出する核種が問題になります。
そのため、体表面に付着した汚染を調べるには、GM計数管式サーベイメータが適しています。
したがって、3.GM計数管式が正しいです。
他の選択肢との区別
1.電離箱式
誤りです。
電離箱式サーベイメータは、比較的高線量率の空間線量率測定に適しています。
体表面の汚染を探す測定器としては、GM計数管式の方が適切です。
2.半導体式
誤りです。
半導体式検出器は個人線量計やエネルギー測定などにも用いられますが、避難者の体表面汚染スクリーニングで最も代表的なサーベイメータではありません。
3.GM計数管式
正しいです。
避難者の体表面汚染の測定に適した代表的なサーベイメータです。
4.比例計数管式
誤りです。
比例計数管はα線やβ線の測定、エネルギー弁別などに用いられることがありますが、避難退域時検査の体表面汚染測定で代表的に選ぶのはGM計数管式です。
5.ZnS(Ag)シンチレーション式
誤りです。
ZnS(Ag)シンチレーション式は、主にα線表面汚染測定に用いられます。
原子力災害時の避難者体表面汚染検査で一般的に問題となるβ線表面汚染の測定には、GM計数管式が適しています。
覚えるポイント
測定器は、測定対象で整理します。
- GM計数管式:β線を含む表面汚染検査
- NaIシンチレーション式:γ線の空間線量率測定
- 電離箱式:高線量率の測定
- ZnS(Ag)シンチレーション式:α線表面汚染測定
- 半導体式:個人線量計、スペクトロメトリなど
本問では、避難者の体表面汚染を測定するため、GM計数管式サーベイメータが正答です。
78AM98問題・解答・解説
問題文
[78AM98] 診療放射線技師法で正しいのはどれか。
選択肢
- 1.免許証は都道府県知事が交付する。
- 2.免許の登録事項の変更は 30 日以内に訂正を申請する。
- 3.免許を取り消された者は免許証を 30 日以内に返納する。
- 4.免許証の再交付後に発見した旧免許証は 30 日以内に返納する。
- 5.死亡したときは 10 日以内に診療放射線技師籍の登録削除を申請する。
答え
2.免許の登録事項の変更は 30 日以内に訂正を申請する。
解説
正答
2.免許の登録事項の変更は30日以内に訂正を申請する。
問題のポイント
診療放射線技師法では、免許、診療放射線技師籍、免許証の交付・返納・登録事項の変更などについて定められています。
この問題では、診療放射線技師の免許に関する手続きの期限と申請先を確認します。
なぜ2が正しいか
診療放射線技師籍の登録事項に変更が生じた場合、30日以内に訂正を申請しなければなりません。
登録事項には、氏名、本籍地都道府県名、性別、生年月日などが含まれます。
結婚、転籍などで氏名や本籍地に変更があった場合には、診療放射線技師籍の訂正申請が必要です。
したがって、2.免許の登録事項の変更は30日以内に訂正を申請する、が正しいです。
他の選択肢との区別
1.免許証は都道府県知事が交付する。
誤りです。
診療放射線技師免許は厚生労働大臣が与え、免許証も厚生労働大臣が交付します。
申請書類は住所地の都道府県知事を経由して提出しますが、交付者は都道府県知事ではありません。
2.免許の登録事項の変更は30日以内に訂正を申請する。
正しいです。
登録事項に変更が生じたときは、30日以内に診療放射線技師籍の訂正を申請します。
3.免許を取り消された者は免許証を30日以内に返納する。
誤りです。
免許を取り消された者は、30日以内ではなく、10日以内に免許証を返納します。
4.免許証の再交付後に発見した旧免許証は30日以内に返納する。
誤りです。
免許証の再交付を受けた後、失った免許証を発見した場合は、30日以内ではなく、10日以内に旧免許証を返納します。
5.死亡したときは10日以内に診療放射線技師籍の登録削除を申請する。
誤りです。
診療放射線技師が死亡した場合、戸籍法による届出義務者は、30日以内に登録の消除を申請します。
10日以内ではありません。
覚えるポイント
診療放射線技師法の手続きは、期限をセットで覚えます。
- 登録事項の変更:30日以内
- 死亡・失踪宣告による登録消除:30日以内
- 免許取消し後の免許証返納:10日以内
- 再交付後に旧免許証を発見:10日以内
- 免許証の交付者:厚生労働大臣
本問では、登録事項変更時の30日以内の訂正申請が正しいため、正答は2です。
78AM99問題・解答・解説
問題文
[78AM99] 令和 3 年から施行された電離放射線障害防止規則において放射線業務従事者の眼 の水晶体に受ける等価線量の算定・記録・保存期間で追加されたのはどれか。
選択肢
- 1.1 月ごと
- 2.6 月ごと
- 3.3 年ごと
- 4.5 年ごと
- 5.10 年ごと
答え
4.5 年ごと
解説
正答
4.5年ごと
問題のポイント
令和3年4月1日から、眼の水晶体の等価線量限度に関する規則が改正されました。
眼の水晶体は放射線感受性が高く、白内障のリスク評価の観点から線量管理が重要です。
そのため、放射線業務従事者が眼の水晶体に受ける等価線量について、算定・記録・保存の管理が強化されました。
なぜ5年ごとが正しいか
改正後は、眼の水晶体に受ける等価線量について、
- 3か月ごと
- 1年ごと
- 5年ごと
の合計を算定・記録・保存することが必要になりました。
このうち、令和3年からの改正で追加された期間として問われるのが「5年ごと」です。
背景には、眼の水晶体の等価線量限度として、5年間で100 mSv、かつ1年間で50 mSvという管理が導入されたことがあります。
5年間の累積線量を確認するため、5年ごとの算定・記録・保存が必要になります。
したがって、正答は4.5年ごとです。
他の選択肢との区別
1.1月ごと
誤りです。
1月ごとの記録は個人線量管理で扱われることがありますが、令和3年改正で眼の水晶体等価線量の算定・記録・保存期間として追加されたものではありません。
2.6月ごと
誤りです。
6月ごとは本問の改正で追加された期間ではありません。
3.3年ごと
誤りです。
一部の経過措置などでは3年間という期間が関係することがありますが、本問で問われている追加期間は5年ごとです。
4.5年ごと
正しいです。
眼の水晶体等価線量について、5年ごとの合計を算定・記録・保存することが追加されました。
5.10年ごと
誤りです。
10年ごとの算定・記録・保存が追加されたわけではありません。
覚えるポイント
眼の水晶体の線量管理では、
- 1年間につき50 mSv
- 5年間につき100 mSv
- 算定・記録・保存:3か月ごと、1年ごと、5年ごと
を押さえます。
本問では、令和3年改正で追加された期間として、5年ごとが正答です。
78AM100問題・解答・解説
問題文
[78AM100] 医療法施行規則では管理区域をどの実効線量を超えるおそれのある区域と定めて いるか。
選択肢
- 1.250 μSv/ 3 月
- 2.1 mSv/週
- 3.1.3 mSv/ 3 月
- 4.20 mSv/年
- 5.50 mSv/年
答え
3.1.3 mSv/ 3 月
解説
正答
3.1.3 mSv/3月
問題のポイント
医療法施行規則では、放射線診療施設において、一定以上の被ばくのおそれがある区域を管理区域として区分します。
管理区域では、放射線業務従事者や患者以外の者が不必要に被ばくしないよう、立入管理、標識、線量管理などを行います。
この問題では、医療法施行規則における管理区域の実効線量基準を問われています。
なぜ1.3 mSv/3月が正しいか
医療法施行規則では、管理区域に係る外部放射線の線量について、実効線量が3月間につき1.3 mSvを超えるおそれのある区域を管理区域とします。
したがって、正答は、
1.3 mSv/3月
です。
他の選択肢との区別
1.250 μSv/3月
誤りです。
250 μSv/3月は、病院または診療所内の人が居住する区域や、敷地境界などの線量限度として出てくる値です。
管理区域の基準ではありません。
2.1 mSv/週
誤りです。
これは医療法施行規則における管理区域の実効線量基準ではありません。
3.1.3 mSv/3月
正しいです。
管理区域の外部放射線に関する実効線量基準です。
4.20 mSv/年
誤りです。
20 mSv/年は、放射線業務従事者の実効線量限度や職業被ばくの平均線量管理で関係する値として出てくることがありますが、医療法施行規則の管理区域基準ではありません。
5.50 mSv/年
誤りです。
50 mSv/年は、放射線業務従事者の1年間の実効線量限度として関係する値です。
管理区域の設定基準ではありません。
覚えるポイント
医療法施行規則の管理区域基準では、
- 管理区域:実効線量 1.3 mSv/3月 を超えるおそれのある区域
- 敷地境界・居住区域など:250 μSv/3月
- 放射線業務従事者の線量限度:別の基準として管理
と整理します。
本問では、管理区域を定める実効線量として、1.3 mSv/3月が正答です。
以上、78AM1〜78AM100までの全問題です。
